JPH07118625A - 熱硬化性ポリイミド接着組成物及び該接着組成物を用いた接着方法 - Google Patents

熱硬化性ポリイミド接着組成物及び該接着組成物を用いた接着方法

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JPH07118625A
JPH07118625A JP24949393A JP24949393A JPH07118625A JP H07118625 A JPH07118625 A JP H07118625A JP 24949393 A JP24949393 A JP 24949393A JP 24949393 A JP24949393 A JP 24949393A JP H07118625 A JPH07118625 A JP H07118625A
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polyimide
adhesive
temperature
solvent
mmol
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JP24949393A
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Hiroshi Itatani
博 板谷
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WR Grace and Co Conn
WR Grace and Co
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WR Grace and Co Conn
WR Grace and Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温時の接着性に優れ、更に耐熱性、耐溶剤
性、耐絶縁性に優れた熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を
提供する。 【構成】 本発明の接着剤組成物は、ポリイミドの骨格
を構成するジアミン単位の一部又は全部が次式(I): 【化1】 で示される1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼンから誘導されるものであり、且つ、ポリイミド骨格
を構成するカルボン酸単位の一部又は全部が次式(I
I): 【化2】 で示されるビシクロオクト−エン−テトラカルボン酸ジ
無水物か誘導されるものであるポリイミドを含むことを
特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(発明の目的)本発明は、高温時の接着性
に優れ、更に耐熱性、耐溶剤性、耐絶縁性に優れた熱硬
化性ポリイミド樹脂接着剤に関するものである。特に、
本発明は、ポリイミド骨格を構成するジアミン単位とし
て1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンから
誘導された単位を、カルボン酸単位としてビシクロオク
ト−エン−テトラカルボン酸から誘導された単位を含む
ポリイミドを含む接着組成物に関する。更には、本発明
は、このポリイミド接着組成物にビスマレイミド化合物
を更に含有させた接着組成物、並びに、これらの接着組
成物を用いるホットメルト法による接着方法を提供する
ものである。
【0002】(従来の技術及び発明が解決しようとする
課題)ポリイミド樹脂は、引張強度及び強靭性等の機械
的特性に優れ、更に耐薬品性及び電気絶縁性に優れた超
耐熱性樹脂として知られている。
【0003】このポリイミド樹脂は、その優れた特性の
ために、耐熱性フィルム、コーティング剤、成形品、積
層品等として、電気・電子材料、宇宙航空材料、自動車
部品及び特殊機器部品等への応用が盛んに行われてい
る。特に、電気・電子材料分野においては、銅張印刷回
路の多積積層板用の接着剤としての利用が求められてい
る。しかしながら、従来のポリイミド接着剤は、銅、ア
ルミ、ガラス、セラミック等への接着力が劣っており、
また配線基板用基材として用いられるポリイミドフィル
ムに対する接着力も弱いため、かかる分野においてはあ
る特殊なポリイミド接着剤を除いては通常はエポキシ系
樹脂接着剤が実用に供されている。しかし、エポキシ樹
脂は耐熱性に劣り、150℃で容易に劣化することが知
られている。したがって、エポキシ樹脂接着剤を使用し
たポリイミド配線基板を高温下で使用すると短期間で電
気部品の特性が低下する。このため、高温下の使用でも
劣化することがなく、かつ接着力等の諸特性にすぐれた
接着剤が望まれている。特に最近では、多層最密化によ
る小型高性能のプリント配線基板の使用のために、耐熱
性のポリイミド樹脂接着剤の開発が急がれている。
【0004】ポリイミドは、酸成分とアミン成分とがポ
リマー骨格を構成するものであるが、従来、ポリイミド
骨格を構成する酸成分としては各種の芳香族テトラカル
ボン酸が用いられている。例としては、ピロメリット酸
ジ無水物、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸ジ無水物、3,4,3',4'−ビフェニルテトラカ
ルボン酸ジ無水物、ヘクサフルオロイソプロピリデン−
2,3−ビスフタル酸ジ無水物等が挙げられる。他方、
ビシクロオクト−エン−テトラカルボン酸ジ無水物は、
Beilsteinにビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−
1,2,3,6−テトラカルボン酸−1.6,2.3−ジ無水
物として記載されており、ポリイミド原料として使用す
ることができる。この酸成分を利用したポリイミドの研
究は比較的少なく、「ポリイミドの合成と特性」,(vol
ozinら,CA.,89,215807s;鈴木ら,CA.,93,723
56p)、「ガス分離膜」(CA.,112,210317m)及び「電気
絶縁材料」(CA.,92,199483n)等がケミカルアブスト
ラクトに記載されているが、接着剤としての利用は知ら
れていない。
【0005】ポリイミド接着剤に関して多くの研究及び
幾多の商品が知られている。ポリイミド接着剤は、大別
して液状とフィルム状の2通りに区別されている。ポリ
イミド接着剤について、松浦秀一、宮寺康夫,「高分子
加工」,38巻5号(1989年)37〜45頁及び"Polyimides"(D.
Wilson, H.D.Stenzenberger, P.M.Hergenrother;Blaki
e, New York, Chapter 6, polyimides as adhesives)等
の優れた総説がある。
【0006】フィルム状接着剤としては、Lark−T
PIとして知られる縮合型ポリイミド接着剤があるが、
ガラス転移温度(Tg)が高く、高温、高圧でしか接着
しないという技術上の難点がある。この接着性を改良す
るために低分子量の付加型ポリイミド接着剤が開発され
ている。この低分子量付加型ポリイミド接着剤とは、ポ
リイミドの分子鎖の末端に二重結合や三重結合を有する
プレポリマーであり、この不飽和部分同士が付加反応し
てポリマー分子の網状構造を構築することによって硬
化、即ち接着を行わしめるものである。かかる低分子量
付加型ポリイミド接着剤は、接着用ワニスとしてガラス
クロスやカーボンクロスに含浸されたプレプリグとして
使用され、重縮合型ポリイミド接着剤よりも低温、低圧
で加工できるという利点がある。しかし、この付加重合
型のポリイミド接着剤は、ポリイミドフィルム(カプト
ンHやユーピレックスS)や銅箔との間の接着力が、エ
ポキシ系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤に及ばない
という欠点を有する。更には、低分子量のためにフィル
ム状にしてフィルム接着剤として使用することは困難で
ある。いずれにしても、エポキシ系やアクリル系の樹脂
接着剤を用いてポリイミドプリント基板の接着を行う
と、耐熱性が不十分であって、高温時の接着強度の不
足、スルーホールの信頼性の不足等が生じるため、新た
なポリイミド接着剤の開発が要望されている。
【0007】(発明の構成) (課題を解決するための手段)本発明者らは、先に、上
記の課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、そのポリ
マー骨格中に不飽和結合部分が分散しているポリイミド
をビスマレイミド化合物と共に用いることにより、高温
時の接着性に優れ、更に耐熱性、耐溶剤性、耐絶縁性に
優れた熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤が得られることを
見出し、特許出願を行った(特願平4−50579
号)。しかしながら、かかるポリイミド接着組成物は、
そのガラス転移温度が高く、このために高温下での接着
操作が必要となるという欠点を有していた。今日、当該
技術においては更なる接着性の向上及び低温下での接着
加工性が要求されている。そこで、本発明者らは、更に
優れたポリイミド接着組成物を開発すべく、更に鋭意研
究をすすめた結果、先の特願平4−50579号で開示
したポリイミドにおいて、ジアミン成分として1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンから誘導された
ものを用いることによってポリイミドのガラス転移温度
が低くなり、したがって低温での加工が容易になり、ま
た、かかるジアミン成分を用いることによってポリイミ
ド接着剤の接着性が向上し、更には高分子量のポリイミ
ドフィルムや成形品として利用することができることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、従来用いられていない新
しいタイプの付加型ポリイミド接着剤を提供するもので
あり、本発明に係る接着組成物は、芳香族ジアミンとテ
トラカルボン酸ジ無水物との縮合によって生成するポリ
イミド組成物であって、ジアミン成分の全部又は一部と
して次式(I):
【化3】 で示される1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼン(以下、「APB」と記す)を用い、且つ酸成分の
全部又は一部として次式(II):
【化4】 で示されるビシクロオクト−エン−テトラカルボン酸ジ
無水物(以下、「BCD」と記す)を用いるポリイミド
を含有することを特徴とするものである。
【0009】ポリイミド骨格を形成する芳香族ジアミン
成分としては、APBを含むことが必須であるが、AP
Bと併用して種々のジアミンを用いることができる。こ
れらAPBと併用できるジアミンとしては、高分子量ポ
リイミドを生成する芳香族ポリイミドが好ましく、具体
例としては以下のもの等が挙げられる。
【0010】3,3'−ジアミノベンゾフェノン;3,4'
−ジアミノベンゾフェノン;3,3'−ジアミノジフェニ
ルスルホン;3,4'−ジアミノジフェニルスルホン;
4,4'−ジアミノジフェニルスルホン;3,3'−ジアミ
ノジフェニルメタン;4,4'−ジアミノジフェニルメタ
ン;3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド;4,4'−
ジアミノジフェニルスルフィド;3,3'−ジアミノジフ
ェニルエーテル;3,4'−ジアミノジフェニルエーテル
(以下、「m−DADE」と記す);4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル(以下、「p−DADE」と記
す);2,2−(4,4−ジアミノジフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン;3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフ
ェニル;3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェ
ニル;2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル)プロパン;2,2−ビス(4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、
「HFBAPP」と記す);ビス(4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル)スルホン;ビス(4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル)スルホン(以下、「m−BA
PS」と記す);4,4'−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル;ビス(4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル)エーテル;1,4−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼン;1,3−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン(以下、「m−TPE」と記す);4,4'
−ジアミノベンズアニリド;o−トリジンスルホン;p
−フェニレンジアミン;m−フェニレンジアミン;2,
4−ジアミノトルエン;(3,3'−ジヒドロキシ−4,
4'−ジアミノ)ビフェニル;又は9,9'−ビス(4−
アミノフェニル)フルオレン(以下、「FDA」と記
す)。
【0011】また、ポリイミド骨格を形成する酸成分と
して、上記のビシクロオクト−エン−テトラカルボン酸
ジ無水物と共に、ポリイミド合成において通常用いられ
ている他のカルボン酸無水物を併用することができる。
この目的で用いることのできる化合物としては、無水ピ
ロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸ジ無水物(BTDA)、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルジ無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジ無水
物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無
水物(BPDA)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FDA)等を挙
げることができる。
【0012】ポリイミド骨格を構成するジアミン成分と
してAPBを用いることによって、ポリイミドの溶剤に
対する溶解性が向上し、重合に際しては高分子量ポリイ
ミドが生成し易くなる。このポリイミドの特徴としてガ
ラス転移温度が非常に低くなるため、接着加工に際して
加工温度を下げることができる。また、他のジアミンを
用いたポリイミドよりも接着力が強力になる。
【0013】各種の組成のポリイミドとそのガラス転移
温度との関係を下表に示す。他のジアミンに代えてAP
Bを用いることによってポリイミドのガラス転移温度は
20〜70℃低くなる。
【0014】
【表1】 上式Iで示されるAPB及び場合によっては上記他のジ
アミンと、上式IIで示されるBCD及び場合によって
は上記他の酸ジ無水物とを、適当な割合で種々組み合わ
せることにより本発明に係るポリイミドを合成すること
ができる。ポリイミドの分子量が高いほど、耐熱寿命の
長いポリイミド接着剤となり、またフィルムとして加工
し易くなる。フィルムとして用いる場合には、酸成分と
ジアミン成分とを厳密に当量で反応させることが必要で
ある。また、本発明組成物は、溶剤に溶解した状態でワ
ニスとして用いることもできるが、その場合には酸成分
/ジアミン成分の当量比を0.9〜1.1に調整する必
要がある。本発明に係るポリイミドは、合成方法によっ
て、ホモ共重合体(2成分共重合体)、ランダム共重合
体、セグメントブロック共重合体、ブロック共重合体と
して合成することができる。分子量を高め、耐熱性を向
上させるためには、セグメントブロック共重合体、ブロ
ック共重合体とすることが好ましい。
【0015】本発明に係るポリイミドは、酸成分とジア
ミン成分とから先ず中間体であるポリアミド酸を生成さ
せ、次いで化学処理するか又はポリアミド酸を単離して
加熱処理することによって製造することができる。ま
た、本発明にかかるポリイミドは、通常は溶剤可溶性を
示すので、フェノール系溶媒(例えば、4−メトキシフ
ェノールとフェノールとの混合溶媒、2,6−ジメチル
フェノールとフェノールとの混合溶媒又はメタクレゾー
ル等)、スルホラン、テトラメチル尿素、ベンゼンスル
ホン酸メチル等の溶媒を用いて、直接加熱処理すること
によってイミド化を行うこともできる。
【0016】また、溶液重合方法として、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチルピロリドン、カプロラクタム、ジメチルスルホ
キシド、テトラメチル尿素、スルホラン、ブチロラクト
ン等を用いてポリアミド酸中間体を合成し、これに酢酸
無水物を添加してポリイミドを合成したり、ポリアミド
酸中間体を単離、加熱してイミド化する方法もある。溶
液中で直接イミド化する場合、ピリジン、ピコリン、オ
キシキノリン、N−メチルモルホリン等の塩基性物質を
添加すると、イミド化を加速することができる。生成す
るポリイミド溶液は、溶液のままでビスマレイミド化合
物との混合に供することができるが、生成した溶液をア
ルコール、ヘキサン、トルエン等の溶媒中に入れてポリ
イミドを沈殿させ、これを粉末として回収することもで
きる。生成したポリイミド粉末を、それが溶解しうる溶
媒中に溶解してワニスとすることができる。この場合に
用いることのできる溶媒としては、フェノール性溶媒、
ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホ
ラン、ジメチルアセトアミド等が好ましく用いられ、ま
たある種のポリイミドについてはクロロホルム、アセト
ン、ジオキサン等を用いることもできる。
【0017】上記により得られた、APB成分とBCD
成分とをポリマー骨格成分として有する本発明に係るポ
リイミドは、そのままで金属板、電線、樹脂表面へのコ
ート材とすることができるが、接着剤としての接着力を
更に向上させるために、このポリイミドにビスマレイミ
ド化合物を更に加えた接着組成物とすることができる。
【0018】かかる組成を採用すると、ビスマレイミド
化合物自体が重縮合すると共に、ポリイミド骨格中に分
散して存在する不飽和部分(BCD分子中の二重結合部
分)同士がビスマレイミド化合物を介して結合すること
により3次元架橋構造が構築されて強力な硬化(接着)
が起こる。
【0019】本発明組成物においてポリイミドと共に用
いることのできるビスマレイミド化合物としては、特に
限定はされないが、加熱して硬化させる(接着させる)
際に容易に低温で架橋重縮合するビスマレイミド化合物
が好ましい。本発明において用いることの出来るビスマ
レイミド化合物の例を以下に示す。
【0020】ビス(4−マレイミドフェニル)メタン;
ビス(4−マレイミド−3−メチルフェニル)メタン;
2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン;
N,N'−4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド;
N,N'−3,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド;
N,N'−4,4'−ジフェニルスルホンビスマレイミド;
N,N'−3,3'−ジフェニルスルホンビスマレイミド;
N,N'−(3,3'−ジフェノキシ−4−フェニル)スル
ホンビスマレイミド;4,4'−(4−フェノキシ)−
1,3−ベンゼンビスマレイミド;N,N'−3,3'−フ
ェノキシ−4−ベンゾフェノンビスマレイミド;N,N'
−3,3'−ベンゾフェノンビスマレイミド;N,N'−パ
ラフェニレンビスマレイミド;2,2−ビス(4−マレ
イミドフェニル)ヘキサフルオロプロパン;2,2−ビ
ス(4−マレイミドフェノキシ−4−フェニル)ヘキサ
フルオロプロパン。
【0021】上記のポリイミドとビスマレイミド化合物
とを含む組成物を調製する場合には、上述の方法で得ら
れたポリイミドに、上記のビスマレイミド化合物を添
加、撹拌して均一な組成の溶液組成物を得る。この場
合、ビスマレイミド化合物の添加量は、ポリイミドに対
して5〜100重量%が好ましく、5〜30重量%がよ
り好ましい。
【0022】ポリイミドにビスマレイミド化合物を混合
する方法としては、ポリイミド粉末にビスマレイミド化
合物の粉末を直接加えて混合する方法の他に、ポリイミ
ドを溶媒中に溶解した溶液又は上記に記載したポリイミ
ドの生成反応によって得られるポリイミド溶液それ自体
にビスマレイミド化合物の粉末を混合溶解して接着剤ワ
ニスとする方法が好ましい。この際、溶解を促進するた
めに加熱することが望ましいが、ポリイミド及びビスマ
レイミド化合物の縮合反応が起こらない温度でなければ
ならない。一般にはポリイミドを160℃程度の温度で
溶剤中に溶解して得られたポリイミドワニスに、150
℃以下、好ましくは100℃以下の温度でビスマレイミ
ド化合物を添加して混合・撹拌する方法が好ましい。か
くして得られたポリイミド接着組成物ワニスは、室温で
保存が可能である。
【0023】上記のようにして得られたポリイミド接着
組成物ワニス又はポリイミドとビスマレイミド化合物と
を含む接着組成物ワニスを、銅板やポリイミドフィルム
等の被着体上に流延して、(ビスマレイミド化合物を含
む場合には)ビスマレイミド化合物自体が重合しないよ
うな温度で乾燥することによって、その表面上に未硬化
状態の接着剤を有する銅板やポリイミドフィルムを得る
ことができ、この上に他の被着体を載置して後述のよう
に加熱・加圧することにより被着体同士の接着を行うこ
とができる。乾燥温度は通常150℃以下であり、赤外
線ヒーターによって内部まで加熱する方法や、減圧法、
対流法等の加熱方法が用いられる。ポリイミド接着剤中
の残留溶媒の量を1%以下にすることが必要であり、こ
れ以上の溶媒が残存するとその影響により接着体の高温
時の耐熱性が低下する。
【0024】また、接着組成物ワニスを、ガラス板やス
テンレス板等の上に流延、乾燥してフィルム状の接着剤
とすることができる。上記と同様に乾燥温度は(ビスマ
レイミド化合物を含む場合には)ビスマレイミド化合物
が重合しないような温度、通常は150℃以下の温度が
用いられる。このようなフィルム状の接着剤とすると、
成形性が容易である上に、ガスの発生を伴わない為に環
境汚染が少ないという利点がある。更に、使用に際して
フィルムを所望の大きさに切断して用い、残った部分は
回収して再使用することができる。なお、フィルム状接
着剤として用いる場合には、ポリイミドの分子量は3万
〜20万程度の高いものであることが必要である。
【0025】更に、接着組成物ワニスを、ガラスクロ
ス、カーボンクロス等に含浸させた後、上記と同様の条
件で乾燥させて溶媒を除去することにより、接着用成形
品とすることができる。このような含浸型の接着用成形
品とすることにより、接着箇所の強度の向上や、接着部
分において応力を吸収することによる構造体の構造強度
の向上を図ることができる。
【0026】上記記載のようにして得られた表面上に未
硬化の接着剤を有する被着体にもう一方の被着体を重ね
合わせ、あるいは、上記のようにして得られたフィルム
状の接着剤又は含浸型の接着用成形品を被着体の間に挟
んで加熱・加圧して接着を行う。加熱は、ポリイミドの
ガラス転移温度(Tg)以上の温度で行う。また、接着
の際に加える圧力は5〜100kg/cm2が好まし
く、10〜30kg/cm2がより好ましい。接着剤組
成物がビスマレイミド化合物を含む場合には、用いられ
ているビスマレイミド化合物の熱硬化最大発熱温度付近
の温度で加熱を行わなければならない。これによりビス
マレイミド化合物自体が重縮合すると共に、ビスマレイ
ミド化合物を介してBCDを含有するポリイミド骨格中
に分散している二重結合同士が架橋して三次元構造を構
築し、強力な硬化(接着)が行われる。本発明において
好ましく用いることのできる幾つかのビスマレイミド化
合物の熱硬化最大発熱温度を以下に示す。
【0027】 ビスマレイミド化合物 熱硬化最大発熱温度 ──────────────────────────────────── ビス(4−マレイミドフェニルメタン) 235℃ N,N'−4,4'−ジフェニルスルホンビスマレイミド 264℃ N,N'−3,3'−ジフェニルスルホンビスマレイミド 217℃ 4,4'−(4−フェノキシ)−1,3−ベンゼン 254℃ ビスマレイミド N,N'−(3,3'−ジフェノキシ−4−フェニル) 295℃ スルホンビスマレイミド N,N'−4,4'−ジフェニルエーテルビスマレイミド 286℃ ──────────────────────────────────── このようにして加熱・加圧して接着した成形品、例えば
プリント基板等は、200〜300℃で熟成させること
によって成形品の機械的特性の均一化、接着力の均質化
を図ることができる。
【0028】(発明の効果)本発明の接着剤は、熱安定
性に優れ、接着強度が高温においても長く保持されるた
め、電気・電子材料、宇宙航空材料等への適用が可能と
なる。また、本発明の接着剤は、ワニス、粉末、フィル
ム、ガラスクロス又は炭素繊維含浸成形品の形態とする
ことができるので、種々の用途において要求される形態
で用いることができる。例えばフィルム状接着剤とすれ
ば、フレキシブルで加工が容易であり、また加工時にガ
スの発生を伴わないので作業環境の保全に優れている。
更に、本発明の接着剤は、どの形態においても室温で変
化しないため、長時間にわたって保存することができ
る。
【0029】本発明の接着剤は、ポリイミド、銅板
(箔)、アルミ板(箔)、ガラス、セラミック等との接
着力に優れる。また、ポリイミドとの相溶性も良好で、
ユーピレックス、カプトン等のポリイミドフィルムと銅
箔との接着に有効であって、多層配線基板、フレキシブ
ルプリント基板用の接着剤として有用である。
【0030】(実施例)以下に、本発明の実施例を示
す。ここにおいて、固有粘度は次式: λinh=ln(t/t0) / 0.5 (tは、ポリマー溶液(試料0.5gをN−メチルピロ
リドン100ml中に溶解)のオストワルド粘度計中の
落下速度、t0は溶媒のみの場合の落下速度である)で
表される。
【0031】熱分解開始温度(Tm)は、島津製作所製
TGA−50を用い、昇温温度10℃/分で900℃ま
で昇温して測定した。
【0032】ガラス転移温度(Tg)は、島津製作所製
DSC−50を用い、昇温温度10℃/分で420℃ま
で昇温して測定した後、試料を空冷し、再び10℃/分
で350℃まで昇温して再度測定した。第二回目の昇温
によって得たチャートからTgを求めた。
【0033】赤外吸収(IR)は、Nicolet510Ft
赤外線スペクトロメーターを用いて、KBr錠剤法又は
フィルムにより測定した。
【0034】剥離接着強さ(180゜)は、JIS K
6854−1977に準じて、10cm×2cmの銅箔
とポリイミドフィルムの接着体のポリイミド面を、鋼板
上に粘着剤ではり付けた後、島津製作所製インストロン
AGB500を用いて銅箔の180゜引き剥がし強度を
測定した。90゜ピール試験は圧着サンプルを1mm幅
にエッチングして、引張速度50mm/分でドラム式9
0゜ピール試験によって行った。
【0035】銅箔は、三井金属工業製のプリント基板用
銅箔52CM×10(商品名:厚さ100μm)をその
まま使用した。
【0036】ポリイミドフィルムは、KaptonH(厚さ2
5μm)の表面をスパッタリングしたもの、及び、Upil
ex−S(厚さ100μm)をスパッタリング処理したも
のをそのまま用いた。
【0037】APBとしては三井東圧製のものを用い
た。また、BCDとしては、Aldrichケミカル製のビシ
クロ(2.2.2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テ
トラカルボン酸ジ無水物を用いた。
【0038】M液とは、4−メトキシフェノール/フェ
ノールの3/7(重量比)混合液である。
【0039】(ポリイミドの製造) (例1)500ml容量のセパラブル三つ口フラスコ
に、撹拌器(ステンレス製イカリ型)、玉付冷却管の付
いたストップコック付トラップ管、及び、窒素導入管を
取り付けた。反応器はシリコーンオイルに浸して反応温
度を制御した。反応中は窒素を反応器内に流通させた。
【0040】反応容器に、BCD 6.20g(25ミ
リモル)、APB 7.31g(25ミリモル)、ピリ
ジン2g(25ミリモル)、M液100g及びトルエン
15mlを加えた。室温において1時間、140℃で1
時間、180℃で90分間、300rpmで加熱撹拌し
た。180℃で反応中に、トルエンと生成した水が共沸
し、前記玉付冷却管の付いたストップコック付トラップ
管に、共沸した水がたまり、180℃での反応1時間後
に、トルエンと共に全て留去された。
【0041】反応後、反応液を空冷し、メタノール50
0ml中に注ぎ、ミキサーを用いて激しく撹拌すると白
色のポリイミド粉末が得られた。これを吸引濾過し、メ
タノールで洗浄した。一晩風乾した後、減圧下150℃
で乾燥して、白色のポリイミド粉末12.4gが得られ
た。この粉末は、NMP、DMF、スルホランに可溶で
あった。
【0042】得られたポリイミドの固有粘度は0.7で
あった。また、得られたポリイミドをIR分析にかけた
ところ、1776、1716、1734、712cm-1
にイミド基に起因する特性吸収を、更に1479、77
7cm-1にAPBに起因する特性吸収を示した。熱分析
の結果、ガラス転移温度(Tg)は221〜231℃、
分解開始温度(Tm)は459℃であった。
【0043】(例2)例1と同様の500ml容量の三
つ口セパラブルフラスコを用いて窒素流動下で反応を行
った。
【0044】BCD 12.42g(50ミリモル)、
3,4−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化製)
5.01g(25ミリモル)、ピリジン2g、M液15
0g及びトルエン15mlを反応器に加えて撹拌(30
0rpm)した。室温で30分、140℃で1時間、昇
温して180℃で1時間反応させた。180℃における
反応でトルエンと共に水が共沸した。180℃での反応
中にトルエン及び水が全て留去された。生成物を空冷し
て、APB 7.31g(25ミリモル)、ピリジン2
g、M液50g及びトルエン15mlを加えた。室温で
30分、140℃で1時間、昇温して180℃で2時間
30分反応させた。180℃での反応1時間後に水及び
トルエンが全て留去された。
【0045】反応液を空冷して、過剰のメタノール(約
1l)中に注ぎ、ミキサーで激しく撹拌して、黄色の粉
末を得た。これを吸引濾過、メタノールで洗浄した。一
晩風乾した後、減圧下150℃で3時間乾燥し、淡黄色
乃至無色のセグメント重合体であるポリイミド粉末2
4.4gを得た。この粉末はNMP、DMF、スルホラ
ンに可溶であった。
【0046】得られたポリイミドの固有粘度は0.62
であった。また、得られたポリイミドをIR分析にかけ
たところ、1779、1717、1382、714cm
-1にイミド基に起因する特性吸収を、更に1480、7
76cm-1にAPBに起因する特性吸収を示した。熱分
析の結果、ガラス転移温度(Tg)は258〜273
℃、熱分解開始温度(Tm)は443、594℃であっ
た。
【0047】(例3)例2に準じて実験を行った。
【0048】BCD 12.42g(50ミリモル)、
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(和歌山精化
製)5.41g(25ミリモル)、ピリジン2g、M液
150g及びトルエン15mlを反応器に加えた。室温
で30分、140℃で1時間、180℃で1時間反応を
行い、水−トルエンを留去させた。反応後、生成物を空
冷して、APB 7.31g(25ミリモル)、ピリジ
ン2g、M液150g及びトルエン15mlを加えた。
室温で30分、140℃で1時間、180℃で1時間反
応を行い、水及びトルエンを留去させた。
【0049】例2と同様の処理を行って、黄色のポリイ
ミド粉末24.5gを得た。この粉末はNMP、DM
F、スルホランに可溶であった。
【0050】得られたポリイミドの固有粘度は0.61
であった。また、得られたポリイミドをIR分析にかけ
たところ、1778、1716、1383、717cm
-1にイミド基に起因する特性吸収を、1479、777
cm-1にAPBに起因する特性吸収を示した。熱分析の
結果、ガラス転移温度(Tg)は268〜281℃、熱
分解開始温度(Tm)は455℃であった。
【0051】(例4)例1に準じて実験を行った。
【0052】BCD 6.21g(25ミリモル)、
3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジ無
水物(宇部興産製)7.36g(25ミリモル)、AP
B 14.62g(50ミリモル)、ピリジン4g、M
液200g及びトルエン15mlを反応器に加えた。
【0053】例1と同様の反応及び処理を行い、黄色の
ポリイミド粉末26.9gを得た。この粉末はNMP、
DMF、スルホランに可溶であった。得られたポリイミ
ドの固有粘度は0.71。IR分析では、1777、1
716、1374、711cm-1にイミド基に起因する
特性吸収を、1479、766cm-1にAPBに起因す
る特性吸収を示した。熱分析の結果、ガラス転移温度
(Tg)は211〜220℃、熱分解開始温度(Tm)
は451℃であった。
【0054】(例5)例4に準じて実験を行った。
【0055】BCD 6.21g(25ミリモル)、
5,5’−(2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフ
ルオロメチル)エチリデン)ビス−1,3−イソベンゾ
フランジオン(ヘキスト・セラニーズ社製)11.1g
(25ミリモル)、APB 14.62g(50ミリモ
ル)、ピリジン4g、M液200g及びトルエン15m
lを反応器に加えた。
【0056】例4と同様の反応及び処理を行い、白色の
ポリイミド粉末29.1gを得た。この粉末はNMP、
DMF、スルホランに可溶であった。得られたポリイミ
ドの固有粘度は0.61。IR分析では、1784、1
719、1376、721cm-1にイミド基に起因する
特性吸収を、1480、776cm-1にAPBに起因す
る特性吸収を示した。熱分析の結果、ガラス転移温度
(Tg)は209〜219℃、熱分解開始温度(Tm)
は461℃であった。
【0057】(例6)1l容量の三つ口フラスコを用い
て、例4に準じて実験を行った。
【0058】BCD 24.82g(0.1モル)、
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
ジ無水物(ACIジャパン製)32.22g(0.1モ
ル)、APB 58.46g(0.2ミリモル)、ピリ
ジン8g(0.1モル)、M液800g及びトルエン3
0mlを反応器に加えた。室温で1時間、140℃で1
時間、180℃で3時間30分反応を行った。その後、
例4と同様に反応及び処理を行って黄色のポリイミド粉
末105.7gを得た。この粉末はNMP、DMF、ス
ルホラン及びアセトンに可溶であった。IR分析では、
1781、1717、1376、716cm-1にイミド
基に起因する特性吸収を、1479、776cm-1にA
PBに起因する特性吸収を示した。熱分析の結果、ガラ
ス転移温度(Tg)は205〜214℃、熱分解開始温
度(Tm)は460℃であった。
【0059】(例7)例2に準じて実験を行った。
【0060】BCD 12.42g(50ミリモル)、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル5.01g(2
5ミリモル)、ピリジン2g(25ミリモル)、M液1
50g及びトルエン15mlを反応器に加え、室温で3
0分、140℃で1時間、176℃で1時間反応させた
後、空冷して、APB 14.62g(50ミリモ
ル)、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸ジ無水物 8.06g(25ミリモル)、ピリジ
ン2g(25ミリモル)、M液100g及びトルエン1
5mlを加えた。室温で30分、140℃で1時間、1
80℃で1時間30分反応させた。生成物を例2と同様
に処理し、黄色のポリイミド粉末37.0gを得た。こ
の粉末はNMP、DMF、スルホランに可溶であった。
【0061】IR分析においては、1781、171
7、1374、716cm-1にイミド基に起因する特性
吸収を、1479、776cm-1にAPBに起因する特
性吸収を示した。熱分析の結果、ガラス転移温度(T
g)は234〜237℃、熱分解開始温度(Tm)は4
56℃であった。
【0062】(例8) (接着剤組成物の調製)例1で得られたポリイミド粉末
10gを、N−メチルピロリドン40g中に160℃で
加熱溶解した。室温でビス(4−マレイミド−フェニ
ル)メタン1.0gを加え、室温下で十分に混合して溶
解した。この組成物は室温に長時間保存しても殆ど変化
を起こさなかった。
【0063】この接着剤組成物を使用する際には、この
まま、あるいは85℃に加温して使用する。
【0064】同様にして例2〜7で得られたポリイミド
粉末をN−メチルピロリドン中に溶解し、ビスマレイミ
ドを加えてポリイミド接着剤組成物とした。
【0065】(接着剤剥離試験用サンプルの調製)三井
金属製プリント基板用銅箔52CM×10(厚さ100
μm)を、15cm×25cmの大きさに切断した。上
記の接着剤組成物を、アプリケーターを用いて銅箔上に
均一に塗布した。赤外線ランプ乾燥器中に試料を配置し
て、85℃で2時間送風加熱して乾燥した。大きさが1
5cm×25cmの、その表面上に未硬化のポリイミド
接着剤が付着した銅箔を得た。
【0066】スパッタ処理したカプトン(Kapton H:
厚さ25μm)を10cm×10cmに切断し、これを
上記の接着剤が付着した銅箔上に載置し、ホットプレス
を用いて20kg/cm2の圧力下、270℃で30分間加圧
加熱して接着を行った。カプトンが載置されている部分
を幅2.5cm、長さ15cmで切断することによっ
て、幅2.5cm×長さ15cmで銅箔とカプトンとが
接着している部分の長さが10cmで銅箔のみの部分の
長さが5cmである試験用サンプルを調製した。同様に
Upilex-Sについても試験片を調製した。
【0067】上記で得られたポリマー/銅箔接着試験片
のポリマー側に粘着テープを貼り、鋼板に貼り付けた。
インストロン剥離試験器を用いて銅箔の180゜引き剥
がし試験(引き剥がし速度=200mm/分)を行っ
た。測定結果を表2に示す。
【0068】
【表2】 BCD−APBポリイミド(例1)は、ガラス転移温度
が221〜231℃であり、ピール剥離強度は、それぞ
れ2.0kgf/cm(Kapton)及び2.7kgf/cm(Upilex)
であったのに対して、BCD−m−BAPSポリイミド
(参考1)は、ガラス転移温度が264〜277℃、ピ
ール剥離強度がそれぞれ1.5kgf/cm(Kapton)及び
1.3kgf/cm(Upilex)であり、また、BCD−m−T
PEポリイミド(参考2)は、ガラス転移温度が293
〜300℃、ピール剥離強度がそれぞれ1.0kgf/cm
(Kapton)及び1.1kgf/cm(Upilex)であった。
【0069】したがって、BCD−APBポリイミド
は、ガラス転移温度が低く、接着力が高いことが分か
る。特に、m−TPEとAPBとは構造が類似している
にも拘わらず、後者の方が接着力が格段に高い。
【0070】例2は、3成分系のセグメントコポリマー
であり、ガラス転移温度が258〜273℃と高い。こ
のため、ピール強度はやや減少した。また、例4は、ラ
ンダム共重合体であるため、ガラス転移温度が211〜
220℃と低い。しかしながら、例1に比較するとピー
ル剥離強度が弱い。一般に、ランダム共重合体は2成分
系共重合体及び3成分系セグメント共重合体に比較して
その特性が悪いといわれている。
【0071】(例9) (接着用ポリイミドフィルムの製造)例1で得られたポ
リイミド粉末を例8と同様の割合、方法でビスマレイミ
ドと混合して接着剤ワニスを調製した。このワニスを、
アプリケーターを用いてガラス板上に均一に塗布した。
赤外線ランプ乾燥器中において85℃で1時間送風加熱
した後、生成したポリイミドフィルムを剥ぎ取った。こ
のフィルムを濾紙の上に載せ、周囲をクリップでとめて
再び赤外線ランプ乾燥器中において85℃で2時間送風
乾燥した。このフィルムを更に真空乾燥器中85℃で5
時間十分に乾燥した。
【0072】(被着体及び評価)ポリイミドフィルム
(Kapton 100H)にスパッタリング処理を行った。厚さ
約35μmの銅箔(日鉱DHN−02)と上記Kaptonフ
ィルムとの間に、上記で得られた接着用ポリイミドフィ
ルムを挟み、300℃、20kg/cm2の条件で1時
間圧着した。
【0073】このサンプルを、1mm幅にエッチング
し、ドラム式90゜ピール試験機を用いて引張速度50
mm/分で90゜ピール試験を行った。ピール剥離強度
は1.3kgf/cmであった。
【0074】また、サンプルを200℃熱風乾燥器中に
投入し、熱劣化試験を行った。結果を図1及び図2に示
す。熱劣化試験の結果、200℃で10日間後には、接
着力保持率20〜30%で、接着力は200g/cmと
なった。
【0075】(例10)ビスマレイミド化合物の添加量
の効果について検討した。例1、例6及び例7で調製し
たポリイミド粉末をNMPに溶解し、ポリイミドに対し
て10重量%及び20重量%の量のビス(4−マレイミ
ドフェニル)メタンを添加した。この溶液を銅箔(日鉱
DHN−02:厚さ35μm)の表面に塗布し、100
℃で1時間、熱風乾燥器中で乾燥した。接着剤層の表面
にスパッタ処理を行ったKapton 100Hを置き、300
℃、20kg/cm2で1時間圧着した。これらの試料
の90゜ピール試験を例9と同様に行った。その結果を
図3に示す。図3より、ビスマレイミド化合物の添加量
については、ポリイミドに対して10重量%程度である
場合に良好な結果が得られることが分かった。
【0076】(例11)例2、例3、例4及び例5で調
製したポリイミドをNMPに溶解し、これにビス(4−
マレイミドフェニル)メタンをポリイミドに対して10
重量%添加し、溶解した。この溶液を、Kapton 100Hの
表面に塗布し、減圧乾燥器中において85℃で1時間乾
燥した。接着剤層の上に銅箔を置き、300℃、20k
g/cm2で1時間圧着した。得られた試料に関して、
引張速度50mm/分で180゜ピール試験を行った。
また、200℃における熱劣化試験を例9と同様に行っ
た。結果を図4に示す。
【0077】(例12)各種の接着用ポリイミドを合成
し、その熱的性質(ガラス転移温度及び熱分解開始温
度)を測定した。
【0078】(イ)例1と同様の手順でポリイミドを合
成した。
【0079】3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸ジ無水物16.11g(50ミリモル)、
APB 14.62g(50ミリモル)、ピリジン4g
(50ミリモル)及びM液150gを用いて反応を行
い、ポリイミド粉末28.1gを得た。このものはNM
P、DMF、スルホラン及びアセトンに可溶であった。
【0080】(ロ)例4と同様の手順でランダム共重合
ポリイミドを合成した。
【0081】ピロメリット酸ジ無水物5.45g(25
ミリモル)、BCD 6.25g(25ミリモル)、A
PB 14.62g(50ミリモル)、ピリジン4g及
びM液25gを用いて反応を行い、24.6g(風乾)
のポリイミド粉末を得た。
【0082】(ハ)例2と同様の手順でセグメント共重
合ポリイミドを合成した。
【0083】BCD 12.42g(50ミリモル)、
APB 7.31g(25ミリモル)、ピリジン2g及
びM液150gを反応させ、この反応生成物に、3,
3’−ジヒドロキシーベンチジン(東京化成製)5.4
0g(25ミリモル)、ピリジン4g及びM液50gを
加えて反応を行い、28.3g(風乾)のポリイミド粉
末を得た。
【0084】(ニ)例2と同様の手順でポリイミドを合
成した。
【0085】BCD 12.42g(50ミリモル)、
3,3’−ジヒドロキシーベンチジン5.40g(25
ミリモル)、ピリジン2.0g及びM液150gを用い
て反応を行い、この反応生成物にAPB 14.62g
(50ミリモル)、3,4,3’,4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸ジ無水物8.06g(25ミリモ
ル)、ピリジン2g及びM液100gを加えて反応を行
い、セグメントブロック共重合ポリイミド粉末39.2
g(風乾)を得た。
【0086】(ホ)以下、例2と同様の手順でポリイミ
ドを合成した。
【0087】BCD 12.42g(50ミリモル)、
APB 7.31g(25ミリモル)、ピリジン2g及
びM液150gを用いて反応を行い、この反応生成物に
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
ジ無水物8.06g(25ミリモル)、3,3’−ジヒ
ドロキシーベンチジン10.80g(50ミリモル)、
ピリジン2g及びM液200gを加えて反応を行い、ブ
ロック共重合ポリイミド粉末26.9g(風乾)を得
た。
【0088】(ヘ)3,4,3’,4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸ジ無水物32.22g(100ミリ
モル)、2,4−ジアミノトルエン(東京化成製)6.
11g(50ミリモル)、ピリジン4g行いM液150
gを用いて反応を行い、この反応生成物にAPB 1
4.62g(50ミリモル)、ピリジン4g及びM液1
00gを加えて反応を行い、セグメントブロック共重合
ポリイミド粉末49.2g(風乾)を得た。
【0089】(ト)BCD 12.42g(50ミリモ
ル)、2,4−ジアミノトルエン3.05g(25ミリ
モル)、ピリジン2.0g及びM液150gを用いて反
応を行い、この反応生成物にAPB 14.62g(5
0ミリモル)、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸ジ無水物8.06g(25ミリモル)、
ピリジン2.0g及びM液100gを加えて反応を行
い、ブロック共重合ポリイミド粉末35.8g(風乾)
を得た。
【0090】(チ)3,4,3’,4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸ジ無水物32.22g(100ミリ
モル)、2,4−ジアミノピリジン5.45g(50ミ
リモル)、ピリジン4g及びM液150gを用いて反応
を行い、この生成物にAPB14.62g(50ミリモ
ル)、ピリジン4g及びM液100gを加えて更に反応
を行い、49.2g(風乾)のポリイミド粉末を得た。
【0091】(イ)〜(チ)で得られたポリイミド粉末
のガラス転移温度及び熱分解開始温度を測定し、その結
果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】例9において製造された接着用ポリイミドフィ
ルムの熱劣化試験における接着力保持率を示す図であ
る。
【図2】例9において製造された接着用ポリイミドフィ
ルムの接着力の熱劣化の度合いを示す図である。
【図3】例10におけるポリイミドへのビスマレイミド
化合物の添加量を変化させた場合の接着力の変動を示す
図である。
【図4】例11における熱劣化試験の結果を示す図であ
る。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミドの骨格を構成するジアミン単
    位の一部又は全部が次式(I): 【化1】 で示される1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
    ゼンから誘導されるものであり、且つ、ポリイミド骨格
    を構成するカルボン酸単位の一部又は全部が次式(I
    I): 【化2】 で示されるビシクロオクト−エン−テトラカルボン酸ジ
    無水物から誘導されるものであるポリイミドを含むこと
    を特徴とする接着組成物。
  2. 【請求項2】 ビスマレイミド化合物を更に含むことを
    特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリイミド組成物が溶剤
    中に溶解していることを特徴とする接着用ワニス。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のポリイミド組成物が溶剤
    中に溶解していることを特徴とする接着用ワニス。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の接着用ワニスを加熱成形
    して溶媒を除去することにより得られる接着用ポリイミ
    ドフィルム又は接着用ポリイミド成形品。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の接着用ワニスを加熱成形
    して溶媒を除去することにより得られる接着用ポリイミ
    ドフィルム又は接着用ポリイミド成形品。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の接着用ワニスを被含浸材
    料中に含浸させ、加熱して溶媒を除去することにより得
    られる接着用ポリイミド成形品。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の接着用ワニスを第1の被
    着体の表面に施し、加熱して溶媒を除去した後、第2の
    被着体を重ね、該ポリイミドのガラス転移温度以上の温
    度で押圧することを特徴とする被着体同士を接着させる
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項4記載の接着用ワニスを第1の被
    着体の表面に施し、加熱して溶媒を除去した後、第2の
    被着体を重ね、該ポリイミドのガラス転移温度以上であ
    って該ビスマレイミド化合物の熱硬化最大発熱温度付近
    の温度で押圧することを特徴とする被着体同士を接着さ
    せる方法。
  10. 【請求項10】 請求項5記載の接着用ポリイミドフィ
    ルム又は接着用ポリイミド成形品を被着体の間に挟み、
    ポリイミドのガラス転移温度以上の温度で押圧すること
    を特徴とする被着体同士を接着させる方法。
  11. 【請求項11】 請求項6又は7記載の接着用ポリイミ
    ドフィルム又は接着用ポリイミド成形品を被着体の間に
    挟み、該ポリイミドのガラス転移温度以上であって該ビ
    スマレイミド化合物の最大硬化発熱温度付近の温度で押
    圧することを特徴とする被着体同士を接着させる方法。
JP24949393A 1993-10-05 1993-10-05 熱硬化性ポリイミド接着組成物及び該接着組成物を用いた接着方法 Pending JPH07118625A (ja)

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