JP2602700B2 - 膨張性地山のトンネル掘進機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は膨張性地山のトンネル掘進機に関するもので
ある。

『従来の技術』 従来膨張性地山においてトンネルを掘削するにはブー
ムカッター、ロードヘッダー、ショベル等の装置を使用
するか、従来の通常のシールド掘削機を使用して掘削し
ている。

『発明が解決しようとする課題』 しかし、ブームカッター等を使用する掘進方法は、ト
ンネルの全断面を一度に掘削できないためにはじめに掘
削した所が膨張して進行がうまく行なえない場合が有
り、また、型枠組立時にトンネル断面の求心方向への膨
張で型枠と地山との間隙が消失して型枠を組立ることが
不可能となる場合も有るという問題点を有していた。

また、通常のシールド掘削機を使用して掘削する方法
は、シールドスキンプレートの表面積が大きいため膨圧
でこのシールド掘削機が進行不能にとなることが有り、
このような状態を「掴まれ」と称している。

そこで本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、シ
ールドスキンプレートの長さを短くし表面積を低減して
膨圧による「掴まれ」を回避し、このシールドスキンプ
レート内に収納しきれないカッター装置をシールドスキ
ンプレートとは分離して別個に形成し、このカッター装
置は予想できない膨圧をカッターフェースに受けた場合
に既設抗内にまで後退して再掘削の対処が可能となる膨
張性地山のトンネル掘進機を提供することを目的とした
ものである。

『問題点を解決するための手段』 上記の目的に沿い、先述特許請求の範囲を要旨とする
本発明の構成は前述問題点を解決するために、シールド
スキンプレート１とカッター装置２とからなる膨張性地
山のトンネル掘進機において、 上記シールドスキンプレート１は、その内側に該シー
ルドスキンプレート１の内側に組立てた既設セグメント
リングＳの先端面を反力受けとして該シールドスキンプ
レート１を推進させるスキンプレート推進ジャッキ70を
収納、配設できるに必要最低限の長さに、そのトンネル
軸方向の長さを短く形成し、 また、上記カッター装置２は、カッタフェース21を半
径方向に伸縮可能なとなしたスポーク21a,21a,21a・・
・を駆動軸22の先端に放射状に配設して形成し、 上記駆動軸22の軸受40は、既設セグメントリングＳの
内面部に着脱可能に係止できる係止体50に、カッタフェ
ース21をシールドスキンプレート１の前方より、該カッ
タフェース21をシールドスキンプレート１より小径とな
した状態で該シールドスキンプレート１内にまで引っ込
めることのできるカッタフェース推進ジャッキ60を介し
て連結してなることを特徴とする技術的手段を講じたも
のである。

『作用』 それ故、本発明膨張性地山のトンネル掘進機は、通常
時はスポーク21a,21a,21a・・・を伸ばした状態として
カッタフェース21の径をシールドスキンプレート１の径
と略同一乃至は多少大きくなるようになして、該カッタ
フェース21をシールドスキンプレート１の前方に位置さ
せる。なお、このカッタフェース21はカッタモータで回
転させるのは従来と同じである。

そして、このカッタフェース21はカッタフェース推進
ジャッキ60を前進（伸長）させることにより推進力を得
て一定の距離を掘進し、この掘進に伴ないシールドスキ
ンプレート１はスキンプレート推進ジャッキ70を前進
（伸長）させることにより前方に押し出される。

そして、一定の距離掘削すると、スキンプレート推進
ジャッキ70を後退（収縮）し、該スキンプレート推進ジ
ャッキ70の後方シールドスキンプレート１内に生じた空
隙にセグメントリングを組立てる。従来のシールド掘進
機の場合は、このセグメントリングの組立時には掘進が
中断されるが、本発明掘進機においては、カッタフェー
ス21とシールドスキンプレート１との推進力を別個の推
進ジャッキで得ているため、必ずしも掘進を中断する必
要はなく、地山が膨出してくる量に対応して掘削を継続
してもよい。

セグメントリングの組立が完了したら、再度カッタフ
ェース推進ジャッキ60とスキンプレート推進ジャッキ70
とを伸長させつつ掘進を行なうが、カッタフェース推進
ジャッキ60のストロークに余裕が無い状態となったら、
掘進を中断し係止体50の係止を一度脱着し該カッタフェ
ース推進ジャッキ60を後退（収縮）し、この係止体50を
前進させ既設セグメントリングＳの先端側位置に係止し
なおす。

上記操作を適宜繰返せばトンネルを掘進し、順次覆工
して行くことができるが、膨圧が非常に大きい場合は、
なお掘進が不可能な事態も生ずる。この要な事態が生じ
た場合はカッタフェース21の外径をシールドスキンプレ
ート１の内径より小さくし、カッタフェース推進ジャッ
キ60を収縮してカッタフェース21を後退しつつ掘削する
か、または所定距離後退させた後に再掘削する。

このカッタフェース21の後退は地山の膨出量が多いほ
ど後退距離を多きすることを強いられるが、カッタフェ
ース21の外径を既設セグメントリングＳの内径よりも小
さくすれば、この既設セグメントリングＳ内にも後退す
ることができるものである。

そして、カッタフェース21が後退した分は、シールド
スキンプレート１乃至既設セグメントリングＳ内を再度
掘進することになるのは無論である。

『実施例』 次に、本発明の実施例を添付図面に従って説明すれば
以下の通りである。

図中、１はシールドスキンプレート、２はカッター装
置である。

上記シールドスキンプレート１は従来と略同一で鋼板
で筒状に形成される。

そして、このシールドスキンプレート１の内側には、
このシールドスキンプレート１の内側に組立てた既設セ
グメントリングＳの先端面を反力受けとして該シールド
スキンプレート１を推進させるスキンプレート推進ジャ
ッキ70を適宜本数配設してあるのは従来と同じである。

このスキンプレート推進ジャッキ70は従来のシールド
掘進機にも推進ジャッキとして設けられていたが、従来
はこの推進ジャッキにより一体連結されたカッタフェー
スとシールドスキンプレートとに推進力を与えていた
が、本発明装置におけるスキンプレート推進ジャッキ70
はシールドスキンプレート１にのみ推進力を与える目的
で使用されている。

そして、本発明では、上記シールドスキンプレート１
は、その内側に該シールドスキンプレート１の内側に組
立てた既設セグメントリングＳの先端面を反力受けとし
て該シールドスキンプレート１を推進させるスキンプレ
ート推進ジャッキ70を収納、配設できるに必要最低限の
長さに、そのトンネル軸方向の長さを短く形成してあ
る。

すなわち、従来はこのシールドスキンプレート１内に
カッター装置２の駆動装置も収納できる長さにしていた
が、本発明ではカッター装置２及びその保持・駆動装置
はシールドスキンプレート１とは連結せずに別途用意し
て、シールドスキンプレート１内にこれらが必ずしも収
納できなくてよいことにしている。

また、上記カッター装置２は、カッタフェース21を半
径方向に伸縮可能なとなしたスポーク21a,21a,21a・・
・を駆動軸22の先端に放射状に配設して形成している。
すなわち、上記夫々のスポーク21aは駆動軸22の先端に
その基端部を固着された主スポーク23とこの主スポーク
23に抜き差し可能に配した副スポーク24とで構成され、
この主スポーク23と副スポーク24とはシリンダー25で連
結しこのシリンダー25で副スポーク24の抜き差し量、言
い変えるとカッタフェース21の径を変更することができ
るようになしてある。なお、この主スポーク23と副スポ
ーク24との前面或は側面には第２図に示すごとく、カッ
タ刃26,26,26・・・が装着されるのは従来のスポーク式
カッタフェースと同じである。

そして、上記駆動軸22の軸受40は、既設セグメントリ
ングＳの内面部に着脱可能に係止できる係止体50に、カ
ッタフェース21をシールドスキンプレート１の前方よ
り、該カッタフェース21をシールドスキンプレート１よ
り小径となした状態で該シールドスキンプレート１内に
まで引っ込めることのできるカッタフェース推進ジャッ
キ60を介して連結してなる。

本実施例において上記軸受40はセグメントリングＳの
内面に圧接するフロントグリッパ30の中心に固定され、
駆動軸22はこのフロントグリッパ30に固定したカッタモ
ータ80に伝動装置81を介して連結してある。

上記フロントグリッパ30は放射状に突出した複数のア
ーム部31,31,31・・・で構成（中央連結より複数のアー
ム部31を放射状に連結してもよいが、図示例ではこの中
央連結を軸受40で兼用して該軸受40より複数のアーム部
31を放射状突出してなる。）にされ、各アーム部31の先
端には図示では省略したシリンダーを介して圧接摺動体
32が配設してある。この圧接摺動体32は既設セグメント
リングＳの内面に所定の押圧力で圧接されることで後述
するカッタフェース推進ジャッキ60によりトンネル軸方
向に進退できるようになしてある。

そして、上記軸受40は、スラストベアリング41、ラジ
アルベアリング42,42を介して前記駆動軸22を支承して
おり、さらに上記伝動装置81は、駆動軸22が軸受40の後
方に貫出した部分に嵌着されるギヤー81aと、このギヤ
ー81aに噛合するカッタモータ80のピニオン81bとからな
り、カッタモータ80によってギヤー81a乃至カッタフェ
ース21を回転できるようになしている。なお、このカッ
タモータ80は複数台使用してもよいことは無論である。

そして、本実施例において、上記係止体50はフロント
グリッパ30と同様に放射状に突出した複数のアーム部5
1,51,51・・・で構成される。そしてこの各アーム部51
の先端には図示しないシリンダーを介して係止具54が配
設してある。この係止具54は既設セグメントリングＳに
（通常セグメントのリムに）係止する爪部54aを有して
なるもので掘進に伴なう反力を既設セグメントリングＳ
の適所で受支するようになしてある。そして、上記カッ
タフェース推進ジャッキ60でフロントグリッパ30と係止
体50とを連結している。なお、このフロントグリッパ30
と係止体50の連結に際し、カッタフェース推進ジャッキ
60の両端を枢支軸59,69で枢着してなるが、これはフロ
ントグリッパ30と係止体50との多少の中心軸の位置ずれ
が生じてもカッタフェース推進ジャッキ60の作動に支障
がないようになしたものであることは無論であるが、さ
らには掘進方向を調整する場合に積極的に両者の中心位
置を変更させて駆動軸22の方向を調整する必要性にも対
処するためのものである。

なお、図示例においてはこの各アーム部51には圧接摺
動体52をシリンダー53を介して配設してあるが、この圧
接摺動体52は係止体50の荷重受けと該係止体50の中心位
置を調整するためのものでシリンダーで係止体54を進退
させることでこの調整は可能でもあるので省略してもよ
い。また、係止体50はカッタフェース21の掘進にともな
う反力を受けられるように既設セグメントリングＳの内
面部に着脱できるものであれば図示例に限定されるもの
でなく、さらにはフロントグリッパ30を省略してスキプ
プレート推進ジャッキ70の一端を直接軸受40に連結して
もよいものである。

『発明の効果』 本発明は上記のごときで、シールドスキンプレート１
とカッター装置２とを連結していないため、膨圧地山の
掘進に際してはカッタフェース21をシールドスキンプレ
ート１内にさらには既設セグメントリング内に、後退さ
せて膨圧を低減させつつ再掘進することができ、この後
退距離はカッタフェース21の径を変更可能となしたため
既設セグメントリングＳ内をどこまでも後退することが
可能となり、従来に比して膨圧が相当に強い地山の掘進
も可能となる膨張性地山のトンネル掘進機を提供するこ
とができるものである。

そして、このカッタフェース21を後退できることは、
カッタフェース21の前面に保守・点検のための間隙を得
ることができるため、カッタフェース21の修理が簡易
で、また地山の性状の変化に対応して手掘りを併用する
ことも可能な膨張性地山のトンネル掘進機を提供するこ
とができるものである。

また、本発明はシールドスキンプレート１とカッター
装置２とを別個に構成したため、シールドスキンプレー
ト１にはカッター装置２の連結機構やカッタモータ80等
を配設するスペースを必要とせず、シールドスキンプレ
ート１の長さを短く設定でき膨圧を受ける面積を低減さ
せ、該シールドスキンプレート１の「掴まれ」を回避す
ることのできる膨張性地山のトンネル掘進機を提供する
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明膨張性地山のトンネル掘進機の一実施例
を示す断面図、第２図は左半分正面図である。 １〜シールドスキンプレート、２〜カッター装置、21〜
カッタフェース、21a〜スポーク、22〜駆動軸、30〜フ
ロントグリッパ、40〜軸受、50〜係止体、60〜カッタフ
ェース推進ジャッキ、70〜プレート推進ジャッキ、Ｓ〜
既設セグメントリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 五郎 新潟県東頚城郡松代町大字松代5324番地 (72)発明者 淵野 正雄 千葉県市川市福栄４丁目26番１号 (72)発明者 小室 一夫 神奈川県相模原市上鶴間1941番地 町田 ハイツＢ―６―505 (72)発明者 中島 利美 東京都調布市柴崎１丁目７番１号 (72)発明者 水本 節生 埼玉県大宮市北袋町１丁目190番地の２ (56)参考文献 特開 昭58−80093（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−50193（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭47−10515（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールドスキンプレート１とカッター装置
   ２とからなる膨張性地山のトンネル掘進機において、 上記シールドスキンプレート１は、その内側に該シール
   ドスキンプレート１の内側に組立てた既設セグメントリ
   ングＳの先端面を反力受けとして該シールドスキンプレ
   ート１を推進させるスキンプレート推進ジャッキ70を収
   納、配設できるに必要最低限の長さに、そのトンネル軸
   方向の長さを短く形成し、 また、上記カッター装置２は、カッタフェース21を半径
   方向に伸縮可能なとなしたスポーク21a,21a,21a・・・
   を駆動軸22の先端に放射状に配設して形成し、 上記駆動軸22の軸受40は、既設セグメントリングＳの内
   面部に着脱可能に係止できる係止体50に、カッタフェー
   ス21をシールドスキンプレート１の前方より、該カッタ
   フェース21をシールドスキンプレート１より小径となし
   た状態で該シールドスキンプレート１内にまで引っ込め
   ることのできるカッタフェース推進ジャッキ60を介して
   連結してなることを特徴とする膨張性地山のトンネル掘
   進機。