JP4723256B2 - 玄米麹の製造方法、及び該玄米麹を用いる食酢の製造方法 - Google Patents

玄米麹の製造方法、及び該玄米麹を用いる食酢の製造方法 Download PDF

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本発明は、玄米を麹原料として、これに生酸性麹菌を培養した玄米麹の製造方法と、該玄米麹を用いた食酢の製造方法に関する。
玄米を原料とする麹は、玄米の表面部分が持つ豊かなミネラル・蛋白等の栄養分や独特な風味を、醸造食品に付与することを目的に従来より検討されている(例えば特許文献1参照)が、それらの醸造食品には通常、非生酸性の黄麹が用いられている。生酸性麹は多量のクエン酸を麹中に含み、腐敗しにくいため、温暖な地で製造される焼酎や泡盛の製造に用いられるが、通常は白米を原料とする。また、焼酎、泡盛以外の醸造食品にもクエン酸の爽快な酸味を付与するため、通常用いられる黄麹の代わりに生酸性麹を用いることが種々提案されている。例示すると食酢(例えば特許文献2参照)、みりん(例えば特許文献3、4参照)、日本酒(例えば特許文献5参照)等である。
一方、近年、酢を飲料として摂取することが広まり、中でも玄米黒酢は玄米特有の豊かな栄養成分を有するため特に人気が高くなっている。しかしながら、玄米黒酢は特有のクセのある味、香りを有するためにその改善が望まれていた。
発明者らは従来技術を応用し、玄米に生酸性麹菌を培養した麹を用いることで、玄米黒酢の風味を改善して、さらに飲用に適した品質とすることを検討した。しかし、従来知られた方法で生酸性玄米麹を製造した場合、クエン酸を豊富に含む麹ができてもその麹はシュウ酸を多量に含んでしまうことが判明した。シュウ酸はほうれん草やたけのこのアク成分として知られ、多量に摂取すると体内結石の原因となるため、食品中に多量に含むことは好ましくない。またシュウ酸を多量に含む生酸性玄米麹を食酢製造に用いたところ、クエン酸により風味が改善されるものの、保管中にシュウ酸塩の結晶沈殿が生じる悪影響があることが判明し、シュウ酸含有量の少ない生酸性玄米麹の製造が望まれた。
特開昭53−18798号公報 特開昭53−88396号公報 特開昭57−105183号公報 特開2004−180567号公報 特開2002−238542号公報
本発明の課題は玄米の優れた栄養成分を有し、食酢に爽快な酸味を与えることのできるクエン酸を高濃度に含有し、シュウ酸含有量の少ない玄米麹を提供することである。さらに本発明の課題はその麹を用いることにより風味が改善され、シュウ酸塩の結晶沈殿を生じない食酢、特に玄米黒酢を提供することである。玄米黒酢とは玄米および玄米麹のみを澱粉質原料として用いた食酢で、米黒酢の基準を満たすように玄米の使用量が180g/L以上で、かつ、発酵及び熟成によって褐色又は黒褐色に着色したもののことである。玄米はもともとシュウ酸を含有しており、玄米の使用量が高い玄米黒酢ではシュウ酸塩の沈殿が生じやすい。そのため特に玄米黒酢に使用する玄米麹はシュウ酸含有量の低いことが望まれる。
なお、白米を原料として生酸性麹を製造した場合はシュウ酸はほとんど含有されなかった。また、黄麹を玄米を原料として製造した場合もシュウ酸含有量は少なく、問題となるレベルではなかった。したがってシュウ酸含有量の少ない麹を製造することは玄米に生酸性麹菌を培養した場合に限定されたこの技術分野における特有の課題である。
発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ね、生酸性玄米麹の製麹中の水分や温度を調整することで目的の麹が得られること見出し本発明を完成した。
すなわち、請求項1記載の本発明は、玄米に生酸性麹菌を接種した玄米麹の製造において、麹のクエン酸酸度0.8%以上、好ましくは1%(水分10%時に換算した数値)以上になった後に、8時間以上、好ましくは12時間以上を水分40〜50%に保持することを特徴とするものである。請求項2記載の本発明は、請求項1記載の麹の製造において、製麹開始後20〜30時間後に麹品温を25〜30℃として25〜90時間保持することを特徴とするものである。請求項3および4記載の本発明は、請求項1または2に記載された麹を用いて食酢、特に玄米黒酢を製造することを特徴とするものであり、更には、これらの方法で製造してなる、クエン酸含有量が高く、シュウ酸含有量は低いことを特徴とする食酢自体にも関するものである。
なお、本明細書において、麹のクエン酸酸度、水分、シュウ酸含有量は重量/重量%または重量/重量ppmで表し、食酢のクエン酸濃度、シュウ酸濃度は重量/体積mg%、重量/体積ppmで表した。
麹の酸度は国税庁所定分析法に従い測定し、酸度(ml)をクエン酸相当酸度に換算したものである。また水分含量の違いで酸度は異なってくるので、その影響をなくすため麹水分が10%の場合に換算して示している。この換算に従った場合、水分10%酸度10mlの麹のクエン酸酸度は3.2%になる。
本発明の方法により、シュウ酸含有量が低く、クエン酸含有量の高い玄米麹が提供され、該玄米麹を用いて、飲用に適し、保管中にシュウ酸塩の結晶沈殿のない食酢、特に玄米黒酢を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における玄米の形状は特に限定されないが、2分割〜粉状に破砕処理を施すことが好ましい。破砕の方法は通常の方法でよく、限定されない。玄米の表皮部分には麹菌は極めて成育しにくいが、破砕処理をした断面には旺盛に生育できるため、クエン酸を高濃度に含有する玄米麹を得るためには玄米の破砕処理を施すことが好ましい。
玄米は通常吸水、蒸煮、冷却の各処理をした後、種麹を接種する。吸水、蒸煮、冷却の方法は特に限定されないが、製麹開始時の玄米の水分は30〜40%であることが好ましい。30%以下の場合は水分不足により麹菌の成育が悪く、40%以上の場合は玄米には雑菌が多く付着しているため、製麹開始後に雑菌汚染される可能性が高くなるためである。玄米は水に浸漬する時間が十分長い場合は水分が45%程度までにもなってしまうため、蒸煮後水分を30〜40%にするためには吸水時に、限定量の水分を玄米に撒水吸水させる方法、吸水時間を調整する方法等を実施する必要がある。蒸煮後水分が30%以下の場合は蒸煮後あるいは種麹接種後に撒水処理をして水分を30〜40%に調整してもよい。
また、玄米を蒸煮してα化させる代わりに焙煎処理してα化したものを用いることも可能である。この場合製麹開始時の水分を30〜40%程度にするためには焙煎した玄米に必要な水分量を撒水し吸水させればよい。
本発明において使用する種麹菌はクエン酸生産能を有する白麹菌(例えば、Aspergillus awamori var. kawachii、Aspergillus luchuensis mut. kawachii、Aspergillus usamii mut. shirousamii、Aspergillus kawachii等)、黒麹菌(例えばAspergillus awamori等)、などが使用可能である。中でも白麹菌は黒麹菌に比べて、香りが好ましく、設備洗浄への負荷が小さいことから、白麹菌を用いることが好ましい。これらの種麹菌は市販品を用いることができる。種麹菌の使用量、散布方法は特に限定されず、一般の製麹法での使用量、散布方法にしたがえばよい。種麹菌としては、上記のように市販品が使用できるほか、Aspergillus awamori IFO 4033、Aspergillus kawachii IFO 4308、Aspergillus usamii IFO 6082等の寄託菌も適宜使用可能である。
製麹開始時の麹品温は通常通り30〜40℃であればよく、湿度温度を調整した室に盛り込んで製麹を開始する。本発明では生酸性の麹菌が成育し、玄米麹のクエン酸酸度が1%(水分10%時に換算した数値)以上になった後に玄米麹の水分含量を40〜50%として12時間以上保持する処置を取るが、製麹開始後からそれまでの期間の玄米麹水分は30〜40%に保つことが好ましい。30%を下回ると菌の生育が悪いためクエン酸が生産されなくなり、40%を超えると雑菌汚染の危険が高く、またクエン酸生産効率も悪くなるためである。そのため必要に応じて撤水を行い、水分を調整する。撤水回数は任意でよいが、2〜4回/日が適当である。撤水方法はスプレー状のノズルのついた噴霧装置が好ましく、手入れをしながら撤水し麹全体に水分が行き亘るように行う。
シュウ酸含有量を減少させるためには、麹水分を上昇させればよいことがわかったが、当然のことながら、麹水分を上昇させれば、雑菌の繁殖や腐敗が生じやすくなる。そこで、この点を防止するために本発明者らは、検討、研究の結果、pHの低下に着目し、クエン酸を利用することとした。そして、本発明においては、雑菌の繁殖が防止、抑制できるpHにまでpHを低下させるのであるが、例えば、玄米麹のクエン酸度が0.8%、好ましくは1%(水分10%時に換算した数値)以上になると、玄米麹の水分を40〜50%に上げても、麹のpHが低いため、雑菌が繁殖しにくく、麹水分を上げることが可能となることを見出した。
玄米麹水分を40〜50%に調整するタイミングは、クエン酸酸度が0.8%、好ましくは1%(水分10%時に換算した数値)以上となっていれば良く、制限されない。玄米麹水分を40〜50%に保持すると、シュウ酸が減少していき、8時間以上、好ましくは10時間以上、更に好ましくは12時間以上保持することで、シュウ酸含有量が少ない玄米麹を製造することが可能となる。保持時間の上限は、目的とする玄米麹が得られるまでとすればよいが、例えば、36時間程度が一応の目安となるが、24時間程度で充分である。この保持処理は、連続であってもよいし、断続的な時間の合計であってもよい。
水分を40〜50%に上げるためには先に記載した方法と同じく手入れをしながら撒水を実施すればよい。水分が50%を越えると玄米麹はべたべたの状態となり、製麹機での通風、手入れが困難となるため好ましくない。
本発明において製麹時の麹品温は菌糸の伸張が十分に進む20〜30時間目までは30〜40℃であり、それ以後は25〜30℃であることが好ましい。25〜30℃の温度はクエン酸生酸効率を高くするためには最適である。品温30℃以上の場合はクエン酸の生産効率が低下するため好ましくなく、25℃以下では白麹菌の活動が低下してやはりクエン酸の産生効率が低下するため好ましくない。25〜30℃での培養時間は特に制限されないが、シュウ酸含有量、クエン酸酸度、麹歩留りの観点から25〜90時間が好ましい。製麹時間が長いと麹菌の活動により麹の固形分が炭酸ガスとなり散逸する割合が大きく歩留りが低下するという問題が生じる。
上記の方法により得られる玄米麹中のクエン酸酸度は3%以上(水分10%時に換算した数値)、シュウ酸含有量は400ppm以下(水分10%時に換算した数値)、好ましくは200ppm以下(水分10%時に換算した数値)である。玄米麹中のクエン酸酸度が3%以上(水分10%時に換算した数値)であれば、玄米麹を通常量使用することで玄米黒酢に爽やかな風味を与えることができ、飲用に適した品質にすることができる。シュウ酸含量が400ppm以下(水分10%時に換算した数値)であればシュウ酸塩の結晶沈殿は生じない。
また、シュウ酸含量が200ppm以下(水分10%時に換算した数値)になれば、玄米のシュウ酸含有量(100〜200ppm程度)と同程度であり、生酸性玄米麹を通常よりはるかに多く用い、生酸性玄米麹をクエン酸源および酵素源としてだけでなく澱粉質原料としても用いることで、クエン酸を多量に含む食酢を製造した場合でもシュウ酸塩の結晶沈殿を生じないため、さらに好ましい。
本発明によれば、クエン酸酸度が3%以上、更には3.5%以上の玄米麹を製造することができ、実施例からも明らかなように、例えば4%以上、具体的には4.5%以上、4.6〜6.4%の範囲が例示されており、6.5%以上、例えば7%の玄米麹も充分に期待できる。
また、シュウ酸含有量については、480ppm以下、例えば400ppm以下とすることができ、実施例からも明らかなように、更に具体的には300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、50ppm以下、30ppm以下に低減できることが示されており、更には、検出不能(N.D.)の場合も確認されている。
本発明の条件で45〜120時間の培養を終えた玄米麹は出麹前に送風乾燥を行い、水分を10%程度まで低下させると麹の保存性が向上するため好ましい。
本発明における食酢の製造は、上記のように製造した玄米麹を用いること以外は伝統的、一般的に行われている食酢の製造方法と同様に行う。伝統的、一般的に行われている食酢の製造方法とは、澱粉質原料および/もしくは糖質原料を糖化させ、次いでアルコール発酵させた後、酢酸発酵し食酢を製造する方法、または、澱粉質原料および/もしくは糖質原料を糖化させ、得られた糖液と市販の醸造アルコールとを混合し、その混合液を酢酸発酵して食酢を製造する方法等である。
当該食酢の原料としては、玄米や他の穀類、イモ類、果物等を使用することができるが、玄米と上記玄米麹を原料とする玄米黒酢とすることが好ましい。また本発明で得られた玄米麹を単独の澱粉質原料とすることも可能である。
糖化工程では玄米麹に含まれる各種酵素により澱粉質原料、糖質原料の糖化が進行するが、必要に応じて市販のαアミラーゼ、グルコアミラーゼ、たんぱく質分解酵素等を併用してもよい。
アルコール発酵工程では糖化工程で得られた糖化膠に酵母を添加し、発酵を開始する。この際使用する酵母は特に限定するものではなく、例えば、清酒酵母、焼酎酵母、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母等が使用できる。糖化、アルコール発酵を同時に行う並行複発酵法を取ることも可能である。
次いで酢酸発酵工程ではアルコール膠もしくは種酢添加後のアルコール膠を固液分離して得られた酢もとに酢酸菌を接種して酢酸発酵を開始する。酢酸発酵は静置発酵でも深部発酵でもよい。酢酸発酵終了後発酵液をろ過殺菌して食酢を得る。
得られた食酢は、クエン酸濃度が高く、その一方、シュウ酸濃度は低く、飲用に適しており、保管中のシュウ酸塩の結晶沈澱が抑制され、該沈澱が生成しない食酢も製造できるという著効も奏される。本発明に係る食酢においては、クエン酸濃度が30mg%以上のものが得られ、50mg%以上、100mg%以上、300mg%以上、400mg%以上のものも得ることができ、実施例においては500mg%のデータも確認されているところから、600mg%以上のものも期待できる。一方、シュウ酸濃度は大幅に低下しており、60ppm以下であって、実施例においては、30ppmの場合や29ppmの場合が確認されているところから、20ppm以下、あるいは10ppm以下のように、実質的にシュウ酸を含有しないものも期待できる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2、3、比較例1)
玄米を2分割程度に破砕処理したもの2000gに水分34%程度になるように重量を測定しながら霧吹きで水を吹きつけ混合し、1時間放置して吸水させた後、オートクレーブで105℃20分蒸煮し、放冷して蒸米を得た。水分は35.6%であった。この蒸米に、市販白麹菌(Aspergillus luchuensis mut. kawachii)を0.07重量/重量%の割合(吸水蒸煮前の元米量に対する割合)で接種し、布につつんでメッシュかごに入れ、恒温器内で製麹を開始した。製麹温度は最初の24時間を恒温機室温を35℃とし、24時間目以後を30℃とした。
製麹開始から48時間の時点で、玄米麹のクエン酸酸度が1%以上(水分10%時に換算した数値)であることが確認されたので、48時間の時点で200gずつを直径20cmのシャーレに入れ水分を35%(比較例1)、40%(実施例1)、45%(実施例2)、50%(実施例3)となるように霧吹きで水を散布した。散布後の水分はそれぞれ35.6%、40.3%、46.2%、49.8%であった。その後30℃の恒温機に入れ、6時間後、12時間後、18時間後、24時間後にサンプリングを実施し、酸度およびシュウ酸含有量を測定した。結果を表1に示す。クエン酸酸度およびシュウ酸含有量は水分10%時に換算した数値である。
なお、製麹開始から36時間及び48時間の時点での、クエン酸酸度(%)及びシュウ酸含有量(ppm)は、それぞれ、3.3%及び680ppm、4.6%及び780ppmであった。また、表1において、各時間は、製麹開始から48時間目を0時間としての経過時間を示したものである。
製麹終了した麹は50℃の送風をして水分10%程度まで乾燥させた。表1の結果、比較例1は酸度は高いがシュウ酸含有量も高いものしか製造できないのに対して、水分を40%以上にした実施例1、2、3の場合クエン酸酸度が高く、シュウ酸含有量が低い玄米麹を製造することができた。
(表1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
水分 6時間 12時間 18時間 24時間
後 後 後 後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
比較例1 35%区 クエン酸酸度% 5.3 5.9 6.2 6.8
シュウ酸含有量ppm 910 720 800 690
実施例1 40%区 クエン酸酸度% 5.0 5.9 6.1 6.3
シュウ酸含有量ppm 480 300 250 260
実施例2 45%区 クエン酸酸度% 4.8 5.1 5.9 6.4
シュウ酸含有量ppm 400 250 108 36
実施例3 50%区 クエン酸酸度% 4.6 4.7 4.8 5.2
シュウ酸含有量ppm 350 96 N.D N.D
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(実施例4)
玄米を2分割程度に破砕したもの10kgを洗米後、水浸漬せずに2時間水切り操作を行った。これを常圧で約30分蒸煮、冷却処理を行い、市販白麹菌(Aspergillus awamori var. kawachii)を0.07重量/重量%の割合(吸水蒸煮前の元米量に対する割合)で接種し、フジワラテクノアート社製の自動通風製麹機で製麹を開始した。製麹開始時の水分は38%であった。約15時間後に品温が37℃まで上昇した後、断続的な自動通風を実施し、27時間目まで品温を37〜38℃に保った。その後品温を30℃に低下させ断続的な自動通風で品温を29〜30℃に保持した。27時間目、44時間目に水分を測定し、計算値から撒水量を決めて水分が35%になるように撒水を実施した。51時間目に同様に水分が42%になるように、68時間目に水分が45%になるように散水し、75時間目で製麹を終了した。その後50℃の風温で乾燥処理を行い玄米白麹を得た。51時間目時点でのクエン酸酸度(水分10%時に換算)は3.8%であり、51時間から75時間までの24時間の間水分40〜50%であった。
乾燥した玄米麹は水分10%、クエン酸酸度5.4%、シュウ酸含有量58ppmであり、シュウ酸含有量が低く、クエン酸酸度の高い玄米白麹を得ることができた。
(実施例5、比較例2、3)
下記の試験区A、B、Cに基づき、玄米黒酢を作成した。なお、試験区Bは実施例5であり、試験区A、Cは比較例2、3である。
<試験区>
試験区A:黄麹菌を用いて比較例1と同様な方法で得られた玄米黄麹
試験区B:実施例1により得られた玄米白麹
試験区C:比較例1により得られた玄米白麹
上記した各試験区に示した各玄米麹を用いて従来の方法で玄米黒酢を作成した。各試験区の玄米麹5%、予め粉砕した玄米31%、水64%の割合となるように仕込み、市販の液化酵素、糖化酵素、プロテアーゼ及び清酒酵母を適量加え並行複発酵による酒精発酵を行った。得られた酒精発酵膠に種酢を加え圧搾し、酢酸菌を添加して静置発酵法で酢酸発酵を行った後、ろ過、殺菌を行い玄米黒酢(総酸度4.5%)を得た。
得られた玄米黒酢について香味評価、沈殿についての評価を行った。香味評価は30名のパネラーに対して、得られた玄米黒酢を水で5倍希釈したものを検体として、飲み易さを5段階で評価してもらい、評価平均を取った。
また、沈殿については、常温3ヶ月目での白色沈殿(シュウ酸塩)の有無について肉眼で確認した。沈殿が生じた場合は×、生じていない場合は○と記載した。結果を表2に示す。
(表2)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験区 A:比較例2 B:実施例5 C:比較例3
(玄米黄麹使用) (実施例1白麹使用)(比較例1白麹使用)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
クエン酸濃度(mg%) 10 50 50
香味(飲み易さ) 2.5 3.3 3.2
シュウ酸濃度(ppm) 24 29 71
沈殿 ○ ○ ×
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
香味評価では、玄米白麹を使用した試験区B、Cは玄米黄麹を使用した試験区Aよりも飲み易さが向上していた。一方沈殿性については、シュウ酸濃度が高い試験区Cはシュウ酸塩結晶の沈殿が見られたのに対して、試験区A、Bではシュウ酸塩の結晶は認められなかった。以上より、試験区Bの場合に、本発明の目的に合致した玄米黒酢を製造することができた。
(実施例6)
実施例4で得られた玄米白麹を粉砕したもの36%、水64%の割合で仕込み、市販の液化酵素、糖化酵素、プロテアーゼを適宜加え、糖化を行った後、焼酎酵母を植菌し、酒精発酵を行った。得られた酒精発酵膠に種酢を加え圧搾し、酢酸菌を添加して深部発酵法で酢酸発酵を行った後、ろ過、殺菌を行い玄米黒酢(総酸度4.5%)を得た。得られた玄米黒酢について香味評価、沈殿の評価を行った。評価方法については実施例4と同様で結果を表3に示す。
(表3)
―――――――――――――――――――――――
試験区 実施例6
―――――――――――――――――――――――
クエン酸濃度(mg%) 500
香味(飲み易さ) 4.0
シュウ酸濃度(ppm) 30
沈殿性 ○
―――――――――――――――――――――――
表3より、玄米白麹を澱粉質原料として用い食酢を製造した場合クエン酸を著しく多量に含む玄米黒酢を製造することができ、飲み易さの評価の非常に高いものが製造できた。また玄米白麹のシュウ酸含有量が58ppmと低い場合は、玄米白麹を多く使用してもシュウ酸塩の沈殿を生じることはなく、本発明の目的に合致した玄米黒酢を製造することができた。

Claims (8)

  1. 玄米に生酸性麹菌を接種した玄米麹の製造において、玄米麹のクエン酸酸度が0.8%以上(水分10%時に換算した数値)になった後に、8時間以上を水分40〜50%に保持することを特徴とする玄米麹の製造方法。
  2. 玄米に生酸性麹菌を接種した玄米麹を30〜40℃に調整した室に盛り込んだ後20〜30時間後に麹品温を25〜30℃として、25〜30℃の麹品温で25〜90時間培養し、玄米麹のクエン酸酸度が0.8%以上(水分10%時に換算した数値)になった後に、8時間以上を水分40〜50%に保持することを特徴とする、請求項1に記載の玄米麹の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法で製造された玄米麹を使用することを特徴とする食酢の製造方法。
  4. 食酢が玄米黒酢であることを特徴とする請求項3に記載の食酢の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の方法で製造してなる玄米麹。
  6. クエン酸酸度が3%以上であり、シュウ酸含有量は400ppm以下であること、を特徴とする請求項5に記載の玄米麹。
  7. 請求項3または4に記載の方法で製造してなる食酢。
  8. クエン酸濃度が高く、シュウ酸含有量は低く、飲用に適し、保管中のシュウ酸結晶の沈澱が抑制されたものであること、を特徴とする請求項7に記載の食酢。
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