JPH0610040A - 溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法 - Google Patents
溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法Info
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- JPH0610040A JPH0610040A JP3235111A JP23511191A JPH0610040A JP H0610040 A JPH0610040 A JP H0610040A JP 3235111 A JP3235111 A JP 3235111A JP 23511191 A JP23511191 A JP 23511191A JP H0610040 A JPH0610040 A JP H0610040A
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Abstract
度鋼板の製造法を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.05〜0.12%、S
i:0.6%以下、Mn:0.8〜2.0%、Mo:
0.05〜0.2%、Nb:0.003〜0.02%、
Ti:0.005〜0.03%、あるいはさらにNi,
Cu,Cr,V,Zr,Ca,REMの一種または二種
を含有した鋼片を1000℃以上1200℃に再加熱
後、900℃以下の累積圧下率が50%以上で圧延を終
了した後、Ar3−20℃以上から200℃以下まで3
〜40℃/秒で冷却し、ベイナイト主体の組織とした
後、Ac1 以下で焼戻す溶接部の低温靭性に優れた耐火
高強度鋼板の製造法。
Description
物等の分野における、各種構造物に用いる溶接部の低温
靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法に関する。
ける各種構造物用構築材として、一般構造用圧延鋼材
(JIS G 3101)、溶接構造用圧延鋼材(JI
S G3106)、溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(J
IS G 3114)、高耐候性圧延鋼材(JIS G
3444)、一般構造用角形鋼板(JIS G 34
66)等が広く利用されている。
居等の建造物に前記周知鋼材を用いる場合、火災におけ
る安全性を確保するため十分な耐火被覆を施すことが義
務づけられており、建築関係諸法令では火災時に鋼材温
度が350℃以上にならぬように規定している。
50℃程度で耐力が常温時の60〜70%になり建造物
の倒壊を引き起こす恐れがあるため、例えば一般構造用
圧延鋼材(JIS G 3101)に規定される形鋼を
柱材とする構造物の例では、その表面にスラグウール、
ガラスウール、アスベスト等を基材とする吹き付け材や
フェルトを展着するほか、防火モルタルで包皮する方法
及び前記断熱材層の上に、さらに金属薄板すなわちアル
ミニウムやステンレス薄板で保護する方法等、耐火被覆
を入念に施し火災時における熱的損傷により該鋼材が載
荷力を失うことのないようにして利用する。
額になり、建築コストが大幅に上昇することを避けるこ
とができない。そこで、構築材として丸あるいは角鋼管
を用い冷却水が循環するように構成し、火災時における
温度上昇を防止し載荷力を低下させない技術が提案さ
れ、ビルの建築コストの引き下げと利用空間の拡大が図
られている。
は、建築物の上部に水タンクを置き中空鋼管からなる柱
材に冷却水を供給する耐火構造建造物が開示されてい
る。また、特開平3−126816号公報では、一定量
のMoの添加とC/Mn比の制限及び焼入性の確保によ
りミクロ組織をベイナイトとして、600℃の高温強度
が常温強度の70%以上確保できることが示されてい
る。
は低いが、S−Sカーブは明確な降伏点は見られずラウ
ンド型となる。そしてこの鋼は見かけ上の降伏比は低い
が耐震性に十分でないことが明らかにされている。また
焼入性を確保するために合金元素の添加量が多くなり、
溶接性が損なわれるためにとくに氷海域で使用される海
洋構造物用鋼板としては低温靭性が十分ではない。
部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法を提供する
ものである。
でC:0.05〜0.12%、Si:0.6%以下、M
n:0.8〜2.0%、Mo:0.05〜0.2%、N
b:0.003〜0.02%、Al:0.1%以下、T
i:0.005〜0.03%、N:0.006%以下、
残部がFe及び不可避的不純物を含む鋼片を1000〜
1200℃の温度域で再加熱後、900℃以下の累積圧
下率が50%以上の圧延を行なった後、Ar3 −20℃
以上の温度から3〜40℃/秒の冷却速度で200℃以
下の温度まで冷却しベイナイト主体の組織とした後、A
c1 以下の温度で焼戻すこと、及びC:0.05〜0.
12%、Si:0.6%以下、Mn:0.8〜2.0
%、Mo:0.05〜0.2%、Nb:0.003〜
0.02%、Al:0.1%以下、Ti:0.005〜
0.03%、N:0.006%以下に加えて、Ni:
0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、C
r:0.05〜0.5%、V:0.005〜0.05
%、Zr:0.005〜0.03%、Ca:0.000
5〜0.005%、REM:0.001〜0.005%
の一種または二種以上、残部がFe及び不可避的不純物
を含む鋼片を1000〜1200℃の温度域で再加熱
後、900℃以下の累積圧下率が50%以上の圧延を行
なった後、Ar3 −20℃以上の温度から3〜40℃/
秒の冷却速度で200℃以下の温度まで冷却しベイナイ
ト主体の組織とした後、Ac1 以下の温度で焼戻すこと
である。
らは、600℃での高温耐力が常温時の70%以上とな
る耐火性の優れた鋼の製造法を見いだしてきた。例えば
特開平2−77523号公報では0.4〜0.7%の範
囲のMoと0.005〜0.04%の範囲のNbを添加
した鋼片を高温加熱−高温圧延する耐火鋼材の製造法が
示されている。
は、0.2〜1.0%の範囲のMo添加とC/Mn比の
制限及び焼入性の確保によりミクロ組織をベイナイトと
した耐火鋼材の製造法が示されている。
0.2〜0.7%の範囲のMo添加とAr3 −20℃以
下からの冷却による低降伏比を有する耐火鋼材の製造法
が示されている。
高温強度を満足させるためには必然的にMoの添加量を
多くしなければならず、このような場合、溶接性とくに
溶接熱影響部(HAZ)の低温靭性は必ずしも十分であ
るとは言えない。そこで低温靭性を損なうことなく、高
温強度を確保するための適正な化学成分及び圧延条件を
鋭意検討し本発明に至った。
6)に規定する性能を満足し、かつ600℃の高温にお
いて高い耐力を維持せしめるためには、鋼成分と共に鋼
の再加熱及び圧延にかかる条件が重要である。
た鋼片を再加熱した後に圧延を行い、Ar3 −20℃以
上の温度から冷却しベイナイト主体の組織とすることに
より、耐火性と優れたHAZ靭性を同時に得ることにあ
る。
溶体強化によって高温強度を増加させる。このためにM
oは耐火性を確保するために必須の元素である。またN
bとの複合添加によりその効果は著しく向上する。しか
しながらMo量が多すぎると溶接性が著しく損なわれH
AZ靭性も劣化するので、Mo量の上限は0.2%とす
る必要がある。
ためには、60%超のベイナイトを有する組織にするこ
とが有効である。60%超のベイナイトと低温靭性の確
保は加熱・圧延条件を規定することにより達成できる。
より高温強度は増加するので、Mo添加量の下限は0.
05%以上とする必要がある。また高温強度の増加と未
再結晶域圧延による組織の微細化で低温靭性を確保させ
るためには、Nbは0.003%以上の添加が必要であ
る。ただし過度のNb添加は低温靭性を損なうのでその
上限は0.02%とする必要がある。
た鋼板を圧延する条件も重要である。Mo添加による高
温強度の増加を図るには、Moを再加熱時に溶体化させ
る必要がある。このため再加熱温度の下限を1000℃
とする。再加熱温度が高すぎると結晶粒が大きくなって
低温靭性が劣化するので、その上限は1200℃にしな
ければならない。
50%以上とすることが必須である。これは組織を微細
化し、優れた低温靭性を確保するためである。50%未
満では組織の微細化効果が少なく、優れた低温靭性は得
られない。
20℃以上の温度から3〜40℃/秒の冷却速度で、2
00℃以下の温度まで冷却しなければならない。Ar3
−20℃以下の温度から冷却した場合には、フェライト
主体の組織となり十分な高温強度を満足できないからで
ある。冷却速度を3℃/秒以上とするのは、組織をベイ
ナイト化するために必要な最小の冷却速度である。また
40℃/秒を超える冷却速度で冷却した場合には、マル
テンサイトが多量に生成し、十分な高温強度が確保でき
ないからである。
がある。これは冷却中に生成した島状マルテンサイトな
どの低温変態生成物を焼戻して、低温靭性を確保するた
めである。
成分限定理由について説明する。Cは本発明鋼のように
ベイナイト主体の組織では、高温強度に対して重要な元
素であり、0.05%以上の添加により高温強度は増大
する。このため下限は0.05%とする。またC量が多
すぎるとHAZの低温靭性に悪影響を及ぼすので0.1
2%を上限とする。
多くなると溶接性、HAZ靭性が劣化するため、その上
限を0.6%とした。
元素であり、その下限は0.8%である。しかしMn量
が多すぎると焼入性が増加して溶接性、HAZ靭性が劣
化するためMnの上限を2.0%とした。
るが、Si及びTiによっても脱酸は行なわれるので本
発明鋼については下限は限定しない。しかしAl量が多
くなると鋼の清浄度が悪くなり、溶接部の靭性が劣化す
るので上限を0.1%とした。
上させる。Al量が少ない場合、Tiの酸化物を形成し
HAZ靭性を向上させるが、0.005%未満では効果
がなく、0.03%を超えるとHAZ靭性に好ましくな
い影響があるため0.005〜0.03%に限定する。
まれるものであるが、N量が多くなるとHAZ靭性の劣
化や連続鋳造スラブの表面キズの発生等を助長するの
で、その上限を0.006%とした。
及びSを含有する。P,Sは高温強度に与える影響は小
さいのでその量について特に限定しないが、一般に靭
性、板厚方向強度等に関する鋼の特性は、これらP,S
元素の量が少ないほど向上する。望ましいP,S量はそ
れぞれ0.02%,0.005%以下である。
りであるが、本発明鋼は用途が厳しい条件(溶接部に優
れた低温靭性が要求)での適用を考慮しており、以下に
述べる元素即ちNi,Cu,Crを選択的に添加するこ
とにより特性の向上を図っている。
すことなく、母材の強度、靭性を向上させるが、0.0
5%未満では効果がなく、0.5%超の添加はきわめて
高価になるために経済性を失うので、0.05〜0.5
%の範囲に限定した。
Cu析出物による高温強度の増加や耐食性、耐候性の向
上にも効果を有する。しかし、0.05%未満では効果
がなく、0.5%を超えると熱間圧延時にCu割れが発
生するために0.05〜0.5%の範囲に限定した。
であるが、0.05%未満の添加量では効果がなく、C
r量が0.5%を超えると溶接性やHAZ靭性を劣化さ
せるため、0.05〜0.5%の範囲に限定した。
を向上させる。しかし、0.005%未満では、その効
果が薄く、0.05%超では溶接部の靭性を害するため
0.005〜0.05%に限定する。
効果が有効な範囲は0.005〜0.03%である。
制御し、溶接部のラメラーテアの改善や耐水素有機割れ
性の改善に効果を発揮するほか、シャルピー吸収エネル
ギーを増加させ、低温靭性を向上させる効果がある。
用上効果がなく、0.005%を超えるとCaO,Ca
Sが多量に生成して大形介在物となり、鋼の靭性のみな
らず清浄度も害し溶接性、耐ラメラーテア性にも悪影響
を与えるので、Ca添加量の範囲を0.0005〜0.
005%とする。
あり、添加量を多くするとCaと同様な問題を生じ、さ
らに経済性も悪くなるのでREM量の下限を0.001
%、上限を0.005%とした。
を製造し、常温と600℃の強度及びHAZ靭性を調査
した。HAZ靭性は再現熱サイクル試験により調査し
た。表1の1〜23に本発明鋼、24〜32に比較鋼の
化学成分を示す。表2に本発明鋼と比較鋼の鋼板製造条
件とその機械的性質を示す。
ベイナイト分率が50%超で、600℃の降伏強度が常
温の降伏強度の70%以上を有しているとともに、優れ
たHAZ靭性が得られている。
るため、600℃の降伏強度は十分であるがHAZ靭性
が著しく劣化している。比較鋼25ではMo量が少ない
ため、600℃の降伏強度が低く、常温の降伏強度に対
する600℃の降伏強度の割合が70%に達しない。比
較鋼26では再加熱温度が低いために、Moが十分固溶
せず高温強度が低い。比較鋼27では再加熱温度が高す
ぎるために母材及びHAZ靭性が劣化する。比較鋼28
では900℃以下での累積圧下率が50%未満であるた
めに、母材及びHAZ靭性が劣化する。比較鋼29では
冷却開始温度が低いために、ミクロ組織中に占めるフェ
ライト分率が多くなり、ベイナイト分率が低下するため
に高温強度が低い。比較鋼30では冷却速度が小さいた
めにベイナイト分率が低く、高温強度が低い。比較鋼3
1では冷却速度が大きすぎるために、ベイナイト分率が
低く、高温強度が低い。比較鋼32では冷却停止温度が
高すぎるために高温強度が低い。
厚鋼板、形鋼、棒鋼などの鋼材は600℃の降伏強度が
高く且つ、優れた低温靭性を有する鋼であり、建築、土
木、海洋構造物分野における構造物の安全性を大きく高
めることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比で C :0.05〜0.12%、 Si:0.6%以下、 Mn:0.8〜2.0%、 Mo:0.05〜0.2%、 Nb:0.003〜0.02%、 Al:0.1%以下、 Ti:0.005〜0.03%、 N :0.006%以下、 残部がFe及び不可避的不純物を含む鋼片を1000〜
1200℃の温度域で再加熱後、900℃以下の累積圧
下率が50%以上の圧延を行なった後、Ar3−20℃
以上の温度から3〜40℃/秒の冷却速度で200℃以
下の温度まで冷却しベイナイト主体の組織とした後、A
c1 以下の温度で焼戻すことを特徴とする溶接部の低温
靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法。 - 【請求項2】 重量比で Ni:0.05〜0.5%、 Cu:0.05〜0.5%、 Cr:0.05〜0.5%、 V :0.005〜0.05%、 Zr:0.005〜0.03%、 Ca:0.0005〜0.005%、 REM:0.001〜0.005%、 の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求
項1記載の溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製
造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3235111A JPH0737646B2 (ja) | 1990-11-08 | 1991-09-13 | 溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法 |
Applications Claiming Priority (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30356490 | 1990-11-08 | ||
JP30356390 | 1990-11-08 | ||
JP2-303562 | 1990-11-08 | ||
JP2-303563 | 1990-11-08 | ||
JP30356290 | 1990-11-08 | ||
JP2-303564 | 1990-11-08 | ||
JP3235111A JPH0737646B2 (ja) | 1990-11-08 | 1991-09-13 | 溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0610040A true JPH0610040A (ja) | 1994-01-18 |
JPH0737646B2 JPH0737646B2 (ja) | 1995-04-26 |
Family
ID=27477613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3235111A Expired - Lifetime JPH0737646B2 (ja) | 1990-11-08 | 1991-09-13 | 溶接部の低温靭性に優れた耐火高強度鋼の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0737646B2 (ja) |
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- 1991-09-13 JP JP3235111A patent/JPH0737646B2/ja not_active Expired - Lifetime
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