JP3397270B2 - 酒類の製造方法 - Google Patents

酒類の製造方法

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JP3397270B2
JP3397270B2 JP08090495A JP8090495A JP3397270B2 JP 3397270 B2 JP3397270 B2 JP 3397270B2 JP 08090495 A JP08090495 A JP 08090495A JP 8090495 A JP8090495 A JP 8090495A JP 3397270 B2 JP3397270 B2 JP 3397270B2
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信行 平井
春夫 大屋敷
正裕 内田
敦之 森田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酒類の製造方法に関
し、更に詳細には、原料利用率の向上を可能とした高品
質の酒類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酒類の製造では、原料穀物を
搗精機(精米機、精麦機等)で搗精し粒状のまま、ある
いはこれを粉砕し粉状にして原料として利用される。搗
精に用いる搗精機の種々の工夫や改良が行われている
が、破砕することなく未精白穀物を搗精するには、比較
的温和な操作で長時間が必要とされる。また、精白度を
高めるために穀粒を削る量が多くなると、更に長時間を
要し、運転コストも上昇する。生の未精白穀物を搗精し
た後の保存において、精白穀物又は糠はリパーゼ等の各
種の酵素活性を有し、脂肪が保存中に酵素作用により遊
離脂肪酸となり、酸化されて酸化臭を呈する等の品質劣
化を生ずるため、常温で品質を保持しての長期保存がで
きないという問題点があった。
【0003】酒類のうち例えば清酒、焼酎及びみりん等
の一般的な原料処理は、未精白穀物の搗精、洗浄、浸
漬、水切及び蒸煮からなる。この操作において、洗浄
水、浸漬水中には精白穀物に付着した糠や溶出したデン
プンが含まれるので、廃水中の生物学的酸素要求量(B
OD)が異常に高くなり、排水による公害を生ずる欠点
がある。この従来の原料処理法により醸造された清酒、
焼酎及びみりん等は通常の市販製品として親しまれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記、従来の酒類の製
造においては、未精白穀物を搗精するので、搗精に長時
間を要し、精白穀物や糠が保存中に品質劣化する。ま
た、精白穀物の洗浄や浸漬を行う原料処理では排水処理
を必要とした。これらの問題点を改善した醸造技術の確
立が望まれていた。本発明の目的は、前記問題点を解決
し、原料利用率が向上した高品質の酒類の製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、麹
及び/又は酵素剤を使用して原料を糖化及び/又は醸造
することにより得られる酒類を製造する方法において
水の前処理を行った未精白穀物を焙炒処理した後、搗
精して得られる精白穀物を原料として用いることを特徴
とする酒類の製造方法に関する。
【0006】本発明における酒類としては、清酒、焼
酎、みりん等を挙げることができる。清酒の製造は原料
処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程よりなる。
焼酎は原料処理、仕込、糖化、発酵(糖化・発酵)、蒸
留及び精製工程よりなる。みりんは原料処理、仕込、糖
化・熟成、上槽及び精製工程よりなる。醸造の原料の一
般的処理は、精白、洗浄、浸漬、水切り、蒸煮、放冷の
工程があるが、前記した原料処理は、掛原料の液化及び
/又は糖化並びに麹原料の処理、製麹工程も含んでい
る。
【0007】本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、清
酒、焼酎、みりん等の原料を糖化及び/又は醸造するこ
とにより得られる酒類の製造において、未精白穀物又は
加水の前処理を行った未精白穀物を焙炒処理した後、必
要に応じて搗精して得られる穀物及び/又は糠を原料と
して用いることにより、前記課題を解決した高品質な製
品を得ることが可能であることを見出した。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おける原料としては、粳米、糯米、大麦、小麦、ライ
麦、燕麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロコ
シ、モロコシ、マイロ等の穀類が挙げられる。水の前
処理を行った未精白穀物を焙炒処理した後、搗精して得
られる精白物については、そのまま原料として用いて
もよいし、更に粒状若しくはペレット状等の成形加工品
としても利用できる。前記原料は単独又は混合して使用
される。また、前記原料にデンプン、デンプン部分加水
分解物、ブドウ糖等が混合されていてもよい。
【0009】本発明の加水方法は特に限定されないが、
例えば散水、浸漬、加湿空気の通気等がある。加水条件
としては、含水率は好ましくは17〜45%(w/
w)、特に好ましくは操作上20〜30%(w/w)の
範囲で適宜選択されるが、用いる原料や焙炒処理の条件
により変更することができる。
【0010】本発明の焙炒処理とは、乾燥熱風による直
接加熱のことをいう。未精白穀物又は加水の前処理を行
った未精白穀物の焙炒処理は、被処理物の種類、形態及
び含水率により適宜選択され、処理温度は好ましくは1
40℃〜400℃、特に好ましくは170〜350℃の
範囲で適宜選択され、処理時間は好ましくは数秒〜1時
間、特に好ましくは数10秒〜数10分の範囲で適宜選
択される。
【0011】水の前処理を行った未精白穀物を焙炒処
理した後、搗精して得られる精白物を原料として用い
る酒類の製造方法は特に限定されないが、麹を使用して
原料を糖化及び/又は醸造する場合は、動物、植物、微
生物由来の酵素剤を併用してもよい。酵素剤単独により
原料処理する場合にも、動物、植物、微生物由来の酵素
剤を用いることができる。なお、本発明の糖化は液化を
含む。原料処理の糖化工程に使用する装置としては回分
式でもよく、連続式も使用できる。
【0012】酒類の製造に使用する酵素剤として、液化
酵素剤及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素剤として
は、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業
(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライス
ターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800
〔上田化学工業(株)製〕や、高温性のスピターゼHS
〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ
(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)
製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用
できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ
(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)
製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビア
ーゼK−27〔ナガセ生化学工業(株)製〕、グルコチ
ームSP〔ナガセ生化学工業(株)製〕等が使用でき
る。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、リパーゼ
剤、セルラーゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用して用いて
もよい。
【0013】未精白穀物又は加水の前処理を行った未精
白穀物を焙炒処理した後、搗精して得られる精白穀物
は、穀物の品種や産地の違いによって穀粒全体が著しく
多孔質状になることがあり、無蒸煮のまま掛原料として
醪に添加すると表面に浮上し並行複発酵を阻害すること
がある。この場合には、従来より知られる回分式逐次液
化法又は連続加熱液化法を用いて処理すれば、掛原料と
汲水との不均一性がなくなり円滑に発酵を行える。
【0014】一方、麹原料として用いる場合は、未精白
穀物又は加水の前処理を行った未精白穀物を焙炒処理し
た後、搗精して得られる精白穀物に〔蒸煮後の含水率好
ましくは25〜40%(w/w)、特に好ましくは37
%(w/w)前後まで〕加水することにより、従来の麹
原料処理における洗浄、浸漬、水切、蒸煮を省略でき、
洗浄や浸漬廃水による公害の防止ができる。
【0015】(検討1)粳玄米を種々の条件で焙炒処理
した後、搗精を行い検討した結果を表1に示す。
【0016】
【表1】 表 1 粳玄米の焙炒処理による水分蒸発と酵素消化率 ─────────────────────────────────── 焙炒処理温度 精米歩合 含水率 含水蒸発率 酵素消化率 (℃) (%) (%、w/w) (%) (%) ─────────────────────────────────── 無処理 100 15.4 0 12.8 140 60 15.4 0 12.8 170 75 13.3 14 15.7 200 80 11.8 22 63.8 230 85 10.1 32 83.0 230 75 9.5 36 88.2 260 100 6.4 56 80.7 260 90 6.2 57 87.9 260 75 5.9 59 89.8 260 50 5.3 63 92.0 290 100 3.2 77 82.5 320 100 2.2 84 83.3 350 100 2.0 87 85.4 380 100 1.5 90 88.0 (やや焦げ臭) ───────────────────────────────────
【0017】注)粳玄米 :中生新千本(広島県産) 焙炒処理:焙炒処理装置としては、米粒一粒ずつが全表
面に熱気流に接触できる加熱効率のよいカウンターカレ
ント法によりロータリー流動焙炒装置RX−300
〔(株)フジワラテクノアート製〕を用いた。条件は、
円筒の下から上方に向かって流れる種々の温度の熱風
(風速4m/秒)の中を上方より米粒を落下させ、60
秒間接触させた。 搗精機 :ミニ搗精機RP−5型〔新中野工業(株)
製〕を使用し、張り込み4kgで搗精を行った。 含水蒸発率:穀物は粒状の固体であり表面と中心温度の
測定は容易ではなく、特に動的状態では測温は不可能な
ため、加熱による穀粒からの蒸発量をもって焙炒処理の
評価の指標値とした。 酵素消化率:試料50g(乾物換算)に1.5%(w/
v)コクラーゼSS200ml及びトルエン0.6ml
を加え、55℃、20時間の消化を行った後、残渣中の
乾物を定量し、試料乾物と残渣との差を試料乾物で除し
て酵素消化率を算出した。
【0018】表1で使用した粳玄米の場合では、酵素消
化率からみて230℃以上の焙炒処理が好適であり、こ
れらの条件で搗精して得られる粳精白米や糠の品質劣化
に関与する酵素の失活、脂質の減少及びα化度が向上す
ることがわかった。
【0019】(検討2)焙炒処理粳玄米と生粳玄米の搗
精所要時間を比較して検討した結果を表2に示す。
【0020】
【表2】 表 2 焙炒処理粳玄米と生粳玄米の搗精所要時間 ─────────────────────────────────── 搗精所要時間 (分) ─────────────────────── 精米歩合 85% 60% 50% ─────────────────────────────────── 焙炒処理粳玄米 29 180 230 (32%) (31%) (25%) 生粳玄米 90 590 1330 (100%) (100%) (100%) ───────────────────────────────────
【0021】注)粳玄米:中生新千本(広島県産) 焙炒処理:表1の焙炒処理に準拠して行った。230
℃、60秒 搗精機:表1記載の搗精機を用いた。張り込み4kgで
搗精を行った。
【0022】表2より、焙炒処理粳玄米は僅かに軟らか
くα化し、通常の搗精機でも極めて容易に搗精され、搗
精効率は著しく向上する。また、含水率15〜17%
(w/w)程度の生粳玄米でも、デンプンはα化される
が、粳玄米へ更に加水し、含水率を高くして焙炒処理す
るとα化が促進・向上する。しかし、生粳玄米では、含
水率が多くなると、焙炒処理後の搗精により米粒の破砕
する率が高くなるので、加水は含水率25%(w/w)
程度が好ましい。
【0023】ここで得られた焙炒処理粳玄米を搗精して
得られる粳精白米は保存中の酸価値の上昇もなく、更に
液化酵素剤及び/又は糖化酵素剤の作用を受けやすく保
存性もよいので、清酒等の四季醸造、とりわけ清酒にお
いては吟醸酒の製造に適した酒造原料として有利に使用
できる。
【0024】(検討3)麦類は、米に比べ組織が硬くま
た糠層が厚いので、米のように容易に搗精できず、特に
ライ麦は搗精困難である。そのため、未精白大麦、未精
白裸麦、未精白ライ麦等の搗精では、搗精中に水を加え
て穀粒を軟化させたり、型式の異なる搗精機を連続併用
する等の工夫や搗精機の改良等がなされている。焙炒処
理による未精白大麦、未精白ライ麦の搗精所要時間及び
酵素消化率に及ぼす効果を検討した結果を表3に示す。
【0025】
【表3】 表 3 焙炒処理未精白大麦、未精白ライ麦の搗精所要時間及び酵素消化率 ─────────────────────────────────── 焙炒処理温度 精麦歩合80%に 酵素消化率 (℃) 要する時間(分) (%) ─────────────────────────────────── 焙炒処理未精白大麦 290 4 85 330 3 87 生大麦 − 50 12 焙炒処理未精白ライ麦 290 4 84 330 3 88 生ライ麦 − 穀粒が破砕し搗精不能 − ───────────────────────────────────
【0026】注)焙炒処理:表1の焙炒処理に準拠して
行った。 搗精機 :表1記載の搗精機を用いた。
【0027】未精白大麦、未精白ライ麦は玄米に比べ穀
粒の表皮が硬く、焙炒処理により穀粒内で気体が膨張し
やすく生穀粒の含水率15%(w/w)程度でも焙炒処
理により、デンプンがα化し多孔質状に膨化する。その
結果、通常の搗精機によっても充分搗精することができ
る。なお、搗精による穀粒の破砕防止やデンプンのα化
促進・向上のために焙炒処理を行う前に加水させること
も有効である。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
なお、下記の実施例1、実施例4及び実施例5は、本発
明の参考例として挙示した例である。
【0029】実施例1 表1に示した諸条件のうち、掛用粳玄米は260℃、6
0秒間焙炒処理し、含水蒸発率が63%のものを、精米
歩合50%まで搗精した。これら粳精白米を無蒸煮掛米
での仕込並びに汲水歩合165%として液化仕込に用い
た。対照として従来の粳玄米、搗精(精米歩合50
%)、洗浄、浸漬、水切、蒸煮により得た粳蒸米を用い
て吟醸清酒を試醸した。仕込配合を表4及び表5に示
す。なお、焙炒処理した後、精米歩合50%に搗精した
掛米の粳精白米は、対照と同様に乾物量が等量となるよ
うに汲水を調整した。酵母は清酒酵母を用いた。品温は
留添まで6〜12.5℃、留添後6.5〜10℃で43
日間発酵した。
【0030】
【表4】 表 4 仕込配合(無蒸煮掛米、蒸米掛米) ─────────────────────────────────── 初 添 仲 添 留 添 追 水 合 計 ─────────────────────────────────── 総米 (g) 110 200 290 − 600 掛米 (g) 80 160 240 − 480 麹米 (g) 30 40 50 − 120 汲水 (g) 160 230 380 − 770 追水 (g) − − − 40 40 酵母 (g) 0.56 − − − 0.56 乳酸 (g) 0.47 − − − 0.47 ───────────────────────────────────
【0031】
【表5】 表 5 仕込配合(液化掛米) ─────────────────────────────────── 酒母 初添 仲添 留添1 留添2 合 計 ─────────────────────────────────── 総米 (g) 13.6 146.6 146.6 146.6 146.6 600 掛米 (g) ── 130 130 130 130 520 麹米 (g) 13.6 16.6 16.6 16.6 16.6 80 汲水 (g) 40 208 208 208 208 872 追水 (g) ── 14 14 14 14 56 グルコチーム SP(g) ── 0.06 0.06 0.06 0.06 0.24 酵母 (g) 0.56 ── ── ── ── 0.56 乳酸 (g) 0.25 0.22 ── ── ── 0.47 ───────────────────────────────────
【0032】この試験で得られた清酒について成分分析
値、収率及び官能検査結果を表6に示した。
【0033】
【表6】 表 6 成分分析値、収率及び官能検査結果 ─────────────────────────────────── 本発明品 ───────────── 対 照 無蒸煮掛米 液化掛米 ─────────────────────────────────── 成分分析値 日本酒度 + 1.5 − 2.0 ± 0 アルコール (%、v/v) 16.9 16.0 16.3 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 1.6 1.5 1.6 アミノ態窒素 (mg% 、w/v) 16.8 12.6 25.2 酢酸イソアミル(ppm) 1.9 2.3 2.2 イソアミルアルコール(ppm) 109.4 113.7 129.2 カプロン酸エチル(ppm) 2.0 2.0 2.1 収率 清酒得量(g) 974 1090 917 粕得量 (g) 174 88 231 米固形分の溶解率(%) 83.4 91.5 77.9 粕歩合 (%) 29.0 14.7 38.4 官能検査 香り 吟醸香 吟醸香 吟醸香 味 雑味なし 雑味なし やや雑味あり 調和 良 良 良 着色 なし なし なし ───────────────────────────────────
【0034】表6から、粳玄米を焙炒処理(260℃、
60秒)した後、搗精して得られる粳精白米を用いた本
発明の吟醸酒は粳蒸米を用いた対照に比べて収率が高
く、成分的にもアミノ態窒素含量が低く、官能検査でも
雑味がなく、吟醸酒としての味の調和も良いと評価され
た。
【0035】実施例2 表3と同様に、未精白ライ麦を含水率40%(w/w)
まで加水し、330℃、60秒間焙炒処理した後、精麦
歩合80%に搗精した精白ライ麦を掛原料とし、無蒸煮
又は蒸煮して用い、表7に示す仕込配合により、30℃
で13日間発酵し、焼酎の試醸を行った。対照は常法に
より精麦歩合80%に搗精した精白ライ麦を蒸ライ麦と
して用いた。
【0036】
【表7】 表 7 仕 込 配 合 ─────────────────────────────────── 原 料 一次仕込 二次仕込 計 ─────────────────────────────────── 麹用ライ麦 (g) 300 − 300 掛用ライ麦 (g) − 700 700 汲水 (ml) 360 1240 1600 ───────────────────────────────────
【0037】注)麹菌は焼酎麹菌を使用した。酵母は焼
酎酵母を使用した。
【0038】13日目の醪の成分分析値を表8に示す。
【0039】
【表8】 表 8 ライ麦を用いた焼酎の熟成醪の成分分析値及び留出液の特性 ─────────────────────────────────── 本発明品 ────────────── 対 照 無蒸煮掛原料 蒸煮掛原料 ─────────────────────────────────── 熟成醪 アルコール (%、v/v) 17.6 17.6 17.7 pH 3.9 3.9 3.8 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 10.4 10.4 10.8 アミノ態窒素 (mg% 、w/v) 95.2 103.6 95.2 直糖 (%、w/v) 0.6 0.6 0.5 日本酒度 + 9.6 + 9.5 +10.5 ─────────────────────────────────── 留出液 酢酸イソアミル(ppm) 11 15 6 カプロン酸エチル(ppm) 4 6 1 官能検査 香り 45 39 70 味 53 50 73 ───────────────────────────────────
【0040】表8から、熟成醪の成分分析では、本発明
品と対照との間に大きな差異はなかった。次に、これら
3点の熟成醪を減圧ポットスチルで蒸留し中留区分を分
取し、25%(v/v)アルコール濃度に調整し、香気
成分の分析及び官能検査を行った。すなわち、パネラー
22名が香りは吟醸香、味は淡麗さについて、5点法
(1点:良←→5点:悪)で行った。本発明品は、対照
に比べ香気成分が多く、淡麗で吟醸香が豊かであるとい
う評価を得、新たな香味をもつ焼酎となった。
【0041】実施例3 粳玄米を含水率32%(w/w)まで加水し、260
℃、60秒間焙炒処理した後、精歩合80%に搗精し
た粳精白米を、掛用精米に代替して、無蒸煮又は蒸煮し
て用いた。対照は、精米歩合80%の糯精白米を、洗
浄、浸漬、水切り、蒸煮(124℃、20分)して糯蒸
米を調製して用いた。表9に示す仕込配合により仕込
み、30℃で30日間熟成してみりんを試醸した。
【0042】
【表9】 表 9 仕 込 配 合 ─────────────────────────────────── 本発明品 ────────────── 対 照 無蒸煮掛米 蒸煮掛米 ─────────────────────────────────── 糯蒸米 (g) − − 6280 焙炒処理粳精白米 (g) 6280 6280 − 米麹 (g) 630 630 630 35%(w/w)アルコール(g) 2790 2790 2790 ───────────────────────────────────
【0043】注)仕込醪中の固液比率が同じになるよう
水分調整をした。
【0044】熟成終了後、固液分離してみりんと粕に分
け、この試醸で得られたみりんについて成分分析値及び
官能検査結果を表10に示す。
【0045】
【表10】 表 10 成分分析値及び官能検査結果 ─────────────────────────────────── 本発明品 ───────────── 対 照 無蒸煮掛米 蒸煮掛米 ─────────────────────────────────── 成分分析値 全糖 (%、w/v) 47.0 47.1 47.2 直糖 (%、w/v) 36.9 37.4 38.4 全窒素 (mg%、w/v) 86.6 87.4 83.1 アミノ態窒素 (mg%、w/v) 32.4 33.3 28.9 アルコール (%、v/v) 14.0 14.0 13.9 酸度(0.1N NaOH ml/10ml) 0.55 0.53 0.50 pH 5.5 5.5 5.5 比重 (15℃) 1.161 1.162 1.163 官能検査 異味・ 異味・ 異味・ 異臭なし 異臭なし 異臭なし ───────────────────────────────────
【0046】表10から、本発明品(粳米)は対照(糯
米)とほぼ同様の成分組成となり、官能検査の結果は、
従来の糯米みりんと同等の風味を有するものと評価され
た。
【0047】実施例4 粳玄米を260℃、60秒間焙炒処理した後、精米歩合
50%に搗精した粳精白米1kg(白米換算)を用い
て、それに米麹800g、汲水1000mlを加えて甘
酒を試醸した。対照は常法により調製した精米歩合50
%の粳蒸米を用いた。なお、固液比が同じになるように
水分調整を行った。仕込み後の糖化は55℃で24時間
保持して行った。その結果、本発明品は対照に比べ甘味
が強く、すっきりした味の品質となった。
【0048】実施例5 一般に、糠は変質しやすいといわれており、焙炒処理粳
玄米から得られる糠における保存中の変化を調べた。粳
玄米を260℃、60秒で焙炒処理した後、精米歩合5
0%に搗精した糠を得た。また、対照には生粳玄米を直
接、精米歩合50%に搗精して得られる糠を用いた。保
存試験は、30℃で2ヵ月間行った。結果を表11に示
す。
【0049】
【表11】 表 11 粳米糠の保存中の変化 ─────────────────────────────────── 保存 酸味 香り 酸価値 酵素消化率 (%) ─────────────────────────────────── 焙炒処理粳玄米糠 搗精直後 無 香ばしい 1.0 96 30℃、 やや有り 香ばしい 1.0 94 2ヵ月後 生粳玄米糠 搗精直後 有り 糠臭い 1.3 83 30℃、 顕著に 糠臭い 3.0 80 2ヵ月後 有り ランシッド臭 酸臭 ───────────────────────────────────
【0050】注)粳玄米:中生新千本(広島県産) 焙炒処理:表1の焙炒処理に準拠して行った。 糠:260℃、60秒間焙炒処理の粳玄米糠から精米歩
合50%に搗精して得られる糠 酵素消化率:表1に準拠して測定した。
【0051】表11から、粳玄米の焙炒処理後の搗精工
程で得られる粳米糠は、通常の生粳米糠に比べ、糠特有
の脂肪の酸臭も低く、好ましい香ばしい香りを有し、保
存後も酸価値、ランシッド臭や異臭の生成等の品質劣化
が少なく、極めて保存性が高いことが認められた。この
保存性の良さは、焙炒処理により糠中のリパーゼ等の酵
素類が失活し、また、米粒に付着している微生物、害虫
及び卵の殺菌、殺虫が行われていることによるものであ
り、しかも糠中のデンプンが充分α化しており、酵素消
化性も良好であるので、害虫等の汚染のない、貯蔵安定
性に優れたα化デンプン素材として有用である。例え
ば、食品素材、漬け床、飼料、微生物培養の培養基や植
物の肥料等に有効に利用できる。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に従って加
の前処理を行った未精白穀物を焙炒処理した後、搗精す
ることにより、搗精の効率が著しく向上し、また得られ
る精白穀物の酵素消化率も良好であり、酵素類が失活
し、雑菌汚染も少ないので保存性を良く、原料として用
いることにより、十分に高品質の製品を得ることができ
るので、本発明は極めて優れた酒類の製造方法である。
特に液化法で酒類の製造を行う場合には好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 正裕 兵庫県神戸市東灘区御影中町3−1−7 三原ビル201号 (72)発明者 森田 敦之 京都府京都市伏見区中島河原田町31−1 グランデュール鴨川3番館1012号 (72)発明者 矢野 忠▲徳▼ 大阪府堺市竹城台3丁19−3 (56)参考文献 特開 平6−165665(JP,A) 特開 平8−140658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12G 1/00 - 3/12 A23L 1/10 - 1/105

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 麹及び/又は酵素剤を使用して原料を糖
    化及び/又は醸造することにより得られる酒類を製造す
    る方法において、加水の前処理を行った未精白穀物を焙
    炒処理した後、搗精して得られる精白穀物を原料として
    用いることを特徴とする酒類の製造方法。
  2. 【請求項2】 加水を行った穀物の含水率が、20
    %(w/w)であり、該焙炒処理が、温度200
    50℃、時間10秒〜数10分で焙炒するものであ
    る請求項1に記載の酒類の製造方法。
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