JP4381625B2 - シールド掘進機 - Google Patents

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誠 請川
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを構築するシールド掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すシールド掘進機50は、特願2001−18788の特許出願に係るものであり、本出願人が本願発明に先行して開発したものである。
【0003】
このシールド掘進機50は、リング状に形成された外周シールド51の内周に内周シールド52を進退自在に設けたものであり、既設セグメント23から反力を取りながら外周シールド51をセグメント42の1リング分だけ掘進させたのち、停止中の外周シールド51から反力を取って内周シールド52を外周シールド51の位置まで掘進させ、その間にセグメント42を組み立てるようになっている。
【0004】
このシールド掘進機50によると、高速掘進が容易な外周シールド51を短時間で掘進させ、セグメントを組み立てるためのスペースを確保したのち、掘進速度の遅い内周シールド52を掘進させながらセグメント42を組み立てるため、一般的なセグメント組立同時掘進シールド掘進機(図示せず)と比べて飛躍的に高速掘進が可能となり、カーブ施工などの方向制御性も良好である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内周シールド52と外周シールド51はそれぞれ別々のカッタ53,54を有し、これらカッタ53,54をそれぞれ別々の駆動装置55,56で回転駆動させるものであるため、製造及びメンテナンスのためのコストが高くつき、限られた機内のスペースが狭くなってしまうという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、コストの低減を図ることができ、機内のスペースを広く保つことのできるシールド掘進機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、リング状の外周シールドと、その外周シールドの内周に進退自在に設けられた内周シールドとからなるシールド掘進機において、上記外周シールドの外周カッタと、上記内周シールドの内周カッタとを互いに軸方向にスライド可能に、かつ、周方向にロックされるように係合させたものである。
【0008】
外周カッタと内周カッタの位置が軸方向に異なっていたり、いずれか一方のみが掘進していても外周カッタ又は内周カッタのいずれかを回転駆動させることで両方のカッタを回転駆動させることができ、内周シールド又は外周シールドのいずれか一方から駆動装置をなくすことができる。
【0009】
上記外周カッタは、上記内周カッタの外周を囲む筒状の外周シャフトを有し、この外周シャフトに上記内周カッタが係合されるものとするとよい。
【0010】
また、上記内周カッタに径方向外方へ延びる突起を設け、上記外周シャフトに、上記突起を軸方向スライド可能に填め入れるためのレールを設けるとよい。
【0011】
上記外周シールドは、上記外周カッタに連結される駆動装置を備えたものとするとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の好適実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1に示すように、シールド掘進機1は、リング状の外周シールド2と、外周シールド2の内周に沿って進退自在に設けられた内周シールド3とからなる。
【0014】
外周シールド2は、外周カッタ4を有するほぼ筒状の前胴部5と、前胴部5に屈曲自在に連結された後胴部6とからなる。
【0015】
図1及び図2に示すように、前胴部5の外周カッタ4は、リング板状に形成された外周カッタ面盤7と、後述する内周カッタ8の外周を囲むように外周カッタ面盤7の内周端から後方へ延びる筒状の外周シャフト9とからなり、後述するカッタ連結手段10を介して内周カッタ8と一体に回転するように係合されている。
【0016】
外周シャフト9は、後端近傍を前胴部本体11に内周側と外周側から挟んで支持されるようになっており、外周シャフト9の後端には、後述する駆動装置12からの駆動力を受けるための内歯歯車13が形成されている。
【0017】
外周カッタ面盤7は、外周シャフト9を介して前胴部本体11に回転自在に支持されており、放射状に延びる多数の外周スポーク14を有する。これら各外周スポーク14にはカッタビット15が同一周上に多数配列されるように設けられており、外周カッタ4は後述する内周カッタ8より切削能力の高いものとなっている。
【0018】
また、外周カッタ面盤7の裏側(後側)には、掘削した土砂を一時収容するための外周カッタ室16が形成されている。外周カッタ室16は、内周側を外周シャフト9に区画されると共に、外周側を前胴部5のスキンプレート17に区画されている。外周カッタ室16内には第1送泥管18と第1排泥管19とがそれぞれ接続されている。
【0019】
図1及び図3に示すように、前胴部本体11の内周を区画する内周壁20は、十分小径に形成されており、スキンプレート17との間に十分なスペース21を形成するようになっている。
【0020】
内周壁とスキンプレート17の間のスペース21には、前胴部5と後胴部6を屈曲させるべく前胴部5と後胴部6を連結する中折れジャッキ22と、外周カッタ4を回転駆動させるための駆動装置12と、既設セグメント23から反力を受けて外周シールド2を掘進させるための外周推進ジャッキ24の一部と、第1送泥管18と、第1排泥管19と、後述する内周カッタ室25に接続される第2送泥管26及び第2排泥管27とが収容されている。
【0021】
駆動装置12は、油圧モータからなり、駆動装置12の駆動軸(図示せず)には駆動歯車28が一体に設けられている。駆動歯車28は、外周シャフト9の内歯歯車13に噛み合わされている。
【0022】
内周シールド3は、内周壁20内に液密に収容される内胴部29と、内胴部29に回転自在に枢支された内周カッタ8と、一端を内胴部29に設けられると共に他端を内周壁20に設けられ伸縮することで内周シールド3を進退させる内周推進ジャッキ30とからなる。
【0023】
内胴部29は、前端面31を有する筒状に形成されている。
【0024】
内周カッタ8は、内胴部29の前方に離間して配置される円盤状の内周カッタ面盤32と、内周カッタ面盤32の中心から後方に延びるロッド状の内周シャフト33とからなる。
【0025】
内周カッタ面盤32は、直径方向に一文字に延びる内周スポーク34と、掘削した土砂を流量調整自在に裏側へ通過させるためのスリット開閉装置35とを有する。スリット開閉装置35は、内周カッタ面盤32の裏側に形成された内周カッタ室25内に、内周カッタ8で掘削した土砂を流量調整しながら取り込めるようになっている。
【0026】
内周カッタ面盤32の裏側には、内周カッタ室25内の土砂を攪拌するための攪拌板36が後方に突出して設けられている。
【0027】
内周カッタ室25は、内周カッタ面盤32の裏側に、外周シャフト9に外周を囲まれて形成されており、内周シールド3が進退することによって変形するようになっている。
【0028】
内周推進ジャッキ30は、内胴部29の内周に沿ってほぼ等間隔に複数設けられている。
【0029】
後胴部6には、油圧シリンダからなる外周推進ジャッキ24と、セグメント42を組み立てるためのエレクタ37とが設けられている。
【0030】
外周推進ジャッキ24は、ピストンロッド38を後方へ向けて後胴部6の前端部内周に多数、円周方向に等間隔に並べて設けられている。
【0031】
カッタ連結手段10は、外周シールド2の外周カッタ4と内周シールド3の内周カッタ8とを互いに軸方向にスライド可能に、かつ、周方向にロックするように係合させるためのものであり、内周カッタ8に設けられ内周カッタ面盤32から径方向外方へ延びる突起39と、外周シャフト9に設けられ内周カッタ面盤32から延びる突起39を軸方向スライド可能に填め入れるためのレール40とからなる。
【0032】
突起39は、内周スポーク34の両端を内周カッタ面盤32から延長させてなるものである。
【0033】
レール40は、長尺な鋼材からなり、外周スポーク14間に軸方向に延びるように、かつ、外周シールド2から内周側に露出されるように設けられている。また、レール40には、内周側へ向けて開口し、軸方向に延びる溝41が形成されており、溝41内に内周カッタ8側の突起39を軸方向スライド自在に填め入れるようになっている。
【0034】
次に作用を述べる。
【0035】
外周カッタ4と内周カッタ8の掘削面を合わせた状態から駆動装置12を駆動させると、駆動装置12の駆動力は駆動歯車28と、駆動歯車28に噛合する内歯歯車13とを介して外周シャフト9に伝達され、外周カッタ4が回転駆動される。このとき、外周シャフト9と内周カッタ8とは、カッタ連結手段10を介して係合されているため、内周カッタ8も外周カッタ4と一体に回転駆動される。
そして、外周推進ジャッキ24を伸張させつつ内周推進ジャッキ30を外周推進ジャッキ24の伸張速度と同じ速さで縮退させる。外周推進ジャッキ24は既設セグメント23を後方へ押し、その反力によって外周シールド2が掘進される。
【0036】
また同時に、内周シールド3は、内周推進ジャッキ30を縮退させることで内周カッタ8の前方から土圧を受けながらその場に止まる。
【0037】
カッタ連結手段10を構成する内周カッタ8側の突起39は、外周カッタ4側の溝41内を軸方向にスライドするため、外周カッタ4の掘進を邪魔することはない。
【0038】
外周シールド2は、多数のカッタビット15を有し、周速の速い外周カッタ4によって高速掘進される。
【0039】
外周推進ジャッキ24がセグメント42の一リング分伸張されたら、外周推進ジャッキ24の伸縮を止め、外周シールド2の掘進を停止させる。
【0040】
この後、内周推進ジャッキ30を伸張させて内周シールド3を掘進させながら、セグメント42を組み立てる。
【0041】
内周カッタ8は、外周カッタ4に設けられたレール40に突起39を係合されているため、外周カッタ4と一体に回転しながら掘進される。このとき、外周カッタ4は、空転されている。
【0042】
内周シールド3は、外周シールド2内を直線的に掘進され、セグメント42は円周方向に順次組み立てられる。
【0043】
内周シールド3が掘進されて再び内周カッタ8が外周カッタ4の位置まで来たら、内周推進ジャッキ30の伸張を止めて、内周シールド3の掘進を停止させる。
【0044】
そして、順次外周シールド2と内周シールド3を交互に掘進させながらトンネルを構築していく。
【0045】
トンネルを屈曲(カーブ)させる場合は、、中折れジャッキ22を適宜伸張乃至縮退させて前胴部5の向きを変えつつ外周カッタ4に設けられたコピーカッタ43を用いて余掘りし、カーブ施工用のセグメント(図示せず)を順次組み立てていく。
【0046】
このように、リング状の外周シールド2と、外周シールド2の内周に進退自在に設けられた内周シールド3とからなるシールド掘進機1において、外周シールド2の外周カッタ4と、内周シールド3の内周カッタ8とを互いに軸方向にスライド可能に、かつ、周方向にロックされるように係合させたため、外周カッタ4又は内周カッタ8の一方を回転駆動させるだけで外周カッタ4と内周カッタ8の両方を回転駆動させることができ、駆動装置12を減らしてコストを低減することができると共に、機内のスペースを広く保つことができる。
【0047】
また、外周カッタ4は、内周カッタ8の外周を囲む筒状の外周シャフト9を有するものとし、外周シャフト9に内周カッタ8を係合させるものとしたため、外周カッタ4に内周カッタ8を簡単な構成で容易に係合させることができる。
【0048】
そして、内周カッタ8に径方向外方へ延びる突起39を設け、外周シャフト9に、突起39を軸方向スライド可能に填め入れるためのレール40を設けてカッタ連結手段10を構成するため、カッタ連結手段10を簡単で安価なものにできる。
【0049】
また、外周カッタ4に駆動装置12を連結するものとしたため、内周シールド3内に駆動装置12を設ける必要がなく、内周シールド3内のスペースを広く保つことができる。
【0050】
なお、上述の実施の形態では外周シールド2を一セグメント分掘進させては内周シールド3を掘進させるものとしたが、これに限るものではなく、外周シールド2を複数セグメント分掘進させて一度に複数セグメントの組立スペースを確保するものとし、内周シールド3掘進中にその組立スペース内のセグメント42を組み立てるものとしてもよい。この場合、エレクタ37を前後方向にも移動可能なものとするとよい。
【0051】
また、上述の実施の形態では中折れ式のシールド掘進機1について述べたが、これに限るものではない。中折れしないシールド掘進機にあっても外周推進ジャッキ24の推進力を部分的に偏らせることで任意の方向にカーブ掘進させることができる。このとき、カーブの曲率は、推進力の偏り加減を調節することで決定することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)コストの低減を図ることができる。
(2)機内のスペースを広く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すシールド掘進機の側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のIII−III線矢視断面図である。
【図4】先行開発したシールド掘進機の側面図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機
2 外周シールド
3 内周シールド
4 外周カッタ
8 内周カッタ
9 外周シャフト
12 駆動装置
39 突起
40 レール

Claims (4)

  1. リング状の外周シールドと、その外周シールドの内周に進退自在に設けられた内周シールドとからなるシールド掘進機において、上記外周シールドの外周カッタと、上記内周シールドの内周カッタとを互いに軸方向にスライド可能に、かつ、周方向にロックされるように係合させたことを特徴とするシールド掘進機。
  2. 上記外周カッタは、上記内周カッタの外周を囲む筒状の外周シャフトを有し、該外周シャフトに上記内周カッタが係合される請求項1記載のシールド掘進機。
  3. 上記内周カッタに径方向外方へ延びる突起を設け、上記外周シャフトに、上記突起を軸方向スライド可能に填め入れるためのレールを設けた請求項2記載のシールド掘進機。
  4. 上記外周シールドは、上記外周カッタに連結される駆動装置を備えた請求項1〜3いずれかに記載のシールド掘進機。
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