JP2004180567A - みりんの製造方法及び該方法によって得られたクエン酸高含有みりん - Google Patents
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Abstract
【課題】本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が多く、みりんの調理機能が向上したみりんを、効率良く製造する方法を提供すること、並びに本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が多く、みりんの調理機能が向上したクエン酸高含有みりんを提供することを目的とする。
【解決手段】みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするみりんの製造方法、並びに、上記方法によって得られたクエン酸高含有みりんを提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするみりんの製造方法、並びに、上記方法によって得られたクエン酸高含有みりんを提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はみりんの製造方法及び該方法によって得られたクエン酸高含有みりんに関し、特にクエン酸を高濃度で含有しながら、風味に優れ、かつ調理効果が強い新規みりんの効率的な製造方法と該方法によって得られたクエン酸高含有みりんとに関する。
【0002】
【従来の技術】
みりんの製造方法としては、蒸煮した粳米(原料米)と、黄麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を用いて調製した米麹に、焼酎又はアルコールを加えた仕込醪を発酵熟成させて、原料米中の成分を分解溶出させたみりん醪を造り、さらにこれを圧搾し、得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ処理等を施して製品とする方法が基本的なものである。
この場合の米麹の使用量(麹歩合)は、粳米の6〜15重量/重量%程度が普通であり、これ以上に多量の米麹を使用すると、みりんを加熱した際に生じる煮切り滓が発生するなどの弊害が出ることが知られている。
【0003】
一方、上記のみりん醪に、水飴(澱粉加水分解物)などの糖液を加えて増量した後、圧搾して得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ処理を施して製品とする増醸みりんも知られている。
みりんの成分は、エキス分が40重量/容量%(wt / vol %)以上であり、アルコール濃度は15容量/容量%(vol / vol %)前後、全有機酸濃度は0.07〜0.1重量/容量%(wt / vol %)、pHは5.5〜6.0であるのが一般的であるが、増醸みりんにおいては、エキス分とアルコール濃度は増醸しないみりんとほぼ同様であるものの、有機酸などの他の成分は、増量倍率に応じて低下しているのが普通である。
【0004】
このような従来のみりんに対して、有機酸、特にクエン酸の濃度を高めたりしてpHを低下させた新規みりんが検討されている。
みりんにおいてpHを低下させると、爽快感のある香味、特にベトツキのないサッパリした甘味が付与されることが期待できる。このときの好適なpH範囲はpH4.3〜4.8程度である。さらに、そのpHを有機酸、特にクエン酸を用いて低下させた場合には、より爽快感のある香味が得られ、みりんの調理機能(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)に優れ、防腐性などが向上する利点が得られる。このときのみりん中の好ましいクエン酸濃度としては、120〜500mg%程度である。なお、増醸みりんの場合のクエン酸濃度は25〜80mg程度となる。
【0005】
みりん中のクエン酸濃度をこのような濃度に高めて、pHを4.3〜4.8程度に下げる手段としては、通常の方法で製造されたみりんに対してクエン酸を添加することが一番容易な方法である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このように通常の方法で製造されたみりんに対してクエン酸を添加する方法は、醸造製品の性格上、好ましい方法ではない。
また、クエン酸を含有する果汁等を添加する方法も考えられるが、この場合は、果汁由来の香味がみりんに移行し、香味品質がみりん本来のものとは異なったものとなるため、好ましくない。
【0006】
このような背景から、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamorii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等のクエン酸生産能を有する生酸性の黒麹菌を種菌として調製された生酸性麹を、黄麹に代えて使用してみりんを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、上記の生酸性の黒麹菌の変異種である白麹菌を種菌として調製された白麹を用いてみりんを製造する方法も開示されており、例えばアスペルギルス・ウサミ・ミュータント・シロウサミ(Aspergillus usamii mut. shiro−usamii)を種菌とした麹を用いた例が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
これらの方法によれば、クエン酸濃度が高く、pHが低いみりんを調製することが可能ではあるものの、出来上がったみりんは黄麹を使用した場合に生じる特有の甘い香りが非常に少なく、また、白麹由来の黴臭の強いものであって、みりんらしい風味に乏しい欠点があった。
従って、本来のみりんとしての甘い香りを保持した上に、有機酸、特にクエン酸含有量が120〜500mg%程度と多く、かつ品質の良いみりんを効率良く製造する方法の開発が要望されていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−187267号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開昭57−105183号公報(第1〜2頁)
【非特許文献1】
ジャーナル・オブ・ファーメンテイションテクノロジー(Journal ofFermentation Technology), Vol.66, N0.3, p.333−339, 1988年
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を解消し、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、みりんの調理機能が向上したみりんを、効率良く製造する方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、みりんの調理機能が向上したクエン酸高含有みりんを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、みりん、特にクエン酸含量の多いみりんを製造する方法について種々検討した結果、従来から使用されている黄麹に、或いはこの黄麹に生酸性麹を組み合わせたものに、生酸性麹の抽出液を添加することにより、目的の品質のみりんを効率良く製造することが可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、みりんらしい甘い香りを得るには黄麹を使用する必要があるが、一方、クエン酸含量を高めるためには生酸性麹を使用する必要がある。
これらの課題を解決する手段としては、黄麹と生酸性麹を併用する方法が考えられるが、みりんの製造法としては、麹の使用量(麹歩合)は6〜15重量/重量%が妥当であり、これ以上の麹歩合にした場合には、例えば、常法通りの量の黄麹を使用し、その上にさらにほぼ同量の生酸性麹を使用した場合には、みりんを使用して調理のために加熱した際に生じる沈殿(煮切り滓)が発生するようになるなどの欠点が生じることが本発明者らの試験(後記の試験例1の試験区C参照)で確認された。
【0013】
さらに、みりんらしい甘い香りを維持しつつ、生酸性麹由来の黴臭を抑制するためには、黄麹使用量以下に生酸性麹の使用量を抑える必要があることも確認された。この結果から、麹歩合の制限(6〜15重量/重量%)を考慮すると、生酸性麹の使用限界は、7重量/重量%以下であるが、このような生産性麹の使用限界量では、みりんのクエン酸濃度を120〜500mg%まで高めることが出来ないことも確認された(後記の試験例1参照)。
【0014】
本発明は、このような試験結果を踏まえて完成されたものであって、クエン酸濃度を目的の濃度までに高める手段として、生酸性麹の抽出液を添加使用することが有効であることを見出し、完成されたものである。
【0015】
即ち、請求項1に係る本発明は、みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするみりんの製造方法を提供するものである。
また、請求項2に係る本発明は、生酸性麹が、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹である請求項1記載のみりんの製造方法を提供するものである。
さらに、請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造方法によって得られたクエン酸高含有みりんを提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、みりんの製造方法に関し、みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするものである。
【0017】
請求項1に係る本発明においては、上記した特徴点以外は、公知のみりんの製造方法により行うことができる。
即ち、みりんの製造方法としては、蒸煮した粳米(原料米)と、黄麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を用いて調製した米麹に、焼酎又はアルコールを加えて調製した仕込醪(仕込み工程)を分解・熟成させて原料米中の成分を分解溶出させたみりん醪を造り(分解・熟成工程)、さらにこれを圧搾し、得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ・ろ過処理、殺菌処理を施して製品とする方法が基本的なものであるが、この方法に準じて行うことができる。
【0018】
請求項1に係る本発明で使用する原料米、米麹、アルコール等の原料については特に制限はなく、通常のみりんの仕込みに用いられるものが、通常の使用割合の範囲で利用可能である。
【0019】
なお、特に米麹の使用量は、通常の麹歩合がよいが、白麹などの生酸性麹を黄麹と併用する場合には、生酸性麹の使用量が黄麹の使用量を上回らない範囲で調整して使用する。即ち、黄麹1重量部に対して、生酸性麹を1重量部以下の割合で用いる。ここで生酸性麹の使用量が黄麹の使用量を上回るような場合には、みりんらしい甘い香りを維持しつつ、生酸性麹由来の黴臭を抑制することができない。
一般的な米麹を使用する場合の米麹の使用量(麹歩合)は、みりんを加熱した際に生じる煮切り滓の発生を抑える観点から、6〜15重量/重量%程度とされている。請求項1に係る本発明においても、同様の観点からこの範囲の麹歩合とすることが必要であることから、白麹などの生酸性麹の使用割合は8%以上になることはない。
【0020】
分解・熟成工程、及びそれ以降の各工程についても、基本的には通常のみりんの製造方法が適用可能である。
但し、請求項1に係る本発明においては、みりんの製造工程中において生酸性麹の抽出液を添加することが必要であり、分解・熟成工程を開始するにあたり(仕込み工程において)、或いは分解・熟成工程中において、又は分解・熟成工程終了後において、生酸性麹菌を種菌として用いて調製された生酸性麹の抽出液を、所定量添加することが肝要である。
【0021】
請求項1に係る本発明において使用する生酸性の麹菌としては、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamorii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等のクエン酸生産能を有する生酸性の黒麹菌や、これらの変異種である白麹菌(例えば、アスペルギルス・ウサミ・ミュータント・シロウサミ(Aspergillus usami mut. shiro−usami)などが利用可能である。中でも、白麹菌は特有の黴臭が比較的少なく、香りが良いことから好ましい。請求項2に記載したように、生酸性麹としては、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹が好ましい。さらに、生酸性麹の抽出液を調製する場合においても、生酸性麹としては、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹が好ましい。
【0022】
これらの生酸性麹菌を用いた生酸性麹の調製は、通常の焼酎、泡盛用の麹の製造と同様の方法で行えばよい。
即ち、洗浄、浸漬後の米を、芯がなくなる程度に蒸煮し、その後、40〜45℃程度に冷却した蒸米に、上記の生酸性麹菌の胞子を散布し、湿度・温度を調整した室で、麹菌の発育を促す。菌糸の伸長が進み、米の締りが出てきたら、十分な手入れを行い、室温30〜40℃で、合計3〜5日保持して出麹とする。
【0023】
請求項1に係る本発明においては、このようにして調製された生酸性麹を原料として、以下の方法で調製される生酸性麹の抽出液を、所定量添加する必要がある。
生酸性麹の抽出液の調製は、例えば、生酸性麹に、2〜5倍量の5〜40容量/容量%アルコールを含有する水を加え、その後、35℃以下、好ましくは5〜30℃で5〜96時間程度浸漬し、浸漬期間中に時々攪拌しつつ保持した後、圧搾等の方法で固液分離して調製することができる。
【0024】
この場合の温度と浸漬時間の関係は、温度が低いとより長時間の浸漬が必要であり、温度が高いと短時間の浸漬時間で所望のものが調製可能であり、例えば5℃では96時間程度の浸漬時間であり、35℃では5時間程度の浸漬時間が望ましい。浸漬温度がより高温では、生酸性麹の自己消化反応が進み過ぎたり、香りが悪くなったりするために好ましくなく、できるだけ低い温度で浸漬するのが好ましい。
次に、加水量については、2倍量未満にすると水量が少な過ぎて麹の混合攪拌が困難であることから好ましくない。また、あまりに加水量が多過ぎると抽出液が薄まり過ぎて、最終的にみりん成分が薄まってしまうので、5倍量まで程度が好ましい。
また、アルコールの添加は抽出期間中の防腐が目的であり、アルコール濃度が5容量/容量%未満では防腐力が弱く、一方、40容量/容量%を超えると、抽出液をみりん中に所定量添加した場合に、アルコール濃度が変動し過ぎるので好ましくない。
このようにして生酸性麹の抽出液を得ることができる。なお、得られた生酸性麹の抽出液は、加熱殺菌などの手段を加えた後のものが好ましく、さらに、例えば、活性炭などによって処理して、脱色脱臭したものがより好ましい。
【0025】
このようにして得られた生酸性麹の抽出液の添加時期は、みりん製造工程中の、任意の時期で良い。即ち、蒸煮した糯米とアルコール、黄麹とを仕込んで分解・熟成工程を開始する仕込時の醪に抽出液を添加しても良く、或いは分解・熟成工程の初期、中期、後期に、又は分解・熟成工程終了後のみりん醪に添加しても良い。
【0026】
生酸性麹の抽出液のみりん製造工程への添加量は、みりんに含有させるクエン酸濃度の設定値によって調整される。即ち、予め抽出液のクエン酸濃度を測定しておき、所望するみりんのクエン酸濃度を考慮して添加量を調整すれば良い。
【0027】
本発明においては、このような生酸性麹の抽出液を添加してみりんを製造する方法が優れていることを見出したが、その根拠となった試験結果を以下の試験例1に示す。
【0028】
〔試験例1〕
以下の試験区A〜Dの5試験区を設定し、試験した。
(1)試験区A(黄麹単独使用):
精白歩合80%の粳米1Kgを、常法により洗米、浸漬、水切りした後、常圧にて20分間蒸煮後放冷し、この蒸米に対して黄麹菌(Aspergillus oryzae)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で43時間培養して黄麹1.15Kgを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記黄麹300g及び37.8容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1500mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0029】
(2)試験区B(白麹単独使用):
精白歩合80%の粳米1Kgを、常法により洗米、浸漬、水切りした後、常圧にて20分間蒸煮後放冷し、この蒸米に対して白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して、白麹1.1Kgを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記白麹300g及び36.5容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1600mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0030】
(3)試験区C(黄麹、白麹併用):
精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米を、試験区Aと同様に調製した黄麹300g及び試験区Bと同様に調整した白麹300gを、44.8容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1300mlと共に、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0031】
(4)試験区D(黄麹、生酸性麹抽出液併用):
試験区Bと同様にして調製した白麹750gに、2250mlの15容量/容量%でアルコールを含有する水を加え、時々攪拌しながら30℃で36時間浸漬した後、圧搾して、1650mlの圧搾液を得た。これを、85℃で30分間加熱処理した後、活性炭(シラサギAW;武田薬品工業社製)を0.1重量/容量%添加し、攪拌混合後、一夜放置し、その後ろ過して、生酸性麹抽出液1520mlを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記黄麹300g、上記の生酸性麹抽出液1100ml、及び83%アルコール水500mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間発酵熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0032】
(5)試験区E(黄麹と白麹に、生酸性麹抽出液併用):
精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、試験区Aで調製した黄麹200g、試験区Bで調製した白麹100g、試験区Dで調製した生酸性麹抽出液550ml、及び83%アルコール水1050mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間発酵熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0033】
以上のようにして調製した各試験区のみりん試料について、成分分析を行い、煮切り性、香味、保存性(着色度など)を評価した。
なお、成分分析法、及び煮切り性、香味、保存性(着色度など)の評価方法は、以下の通りである。
【0034】
▲1▼成分分析:国税庁所定分析法に準じた。
▲2▼煮切り性:加熱滓、加水滓、加酎滓、及び加塩滓について調べたが、これらの試験方法は以下の通りである。
・加熱滓:各試験区のみりん試料5mlを試験管に採取し、沸騰水中で5分間加熱し、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加水滓:各試験区のみりん試料1mlに、蒸留水4mlを加え、良く混合し、次いで1時間放置した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加酎滓:各試験区のみりん試料4mlに、95容量/容量%アルコールを2ml添加し、良く混合し、次いで1時間放置した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加塩滓:各試験区のみりん試料5mlに、食塩0.3gを添加し、完全に溶解させた後、さらに沸騰水中で5分間加熱した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
【0035】
▲3▼香味:各試験区のみりん試料を、95容量/容量%のアルコール及び水にて、エキス分48重量/容量%でアルコール14容量/容量%の濃度になるように調整後、官能検査員10名によって、評価した。各評価の基準は、劣る(−2)、やや悪い(−1)、標準(0)、やや良い(1)、良い(2)の5段階で評価し、平均値で表わした。
▲4▼保存性(着色度など):各試験区のみりん試料を、95容量/容量%のアルコール及び水にて、エキス分48重量/容量%でアルコール14容量/容量%の濃度になるように調整し、さらに活性炭処理により、420nmで測定した色度がほぼ0.03となるように初発色度を調整した後、樹脂製容器に1000ml充填し、35℃で30日保存後の色度を測定して、着色度(30日保存後色度−初発色度)を求めて評価した。
以上の結果を第1表に示した。
【0036】
【表1】
第1表
【0037】
以上の結果、黄麹のみで製造した通常のみりんを対照(試験区A)として比較した場合、生酸性麹(白麹)を同等の麹歩合で使用して製造したみりん(試験区B)は、クエン酸濃度が目的の120mg%以上で所定のpHとなり、味質は向上したものの、黄麹に由来するみりん特有の甘い香りが殆どなく、白麹に由来する黴臭などの異臭が目立ち、その結果、香りの点で劣る品質となった。
【0038】
次に、黄麹に加えて生酸性麹(白麹)を同量併用して製造したみりん(試験区C)の品質は、クエン酸濃度やpHは目的の範囲のものが得られて味質も良く、さらに香りについても生酸性麹(白麹)由来の黴臭などの異臭がほぼ抑えられ、従って、白麹の併用割合は、黄麹とほぼ同量以下が望ましいことが分かった。
しかし、この場合は、全体としての麹使用量(麹歩合)が高過ぎる結果と考えられるが、煮切り滓が発生するようになり、また、みりんの着色度も高くなるなどの欠点があることが判明した。
【0039】
そこで、黄麹に加えて、試験区Cで用いた生酸性麹(白麹)にほぼ相当する量の生酸性麹(白麹)抽出液を添加して製造したみりん(試験区D)においては、所定のクエン酸濃度、pHを達成し、その結果、香味に優れ、さらに煮切り滓も発生せず、優れたみりんとなることが確認された。
【0040】
なお、黄麹に対して生酸性麹(白麹)を併用した場合であっても、生酸性麹の使用量を黄麹よりも少なくし、かつ全体の麹歩合を通常の麹歩合と同等とし、さらに不足するクエン酸生産能を生酸性麹(白麹)抽出液を添加することによって調製したみりん(試験区E)においても、香味が優れ、着色度も抑えられており、煮切り性も良く、優れたみりんであることが確認された。
【0041】
このようにして請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、クエン酸を高濃度で含有する、クエン酸高含有みりんが得られるが、このようなクエン酸高含有みりんを提供するのが請求項3に係る本発明である。
請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果が強いものである。
即ち、このようにして得られる請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、pH4.3〜4.8程度であり、クエン酸濃度が120〜500mg%程度と多く、クエン酸を高濃度で含有するものである。
このようにして得られる請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、爽快感のある香味、特にベトツキのないサッパリした甘味を有しており、みりんの調理機能(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)に優れ、防腐性などが向上したものである。
【0042】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1
(1)黄麹の調製
精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、黄麹菌(Aspergillus oryzea)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して黄麹1.15Kgを調製した。
(2)生酸性麹抽出液の調製
また、精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して白麹1Kgを調製した。この白麹500gに2000mlの20容量/容量%のアルコール水を加え、時々攪拌しながら10℃で48時間浸漬し、その後、圧搾して、圧搾液1640mlを得た。この圧搾液を加熱殺菌(85℃、20分)し、次いで活性炭(シラサギAW;武田薬品工業社製)を1重量/容量%添加し、攪拌した後、一夜放置し、次いでろ過して生酸性麹抽出液1570mlを得た。
(3)みりんの製造
蒸煮糯米2kg、上記(1)で得られた黄麹300g、上記(2)で得られた生酸性麹抽出液1200ml、及び86%アルコール400mlを仕込み、30℃で発酵熟成を開始し、30日後に圧搾して、圧搾液を得た。
その後、常法に従い、火入れ、滓引きしてみりんを得た。得られたみりんの成分分析値を第2表に示した。
【0044】
【表2】
第2表
【0045】
以上の結果、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんが得られた。
【0046】
実施例2
(1)黄麹の調製
精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、黄麹菌(Aspergillus oryzea)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して黄麹1.15Kgを調製した。
(2)白麹の調製
また、精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して白麹1.1Kgを調製した。
(3)生酸性麹抽出液の調製
さらに、この白麹800gに2000mlの5%アルコール水を加え、時々攪拌しながら40℃で2時間の自己消化反応を行わせ、その後、圧搾して圧搾液1400mlを得て、生酸性麹抽出液とした。
(4)みりんの製造
蒸煮糯米2kg、上記(1)で得られた黄麹200g、上記(2)で得られた白麹100g、及び68%アルコール800mlを仕込み、30℃で発酵熟成を開始した。その後、14日目に上記(3)で得られた生酸性麹抽出液800mlを醪に添加し、さらに発酵熟成を続け、30日後に終了してみりん醪を得た。その後、みりん醪を圧搾し、さらに常法により、火入れ、滓引きして3300mlのみりんを得た。得られたみりんの成分分析値を第3表に示した。
【0047】
【表3】
第3表
【0048】
以上の結果、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんが得られた。
【0049】
【発明の効果】
請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)が強い新規みりんの効率的な製造方法が提供される。
即ち、請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんを効率よく製造することができる。
また、請求項3に係る本発明によれば、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果が強い、クエン酸高含有みりんが提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明はみりんの製造方法及び該方法によって得られたクエン酸高含有みりんに関し、特にクエン酸を高濃度で含有しながら、風味に優れ、かつ調理効果が強い新規みりんの効率的な製造方法と該方法によって得られたクエン酸高含有みりんとに関する。
【0002】
【従来の技術】
みりんの製造方法としては、蒸煮した粳米(原料米)と、黄麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を用いて調製した米麹に、焼酎又はアルコールを加えた仕込醪を発酵熟成させて、原料米中の成分を分解溶出させたみりん醪を造り、さらにこれを圧搾し、得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ処理等を施して製品とする方法が基本的なものである。
この場合の米麹の使用量(麹歩合)は、粳米の6〜15重量/重量%程度が普通であり、これ以上に多量の米麹を使用すると、みりんを加熱した際に生じる煮切り滓が発生するなどの弊害が出ることが知られている。
【0003】
一方、上記のみりん醪に、水飴(澱粉加水分解物)などの糖液を加えて増量した後、圧搾して得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ処理を施して製品とする増醸みりんも知られている。
みりんの成分は、エキス分が40重量/容量%(wt / vol %)以上であり、アルコール濃度は15容量/容量%(vol / vol %)前後、全有機酸濃度は0.07〜0.1重量/容量%(wt / vol %)、pHは5.5〜6.0であるのが一般的であるが、増醸みりんにおいては、エキス分とアルコール濃度は増醸しないみりんとほぼ同様であるものの、有機酸などの他の成分は、増量倍率に応じて低下しているのが普通である。
【0004】
このような従来のみりんに対して、有機酸、特にクエン酸の濃度を高めたりしてpHを低下させた新規みりんが検討されている。
みりんにおいてpHを低下させると、爽快感のある香味、特にベトツキのないサッパリした甘味が付与されることが期待できる。このときの好適なpH範囲はpH4.3〜4.8程度である。さらに、そのpHを有機酸、特にクエン酸を用いて低下させた場合には、より爽快感のある香味が得られ、みりんの調理機能(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)に優れ、防腐性などが向上する利点が得られる。このときのみりん中の好ましいクエン酸濃度としては、120〜500mg%程度である。なお、増醸みりんの場合のクエン酸濃度は25〜80mg程度となる。
【0005】
みりん中のクエン酸濃度をこのような濃度に高めて、pHを4.3〜4.8程度に下げる手段としては、通常の方法で製造されたみりんに対してクエン酸を添加することが一番容易な方法である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このように通常の方法で製造されたみりんに対してクエン酸を添加する方法は、醸造製品の性格上、好ましい方法ではない。
また、クエン酸を含有する果汁等を添加する方法も考えられるが、この場合は、果汁由来の香味がみりんに移行し、香味品質がみりん本来のものとは異なったものとなるため、好ましくない。
【0006】
このような背景から、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamorii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等のクエン酸生産能を有する生酸性の黒麹菌を種菌として調製された生酸性麹を、黄麹に代えて使用してみりんを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、上記の生酸性の黒麹菌の変異種である白麹菌を種菌として調製された白麹を用いてみりんを製造する方法も開示されており、例えばアスペルギルス・ウサミ・ミュータント・シロウサミ(Aspergillus usamii mut. shiro−usamii)を種菌とした麹を用いた例が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
これらの方法によれば、クエン酸濃度が高く、pHが低いみりんを調製することが可能ではあるものの、出来上がったみりんは黄麹を使用した場合に生じる特有の甘い香りが非常に少なく、また、白麹由来の黴臭の強いものであって、みりんらしい風味に乏しい欠点があった。
従って、本来のみりんとしての甘い香りを保持した上に、有機酸、特にクエン酸含有量が120〜500mg%程度と多く、かつ品質の良いみりんを効率良く製造する方法の開発が要望されていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−187267号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開昭57−105183号公報(第1〜2頁)
【非特許文献1】
ジャーナル・オブ・ファーメンテイションテクノロジー(Journal ofFermentation Technology), Vol.66, N0.3, p.333−339, 1988年
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題を解消し、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、みりんの調理機能が向上したみりんを、効率良く製造する方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、みりんの調理機能が向上したクエン酸高含有みりんを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、みりん、特にクエン酸含量の多いみりんを製造する方法について種々検討した結果、従来から使用されている黄麹に、或いはこの黄麹に生酸性麹を組み合わせたものに、生酸性麹の抽出液を添加することにより、目的の品質のみりんを効率良く製造することが可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、みりんらしい甘い香りを得るには黄麹を使用する必要があるが、一方、クエン酸含量を高めるためには生酸性麹を使用する必要がある。
これらの課題を解決する手段としては、黄麹と生酸性麹を併用する方法が考えられるが、みりんの製造法としては、麹の使用量(麹歩合)は6〜15重量/重量%が妥当であり、これ以上の麹歩合にした場合には、例えば、常法通りの量の黄麹を使用し、その上にさらにほぼ同量の生酸性麹を使用した場合には、みりんを使用して調理のために加熱した際に生じる沈殿(煮切り滓)が発生するようになるなどの欠点が生じることが本発明者らの試験(後記の試験例1の試験区C参照)で確認された。
【0013】
さらに、みりんらしい甘い香りを維持しつつ、生酸性麹由来の黴臭を抑制するためには、黄麹使用量以下に生酸性麹の使用量を抑える必要があることも確認された。この結果から、麹歩合の制限(6〜15重量/重量%)を考慮すると、生酸性麹の使用限界は、7重量/重量%以下であるが、このような生産性麹の使用限界量では、みりんのクエン酸濃度を120〜500mg%まで高めることが出来ないことも確認された(後記の試験例1参照)。
【0014】
本発明は、このような試験結果を踏まえて完成されたものであって、クエン酸濃度を目的の濃度までに高める手段として、生酸性麹の抽出液を添加使用することが有効であることを見出し、完成されたものである。
【0015】
即ち、請求項1に係る本発明は、みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするみりんの製造方法を提供するものである。
また、請求項2に係る本発明は、生酸性麹が、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹である請求項1記載のみりんの製造方法を提供するものである。
さらに、請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に記載の製造方法によって得られたクエン酸高含有みりんを提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、みりんの製造方法に関し、みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするものである。
【0017】
請求項1に係る本発明においては、上記した特徴点以外は、公知のみりんの製造方法により行うことができる。
即ち、みりんの製造方法としては、蒸煮した粳米(原料米)と、黄麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を用いて調製した米麹に、焼酎又はアルコールを加えて調製した仕込醪(仕込み工程)を分解・熟成させて原料米中の成分を分解溶出させたみりん醪を造り(分解・熟成工程)、さらにこれを圧搾し、得られた圧搾液を、火入れ、滓下げ・ろ過処理、殺菌処理を施して製品とする方法が基本的なものであるが、この方法に準じて行うことができる。
【0018】
請求項1に係る本発明で使用する原料米、米麹、アルコール等の原料については特に制限はなく、通常のみりんの仕込みに用いられるものが、通常の使用割合の範囲で利用可能である。
【0019】
なお、特に米麹の使用量は、通常の麹歩合がよいが、白麹などの生酸性麹を黄麹と併用する場合には、生酸性麹の使用量が黄麹の使用量を上回らない範囲で調整して使用する。即ち、黄麹1重量部に対して、生酸性麹を1重量部以下の割合で用いる。ここで生酸性麹の使用量が黄麹の使用量を上回るような場合には、みりんらしい甘い香りを維持しつつ、生酸性麹由来の黴臭を抑制することができない。
一般的な米麹を使用する場合の米麹の使用量(麹歩合)は、みりんを加熱した際に生じる煮切り滓の発生を抑える観点から、6〜15重量/重量%程度とされている。請求項1に係る本発明においても、同様の観点からこの範囲の麹歩合とすることが必要であることから、白麹などの生酸性麹の使用割合は8%以上になることはない。
【0020】
分解・熟成工程、及びそれ以降の各工程についても、基本的には通常のみりんの製造方法が適用可能である。
但し、請求項1に係る本発明においては、みりんの製造工程中において生酸性麹の抽出液を添加することが必要であり、分解・熟成工程を開始するにあたり(仕込み工程において)、或いは分解・熟成工程中において、又は分解・熟成工程終了後において、生酸性麹菌を種菌として用いて調製された生酸性麹の抽出液を、所定量添加することが肝要である。
【0021】
請求項1に係る本発明において使用する生酸性の麹菌としては、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamorii)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等のクエン酸生産能を有する生酸性の黒麹菌や、これらの変異種である白麹菌(例えば、アスペルギルス・ウサミ・ミュータント・シロウサミ(Aspergillus usami mut. shiro−usami)などが利用可能である。中でも、白麹菌は特有の黴臭が比較的少なく、香りが良いことから好ましい。請求項2に記載したように、生酸性麹としては、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹が好ましい。さらに、生酸性麹の抽出液を調製する場合においても、生酸性麹としては、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹が好ましい。
【0022】
これらの生酸性麹菌を用いた生酸性麹の調製は、通常の焼酎、泡盛用の麹の製造と同様の方法で行えばよい。
即ち、洗浄、浸漬後の米を、芯がなくなる程度に蒸煮し、その後、40〜45℃程度に冷却した蒸米に、上記の生酸性麹菌の胞子を散布し、湿度・温度を調整した室で、麹菌の発育を促す。菌糸の伸長が進み、米の締りが出てきたら、十分な手入れを行い、室温30〜40℃で、合計3〜5日保持して出麹とする。
【0023】
請求項1に係る本発明においては、このようにして調製された生酸性麹を原料として、以下の方法で調製される生酸性麹の抽出液を、所定量添加する必要がある。
生酸性麹の抽出液の調製は、例えば、生酸性麹に、2〜5倍量の5〜40容量/容量%アルコールを含有する水を加え、その後、35℃以下、好ましくは5〜30℃で5〜96時間程度浸漬し、浸漬期間中に時々攪拌しつつ保持した後、圧搾等の方法で固液分離して調製することができる。
【0024】
この場合の温度と浸漬時間の関係は、温度が低いとより長時間の浸漬が必要であり、温度が高いと短時間の浸漬時間で所望のものが調製可能であり、例えば5℃では96時間程度の浸漬時間であり、35℃では5時間程度の浸漬時間が望ましい。浸漬温度がより高温では、生酸性麹の自己消化反応が進み過ぎたり、香りが悪くなったりするために好ましくなく、できるだけ低い温度で浸漬するのが好ましい。
次に、加水量については、2倍量未満にすると水量が少な過ぎて麹の混合攪拌が困難であることから好ましくない。また、あまりに加水量が多過ぎると抽出液が薄まり過ぎて、最終的にみりん成分が薄まってしまうので、5倍量まで程度が好ましい。
また、アルコールの添加は抽出期間中の防腐が目的であり、アルコール濃度が5容量/容量%未満では防腐力が弱く、一方、40容量/容量%を超えると、抽出液をみりん中に所定量添加した場合に、アルコール濃度が変動し過ぎるので好ましくない。
このようにして生酸性麹の抽出液を得ることができる。なお、得られた生酸性麹の抽出液は、加熱殺菌などの手段を加えた後のものが好ましく、さらに、例えば、活性炭などによって処理して、脱色脱臭したものがより好ましい。
【0025】
このようにして得られた生酸性麹の抽出液の添加時期は、みりん製造工程中の、任意の時期で良い。即ち、蒸煮した糯米とアルコール、黄麹とを仕込んで分解・熟成工程を開始する仕込時の醪に抽出液を添加しても良く、或いは分解・熟成工程の初期、中期、後期に、又は分解・熟成工程終了後のみりん醪に添加しても良い。
【0026】
生酸性麹の抽出液のみりん製造工程への添加量は、みりんに含有させるクエン酸濃度の設定値によって調整される。即ち、予め抽出液のクエン酸濃度を測定しておき、所望するみりんのクエン酸濃度を考慮して添加量を調整すれば良い。
【0027】
本発明においては、このような生酸性麹の抽出液を添加してみりんを製造する方法が優れていることを見出したが、その根拠となった試験結果を以下の試験例1に示す。
【0028】
〔試験例1〕
以下の試験区A〜Dの5試験区を設定し、試験した。
(1)試験区A(黄麹単独使用):
精白歩合80%の粳米1Kgを、常法により洗米、浸漬、水切りした後、常圧にて20分間蒸煮後放冷し、この蒸米に対して黄麹菌(Aspergillus oryzae)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で43時間培養して黄麹1.15Kgを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記黄麹300g及び37.8容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1500mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0029】
(2)試験区B(白麹単独使用):
精白歩合80%の粳米1Kgを、常法により洗米、浸漬、水切りした後、常圧にて20分間蒸煮後放冷し、この蒸米に対して白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して、白麹1.1Kgを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記白麹300g及び36.5容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1600mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0030】
(3)試験区C(黄麹、白麹併用):
精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米を、試験区Aと同様に調製した黄麹300g及び試験区Bと同様に調整した白麹300gを、44.8容量/容量%濃度でアルコールを含有する水1300mlと共に、30℃で30日間分解・熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0031】
(4)試験区D(黄麹、生酸性麹抽出液併用):
試験区Bと同様にして調製した白麹750gに、2250mlの15容量/容量%でアルコールを含有する水を加え、時々攪拌しながら30℃で36時間浸漬した後、圧搾して、1650mlの圧搾液を得た。これを、85℃で30分間加熱処理した後、活性炭(シラサギAW;武田薬品工業社製)を0.1重量/容量%添加し、攪拌混合後、一夜放置し、その後ろ過して、生酸性麹抽出液1520mlを得た。
一方、精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、上記黄麹300g、上記の生酸性麹抽出液1100ml、及び83%アルコール水500mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間発酵熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0032】
(5)試験区E(黄麹と白麹に、生酸性麹抽出液併用):
精白歩合85%の糯米2Kgを常法により洗浄した後、30℃の水に15時間浸漬し、水切りし、次いで蒸煮して得た蒸煮糯米に、試験区Aで調製した黄麹200g、試験区Bで調製した白麹100g、試験区Dで調製した生酸性麹抽出液550ml、及び83%アルコール水1050mlを加えて調製した仕込醪を、30℃で30日間発酵熟成して得られたみりん醪を、次いで圧搾、滓引きして、みりんを調製した。
【0033】
以上のようにして調製した各試験区のみりん試料について、成分分析を行い、煮切り性、香味、保存性(着色度など)を評価した。
なお、成分分析法、及び煮切り性、香味、保存性(着色度など)の評価方法は、以下の通りである。
【0034】
▲1▼成分分析:国税庁所定分析法に準じた。
▲2▼煮切り性:加熱滓、加水滓、加酎滓、及び加塩滓について調べたが、これらの試験方法は以下の通りである。
・加熱滓:各試験区のみりん試料5mlを試験管に採取し、沸騰水中で5分間加熱し、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加水滓:各試験区のみりん試料1mlに、蒸留水4mlを加え、良く混合し、次いで1時間放置した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加酎滓:各試験区のみりん試料4mlに、95容量/容量%アルコールを2ml添加し、良く混合し、次いで1時間放置した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
・加塩滓:各試験区のみりん試料5mlに、食塩0.3gを添加し、完全に溶解させた後、さらに沸騰水中で5分間加熱した後、白濁の有(+)、無(−)を目視で判断した。
【0035】
▲3▼香味:各試験区のみりん試料を、95容量/容量%のアルコール及び水にて、エキス分48重量/容量%でアルコール14容量/容量%の濃度になるように調整後、官能検査員10名によって、評価した。各評価の基準は、劣る(−2)、やや悪い(−1)、標準(0)、やや良い(1)、良い(2)の5段階で評価し、平均値で表わした。
▲4▼保存性(着色度など):各試験区のみりん試料を、95容量/容量%のアルコール及び水にて、エキス分48重量/容量%でアルコール14容量/容量%の濃度になるように調整し、さらに活性炭処理により、420nmで測定した色度がほぼ0.03となるように初発色度を調整した後、樹脂製容器に1000ml充填し、35℃で30日保存後の色度を測定して、着色度(30日保存後色度−初発色度)を求めて評価した。
以上の結果を第1表に示した。
【0036】
【表1】
第1表
【0037】
以上の結果、黄麹のみで製造した通常のみりんを対照(試験区A)として比較した場合、生酸性麹(白麹)を同等の麹歩合で使用して製造したみりん(試験区B)は、クエン酸濃度が目的の120mg%以上で所定のpHとなり、味質は向上したものの、黄麹に由来するみりん特有の甘い香りが殆どなく、白麹に由来する黴臭などの異臭が目立ち、その結果、香りの点で劣る品質となった。
【0038】
次に、黄麹に加えて生酸性麹(白麹)を同量併用して製造したみりん(試験区C)の品質は、クエン酸濃度やpHは目的の範囲のものが得られて味質も良く、さらに香りについても生酸性麹(白麹)由来の黴臭などの異臭がほぼ抑えられ、従って、白麹の併用割合は、黄麹とほぼ同量以下が望ましいことが分かった。
しかし、この場合は、全体としての麹使用量(麹歩合)が高過ぎる結果と考えられるが、煮切り滓が発生するようになり、また、みりんの着色度も高くなるなどの欠点があることが判明した。
【0039】
そこで、黄麹に加えて、試験区Cで用いた生酸性麹(白麹)にほぼ相当する量の生酸性麹(白麹)抽出液を添加して製造したみりん(試験区D)においては、所定のクエン酸濃度、pHを達成し、その結果、香味に優れ、さらに煮切り滓も発生せず、優れたみりんとなることが確認された。
【0040】
なお、黄麹に対して生酸性麹(白麹)を併用した場合であっても、生酸性麹の使用量を黄麹よりも少なくし、かつ全体の麹歩合を通常の麹歩合と同等とし、さらに不足するクエン酸生産能を生酸性麹(白麹)抽出液を添加することによって調製したみりん(試験区E)においても、香味が優れ、着色度も抑えられており、煮切り性も良く、優れたみりんであることが確認された。
【0041】
このようにして請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、クエン酸を高濃度で含有する、クエン酸高含有みりんが得られるが、このようなクエン酸高含有みりんを提供するのが請求項3に係る本発明である。
請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果が強いものである。
即ち、このようにして得られる請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、pH4.3〜4.8程度であり、クエン酸濃度が120〜500mg%程度と多く、クエン酸を高濃度で含有するものである。
このようにして得られる請求項3に係る本発明のクエン酸高含有みりんは、爽快感のある香味、特にベトツキのないサッパリした甘味を有しており、みりんの調理機能(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)に優れ、防腐性などが向上したものである。
【0042】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1
(1)黄麹の調製
精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、黄麹菌(Aspergillus oryzea)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して黄麹1.15Kgを調製した。
(2)生酸性麹抽出液の調製
また、精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して白麹1Kgを調製した。この白麹500gに2000mlの20容量/容量%のアルコール水を加え、時々攪拌しながら10℃で48時間浸漬し、その後、圧搾して、圧搾液1640mlを得た。この圧搾液を加熱殺菌(85℃、20分)し、次いで活性炭(シラサギAW;武田薬品工業社製)を1重量/容量%添加し、攪拌した後、一夜放置し、次いでろ過して生酸性麹抽出液1570mlを得た。
(3)みりんの製造
蒸煮糯米2kg、上記(1)で得られた黄麹300g、上記(2)で得られた生酸性麹抽出液1200ml、及び86%アルコール400mlを仕込み、30℃で発酵熟成を開始し、30日後に圧搾して、圧搾液を得た。
その後、常法に従い、火入れ、滓引きしてみりんを得た。得られたみりんの成分分析値を第2表に示した。
【0044】
【表2】
第2表
【0045】
以上の結果、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんが得られた。
【0046】
実施例2
(1)黄麹の調製
精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、黄麹菌(Aspergillus oryzea)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で48時間培養して黄麹1.15Kgを調製した。
(2)白麹の調製
また、精白歩合80%の粳米1Kgを常法により、洗米、浸漬、水切りし、次いで常圧で20分蒸煮した後、放冷して蒸米を得た。この蒸米に対して、白麹菌(Aspergillus awamorii mut.)を0.1重量/重量%の割合で接種し、30℃で72時間培養して白麹1.1Kgを調製した。
(3)生酸性麹抽出液の調製
さらに、この白麹800gに2000mlの5%アルコール水を加え、時々攪拌しながら40℃で2時間の自己消化反応を行わせ、その後、圧搾して圧搾液1400mlを得て、生酸性麹抽出液とした。
(4)みりんの製造
蒸煮糯米2kg、上記(1)で得られた黄麹200g、上記(2)で得られた白麹100g、及び68%アルコール800mlを仕込み、30℃で発酵熟成を開始した。その後、14日目に上記(3)で得られた生酸性麹抽出液800mlを醪に添加し、さらに発酵熟成を続け、30日後に終了してみりん醪を得た。その後、みりん醪を圧搾し、さらに常法により、火入れ、滓引きして3300mlのみりんを得た。得られたみりんの成分分析値を第3表に示した。
【0047】
【表3】
第3表
【0048】
以上の結果、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんが得られた。
【0049】
【発明の効果】
請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果(魚臭や畜肉臭等の抑臭、味の浸透性向上、料理のテクシュチャー向上、てりつや向上)が強い新規みりんの効率的な製造方法が提供される。
即ち、請求項1又は請求項2に係る本発明によれば、すっきりした甘味に優れ、みりん固有の甘い香りを有し、煮切り滓も発生せず、着色程度なども問題のない優れたみりんを効率よく製造することができる。
また、請求項3に係る本発明によれば、本来のみりんの香りを保持したまま、クエン酸含量が120〜500mg%程度と多く、爽快な香味を具備し、かつ調理効果が強い、クエン酸高含有みりんが提供される。
Claims (3)
- みりんを製造するにあたり、米麹として、黄麹のみを用い、若しくは黄麹1重量部に対して生酸性麹を1重量部以下の割合で用いると共に、前記米麹を麹歩合6〜15重量/重量の範囲にて使用し、かつ生酸性麹の抽出液を添加することを特徴とするみりんの製造方法。
- 生酸性麹が、白麹菌を種菌として用いて調製された白麹である請求項1記載のみりんの製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の製造方法によって得られたクエン酸高含有みりん。
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