JP3791681B2 - 酢酸含有飲料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の成分を含有する、新たな機能性を付与した酢酸含有飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
酢酸は抗菌作用、カルシウム吸収効率向上、及び食欲増進等の機能性を有しており、これを含有してなる酢酸含有飲料は従来より健康飲料として飲用されている。しかし、酢酸含有飲料は酢酸独特の臭気があるので飲みにくいものであり、これを改善するために様々な香味成分で味付を行っているが、現在までに満足できる香味を呈するものは得られていないのが現状である。
【0003】
食品素材を煎る、炒める等の乾熱加熱処理により、様々な香気成分が生成され、これらは各食品に特徴的な好ましい香気を付与している。このような好ましい香気成分の一例としてピラジン類がある。加熱食品におけるピラジン類の生成は、糖類、アスコルビン酸等から生成されるα−ジカルボニル化合物とα−アミノ酸との反応であるストレッカー分解によるものと考えられており、様々なモデル系での生成機構の提唱、及び各種加熱食品中のピラジン類の同定が行われている。
【0004】
ピラジン類の一化合物にトリメチルピラジンがあり、これはピラジン環の2、3、及び5位にメチル基が結合したものである。トリメチルピラジンは、血小板へのカルシウムイオンの流入を防ぐことにより、血小板の凝集が抑制され、血栓の生成を防ぐ効果があると考えられている。このため、トリメチルピラジンを酢酸含有飲料に含有させることにより、好ましい香気と機能性を付与することが期待できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況にかんがみて行われたものであり、機能性を付与し、且つ香味に優れた新規酢酸含有飲料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すると、第1の発明は発芽玄米の焙炒処理物を少なくとも原料の一部に用いてなる酢酸含有飲料であって、2,3,5−トリメチルピラジンを含有する酢酸含有飲料に関し、第2の発明はγ−アミノ酪酸含有組成物を添加してなる第1の発明の酢酸含有飲料に関する。
【0007】
本発明者らは、前記問題点にかんがみ、2,3,5−トリメチルピラジンを著量含有する新規酢酸含有飲料の開発に関して鋭意検討を行った。その結果、発芽玄米を焙炒処理することにより2,3,5−トリメチルピラジンが生成されること、及び焙炒処理した発芽玄米を原料として製造した酢酸含有飲料は香味に優れていることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明における酢酸含有飲料は、発芽玄米の焙炒処理物を原料の少なくとも一部に用い、2,3,5−トリメチルピラジンを含有することを特徴とする。該酢酸含有飲料は、飲用に際してはそのまま飲むことができるが、水で希釈して飲んでもよく、水による希釈の有無及び希釈倍率は適宜選択すればよい。好適な希釈倍率としては、容量比で5倍以下を挙げることができる。発芽玄米とは玄米を発芽させる処理を行ったものであり、本発明においては芽の長さが0.5〜1.0mm程度の発芽玄米を好適に用いることができる。玄米を発芽させることにより、遊離アミノ酸等といった栄養成分及び機能性成分を、玄米及び精白米と比べて著量増加させることができる。その結果、後述の焙炒処理により、2,3,5−トリメチルピラジンの生成量を多くすることができる。この機能性成分としては、γ−アミノ酪酸、食物繊維、イノシトール、フェルラ酸、トコトリエノール、7−オクタデセニル−7,10−ヘンイコサジエニルケトン等を挙げることができる。玄米の発芽方法は公知の方法で行えばよく、例えば、玄米を浸漬後、発芽温度及び時間が、それぞれ15〜37℃及び1〜7日の範囲で適宜選択すればよい。発芽に用いる水は必要に応じて殺菌、溶存酸素濃度増加、防腐、及び酵素、ミネラル等の添加、等の処理を行ってもよい。
【0009】
玄米としては、日本型米、インド型米、及びジャワ型米といったイネの形態、生理、生態、交雑不稔性等の性質、並びに粳米及び糯米といった胚乳中のでん粉の性質により限定されるものではない。玄米は2種類以上のものを併用することができ、併用時の組合せには特に限定はない。
【0010】
本発明でいう焙炒処理とは乾燥熱風による加熱処理のことをいう。発芽玄米に焙炒処理を行うことにより、2,3,5−トリメチルピラジンが著量生成するだけでなく、発芽玄米に含まれる水分を、栄養分及び機能性成分を損うことなく効率的に除去することができ、発芽玄米の保存性も高くなる。更に、発芽玄米の水分量は、発芽玄米に含まれるでん粉を糊化させるには十分な量であり、焙炒処理によりでん粉を糊化させることができる。発芽玄米の焙炒処理物は、粉砕、破砕、造粒、及びこれらの組合せ等の処理を行ってもよく、これらは常法に従って行えばよい。
【0011】
(検討例1)
焙炒処理温度と2,3,5−トリメチルピラジン生成量との関係について、検討を行った。発芽玄米として、業務用発芽玄米〔ドーマー(株)製〕(水分含量;31w/w%)を用い、表1に示す焙炒処理温度で2分間焙炒処理を行い、焙炒処理物を得た。焙炒装置は熱風発生機を具備するものを用いた。焙炒処理物中の2,3,5−トリメチルピラジンの測定はガスクロマトグラフィー質量分析法で行った。その結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003791681
2)N.D.;検出されず。
【0013】
表1より、2,3,5−トリメチルピラジンは、焙炒処理温度が230℃では生成しなかったが、260℃以上において2,3,5−トリメチルピラジンの生成がみられ、焙炒処理温度の上昇に伴い、生成量が急激に増加した。また、290℃超における2,3,5−トリメチルピラジンの生成量は260〜290℃における程の増加がみられなかったが、焙炒処理温度の上昇に伴って2,3,5−トリメチルピラジンの生成量は更に増加した。したがって、焙炒処理温度は260〜350℃で行うことが好ましいことが明らかになった。
【0014】
(検討例2)
焙炒処理時間と2,3,5−トリメチルピラジン生成量との関係について、検討を行った。発芽玄米及び焙炒処理装置は検討例1と同じものを用い、焙炒処理温度が290℃で表2に示す時間焙炒処理を行った。2,3,5−トリメチルピラジンの測定は検討例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
Figure 0003791681
【0016】
表2より、2,3,5−トリメチルピラジンは焙炒処理時間が1.0分では生成しなかったが、2.0分以上では、焙炒処理時間の増加に伴い、2,3,5−トリメチルピラジンの生成量が増加し、焙炒処理時間が5分では3.2mg/1000g−焙炒処理物の2,3,5−トリメチルピラジンが生成した。したがって、焙炒処理時間は1分超〜5分で行うことが好ましいことが明らかになった。
【0017】
本発明の酢酸含有飲料は良好な香ばしい香気を有するものであるだけでなく、ペプチド、アミノ酸等の呈味成分によるコクが引立った、熟成感の高いまろやかなものであり、優れた香味を有するものである。酢酸は抗菌作用、カルシウム吸収効率向上、及び食欲増進等の機能性を有し、2,3,5−トリメチルピラジンは血小板の凝集を抑え、血栓を防止する機能性を有する。更に、本発明の酢酸含有飲料は、発芽玄米由来の機能性成分も含有するものでもある。酢酸含有飲料に含まれる酢酸濃度は特に限定はないが、酸度で0.5〜4.5w/v%が好ましい。なお、ここでいう酸度は酢酸含有飲料を水酸化ナトリウム溶液を用いて中和滴定することにより算出される数値を酢酸に換算して表示したものであり、以下においても同義で用いる。酢酸含有飲料中の2,3,5−トリメチルピラジン濃度は、香味の点から、0.02mg/リットル以上が好ましく、特に0.1〜3.0mg/リットルが好適である。
【0018】
本発明の酢酸含有飲料は、2,3,5−トリメチルピラジンを含有する食品素材、酢酸含有素材等を混合して製造することができるが、アルコール発酵及び酢酸発酵を行うことによって得ることが好ましい。アルコール発酵は発酵原料に酵母を接種して行うが、発酵原料の少なくとも一部に米を用いることが好適な例として挙げることができ、米として焙炒処理を行った発芽玄米を少なくとも原料の一部に用いることが特に好適な例として挙げることができる。本発明では、発芽玄米の焙炒処理物に含まれるでん粉を更に糊化、液化、糖化、又はこれらを組合せる方法による処理を行うことができる。これらは常法に従って行えばよく、でん粉を糊化させる方法としては常圧蒸煮法、加圧蒸煮法等の湿熱処理を挙げることができる。液化又は糖化方法としては、酵素処理、酸処理いずれのものでもよく、酵素処理時にプロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等のアミラーゼ系以外の酵素を併用してもよい。また、液化及び/又は糖化後にろ過法、遠心分離法等による固液分離を行ってもよい。
【0019】
酵母はアルコール発酵能を有するものであれば、特に限定はない。この例として、サッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母を挙げることができる。この中でもサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する酵母が好ましく、この例として、清酒酵母、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母、アルコール酵母、ウイスキー酵母、パン酵母等を挙げることができる。アルコール発酵の際に麹及び/又はアミラーゼ等の酵素剤を用いてもよい。麹は常法に従って製造されたものを用いることができる。発酵工程は常法に従って行えばよく、例えば、10〜30℃の発酵温度でもろみ中の全糖が1w/v%になるまで行えばよい。通常は25℃で5日間アルコール発酵を行う。アルコール発酵終了後、固形分を有する場合は固液分離を行ってもよく、これはろ過法、遠心分離法等、常法に従って行えばよい。
【0020】
酢酸発酵は、エタノールを酢酸に酸化する能力を有する微生物を用いて行うものであれば特に限定はない。該微生物の中でアセトバクター(Acetobacter)属に属するものを用いるのが好ましく、この例としてアセトバクター アセティ(Acetobacter aceti)に属するものを挙げることができる。発酵工程は常法に従って行えばよい。発酵方法の例としては、表面発酵法、充填塔発酵法、及び深部発酵法を挙げることができ、深部発酵法においては、バッチ式又は連続式のどちらも用いることができる。酢酸発酵の原料であるエタノールは前述のアルコール発酵液を変性処理して用いることができるが、エタノールに変性剤を添加した変性アルコールを用いてもよい。変性処理は常法に従って行えばよいが、一例として米酢を酸度が1.5w/v%以上になるように添加する方法を挙げることができる。その他の変性剤としては常法により用いられているものを添加すればよい。変性処理後に固形分を含有する場合は固液分離を行えばよいが、これは前述のように行えばよい。変性処理後、必要に応じて他の栄養源との混合、エタノール濃度の調整、及び/又は酸度の調整を行い、これにエタノールを酢酸に酸化する能力を有する微生物を植菌する。他の栄養源としては、炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン類等を含有するものであれば特に限定はないが、例として、酒粕を水と混合してアルコール発酵後、固液分離して得られる発酵液を挙げることができる。アルコール濃度及び酸度の調整は常法に従って行えばよい。植菌方法としては、純粋培養した該微生物をもろみに接種する方法、酢酸発酵中のもろみの一部と原料もろみとを混合する方法、酢酸発酵中のもろみ表面に生じる皮膜を原料もろみに移植する方法、等を挙げることができる。発酵温度は、用いる微生物がエタノールから酢酸に酸化する能力を失わない温度であれば特に限定はないが、一般的には25〜40℃前後で行うことができる。発酵期間は、もろみ中のエタノール濃度が0.4v/v%になるまで発酵を行うが、好適な酢酸発酵温度及び期間の例として、それぞれ30℃及び21日を挙げることができる。酢酸発酵終了後、ろ過法、遠心分離法等による固液分離を行って酢酸含有飲料を得ることができる。固液分離の方法としては、例えば、表面発酵法によるもろみではけいそう土ろ過を行えばよい。
【0021】
固液分離後、必要に応じて、熟成工程、おり下げ工程、酸度調整工程、殺菌工程等の後処理工程を行ってもよい。これらの方法は常法に従って行えばよく、このときに各種添加物を加えてもよい。例えば、常温で30日程熟成行程を行うことにより、更にまろやかな味の酢酸含有飲料となる。また、おり下げ工程では、寒天、柿渋、けいそう土、ゼラチン、酸性白土、ベントナイト等のおり下げ剤を加え、常温で静置後ろ過法等により、おりを除く工程である。殺菌工程では、例えば、加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0022】
本発明の酢酸含有飲料は、機能性成分として発芽玄米由来のγ−アミノ酪酸を含有しているが、必ずしも有効量を満たしていない。そこで、前述の方法により得られた酢酸含有飲料にγ−アミノ酪酸含有組成物を添加することにより、γ−アミノ酪酸を強化した酢酸含有飲料にすることができる。γ−アミノ酪酸含有組成物は、食品素材として市販されているものを用いてもよいが、酒類の製造により得られる副産物又はその処理物(以下、総称して副産物という)から選択される原料に、γ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を作用させて得られるγ−アミノ酪酸高含有培養物を用いることができる。このγ−アミノ酪酸高含有培養物を用いることにより、γ−アミノ酪酸を強化した酢酸含有飲料とすることができる。また、乳酸菌由来の好ましい香味を付与することができる。酒類の製造により得られる副産物としては、特に限定はないが、蒸留酒の蒸留廃液が好ましく、特に焼酎蒸留廃液が好ましい。また、該副産物の処理物としては、殺菌、固液分離、アルコール除去、濃縮、及びこれらの組合せ等の処理により得られるものがあり、これらは常法に従って行えばよい。
【0023】
本発明で用いることができる乳酸菌はγ−アミノ酪酸生成能を有するものであれば特に限定はないが、ラクトバチルス属(Lactobacillus)属に属するものが好ましく、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)に属するものがより好ましい。特に好適な例として、ラクトバチルス ブレビス IFO12005を挙げることができる。該乳酸菌はあらかじめ前培養したものを用いるのが好ましい。前培養に用いる培地としては乳酸菌が増殖できるものであれば特に限定はないが、該培地にグルタミン酸及び/又はその塩を添加した培地を用いることが好ましい。その他の前培養条件は、用いる菌株、初発細胞数等に応じて適宜選択すればよい。
【0024】
副産物にγ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を作用させる方法は特に限定はないが、作用させる菌数が少ないと乳酸菌の増殖に時間を要するために雑菌汚染が起りやすくなる。一方、作用させる菌数が多いと前培養に手間がかかり、要する費用も高くなる。このため、副産物1ml当り1×105〜2×109個作用させることが好ましい。作用させる方法としては、通気、かくはん、静置、若しくはこれらの組合せによるバッチ法、又はγ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を固定化し、これをカラムに充填して作用させる連続法等により実施すればよい。作用させる温度は20〜45℃、好ましくは30〜37℃で、作用させる時間は1時間〜10日間で適宜選択すればよい。作用させている間に起こるpH変化に対しては酸又はアルカリでpH調整すればよく、これは常法に従って行えばよい。
【0025】
このようにして得られる培養物は後処理を行ってもよい。後処理法としては、沈降分離法、遠心分離法、若しくはろ過法等を用いた固液分離による未分解顆粒及び乳酸菌菌体等の除去、常圧若しくは減圧下での濃縮、膜分離法、活性炭処理法、若しくは合成吸着剤処理法等による脱色及び/又は脱臭、凍結乾燥法、真空乾燥法、泡沫層乾燥法、若しくは噴霧乾燥法等による乾燥、圧縮破砕法、剪断破砕法、衝撃破砕法、衝撃式粉砕法、爆砕処理法、若しくは超音波粉砕法等による粉末化、又はこれらの組合せ等を挙げることができる。これらの方法は常法に従って実施すればよい。
【0026】
本発明の酢酸含有飲料は、前述の方法により得られるγ−アミノ酪酸高含有培養物を添加して得ることが好ましい。この添加は酢酸含有飲料の製造工程における任意の時期に行えばよいが、固液分離を行っていない培養物は酢酸含有飲料の製造工程における固液分離工程を行う直前に添加することが好ましい。このように行うことにより、培養物に含有する固形分を該製造工程において行う固液分離工程時に除くことができる。固液分離を行った培養物の後処理物を添加する場合は、酢酸発酵終了後に固液分離を行って熟成工程を経たものに添加する方法を挙げることができる。このように行うことにより培養物の後処理物由来の好ましい風味の損失を少なくすることができる。
【0027】
本発明の酢酸含有飲料は、更に必要に応じて様々なものを添加することができる。この例として、呈味成分、着色料、ビタミン類、香料、果汁等を挙げることができる。呈味成分の例としては甘味料及び酸味料が好適に用いることができ、甘味料の例として、黒糖、果糖ぶどう糖液糖、上白糖、グラニュー糖、果糖、ぶどう糖、オリゴ糖等の糖質及び/又はアスパルテーム、ステビア、フコース、ミラクリン、ラカンカ等を挙げることができ、特に黒糖を含有してなるものを添加することが好適な一例である。酸味料の例としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸等を挙げることができる。着色料としては赤キャベツ、アナトー、カロチノイド、フラボノイド、アントシアニン等を、ビタミン類としてはビタミンA、カロチン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC等を挙げることができる。酢酸含有飲料に添加することができる果汁としては特に限定はなく、好適な一例としてはりんご果汁を挙げることができる。これらの他に食品素材から、でん粉、蛋白質等の加水分解、抽出、発酵、ろ過、及びこれらを組合せたもの等により得られるもの等も添加することができる。
【0028】
かくして、本発明により、良好な香ばしい香気を有し、コクが引立った、熟成感の高い、まろやかな香味に優れた、2,3,5−トリメチルピラジンを含有する酢酸含有飲料を提供することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
発芽玄米の焙炒処理物を用いて酢酸含有飲料を製造した(本発明1)。発芽玄米は検討例1と同じものを使用し、290℃で2分間焙炒処理を行って焙炒処理物を得た。焙炒処理後の発芽玄米1kgを水に浸漬し、水切後120℃で加圧蒸煮を行った。加圧蒸煮後、水5.7リットル混合して酵素糖化法により糖化、酵素を加熱失活させて糖化物を得た。次いで、この糖化物のアルコール発酵を行った。酵母としては、サッカロミセス セレビシエK−701株の乾燥酵母(日本醸造協会)0.6gを接種し、25℃一定で発酵を行った。発酵は、液部の全糖が1%になるまで行い(所要期間5日)、このときのエタノール濃度は7.0v/v%であった。アルコール発酵終了後、酸度7w/v%の米酢液を1430ml添加してかくはんし、ろ過により固液分離した。米酢液は定法に従い米より得られたものを用いた。このようにして得られたろ液はエタノール濃度が4.5v/v%、酸度が1.5w/v%になるように希釈し、次に酢酸発酵を行った。酢酸菌はアセトバクター アセティIFO3281株を用いた。酢酸発酵は表面発酵法により30℃でエタノール濃度が0.3v/v%になるまで行った(所要期間21日)。酢酸発酵終了後、けいそう土ろ過による固液分離、次いで室温での1ヶ月間の熟成を行い、酸度を4.5w/v%に調整して酢酸含有飲料を得た。対照として、検討例1と同じ発芽玄米及び白米を用いて酢酸含有飲料を得た(それぞれ対照例1及び対照例2)。発芽玄米及び白米は焙炒処理を行わずに水に室温で一晩浸漬後、水切及び加圧蒸煮(120℃)を行い、以下本発明1と同様に行った。得られた各酢酸含有飲料について、酸度、可溶性固形分、2,3,5−トリメチルピラジン、γ−アミノ酪酸、遊離アミノ酸、カルシウム、マグネシウム、及び鉄含量の測定、並びに官能検査を行った。酸度及び2,3,5−トリメチルピラジンの測定は前述と同様に行い、可溶性固形分の測定は糖度計により、カルシウム、マグネシウム、及び鉄の測定は原子吸光分析法により行った。γ−アミノ酪酸及び遊離アミノ酸の測定は測定試料に等量の3%スルホサリチル酸を加えて生じた沈殿を除去した後、pH2.2のクエン酸緩衝液で希釈した試料について、アミノ酸自動分析装置L−5800A〔(株)日立製作所製〕で行い、測定を行った全アミノ酸の総和を遊離アミノ酸として示した。官能検査は味、香、及び総合の各項目について、10名のパネラーによる3点法(1点;良、2点;普通、3点;悪)により評価した。測定結果及びパネラーの各項目の評価の平均点を表3に示す。
【0031】
【表3】
Figure 0003791681
【0032】
表3より、本発明1の酢酸含有飲料は2,3,5−トリメチルピラジンを含有するものであったが、対照例1及び2の酢酸含有飲料には2,3,5−トリメチルピラジンが検出されなかった。官能検査の結果は2,3,5−トリメチルピラジンを含有する本発明1の酢酸含有飲料は、香ばしい香気と熟成感のあるまろやかな味がよくマッチングし、従来にない好ましいものであった。また、本発明1、並びに対照例1及び2を水を用いて容量比で2、3、及び5倍希釈して飲用したところ、本発明1の希釈液はいずれにおいても熟成感のあるまろやかなものであり、優れた香味を呈していた。しかし、対照例1及び2は希釈により水っぽさを感じ、希釈倍率の増加に伴って更に水っぽさを強く感じるものであった。したがって、発芽玄米の焙炒処理物を原料として用いてなる2,3,5−トリメチルピラジンを含有する酢酸含有飲料は、飲用としての好ましい適性を有する従来にない優れたものであることが明らかになった。
【0033】
実施例2
以下の方法により、γ−アミノ酪酸を強化した酢酸含有飲料を調製した。米焼酎製造における副産物である蒸留廃液を用い、該蒸留廃液を75℃で5分間殺菌後、圧搾ろ過、次いでけいそう土ろ過を行って後処理物を得た。該後処理物1リットルを94℃で20分間殺菌後30℃まで冷却し、これにラクトバチルス ブレビス IFO12005株の前培養液を10mlで接種して30℃で48時間静置培養することにより、培養物を得た。前培養液は1w/v%L−グルタミン酸含有GYP培地(グルコース、ペプトン、及び酵母エキスをそれぞれ1.0w/v%、pH6.8)に30℃で48時間培養することにより得た。該培養物は遠心分離、次いでけいそう土ろ過により菌体を除去し、ロータリーエバポレーターにより55℃で濃縮してγ−アミノ酪酸高含有濃縮液を得た。該濃縮液の可溶性固形分、グルタミン酸、及びγ−アミノ酪酸の濃度は、それぞれ70.0、0.3、及び1.2w/v%であった。γ−アミノ酪酸高含有濃縮液、本発明1、及び黒糖として特製黒糖USK〔上野砂糖(株)製〕を表4に示す配合で混合し、酸度が4.5w/v%になるように酸度調整を行って酢酸含有飲料を得た(本発明2)。本発明2の2,3,5−トリメチルピラジン及びγ−アミノ酪酸含量は、それぞれ0.1mg/リットル及び67mg/100mlであり、γ−アミノ酪酸が本発明1より134倍強化されたものであった。本発明2について官能検査を行ったところ、熟成感が高く、まろやかな好ましい香味を有していた。特に、γ−アミノ酪酸高含有濃縮液及び黒糖由来の好ましい風味の特徴がバランスよくマッチングした上品なものであった。また、本発明2を水を用いて容量比で2、3、及び5倍希釈して飲用したところ、本発明2の希釈液はいずれの希釈倍率おいても熟成感のあるまろやかさ及び前述の添加物由来の好ましい風味を失うことなく、水っぽさのない優れた香味を呈していた。したがって、本発明2の酢酸含有飲料は飲用に非常に優れたものであることが明らかになった。
【0034】
【表4】
Figure 0003791681
【0035】
実施例3
本発明1の酢酸含有飲料、実施例2と同様に行って得たγ−アミノ酪酸高含有濃縮液、及び濃縮りんご透明果汁を表5に示す組成で混合し、酢酸含有飲料を得た(本発明3)。本発明3の酢酸含有飲料の酸度、可溶性固形分、pH、2,3,5−トリメチルピラジン、及びγ−アミノ酪酸は、それぞれ2.8w/v%、22.4w/v%、3.8、0.1mg/リットル及び67mg/100mlであった。本発明3について、官能検査を行ったところ、香ばしい好ましい香気、まろやかで熟成感のある香味、及びりんご果汁がよくマッチングした優れた酢酸含有飲料であった。また、本発明3を水を用いて容量比で2、3、及び5倍希釈して飲用したところ、本発明3の希釈液はいずれの希釈倍率おいても熟成感のあるまろやかさ及び前述の添加物由来の好ましい風味を失うことなく、水っぽさのない優れた香味を呈していた。したがって、本発明3の酢酸含有飲料は飲用に非常に優れたものであることが明らかになった。
【0036】
【表5】
Figure 0003791681
【0037】
実施例4
本発明1の酢酸含有飲料、実施例2と同様に行って得たγ−アミノ酪酸高含有濃縮液、及び果糖ぶどう糖液糖、濃縮りんご透明果汁、はちみつ、L−アスコルビン酸、香料を表6に示す組成で混合し、酢酸含有飲料を得た(本発明4)。本発明4の酢酸含有飲料の酸度、可溶性固形分、pH、2,3,5−トリメチルピラジン、及びγ−アミノ酪酸は、それぞれ0.45w/v%、12.5w/v%、3.6、0.02mg/リットル及び17mg/100mlであった。本発明4について、官能検査を行ったところ、香ばしい好ましい香気、まろやかで熟成感のある香味を有し、非常に口当たりのよい、優れた酢酸含有飲料であった。本発明4を水を用いて容量比で2、3、及び5倍希釈して飲用したところ、本発明4の希釈液はいずれの希釈倍率おいても熟成感のあるまろやかさ及び口当たりのよさを失うことなく、水っぽさのない優れた香味を呈していた。したがって、本発明4の酢酸含有飲料は飲用に非常に優れたものであることが明らかになった。
【0038】
【表6】
Figure 0003791681
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、発芽玄米の焙炒処理物を原料の少なくとも一部に用いることにより、2,3,5−トリメチルピラジンを含有する酢酸含有飲料を得ることができる。該酢酸含有飲料は、香ばしい好ましい香気及びまろやかで熟成感のある香味を有し、従来にない優れた飲用適性を示す酢酸含有飲料である。また、本発明の酢酸含有飲料は、抗菌作用、カルシウム吸収効率向上、及び食欲増進等の機能性を示す酢酸、血小板の凝集を抑え、血栓を防止する機能性を示す2,3,5−トリメチルピラジンを含有するものである。
【0040】
更に、本発明の酢酸含有飲料の1例では、γ−アミノ酪酸が強化されたものがある。γ−アミノ酪酸は血圧降下作用脳機能改善、肥満解消、肝臓及び腎臓の機能強化等の機能性を示す機能性物質である。特に、酒類の製造により得られる副産物又はその処理物から選択される原料に、γ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を作用させて得られるγ−アミノ酪酸含有組成物を添加してなる酢酸含有飲料はγ−アミノ酪酸が強化されたものであるだけでなく、組成物由来の好ましい風味も含有する更に優れた酢酸含有飲料となる。

Claims (4)

  1. 発芽玄米の焙炒処理物を少なくとも原料の一部に用いてなる酢酸含有飲料であって、2,3,5−トリメチルピラジンを含有することを特徴とする酢酸含有飲料。
  2. 請求項1記載の焙炒処理物の焙炒処理温度が、260〜350℃であることを特徴とする請求項1に記載の酢酸含有飲料。
  3. γ−アミノ酪酸含有組成物を添加してなることを特徴とする請求項1に記載の酢酸含有飲料。
  4. 請求項3記載のγ−アミノ酪酸含有組成物が、酒類の製造により得られる副産物又はその処理物から選択される原料に、γ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌を作用させて得られる培養物であることを特徴とする請求項3に記載の酢酸含有飲料。
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