JPH08196262A - 酒類、食品の製造方法 - Google Patents

酒類、食品の製造方法

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JPH08196262A
JPH08196262A JP2887395A JP2887395A JPH08196262A JP H08196262 A JPH08196262 A JP H08196262A JP 2887395 A JP2887395 A JP 2887395A JP 2887395 A JP2887395 A JP 2887395A JP H08196262 A JPH08196262 A JP H08196262A
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Masahiro Nagatomo
正弘 長友
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春夫 大屋敷
Takumi Takayama
卓美 高山
Tadanori Yano
忠▲徳▼ 矢野
Yasuhiro Watanabe
靖弘 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多様化する嗜好に対応した特徴ある香味を有
し、原料利用率が向上した高品質の酒類、食品の製造方
法を提供する。 【構成】 原料を糖化及び/又は醸造することにより得
られる酒類又は食品を製造する方法において、原料の少
なくとも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射する工
程を含む酒類、食品の製造方法。酒類、食品の例には、
清酒、焼酎、みりん、甘酒、醤油、味噌、酢、パン等が
ある。吸水後の含水率が15〜50%(w/w)、遠赤
外線の照射時間が、0.1秒〜数時間であることが好ま
しい。熱風処理及び/又はマイクロ波処理工程を行って
もよい。 【効果】 栗香が強くはぜ込みの良い、菌体量の多く、
酵素活性の強い麹が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酒類、食品の製造方法
に関し、更に詳しくは、品質が改善され、原料利用率の
向上を可能とした酒類、食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酒類や食品のうち、例えは清
酒、焼酎、みりん及び甘酒等の酒類、食品の原料処理
は、米を例にとれば、玄米の精白、洗米、浸漬及び蒸煮
からなる。この従来の原料処理法により醸造された清
酒、焼酎、みりん及び甘酒等は、通常の市販製品として
親しまれている。しかし、近年製品の多様化が進み、こ
れら清酒、焼酎、みりん及び甘酒等に関して、掛原料を
焙炒処理し、酒類、甘味食品の原料として使用すること
が知られている(特公平5−28591号)、また、清
酒麹用原料の焙炒処理についても既に知られている(特
開平1−257464号)。これらの技術により、香味
の改善された品質の製品を生み出すことが可能となって
いる。この焙炒処理は、原料を熱風で処理して、対流と
伝導で加熱するものである。一方、加熱の方法として、
熱媒体を必要としない放射加熱があり、その一つに遠赤
外線処理がある。電磁波である遠赤外線は、多くの有機
物を振動させ、照射物の物性へ影響を及ぼし、その摩擦
の結果として加熱することにもなる。
【0003】遠赤外線の酒類、食品製造への利用として
は、原料処理工程では、小麦を輻射熱により炒る方法及
び装置で、小麦の内部からの加熱を主としており、表面
をこがすことなく均一な炒麦を得る技術(特開昭62−
239967号)があり、発酵・熟成工程では、味噌モ
ロミに遠赤外線を照射して、熟成期間を短縮し、品質を
同等以上とする技術(特開昭63−309159号)が
あり、製麹工程では、麹菌胞子を接種された原料に遠赤
外線を照射することを特徴とする製麹方法及び装置で、
麹菌の生育速度が向上し、かつ高品質の麹を得る技術
(特開平1−141585号)があり、蒸米の放冷工程
では、麹用蒸米引込み方法及び装置で、蒸米の湿度変化
なしで温度制御するのに遠赤外線を利用する技術(特開
平2−190181号)があり、更に蒸煮工程では、蒸
し時に遠赤外線を照射し、米を芯から十分に加熱できる
掛原料と製麹にこの蒸米を用いて麹の活性を促進する装
置(特開平5−292938号)が知られている。穀物
以外では、掛原料の甘藷を100℃〜400℃の熱風と
遠赤外線を併用することで芋臭のない蒸留酒の製造(特
開平5−84062号)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多様化する嗜好を背景
にして、従来の通常の原料処理や焙炒処理した原料の製
品とも異なった品質の酒類や食品の多様化が望まれてい
る。本発明の目的は、多様化する嗜好に対応した特徴あ
る香味を有し、原料利用率が向上した高品質の酒類、食
品の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は原料を糖化及び/又は醸造することにより得られ
る酒類又は食品を製造する方法において、原料の少なく
とも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射する工程を
含むことを特徴とする酒類、食品の製造方法に関する。
【0006】本発明における酒類としては、清酒、焼
酎、みりん等を挙げることができる。更に、本発明にお
ける食品としては、甘酒、醤油、味噌、酢、パン等を挙
げることができる。清酒の製造は原料処理、仕込、糖化
・発酵、上槽及び精製工程よりなる。焼酎は原料処理、
仕込、糖化、発酵(糖化・発酵)、蒸留及び精製工程よ
りなる。みりんは原料処理、仕込、糖化・熟成、上槽及
び精製工程よりなる。更に、甘酒は原料処理、仕込及び
糖化工程よりなる。また、醤油、味噌、酢、パン等は本
明細書でいう醸造の工程を含む。醸造の原料の一般的処
理は、精白、洗浄、浸漬、水切り、蒸煮、放冷の工程が
あるが、前記した原料処理は、掛原料及び/又は麹原料
の処理、製麹工程も含んでいる。
【0007】本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、清
酒、焼酎、みりん、甘酒、醤油、味噌、酢、パン等の原
料を糖化及び/又は醸造することにより得られる酒類、
食品の製造において、原料の少なくとも一部を吸水さ
せ、次いで遠赤外線を照射することにより、課題を解決
した高品質な製品を得ることが可能であることを見出し
た。
【0008】すなわち、原料の熱に対する特性を比熱で
みると、穀物が0.45前後であり比熱1.0の水を吸
水させた吸水原料は元の原料に比べて熱容量が大きくな
るので、吸水させた複雑な組織を有する原料を直接遠赤
外線で処理することにより、原料の物性を変化させるこ
とができ、このとき原料を掛原料と麹原料に区別すれ
ば、従来処理掛原料、焙炒処理掛原料、本発明の
遠赤外線処理掛原料、従来処理麹、焙炒処理麹、
本発明の遠赤外線処理麹となり、これら〜の掛原料
及び〜の麹の組合せで、かつ及びの少なくとも
一方の処理物を用いることにより種々の製品の多様化が
達成できるのである。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おける原料としては、粳米、糯米、大麦、小麦、ライ
麦、燕麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロコ
シ、モロコシ、マイロ等の穀類、サツマイモ、ジャガイ
モ、サトイモ、タロイモ、キャッサバ等の芋類及びデー
ツ、クリ、ゴマ、大豆等の果実、種子、豆類等があり、
これらの精白及び/又は未精白の原料が使用される。未
精白の原料の場合には、遠赤外線を照射後、精白しても
よいし、そのまま用いてもよい。また遠赤外線処理は2
回以上行ってもよく、例えば未精白の原料を遠赤外線処
理し、それを精白したものに遠赤外線処理を行ってもよ
い。粒状物以外に破砕物や粉体、更に粉体の粒状成形品
若しくはペレット状の成形加工品も原料として利用でき
る。前記原料は単独又は混合して使用され、これらの原
料を精白した場合は外層の糠部も併用できる。更に、前
記粉体にデンプン、デンプン部分加水分解物、ブドウ糖
等が混合されていてもよい。
【0010】本発明における吸水の方法は、特に限定さ
れないが、例えば散水、浸漬、加湿空気の通気等があ
る。含水率は好ましくは15〜50%(w/w)、特に
好ましくは20〜40%(w/w)の範囲で適宜選択さ
れるが、用いる原料や遠赤外線処理の条件により変更す
ることができる。更に含水率を高めるには、マイクロ波
等の方法を用いるのが望ましい。また、吸水に使用する
水にアミノ酸類、塩類、糖類、香気成分及びその前駆
体、更にはこれらを組合せたものを含ませて使用するこ
ともできる。必要に応じては、この吸水に用いる水を、
アルカリ及び/又はアルカリ性の塩を用いアルカリ性に
してもよいし、酸及び/又は酸性の塩で酸性にしてもよ
い。
【0011】掛原料及び/又は麹原料へ吸水後、遠赤外
線を照射する条件は、被処理物の種類及び形態や含水率
により適宜選択され、波長は2〜1000μm、好まし
くは3〜25μmを用い、照射時間は好ましくは0.1
秒〜数時間、特に好ましくは数十秒〜1時間の範囲から
選択すればよい。遠赤外線処理では、デンプンの糊化率
とタンパク質の不溶化率の向上した遠赤外線処理物が得
られる。
【0012】遠赤外線処理物は、原料の少なくとも一部
として、例えは掛原料及び/又は麹原料の少なくとも一
部として、そのまま、吸水させて、浸漬、水切り
して、用いることができる。掛原料としては、糊化率に
関連したデンプン溶解率の向上とタンパク質の酵素消化
性の低下の効果が得られる。麹原料としては、菌糸が原
料内部まで増殖しやすく、単位原料当り菌体量の増加し
た良質な香りである栗香の強い麹が得られる。また、麹
菌の酵素生成も良好になる。
【0013】得られた遠赤外線処理物を用いての酒類、
食品の製造は常法に従って行うが、麹を使用して原料を
糖化及び/又は醸造する場合は、動物、植物、微生物由
来の酵素剤を併用してもよい。原料処理する場合にも、
動物、植物、微生物由来の酵素剤を用いることができ
る。なお、本発明の糖化は液化を含む。原料処理の糖化
工程に使用する装置としては回分式でもよく、連続式も
使用できる。酒類、食品の製造に使用する酵素剤とし
て、液化酵素剤及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素
剤としては、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化
学工業(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、ク
ライスターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−
800〔上田化学工業(株)製〕や、高温性のスピター
ゼHS〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノ
ボ(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)
製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用
できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ
(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)
製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビア
ーゼK−17〔ナガセ生化学工業(株)製〕等〕等が使
用できる。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、セル
ラーゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用してもよい。
【0014】以下に、焙炒処理や通常処理の場合と比較
した遠赤外線処理条件と分析方法を示す。 1.材料は粳米(含水率14%、w/w)を用い精米歩
合80%の粳白米とし、吸水させて20%、30%、3
5%、40%及び45%(w/w)に含水率を調整し、
遠赤外線処理実験に供した。 2.遠赤外線処理米の条件は温度計を照射物の近辺に設
置し、150℃から250℃の焙炒条件と温度条件がほ
ぼ同じになる遠赤外線照射条件を、この温度を指標に調
整し実験した。 3.米中デンプン及びタンパク質の溶解度は、常法で調
製した米麹抽出液〔米麹:脱イオン水=1:5(w/
w)、25℃で3時間、時々かくはん〕5重量部に対し
処理米1重量部を混合し、55℃で24時間反応させた
後、十分に脱イオン水で洗浄した残渣中のデンプン及び
タンパク質の量を求め、原料中のデンプン及びタンパク
質を基にそれぞれの溶解度を求めた。麹中のデンプン及
びタンパク質の溶解度は、米麹:脱イオン水=1:5
(w/w)の比率で混合し、55℃で24時間反応さ
せ、米の場合と同様にして求めた。
【0015】(検討1)含水率と米中デンプンの溶解度
との関係を検討した結果を表1に示す。
【0016】
【表1】 表1 種々の含水率の遠赤外線照射による米中デンプンの溶解度 ───────────────────────────────── 米中デンプンの溶解度(%) 含水率 ───────────────────── (%、w/w) 遠赤外線処理米 焙炒処理米 ───────────────────────────────── 14(対照) 66.8 64.5 20 74.6 68.2 30 83.1 77.3 35 86.2 78.8 40 90.8 83.7 45 93.2 86.5 ─────────────────────────────────
【0017】 遠赤外線強度:250℃相当、焙炒:250℃ 処理時間:1分間
【0018】表1より、米中の含水率が高い程、デンプ
ンの溶解度が向上したが、遠赤外線処理区分は、焙炒処
理区分に比べて溶解度が高くなる傾向にあった。含水率
は、15%(w/w)以上であればよいが、45%(w
/w)では粘性が高くなり、操作上20〜40%(w/
w)が好ましい。
【0019】(検討2)含水率30%(w/w)の粳白
米を用いて、遠赤外線の強度と照射時間が米中デンプン
の溶解度に及ぼす影響について検討した結果を表2に示
す。
【0020】
【表2】 表2 遠赤外線強度と照射時間が米中デンプンの溶解度に及ぼす影響 ─────────────────────────────────── 米中デンプンの溶解度(%) ────────────────────────── 遠赤外線強度 遠赤外線処理米 焙炒処理米 ────────────────────────── 時間(分) 時間(分) 1 5 15 60 1 5 15 60 ─────────────────────────────────── 150℃相当 66.6 74.3 84.5 95.6 63.7 75.3 82.4 89.0 250℃相当 83.1 95.2 97.3 98.0 77.3 90.3 92.1 96.4 ───────────────────────────────────
【0021】表1及び表2の結果から、遠赤外線処理の
場合、デンプンの溶解度80%以上とするには、遠赤外
線強度250℃相当以上では照射時間1分以下、150
℃相当以下では15分以上であればよいが、操作上数十
秒〜1時間が好ましい。
【0022】(検討3)次に、遠赤外線処理した米を麹
原料として用いた場合の麹の評価を行った。含水率30
%(w/w)の粳白米について、遠赤外線強度250℃
相当で5分間遠赤外線を照射し、更に吸水させて含水率
35%(w/w)とし、黄麹菌の胞子を処理米重量当た
り0.1%接種して、24時間までは、温度30℃、相
対湿度94%、24時間から41時間までは、温度36
℃、相対湿度85%で製麹した。対照として、焙炒処理
米、通常の条件で処理した蒸米を用いた(以下、同
じ)。麹を評価した結果を表3に示す。
【0023】
【表3】 表3 遠赤外線処理した米から調製した麹の評価 ─────────────────────────────────── 遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米 ─────────────────────────────────── 米麹水分(%) 28.5 28.2 30.4 米麹菌体量(mg 4.8 4.6 4.0 グルコサミン/ g 乾重) はぜ込み 良好 やや良好 少ない 栗香の生成 強い やや強い 普通 酵素活性 α−アミラーゼ 1160 1130 900 (単位/g乾重) グルコアミラーゼ 680 670 930 (単位/g乾重) 酸性プロテアーゼ 1720 1280 1210 (単位/g乾重) 酸性カルボキシペプ 8060 5190 5620 チダーゼ (単位/g乾重) ───────────────────────────────────
【0024】酵素活性は第4回改正国税庁所定分析法注
解に記載の方法によった。 α−アミラーゼ活性:40℃で30分間に分解される1
%可溶性デンプン量(ml)で表示し、1mlが1単位
となる。 グルコアミラーゼ活性:可溶性デンプンから40℃で6
0分間に1mgのブドウ糖を生成する活性を1単位とす
る。 酸性プロテアーゼ活性(pH3.0):40℃で60分
間に1μgのチロシン相当量の呈色を示す活性を1単位
とする。 酸性カルボキシペプチダーゼ活性(pH3.0):カル
ボベンゾキシ−グルタミル−チロシンから30℃で60
分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位とす
る。
【0025】表3から、遠赤外線処理の米から調製した
麹は、対照に比べて、はぜ込みが良好で、良質な麹に見
られる製麹時の栗香の生成が強く、乾重当りの菌体量が
多かった。酵素活性では、酸性カルボキシペプチダーゼ
活性が特に強く、グルコアミラーゼ活性を除いて測定し
たすべての酵素活性が強かった。酸性カルボキシペプチ
ダーゼ活性が強いことは、発酵において酵母の栄養と香
気成分の前駆体としてのアミノ酸供給に有利であり、旨
味成分の生成にも都合がよい。このように、遠赤外線処
理した米を用いることによって特徴ある麹を得ることが
できる。
【0026】(検討4)掛米及び麹は、醪中で麹酵素に
より溶解されるので遠赤外線処理した掛米及び麹の麹酵
素による米中デンプン及びタンパク質の溶解性は重要
で、それぞれの溶解特性を検討1の方法を用いて検討し
た。結果を表4に示す。
【0027】
【表4】 表4 遠赤外線処理による掛米と麹の麹酵素による溶解度 ─────────────────────────────────── 掛 米 麹 ────────────────────────── 遠赤外線 焙炒 通常 遠赤外線 焙炒 通常 処理米 処理米 蒸米 処理米 処理米 蒸米 ─────────────────────────────────── デンプンの溶解度 95.2 92.3 94.1 96.6 93.5 93.2 (%) タンパク質の溶解 45.3 67.2 72.4 50.1 70.4 74.1 度 (%) ───────────────────────────────────
【0028】表4から、遠赤外線処理の掛米及び麹のデ
ンプンの溶解度は、対照に比べて向上し、逆にタンパク
質の溶解度は低下している。これは、デンプンからのア
ルコール生成に適し、雑味の基になるタンパク質の溶解
が減少することとなるので、嗜好品としての酒類に適し
ている。また、一般に米麹のデンプンは、製麹時に老化
し溶解度が低下するが、遠赤外線処理した米麹は、デン
プンの溶解度が高く、原料利用の上からも有利である。
【0029】本発明の酒類、食品の製造方法を用いるこ
とにより、品質が改善され、原料利用率が向上する。以
上、本発明により得られる酒類、食品は原料利用率にお
いて優れ、品質の多様化に対応しうる十分高品質の製品
となる。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0031】実施例1 精米歩合80%の粳白米を用い、吸水させて含水率30
%(w/w)とし、遠赤外線250℃相当の条件で5分
間の遠赤外線を照射したものを掛米とし、これらを浸
漬、水切りしたものを用い、表5に示す仕込配合により
三段仕込で清酒を試醸した。比較のための対照に、25
0℃、5分間の焙炒したもの、100℃、50分蒸煮し
た蒸米を用いた。麹は、通常処理、すなわち精米歩合8
0%の粳白米を、100℃、50分蒸煮し、常法により
製麹したものを用いた。なお、遠赤外線処理米、焙炒処
理米の汲水は、通常の蒸米の場合と同等になるように補
正した。試醸は15℃で20日間行った。
【0032】
【表5】 表 5 仕込配合 ─────────────────────────────────── 初添 仲添 留添 計 ─────────────────────────────────── 総米 (g) 100 180 320 600 掛米 (g) 65 140 275 480 麹米 (g) 35 40 45 120 汲水 (ml) 145 204 404 753 乳酸 (ml) 0.7 0 0 0.7 酵母 (g) 0.5 0 0 0.5 ───────────────────────────────────
【0033】この試醸で得られた清酒について成分分析
値及び官能検査結果を表6に示す。
【0034】
【表6】 表 6 成分分析値及び官能検査結果 ─────────────────────────────────── 遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米 ─────────────────────────────────── 日本酒度 −0.4 +1.0 ±0 アルコール(%、v/v) 17.1 16.9 16.3 酸度(0.1N NaOH 1.5 1.6 1.6 ml/10ml) 全窒素(mg%、w/v) 40 45 114 pH 4.0 4.0 4.1 官能検査 1.7 1.9 2.0 ───────────────────────────────────
【0035】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
【0036】表6より、遠赤外線処理の掛米を用いた場
合には、通常蒸米と比べて、アルコール濃度が濃く、窒
素成分が少なく、官能評価から吟醸香が豊かで淡麗な酒
質となった。
【0037】実施例2 精米歩合80%の粳白米を、実施例1と同様に遠赤外線
処理した遠赤外線処理米を掛米として用い、表7に示す
仕込配合により、一次 5日間、二次 13日間計18
日間30℃で発酵して焼酎の試醸を行った。なお、遠赤
外線処理米、焙炒処理米の汲水は、通常の蒸米の場合と
同等になるように補正した。結果を表8に示す。
【0038】
【表7】 表 7 仕込配合 ─────────────────────────────────── 一次仕込 二次仕込 計 ─────────────────────────────────── 麹米 (g) 300 − 300 掛米 (g) − 700 700 汲水 (ml) 360 1240 1600 ───────────────────────────────────
【0039】
【表8】 表8 焼酎の発酵醪の成分分析値及び留液の官能検査結果 ─────────────────────────────────── 遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米 ─────────────────────────────────── 発酵醪 アルコール(%、v/v) 18.1 17.5 17.6 pH 3.9 3.9 3.8 酸度(0.1N NaOH 10.3 10.5 10.8 ml/10ml) アミノ態窒素 61.6 73.8 95.2 (mg%、w/v) 直糖 (%、w/v) 0.7 0.6 0.5 日本酒度 +11.0 +9.5 +10.5 ─────────────────────────────────── 留液 酢酸イソアミル(ppm) 17 15 6 カプロン酸エチル 8 6 1 (ppm) 官能検査 香 1.2 1.5 2.3 味 1.4 1.5 2.0 ───────────────────────────────────
【0040】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
【0041】表8に示すように、遠赤外線処理米は、対
照に比べて、アルコール濃度が高く、アルコール生成率
が大きく、アミノ態窒素濃度は低かった。次にこれら発
酵醪を減圧ポットスチルで蒸留し中留区分を分取し、2
5%(v/v)アルコール濃度として官能検査を行っ
た。その結果、遠赤外線処理の場合、対照に比べて、淡
麗で吟醸香が豊かであるという評価を得、新たな香味を
もつ焼酎となった。
【0042】実施例3 精米歩合85%の粳白米を用い、実施例1と同様に遠赤
外線処理した遠赤外線処理米から、比較に250℃、5
分間の焙炒処理米から麹米の調製を行った。それぞれを
吸水させ含水率35%(w/w)として、種もやしを接
種し、常法により製麹した。掛米として、精米歩合85
%の糯白米を、浸漬、水切り、蒸煮(124℃、20
分)して糯蒸米を調製した。対照には、前記のように処
理した麹を用い、表9に示す仕込配合で醪を調製し、3
0℃で30日間糖化・熟成してみりんを試醸した。
【0043】
【表9】 表 9 仕込配合 ─────────────────────────────────── 遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米 ─────────────────────────────────── 糯蒸米 (g) 6280 6280 6280 遠赤外線処理麹(g) 630 − − 焙炒処理麹 (g) − 630 − 通常処理麹 (g) − − 630 35%(w/w) 2790 2790 2790 アルコール (g) ───────────────────────────────────
【0044】糖化・熟成後の醪を固液分離してみりんと
粕に分離した。この試醸で得られたみりんについて成分
分析値及び官能検査結果を表10に示す。
【0045】
【表10】 表 10 成分分析値及び官能検査結果 ─────────────────────────────────── 遠赤外線処理麹 焙炒処理麹 通常処理麹 ─────────────────────────────────── 全糖 (%、w/v) 46.7 46.3 46.2 直糖 (%、w/v) 39.7 40.2 40.7 全窒素(mg%、w/v) 110.1 90.5 86.4 アミノ態窒素 41.6 30.0 28.6 (mg%、w/v) アルコール 14.0 14.0 13.9 (%、v/v) 酸度(0.1N NaOH 0.50 0.47 0.45 ml/10ml) pH 5.5 5.5 5.4 比重 (15℃) 1.162 1.161 1.161 官能検査 1.6 1.8 2.0 ───────────────────────────────────
【0046】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
【0047】表10より、遠赤外線処理した米から調製
した麹を用いると、焙炒処理や通常処理した場合の麹に
比べ、みりんの旨味成分となる全窒素やアミノ態窒素含
量が増加し、旨味が強化される。更に、幾分全糖濃度が
高くなるので、品質上濃厚で調理効果の高いみりんが得
られる。
【0048】実施例4 精米歩合85%の粳白米を用い、掛米は実施例1、麹米
は実施例3と同様にして調製した。一方、通常処理によ
る掛米と麹を用いたものを対照とした。配合は、米麹8
00g、処理掛米(含水率35%、w/w)又は蒸米
1.2kg、脱イオン水1リットルを混合して甘酒を試
醸した。糖化は55℃で24時間行った。その結果、遠
赤外線処理の場合には、甘みが強く、旨味もあり、上品
な麹香を呈する品質のものが得られた。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に従って原料
を処理することにより、原料としてのデンプンの糊化率
向上、タンパク質の酵素消化性の低下が見られ、淡麗で
吟醸香のある酒類が得られ、アルコールの生成歩合も向
上する。麹原料を処理することにより、栗香が強くはぜ
込みの良い、菌体量の多く、酵素活性の強い麹が得られ
る。この麹を用いて、旨味の多い酒類調味料が得られる
ので、本発明は、製品品質の多様化につながる有用な酒
類、食品の製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12G 3/08 102 C12N 1/14 101 8828−4B (72)発明者 大屋敷 春夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 高山 卓美 京都府宇治市南陵町2丁目1−58 (72)発明者 矢野 忠▲徳▼ 大阪府堺市竹城台3丁19−3 (72)発明者 渡辺 靖弘 東京都中央区八重洲1丁目9番9号 帝国 ピストンリング株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料を糖化及び/又は醸造することによ
    り得られる酒類又は食品を製造する方法において、原料
    の少なくとも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射す
    る工程を含むことを特徴とする酒類、食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 原料が、掛原料及び/又は麹原料である
    ことを特徴とする請求項1に記載の酒類、食品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記吸水後の含水率が15〜50%(w
    /w)であることを特徴とする請求項1に記載の酒類、
    食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 遠赤外線の照射時間が、0.1秒〜数時
    間であることを特徴とする請求項1に記載の酒類、食品
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 遠赤外線を照射後、そのまま、又は吸水
    させ、又は浸漬、水切りして用いることを特徴とする請
    求項1に記載の酒類、食品の製造方法。
  6. 【請求項6】 該製造方法が、熱風処理及び/又はマイ
    クロ波処理工程を包含することを特徴とする請求項1に
    記載の酒類、食品の製造方法。
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