JP2609722B2 - 建築用耐熱ボルトおよびナットとそれらの製造方法 - Google Patents

建築用耐熱ボルトおよびナットとそれらの製造方法

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JP2609722B2 JP1066748A JP6674889A JP2609722B2 JP 2609722 B2 JP2609722 B2 JP 2609722B2 JP 1066748 A JP1066748 A JP 1066748A JP 6674889 A JP6674889 A JP 6674889A JP 2609722 B2 JP2609722 B2 JP 2609722B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築、土木および海洋構造物等の分野におい
て、各種建造物に用いる建築用耐火鋼材の締結に使用す
る建築用耐熱ボルトおよびナットとそれらの製造方法に
関する。
(従来の技術) 周知の通り建築、土木および海洋構造物などの分野に
おける各種建造物用構築材として、一般構造用圧延鋼材
(JIS G 3101)、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)、
溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 3114)、高耐候
性圧延鋼材(JIS G 3125)および一般構造用炭素鋼鋼管
(JIS G 3444)、一般構造用角形鋼管(JIS G 3466)
(以下周知鋼材と云う)などが広く利用され、これら周
知鋼材の締結には、近時高力六角ボルト(F10T)(JIS
B 1186)、高力トルシア形ボルト(F10T)(JSS II 0
9)(以下単に周知ボルトと云う)などが広く用いられ
ている。
前記周知鋼材および周知ボルトは通常高炉によって得
られた溶鉄を、脱S、脱Pしたのち転炉精練を行い、連
続鋳造もしくは分塊工程において鋼片とし、ついで熱間
塑性加工することにより、所望の特性を備えたものとし
て製品化されるが、本発明における鋼片も同様な生産手
段によって製造する。
さて、各種建造物のうち、特に生活に密着したビルや
事務所および住居などの建造物に前記周知鋼材を用いる
場合は、火災における安全性を確保するため、充分な耐
火被覆を施すことが義務づけられており、建築関係諸法
令では、火災時に鋼材温度が350℃以上にならぬよう規
定している。
つまり、前記周知鋼材は、建造物に使用する場合350
℃程度で耐力が常温時の60〜70%になり、建造物の破壊
を引き起こす恐れがあるため、たとえば、一般構造用圧
延鋼材(JIS G 3101)に規定される形鋼を柱材とする建
造物の例では、その表面にスラグウール、ロックウー
ル、ガラスウール、アスベストなどを基材とする吹き付
け材やフエルトを展着するほか、防火モルタルで包被す
る方法および前記断熱材層の上に、さらに金属薄板即ち
アルミニウムやステンレススチール薄板等で保護する方
法など耐火被覆を入念に施し火災時における熱的損傷に
より該鋼材が載荷力を失うことのないようにして利用す
る。
そのため、鋼材費用に比し耐火被覆施工費が高額にな
り、建設コストが大幅に上昇することを避けることがで
きない。
そこで、構築材として丸あるいは角鋼管を用い、冷却
水が循環するように構成し、火災時における温度上昇を
防止し載荷力を低下させない技術が提案され、ビルの建
設コストの引き下げと利用空間の拡大が図られている。
たとえば、実公昭52−16021号公報には、建築物の上部
に水タンクを置き、中空鋼管からなる柱材に冷却水を供
給する耐火構造建造物が開示されている。
前述のように建造物に周知鋼材を利用する場合、価格
は安いが、高温特性が低いため無被覆や軽被覆で利用す
ることができず割高な耐火被覆を施さねばならないため
建設コストを高くすると共に建造物の利用空間を狭く
し、経済効率を低下させると云う課題があり、一方耐火
性能の向上をねらいとして、中空鋼材を用いて強制冷却
する方法は、構造が複雑になるため設計、施工費に加え
て設備費が嵩むことと保守整備費も高額になると云う課
題がある。また、ステンレススチールに代表されるよう
な周知の耐熱鋼材は価格が非常に高いため、高温特性は
良好であるが、生産技術や施工技術面に加えて経済的な
面で構築材としての利用は非常に困難である。
而して、近時建築物の高層化が進展し、設計技術の向
上とその信頼性の高さから、耐火設計について見直しが
行われ、昭和62年建築物の新耐火設計法が発表されるに
至り、前述の350℃の温度制限によることなく、鋼材の
高温強度と建物に実際に加わっている荷重により耐火被
覆の能力を決定できるようになり、場合によっては無被
覆で鋼材を使用することも可能になった。
しかしながら、耐火性の優れた建築用鋼材として経済
的価格で市場に供給できるような鋼材は現在存在しな
い。
そこで、本発明者等は高温特性が優れ、かつ経済的価
格で市場に供給しうる耐火性の優れた鋼とその製造方法
および前記鋼を加工してなる鋼材およびその製造方法な
らびに耐火性能を付与した鋼材(以下耐熱鋼材と云う)
を開発し、先に出願した。
而して、前記耐熱鋼材は、重量比で、C 0.04〜0.15
%、Si 0.6%以下、Mn 0.5〜1.6%、Nb 0.005〜0.04
%、Mo 0.4〜0.7%、Al 0.1%以下、N 0.001〜0.00
6%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる耐
火性の優れた建築用低降伏比鋼、および重量比で、C
0.04〜0.15%、Si 0.6%以下、Mn 0.5〜1.6%、Nb
0.005〜0.04%、Mo 0.4〜0.7%、Al 0.1%以下、N
0.001〜0.006%に加えてTi 0.005〜0.10%、Zr 0.005
〜0.03%、V 0.005〜0.10%、Ni 0.05〜0.5%、Cu
0.05〜1.0%、Cr 0.05〜1.0%、B 0.0003〜0.002
%、Ca 0.0005〜0.005%、REM 0.001〜0.02%のうち
1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不
純物からなる耐火性の優れた建築用低降伏比鋼であっ
て、該鋼材は600℃での高温耐力が常温時の70%以上と
なる鋼材であり、高価な添加元素の量が少なく、かつ耐
火被覆を薄くすることが可能で、さらに火災荷重が小さ
い場合は無被覆で使用することができる極めて経済価値
の高い耐熱鋼材である。
しかして、前述の耐熱鋼材を用いて建造物を構築する
にあたり、前記高力六角ボルト(F10T)(JIS B 118
6)、高力トルシア形ボルト(F10T)(JSS II 09)など
周知ボルトが用いられているが、通常それらの締結部は
耐火性を持たせるため、入念な耐火被覆が施されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、火災時における鋼材強度について研究
の結果、無被覆使用を目標とした場合、火災時の最高到
達温度が1000℃であることから、鋼材が該温度で常温耐
力の70%以上の耐力を備えるためには、やはり高価な金
属元素を多量に添加せねばならず、経済性を失すること
を知った。
つまり、周知の鋼材費とそれに加え耐火被覆を施工す
る費用以上に鋼材単価が高くなり、そのような鋼材は実
際的に利用することができない。
そこで、さらに研究を進めた結果、前述のように600
℃の高温耐力が常温時の2/3以上となる鋼材が最も経済
的であることをつきとめ、高価な添加元素の量を少なく
し、かつ耐火被覆を薄くすることが可能で、火災荷重が
小さい場合は無被覆で使用することができる前記耐火鋼
材を開発した。
ところで、前記耐火鋼材の長所を十分に発揮させるに
は、常温時、高温時ともに、十分な強度を備えた結合用
のボルトおよびナットが必要であり、かつ、それらボル
トおよびナットは、経済的な多量生産が可能であること
が望ましい。ところで、建築に際して前記耐熱鋼材を締
結するボルトやナットに前述の周知ボルトを利用した場
合、火災時における高温特性が低いために、軽耐火被覆
や無被覆では損傷の起点となり、前記耐熱鋼材の利点を
発揮することができないと云う課題がある。
その点につき、図を用いて、さらに詳細に説明する。
第2図は、横軸に温度(℃)、縦軸に耐力(kgf/m
m2)をとり、母材(JIS G 3106に規定されるSM50A)の
耐力(4%歪み時)および(2%歪み時)と高力ボルト
(JIS B 1186に規定される2種F10Tに適合する日鐵ボル
テン株式会社製高力ボルト商品名Bolten110N(規格N
O))の剪断耐力を比較したグラフであって、500℃を超
えるとSM50AとBolten110Nの耐力低下の著しいことが判
る。
さて、そこで前述のような耐熱鋼材のみを開発して
も、前記Bolten110Nを使用する限り、耐熱鋼材の効果は
発揮できない。それを第3図のグラフに従って説明す
る。
第3図は、横軸に温度(℃)、縦軸に耐力(kgf/m
m2)をとり、母材(前述の耐熱鋼材をSM50A−NFRと略称
し、板厚32mm,12mmの2種を選定する)の耐力(4%歪
み時)および(2%歪み時)と高力ボルト(前述のBolt
en110N)の剪断耐力を比較したグラフであって、500℃
を超えるとSM50A−NFRに比しBolten110Nの耐力低下が著
しくSM50A−NFRの効果が全く発揮できないことが判る。
本発明の目的は、該耐熱鋼材の締結にあたり十分な強
度を備え、かつ火災時における高温特性が高く、前記耐
熱鋼材の特性を発揮せしめ経済的な利用を可能とする特
質を備えた建築用耐熱ボルトおよびナットとそれらの製
造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は前述の課題を克服し、目的を達成するもの
で、その要旨とするところは次のとおりである。
(1) 重量比で、 C 0.15〜0.30%、 Si 0.5%以下、 Mn 0.6〜1.50%、 Mo 0.25%以上、0.50%未満、 Cr 0.50〜2.00%、 Al 0.10%以下、 P 0.05%以下、 S 0.05%以下 残部がFeおよび不可避不純物からなる建築用耐熱ボル
ト。
(2) 重量比で、 C 0.15〜0.30%、 Si 0.5%以下、 Mn 0.6〜1.50%、 Mo 0.25%以上、0.50%未満、 Cr 0.50〜2.00%、 Al 0.10%以下、 P 0.05%以下、 S 0.05%以下 残部がFeおよび不可避不純物からなる建築用耐熱ナッ
ト。
(3) 重量比で、更に、 Cu 0.20〜0.55%、 Ni 0.01〜0.65%、 V 0.02〜0.15%、 W 0.10〜0.30%のうちの1種もしくは2種を含み 残部がFeおよび不可避不純物からなる請求項1記載の
建築用耐熱ボルト。
(4) 重量比で、更に、 Cu 0.20〜0.55%、 Ni 0.01〜0.65%、 V 0.02〜0.15%、 W 0.10〜0.30%のうちの1種もしくは2種を含み 残部がFeおよび不可避不純物からなる請求項2記載の
建築用耐熱ナット。
(5) 請求項1あるいは3記載の鋼成分からなる鋼片
を冷間成形、ねじ転造工程によりボルト素材としたのち
810〜950℃の温度領域から液冷急速焼入し、ついで650
〜540℃に再加熱して焼戻すことを特徴とする建築用耐
熱ボルトの製造方法。
(6) 請求項2あるいは4記載の鋼成分からなる鋼片
を熱間成形し、ナット素材としたのち810〜950℃の温度
領域から液冷急速焼入し、ついで700〜600℃に再加熱し
て焼戻ししたのち表面研磨を施し、ついで、ねじ切り加
工することを特徴とする建築用耐熱ナットの製造方法。
(作用) 本発明は、高温時の特性のみならず、常温時の特性も
JSS II 09構造用トルシア形高力ボルトル・六角ナット
に定められた特性を満足する建築用耐熱ボルトおよびナ
ットを提供するものであり、そのための必須の成分元素
と添加量について説明する。
Cは、強度確保のために必要な元素であるが、0.15%
以下では強度に不安が生じ、0.30%を超えると加工性が
悪くなって品質的に問題がある。従ってC量の上下限が
0.15%〜0.30%となる。
つぎに、Siは脱酸に必要な元素であるが、Siが多くな
ると酸化物による品質欠陥の恐れがあるため、その上限
を0.5%とすることが望ましい。
さらに、Mnは強度、靭性を確保する上で不可欠の元素
であり、0.6%未満では、本発明の目的とする強度が得
られない。しかしMn量が多すぎると加工性が著しく悪く
なって、経済性を失うので、Mn量の上下限は0.6%〜1.5
0%に限定される。
また、Moは0.25%未満では本発明の目的とする高温強
度が発現せず、0.50%以上では加工性に問題が生じて良
好な製品が得られないので、Mo量は0.25%以上、0.50%
未満とする。
さらに、Crについては、強度と焼き入れ性を良くする
ために必要な元素であるが、0.50%未満では効果が薄
い、しかし2.0%をこえると、加工に際して、割れが発
生し易いなど難点が出る。
従って、Cr量は0.50%〜2.0%に限定する。
また、Alは一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、
Siによっても脱酸は行なわれるので、本発明ではAlにつ
いて下限は限定しない。しかしAl量が多くなると鋼の清
浄度が悪くなり、品質が劣化するので上限を0.1%とし
た。
なお、本発明では、不純物として少量のPおよびSを
含有することは差し支え無い。
つまり、PおよびS量をたとえば0.01%〜0.001%程
度に少なくするには、精練費用が著しく高騰し経済的で
ない。即ちP,Sは高温強度に与える影響が小さいので、
その量について0.05%以下であれば本発明の場合問題が
ないので、PおよびS量については、それぞれ0.05%以
下とする。
また、前述の基本的成分に加えて、選択的に添加する
元素としてCu 0.20〜0.55%、Ni 0.01〜0.65%、V
0.02〜0.15%、W 0.10〜0.30%のうちの1種もしくは
2種以上を添加するが、まずCuは耐候性を高め、材料の
寿命を延長する効果があるものの0.20%以下では添加の
効果が薄く、0.55%を超えると塑性加工に際して赤熱脆
性が生じて加工が困難になる。
つぎに、Niは強度と耐候性向上のため添加するが、0.
01%以下では添加効果が低く、0.65%を超えると冷間塑
性加工性が低下して経済的にも、品質的にも望ましく無
い。しかしCuを添加する場合にはCuによる赤熱脆性を防
止する効果があるので、CuとNiは同時添加が望ましい。
さらに、Vは結晶粒の粗大化を防止するとともに、耐
候性を高める効果があるが、0.02%以下では効果が薄
く、また、0.15%を超えると目的に対して経済性が無く
なる。
Wは高温における耐力の向上に効果的で、また耐候性
を高めるが0.10%以下では効果が無く、0.30%を超える
と冷間加工性が悪くなり経済性を失する。
以上説明したとおり、本発明では選択的に添加する元
素としてCu,Ni,V,Wを用い、経済性を考慮してそれぞれ
の1種もしくは2種以上を適宜に添加するが、いずれも
高値な元素であるため、本発明の目的とする特性を満足
する限度において、少量の添加が望ましい。
さて、本発明鋼(ボルト用)の基本的成分は前述のと
おりで、本発明の目的を達成できることを下記第1表に
示す比較鋼との対比に従って説明する。
第1表に示す比較鋼は、Moを含有していないため、60
0℃における高温度領域において、本発明鋼の耐力(kgf
/mm2)が35.8前後の価を有するのに比して14.8程度と低
く、さらに、同様に600℃における高温度領域におい
て、本発明鋼が引張強さ(kgf/mm2)49.8程度であり、
伸び(%)も27程度の価を有するのに対して、比較鋼の
それは29.3および58前後の価を示し、本発明鋼が高温度
領域で十分な強度を備えているのに対して、周知のボル
トに用いられている比較鋼は高温度での強度が低く、本
発明のような用途には全く利用することができない。
さらに、本発明鋼(ナット用)について、その基本的
成分を下記第2表に示す比較鋼との対比に従って説明す
る。
前記第2表に示す比較鋼の高温度領域おける機械的特
性も、第1表の場合と同様に本発明鋼に比して、著しく
低く本発明のような用途には利用することができないき
ことが判明した。
さて、本発明の建築用耐熱ボルトおよびナットは、前
述の特性を有するので、前記耐熱鋼材SM50A−NFRの利用
と相埃って相乗効果を十分に発揮することが可能であ
る。
それを、以下図面に従って説明する。
第1図は、横軸に温度(℃)、縦軸に耐力(kgf/m
m2)をとり、母材(前述の耐熱鋼材をSM50A−NFRと略称
し、板厚32mm,12mmの2種を選定する)の耐力(4%歪
み時)および(2%歪み時)と本発明にかかる高力ボル
ト(Bolten110N−FRと略称する)の剪断耐力(第1図〜
第3図のグラフでは設計時の母材許容応力度/高力ボル
ト許容剪断応力度[摩擦接合]を考慮した値とし1.46倍
して表示している)を比較したグラフであって、常温時
は勿論のこと500℃を超え700℃までSM50A−NFRとBolten
110N−FRの耐力は著しく高く、SM50A−NFRとBolten110N
−FRの相乗効果により目的の1つとする耐熱鉄骨構造物
が具現化できることは明白である。
第3表に前記高力ボルトBolten110N−FRとBolten110N
につき剪断強度(kgf/mm2)を温度別に表示した。
前記第1図〜第3図および第3表〜第5表からも明ら
かなように、耐熱鋼材SM50A−NFRとBolten110Nとの組み
合わせでは、高温領域においてボルトが切断し、SM50A
とBolten110Nとの組み合わせでは、母材が高温に耐え切
れず、SM50A−NFRとBolten110N−FRの組み合わせのみ
が、建築物の耐火性能を保証する。
つぎに、本発明にかかる建築用耐熱ボルトBolten110N
−FRとナットの製造方法について、説明する。
さて、本発明においても、周知ボルトの製造方法と同
様に、本発明の目的に適合した成分組成を有する耐熱鋼
材を冷間成形したのち、ねじ転造工程によりボルト素材
とし、ついで変態点以上の高温域に加熱し、急速焼入し
たあと、焼き戻す方法を採用するが、本発明では水もし
くは油冷(液冷と略称する)において焼入開始温度を81
0〜950℃に限定するものであり、その理由は目的とする
機械的特性即ち硬さ及び強度を付与するためで、810℃
未満では準安定相が得られず、950℃を超えると靭性及
び粘性において不安が生ずるためである。
また、前記焼入後650〜540℃に再加熱して焼き戻す手
段を採用するのは、焼入によって生じた準安定相を安定
相に変化させ、変形や割れの発生を防ぎ、目的とする強
靭性を付与するためで、650℃を超える温度では割れ発
生の懸念があり、540℃未満では強靭性に欠ける恐れが
多いためである。
つぎに、本発明に関する耐熱ナットの製造方法である
が、本発明においても、周知ナットの製造方法は同様
に、本発明の目的に適合した成分組成を有する耐熱鋼材
を熱間成形したのち、変態点以上の高温域に加熱し、急
速焼入したあと、焼き戻しを行い、さらに表面研磨を施
し、ついで機械的な方法でねじ切りを行う方法を採用す
るが、本発明では液冷において焼入開始温度を810〜950
℃に限定するものであり、その理由は耐熱ボルトと同様
目的とする機械的特性即ち硬さ及び強度を付与するため
で、810℃未満では準安定相が得られず、950℃を超える
と靭性及び粘りにおいて不安が生ずるためである。
また、焼戻温度を700〜600℃に限定する理由は、700
℃を超える温度では硬度が高くなりすぎて、割れ発生の
懸念があり、600℃未満では強靭性と粘りに欠ける製品
となる恐れが多いためである。
(実 施 例) つぎに、本発明にかかる熱処理と機械的特性を、比較
例と対比して下記第6表、第7表(常温特性)に示す。
なお、試験片はJISZ2201に規定する4号試験片を用
い、製品の引張試験における引張強さは、引張荷重をね
じの有効断面積で除した値である。
なお、第6表、第7表における鋼種は第1表に記載し
た鋼と同一のものである。
さらに、第8表においてボルトの高温時(600℃)の
機械的特性比較を示し、 また、第9表に本発明にかかるナットと比較例ナット
の高温時(600℃)における機械的特性比較を示す。
第7表〜第9表から明らかなように、本発明にかかる
耐熱ボルトおよびナットは高温時の特性が良好であるの
みならず、常温時の特性も優れており、建築用として、
優れた特質を備えている。
即ち、周知の高力六角ボルト(F10T)(JIS B 1186)
や高力トルシヤ形ボルト(F10T)(JSS II 09)と同様
に利用できるほか前述のとおり、該周知ボルトに無い高
温時耐力を備えており、しかも製造方法も経済的で周知
ボルトに比しコストは高くならない利点を有する。
さて、つぎに本発明における実施例鋼種を第10表に、
また第11表に各温度域における機械的特性(0.2%歪)
の例を示す。
(発明の効果) 本発明の建築用耐熱ボルトおよびナットは、前述のよ
うに高温特性が非常に優れており、また常温特性も極め
て良好であるため、耐熱鋼材を素材とする各種形鋼およ
び管材や棒鋼などの鋼鉄建築材の耐火性能を補完し、そ
の利点を十分に発揮させることが可能である。
また、製造方法も経済的で、従来法に比して、格別の
コスト高にならないため、実用効果が著しく高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は耐熱鋼材からなる母材の耐力と本発明にかかる
高力ボルトの剪断耐力を比較した、第2図は従来鋼を素
材とする母材の耐力と高力ボルトの剪断耐力を比較した
グラフ、第3図は耐熱鋼材からなる母材の耐力と高力ボ
ルトの剪断耐力を比較したグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 隆三 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式會社君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭60−155644(JP,A) 特公 昭46−34306(JP,B1) 特公 昭36−508(JP,B1) 特公 昭54−41982(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で、 C 0.15〜0.30%、 Si 0.5%以下、 Mn 0.6〜1.50%、 Mo 0.25%以上、0.50%未満、 Cr 0.50〜2.00%、 Al 0.10%以下、 P 0.05%以下、 S 0.05%以下 残部がFeおよび不可避不純物からなる建築用耐熱ボル
    ト。
  2. 【請求項2】重量比で、 C 0.15〜0.30%、 Si 0.5%以下、 Mn 0.6〜1.50%、 Mo 0.25%以上、0.50%未満、 Cr 0.50〜2.00%、 Al 0.10%以下、 P 0.05%以下、 S 0.05%以下 残部がFeおよび不可避不純物からなる建築用耐熱ナッ
    ト。
  3. 【請求項3】重量比で、更に、 Cu 0.20〜0.55%、 Ni 0.01〜0.65%、 V 0.02〜0.15%、 W 0.10〜0.30%のうちの1種もしくは2種を含み 残部がFeおよび不可避不純物からなる請求項1記載の建
    築用耐熱ボルト。
  4. 【請求項4】重量比で、更に、 Cu 0.20〜0.55%、 Ni 0.01〜0.65%、 V 0.02〜0.15%、 W 0.10〜0.30%のうちの1種もしくは2種を含み 残部がFeおよび不可避不純物からなる請求項2記載の建
    築用耐熱ナット。
  5. 【請求項5】請求項1あるいは3記載の鋼成分からなる
    鋼片を冷間成形、ねじ転造工程によりボルト素材とした
    のち810〜950℃の温度領域から液冷急速焼入し、ついで
    650〜540℃に再加熱して焼戻すことを特徴とする建築用
    耐熱ボルトの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項2あるいは4記載の鋼成分からなる
    鋼片を熱間成形し、ナット素材としたのち810〜950℃の
    温度領域から液冷急速焼入し、ついで700〜600℃に再加
    熱して焼戻ししたのち表面研磨を施し、ついで、ねじ切
    り加工することを特徴とする建築用耐熱ナットの製造方
    法。
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