JP2592848Y2 - 脱穀機における還元筒支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はコンバイン等の走行作業
機に搭載する脱穀機における還元筒の取付け構成に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンバイン等の走行作業機に搭載
される脱穀機として、扱室及びその後部に連なる処理室
に沿って設置した揺動選別体の下方で１番口及び２番口
を前後に設け、穀粒を１番口から揚穀筒を介して脱穀機
の側方に並設する穀粒タンクに収容すると共に、還元穀
粒を２番口から還元筒を介して揺動選別体に還元揚送を
行うようにする脱穀機が知られている。この脱穀機の還
元筒は脱穀機壁と穀粒タンクとの間において、脱穀機壁
に沿わせその基部と還元口とを固定し前傾斜状に斜設し
ている。また前記処理室内に回転軸架される処理胴の伝
動ケースは、脱穀機壁の穀粒タンク側に膨出形成された
処理室機壁に取り付け固定されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】然し上記従来の構成に
よれば、上記還元筒は不安定な傾斜姿勢でありその内部
には重量の大きい揚送螺旋軸を回転可能に内装してお
り、機体の振動を受けて揺れ易いため取付部の機壁部分
が振動で破損する等の不具合がある。また脱穀機壁の一
側に膨出形成された処理室機壁に片持ち状に取り付けら
れる伝動ケースは、処理胴に高負荷が生ずるとき処理胴
の回転作用による捻じり力で歪みや振動を生じさせる問
題がある。そこで本考案は上記従来の問題点を解消し、
還元筒及び処理胴伝動ケースの取付け支持を簡単な構成
で強固に行うことができる脱穀機における還元筒支持装
置を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本考の脱穀機における還元筒支持装置は、案扱室６及び
その後部に連なる処理室７に沿って設置した揺動選別体
８の下方に１番口１１及び２番口９を前後位置に設け、
穀粒を１番口１１から揚穀筒１２を介して機体外に排出
揚送すると共に、還元穀粒を２番口９から還元筒１０を
介して揺動選別体８の前方側に向けて還元揚送を行う脱
穀機１において、上記還元筒１０を脱穀機壁１ａに沿わ
せ、且つその基部と吐出口１０ｂとを機壁１ａに固定し
て前傾斜状に斜設すると共に、前記処理室７内に支架し
た処理胴７ａを回転駆動する伝動ケース１５を上記還元
筒１０の上方側に配設し、該伝動ケース１０と前記還元
筒１０の中途部位を連結部材で連結している。

【０００５】

【作用】上記した構成により、前傾斜姿勢の還元筒１０
は基部及び吐出口１０ｂの両側を機壁１ａに固定した状
態で、その中途部を処理胴の伝動ケース１５と連結する
ので、前傾した還元筒１０は螺旋軸１０ａによる回動や
機体の振動に対して剛性を有し強固に支持されることに
なり、還元筒１０の揺れを抑制し機壁取付部の振動破損
を防止する。また還元筒１０と伝動ケース１５とを接近
させた状態で連結部材１８によって一体的に連結するこ
とは、還元筒１０によって伝動ケース１５を補強支持す
ることにもなるので、処理胴７ａに高負荷が生じても伝
動ケース１５を安定よく固定支持して、剛性の高い強固
な支持構成を簡潔で廉価に製作し得る。

【０００６】

【実施例】本考案の実施例を図面に基づき説明する。本
考案装置を備える脱穀機１は、刈取部（不図示）及び運
転席２を設置してクローラ走行装置３で走行移動する機
台４に搭載され、該脱穀機１の側方にグレンタンク或い
はホッパータンク等の穀粒タンク５を並設して刈取脱穀
作業を行うコンバインを構成している。この脱穀機１は
刈取部から刈取搬送される穀稈を、扱室６内の扱胴６ａ
並びに該扱室６の後方側方に連設した処理室７内の処理
胴７ａで脱穀すると共に、脱穀物をこれらの下方に配置
される揺動選別体８で受けて揺動選別を行う。

【０００７】上記揺動選別作用により穀粒中に藁屑等が
混在する２番物は、２番口９内の螺旋軸９ａから還元筒
１０に継送して前記揺動選別体８に還元揚送し再選別処
理を行うと共に、藁屑等の混入のない１番物は、１番口
１１内の螺旋軸１１ａ端に連設される揚穀螺旋１２ａを
回転可能に内装する揚穀筒１２で揚穀され、その上端に
形成した排出口１２ｂから前記穀粒タンク５内に排出収
容される。また切れ藁及び屑類等は脱穀機１後方に開口
された排塵口から排出される。そして前記穀粒タンク５
内に収容された穀粒は、満杯に至ると一連の穀粒排出機
構（排出螺旋）１３の操作により機外の適所に排出可能
に構成している。

【０００８】上記還元筒１０及び揚穀筒１２の取付け構
成及び両者の配置関係は図３，図４に示すように構成し
ている。即ち、還元筒１０はその内部に回転可能に軸支
した螺旋軸１０ａの基部が１番螺旋軸９ａの下側で低位
となるように１番口９に取付けて、前記揚穀筒１２の基
部側に近接させて内側を通り、側面視において該揚穀筒
１２と交差した前傾斜状となるように脱穀機壁１ａに沿
わせ、その上端に構成する還元口（吐出口）１０ｂを脱
穀機壁１ａに取付ネジ１４で締着固定している。また実
施例における上記還元筒１０は前方に緩傾斜状に斜設し
ており、２番物を吐出口１０ｂから揺動選別体８のより
始端部の前方側に的確に還元投擲することができて、揺
動再選別を充分に付与させるのでその選別が良好に行わ
れるものである。

【０００９】また揚穀筒１２は正面視において、その基
部が１番口１１との間に継送筒１２ｃを介して、脱穀機
壁１ａとの間に前記還元筒１０を通すに充分な空間を確
保しながら、その上方を脱穀機１側に内向き傾斜状に立
設して、揚穀筒１２の内側面１２ｄが還元筒１０外側の
延長線１０ｃより内側に交差する状態となるようにして
いる。そして実施例における上記揚穀筒１２は、脱穀機
１の機壁１ａから穀粒タンク５側に膨出して形成される
処理室７の機壁１ｂに可及的に近接させ、揚穀筒１２の
上方部位を脱穀機１側に寄せて、穀粒タンク５と脱穀機
１との間に形成される空間部を狭めながら各機構を有効
的に設置するようにしている。尚、上述の処理室７を穀
粒タンク５側に突設させない脱穀機では、揚穀筒１２を
還元筒１０に直接的に近設させればよい。

【００１０】上記構成により穀粒タンク５は脱穀機１に
近接して設置されるので、機体幅を大きくすることなく
小型化を図ることができ、作業性のよい廉価なコンバイ
ンの製作を可能としている。また前記処理室７内に支架
した処理胴７ａを回転駆動する伝動ケース１５は、プー
リー１５ａを送風ファン回転軸１６に設けたプーリー１
６ａから、ベルト１７を張設して回転伝動される。この
伝動ケース１５は前記還元筒１０の上方側に接近する状
態で処理胴機壁１ｂに突出固定し、脱穀機壁１ａから穀
粒タンク５側に離間した外側部と、還元筒１０の上方中
途部位とを連杆（連結部材）１８により上下方向に連結
している。

【００１１】これにより前傾斜姿勢の還元筒１０は、そ
の基部及び吐出口１０ｂの両側で機壁１ａに沿って固定
された状態で、更に還元筒１０の中途部を前記伝動ケー
ス１５に連結されるので、前傾した還元筒１０は螺旋軸
１０ａによる回動や機体の振動に対して剛性が高く強固
に支持されることになり、還元筒１０の揺れを抑制し機
壁取付部の振動破損を防止すると共に、近接設置される
揚穀筒１２との接当を防止している。特に伝動ケース１
５と還元筒１０とを一体的に連結することは、還元筒１
０によって伝動ケース１５を補強支持することにもなる
ので、処理胴７ａの高負荷時に変動されようとする伝動
ケース１５を安定よく固定することができる。

【００１２】そして上述の支持構成は還元筒１０と伝動
ケース１５とを接近させた状態で、脱穀機壁１ａから側
方に離間する位置で連結部材１８によって上下方向に連
結するので、剛性の高い強固な支持を簡潔な構成で廉価
に行うことができる。またこの還元筒１０は、次に記す
ような処理胴伝動機構等の近隣の伝動機構を構成する部
材の取付枠として有効的に利用することができる。即
ち、上記強固に固定された還元筒１０の中途部下方に
は、ベルト１７のテンションプーリー１９を支架する支
持腕１９ｂを揺動可能に枢支すると共に、スプリング１
９ａで張圧し還元筒１０の前傾斜姿勢によりベルト１７
の適正位置を安定よく的確に押接可能としている。尚、
２０は送風ファン回転軸１６からベルト２１を介して伝
動される扱胴６ａの駆動用プーリーである。

【００１３】

【考案の効果】本考案は以上説明したように構成したか
ら、脱穀機壁に沿って基部と上端の吐出口とを固定し前
傾斜状に設けた還元筒の中途部を、その上方側に配設し
た処理胴の伝動ケースと連結することにより、該伝動ケ
ースと上記還元筒とを互いに補強しあう剛性枠として強
固に取り付け支持することができるので、還元筒の振動
を抑制して脱穀機壁の取付部分の破損を防止することが
できる。そして処理室機壁に突設し還元筒で連結される
処理胴の伝動ケースは両持ち状に強固に固定されるの
で、処理胴の高負荷時にも安定した状態で支持され良好
な伝動を行うことができる。また前傾斜状に斜設される
還元筒は揺動選別体の前方側に２番物を的確に還元揚送
して良好な選別を可能とすると共に、該還元筒近隣の伝
動機構等における構成部材の取付枠として有効利用する
ことが可能となり、部品点数を増やすことなく簡潔で廉
価な構成とするコンバイン用の脱穀機を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例に係わる脱穀機を備えたコンバイ
ンの要部を示す側面図。

【図２】図１の平面図。

【図３】図１の要部を一部破断をして示す側面図。

【図４】脱穀機の側面図。

【符号の説明】

１ 脱穀機 １ａ 脱穀機壁 １ｂ 処理室機壁 ６ 扱室 ７ 処理室 ７ａ 処理胴 ８ 揺動選別体 ９ ２番口 １０ 還元筒 １０ｂ 吐出口（還元口） １１ １番口 １２ 揚穀筒 １５ 伝動ケース １８ 連杆（連結部材） １９ テンションプーリー １９ａ 支持腕

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01F 12/52 A01F 12/46 A01F 12/18

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室及びその後部に連なる処理室に沿っ
   て設置した揺動選別体の下方に１番口及び２番口を前後
   に設け、穀粒を１番口から揚穀筒を介して機体外に排出
   揚送すると共に、還元穀粒を２番口から還元筒を介して
   揺動選別体の前方側に向けて還元揚送を行う脱穀機にお
   いて、上記還元筒を脱穀機壁に沿わせ、且つその基部と
   吐出口とを機壁に固定して前傾斜状に斜設すると共に、
   前記処理室内に支架した処理胴を回転駆動する伝動ケー
   スを還元筒の上方側に配設し、該伝動ケースと還元筒の
   中途部位を連結部材で連結したことを特徴とする脱穀機
   における還元筒支持装置。