JP3385125B2 - 酒類の製造方法 - Google Patents
酒類の製造方法Info
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- JP3385125B2 JP3385125B2 JP02887395A JP2887395A JP3385125B2 JP 3385125 B2 JP3385125 B2 JP 3385125B2 JP 02887395 A JP02887395 A JP 02887395A JP 2887395 A JP2887395 A JP 2887395A JP 3385125 B2 JP3385125 B2 JP 3385125B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酒類の製造方法に関
し、更に詳しくは、品質が改善され、原料利用率の向上
を可能とした酒類の製造方法に関する。
し、更に詳しくは、品質が改善され、原料利用率の向上
を可能とした酒類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酒類や食品のうち、例えは清
酒、焼酎、みりん及び甘酒等の酒類、食品の原料処理
は、米を例にとれば、玄米の精白、洗米、浸漬及び蒸煮
からなる。この従来の原料処理法により醸造された清
酒、焼酎、みりん及び甘酒等は、通常の市販製品として
親しまれている。しかし、近年製品の多様化が進み、こ
れら清酒、焼酎、みりん及び甘酒等に関して、掛原料を
焙炒処理し、酒類、甘味食品の原料として使用すること
が知られている(特公平5−28591号)、また、清
酒麹用原料の焙炒処理についても既に知られている(特
開平1−257464号)。これらの技術により、香味
の改善された品質の製品を生み出すことが可能となって
いる。この焙炒処理は、原料を熱風で処理して、対流と
伝導で加熱するものである。一方、加熱の方法として、
熱媒体を必要としない放射加熱があり、その一つに遠赤
外線処理がある。電磁波である遠赤外線は、多くの有機
物を振動させ、照射物の物性へ影響を及ぼし、その摩擦
の結果として加熱することにもなる。
酒、焼酎、みりん及び甘酒等の酒類、食品の原料処理
は、米を例にとれば、玄米の精白、洗米、浸漬及び蒸煮
からなる。この従来の原料処理法により醸造された清
酒、焼酎、みりん及び甘酒等は、通常の市販製品として
親しまれている。しかし、近年製品の多様化が進み、こ
れら清酒、焼酎、みりん及び甘酒等に関して、掛原料を
焙炒処理し、酒類、甘味食品の原料として使用すること
が知られている(特公平5−28591号)、また、清
酒麹用原料の焙炒処理についても既に知られている(特
開平1−257464号)。これらの技術により、香味
の改善された品質の製品を生み出すことが可能となって
いる。この焙炒処理は、原料を熱風で処理して、対流と
伝導で加熱するものである。一方、加熱の方法として、
熱媒体を必要としない放射加熱があり、その一つに遠赤
外線処理がある。電磁波である遠赤外線は、多くの有機
物を振動させ、照射物の物性へ影響を及ぼし、その摩擦
の結果として加熱することにもなる。
【0003】遠赤外線の酒類、食品製造への利用として
は、原料処理工程では、小麦を輻射熱により炒る方法及
び装置で、小麦の内部からの加熱を主としており、表面
をこがすことなく均一な炒麦を得る技術(特開昭62−
239967号)があり、発酵・熟成工程では、味噌モ
ロミに遠赤外線を照射して、熟成期間を短縮し、品質を
同等以上とする技術(特開昭63−309159号)が
あり、製麹工程では、麹菌胞子を接種された原料に遠赤
外線を照射することを特徴とする製麹方法及び装置で、
麹菌の生育速度が向上し、かつ高品質の麹を得る技術
(特開平1−141585号)があり、蒸米の放冷工程
では、麹用蒸米引込み方法及び装置で、蒸米の湿度変化
なしで温度制御するのに遠赤外線を利用する技術(特開
平2−190181号)があり、更に蒸煮工程では、蒸
し時に遠赤外線を照射し、米を芯から十分に加熱できる
掛原料と製麹にこの蒸米を用いて麹の活性を促進する装
置(特開平5−292938号)が知られている。穀物
以外では、掛原料の甘藷を100℃〜400℃の熱風と
遠赤外線を併用することで芋臭のない蒸留酒の製造(特
開平5−84062号)が知られている。
は、原料処理工程では、小麦を輻射熱により炒る方法及
び装置で、小麦の内部からの加熱を主としており、表面
をこがすことなく均一な炒麦を得る技術(特開昭62−
239967号)があり、発酵・熟成工程では、味噌モ
ロミに遠赤外線を照射して、熟成期間を短縮し、品質を
同等以上とする技術(特開昭63−309159号)が
あり、製麹工程では、麹菌胞子を接種された原料に遠赤
外線を照射することを特徴とする製麹方法及び装置で、
麹菌の生育速度が向上し、かつ高品質の麹を得る技術
(特開平1−141585号)があり、蒸米の放冷工程
では、麹用蒸米引込み方法及び装置で、蒸米の湿度変化
なしで温度制御するのに遠赤外線を利用する技術(特開
平2−190181号)があり、更に蒸煮工程では、蒸
し時に遠赤外線を照射し、米を芯から十分に加熱できる
掛原料と製麹にこの蒸米を用いて麹の活性を促進する装
置(特開平5−292938号)が知られている。穀物
以外では、掛原料の甘藷を100℃〜400℃の熱風と
遠赤外線を併用することで芋臭のない蒸留酒の製造(特
開平5−84062号)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多様化する嗜好を背景
にして、従来の通常の原料処理や焙炒処理した原料の製
品とも異なった品質の酒類や食品の多様化が望まれてい
る。本発明の目的は、多様化する嗜好に対応した特徴あ
る香味を有し、原料利用率が向上した高品質の酒類の製
造方法を提供することにある。
にして、従来の通常の原料処理や焙炒処理した原料の製
品とも異なった品質の酒類や食品の多様化が望まれてい
る。本発明の目的は、多様化する嗜好に対応した特徴あ
る香味を有し、原料利用率が向上した高品質の酒類の製
造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は原料を糖化及び/又は醸造することにより得られ
る酒類を製造する方法において、原料の少なくとも一部
を吸水させ、次いで遠赤外線を照射する工程を含むこと
を特徴とする酒類の製造方法に関する。
発明は原料を糖化及び/又は醸造することにより得られ
る酒類を製造する方法において、原料の少なくとも一部
を吸水させ、次いで遠赤外線を照射する工程を含むこと
を特徴とする酒類の製造方法に関する。
【0006】本発明における酒類としては、清酒、焼
酎、みりん、甘酒等を挙げることができる。清酒の製造
は原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程より
なる。焼酎は原料処理、仕込、糖化、発酵(糖化・発
酵)、蒸留及び精製工程よりなる。みりんは原料処理、
仕込、糖化・熟成、上槽及び精製工程よりなる。更に、
甘酒は原料処理、仕込及び糖化工程よりなる。醸造の原
料の一般的処理は、精白、洗浄、浸漬、水切り、蒸煮、
放冷の工程があるが、前記した原料処理は、掛原料及び
/又は麹原料の処理、製麹工程も含んでいる。
酎、みりん、甘酒等を挙げることができる。清酒の製造
は原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程より
なる。焼酎は原料処理、仕込、糖化、発酵(糖化・発
酵)、蒸留及び精製工程よりなる。みりんは原料処理、
仕込、糖化・熟成、上槽及び精製工程よりなる。更に、
甘酒は原料処理、仕込及び糖化工程よりなる。醸造の原
料の一般的処理は、精白、洗浄、浸漬、水切り、蒸煮、
放冷の工程があるが、前記した原料処理は、掛原料及び
/又は麹原料の処理、製麹工程も含んでいる。
【0007】本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、清
酒、焼酎、みりん、甘酒等の原料を糖化及び/又は醸造
することにより得られる酒類の製造において、原料の少
なくとも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射するこ
とにより、課題を解決した高品質な製品を得ることが可
能であることを見出した。
酒、焼酎、みりん、甘酒等の原料を糖化及び/又は醸造
することにより得られる酒類の製造において、原料の少
なくとも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射するこ
とにより、課題を解決した高品質な製品を得ることが可
能であることを見出した。
【0008】すなわち、原料の熱に対する特性を比熱で
みると、穀物が0.45前後であり比熱1.0の水を吸
水させた吸水原料は元の原料に比べて熱容量が大きくな
るので、吸水させた複雑な組織を有する原料を直接遠赤
外線で処理することにより、原料の物性を変化させるこ
とができ、このとき原料を掛原料と麹原料に区別すれ
ば、従来処理掛原料、焙炒処理掛原料、本発明の
遠赤外線処理掛原料、従来処理麹、焙炒処理麹、
本発明の遠赤外線処理麹となり、これら〜の掛原料
及び〜の麹の組合せで、かつ及びの少なくとも
一方の処理物を用いることにより種々の製品の多様化が
達成できるのである。
みると、穀物が0.45前後であり比熱1.0の水を吸
水させた吸水原料は元の原料に比べて熱容量が大きくな
るので、吸水させた複雑な組織を有する原料を直接遠赤
外線で処理することにより、原料の物性を変化させるこ
とができ、このとき原料を掛原料と麹原料に区別すれ
ば、従来処理掛原料、焙炒処理掛原料、本発明の
遠赤外線処理掛原料、従来処理麹、焙炒処理麹、
本発明の遠赤外線処理麹となり、これら〜の掛原料
及び〜の麹の組合せで、かつ及びの少なくとも
一方の処理物を用いることにより種々の製品の多様化が
達成できるのである。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おける原料としては、粳米、糯米、大麦、小麦、ライ
麦、燕麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロコ
シ、モロコシ、マイロ等の穀類、サツマイモ、ジャガイ
モ、サトイモ、タロイモ、キャッサバ等の芋類及びデー
ツ、クリ、ゴマ等の果実、種子等があり、これらの精白
及び/又は未精白の原料が使用される。未精白の原料の
場合には、遠赤外線を照射後、精白してもよいし、その
まま用いてもよい。また遠赤外線処理は2回以上行って
もよく、例えば未精白の原料を遠赤外線処理し、それを
精白したものに遠赤外線処理を行ってもよい。粒状物以
外に破砕物や粉体、更に粉体の粒状成形品若しくはペレ
ット状の成形加工品も原料として利用できる。前記原料
は単独又は混合して使用され、これらの原料を精白した
場合は外層の糠部も併用できる。更に、前記粉体にデン
プン、デンプン部分加水分解物、ブドウ糖等が混合され
ていてもよい。
おける原料としては、粳米、糯米、大麦、小麦、ライ
麦、燕麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロコ
シ、モロコシ、マイロ等の穀類、サツマイモ、ジャガイ
モ、サトイモ、タロイモ、キャッサバ等の芋類及びデー
ツ、クリ、ゴマ等の果実、種子等があり、これらの精白
及び/又は未精白の原料が使用される。未精白の原料の
場合には、遠赤外線を照射後、精白してもよいし、その
まま用いてもよい。また遠赤外線処理は2回以上行って
もよく、例えば未精白の原料を遠赤外線処理し、それを
精白したものに遠赤外線処理を行ってもよい。粒状物以
外に破砕物や粉体、更に粉体の粒状成形品若しくはペレ
ット状の成形加工品も原料として利用できる。前記原料
は単独又は混合して使用され、これらの原料を精白した
場合は外層の糠部も併用できる。更に、前記粉体にデン
プン、デンプン部分加水分解物、ブドウ糖等が混合され
ていてもよい。
【0010】本発明における吸水の方法は、特に限定さ
れないが、例えば散水、浸漬、加湿空気の通気等があ
る。含水率は好ましくは15〜50%(w/w)、特に
好ましくは20〜40%(w/w)の範囲で適宜選択さ
れるが、用いる原料や遠赤外線処理の条件により変更す
ることができる。更に含水率を高めるには、マイクロ波
等の方法を用いるのが望ましい。また、吸水に使用する
水にアミノ酸類、塩類、糖類、香気成分及びその前駆
体、更にはこれらを組合せたものを含ませて使用するこ
ともできる。必要に応じては、この吸水に用いる水を、
アルカリ及び/又はアルカリ性の塩を用いアルカリ性に
してもよいし、酸及び/又は酸性の塩で酸性にしてもよ
い。
れないが、例えば散水、浸漬、加湿空気の通気等があ
る。含水率は好ましくは15〜50%(w/w)、特に
好ましくは20〜40%(w/w)の範囲で適宜選択さ
れるが、用いる原料や遠赤外線処理の条件により変更す
ることができる。更に含水率を高めるには、マイクロ波
等の方法を用いるのが望ましい。また、吸水に使用する
水にアミノ酸類、塩類、糖類、香気成分及びその前駆
体、更にはこれらを組合せたものを含ませて使用するこ
ともできる。必要に応じては、この吸水に用いる水を、
アルカリ及び/又はアルカリ性の塩を用いアルカリ性に
してもよいし、酸及び/又は酸性の塩で酸性にしてもよ
い。
【0011】掛原料及び/又は麹原料へ吸水後、遠赤外
線を照射する条件は、被処理物の種類及び形態や含水率
により適宜選択され、波長は2〜1000μm、好まし
くは3〜25μmを用い、照射時間は好ましくは0.1
秒〜数時間、特に好ましくは数十秒〜1時間の範囲から
選択すればよい。遠赤外線処理では、デンプンの糊化率
とタンパク質の不溶化率の向上した遠赤外線処理物が得
られる。
線を照射する条件は、被処理物の種類及び形態や含水率
により適宜選択され、波長は2〜1000μm、好まし
くは3〜25μmを用い、照射時間は好ましくは0.1
秒〜数時間、特に好ましくは数十秒〜1時間の範囲から
選択すればよい。遠赤外線処理では、デンプンの糊化率
とタンパク質の不溶化率の向上した遠赤外線処理物が得
られる。
【0012】遠赤外線処理物は、原料の少なくとも一部
として、例えは掛原料及び/又は麹原料の少なくとも一
部として、そのまま、吸水させて、浸漬、水切り
して、用いることができる。掛原料としては、糊化率に
関連したデンプン溶解率の向上とタンパク質の酵素消化
性の低下の効果が得られる。麹原料としては、菌糸が原
料内部まで増殖しやすく、単位原料当り菌体量の増加し
た良質な香りである栗香の強い麹が得られる。また、麹
菌の酵素生成も良好になる。
として、例えは掛原料及び/又は麹原料の少なくとも一
部として、そのまま、吸水させて、浸漬、水切り
して、用いることができる。掛原料としては、糊化率に
関連したデンプン溶解率の向上とタンパク質の酵素消化
性の低下の効果が得られる。麹原料としては、菌糸が原
料内部まで増殖しやすく、単位原料当り菌体量の増加し
た良質な香りである栗香の強い麹が得られる。また、麹
菌の酵素生成も良好になる。
【0013】得られた遠赤外線処理物を用いての酒類の
製造は常法に従って行うが、麹を使用して原料を糖化及
び/又は醸造する場合は、動物、植物、微生物由来の酵
素剤を併用してもよい。原料処理する場合にも、動物、
植物、微生物由来の酵素剤を用いることができる。な
お、本発明の糖化は液化を含む。原料処理の糖化工程に
使用する装置としては回分式でもよく、連続式も使用で
きる。酒類の製造に使用する酵素剤として、液化酵素剤
及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素剤としては、中
温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業(株)
製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライスターゼ
〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800〔上田
化学工業(株)製〕や、高温性のスピターゼHS〔ナガ
セ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ(株)
製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)製〕、コク
ゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用できる。糖
化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ(株)製〕、ス
ミチームL〔新日本化学工業(株)製〕、ユニアーゼK
〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビアーゼK−17〔ナガ
セ生化学工業(株)製〕等〕等が使用できる。その他の
酵素剤としてプロテアーゼ剤、セルラーゼ剤、ヘミセル
ラーゼ剤を併用してもよい。
製造は常法に従って行うが、麹を使用して原料を糖化及
び/又は醸造する場合は、動物、植物、微生物由来の酵
素剤を併用してもよい。原料処理する場合にも、動物、
植物、微生物由来の酵素剤を用いることができる。な
お、本発明の糖化は液化を含む。原料処理の糖化工程に
使用する装置としては回分式でもよく、連続式も使用で
きる。酒類の製造に使用する酵素剤として、液化酵素剤
及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素剤としては、中
温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業(株)
製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライスターゼ
〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800〔上田
化学工業(株)製〕や、高温性のスピターゼHS〔ナガ
セ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ(株)
製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)製〕、コク
ゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用できる。糖
化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ(株)製〕、ス
ミチームL〔新日本化学工業(株)製〕、ユニアーゼK
〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビアーゼK−17〔ナガ
セ生化学工業(株)製〕等〕等が使用できる。その他の
酵素剤としてプロテアーゼ剤、セルラーゼ剤、ヘミセル
ラーゼ剤を併用してもよい。
【0014】以下に、焙炒処理や通常処理の場合と比較
した遠赤外線処理条件と分析方法を示す。 1.材料は粳米(含水率14%、w/w)を用い精米歩
合80%の粳白米とし、吸水させて20%、30%、3
5%、40%及び45%(w/w)に含水率を調整し、
遠赤外線処理実験に供した。 2.遠赤外線処理米の条件は温度計を照射物の近辺に設
置し、150℃から250℃の焙炒条件と温度条件がほ
ぼ同じになる遠赤外線照射条件を、この温度を指標に調
整し実験した。 3.米中デンプン及びタンパク質の溶解度は、常法で調
製した米麹抽出液〔米麹:脱イオン水=1:5(w/
w)、25℃で3時間、時々かくはん〕5重量部に対し
処理米1重量部を混合し、55℃で24時間反応させた
後、十分に脱イオン水で洗浄した残渣中のデンプン及び
タンパク質の量を求め、原料中のデンプン及びタンパク
質を基にそれぞれの溶解度を求めた。麹中のデンプン及
びタンパク質の溶解度は、米麹:脱イオン水=1:5
(w/w)の比率で混合し、55℃で24時間反応さ
せ、米の場合と同様にして求めた。
した遠赤外線処理条件と分析方法を示す。 1.材料は粳米(含水率14%、w/w)を用い精米歩
合80%の粳白米とし、吸水させて20%、30%、3
5%、40%及び45%(w/w)に含水率を調整し、
遠赤外線処理実験に供した。 2.遠赤外線処理米の条件は温度計を照射物の近辺に設
置し、150℃から250℃の焙炒条件と温度条件がほ
ぼ同じになる遠赤外線照射条件を、この温度を指標に調
整し実験した。 3.米中デンプン及びタンパク質の溶解度は、常法で調
製した米麹抽出液〔米麹:脱イオン水=1:5(w/
w)、25℃で3時間、時々かくはん〕5重量部に対し
処理米1重量部を混合し、55℃で24時間反応させた
後、十分に脱イオン水で洗浄した残渣中のデンプン及び
タンパク質の量を求め、原料中のデンプン及びタンパク
質を基にそれぞれの溶解度を求めた。麹中のデンプン及
びタンパク質の溶解度は、米麹:脱イオン水=1:5
(w/w)の比率で混合し、55℃で24時間反応さ
せ、米の場合と同様にして求めた。
【0015】(検討1)含水率と米中デンプンの溶解度
との関係を検討した結果を表1に示す。
との関係を検討した結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
表1 種々の含水率の遠赤外線照射による米中デンプンの溶解度
─────────────────────────────────
米中デンプンの溶解度(%)
含水率 ─────────────────────
(%、w/w) 遠赤外線処理米 焙炒処理米
─────────────────────────────────
14(対照) 66.8 64.5
20 74.6 68.2
30 83.1 77.3
35 86.2 78.8
40 90.8 83.7
45 93.2 86.5
─────────────────────────────────
【0017】
遠赤外線強度:250℃相当、焙炒:250℃
処理時間:1分間
【0018】表1より、米中の含水率が高い程、デンプ
ンの溶解度が向上したが、遠赤外線処理区分は、焙炒処
理区分に比べて溶解度が高くなる傾向にあった。含水率
は、15%(w/w)以上であればよいが、45%(w
/w)では粘性が高くなり、操作上20〜40%(w/
w)が好ましい。
ンの溶解度が向上したが、遠赤外線処理区分は、焙炒処
理区分に比べて溶解度が高くなる傾向にあった。含水率
は、15%(w/w)以上であればよいが、45%(w
/w)では粘性が高くなり、操作上20〜40%(w/
w)が好ましい。
【0019】(検討2)含水率30%(w/w)の粳白
米を用いて、遠赤外線の強度と照射時間が米中デンプン
の溶解度に及ぼす影響について検討した結果を表2に示
す。
米を用いて、遠赤外線の強度と照射時間が米中デンプン
の溶解度に及ぼす影響について検討した結果を表2に示
す。
【0020】
【表2】
表2 遠赤外線強度と照射時間が米中デンプンの溶解度に及ぼす影響
───────────────────────────────────
米中デンプンの溶解度(%)
──────────────────────────
遠赤外線強度 遠赤外線処理米 焙炒処理米
──────────────────────────
時間(分) 時間(分)
1 5 15 60 1 5 15 60
───────────────────────────────────
150℃相当 66.6 74.3 84.5 95.6 63.7 75.3 82.4 89.0
250℃相当 83.1 95.2 97.3 98.0 77.3 90.3 92.1 96.4
───────────────────────────────────
【0021】表1及び表2の結果から、遠赤外線処理の
場合、デンプンの溶解度80%以上とするには、遠赤外
線強度250℃相当以上では照射時間1分以下、150
℃相当以下では15分以上であればよいが、操作上数十
秒〜1時間が好ましい。
場合、デンプンの溶解度80%以上とするには、遠赤外
線強度250℃相当以上では照射時間1分以下、150
℃相当以下では15分以上であればよいが、操作上数十
秒〜1時間が好ましい。
【0022】(検討3)次に、遠赤外線処理した米を麹
原料として用いた場合の麹の評価を行った。含水率30
%(w/w)の粳白米について、遠赤外線強度250℃
相当で5分間遠赤外線を照射し、更に吸水させて含水率
35%(w/w)とし、黄麹菌の胞子を処理米重量当た
り0.1%接種して、24時間までは、温度30℃、相
対湿度94%、24時間から41時間までは、温度36
℃、相対湿度85%で製麹した。対照として、焙炒処理
米、通常の条件で処理した蒸米を用いた(以下、同
じ)。麹を評価した結果を表3に示す。
原料として用いた場合の麹の評価を行った。含水率30
%(w/w)の粳白米について、遠赤外線強度250℃
相当で5分間遠赤外線を照射し、更に吸水させて含水率
35%(w/w)とし、黄麹菌の胞子を処理米重量当た
り0.1%接種して、24時間までは、温度30℃、相
対湿度94%、24時間から41時間までは、温度36
℃、相対湿度85%で製麹した。対照として、焙炒処理
米、通常の条件で処理した蒸米を用いた(以下、同
じ)。麹を評価した結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
表3 遠赤外線処理した米から調製した麹の評価
───────────────────────────────────
遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米
───────────────────────────────────
米麹水分(%) 28.5 28.2 30.4
米麹菌体量(mg 4.8 4.6 4.0
グルコサミン/
g 乾重)
はぜ込み 良好 やや良好 少ない
栗香の生成 強い やや強い 普通
酵素活性
α−アミラーゼ 1160 1130 900
(単位/g乾重)
グルコアミラーゼ 680 670 930
(単位/g乾重)
酸性プロテアーゼ 1720 1280 1210
(単位/g乾重)
酸性カルボキシペプ 8060 5190 5620
チダーゼ
(単位/g乾重)
───────────────────────────────────
【0024】酵素活性は第4回改正国税庁所定分析法注
解に記載の方法によった。 α−アミラーゼ活性:40℃で30分間に分解される1
%可溶性デンプン量(ml)で表示し、1mlが1単位
となる。 グルコアミラーゼ活性:可溶性デンプンから40℃で6
0分間に1mgのブドウ糖を生成する活性を1単位とす
る。 酸性プロテアーゼ活性(pH3.0):40℃で60分
間に1μgのチロシン相当量の呈色を示す活性を1単位
とする。 酸性カルボキシペプチダーゼ活性(pH3.0):カル
ボベンゾキシ−グルタミル−チロシンから30℃で60
分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位とす
る。
解に記載の方法によった。 α−アミラーゼ活性:40℃で30分間に分解される1
%可溶性デンプン量(ml)で表示し、1mlが1単位
となる。 グルコアミラーゼ活性:可溶性デンプンから40℃で6
0分間に1mgのブドウ糖を生成する活性を1単位とす
る。 酸性プロテアーゼ活性(pH3.0):40℃で60分
間に1μgのチロシン相当量の呈色を示す活性を1単位
とする。 酸性カルボキシペプチダーゼ活性(pH3.0):カル
ボベンゾキシ−グルタミル−チロシンから30℃で60
分間に1μgのチロシンを生成する活性を1単位とす
る。
【0025】表3から、遠赤外線処理の米から調製した
麹は、対照に比べて、はぜ込みが良好で、良質な麹に見
られる製麹時の栗香の生成が強く、乾重当りの菌体量が
多かった。酵素活性では、酸性カルボキシペプチダーゼ
活性が特に強く、グルコアミラーゼ活性を除いて測定し
たすべての酵素活性が強かった。酸性カルボキシペプチ
ダーゼ活性が強いことは、発酵において酵母の栄養と香
気成分の前駆体としてのアミノ酸供給に有利であり、旨
味成分の生成にも都合がよい。このように、遠赤外線処
理した米を用いることによって特徴ある麹を得ることが
できる。
麹は、対照に比べて、はぜ込みが良好で、良質な麹に見
られる製麹時の栗香の生成が強く、乾重当りの菌体量が
多かった。酵素活性では、酸性カルボキシペプチダーゼ
活性が特に強く、グルコアミラーゼ活性を除いて測定し
たすべての酵素活性が強かった。酸性カルボキシペプチ
ダーゼ活性が強いことは、発酵において酵母の栄養と香
気成分の前駆体としてのアミノ酸供給に有利であり、旨
味成分の生成にも都合がよい。このように、遠赤外線処
理した米を用いることによって特徴ある麹を得ることが
できる。
【0026】(検討4)掛米及び麹は、醪中で麹酵素に
より溶解されるので遠赤外線処理した掛米及び麹の麹酵
素による米中デンプン及びタンパク質の溶解性は重要
で、それぞれの溶解特性を検討1の方法を用いて検討し
た。結果を表4に示す。
より溶解されるので遠赤外線処理した掛米及び麹の麹酵
素による米中デンプン及びタンパク質の溶解性は重要
で、それぞれの溶解特性を検討1の方法を用いて検討し
た。結果を表4に示す。
【0027】
【表4】
表4 遠赤外線処理による掛米と麹の麹酵素による溶解度
───────────────────────────────────
掛 米 麹
──────────────────────────
遠赤外線 焙炒 通常 遠赤外線 焙炒 通常
処理米 処理米 蒸米 処理米 処理米 蒸米
───────────────────────────────────
デンプンの溶解度 95.2 92.3 94.1 96.6 93.5 93.2
(%)
タンパク質の溶解 45.3 67.2 72.4 50.1 70.4 74.1
度 (%)
───────────────────────────────────
【0028】表4から、遠赤外線処理の掛米及び麹のデ
ンプンの溶解度は、対照に比べて向上し、逆にタンパク
質の溶解度は低下している。これは、デンプンからのア
ルコール生成に適し、雑味の基になるタンパク質の溶解
が減少することとなるので、嗜好品としての酒類に適し
ている。また、一般に米麹のデンプンは、製麹時に老化
し溶解度が低下するが、遠赤外線処理した米麹は、デン
プンの溶解度が高く、原料利用の上からも有利である。
ンプンの溶解度は、対照に比べて向上し、逆にタンパク
質の溶解度は低下している。これは、デンプンからのア
ルコール生成に適し、雑味の基になるタンパク質の溶解
が減少することとなるので、嗜好品としての酒類に適し
ている。また、一般に米麹のデンプンは、製麹時に老化
し溶解度が低下するが、遠赤外線処理した米麹は、デン
プンの溶解度が高く、原料利用の上からも有利である。
【0029】本発明の酒類の製造方法を用いることによ
り、品質が改善され、原料利用率が向上する。以上、本
発明により得られる酒類は原料利用率において優れ、品
質の多様化に対応しうる十分高品質の製品となる。
り、品質が改善され、原料利用率が向上する。以上、本
発明により得られる酒類は原料利用率において優れ、品
質の多様化に対応しうる十分高品質の製品となる。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0031】実施例1
精米歩合80%の粳白米を用い、吸水させて含水率30
%(w/w)とし、遠赤外線250℃相当の条件で5分
間の遠赤外線を照射したものを掛米とし、これらを浸
漬、水切りしたものを用い、表5に示す仕込配合により
三段仕込で清酒を試醸した。比較のための対照に、25
0℃、5分間の焙炒したもの、100℃、50分蒸煮し
た蒸米を用いた。麹は、通常処理、すなわち精米歩合8
0%の粳白米を、100℃、50分蒸煮し、常法により
製麹したものを用いた。なお、遠赤外線処理米、焙炒処
理米の汲水は、通常の蒸米の場合と同等になるように補
正した。試醸は15℃で20日間行った。
%(w/w)とし、遠赤外線250℃相当の条件で5分
間の遠赤外線を照射したものを掛米とし、これらを浸
漬、水切りしたものを用い、表5に示す仕込配合により
三段仕込で清酒を試醸した。比較のための対照に、25
0℃、5分間の焙炒したもの、100℃、50分蒸煮し
た蒸米を用いた。麹は、通常処理、すなわち精米歩合8
0%の粳白米を、100℃、50分蒸煮し、常法により
製麹したものを用いた。なお、遠赤外線処理米、焙炒処
理米の汲水は、通常の蒸米の場合と同等になるように補
正した。試醸は15℃で20日間行った。
【0032】
【表5】
表 5 仕込配合
───────────────────────────────────
初添 仲添 留添 計
───────────────────────────────────
総米 (g) 100 180 320 600
掛米 (g) 65 140 275 480
麹米 (g) 35 40 45 120
汲水 (ml) 145 204 404 753
乳酸 (ml) 0.7 0 0 0.7
酵母 (g) 0.5 0 0 0.5
───────────────────────────────────
【0033】この試醸で得られた清酒について成分分析
値及び官能検査結果を表6に示す。
値及び官能検査結果を表6に示す。
【0034】
【表6】
表 6 成分分析値及び官能検査結果
───────────────────────────────────
遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米
───────────────────────────────────
日本酒度 −0.4 +1.0 ±0
アルコール(%、v/v) 17.1 16.9 16.3
酸度(0.1N NaOH 1.5 1.6 1.6
ml/10ml)
全窒素(mg%、w/v) 40 45 114
pH 4.0 4.0 4.1
官能検査 1.7 1.9 2.0
───────────────────────────────────
【0035】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
3:不良 パネラー 10名
【0036】表6より、遠赤外線処理の掛米を用いた場
合には、通常蒸米と比べて、アルコール濃度が濃く、窒
素成分が少なく、官能評価から吟醸香が豊かで淡麗な酒
質となった。
合には、通常蒸米と比べて、アルコール濃度が濃く、窒
素成分が少なく、官能評価から吟醸香が豊かで淡麗な酒
質となった。
【0037】実施例2
精米歩合80%の粳白米を、実施例1と同様に遠赤外線
処理した遠赤外線処理米を掛米として用い、表7に示す
仕込配合により、一次 5日間、二次 13日間計18
日間30℃で発酵して焼酎の試醸を行った。なお、遠赤
外線処理米、焙炒処理米の汲水は、通常の蒸米の場合と
同等になるように補正した。結果を表8に示す。
処理した遠赤外線処理米を掛米として用い、表7に示す
仕込配合により、一次 5日間、二次 13日間計18
日間30℃で発酵して焼酎の試醸を行った。なお、遠赤
外線処理米、焙炒処理米の汲水は、通常の蒸米の場合と
同等になるように補正した。結果を表8に示す。
【0038】
【表7】
表 7 仕込配合
───────────────────────────────────
一次仕込 二次仕込 計
───────────────────────────────────
麹米 (g) 300 − 300
掛米 (g) − 700 700
汲水 (ml) 360 1240 1600
───────────────────────────────────
【0039】
【表8】
表8 焼酎の発酵醪の成分分析値及び留液の官能検査結果
───────────────────────────────────
遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米
───────────────────────────────────
発酵醪
アルコール(%、v/v) 18.1 17.5 17.6
pH 3.9 3.9 3.8
酸度(0.1N NaOH 10.3 10.5 10.8
ml/10ml)
アミノ態窒素 61.6 73.8 95.2
(mg%、w/v)
直糖 (%、w/v) 0.7 0.6 0.5
日本酒度 +11.0 +9.5 +10.5
───────────────────────────────────
留液
酢酸イソアミル(ppm) 17 15 6
カプロン酸エチル 8 6 1
(ppm)
官能検査 香 1.2 1.5 2.3
味 1.4 1.5 2.0
───────────────────────────────────
【0040】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
3:不良 パネラー 10名
【0041】表8に示すように、遠赤外線処理米は、対
照に比べて、アルコール濃度が高く、アルコール生成率
が大きく、アミノ態窒素濃度は低かった。次にこれら発
酵醪を減圧ポットスチルで蒸留し中留区分を分取し、2
5%(v/v)アルコール濃度として官能検査を行っ
た。その結果、遠赤外線処理の場合、対照に比べて、淡
麗で吟醸香が豊かであるという評価を得、新たな香味を
もつ焼酎となった。
照に比べて、アルコール濃度が高く、アルコール生成率
が大きく、アミノ態窒素濃度は低かった。次にこれら発
酵醪を減圧ポットスチルで蒸留し中留区分を分取し、2
5%(v/v)アルコール濃度として官能検査を行っ
た。その結果、遠赤外線処理の場合、対照に比べて、淡
麗で吟醸香が豊かであるという評価を得、新たな香味を
もつ焼酎となった。
【0042】実施例3
精米歩合85%の粳白米を用い、実施例1と同様に遠赤
外線処理した遠赤外線処理米から、比較に250℃、5
分間の焙炒処理米から麹米の調製を行った。それぞれを
吸水させ含水率35%(w/w)として、種もやしを接
種し、常法により製麹した。掛米として、精米歩合85
%の糯白米を、浸漬、水切り、蒸煮(124℃、20
分)して糯蒸米を調製した。対照には、前記のように処
理した麹を用い、表9に示す仕込配合で醪を調製し、3
0℃で30日間糖化・熟成してみりんを試醸した。
外線処理した遠赤外線処理米から、比較に250℃、5
分間の焙炒処理米から麹米の調製を行った。それぞれを
吸水させ含水率35%(w/w)として、種もやしを接
種し、常法により製麹した。掛米として、精米歩合85
%の糯白米を、浸漬、水切り、蒸煮(124℃、20
分)して糯蒸米を調製した。対照には、前記のように処
理した麹を用い、表9に示す仕込配合で醪を調製し、3
0℃で30日間糖化・熟成してみりんを試醸した。
【0043】
【表9】
表 9 仕込配合
───────────────────────────────────
遠赤外線処理米 焙炒処理米 通常蒸米
───────────────────────────────────
糯蒸米 (g) 6280 6280 6280
遠赤外線処理麹(g) 630 − −
焙炒処理麹 (g) − 630 −
通常処理麹 (g) − − 630
35%(w/w) 2790 2790 2790
アルコール (g)
───────────────────────────────────
【0044】糖化・熟成後の醪を固液分離してみりんと
粕に分離した。この試醸で得られたみりんについて成分
分析値及び官能検査結果を表10に示す。
粕に分離した。この試醸で得られたみりんについて成分
分析値及び官能検査結果を表10に示す。
【0045】
【表10】
表 10 成分分析値及び官能検査結果
───────────────────────────────────
遠赤外線処理麹 焙炒処理麹 通常処理麹
───────────────────────────────────
全糖 (%、w/v) 46.7 46.3 46.2
直糖 (%、w/v) 39.7 40.2 40.7
全窒素(mg%、w/v) 110.1 90.5 86.4
アミノ態窒素 41.6 30.0 28.6
(mg%、w/v)
アルコール 14.0 14.0 13.9
(%、v/v)
酸度(0.1N NaOH 0.50 0.47 0.45
ml/10ml)
pH 5.5 5.5 5.4
比重 (15℃) 1.162 1.161 1.161
官能検査 1.6 1.8 2.0
───────────────────────────────────
【0046】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
3:不良 パネラー 10名
【0047】表10より、遠赤外線処理した米から調製
した麹を用いると、焙炒処理や通常処理した場合の麹に
比べ、みりんの旨味成分となる全窒素やアミノ態窒素含
量が増加し、旨味が強化される。更に、幾分全糖濃度が
高くなるので、品質上濃厚で調理効果の高いみりんが得
られる。
した麹を用いると、焙炒処理や通常処理した場合の麹に
比べ、みりんの旨味成分となる全窒素やアミノ態窒素含
量が増加し、旨味が強化される。更に、幾分全糖濃度が
高くなるので、品質上濃厚で調理効果の高いみりんが得
られる。
【0048】実施例4
精米歩合85%の粳白米を用い、掛米は実施例1、麹米
は実施例3と同様にして調製した。一方、通常処理によ
る掛米と麹を用いたものを対照とした。配合は、米麹8
00g、処理掛米(含水率35%、w/w)又は蒸米
1.2kg、脱イオン水1リットルを混合して甘酒を試
醸した。糖化は55℃で24時間行った。その結果、遠
赤外線処理の場合には、甘みが強く、旨味もあり、上品
な麹香を呈する品質のものが得られた。
は実施例3と同様にして調製した。一方、通常処理によ
る掛米と麹を用いたものを対照とした。配合は、米麹8
00g、処理掛米(含水率35%、w/w)又は蒸米
1.2kg、脱イオン水1リットルを混合して甘酒を試
醸した。糖化は55℃で24時間行った。その結果、遠
赤外線処理の場合には、甘みが強く、旨味もあり、上品
な麹香を呈する品質のものが得られた。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に従って原料
を処理することにより、原料としてのデンプンの糊化率
向上、タンパク質の酵素消化性の低下が見られ、淡麗で
吟醸香のある酒類が得られ、アルコールの生成歩合も向
上する。麹原料を処理することにより、栗香が強くはぜ
込みの良い、菌体量の多く、酵素活性の強い麹が得られ
る。この麹を用いて、旨味の多い酒類調味料が得られる
ので、本発明は、製品品質の多様化につながる有用な酒
類の製造方法である。
を処理することにより、原料としてのデンプンの糊化率
向上、タンパク質の酵素消化性の低下が見られ、淡麗で
吟醸香のある酒類が得られ、アルコールの生成歩合も向
上する。麹原料を処理することにより、栗香が強くはぜ
込みの良い、菌体量の多く、酵素活性の強い麹が得られ
る。この麹を用いて、旨味の多い酒類調味料が得られる
ので、本発明は、製品品質の多様化につながる有用な酒
類の製造方法である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 大屋敷 春夫
滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒
造株式会社中央研究所内
(72)発明者 高山 卓美
京都府宇治市南陵町2丁目1−58
(72)発明者 矢野 忠▲徳▼
大阪府堺市竹城台3丁19−3
(72)発明者 渡辺 靖弘
東京都中央区八重洲1丁目9番9号 帝
国ピストンリング株式会社内
(56)参考文献 特開 平6−141809(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C12G 1/00 - 3/12
Claims (6)
- 【請求項1】 原料を糖化及び/又は醸造することによ
り得られる酒類を製造する方法において、原料の少なく
とも一部を吸水させ、次いで遠赤外線を照射する工程を
含むことを特徴とする酒類の製造方法。 - 【請求項2】 原料が、掛原料及び/又は麹原料である
ことを特徴とする請求項1に記載の酒類の製造方法。 - 【請求項3】 前記吸水後の含水率が15〜50%(w
/w)であることを特徴とする請求項1に記載の酒類の
製造方法。 - 【請求項4】 遠赤外線の照射時間が、0.1秒〜数時
間であることを特徴とする請求項1に記載の酒類の製造
方法。 - 【請求項5】 遠赤外線を照射後、そのまま、又は吸水
させ、又は浸漬、水切りして用いることを特徴とする請
求項1に記載の酒類の製造方法。 - 【請求項6】 該製造方法が、熱風処理及び/又はマイ
クロ波処理工程を包含することを特徴とする請求項1に
記載の酒類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02887395A JP3385125B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | 酒類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02887395A JP3385125B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | 酒類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08196262A JPH08196262A (ja) | 1996-08-06 |
JP3385125B2 true JP3385125B2 (ja) | 2003-03-10 |
Family
ID=12260506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02887395A Expired - Fee Related JP3385125B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | 酒類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3385125B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107699430A (zh) * | 2017-11-21 | 2018-02-16 | 桂林国农生态农业有限公司 | 一种米酒的酿制方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007000980A1 (ja) * | 2005-06-27 | 2007-01-04 | Kazuhiro Tsutsumi | 大豆類クエン酸飲料及びその製造方法 |
JP6214573B2 (ja) * | 2013-02-08 | 2017-10-18 | 株式会社桃太郎海苔 | 麹の製造方法 |
CN107338153A (zh) * | 2017-09-27 | 2017-11-10 | 西昌学院 | 一种响应面法优化马铃薯酒酿造工艺 |
-
1995
- 1995-01-26 JP JP02887395A patent/JP3385125B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107699430A (zh) * | 2017-11-21 | 2018-02-16 | 桂林国农生态农业有限公司 | 一种米酒的酿制方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08196262A (ja) | 1996-08-06 |
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