JP2602198B2 - ポリイミド樹脂粉末からなる耐熱性接着剤 - Google Patents

ポリイミド樹脂粉末からなる耐熱性接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性に優れ、溶融流動性良好なポリイミ
ド樹脂粉末からなる耐熱性接着剤に関するものである。
〔従来の技術〕
エレクトロニクス、宇宙航空機器、輸送機器等の分野
に於いては各種工業材料の高性能、軽量化が計られ、そ
のためより高温特性に優れた材料が求められている。
従来、構造用接着剤、成形材或いは複合材に用いられ
ているエポキシ系、変性エポキシ系、フェノリック系等
の樹脂は、耐熱性に著しい欠点がある。
この欠点を改良したものとしてポリイミド系樹脂があ
る。然し、通常のポリイミド樹脂は前駆体であるアミド
酸では溶融流動性があるものの、環化し、略全部がポリ
イミド状態になると溶融流動性が非常に乏しくなる。溶
剤やポリアミド酸が残っている状態では、溶融流動性が
よくなるが、その状態で脱溶媒及びイミド化すると溶剤
の蒸発や環化の際発生する水分により空隙が発生し、物
性を低下させる原因となる。
溶融流動性を改良したポリイミド樹脂として3,3′,4,
4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水
ピロメリット酸等のテトラカルボン酸二無水物と、3,
3′−ジアミノベンゾフェノン等のジアミン化合物を有
機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸を加熱イミ
ド化して得られるポリイミド樹脂が米国航空宇宙局(NA
SA)により開発された。(例えば、米国特許第4,065,34
5号、米国特許第4,094,862号) 然しこのポリイミド樹脂とてまだ溶融流動性は充分満
足できるものではなく、使用にあたっては制限が多いと
いう問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、ポリイミドの溶融流動性を向上さ
せ、耐熱性の成形品、積層物、接着剤、被膜等として幅
広く充分に使用され得るポリイミド樹脂粉末からなる耐
熱性接着剤を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討し
た結果、式(I) 式中、R1から成る群より選ばれた基を表し、R2から成る群より選ばれた基を表し、Zは −CH2−、 −O−、 −SO2−及び−S− から成る群より選ばれた基を表し、R3はアルキル基及び
アリール基から成る群より選ばれた基を表し、Yは水素
原子、アルキル基及びアリール基から成る群より選ばれ
た基を表す。〕で表される繰り返し単位を有するポリア
ミド酸を脱水イミド化剤と反応させて化学イミド化して
得られる実質的に式(II) 〔式中R1、R2は式(I)のR1、R2と同一である。〕で表
される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂粉末が得ら
れ、該樹脂粉末に塗布してなる被着材を他の被着材と
重ねるか、または該樹脂粉末を塗布してなる被着材を互
いに接着層を内側にして重ねた結果、或いは、該ポリ
イミド樹脂粉末を被着材に塗布して該ポリイミド樹脂の
ガラス転移点以上に加熱溶融して被膜を形成し、該被膜
を形成して成る被着材を、他の被着材と重ねるか、また
は該被膜を表面に形成して成る被着材を互いに被膜側で
重ねた後、加圧状態で該ポリイミド樹脂のガラス転移点
以上に加熱して接着することにより高い接着強度が得ら
れることを見出し、本発明を完成した。
本発明に於いては、まずポリアミド酸の有機溶剤溶液
を製造する。一般的にはテトラカルボン酸二無水物とジ
アミン化合物をポリアミド酸可溶性の有機溶剤の中で、
公知の方法で反応させる。具体的には、例えばジアミン
化合物と有機溶剤に溶解或いは懸濁させてテトラカルボ
ン酸二無水物を徐々に添加することにより、或いはその
逆にテトラカルボン酸二無水物溶液にジアミン化合物を
徐々に添加することにより製造する。
使用するテトラカルボン酸二無水物としては、無水ピ
ロメリット酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)メタン二無水物等が好ましく、特に好適なテト
ラカルボン酸二無水物は3,3′,4,4′−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと略記する。)で
ある。
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも2種以
上混合して用いても何等問題はない。
使用するジアミン化合物としては、3,3′−ジアミノ
ベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,
3′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジ
フェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルメタ
ン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミ
ノジフェニルスルフィド、3,4′−ジアミノジフェニル
スルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,
4′−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
これら3,3′−又は3,4′−にジアミノ基を有する化合
物を使用することが優れた溶融流動性と高い接着強度を
有するポリイミド樹脂粉末を得るために望ましい。中で
も特に好ましいジアミン化合物は、3,3′−ジアミノベ
ンゾフェノン(以下、3,3′−DABPと略記する。)であ
る。
これらのジアミン化合物は単独でも2種以上混合して
用いて何ら問題はない。
使用出来る有機溶剤としては、N,N−ジメチルアセト
アミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル
等があげられ、後の脱水イミド反応操作の点からはN,N
−ジメチルアセトアミド等の極性非プロトン溶剤が好ま
しい。
得られたポリアミド酸溶液は通常の4〜45%の樹脂分
を含むものが溶液の取り扱い易さから好ましい。尚、溶
液の粘度としてはブルックフィールド粘度計により測定
した粘度で表して25℃で50〜50,000センチポイズの範囲
であることが望ましい。
又、ポリアミド酸自体の固有粘度としては0.2〜2.0dl
/gの範囲であることが得られるポリアミド樹脂の機械的
強化、溶融流動性、耐熱性等から好ましい。
尚、固有粘度は次の式で算出する。
ηinh=(1/C)・ln(η/η0) (上式に於いて、 ln=自然対数 η=N,N−ジメチルアセトアミド100ml中にポリアミド酸
0.5gを溶かした溶液の粘度(35℃) η0=N,N−ジメチルアセトアミドの粘度(35℃) C=溶剤100ml当たりポリアミド酸のgで表された重合
体溶液濃度である。) 次に、得られたポリアミド酸溶液を脱水イミド化剤と
反応させる。脱水イミド化剤としては無水酢酸、無水プ
ロピオン酸、無水イソ酪酸、無水酪酸等があげられ、こ
れらは単独で或いは2種以上の混合物で使用させる。
化学イミド化反応は次の2法が一般的である。第1法
はポリアミド酸溶液に脱水イミド化剤を添加する方法で
ある。第2法は、逆に脱水イミド化剤にポリアミド酸溶
液を添加する方法である。勿論その他の方法を用いても
差し支えない。
例えば、第1法のポリアミド酸溶液に脱水イミド化剤
を添加する場合には、脱水イミド化剤の添加は−10℃〜
150℃で行なうことが好ましい。また、脱水イミド化剤
は直接ポリアミド酸溶液に添加しても有機溶剤で希釈し
て添加してもよい。
添加する脱水イミド化剤の量はポリアミド酸に存在す
るカルボキシル基に対して0.8〜4当量、特に好ましく
は1〜2当量である。
尚、イミド化触媒を同時に添加することも可能であ
る。その触媒の例としてはトリメチレンアミン、トリエ
チルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリ
ン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等の第3級
アミン類が挙げられる。
触媒を用いる場合には、ポリアミド酸に存在するカル
ボキシル基に対して0.05〜1.5当量、好ましくは0.2〜1
当量を使用する。
ポリアミド酸溶液を攪拌しながら脱水イミド化剤を添
加するとイミド化が始まり、添加後の攪拌を続けるとポ
リイミド樹脂が粉末状に析出する。これを濾別し、水及
び/又は有機溶剤で充分洗浄した後、乾燥してポリイミ
ド樹脂粉末を得る。
また第2法の脱水イミド化剤にポリアミド酸溶液を添
加してポリイミド樹脂粉末を製造する場合にも、第1法
と同様の脱水イミド化剤、イミド化触媒を使用する。添
加に際しては、脱水イミド化剤を攪拌しながらポリアミ
ド酸溶液を添加する方法が好ましい。
尚、脱水イミド化剤はポリアミド酸に存在するカルボ
キシル基に対して1当量以上を使用することが好まし
い。また、第1法と同様脱水イミド化剤は有機溶剤で希
釈して用いても差し支えない。析出したポリイミド樹脂
は第1法と同様に処理して粉末状として得られる。
尚、このポリイミド中に物性に大きな影響を及ぼさな
い範囲の未環化のアミド酸基が残っていても、また化学
イミド化によらないイミド化部分が存在しても何ら差し
支えない。
また、樹脂粉末の残存揮発分は接着の際、ブリスター
を発生する等のトラブルを引き起こすので少ない方が好
ましく、通称12重量%以下であることが望ましい。
得られたポリイミド樹脂粉末は淡黄色の粉末で、成形
材、積層物、被膜等の材料としても幅広く使用される。
このポリイミド樹脂粉末を用いる接着は、同樹脂粉末
を塗布して接着層とし、他の被着材と重ねるか、或いは
樹脂粉末を塗布して成る被着材を互いに重ねた後、加圧
状態で加熱することにより行なう。また、該ポリイミド
樹脂粉末を被着材に塗布して該ポリイミド樹脂のガラス
転移点以上に加熱溶融して被膜を形成し、該被膜を形成
して成る被着材を、他の被着材と重ねるか、または該被
膜を表面に形成して成る被着材を互いに被膜側で重ねた
後、加圧状態で該ポリイミド樹脂のガラス転移点以上に
加熱して接着する。
芳香族ポリイミド樹脂粉末の塗布は公知の方法、例え
ば粉末を直接スプーン等で被着材に乗せたり、或いは均
一に塗布するために静電気的に行なう等の方法で行なう
ことが出来る。また、樹脂粉末を溶剤に懸濁して塗布す
る方法も可能で、溶剤としては、水、アセトン、メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、ベンゼン、キ
シレン等の一般的な溶剤が使用される。溶剤に懸濁して
塗布した場合には、塗布後溶剤を除去して接着すること
が好ましい。
接着に於いては該樹脂のガラス転移点以上に加熱して
接着することが高い接着強度を得るためには必要で、接
着温度の範囲は180℃〜450℃が、好ましくは250℃〜400
℃が適当である。加熱及び加圧方法は、熱プレス、熱ロ
ール、高周波による誘導加熱、ダブルベルトプレス、オ
ートクレープ等の公知の方法が可能である。また、接着
圧力は0〜500kg/cm2の範囲が望ましい。
尚、ポリイミド樹脂粉末を塗布し加熱溶解してポリイ
ミド樹脂の被膜となした後に接着しても同様に強固び接
着出来る。この方法によるとポリイミド樹脂接着層の揮
発分がよく抜けるのでより好ましい。
以上の操作で得られた接着体は高温に置いても高い接
着強度を有する。
〔実施例〕
本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
実施例−1 (a) 重合 500ml四つ口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド30
0ml,3,3′−DABP31.85g(0.15モル)を入れ、15℃、乾
燥窒素気流下で攪拌しながらBTDA粉末48.33g(0.15モ
ル)を徐々に添加した。添加に従って溶液の粘度が増大
する。添加終了後も更に4時間攪拌を続けて反応を終了
させた。得られたポリアミド酸溶液は淡褐色透明であ
り、ポリアミド酸の固有粘度は0.73dl/g(0.5g、N,N−
ジメチルアセトアミド溶媒100ml、35℃)であった。
(b) イミド化及び成形 (a)で得られたポリアミド酸溶液全量を20℃、乾燥
窒素気流下で攪拌している中に、無水酢酸45.94g(0.45
モル)、β−ピコリン8.4g(0.09モル)及びN,N−ジメ
チルアセトアミド40gから成る溶液を滴下した。滴下終
了後も更に6時間攪拌を続けると淡黄色のポリイミド樹
脂が析出しポリイミド樹脂のスラリーとなった。このポ
リイミド樹脂スラリーを濾過し、水及びメタノールで洗
浄後、120℃で減圧乾燥してポリイミド樹脂粉末を得
た。このポリイミド樹脂粉末の5%熱減量温度は548℃
であった。
このポリイミド樹脂粉末を圧縮成形機を用いて350
℃、300kg/cm2で成形した。得られた成形体は黒褐色透
明で強靱なものであった。
この成形体の引張強度は9.5kg/mm2(23℃、ASTM D−6
38)、曲げ強度は13kg/mm2(23℃、ASTM D−790)、ア
イゾッド衝撃強度(ノッチ付)は3.8kg・cm/mm2(23
℃、ASTM D−256)であった。
(c) 接着試験 (b)で得られたポリイミド樹脂粉末を冷間圧延鋼板
(JIS G−3141、SPCC、SD、サイズ1.6×25×100mm)に
塗布し、330℃、5kg/cm2で接着した。引張剪断接着強さ
は室温で285kg/cm2、250℃で203kg/cm2であった。(測
定方法はJIS K−6848及びK−6850による。) (d) 被膜形成及び接着試験 (b)で得られたポリイミド樹脂粉末を冷間圧延鋼板
(JIS G−3141、SPCC、SD、サイズ1.6×25×100mm)に
塗布し、295℃まで加熱して樹脂粉末を溶解した。この
操作を2回繰り返して約250μmの厚みを有するポリイ
ミド被膜を形成した。
得られたポリイミド被膜を有する鋼板に同様の鋼板を
重ねて330℃、5kg/cm2で接着した。得られた接着体の18
0°剥離接着強度は室温で19kg/25mm、250℃で13.5kg/25
mmであった。(測定方法はJIS K−6848及びK−6854に
よる。) 実施例−2〜6 各種テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を
用いて実施例1と同様の方法で重合及びイミド化を行
い、得られたポリイミド樹脂粉末を用いて成形及び接着
試験を行い、表−1の結果を得た。
比較例−1〜2 実施例−1と同様の方法で、本発明のポリアミド酸を
生成しないジアミン化合物を用いてポリアミド酸を得、
更に化学イミド化を行ってポリイミド樹脂粉末を製造し
た。得られた樹脂粉末を用いて成形及び接着試験を行
い、表−2の結果を得た。
実施例−7 (a) 重合 500ml四つ口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド30
0ml及びBTDA48.33g(0.15モル)を入れ、乾燥窒素気流
下で攪拌しながら3,3′−DABP21.23g(0.1モル)と3,
3′−ジアミノジフェニルスルホン12.4g(0.05モル)の
混合物を徐々に添加した。添加に従って溶液の粘度が増
大する。添加終了後も更に4時間攪拌を続けて反応を終
了させた。得られたポリアミド酸は淡褐色透明であり、
ポリアミド酸の固有粘度は0.71dl/g(0.5g/100ml、N,N
−ジメチルアセトアミド溶媒、35℃)であった。
(b) イミド化及び成形 無水酢酸184g(1.8モル)、β−ピコリン33.6g(0.36
モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド160gから成る溶
液を1000ml四つ口フラスコに入れ、20℃で攪拌している
中に(a)で得られたポリアミド酸溶液全量を滴下し
た。滴下終了後も更に1時間攪拌を続け、淡黄色のポリ
イミド樹脂スラリーを得た。このポリイミド樹脂スラリ
ーを濾過し、水及びメタノールで洗浄後、120℃で減圧
乾燥してポリイミド樹脂粉末を得た。このポリイミド樹
脂粉末の5%熱減量温度は548℃であった。
このポリイミド樹脂粉末を実施例−1(b)と同様の
条件で成形した。得られた成形体の引張強度は9.2kg/mm
2(23℃)、曲げ強度は13.1kg/mm2(23℃)、アイゾッ
ド衝撃強度(ノッチ付)は3.6kg・cm/mm2(23℃)であ
った。
(c) 被膜形成及び接着試験 冷間圧延鋼板(JIS G−3141、SPCC、SD、サイズ0.5×
25×150mm)に実施例−1の(d)と同様に被膜を形成
し、接着試験を行った。180°剥離接着強度は室温で20k
g/25mm、250℃で12.5kg/25mmであった。
実施例−8〜11 実施例−7と同様の方法で、各種テトラカルボン酸二
無水物及びジアミン化合物を用いてポリイミド樹脂粉末
を製造し、得られた樹脂粉末を用いて成形及び接着テス
トを行い、表−3の結果を得た。
比較例−3 (a) 熱イミド化ポリイミド樹脂粉末の製造 実施例−1(a)と同様の重合方法でポリアミド酸溶
液を製造した。ポリアミド酸の固有粘度は0.73dl/g(0.
5重量%、N,N−ジメチルアセトアミド溶媒、35℃)であ
った。このポリアミド酸溶液を激しく攪拌している水中
に投じてポリアミド酸を析出させた。析出した粉末を濾
別してメタノールで洗浄して白色のポリアミド酸粉末を
得た。この粉末を230℃で減圧12時間加熱乾燥して、熱
イミド化してポリイミド樹脂粉末を得た。この樹脂粉末
の5%熱減量温度は551℃であった。
この樹脂粉末を実施例−1と同様に成形した。この成
形体の引張強度は4.9kg/cm2(23℃)、曲げ強度は6.9kg
/mm2(23℃)、アイゾッド衝撃強度(ノッチ付)は2.0k
g・cm/cm2(23℃)であり、本発明方法と比較して強度
の劣る成形体であった。
(b) 接着試験 実施例−1の(c)と同一条件で接着を行った。引張
剪断接着強さは室温で108kg/cm2、250℃で95kg/cm2であ
り、本発明方法に比較して著しく接着強度の劣る接着体
しか得られなかった。
比較例−4 実施例−1のポリアミド酸粉末の製造の場合と同様の
方法で得られたポリアミド酸溶液を直接冷間圧延鋼板に
塗布した。塗布された鋼板を実施例−1におけるポリイ
ミド樹脂粉末を製造する時の条件、すなわち、180℃で
1時間加熱し、更に減圧下に230℃で12時間加熱する条
件でイミド化を行い鋼板上にポリイミド層を形成させ
た。このポリイミド層を挟むように別の鋼板を重ね上記
実施例−1と同様に330℃、5kg/cm2の接着条件で接着を
行った。このものの引張剪断強度は室温で100kg/cm2、2
50℃で70kg/cm2であった。この強度測定後、接着層の厚
みを光学顕微鏡で測定したところ、実施例−1のポリイ
ミド樹脂粉末の場合と同様に42μであった。
本願のポリイミド樹脂粉末を用いる接着にくらべ引張
剪断強さは著しく劣る。
〔発明の効果〕
本発明の耐熱性に優れ、溶融流動性の向上したポリイ
ミド樹脂粉末からなる耐熱性接着剤によれば、高温にお
いて特に高い接着強度を示す接着が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宍戸 重之 鎌倉市台4−5―10 (72)発明者 玉井 正司 横浜市戸塚区飯島町2070 (72)発明者 中嶋 久恵 町田市忠生2−17―1 (56)参考文献 特公 昭39−22196(JP,B1) 米国特許4065345(US,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 式中、R1から成る群より選ばれた基を表し、R2から成る群より選ばれた基を表し、Zは −CH2−、 −O−、 −SO2−及び−S− から成る群より選ばれた基を表し、R3はアルキル基及び
    アリール基から成る群より選ばれた基を表し、Yは水素
    原子、アルキル基及びアリール基から成る群より選ばれ
    た基を表す。〕で表される繰り返し単位を有するポリア
    ミド酸を脱水イミド化剤と反応させて化学イミド化して
    得られる実質的に式(II) 〔式中R1、R2は式(I)のR1、R2と同一である。〕で表
    される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂粉末からな
    ることを特徴とする耐熱性接着剤。
  2. 【請求項2】ポリアミド酸が、3,3′−ジアミノベンゾ
    フェノンと3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボ
    ン酸二無水物とから得られたものである特許請求の範囲
    第1項記載の耐熱性接着剤。
  3. 【請求項3】脱水イミド化剤が、無水酢酸、無水プロピ
    オン酸、無水イソ酪酸および無水酪酸から選ばれた一種
    以上である特許請求の範囲第1項または第2項記載の耐
    熱性接着剤。
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