JP2008141966A - ヤーコンを主原料とする加工食品およびその製造方法 - Google Patents

ヤーコンを主原料とする加工食品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヤーコンを主原料とし、ヤーコンの食味を適度に改善するとともに、機能性が従来よりも向上した加工食品、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ヤーコンを主原料とする加工食品は、ヤーコンと紫芋との混合物を乳酸発酵菌の存在下で発酵させることにより得られる。好ましくは、紫芋は、紫芋を麹の存在下で糖化させた紫芋糖化液の状態でヤーコンと混合する。この加工食品は、抗酸化性機能食品として好適である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ヤーコンを主原料とする加工食品に関し、より詳細にはヤーコンを乳酸発酵させることにより得られるヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法に関する。
ヤーコン(Samallanthus sonchifolius)は、南米アンデス高地原産のキク科多年草の一種である。ヤーコンの塊根部には、他の植物と比べてフラクトオリゴ糖が多量に含まれ、さらにクロロゲン酸、トリカフェオイルアルダル酸(特開2001-019664)などのポリフェノールや食物繊維も多く含まれている。フラクトオリゴ糖には整腸作用があり、ポリフェノールには抗酸化作用があり、そして食物繊維はダイエットや大腸癌の予防に有効であることが報告されている。したがって、ヤーコンは、健康食品用の食材として有望である。
ヤーコンは、剥皮すると、その表面から急速に褐変化する傾向が強く、これはヤーコン加工食品の商品価値を大幅に低下させる。また、生のヤーコン塊根には、苦みやエグミがあり、ヤーコン塊根の特異臭もある。
そこで、ヤーコンの加工性や食味を改善しながら、ヤーコンの有効利用を図る技術が探索されている。例えば、特開2003-235495(特許文献2)は、ヤーコンと酸性水とを混合することでヤーコンに付着する酸化酵素の活性を抑制せしめた状態で処理することからなるヤーコンを用いた食品の製造方法が記載されている。特許文献1には、ヤーコンを乳酸菌により発酵させることも記載されている。
特開平8-294379(特許文献3)には、ヤーコン原料に由来する加工不適性を植物性乳酸菌による乳酸発酵により改善したヤーコン発酵飲料が記載されている。ヤーコンの乳酸発酵は、ヤーコン原料由来のアクを除去する目的で行われる。また、ヤーコンの褐変防止のためにアスコルビン酸を使用することが記載されている。
特開平10-28566(特許文献4)には、ヤーコン搾汁からなるヤーコンジュースを作製する際に、褐変防止のためにレモンを使用することが記載されている。
特開2003-225050(特許文献5)には、ヤーコン塊根部のスライス片を脂肪族カルボン酸溶液と接触させた後、加熱乾燥することにより、ヤーコンの変質がない乾燥ヤーコンを得ることが記載されている。
特開2004-321051(特許文献6)には、ヤーコンを、グルコン酸生成能を有する微生物の存在下で発酵させて得られるグルコン酸含有発酵飲料、およびその製造方法が記載されている。この発明は、生成するグルコン酸によりヤーコン特有の青臭みを低下させる。
特開2001-019664 特開2003-235495の図1 特開平8-294379 特開平10-28566の図1 特開2003-225050 特開2004-321051
上記特許文献2〜5に記載の発明は、ヤーコンの変質・変色防止や味覚改善の点で一定の効果が有する。しかし、上記発明は、ヤーコンの持つ機能性を明確にし、さらにそれを改善することには向けられていない。特許文献6の発明は、生成するグルコン酸がビフィズス菌の増殖を助けることで、ヤーコン発酵飲料の整腸機能が増進されるという付随効果がある。一方で、生成されるグルコン酸の酸味が、ヤーコン発酵飲料の風味を変えてしまうという問題がある。
上記状況に鑑みて、本発明の目的は、ヤーコンを主原料とし、ヤーコンの食味を適度に改善するとともに、機能性が従来よりも向上した加工食品、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、意外にもヤーコンの乳酸発酵時に紫芋を添加すると、DPPHラジカル消去能が高まるとともに、食味も改善されることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、ヤーコンと紫芋との混合物を乳酸発酵菌の存在下で発酵させることにより得られる加工食品を提供するものである。本発明の加工食品は、ヤーコン乳酸発酵物および紫芋乳酸発酵物の単なる併用ではなく、ヤーコンと紫芋との混合乳酸発酵によりかってない機能性の相乗効果が得られたものであることに特徴がある。
前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の割合である。ここで、紫芋の使用量は、乾燥紫芋の重量に換算したものであり、上記範囲の使用量であれば、紫芋生芋を使用してもよい。
前記紫芋は、紫芋を麹の存在下で糖化させた紫芋糖化液の状態で、前記ヤーコンと混合することが好ましい。
本発明のヤーコンを主原料とする加工食品は、抗酸化性機能食品として好適である。
本発明は、また、ヤーコンと紫芋との混合物を、乳酸発酵菌存在下で発酵させることを特徴とする、ヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法を提供する。
前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の割合で使用する。
前記紫芋は、紫芋を麹の存在下で糖化させた紫芋糖化液の状態で、前記ヤーコンと混合することが好ましい。
前記ヤーコンは、皮付きの状態で前記紫芋と混合することが好ましい。さらに好ましくは、前記ヤーコンは、皮付きのまま輪切りにし、表面の損傷部分をV字状にカットし、蒸煮したものを、前記紫芋と混合することが好ましい。
前記乳酸発酵菌の存在下での発酵は、20〜40℃の温度で、20〜72時間行うことが好ましい。
本発明のヤーコンを主原料とする加工食品は、ヤーコンと紫芋との混合物の乳酸発酵物であることを特徴とするために、ヤーコンの持つ機能性が一層向上されている。それは、例えばDPPHラジカル消去能の向上に反映される。この効果は、ヤーコン乳酸発酵物と紫芋乳酸発酵物とを単にあわせたものよりも高い相乗的なものである。しかも、本発明の加工食品によれば、ヤーコンの風味を大幅に変更することなく、ヤーコン由来の苦み、エグミや青臭さをマスクすることができる。
以下に、本発明のヤーコンを主原料とする加工食品とその製造方法を詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法のフローの概略を示したものである。まず、主原料のヤーコンの処理について説明する。
ヤーコン塊根は、ブラシなどを用いて擦りながら水洗した後、皮付きの状態とすることが好ましい。ヤーコンを皮付きで後続の発酵処理することは、ヤーコンの加工途中で変色を防ぐ。なお、表面のひび割れなどの不適格な損傷部分のみを刃物でV字状にカットしてもよい。
さらに好ましくは、前記ヤーコンを洗浄後、皮付きのまま、厚み1cm程度の輪切りにする。これにより、空気接触による褐変を最小限に止めつつ、後続の蒸煮工程での蒸煮効率を高める。
Vカットした輪切りの皮付きヤーコンは、適宜、酸処理される。この酸処理によって、ヤーコン加工時の変色防止、ならびに最終製品であるヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の腐敗防止、保存状態の向上、酸化防止、変色防止などが図られる。酸のpHは、通常、1.0〜5.0であり、好ましくは3.0〜4.0のものを使用する。具体的には、きび酢、米酢などの食酢、クエン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。酸への浸漬時間は、通常、5秒〜30分間でよく、好ましくは30秒〜2分間である。酸への浸漬時間が60分間を超えると、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の酸味が増して好ましくない。
Vカットした皮付きヤーコンを、通常、50〜130℃、好ましくは90〜100℃の温度で、5〜180分間、好ましくは5〜30分間、蒸煮する。蒸煮には、通常、過熱水蒸気を用いるが、マイクロ波加熱でもよい。蒸煮は、ヤーコンの褐変防止に有効であるとともに、雑菌を死滅させ、後続する乳酸発酵工程での乳酸菌の増殖を促す。
蒸煮したヤーコンは、最適な冷却方法により0℃〜室温まで冷却する。得られたヤーコンは、そのまま、紫芋と混合して乳酸発酵させる。なお、本発明は、蒸煮したヤーコンをさらに麹の存在下で糖化させて得られるヤーコン糖化液の使用を排除するものではない。
次に、副原料である紫芋の処理について説明する。紫芋の種類は、紫芋であれば特に制限が無く、例えばアヤムラサキ、ナカムラサキ、種子島紫、山川紫、パープルスイートロード、宮農36号、九州109号などが挙げられる。紫芋の表皮近くには、不良部分やアク成分が多いため、1〜5mm剥皮することが好ましい。
上記紫芋は、糖化液、生芋、蒸煮、乾燥パウダーなどの各種形態でヤーコンと混合してよいが、好ましくは紫芋糖化液の状態で混合する。こうすると、紫芋糖化液に含まれる単糖が乳酸発酵菌の栄養源となりやすく、その結果、ヤーコンの乳酸発酵が促進される。さらには、DPPHラジカル消去能のより高いヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物が得られる。
上記紫芋糖化液は、蒸煮した紫芋、紫芋パウダーなどを麹の存在下で分解(糖化)させることにより得られる。紫芋パウダーは、紫芋生芋を煮てからペースト状にしさらに熱風乾燥する、あるいは赤外線加熱してからミキサーなどで粉末にすることにより得られる。乾燥パウダーは、市販のものを使用してもよく、例えば、サンパウダーYM-2(登録商標、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)が挙げられる。
上記糖化に使用する麹は、通常、アスペルギルス属の麹菌であってデンプン分解能の大きいものであればよく、例えば白麹菌(Aspergillus kawachii)、黒麹菌(Aspergillus awamori, Aspergillus niger)、黄麹菌(Aspergillus oryzae)などが挙げられる。中でも、白麹菌は、クエン酸生成能力が高い点で好ましい。
麹菌を植え付ける材料には、米、豆、麦などがある。中でも、蒸した米に麹菌を繁殖させた米麹は、デンプンをブドウ糖に分解するアミラーゼが多く含まれ、これが紫芋のデンプン質の分解を促進するので好ましい。
紫芋パウダーおよび米麹をタンクに仕込む。米麹の使用量は、紫芋パウダー100重量部に対して、通常、50〜500重量部、好ましくは100〜300重量部である。麹の使用量が、50重量部より少ないと、糖化力が低くなり、逆に500重量部より多すぎても、麹菌特有のにおいが強調され、ヤーコン自体の風味を損なう。
次に、タンクに脱イオン水、滅菌水または水道水を添加する。紫芋の乾燥重量は、水量の通常、1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%になるように水量を調整する。紫芋の添加濃度が1重量%より低いと、ヤーコンの紫芋の添加による相乗効果を得るために、多量の紫芋糖化液が必要となり、却ってヤーコン乳酸発酵物の効果を減じる。逆に10重量%より濃くても、糖化液が粘調になり過ぎ、その結果として、麹との混合が困難となり、糖化効果が悪くなる。ヤーコンと混在させた状態での乳酸発酵が緩慢となる。故に、紫芋、麹及び水の混合割合が、重要となる。
次いで、上記混合物を、30〜65℃、好ましくは50〜60℃の温度で、通常、2〜72時間、好ましくは6〜10時間放置して、紫芋のデンプン質を糖化させる。その間、適宜、攪拌してもよい。
こうして得られる紫芋糖化液の糖度(Brix)は、糖化処理前の約3から糖化処理後の約16に増加する。
次に、蒸煮したヤーコン物と、紫芋(好ましくは紫芋糖化液)とを混合する。紫芋の添加量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、通常、1〜20重量部(乾燥重量)でよく、好ましくは2〜15重量部(乾燥重量)である。紫芋生芋の使用量に換算すると、通常、5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部となる。紫芋(乾燥状態)の添加量が、1重量部より低いと、最終生成物のDPPHラジカル消去能における紫芋の相乗効果が得られ難い。また、紫芋由来の糖分がヤーコンの塊根臭(土臭)をマスクするという効果も抑制される。逆に、20重量部より多くても、DPPHラジカル消去能における紫芋の相乗効果が抑制される。さらには、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の単位重量当たりのDPPHラジカル消去能が低下する。紫芋の多量添加による芋臭さを生じる原因ともなる。
上記混合物を、二軸ニーダー、ミキサー、チョッパー等の適切な装置で破砕する。破砕物は、適宜、固液分離して、液相を回収する。好ましくは、固液分離せず、全量を発酵処理に供する。
上記破砕物を、エタノール殺菌済みの乳酸発酵用容器へ充填し、さらに、予め作製しておいた乳酸発酵菌のスターターを添加する。乳酸発酵菌としては、特に制限されず、例えばラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・デルブリッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・ジアセチラクティス(Streptococcus diacetilactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ロイコノストック・デキストラニカム(Leuconostoc dextranicum)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)ペデイオコッカス・ハロフイルス(Pediococcus halophilus)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、ビフィズス菌(Bifidobacterium bifidum)が挙げられる。中でも、ラクトバチルス・プランタラムが、生育し易く乳酸発酵率が良く製造中におけるアントシアニンの色素にも関与せず製品の風味、味覚も良好な点で好ましい。
上記スターターの作製は、例えば以下のようにして行われる。MRS培地、GYP培地などの乳酸菌の培養に適した培地へ、凍結保存された乳酸菌株を1%程度添加し、前培養する。さらに、豆乳など栄養源を添加し、30〜40℃で24時間程度二次培養する。
ヤーコン・紫芋混合物へのスターターの添加量は、蒸煮したヤーコン物と紫芋糖化液の総量に対して、通常、0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%である。
乳酸発酵の仕込み原料には、適宜、副原料として、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、ペプトン、ポリペプトン、トリプトン、牛乳、脱脂粉乳、豆乳の少なくとも一種以上を添加してもよい。
上記混合物を発酵させる際の発酵温度は、通常、10〜50℃でよく、好ましくは20〜40℃である。発酵時間は、通常、10〜168時間でよく、好ましくは20〜72時間で行う。
ヤーコンを乳酸発酵させると、苦みやエグミの緩和された発酵物を得ることができるが、ヤーコン特異臭は依然として残る。それに対して、本発明では、ヤーコンと紫芋(好ましくは紫芋糖化液)との混合物を乳酸発酵させることにより、フルーティーな香り、さわやかな酸味、好ましい赤色系、吸湿性の少ないパウダー、口溶けの良いテイスティーな舌触りの少なくとも一種を示す発酵物が得られる。
上記で得たヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物は、加熱、エバポレーション、電磁波などによって濃縮する。
次に、ヤーコン・紫芋乳酸濃縮物を加熱、凍結乾燥、風乾、遠心分離などの方法によって乾燥する。好ましくは、凍結乾燥を使用する。乾燥品は、さらに粉砕して、粒度を均一化する。
乾燥品の形状は、粉末、顆粒などの粉状、錠剤、ビスケット状などの固形物、あるいは粉末を封入したカプセルでもよい。これらの食品は、そのまま食するか、あるいは食材の一部に使用してもよい。
本発明の加工食品は、単独でもよく、あるいは適当な助剤の添加されたものでもよい。助剤の例には、酸化防止剤、香料、色素、栄養補助成分、食品機能成分などが挙げられる。
本発明の加工食品のDPPHラジカル消去能は、ヤーコンの乳酸発酵物や紫芋の乳酸発酵物単独のものを加重平均したものよりもさらに一層向上する。具体的には、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物のDPPHラジカル消去能は、3000〜5000μM Trolox当量となり、特に、3000〜4000μM Trolox当量となる。
本発明のヤーコンを主原料とする紫芋混合発酵物による加工食品は、抗酸化性機能食品として好適である。具体的には、抗酸化能の向上によるアンチエイジングを発揮するほかに、糖尿病、動脈硬化、心臓病、癌、肝臓疾患、眼疾患、抗加齢、認知症などの疾病の予防と治癒にも有効である。
本発明の加工食品の処方量は、単独の量で、通常、1〜30g/成人・日、好ましくは3〜10g/成人・日である。
以下に、実施例と比較例により、本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔調製例1〕紫芋糖化液の調製
以下の手順で、紫芋を糖化させた。まず、紫芋粉末(製品名:サンパウダー YM-2(登録商標)、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)5gを、300mL容の三角フラスコに投入した。使用した紫芋粉末の組成を表1に示す。
次に、上記フラスコに、乾燥米麹と脱イオン水を表2に示す割合で加え、アルミホイルで蓋をした。この三角フラスコを55℃の恒温槽に漬け、6時間反応させた後、フラスコの内容物を濾紙(東洋濾紙No.101)で吸引濾過し、米麹の添加量を変えた二種類の紫芋糖化液AおよびBを得た。紫芋糖化液AおよびBの組成と、pHとBrixの分析値を表2に示す。紫芋糖化液Aおよび紫芋糖化液Bに含まれる紫芋の乾燥品濃度は、いずれも4.2重量%である。
〔調製例2〕乳酸菌スターターの調製
凍結保存されたラクトバチルス・プランタラムNBRC 14713を、MRS培地へ1%添加し、前培養した。さらに、豆乳培地に前培養物を1%添加し、30℃で24時間培養することにより、スターターを作製した。
〔実施例1〜4,比較例1〜3〕ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の調製
ヤーコンをブラシで水洗いし、皮付きのまま、約1cm程度の厚みに輪切りした。表面の損傷部を包丁でV字状に除去した後、蒸籠内で100℃×20分間蒸煮した。蒸煮されたヤーコンは、室温に下がるまで放冷した。
上記で得られたヤーコンと紫芋糖化液Aとを、表3に示す配合で混合し、さらにミートチョッパーで破砕した。なお、比較例1では、ヤーコン単身とし、比較例2では紫芋単身とした。

1)紫芋添加率=ヤーコン生芋に対する紫芋(乾燥品)の添加率(wt%)
次いで、ヤーコン・紫芋糖化液混合物49.5gに、上記乳酸菌スターターを0.5g(該混合物に対して1重量%)添加し、30℃×48時間放置し、乳酸発酵させた。
上記の乳酸発酵により得られたヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の臭いと食味を表4に示す。ヤーコン単独の乳酸発酵物(比較例1)では、ヤーコン塊根臭が残っていた。一方、紫芋単独の乳酸発酵物(比較例2)では、紫芋の芋臭が残っていた。それに対して、実施例1〜2では、過度の芋臭が消えてフルーティーな香りであった。
上記ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物のDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)抗酸化能を、紫外可視近赤外分光光度計(製品名:U-1500、日立製)で測定した520nmの吸光度を指標に評価した。測定されたDPPHラジカル消去能を、水溶性抗酸化物(Trolox)の相当量に換算して表4に示す。なお、測定結果は、5回の測定試験の平均値である。

1)pHは発酵前pH5〜7に対し発酵後pHが4以下になることが、製造における液状化工程での品質を安定化させることとなる。
2)DPPH抗酸化能上昇率(%)=DPPHラジカル消去能の実測値/ヤーコン・紫芋の加重平均から求まるDPPHラジカル消去能の予測値×100
表4の結果を、図2の紫芋添加率(X軸)に対するヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物のDPPHラジカル消去能の上昇率(Y軸)のグラフにした。上昇率100%のレベルが、ヤーコン単独の乳酸発酵物と紫芋単独の乳酸発酵物との加重平均値からの予測値を意味する。図2から、本発明のヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物は、それぞれ単独に発酵させたものを単にあわせたもの以上の相乗的な抗酸化能を奏することがわかる。以下の議論は本発明を限定するものではないが、ヤーコンと紫芋との混合発酵により、含有されるポリフェノール・アシルアントシアニンなどの物質に低分子化・抗酸化部位のマスキングが外れる現象が起き、抗酸化能が、向上したと推論される。
〔実施例5〜8〕
実施例1〜4において、紫芋糖化液Aの代わりに、紫芋糖化液Bを用いた以外は、実施例1〜4と同様の操作を行った。ヤーコンと紫芋との配合割合を表5に示す。なお、比較例1では、ヤーコン単独とし、比較例3では、紫芋単独とした。
上記の乳酸発酵により得られたヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物の臭いと食味を表6に示す。実施例5〜8では、過度の芋臭が消えてフルーティーな香りであった。
実施例1と同様にして、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物のDPPHラジカル消去能を測定した。測定結果を、水溶性抗酸化物(Trolox)の相当量に換算して、表6に示す。なお、測定結果は、5回の測定試験の平均値である。
表6の結果を、図3の紫芋添加率(X軸)に対するヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物のDPPHラジカル消去能の上昇率(Y軸)のグラフにした。図3から、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物は、それぞれ単独に発酵させたものを単にあわせた以上の相乗的な抗酸化能を奏することがわかる。
本発明の加工食品の製造フローの概略を示す図である。図中、波線は、本発明に含まれる変更例である。 糖化液Aを使用した本発明に従う、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物について、紫芋添加率に対するDPPHラジカル消去能の上昇率を表すグラフである。 糖化液Bを使用した本発明に従う、ヤーコン・紫芋混合乳酸発酵物について、紫芋添加率に対するDPPHラジカル消去能の上昇率を表すグラフである。

Claims (12)

  1. ヤーコンと紫芋との混合物を乳酸発酵菌の存在下で発酵させることにより得られる、ヤーコンを主原料とする加工食品。
  2. 前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋1〜20重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のヤーコンを主原料とする加工食品。
  3. 前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋2〜15重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のヤーコンを主原料とする加工食品。
  4. 前記紫芋は、紫芋を麹の存在下で糖化させた紫芋糖化液の状態で、前記ヤーコンと混合することを特徴とする、請求項1、2または3に記載のヤーコンを主原料とする加工食品。
  5. 抗酸化性機能食品として使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のヤーコンを主原料とする加工食品。
  6. ヤーコンと紫芋との混合物を、乳酸発酵菌存在下で発酵させることを特徴とする、ヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  7. 前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋1〜20重量部の割合で使用することを特徴とする、請求項6に記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  8. 前記紫芋の使用量は、ヤーコン生芋100重量部に対して、乾燥紫芋2〜15重量部の割合で使用することを特徴とする、請求項6に記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  9. 前記紫芋は、紫芋を麹の存在下で糖化させた紫芋糖化液の状態で、前記ヤーコンと混合することを特徴とする、請求項6、7または8に記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  10. 前記ヤーコンは、皮付きの状態で前記紫芋と混合することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  11. 前記ヤーコンは、皮付きのまま輪切りにし、表面の損傷部分をV字状にカットし、蒸煮したものを、前記紫芋と混合することを特徴とする、請求項6〜10のいずれかに記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
  12. 前記乳酸発酵菌の存在下での発酵は、20〜40℃の温度で、20〜72時間行うことを特徴とする、請求項6〜11のいずれかに記載のヤーコンを主原料とする加工食品の製造方法。
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CN114747646A (zh) * 2022-03-21 2022-07-15 湖北省农业科学院农产品加工与核农技术研究所 一种紫薯果脯、发酵饮料及其联产制备的方法

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