JPH09149771A - 昆布を含有する醤油及びこの醤油を使用した調味料 - Google Patents

昆布を含有する醤油及びこの醤油を使用した調味料

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JPH09149771A
JPH09149771A JP7335741A JP33574195A JPH09149771A JP H09149771 A JPH09149771 A JP H09149771A JP 7335741 A JP7335741 A JP 7335741A JP 33574195 A JP33574195 A JP 33574195A JP H09149771 A JPH09149771 A JP H09149771A
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soy sauce
kelp
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amount
extract
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JP7335741A
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Kazuo Horiuchi
和雄 堀内
Toshio Horiuchi
俊雄 堀内
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Horiuchi KK
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Horiuchi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明の解決課題は健康を害すること
なくむしろ健康を増進し、且つ調味料として好適に使用
できる昆布を含有する醤油及びこの醤油を使用した調味
料を提供する点にある。 【解決手段】 この発明は常法により製造された醤油と
昆布のエキスからなる加工醤油又は昆布を原料の内の1
つとしている醤油であり、及びこの醤油を基醤油とし
て、基醤油とアカ酒と鰹削節のエキスと追加昆布のエキ
スからなる出汁醤油であり、及び基醤油とゆのずと醸造
酢からなる京風ダシであり、及び基醤油と鰹削節のエキ
スと追加昆布のエキスと鯖削節のエキスとみりんからな
る麺ツユであり、及び基醤油と鰹削節のエキスと追加昆
布のエキスと鯖削節のエキスとみりんからなる京風ダシ
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は昆布を含有する醤
油及びこの醤油を使用した調味料に係り、昆布を含有す
ることにより健康を促進することができ且つ料理等に好
適に使用することができる昆布を含有する醤油及びこの
醤油を使用した調味料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】醤油はその独特の風味が好まれ一般に広
く使用されており、殆どの日本料理に使用されている日
本の代表的且つ伝統的な調味料である。しかし醤油は塩
分濃度が高いため血圧を上げ易く、健康を害する恐れが
ある。しかし塩分濃度を落とした醤油は酸味がでる等調
味料としての価値が著しく下がり好ましくない。また近
代的な醤油の製法ではタンパク質原料として脱脂大豆を
使用する、温度管理等をすることにより醸造時間を短縮
化する、等の製造原価を下げる工夫がされており、これ
により醤油の味がやや低下している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明の解決課題は
健康を害することなくむしろ健康を増進し、且つ調味料
として好適に使用できる醤油及び醤油を使用した調味料
を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、常法により製造された醤油と昆布のエキスからなる
加工醤油又は昆布を原料の内の1つとしている醤油であ
って、原料となる昆布の重量は醤油のタンパク質原料及
び澱粉質原料の重量の和の20分の1未満且つ50分の
1以上であることを特徴とする昆布を含有する醤油であ
る。請求項2に記載の発明は、基醤油とアカ酒と鰹削節
のエキスと追加昆布のエキスからなる出汁醤油であっ
て、基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であ
り、アカ酒の量は基醤油の2〜5重量%であり、鰹削節
の量は基醤油の2〜5重量%であり、追加昆布の量は基
醤油の3〜7重量%である出汁醤油であることを特徴と
する調味料である。請求項3に記載の発明は、基醤油と
ゆのずと醸造酢からなる京風ダシであって、基醤油は請
求項1に記載の昆布を含有する醤油であり、ゆのずの量
は基醤油の0.4〜0.8重量倍であり、醸造酢の量は
基醤油の0.2〜0.5重量倍であり、ゆのずと醸造酢
の合計量が基醤油の量より少ないポン酢であることを特
徴とする調味料である。請求項4に記載の発明は、基醤
油と鰹削節のエキスと追加昆布のエキスと鯖削節のエキ
スとみりんからなる麺ツユであって、基醤油は請求項1
に記載の昆布を含有する醤油であり、鰹削節の量は基醤
油の0.2〜0.5重量倍であり、追加昆布の量は基醤
油の0.2〜0.5重量倍であり、鯖削節の量は基醤油
の0.2〜0.5重量倍であり、みりんの量は基醤油の
0.1〜0.3重量倍であり、鰹削節と追加昆布と鯖削
節とみりんの合計量が基醤油の0.8〜1.2重量倍で
あり、塩分濃度が10〜15%に調節されている麺ツユ
であることを特徴とする調味料である。請求項5に記載
の発明は、基醤油と鰹削節のエキスと追加昆布のエキス
と鯖削節のエキスとみりんからなる京風ダシであって、
基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であり、
鰹削節の量は基醤油の2〜5重量倍であり、追加昆布の
量は基醤油の2〜5重量倍であり、鯖削節の量は基醤油
の2〜5重量倍であり、みりんの量は基醤油の1〜3重
量倍であり、鰹削節と追加昆布と鯖削節とみりんの合計
量が基醤油の8〜10重量倍であり、塩分濃度が10〜
15%に調節されていることを特徴とする京風ダシであ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、この発明の昆布を含有する
醤油及びこの醤油を使用した調味料の実施の形態につい
て説明する。まずこの発明の調味料に使用される基醤油
即ち請求項1の昆布を含有する醤油の製造方法について
説明する。この実施例において、醤油のタンパク質原料
として黒大豆を使用している。黒大豆は他の大豆と比較
して特に好ましい風味と甘みを有しており高級品とされ
ている。タンパク質原料として黒大豆を使用した醤油は
この黒大豆の風味と甘みを有しており好ましい醤油であ
る。しかし醤油のタンパク質原料としては黒大豆に限定
されず、通常醤油のタンパク質原料とされているもので
あればどのようなものでも使用できる。
【0006】醤油を得るにはまず、蒸熱大豆と焙煎割砕
小麦を混合し、この混合物に麹菌を加え、湿度90〜1
00%、温度25〜30℃の恒温槽内で2〜4日間醗酵
させることにより麹を得る。蒸熱大豆と焙煎割砕小麦の
混合比は1:0.8〜1.2程度であるのが好ましい。
焙煎割砕小麦の量が蒸熱大豆の量の0.8倍未満である
場合醗酵の際雑菌が混入する恐れがあり、1.2倍を超
えると味や風味に乏しい醤油となる。蒸熱大豆は、含水
させた大豆を常温で蒸すことにより得ることができる。
大豆を含水させるには大豆の1.2倍以上の重さの水を
大豆上に散水し、そのまま大豆を水中に2時間以上浸漬
させ、すのこ上に乗せて大豆から2時間程度水切りを行
うとよい。このようにして得られた含水大豆は元の重量
の130%程度になっている。この含水大豆を常圧で蒸
熱することにより蒸熱大豆が得られる。得られた蒸熱大
豆は含水前の大豆とほぼ同じ重量である。焙煎割砕小麦
は小麦を炒った後にローラー等で押しつぶすことにより
得ることができる。小麦を炒る温度は155〜165℃
程度であるのが好ましい。155℃未満で炒った場合小
麦を割砕した際粒子が荒くなり、165℃を超えると炭
化した粒子が多くなる。またこの焙煎割砕小麦は30メ
ッシュパスの粒子が25%以上であることが好ましい。
30メッシュパスの粒子が25%以上であると蒸熱大豆
の表面の全面が焙煎割砕小麦の粒子で覆われるため、有
害菌の繁殖が抑えられ且つ麹菌の繁殖が促進される。醗
酵温度は25〜30℃であることが好ましい。醗酵温度
が25℃未満になると麹が充分醗酵せず、また30℃を
超えると雑菌繁殖のおそれがある。
【0007】次に麹と塩分濃度22〜23%の食塩水を
混合してもろみとし、8か月間熟成を行い、その後圧搾
機で圧搾することにより醤油を得る。麹と食塩水の混合
比は1:2.5〜3程度であるのが好ましい。もろみの
温度は熟成工程の初頭においては14℃未満であるのが
好ましい。14℃以上であると雑菌が繁殖するおそれが
ある。このために食塩水は0℃付近まで冷やしておくと
よい。その後1か月はそのまま放置し、2か月目には2
0℃程度、3〜5か月目には28℃に温度管理し、6か
月目以降は自然放冷するのが好ましい。また塩分は仕上
がり時に17%程度であることが好ましい。このため熟
成開始後40〜50日後にもろみ汁の塩分濃度を調べ、
その濃度により補水、補塩を行い17%程度になるよう
調節するとよい。この発明において醤油を得る方法は上
記の方法に限定されず、一般に薄口醤油及び濃口醤油と
して使用されている醤油は全て好適に使用することがで
きる。
【0008】以下にこの発明の昆布を含有する醤油に使
用する昆布について説明する。請求項1においては、原
料となる昆布の重量は醤油のタンパク質原料及び澱粉質
原料の重量の和の20分の1未満且つ50分の1以上で
あるとされる。この発明で使用する昆布としては特に限
定されないが、根昆布、ラウス昆布を使用するとより好
ましい。根昆布とは出汁昆布等を製造する際、通常は製
品とせずに切り捨てる根の部分をいい、カリウムやアル
ギン酸、ラミニン、ラミナリン等に富んでおり、この発
明においては醤油にまろやかさを与えている。またラミ
ニンは血圧を下げる作用を有するので、塩分が多く血圧
を上げ易い醤油に含有される成分として好適である。ラ
ウス昆布とは知床半島の東岸で生産される出汁昆布であ
って上品な味と香りを有しており、出汁昆布の中でも最
高峰のものとされている。この発明においてラウス昆布
を使用すると、醤油は特に好適な味と香り有する物とな
り、この醤油を調味料の原料として使用すると、この調
味料に含有されるアカ酒、鰹削節エキス、鯖削節エキ
ス、ゆのず等の味を引き立てる作用を有する。
【0009】この発明において、原料となる昆布の重量
が醤油のタンパク質原料及び澱粉質原料の重量の和の2
0分の1未満とされるのは、昆布を前記醤油原料の重量
の和の20分の1以上使用すると、醤油中に昆布の味が
強く感じられるようになるため醤油としては好ましくな
いからである。この発明において、原料となる昆布の重
量が上記醤油原料の重量の和の50分の1以上とされる
のは、昆布を前記醤油原料の重量の50分の1未満のみ
使用した場合、昆布の味が殆ど感じられず、醤油の味を
引き立てないからである。この発明においては根昆布を
上記醤油原料の重量の50分の1以上含有されるとより
好ましい。さらに根昆布が上記醤油原料の重量の100
分の2〜3且つラウス昆布が100分の1〜2且つ根昆
布とラウス昆布の合計量が50分の2程度であると最も
好ましい。
【0010】常法により製造された醤油と昆布を原料と
してこの発明の昆布を含有する醤油を製造する場合、昆
布から抽出されたエキスと前記常法により製造された醤
油を混合して、昆布を含有する醤油とする。昆布からエ
キスを得る方法は特に限定されないが、例えば昆布を刻
んで根昆布片とし、この根昆布片を水中に投入し約1時
間浸漬させた後、85〜90℃で1時間抽出を行い、後
に根昆布片を取り除くとよい。昆布を原料の内の1つと
して醤油を醸造する場合、昆布はエキスにするか或いは
粉末状にすると好ましい。昆布を使用する時期は特に限
定されず、麹形成時、もろみ形成時、圧搾時のいずれの
時期に昆布を投入してもこの発明の昆布を含有した醤油
として好適な醤油となる。
【0011】この発明においては、原料として醗酵大豆
を用いるとこの発明の昆布を含有する醤油はより美味と
なり且つ健康増進上優れたものとなるためより好まし
い。この際醗酵大豆の量は、醤油の原料の2〜5重量%
であるとより好ましい。以下にこの発明の昆布を含有す
る醤油に好適に使用できる醗酵大豆を得る方法について
説明する。醗酵大豆の原料としては黒大豆を使用すると
特に好ましい。前述の通り黒大豆は大豆のなかでも特に
好ましい風味と甘みを有しており高級品とされている。
大豆はまず洗浄され、ついで水中に浸漬させて含水させ
る。浸漬時間は浸漬された大豆の重量が2.2〜2.5
倍になる程度の時間であり、この時間は水温によって異
なるが、水温が0〜5℃である場合浸漬時間は24〜3
0時間程度であり、水温が20〜25℃である場合は8
〜16時間程度である。
【0012】大豆の重量が元の重量の2.2〜2.5倍
になると、この大豆を水を切ってから蒸熱する。この際
の蒸気圧及び蒸熱時間は1Kgで40〜50分程度、時
間の短縮を望む場合は2Kgで6〜9分程度であるのが
好ましい。蒸気圧が1Kgの場合蒸熱時間が40分以上
(蒸気圧が2Kgの場合6分以上)であると、この発明
の出汁醤油、ポン酢、麺ツユ、京風ダシの風味は特に向
上され、蒸熱時間は50分以下(蒸気圧が2Kgの場合
9分以下)であると甘みは特に向上されるので好まし
い。
【0013】大豆の蒸熱後、該大豆の品温が30〜45
℃になると菌を接種し醗酵を開始する。接種する菌はク
モノスカビ属(Rhizopus)例えばRhizop
usoligosporus、Rhizopus or
yzae、Rhizopus stolonefer、
Rhizopus javanicus、であるのが好
ましい。クモノスカビ属の菌は、澱粉糖化力が強く、ア
ルコール醗酵力及び蛋白質分解力を有し、乳酸、フマル
酸等有機酸生成能も強いので、醗酵工業、特にアミロ法
に利用される菌である。接種する菌の量は蒸熱後の大豆
の重量の1万分の1〜3程度であるのが好ましく、この
菌を蒸熱後の大豆の重量の30分の1〜2程度の滅菌水
に分散させた後大豆と混和する。
【0014】大豆に菌を接種したのち、大豆を好気的に
醗酵させる。醗酵時間は32〜50時間であることが好
ましい。醗酵終了後、この醗酵大豆は乾燥粉砕されると
さらに好ましい。醗酵大豆は乾燥することにより粉砕し
易くなり、粉砕することにより健康茶中に醗酵大豆の有
効成分が溶解されやすくなる。こうして得られた醗酵大
豆は、ビタミンB2 及び消化酵素が蓄積されており栄養
価値が高く、抗酸化性、抗溶血性を有し、成人病予防作
用、整腸作用、コレステロール減少作用、消化系の抗菌
による生体調節作用を有する。
【0015】上記の様にして得られた醗酵大豆は、醤油
醸造の過程におけるいずれの時期にでも使用できる。即
ち麹形成時、もろみ形成時、圧搾時のいずれの時期に醗
酵大豆を投入してもこの発明の昆布を含有した醤油とし
て好適な醤油となる。またこの醗酵大豆のエキスをこの
発明の昆布を含有する醤油に投入しても、この醤油は特
に好適なものとなる。醗酵大豆からエキスを得る方法は
特に限定されないが、例えば温湯中に醗酵大豆乾燥粉砕
物を投入し、40〜50℃の水で1時間以上抽出を行っ
た後に醗酵大豆粉砕物を取り除くとよい。また乾燥粉砕
しない醗酵大豆を細かく刻むか又は潰して裏漉し、これ
を40〜50℃の水で3時間以上抽出を行った後に醗酵
大豆を取り除くことによっても醗酵大豆のエキスを得る
ことができる。醗酵大豆エキス中には醗酵により好適に
分解された大豆内タンパク質や醗酵中に合成されたビタ
ミンB2 及び消化酵素が大量に蓄積されており栄養価値
が高く且つ香ばしさと独特の甘みを有しているため、こ
の醗酵大豆を使用した醤油は健康促進効果を有し且つ調
味料の原料として好適に使用することができる。
【0016】請求項1の昆布を含有する醤油を基醤油と
し、この基醤油にアカ酒を基醤油の2〜5重量%、鰹削
節エキスを基醤油の2〜5重量%、追加昆布エキスを基
醤油の5重量%以下混入すると請求項2の調味料である
出汁醤油を得ることができる。また、基醤油と、基醤油
の0.4〜0.8重量倍のゆのずと、基醤油の0.2〜
0.5重量倍の醸造酢とを、ゆのずと醸造酢の合計量が
基醤油と等量未満となるように混合すると請求項3の調
味料であるポン酢を得ることができる。さらに、基醤油
と、基醤油の0.2〜0.5重量倍の鰹削節エキスと、
基醤油の0.2〜0.5重量倍の追加昆布エキスと、基
醤油の0.2〜0.5重量倍の鯖削節エキスと、基醤油
の0.1〜0.3重量倍のみりんとを、鰹削節エキスと
追加昆布エキスと鯖削節エキスとみりんの合計量が基醤
油の0.8〜1.2重量倍になるように混合し、塩分濃
度を10〜15%に調節すると請求項4の調味料である
麺ツユを得ることができる。さらに、基醤油と、基醤油
の2〜5重量倍の鰹削節エキスと、基醤油の2〜5重量
倍の追加昆布エキスと、基醤油の2〜5重量倍の鯖削節
エキスと、基醤油の1〜3重量倍のみりんとを、鰹削節
エキスと追加昆布エキスと鯖削節エキスとみりんの合計
量が基醤油の8〜10重量倍になるように混合し、塩分
濃度を10〜15%に調節すると請求項5の調味料であ
る京風ダシを得ることができる。
【0017】請求項2に記載の調味料である出汁醤油
は、基醤油に基醤油の2〜5重量%のアカ酒、及び基醤
油の2〜5重量%の鰹削節エキス、及び基醤油の5重量
%以下の追加昆布エキスを混入することにより得ること
ができる。アカ酒とは別名アクモチ酒ともいう熊本県特
産の酒であり、醸造法は清酒の場合に似ているが麹を多
く用い、醸造後酒中に灰を投入して醗酵により生成され
た酸を中和するという特徴がある。醸造後の投入した灰
のために酒の色は黄色ないし赤褐色であり、アルカリ性
である。アルコール含有量は少なく、強い甘みと独特の
風味を有する。この発明においてアカ酒は基醤油の2〜
5重量%加えられ、出汁醤油に好適な風味と甘みを付与
する。アカ酒の量が基醤油の2重量%未満であるとこの
出汁醤油からアカ酒の甘みを感じることができず、5重
量%を超えると出汁醤油としては甘すぎ、共に好ましく
ない。
【0018】この発明において使用される鰹削節のエキ
スは、例えば温湯中に鰹削節を投入し40〜50℃の水
で3時間抽出を行った後に鰹削節を除去することにより
得ることができる。この他、鰹削節から得られたエキス
であるならどの様なものでもこの発明に使用することが
できる。この発明において鰹削節は基醤油の2〜5重量
%使用され、出汁醤油に好適な味と香りを付与する。鰹
削節の量が基醤油の2重量%未満であるとこの出汁醤油
からは鰹の香りと味が感じられず、5重量%を超えると
鰹の香りと味が強すぎ、出汁醤油として好ましくない。
【0019】この発明においては、追加昆布は基醤油の
3〜7重量%使用され、出汁醤油にまろやかさと好適な
風味を付与する。基醤油中にも昆布は使用されている
が、その量は出汁醤油として使用する場合には充分でな
いためにさらに昆布を加えるものである。ここで使用す
る昆布のエキスは例えば上記した方法と同様の操作によ
り、通常の出汁昆布から得ることができる。追加使用す
る昆布の量が3重量%未満であると昆布の味が充分でな
いことがあり、7重量%を超えるとこの出汁醤油は昆布
の味が強くなりすぎることがあり、好適な出汁醤油でな
くなるため好ましくない。
【0020】上記のようにして得られたこの発明の出汁
醤油を茹でたホウレンソウにつけて試食したところ、こ
の発明の出汁醤油は通常の濃口醤油にくらべホウレンソ
ウの味をより引き立て、より好適に食することができ
た。
【0021】請求項3に記載の調味料であるポン酢は、
基醤油と、基醤油の0.4〜0.8重量倍のゆのずと、
基醤油の0.2〜0.5重量倍の醸造酢とを、ゆのずと
醸造酢の合計量が基醤油と等量未満となるように混合す
ることにより得ることができる。この発明において使用
されるゆのずは、柚子(Citrus junos)を
圧搾することによって得ることができる。ゆのずの使用
量は基醤油の量の0.4〜0.8重量倍とされ、この発
明のぽん酢に爽やかな酸味と好適な香りを付与する。ゆ
のずの量が基醤油の量の0.4倍未満であるとゆのずの
酸味が不充分となる場合があり、0.8倍を超えると醤
油の風味が柚子の香りにかき消されてしまい、いずれも
好ましくない。
【0022】この発明において醸造酢は基醤油の0.2
〜0.5重量%加えられ、この発明のポン酢に酸味とコ
クを付与する。醸造酢の量が基醤油の量の0.2重量倍
未満であると酸味が不充分となる場合があり、0.5重
量倍を超えると酢酸臭が強くなり好ましくない。また、
ゆのずと醸造酢の合計量は基醤油の量より少ないとされ
る。ゆのずと醸造酢の合計量が基醤油の量以上であると
酸味が強すぎる場合があり、ポン酢として好ましくな
い。
【0023】上記のようにして得られたこの発明のポン
酢を茹でた牛肉につけて試食したところ、この発明のポ
ン酢は通常のポン酢にくらべ牛肉の味をより引き立て、
より好適に食することができた。
【0024】請求項4に記載の調味料である麺ツユは、
基醤油と、基醤油の0.2〜0.5重量倍の鰹削節エキ
スと、基醤油の0.2〜0.5重量倍の追加昆布のエキ
スと、基醤油の0.2〜0.5重量倍の鯖削節のエキス
と、基醤油の0.1〜0.3重量倍のみりんを、鰹削節
と昆布と鯖削節とみりんの合計量が基醤油の0.8〜
1.2重量倍になるように混合し、塩分濃度が10〜1
5%になるよう調節することにより得ることができる。
この発明において鰹削節は基醤油の2〜5重量%使用さ
れ、麺ツユに好適な味と香りを付与する。鰹削節の使用
量は基醤油の0.2〜0.5重量倍とされる。鰹削節の
使用量が基醤油の0.2重量倍未満であると鰹削節の味
が充分でなく、0.5重量倍を超える場合この麺ツユが
魚臭くなる場合がある。
【0025】この発明において追加昆布は基醤油の0.
2〜0.5重量倍使用され、出汁醤油にまろやかさと好
適な風味を付与する。追加昆布の使用量が0.2重量%
未満であると昆布の味が不充分であることがあり、0.
5重量%を超えると逆に昆布の味が強すぎる。
【0026】この発明において使用される鯖削節は、鰹
節の製造工程において、鰹の身に代えて鯖の身を使用し
た場合に製造することができる。この鯖削節からエキス
を得るには、鰹削節からエキスを得る場合と同様の操作
をすればよい。この発明において鯖削節エキスは麺ツユ
に好適な味と香りを付与する。この鯖削節エキスの使用
量は基醤油の0.2〜0.5重量倍とされる。鯖削節エ
キスの使用量が基醤油の0.2重量倍未満であると鯖削
節の味が充分でなく、0.5重量倍を超える場合この麺
ツユが魚臭くなる場合がある。
【0027】この発明において使用されるみりんとは、
蒸したモチ米と麹と焼酎を混合することにより麹菌を繁
殖させずに麹の持つ酵素力のみでモチ米を分解成熟さ
せ、成熟後にこの成熟物を圧搾して得られた調味料であ
り、この発明においては基醤油の0.1〜0.3重量倍
使用され、麺ツユに甘みを付与する。みりんの使用量が
0.1重量倍未満であるとこの麺ツユは甘みが足りず、
0.3重量倍を超えると甘すぎ、ともに好ましくない。
【0028】この発明において塩分濃度は10〜15%
に調節される。この際適当量の食塩を微粉末状に粉砕し
各エキスに溶解させた後基醤油と混合されると最も好ま
しいが、最終的に塩分濃度が10〜15%に調節されて
いるかぎりどの方法により調節されたものでもこの発明
の麺ツユとして好適に使用できる。
【0029】上記のようにして得られたこの発明の麺ツ
ユを3倍に薄め、ソウメンにつけて試食したところ、こ
の発明の麺ツユは通常の麺ツユにくらべソウメンをより
好適に食することができた。
【0030】請求項5に記載の京風ダシは、基醤油と、
基醤油の2〜5重量倍の鰹削節のエキスと、基醤油の2
〜5重量倍の追加昆布のエキスと、基醤油の2〜5重量
倍の鯖削節のエキスと、基醤油の1〜3重量倍のみりん
を、鰹削節と昆布と鯖削節とみりんの合計量が基醤油の
8〜10重量倍になるように混合し、塩分濃度が10〜
15%になるよう調節することにより得ることができ
る。この発明において使用される鰹削節のエキスは請求
項2及び請求項4の発明で使用可能な鰹削節エキスと同
じものである。鰹削節の使用量は基醤油の2〜5重量倍
とされる。鰹削節の使用量が基醤油の2重量倍未満であ
ると鰹削節の味が充分でなく、5重量倍を超える場合こ
の京風ダシが魚臭くなる場合がある。
【0031】この発明において使用される追加昆布のエ
キスは、請求項2及び請求項4の発明で使用可能な追加
昆布のエキスと同じものである。追加昆布の使用量は基
醤油の2〜5重量倍であるとされる。追加昆布の使用量
が2重量%未満であるとこの京風ダシ昆布の味が不充分
であることがあり、5重量%を超えると逆に昆布の味が
強すぎる。
【0032】この発明において使用される鯖削節のエキ
スは、請求項4の発明で使用可能な鯖削節のエキスと同
じものである。鯖削節の使用量は基醤油の2〜5重量倍
とされる。鯖削節エキスの使用量が基醤油の2重量倍未
満であると鯖削節の味が充分でなく、5重量倍を超える
場合この京風ダシが魚臭くなる場合がある。
【0033】この発明において使用されるみりんは、請
求項4の発明で使用可能なみりんと同じものである。こ
の発明においてはみりんの使用量は基醤油の1〜3重量
倍とされる。みりんの使用量が1重量倍未満であるとこ
の京風ダシは甘みが足りず、3重量倍を超えると甘す
ぎ、ともに好ましくない。
【0034】この発明において塩分濃度は10〜15%
に調節される。この際適当量の食塩を微粉末状に粉砕し
各エキスに溶解させた後基醤油と混合されると最も好ま
しいが、最終的に塩分濃度が10〜15%に調節されて
いるかぎりどの方法により調節されたものでもこの発明
の京風ダシとして好適に使用できる。
【0035】上記のようにして得られたこの発明の京風
ダシを10倍に薄め、大根を煮て試食したところ、この
発明の大根は通常のダシで煮た大根と比べより好適に食
することができた。
【0036】
【発明の効果】この発明は、常法により製造された醤油
と昆布のエキスからなる加工醤油又は昆布を原料の内の
1つとしている醤油であって、原料となる昆布の重量は
醤油のタンパク質原料及び澱粉質原料の重量の和の20
分の1未満且つ50分の1以上であることを特徴とする
昆布を含有する醤油であり、及び基醤油とアカ酒と鰹削
節のエキスと追加昆布のエキスからなる出汁醤油であっ
て、基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であ
り、アカ酒の量は基醤油の2〜5重量%であり、鰹削節
の量は基醤油の2〜5重量%であり、追加昆布の量は基
醤油の3〜7重量%である出汁醤油であることを特徴と
する調味料であり、及び基醤油とゆのずと醸造酢からな
る京風ダシであって、基醤油は請求項1に記載の昆布を
含有する醤油であり、ゆのずの量は基醤油の0.4〜
0.8重量倍であり、醸造酢の量は基醤油の0.2〜
0.5重量倍であり、ゆのずと醸造酢の合計量が基醤油
の量より少ないポン酢であることを特徴とする調味料で
あり、及び基醤油と鰹削節のエキスと追加昆布のエキス
と鯖削節のエキスとみりんからなる麺ツユであって、基
醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であり、鰹
削節の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であり、追加
昆布の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であり、鯖削
節の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であり、みりん
の量は基醤油の0.1〜0.3重量倍であり、鰹削節と
追加昆布と鯖削節とみりんの合計量が基醤油の0.8〜
1.2重量倍であり、塩分濃度が10〜15%に調節さ
れている麺ツユであることを特徴とする調味料であり、
及び基醤油と鰹削節のエキスと追加昆布のエキスと鯖削
節のエキスとみりんからなる京風ダシであって、基醤油
は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であり、鰹削節
の量は基醤油の2〜5重量倍であり、追加昆布の量は基
醤油の2〜5重量倍であり、鯖削節の量は基醤油の2〜
5重量倍であり、みりんの量は基醤油の1〜3重量倍で
あり、鰹削節と追加昆布と鯖削節とみりんの合計量が基
醤油の8〜10重量倍であり、塩分濃度が10〜15%
に調節されていることを特徴とする京風ダシであり、昆
布はカリウムやアルギン酸、ラミニン、ラミナリン等を
含んでいるから、この発明の昆布を含有する醤油及びこ
の醤油を使用した調味料がまろやかになるという効果を
奏する。またラミニンは血圧を下げる作用を有するの
で、健康促進効果を奏する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常法により製造された醤油と昆布のエキ
    スからなる加工醤油又は昆布を原料の内の1つとしてい
    る醤油であって、原料となる昆布の重量は醤油のタンパ
    ク質原料及び澱粉質原料の重量の和の20分の1未満且
    つ50分の1以上であることを特徴とする昆布を含有す
    る醤油。
  2. 【請求項2】 基醤油とアカ酒と鰹削節のエキスと追加
    昆布のエキスからなる出汁醤油であって、基醤油は請求
    項1に記載の昆布を含有する醤油であり、アカ酒の量は
    基醤油の2〜5重量%であり、鰹削節の量は基醤油の2
    〜5重量%であり、追加昆布の量は基醤油の3〜7重量
    %である出汁醤油であることを特徴とする調味料。
  3. 【請求項3】 基醤油とゆのずと醸造酢からなる京風ダ
    シであって、基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する
    醤油であり、ゆのずの量は基醤油の0.4〜0.8重量
    倍であり、醸造酢の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍
    であり、ゆのずと醸造酢の合計量が基醤油の量より少な
    いポン酢であることを特徴とする調味料。
  4. 【請求項4】 基醤油と鰹削節のエキスと追加昆布のエ
    キスと鯖削節のエキスとみりんからなる麺ツユであっ
    て、基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であ
    り、鰹削節の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であ
    り、追加昆布の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であ
    り、鯖削節の量は基醤油の0.2〜0.5重量倍であ
    り、みりんの量は基醤油の0.1〜0.3重量倍であ
    り、鰹削節と追加昆布と鯖削節とみりんの合計量が基醤
    油の0.8〜1.2重量倍であり、塩分濃度が10〜1
    5%に調節されている麺ツユであることを特徴とする調
    味料。
  5. 【請求項5】 基醤油と鰹削節のエキスと追加昆布のエ
    キスと鯖削節のエキスとみりんからなる京風ダシであっ
    て、基醤油は請求項1に記載の昆布を含有する醤油であ
    り、鰹削節の量は基醤油の2〜5重量倍であり、追加昆
    布の量は基醤油の2〜5重量倍であり、鯖削節の量は基
    醤油の2〜5重量倍であり、みりんの量は基醤油の1〜
    3重量倍であり、鰹削節と追加昆布と鯖削節とみりんの
    合計量が基醤油の8〜10重量倍であり、塩分濃度が1
    0〜15%に調節されていることを特徴とする京風ダ
    シ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102894342A (zh) * 2012-10-25 2013-01-30 青岛灯塔酿造有限公司 一种海带酱油及其制备方法
JP5916179B1 (ja) * 2015-07-14 2016-05-11 ヤマサ醤油株式会社 だしの抽出方法および当該だしを用いた液状調味料
KR20210093002A (ko) * 2020-01-17 2021-07-27 디엘바이오(주) 천연발효조미료의 제조방법

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