JP2628367B2 - 染料の熱に安定な結晶変態及びその製造法 - Google Patents

染料の熱に安定な結晶変態及びその製造法

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    • C09B29/06Monoazo dyes prepared by diazotising and coupling from coupling components containing amino as the only directing group
    • C09B29/08Amino benzenes
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は染料の熱に安定な結晶変態及びその製造法に
関する。
従来の技術 式(I) で示される染料は昭和54年5月8日付官報により公知で
ある。
式(I)の染料は合成繊維例えばポリエチレンテレフ
タレート繊維をネービー色に染色することが知られてい
る。
近年染色業界では染色方法の合理化、省エネルギー対
策が進み、浴比の減少が図られると共にオーバーマイヤ
ー染色、チーズ染色、ビーム染色、液流染色のような被
染物を静止した状態で染色する方法が多くとられるよう
になっており高温での分散安定性のすぐれた染料が強く
望まれている。
発明が解決しようとする課題 通常の方法により製造された式(I)で示される染料
を高温度における染色に用いた場合、染浴中の染料粒子
の分散状態が低下する欠点がありそのため均一な染色濃
度をもった染色物を得ることが難しい。
課題を解決するための手段 本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研
究を重ねた結果本発明を完成させた。本発明はCu−Kα
線による粉末X線回折法において回折角(2θ)〔゜〕
3.7に最も強いピークを持ち、回折角(2θ)〔゜〕8.
6,21.4,24.4,25.6にやや強いピークを持つX線回折図
(第1図)により特徴づけられる式(I) で示される染料の熱に安定な結晶変態(以後これをβ型
結晶とする)、及びその製造法に関する。
但し、回折角は±0.3゜の誤差を許容出来るものとす
る。
本発明において、β型結晶に変換される前の式(I)
で示される染料の熱に不安定な結晶変態(以後これをα
型結晶とする)は、公知の方法に従って、6−クロロ−
2,4−ジニトロアニリンをジアゾ化し、3−N,N−ジアリ
ルアミノ−4−(β−メトキシエトキシ)−アセトアニ
リドにカップリングすることによって得られる。このα
型結晶は例えばCu−Kα線回折法において第2図に示す
ごとく比較的なだらかな起伏のピークを有した、無定型
に近い結晶である。このα型結晶染料を通常の製品化の
方法に従って、分散剤、例えば、ナフタレンスルホン酸
のホルマリン縮合物のソーダ塩又はリグニンスルホン酸
ソーダ塩などと共にサンドミル等により機械的に微粒子
化した後、ポリエステル繊維織物或いはポリエステル繊
維とアクリル繊維又は綿等との混紡織物の染色に供した
場合には、このα型結晶が熱に不安定であるため、ポリ
エステル繊維の染色が行われる95〜135℃の温度におい
て結晶の変換がおこり染料粒子がタール化したり凝集物
を生成する。このようなタール化物や粗大化した染料粒
子は均一な染着を妨害する。特にオーバーマイヤー染
色、チーズ染色、ビーム染色、液流染色等においては凝
集した粒子が繊維層により過され、目詰り、内部浸透
不良、ケーシングスポット等の原因となり、均一な染色
物を与えないばかりでなく、染色物の堅牢度低下などの
不都合を来す。
このような欠点を改善し又市場の要求に応えるべく検
討の結果、前記したX線回折図で特徴づけられるβ型結
晶が高温における染色安定性に極めてすぐれていること
を見出し、本発明を完成したものである。
更に本発明を詳細に説明する。
高温における染色に安定な式(I)で示される染料の
β型結晶は公知のジアゾ化に続くカップリング法によっ
て得られるα型結晶の湿潤ケーキ又は乾燥ケーキを水中
又は水溶性有機溶媒又はアニオン又はノニオン界面活性
剤を含んだ水中において40℃以上の温度で加熱すること
によって得られる。処理時間は必要に応じ長くしたり短
かくすることが可能である。
例えば40℃以上200℃以下、好ましくは50℃以上100℃
以下で1時間から3時間程度加熱することによりα型結
晶からβ型結晶に変換出来る。この際、100℃以上に温
度を保持したり、処理時間を長くすることはなんた差支
えないが、経済的に不利である。使用される水溶性有機
溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ
等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチ
レングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン類の環状エーテル類があげられる。
又使用されるアニオン界面活性剤としてはβ−ナフタ
レンスルホン酸、ホルマリン縮合物の塩類、リグニンス
ルホン酸塩類等が、又ノニオン界面活性剤としてはソル
ビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノール類、ポ
リオキシエチレンアルキルアマイド類等があげられる。
これらは単独で又2種以上を併用することが可能であ
る。α型結晶からβ型結晶への結晶変換はカップリング
反応後、過、水洗して得られる湿潤ケーキ又はそれを
乾燥したものを用いて行うか、過工程を経ることなく
カップリング反応の終了した反応液を加熱するか又はそ
の反応液に必要量の水溶性有機溶媒又はアニオン又はノ
ニオン界面活性剤を加えた後、加熱することによって行
う。又カップリング反応に悪い影響を及ぼさないのであ
れば、それらの溶媒又は界面活性剤をカップリング反応
に先立って加えておき、カップリング反応終了後、熱処
理することによってもα型結晶からβ型結晶への変換が
可能である。
本発明において所望の結晶変換が完結しているかどう
かはX線回折スペクトルの測定によって確められる。
本発明の染料により染色し得る繊維類として例えばポ
リエチレンテレフタレート繊維、或いは木綿、絹、羊毛
などの天然繊維との混紡品、混織品が挙げられ、繊維の
染色を行うには通常ナフタレンスルホン酸、ホルマリン
縮合物、高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩などの分散剤の存在下、水性媒体中
で染料ケーキを微細に分散させ、染色浴又は捺染糊を調
製し、これを用いて浸染又は捺染処理を行うことが出来
る。
浸染の場合には、例えば高温染色法、キャリアー染色
法、サーモゾル染色法などの染色法を常法により適用出
来る。
本発明では前記式(I)の染料と他の構造を有する染
料とを併用しても差支えなく、また分散化の工程で種々
の配合剤を添加してもよい。
実施例 以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1. 濃硫酸18.5g及び40重量%ニトロシル硫酸16.2gの中に
2,4−ジニトロ−6−クロロ−アニリン10.9gを加え、30
±2℃で2時間攪拌し、2,4−ジニトロ−6−クロロア
ニリンのジアゾ液を得た。
一方、8重量%硫酸水溶液110g中に3−ジアリルアミ
ノ−4−(p−メトキシエトキシ)アセトアニリド15.2
gを溶解させ、次いで0゜以下に冷却し、ジアゾ化液を
滴下しカップリングを行った。反応終了後、過、水洗
して染料ケーキ23.0g(乾燥相当分)を得た。
このケーキの一部のX線回折図は第2図に示すような
無定型に近いα型結晶であった。
次いでこの染料ケーキを水500ml中に分散させ、攪拌
下60〜65℃1時間、加熱処理を行った。処理後ケーキを
過し、この一部をX線回折法に従って分析した結果第
1図に示すようなX線回折図を有するβ型結晶であっ
た。
実施例2. 実施例1と同様な方法で得たα型結晶の湿潤ケーキ21
g(乾燥相当分)とナフタレンスルホン酸ホルマリン縮
合物21g、ナフタレンスルホン酸・クレゾールスルホン
酸ホルマリン縮合物28g及び水300gの混合物を60〜65℃
に1時間加熱し、その一部を過、水洗の後減圧にて乾
燥した。得られた染料結晶のX線回折図は第1図と同様
でありβ型であった。この熱処理液をサンドグラインダ
ーで磨砕した後、噴霧乾燥した染料組成物3gを水3に
分散し、酢酸、酢酸ソーダでpH5に調整した染浴中にテ
トロン布100gを浸漬して130℃、60分間染色した。ソー
ピング、水洗、及び乾燥を行ったところ、均一に染着し
たネービー色の染布が得られた。
実施例3. 実施例2における結晶変換のための分散剤(ナフタレ
ンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸
・クレゾールスルホン酸ホルマリン縮合物)の代りにレ
オドールTW−O(花王アトラス製、ポリオキシエチレン
ソルビタン系ノニオン界面活性剤)7.5gを用いて実施例
2と同様の操作を行いβ型結晶を得た。
実施例4. 実施例2における結晶変換のための分散剤(ナフタレ
ンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸
・クレゾールスルホン酸ホルマリン縮合物)の代りにエ
チレングリコールモノメチルエーテル30gを用いて実施
例2と同様の処理を行いβ型結晶を得た。
実施例5. 実施例1と同様にしてカップリングを行い、その後、
ひきつづきカップリング液を60〜65℃にて1時間攪拌し
た。過、水洗によって得られた染料の結晶はβ型を示
した。
<比較試験> 試験に用いた染料組成物はα型及びβ型結晶を有する
染料を夫々21g、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物21g、ナフタレンスルホン酸・クレゾールスルホン酸
ホルマリン縮合物28gと供にサンドグラインドミルによ
り湿式粉砕後、真空乾燥して調製した。
得られた染料組成物の熱に対する安定性を比較するた
め、1)熱凝集性試験、2)ケーシングスポット試験を
行った。
実施例1におけるのと同じ方法で得たα型結晶及びβ
型結晶を有する染料ケーキにつき比較した結果を第1表
に示す。
各試験法の詳細は下記のとおりである。
1) 熱凝集性試験 分散化処理された染料組成物0.5gを水100ml中に分散
させ酢酸と酢酸ソーダによりpHを4.5に調整した染浴を
繊維を浸漬することなく(ブランク浴)60℃から40分か
けて130℃とし、同温度に10分保った後5分間で95℃迄
冷却し、定量紙(東洋紙No.5A)を用い、吸引過
して紙上の残渣の量と状態から判定した。
5級(良好)〜1級(不良)の5段階表示による。
2) ケーシングスポット試験 染料組成物0.6gを水180mlに分散し、酢酸、酢酸ソー
ダでpH4.5に調整した染浴中にテトロンジャージ10gを浸
漬して60℃から40分かけて(カラーペット染色機を使
用)130℃とし、同温度に10分保った後60℃迄冷却し、
被染物が被染物ホルダーに内接する部分に付着した凝集
物の状態から判定した。
5級(良好)〜1級(不良)の5段階表示による。
発明の効果 式(1)で示される染料につき分散化が容易で熱に安
定な結晶変態(β型結晶)がえられた。
このβ型結晶の染料を用いることによって再現性の良
好な染色結果がえられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は熱に安定なβ型結晶のX線回折図である。 第2図は熱に不安定なα型結晶のX線回折図である。横
軸は回折角2θ゜を示し、縦軸は回折強度を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cu−Kα線による粉末X線回折法において
    回折角(2θ)〔゜〕3.7に最も強いピークを持ち、回
    折角(2θ)〔゜〕8.6,21.4,24.4,25.6にやや強いピー
    クを持つX線回折図により特徴づけられる式(I)で示
    される染料の結晶変態。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の式(I)で
    示され、熱に対して不安定な結晶変態を有する染料を水
    中、又は水溶性有機溶媒、又はアニオン又はノニオン界
    面活性剤を含有する水中において40℃以上の温度で加熱
    することを特徴とするCu−Kα線による粉末X線回折法
    において回折角(2θ)〔゜〕3.7に最もピークを持
    ち、回折角(2θ)〔゜〕8.6,21.4,24.4,25.6にやや強
    いピークを持つX線回折図により特徴づけられる式
    (I)で示される染料の結晶変態の製造法。
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