JP2571018Y2 - コンバインにおける穀粒タンクの投入装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、機台上に脱穀装置と穀
粒タンクとを併設し、脱穀装置の揚穀筒を穀粒タンク内
に挿入して穀粒を穀粒タンクに揚送投入するようにした
コンバインにおける穀粒タンクの投入装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、機台上に脱穀装置と穀粒タンクと
を併設し、脱穀装置の揚穀筒を穀粒タンクの一側寄りに
挿入して穀粒を穀粒タンクに揚送投入するようにしたコ
ンバインにおいて、揚穀筒の上部に、投擲口を有するケ
ーシングを取付け、揚送された穀粒を、揚送螺旋軸の上
端に突設した投擲羽根により穀粒タンク内に投入するよ
うにしたものは既に知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記既知のコンバイン
の穀粒タンクに穀粒を揚送して投入するための揚穀筒を
穀粒タンクの一側寄りに設けた場合、その上部に設けた
ケーシングの投擲口を他側に向けて広範囲に投入すべく
広角に開口させると、穀粒は投擲口の投擲羽根回転方向
上手側から多く投擲されて堆積し、それが障壁となって
投擲された穀粒の飛翔方向が脱穀装置と反対方向に変換
されることとなって投擲口の下手側へ落入し、投擲口の
投擲終端側と直接対面する部位に対する投入量が少なく
なるという不具合を生じた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、機台２上に脱
穀装置３と穀粒タンク５とを併設し、脱穀装置３の揚穀
筒１３を穀粒タンク５の前後方向一側寄りに挿入し、上
記揚穀筒１３の上部に投擲羽根３２が内装されたケーシ
ング３６を装着して穀粒を穀粒タンク５に揚送投入する
ようにしたコンバインにおいて、前記ケーシング３６の
投擲口３６ａを前記揚穀筒１３とは反対側である穀粒タ
ンク５内の前後方向他側に向けて開口させ、平面視で、
該投擲口３６ａの中途部から上記前後方向他側に向かう
と共に投擲口３６ａ側において投擲羽根３２の回転方向
下手側となる左右方向の一方向に向けて傾斜したガイド
板３５を設けて、堆積した穀粒により跳ね返される穀粒
をガイド板により案内するようにして前述の課題を解決
した。

【０００５】

【作用】刈取脱穀処理して選別された穀粒は、揚穀筒１
３により揚送され、該揚送筒１３の上端のケーシング３
６内の投擲羽根３２は投擲口３６ａから穀粒タンク５内
に投入される。その際、穀粒は投擲口３６ａの投擲羽根
３２回転方向上手側から最も多量に投擲されて堆積し、
それ以後上記堆積した穀粒が案内壁を構成して投擲方向
が順次投擲羽根３２回転方下手側へ変換され、この方向
変換された穀粒はガイド板３５により受け止め案内され
て投擲口３６ａとは反対側に投入されることとなり、結
局、穀粒を穀粒タンク５全体にほぼ均等に投入すること
ができる。

【０００６】

【実施例】本考案の一実施例を図面に示すコンバインに
ついて説明すると、走行装置１を有する機台２上の一側
寄り（左側）に脱穀装置３を搭載し、他側（右側）には
穀粒タンク５を配設し、脱穀装置３の前方には、刈取装
置６と刈取穀稈を挟持搬送しながら扱深さ調節して脱穀
装置３に供給する穀稈搬送装置７とからなる前処理装置
を上下傾動可能に装着してあり、前記穀粒タンク５は、
架枠８上に、外側下部の移送螺旋１０の軸を中心として
外側方へ回動できるように支架されていて、一側上部は
脱穀装置３上へ延出して乗架しており、前記移送螺旋１
０の終端には、起立部１１ａと起伏部１１ｂとからなる
穀粒揚送排出筒１１を連設してあり、穀粒タンク５の上
面には、上記起伏部１１ｂが嵌合する平面視で斜めにな
った溝１２を設けてその両側が上方へ隆起するようにし
て収容量を拡大してある。

【０００７】前記脱穀装置３の揚穀筒１３は、穀粒タン
ク５の底板５ａの脱穀装置３寄りから穀粒タンク５内の
一側寄り（後方寄り）に挿入されていて、上記底板５ａ
と対応する部位で分割されており、穀粒タンク５内の穀
粒を排出すべく該穀粒タンク５を傾動させる油圧シリン
ダー１５は、単動式であって、下部を機台２上に枢支
し、ピストンの上端を穀粒タンク５の台枠１６から垂下
したブラケット１６ａに回動自在に連結し、穀粒タンク
５を押し上げて外側へ傾動した場合、穀粒タンク５の重
心が支点となる移送螺旋１０の直上方の近傍に位置して
油圧シリンダー１５を縮小させるための負荷が著しく小
さくなるので、シリンダーと前記ブラケット１６ａとを
スプリング１７が介装されたワイヤー１８で連結し、穀
粒タンク５を押し上げた時、ワイヤー１８を介してスプ
リング１７が引き伸ばされた状態とし、それにより穀粒
タンク５が戻り回動する際に、油圧シリンダー１５がス
ムーズに縮小作動する。

【０００８】２０は運転席、２１は操作盤、５ａは穀粒
タンク５の脱穀装置３上に沿う底板であり、脱穀装置３
と反対側の穀粒タンク５の下部の機台２上には、前方か
ら順にエンジン２３、ラジエータ２４を設け、後部には
支持枠２５及び燃料タンク２６を配設してある。

【０００９】また、前記揚穀筒１３の螺旋軸１３ａの上
端にベアリング２７を介して装着した取付板２８は、下
部が揚穀筒１３の外周に螺着された３本の逆Ｌ字状支持
腕３０・・の上部に固定されており、螺旋軸１３ａのベ
アリング２７の直下に接近させて取付けた板２９には外
側部が下方へ折曲された４本のアーム３１・・を溶接
し、それらのアーム３１・・の外周側には、下部が回転
方向側へ向けて掬い部３２ａとして折曲された投擲羽根
３２を固定し、該投擲羽根３２・・の下端には、下部の
円形状開口が揚穀筒１３の上端外周に遊嵌した皿状の回
転盤３３を固定してある。

【００１０】そして、穀粒タンク５は、脱穀装置３側へ
延出して乗架している部分の容量は、移送螺旋１０側の
垂下している部分よりも少なく、揚穀筒１３は平面視で
穀粒タンク５の後部外側寄りに位置しているので、外側
方と後方の支持腕３０，３０に取付けたケーシング３６
は、帯状の投擲制限板を投擲羽根３２の外端回転軌跡及
び回転盤３３との間に間隙３４を隔てて沿うように湾曲
させることにより構成されており、その端部間に形成さ
れる投擲口３６ａは、脱穀装置３側から前記螺旋軸１３
ａの前方に亙って開口し、全体として揚穀筒１３とは反
対側である穀粒タンク５の脱穀装置３側（左側）前方の
角部に指向しており、穀粒タンク５の天板下面には、平
面視で投擲口３６ａの中間部やや前寄りから前方に向か
うと共に投擲口３６ａ側において投擲羽根３２の回転方
向下手側となる方向即ち穀粒タンク５の外側（右側）前
部の角部に向けて傾斜したガイド板３５を吊設してあ
る。また、側面視で上記ガイド板３５は穀粒タンク５の
上方側にのみ設けられ、ガイド板３５の下方は開放して
いる。

【００１１】前述のコンバインにおいて、刈取装置６に
より刈取られた穀稈は、穀稈搬送装置７により扱深さ調
節されながら後方へ搬送されて自脱型の脱穀装置３に常
法に従って供給され、脱穀装置３は脱粒処理と選別処理
をなし、選別された穀粒は、揚穀筒１３により揚送さ
れ、その上端部では、螺旋軸１３ａと共に回転している
回転盤３３上に溢流し、それが回転盤３３の回転による
半径方向の遠心力により外周方向へ上昇移動しながら投
擲羽根３２・・による接線方向の投擲力を受けて穀粒タ
ンク５の各部に向けて投擲される。

【００１２】この投擲された穀粒は、ケーシング３６に
沿う部分では、一部のものが該ケーシング３６と投擲羽
根３２との間隙３４から投入され、他のものはケーシン
グ３６の内周面に案内されて持ち回られた後に投擲口３
６ａの始端ｆから脱穀装置３側乃至前方へ向けて最も多
く投擲される。したがって、初期には穀粒タンク５の矢
印ａ〜ｃで囲まれた範囲に多く堆積し、それが順次揚穀
筒１３側へ波及する。すると、上記ケーシング３６の投
擲口３６ａの始端ｆから投擲される多量の穀粒は上記堆
積した穀粒に衝突して投擲方向が外側方（ｄ方向）へ変
換され、ｅ領域への投入量が少なくなる傾向にあるが、
このｄ方向へ方向変換された穀粒の一部をガイド板３５
が受け止めて前方のｅ領域へ向けて案内して投入する。

【００１３】また、穀粒タンク５内の後壁の外側寄りに
装着した下方の感圧センサー３７は、投入量１／３を検
出し、中間の感圧センサー３８は投入量２／３を検出
し、上方の感圧センサー（図示を省略）は満杯に近くな
ったことを検出するが、外側の前記支持腕３０に固定し
た受板４０は、前記ケーシング３６より幅広で上方と下
方へ延出していて前記感圧センサー３７，３８に向けて
穀粒が投擲されるのを阻止しているのでセンサーの受圧
面が損傷するのを防止する。

【００１４】穀粒タンク５がほぼ満杯になって上方の感
圧センサーが穀粒を検出してブザー等が警報を発したな
らば、機体を道路上に駐車させてある運搬車に寄せ、穀
粒揚送排出筒１１の起伏部１１ｂを斜めに起立させ、そ
の吐出口が運搬車の荷台上に臨むように水平旋回させた
状態で、移送螺旋１０及び穀粒揚送排出筒１１内のオー
ガーを駆動すると、移送螺旋１０の上方の穀粒は揚送排
出され、その間に、脱穀装置３の上方へ延出した部分の
一部の穀粒が流下し、次いで、油圧シリンダー１５を伸
長作動させると、穀粒タンク５は外側方へ回動し、上記
延出部内の穀粒が全量流下して揚送排出される。

【００１５】

【考案の効果】本考案は、機台２上に脱穀装置３と穀粒
タンク５とを併設し、脱穀装置３の揚穀筒１３を穀粒タ
ンク５の前後方向一側寄りに挿入し、上記揚穀筒１３の
上部に投擲羽根３２が内装されたケーシング３６を装着
して穀粒を穀粒タンク５に揚送投入するようにしたコン
バインにおいて、前記ケーシング３６の投擲口３６ａを
前記揚穀筒１３とは反対側である穀粒タンク５内の前後
方向他側に向けて開口させ、平面視で、該投擲口３６ａ
の中途部から上記前後方向他側に向かうと共に投擲口３
６ａ側において投擲羽根３２の回転方向下手側となる左
右方向の一方向に向けて傾斜したガイド板３５を設けた
ので、揚穀筒１３が穀粒タンク５の前後方向一側寄りに
あるにも拘らず揚送された穀粒を投擲口３６ａから前後
方向他側に向けて投入することができ、その際、投擲口
３６ａの投擲羽根３２回転方向上手側端部近傍から穀粒
タンク５の左右方向一方側（実施例では脱穀装置３側）
で前後方向他側（実施例では前側）に向けて多くの穀粒
を投入され、この投入されて堆積した穀粒は、案内壁に
なって穀粒の飛翔方向を変換させるが、この方向変換さ
れた穀粒を前記ガイド板３５が受け止め案内して穀粒タ
ンク５の左右方向他方側（実施例では外側）でかつ前後
方向他側（実施例では前側）の端部に投入することがで
き、結局、簡単な構造で穀粒タンク５全体に対して穀粒
投入を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの側面図である。

【図２】同上背面図である。

【図３】穀粒タンクの一部を破断した平面図である。

【図４】同上側断面図である。

【符号の説明】

３ 脱穀装置 １０ 移送螺旋 １３ 揚穀筒 ２８ 取付板 ３０ 支持腕 ３１ アーム ３２ 投擲羽根 ３３ 回転円盤 ３５ ガイド板 ３６ ケーシング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台２上に脱穀装置３と穀粒タンク５と
   を併設し、脱穀装置３の揚穀筒１３を穀粒タンク５の前
   後方向一側寄りに挿入し、上記揚穀筒１３の上部に投擲
   羽根３２が内装されたケーシング３６を装着して穀粒を
   穀粒タンク５に揚送投入するようにしたコンバインにお
   いて、前記ケーシング３６の投擲口３６ａを前記揚穀筒
   １３とは反対側である穀粒タンク５内の前後方向他側に
   向けて開口させ、平面視で、該投擲口３６ａの中途部か
   ら上記前後方向他側に向かうと共に投擲口３６ａ側にお
   いて投擲羽根３２の回転方向下手側となる左右方向の一
   方向に向けて傾斜したガイド板３５を設けたことを特徴
   とするコンバインにおける穀粒タンクの投入装置。