JPH0713251B2 - 耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法 - Google Patents
耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法Info
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- JPH0713251B2 JPH0713251B2 JP2072566A JP7256690A JPH0713251B2 JP H0713251 B2 JPH0713251 B2 JP H0713251B2 JP 2072566 A JP2072566 A JP 2072566A JP 7256690 A JP7256690 A JP 7256690A JP H0713251 B2 JPH0713251 B2 JP H0713251B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築、土木及び海洋構造物等の分野における、
各種構造物に用いる耐火性と溶接性の優れた低降伏比鋼
の製造方法に関する。
各種構造物に用いる耐火性と溶接性の優れた低降伏比鋼
の製造方法に関する。
(従来の技術) 周知の通り建築、土木及び海洋構造物等の分野における
各種構造物用構築材として、一般構造用圧延鋼材(JIS
G 3101)、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)、溶接構
造用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 3114)、高耐候性圧延
鋼材(JIS G 3444)、一般構造用角形鋼板(JIS G 346
6)等が広く利用されている。
各種構造物用構築材として、一般構造用圧延鋼材(JIS
G 3101)、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)、溶接構
造用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 3114)、高耐候性圧延
鋼材(JIS G 3444)、一般構造用角形鋼板(JIS G 346
6)等が広く利用されている。
前記周知鋼材は、通常高炉によって得られた溶銑を脱S,
脱Pしたのち転炉精錬を行ない、連続鋳造もしくは分塊
工程において鋼片とし、ついで熱間塑性加工することに
より、所望の特性を備えたものとして製品化される。
脱Pしたのち転炉精錬を行ない、連続鋳造もしくは分塊
工程において鋼片とし、ついで熱間塑性加工することに
より、所望の特性を備えたものとして製品化される。
ところで、各種建造物のうち、特に生活に密着したビル
や事務所及び住居等の建造物に前記周知鋼材を用いる場
合、火災における安全性を確保するため、十分な耐火被
覆を施すことが義務ずけられており、建築関係諸法令で
は、火災時に鋼材温度が350℃以上にならぬように規定
している。
や事務所及び住居等の建造物に前記周知鋼材を用いる場
合、火災における安全性を確保するため、十分な耐火被
覆を施すことが義務ずけられており、建築関係諸法令で
は、火災時に鋼材温度が350℃以上にならぬように規定
している。
つまり、前記周知鋼材は建築物に使用する場合、350℃
程度で耐力が常温時の60〜70%になり、建造物の倒壊を
引き起こす恐れがあるため、たとえば、一般構造用圧延
鋼材(JIS G 3101)に規定される形鋼を柱材とする構造
物の例では、その表面にスラグウール、ガラスウール、
アスベスト等を基材とする吹付材やフェルトを展着する
ほか、防火モルタルで包皮する方法及び前記断熱材層の
上に、さらに金属薄板すなわちアルミニウムやステンレ
ス薄板で保護する方法等、耐火被覆を入念に施し、火災
時における熱的損傷により該鋼材が載荷力を失うことの
ないようにして利用する。
程度で耐力が常温時の60〜70%になり、建造物の倒壊を
引き起こす恐れがあるため、たとえば、一般構造用圧延
鋼材(JIS G 3101)に規定される形鋼を柱材とする構造
物の例では、その表面にスラグウール、ガラスウール、
アスベスト等を基材とする吹付材やフェルトを展着する
ほか、防火モルタルで包皮する方法及び前記断熱材層の
上に、さらに金属薄板すなわちアルミニウムやステンレ
ス薄板で保護する方法等、耐火被覆を入念に施し、火災
時における熱的損傷により該鋼材が載荷力を失うことの
ないようにして利用する。
そのため、鋼材費用に比し耐火被覆工費が高額になり、
建築コストが大幅に上昇することを避けることができな
い。そこで、構築材として丸あるいは角鋼管を用い、冷
却水が循環するように構成し、火災時における温度上昇
を防止し載荷力を低下させない技術が提案され、ビルの
建設コストの引き下げと利用空間の拡大が図られてい
る。
建築コストが大幅に上昇することを避けることができな
い。そこで、構築材として丸あるいは角鋼管を用い、冷
却水が循環するように構成し、火災時における温度上昇
を防止し載荷力を低下させない技術が提案され、ビルの
建設コストの引き下げと利用空間の拡大が図られてい
る。
たとえば、実公昭52−16021号公報には、建築物の上部
に水タンクを置き、中空鋼管からなる柱材に冷却水を供
給する耐火構造建造物が開示されている。また、特願平
01−264711号では、一定量のMoの添加とC/Mn比の制限及
び焼入性の確保によりミクロ組織をベイナイトとして、
600℃の高温強度が常温強度の70%以上確保できること
が示されている。
に水タンクを置き、中空鋼管からなる柱材に冷却水を供
給する耐火構造建造物が開示されている。また、特願平
01−264711号では、一定量のMoの添加とC/Mn比の制限及
び焼入性の確保によりミクロ組織をベイナイトとして、
600℃の高温強度が常温強度の70%以上確保できること
が示されている。
しかしながら、この方法では、建築物を建造中に大入熱
の溶接が使用され、且つ、靱性が要求されるようなケー
スにおいてはTiNやZrN,CaやREMが添加されていないた
め、不十分である。さらに、特願平01−268089号では、
溶接性や溶接部靱性を確保するため、TiN,ZrN,Ca,REMを
使用することが述べられている。しかしながら、この方
法では、Ni,Cu,Cr,V等の元素を添加していないため、常
温と600℃の強度確保はMn,Mo等の合金元素の添加に頼ら
ざるを得ず、そのため、大入熱溶接時に靱性が不十分と
なる問題点を含んでいた。
の溶接が使用され、且つ、靱性が要求されるようなケー
スにおいてはTiNやZrN,CaやREMが添加されていないた
め、不十分である。さらに、特願平01−268089号では、
溶接性や溶接部靱性を確保するため、TiN,ZrN,Ca,REMを
使用することが述べられている。しかしながら、この方
法では、Ni,Cu,Cr,V等の元素を添加していないため、常
温と600℃の強度確保はMn,Mo等の合金元素の添加に頼ら
ざるを得ず、そのため、大入熱溶接時に靱性が不十分と
なる問題点を含んでいた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、火災時における鋼材強度について研究の
結果、無被覆使用を目標とした場合、火災時の最高到達
温度が1000℃であることから、鋼材が該温度で常温耐力
の70%以上の耐力を備えるためには、やはり高価な金属
元素を多量に添加せねばならず、経済性を失することを
知った。
結果、無被覆使用を目標とした場合、火災時の最高到達
温度が1000℃であることから、鋼材が該温度で常温耐力
の70%以上の耐力を備えるためには、やはり高価な金属
元素を多量に添加せねばならず、経済性を失することを
知った。
つまり、周知の鋼材費とそれに加え耐火被覆を施工する
費用以上に鋼材単価が高くなり、そのような鋼材は実際
的に利用することができない。
費用以上に鋼材単価が高くなり、そのような鋼材は実際
的に利用することができない。
そこで、さらに研究を進めた結果、600℃での高温耐力
が常温時の70%以上となる鋼材が最も経済的であること
をつきとめ、高価な添加元素の量を少なくし、且つ、耐
火被覆を薄くすることが可能で、火災荷重が小さい場合
は、無被覆で使用することができる鋼材の製造方法を開
発した。
が常温時の70%以上となる鋼材が最も経済的であること
をつきとめ、高価な添加元素の量を少なくし、且つ、耐
火被覆を薄くすることが可能で、火災荷重が小さい場合
は、無被覆で使用することができる鋼材の製造方法を開
発した。
(課題を解決するための手段) 本発明は前述の課題を克服し、目的を達成するもので、
重量比で、C0.02〜0.10%、Si0.6%以下、Mn0.8〜2.0
%、Mo0.2〜0.7%、Ni0.05〜0.60%、Cu0.05〜1.0%、C
r0.05〜0.50%、V0.005〜0.10%、Al0.1%以下、N0.006
%以下に加えてTi0.005〜0.03%、Zr0.005〜0.03%、Ca
0.0005〜0.005%、REM0.001〜0.005%の1種または2種
以上、残部がFe及び不可避的不純物を含み、しかも、C/
Mnの比が0.05以下で、(1)式で与えられるDi*値が0.
80以上の成分組成よりなる鋼片を1150〜1300℃の温度域
で再加熱後、熱間圧延を800〜1000℃の温度範囲で終了
して、ミクロ組織をベイナイトとすることを特徴とする
耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方
法である。
重量比で、C0.02〜0.10%、Si0.6%以下、Mn0.8〜2.0
%、Mo0.2〜0.7%、Ni0.05〜0.60%、Cu0.05〜1.0%、C
r0.05〜0.50%、V0.005〜0.10%、Al0.1%以下、N0.006
%以下に加えてTi0.005〜0.03%、Zr0.005〜0.03%、Ca
0.0005〜0.005%、REM0.001〜0.005%の1種または2種
以上、残部がFe及び不可避的不純物を含み、しかも、C/
Mnの比が0.05以下で、(1)式で与えられるDi*値が0.
80以上の成分組成よりなる鋼片を1150〜1300℃の温度域
で再加熱後、熱間圧延を800〜1000℃の温度範囲で終了
して、ミクロ組織をベイナイトとすることを特徴とする
耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方
法である。
(1)式; (作用) さて、本発明の特徴は、低C−中〜高Mn鋼にMoを添加
し、C/Mnの比が0.05以下で、(1)式で与えられるDi*
が0.80以上(ここでDi*とは焼入れに寄与する合金元素
の効果を定量化したものである。)の成分組成の鋼片を
高温で再加熱したのち、比較的高温で圧延を終了するこ
とにあり、本発明法によって製造した鋼及び鋼材(以下
鋼)は、適当な常温耐力と低い降伏比を有するととも
に、高温耐力が高く溶接性も良好である特性を備えてい
る。
し、C/Mnの比が0.05以下で、(1)式で与えられるDi*
が0.80以上(ここでDi*とは焼入れに寄与する合金元素
の効果を定量化したものである。)の成分組成の鋼片を
高温で再加熱したのち、比較的高温で圧延を終了するこ
とにあり、本発明法によって製造した鋼及び鋼材(以下
鋼)は、適当な常温耐力と低い降伏比を有するととも
に、高温耐力が高く溶接性も良好である特性を備えてい
る。
つまり、常温耐力に対し600℃の温度域に於ける耐力の
割合が大きい。この理由は低Cのベース成分でベイナイ
ト組織としているためで、これに対し、ベース成分のC
量が高いと、ミクロ組織がベイナイトでも、常温の降伏
比が高くなり耐震性を満足させることができない。ま
た、ベース成分が低Cでも、焼入性が低いと、常温と60
0℃の強度が不十分である。
割合が大きい。この理由は低Cのベース成分でベイナイ
ト組織としているためで、これに対し、ベース成分のC
量が高いと、ミクロ組織がベイナイトでも、常温の降伏
比が高くなり耐震性を満足させることができない。ま
た、ベース成分が低Cでも、焼入性が低いと、常温と60
0℃の強度が不十分である。
つぎに、本発明にかかる特徴的な成分元素とその添加量
について説明する。
について説明する。
Moは微細な炭窒化物を形成し、さらに、固溶体強化によ
って高温強度を増加させるが、ミクロ組織がベイナイト
の場合、その添加量は比較的少ない量で600℃の高温強
度を確保することができる。本発明者等は研究の結果、
常温の強度と600℃の高温強度を確保するためには、低
Cのベース成分にMoを添加してミクロ組織をベイナイト
化することが有効なことを見出した。
って高温強度を増加させるが、ミクロ組織がベイナイト
の場合、その添加量は比較的少ない量で600℃の高温強
度を確保することができる。本発明者等は研究の結果、
常温の強度と600℃の高温強度を確保するためには、低
Cのベース成分にMoを添加してミクロ組織をベイナイト
化することが有効なことを見出した。
しかしながら、Mo量が高すぎると、溶接性が悪くなり、
さらに、溶接熱影響部(HAZ)の靱性が劣化するので、M
o量の上限は0.7%とする必要がある。さて、常温におい
て、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)に規定する性能
を満足し、且つ、600℃の高温において高い耐力を維持
せしめるためには、鋼成分と共に鋼の再加熱及び圧延に
かかる条件が重要である。
さらに、溶接熱影響部(HAZ)の靱性が劣化するので、M
o量の上限は0.7%とする必要がある。さて、常温におい
て、溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)に規定する性能
を満足し、且つ、600℃の高温において高い耐力を維持
せしめるためには、鋼成分と共に鋼の再加熱及び圧延に
かかる条件が重要である。
前述のMo添加による高温強度の増大を図るには、Moを再
加熱時に十分に溶体化させる必要があり、このため再加
熱温度の下限を1150℃とする。また、再加熱温度が高す
ぎると結晶粒が大きくなって低温靱性が劣化するので、
その上限は1300℃にせねばならない。
加熱時に十分に溶体化させる必要があり、このため再加
熱温度の下限を1150℃とする。また、再加熱温度が高す
ぎると結晶粒が大きくなって低温靱性が劣化するので、
その上限は1300℃にせねばならない。
さらに、圧延終了温度を800℃以上とする理由は、圧延
中にMoの炭窒化物を析出させないためである。周知の低
温圧延(制御圧延)はラインパイプ等低温靱性が必要な
鋼材では必須要件であるが、本発明鋼のように低温靱性
について、高い要求がなく、常温強度と600℃の強度及
び、そのバランスが重要な場合には、ミクロ組織をベイ
ナイト化するため、圧延を高温で終了せねばならない。
中にMoの炭窒化物を析出させないためである。周知の低
温圧延(制御圧延)はラインパイプ等低温靱性が必要な
鋼材では必須要件であるが、本発明鋼のように低温靱性
について、高い要求がなく、常温強度と600℃の強度及
び、そのバランスが重要な場合には、ミクロ組織をベイ
ナイト化するため、圧延を高温で終了せねばならない。
また、本発明において、圧延終了温度の上限を1000℃と
したのは、建築用鋼としての靱性を確保するためであ
る。さらに、圧延後の冷却速度もミクロ組織に影響を与
えるので、本発明鋼では圧延後の空冷で、ミクロ組織を
ベイナイトとするため、製造板厚は50mm以下が好まし
い。
したのは、建築用鋼としての靱性を確保するためであ
る。さらに、圧延後の冷却速度もミクロ組織に影響を与
えるので、本発明鋼では圧延後の空冷で、ミクロ組織を
ベイナイトとするため、製造板厚は50mm以下が好まし
い。
さて、高温強度を上昇せしめるため、Moを利用すること
は、従来のボイラー用鋼管等に利用されている鋼では知
られているが、建築用に用いる耐火鋼材として微量のMo
に加えてベース成分のC/Mn比を抑え、焼入性(Di*)を
確保し、ミクロ組織をベイナイト化して、常温と高温の
強度を満足させた鋼材は知られていない。ボイラー用に
使用されている鋼は基本的な特性を得るため、圧延後に
調質熱処理を施しており、本発明鋼とは製造プロセスが
異なる。
は、従来のボイラー用鋼管等に利用されている鋼では知
られているが、建築用に用いる耐火鋼材として微量のMo
に加えてベース成分のC/Mn比を抑え、焼入性(Di*)を
確保し、ミクロ組織をベイナイト化して、常温と高温の
強度を満足させた鋼材は知られていない。ボイラー用に
使用されている鋼は基本的な特性を得るため、圧延後に
調質熱処理を施しており、本発明鋼とは製造プロセスが
異なる。
つぎに、本発明における前記Mo以外の成分限定理由につ
いて詳細に説明する。
いて詳細に説明する。
Cは母材及び溶接部の強度確保ならびにMoの添加効果を
発揮させるために必要であり、0.02%未満では効果が薄
れるので下限は0.02%とする。また、C量が多すぎると
常温の降伏比が上昇し、さらに、HAZの低温靱性に悪影
響をおよぼすので、0.10%が上限となる。
発揮させるために必要であり、0.02%未満では効果が薄
れるので下限は0.02%とする。また、C量が多すぎると
常温の降伏比が上昇し、さらに、HAZの低温靱性に悪影
響をおよぼすので、0.10%が上限となる。
Siは脱酸上鋼に含まれる元素で、Si量が多くなると溶接
性、HAZ靱性が劣化するため、その上限を0.6%とした。
性、HAZ靱性が劣化するため、その上限を0.6%とした。
つぎに、Mnは強度、靱性を確保する上で不可欠の元素で
あり、その下限は0.8%である。しかし、Mn量が多すぎ
ると焼入性が増加して溶接性、HAZ靱性が劣化するた
め、Mnの上限を2.0%とした。
あり、その下限は0.8%である。しかし、Mn量が多すぎ
ると焼入性が増加して溶接性、HAZ靱性が劣化するた
め、Mnの上限を2.0%とした。
Niは溶接性、HAZ靱性に悪影響を及ぼすことなく、母材
の強度、靱性を向上させるが、0.05%未満では効果が薄
く、0.6%超の添加は建築用鋼としての目的に対し、極
めて高価になるため経済性を失うので、上限は0.6%と
した。
の強度、靱性を向上させるが、0.05%未満では効果が薄
く、0.6%超の添加は建築用鋼としての目的に対し、極
めて高価になるため経済性を失うので、上限は0.6%と
した。
CuはNiとほぼ同様な効果を持つほか、Cu析出物による高
温強度の増加や耐食性、耐候性の向上にも効果を有す
る。しかし、Cu量が1.0%を超えると熱間圧延時にCu割
れが発生し製造が困難になり、また、0.05%未満では効
果が無いのでCu量は0.05%〜1.0%に限定した。
温強度の増加や耐食性、耐候性の向上にも効果を有す
る。しかし、Cu量が1.0%を超えると熱間圧延時にCu割
れが発生し製造が困難になり、また、0.05%未満では効
果が無いのでCu量は0.05%〜1.0%に限定した。
Cr量は母材及び溶接部の強度を高める元素であり、Cr量
が0.5%を超えると溶接性やHAZ靱性を劣化させ、また、
0.05%未満では効果が薄いため、0.05%〜0.5%に限定
する。
が0.5%を超えると溶接性やHAZ靱性を劣化させ、また、
0.05%未満では効果が薄いため、0.05%〜0.5%に限定
する。
VとNと結合してVNを形成し、高温強度に効果を発揮す
る。しかしながら、0.005%未満ではその効果は認めら
れず、0.10%超では溶接性に害を及ぼすため0.005〜0.1
0%の範囲とした。
る。しかしながら、0.005%未満ではその効果は認めら
れず、0.10%超では溶接性に害を及ぼすため0.005〜0.1
0%の範囲とした。
Alは一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、Si及びTi
によっても脱酸は行なわれるので、本発明ではAlについ
ては下限は限定しない。しかしAl量が多くなると鋼の清
浄度が悪くなり、溶接部の靱性が劣化するので上限を0.
10%とした。
によっても脱酸は行なわれるので、本発明ではAlについ
ては下限は限定しない。しかしAl量が多くなると鋼の清
浄度が悪くなり、溶接部の靱性が劣化するので上限を0.
10%とした。
Nは一般に不可避的不純物として鋼中に含まれるもので
あるが、N量が多くなるとHAZ靱性の劣化や連続鋳造ス
ラブの表面キズの発生等を助長するので、その上限を0.
006%とした。
あるが、N量が多くなるとHAZ靱性の劣化や連続鋳造ス
ラブの表面キズの発生等を助長するので、その上限を0.
006%とした。
なお、本発明鋼は、不可避的不純物としてP及びSを含
有する。P,Sは高温強度に与える影響は小さいので、そ
の量について特に限定はしないが、一般に靱性、板厚方
向強度等に関する鋼の特性は、これらP,S元素の量が少
ないほど向上する。望ましいP,S量はそれぞれ0.02%,0.
005%以下である。
有する。P,Sは高温強度に与える影響は小さいので、そ
の量について特に限定はしないが、一般に靱性、板厚方
向強度等に関する鋼の特性は、これらP,S元素の量が少
ないほど向上する。望ましいP,S量はそれぞれ0.02%,0.
005%以下である。
基本的な特性を得るための成分は以上のとうりである
が、本発明鋼は用途が厳しい条件(溶接部の水素割れ性
が要求されたり、大入熱の溶接が適用される)での適用
を考慮しており、以下に述べる元素即ちTi,Zr,Ca,REMを
選択的に添加することにより特性の向上を図っている。
が、本発明鋼は用途が厳しい条件(溶接部の水素割れ性
が要求されたり、大入熱の溶接が適用される)での適用
を考慮しており、以下に述べる元素即ちTi,Zr,Ca,REMを
選択的に添加することにより特性の向上を図っている。
Tiは炭窒化物を形成してHAZ靱性を向上させる。Al量が
少ない場合、Tiの酸化物を形成しHAZ靱性を向上させる
が、0.005%未満では効果がなく、0.03%を超えるとHAZ
靱性に好ましくない影響があるため、0.005〜0.03%に
限定する。
少ない場合、Tiの酸化物を形成しHAZ靱性を向上させる
が、0.005%未満では効果がなく、0.03%を超えるとHAZ
靱性に好ましくない影響があるため、0.005〜0.03%に
限定する。
ZrはTiとほぼ同じ効果をもつが、その効果が有効な範囲
は0.005〜0.03%である。
は0.005〜0.03%である。
Ca,REMは硫化物(MnS)の形態を制御し、溶接部のラメ
ラーテアの改善や耐水素有機割れ性の改善に効果を発揮
するほか、シャルピー吸収エネルギーを増加させ、低温
靱性を向上させる効果がある。しかし、Ca量は0.0005%
未満では実用上効果がなく、また、0.005%を超える
と、CaO,CaSが多量に生成して大形介在物となり、鋼の
靱性のみならず清浄度も害し、さらに、溶接性、耐ラメ
ラーテア性にも悪影響を与えるので、Ca添加量の範囲を
0.0005%〜0.005%とする。
ラーテアの改善や耐水素有機割れ性の改善に効果を発揮
するほか、シャルピー吸収エネルギーを増加させ、低温
靱性を向上させる効果がある。しかし、Ca量は0.0005%
未満では実用上効果がなく、また、0.005%を超える
と、CaO,CaSが多量に生成して大形介在物となり、鋼の
靱性のみならず清浄度も害し、さらに、溶接性、耐ラメ
ラーテア性にも悪影響を与えるので、Ca添加量の範囲を
0.0005%〜0.005%とする。
また、REMについてもCaと同様な効果があり、添加量を
多くするとCaと同様な問題を生じ、さらに経済性も悪く
なるので、REM量の下限を0.001%、上限を0.005%とし
た。
多くするとCaと同様な問題を生じ、さらに経済性も悪く
なるので、REM量の下限を0.001%、上限を0.005%とし
た。
(実施例) 周知の転炉、連続鋳造、厚板工程で鋼板を製造し、常温
強度、高温強度、板厚方向特性、再現HAZ靱性等を調査
した。
強度、高温強度、板厚方向特性、再現HAZ靱性等を調査
した。
第1表のNo.1〜10に本発明鋼を、No.11〜15に比較鋼の
化学成分を示す。
化学成分を示す。
続いて第2表に本発明鋼と比較鋼について、加熱、圧
延、条件別に機械的特性を示す。
延、条件別に機械的特性を示す。
第2表の本発明鋼No.1〜10の例では、すべて良好な常温
及び高温強度を有している。また、本発明鋼はHAZ靱性
改善のため、Ti、もしくはZrを添加しており再現HAZ靱
性もすべて良好である。さらに、板厚方向の特性改善の
ため、CaやREMを添加した鋼No.2,3,4,8,10は板厚方向の
絞り値が良好である。
及び高温強度を有している。また、本発明鋼はHAZ靱性
改善のため、Ti、もしくはZrを添加しており再現HAZ靱
性もすべて良好である。さらに、板厚方向の特性改善の
ため、CaやREMを添加した鋼No.2,3,4,8,10は板厚方向の
絞り値が良好である。
これに対し、比較鋼No.1では常温と高温の強度は十分な
値であるが、Ti,Zr等を添加してないため、HAZ靱性が極
めて悪い。比較鋼No.2では、Di*(焼入性)が低いた
め、常温と高温の強度が不十分である。比較鋼No.3で
は、C/Mn比が高すぎるため、常温の降伏強度がたかく、
YRが不十分である。比較鋼No.4では、成分範囲は発明鋼
と同じであるが、加速冷却法で製造しているため、常温
の降伏強度が高すぎるため、YRが不十分である。比較鋼
No.5もNo.4と同様の理由で常温のYRが不十分である。
値であるが、Ti,Zr等を添加してないため、HAZ靱性が極
めて悪い。比較鋼No.2では、Di*(焼入性)が低いた
め、常温と高温の強度が不十分である。比較鋼No.3で
は、C/Mn比が高すぎるため、常温の降伏強度がたかく、
YRが不十分である。比較鋼No.4では、成分範囲は発明鋼
と同じであるが、加速冷却法で製造しているため、常温
の降伏強度が高すぎるため、YRが不十分である。比較鋼
No.5もNo.4と同様の理由で常温のYRが不十分である。
(発明の効果) 本発明の化学成分及び製造法で製造した鋼材は600℃の
降伏強度が高く且つ、600℃の降伏強度が常温降伏強度
の70%以上で、常温の降伏比(YS/TS)も75%以下と低
く、溶接性、溶接継手靱性、板厚方向特性が良好である
等の特徴を兼ね備えた全く新しい鋼である。
降伏強度が高く且つ、600℃の降伏強度が常温降伏強度
の70%以上で、常温の降伏比(YS/TS)も75%以下と低
く、溶接性、溶接継手靱性、板厚方向特性が良好である
等の特徴を兼ね備えた全く新しい鋼である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量比で C :0.02〜0.10%、 Si:0.6%以下、 Mn:0.8〜2.0%、 Mo:0.2〜0.7%、 Ni:0.05〜0.60%、 Cu:0.05〜1.0%、 Cr:0.05〜0.50%、 V :0.005〜0.10%、 Al:0.1%以下、 N :0.006%以下、 に加えて Ti:0.005〜0.03%、 Zr:0.005〜0.03%、 Ca:0.0005〜0.005%、 REM:0.001〜0.005% の1種または2種以上、 残部がFe及び不可避的不純物を含み、しかも、C/Mnの比
が0.05以下で、(1)式で与えられるDi*値が0.80以上
の成分組成よりなる鋼片を1150〜1300℃の温度域で再加
熱後、熱間圧延を800〜1000℃の温度範囲で終了して、
ミクロ組織をベイナイトとすることを特徴とする耐火性
と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法。 (1)式:
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2072566A JPH0713251B2 (ja) | 1990-03-22 | 1990-03-22 | 耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2072566A JPH0713251B2 (ja) | 1990-03-22 | 1990-03-22 | 耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03271342A JPH03271342A (ja) | 1991-12-03 |
JPH0713251B2 true JPH0713251B2 (ja) | 1995-02-15 |
Family
ID=13493047
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2072566A Expired - Fee Related JPH0713251B2 (ja) | 1990-03-22 | 1990-03-22 | 耐火性と溶接性の優れた建築用薄手低降伏比鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0713251B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104988394B (zh) * | 2015-06-14 | 2016-12-07 | 秦皇岛首秦金属材料有限公司 | 一种调质s460g1+q结构钢及其制造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0277523A (ja) * | 1988-06-13 | 1990-03-16 | Nippon Steel Corp | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼材の製造方法およびその鋼材を用いた建築用鋼材料 |
-
1990
- 1990-03-22 JP JP2072566A patent/JPH0713251B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0277523A (ja) * | 1988-06-13 | 1990-03-16 | Nippon Steel Corp | 耐火性の優れた建築用低降伏比鋼材の製造方法およびその鋼材を用いた建築用鋼材料 |
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---|---|
JPH03271342A (ja) | 1991-12-03 |
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