JP2574140B2 - 医薬品容器 - Google Patents

医薬品容器

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JP2574140B2
JP2574140B2 JP30407594A JP30407594A JP2574140B2 JP 2574140 B2 JP2574140 B2 JP 2574140B2 JP 30407594 A JP30407594 A JP 30407594A JP 30407594 A JP30407594 A JP 30407594A JP 2574140 B2 JP2574140 B2 JP 2574140B2
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cyclic olefin
copolymer
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本 陽 造 山
川 貴 中
田 久仁男 冨
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は医薬品容器に関し、さらに
詳細には、環状オレフィン系重合体からブロー成形さ
れ、耐薬品性、および耐衝撃性に優れた医薬品容器に関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】合成樹脂のブロー成形方法として
は、エクストルージョンブロー、インジェクションブロ
ーおよび2段ブロー等が知られており、これ等のブロー
成形品の素材としては、従来、ポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂等が知られている。特に、インジェク
ションブローに基づいて、ポリエステル樹脂等からなる
パリソン(プリフォーム)を軸方向に延伸し、かつ金型
内で流体により周方向に膨脹させることにより得られた
医薬品容器では、その容器胴部が二軸方向に分子配向さ
れており、透明性、ガスバリアー性、耐熱性等が優れた
容器として広く使用されている。
【0003】このような従来のポリエステル樹脂やポリ
カーボネート樹脂等を素材としてブロー形成された医薬
品容器の中には、その用途によって、耐酸性、耐アルカ
リ性、耐沸水性等の耐薬品性が問題となる場合がある。
【0004】
【発明の目的】本発明の目的は、このような従来のブロ
ー形成された医薬品容器の問題に鑑み、耐薬品性を備え
た医薬品容器を提供することにある。さらに、本発明の
他の目的は、耐薬品性に優れるだけでなく機械的強度に
も優れた医薬品容器を提供することにある。
【0005】
【発明の概要】本発明に係る医薬品容器は、下記式
[I]または下記式[II]で表される環状オレフィン成
分を開環重合してなる重合体、共重合体およびその水素
添加物、ならびに下記式[I]または下記式[II]で表
される環状オレフィン成分とエチレン成分とを付加重合
してなる共重合体よりなる群から選ばれる環状オレフィ
ン系樹脂からブロー成形されていることを特徴としてい
る。
【0006】
【化3】
【0007】[上記式[I]において、nは、0もしく
は正の整数であり、R1〜R12はそれぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選
ばれる原子もしくは基を表し、R9〜R12は、互いに結
合して単環または多環の基を形成していてもよく、かつ
該単環または多環の基が二重結合を有していてもよく、
また、R9とR10とで、またはR11とR12とでアルキリ
デン基を形成していてもよい。]
【0008】
【化4】
【0009】[式中、pは0または1以上の整数であ
り、mおよびnは、0、1または2であり、R1〜R15
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化
水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、
5(またはR6)とR9(またはR7)とは、炭素数1〜
3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また何
の基も介さずに直接結合していてもよい。] 本発明は、環状オレフィン系重合体をブロー成形して得
られた医薬品容器は、耐薬品性が極めて改善されるとい
う知見に基づくものである。
【0010】環状オレフィン系重合体は、耐薬品性に優
れており、これを素材としてブロー成形して得られた医
薬品容器は耐酸性、耐アルカリ性、耐沸水性等の耐薬品
性に優れている。さらに、環状オレフィン系重合体から
なる医薬品容器は、用いる環状オレフィン系重合体を選
択することによって機械的強度がさらに充足され、用途
上、特に衝撃強度に優れたものを提供することができ
る。
【0011】また、ブロー成形された医薬品容器に透明
性等が要求されない場合は、本発明の目的を損なわない
範囲でエラストマー等の他の樹脂をブレンドして、さら
に衝撃強度を高めることができる。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るブロー成形さ
れた医薬品容器について具体的に説明する。 [環状オレフィン成分の種類]本発明に係る医薬品容器
は、 下記式[I]または下記式[II]で表される環状
オレフィンを開環重合してなる重合体もしくは共重合体
またはその水素添加物、 および/または下記式[I]
または下記式[II]で表される環状オレフィンとエチレ
ン成分を付加重合してなる共重合体からブロー成形され
ている。
【0013】
【化5】
【0014】ただし、上記式[I]において、nおよび
mはいずれも0もしくは正の整数であり、R1〜R
12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または
炭化水素基よりなる群から選ばれる基もしくは原子を表
わす。さらに、R9〜R12は、互いに結合して単環また
は多環の基を形成していてもよく、この環が架橋構造を
有していてもよい。さらにこの単環または多環の基が二
重結合を有していてもよい。また、これらの環が組み合
わされた基であってもよい。
【0015】すなわち、上記R9〜R12が共同して、例
えば以下に記載するような多環あるいは単環の基を形成
していてもよい。
【0016】
【化6】
【0017】なお、上記式において、1および2を賦し
た炭素原子は、式[I]において、R9〜R12で表され
る基が結合している脂環構造の炭素原子を表す。さら
に、これらの基はメチル基等の置換基を有していてもよ
い。
【0018】さらに、R9とR11とで、あるいはR10
12とで、アルキリデン基を形成していてもよい。さら
に、R9〜R12にエステル基などが入ってもかまわな
い。
【0019】
【化7】
【0020】ただし式中、pは0または1以上の整数で
あり、mおよびnは、0、1または2であり、R1〜R
15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭
化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であ
り、R5(またはR6)とR9(またはR7)とは、炭素数
1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、ま
た何の基も介さずに直接結合していてもよい。
【0021】このような環状オレフィンの内、好ましい
例としては、たとえば次式[III]で示される環状オレ
フィンを挙げることができる。
【0022】
【化8】
【0023】ただし、上記式[III]において、nは0
または1であり、mは0または正の整数であり、R1
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子およ
び炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を
表す。
【0024】さらに、R15〜R18は、互いに結合して単
環または多環の基を形成していてもよく、かつ該単環ま
たは多環の基が二重結合を有していてもよい。また、R
15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を
形成していてもよい。
【0025】また、脂環構造を有するオレフィン重合体
は、たとえば式[I]または式[II]、あるいは好まし
くは式[III]を単独あるいは共存下に下記式で示すよ
うに開環重合させることにより得られる開環重合体ある
いは開環共重合体であってもよい。さらに、本発明にお
いては、上記のような開環重合体あるいは開環共重合体
中に存在する二重結合の少なくとも一部を水素化するこ
とによって得られる水添物をも使用することができる。
【0026】上記式[I]または式[II]、あるいは好
ましくは式[III]で表わされる環状オレフィンは、シ
クロペンタジエン類と対応するオレフィン類、あるいは
環状オレフィン類とをディールス・アルダー反応により
縮合させることにより容易に製造することができる。
【0027】本発明で用いられる上記式[I]で示され
る環状オレフィンとしては、具体的には、ビシクロ[2,
2,1]ヘプト-2-エン誘導体、テトラシクロ[4,4,0,12.5,1
7.10]-3-ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,1
10.13,02.7,09.14]-4-ヘプタデンセン誘導体、オクタシ
クロ[8,8,0,12.9,14.7,111.18,113.16,03.8,012.17]-5-
ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6,6,1,13.6,02.7,
09.14]-4-ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-イコセ
ン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、ト
リシクロ[4,3,0,12.5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4,
3,0,12.5]-3-ウンデセン誘導体、ペンタシクロ[6,5,1,1
3.6,02.7,09.14]-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ
ペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[4,7,0,12.5,0
8.13,19.12]-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[7,
8,0,13.6,02.7,110.17,011.16,112.15]-4-エイコセン誘
導体、ノナシクロ[9,10,1,1,4.7,03.8,02.10,012.21,1
13.20,014.19,115.18]-5-ペンタコセン誘導体が挙げら
れる。
【0028】以下にこのような化合物の具体的な例を示
す。
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】また本発明で用いられる上記式[II]で示
される環状オレフィンとしては、具体的には、下記のよ
うな化合物が挙げられる。
【0046】
【化25】
【0047】
【化26】
【0048】式[I]で表される多環式環状オレフィン
として具体的には、上記の化合物、あるいは1,4,5,8-ジ
メタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンの
他に2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オ
クタヒドロナフタレン、2-エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,
2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2-プロピル
-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナ
フタレン、2-ヘキシル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,
5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2,3-ジメチル-1,4,5,
8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレ
ン、2-メチル-3-エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,
5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2-クロロ-1,4,5,8-ジ
メタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2
-ブロム-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタ
ヒドロナフタレン、2-フルオロ-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,
3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2,3-ジクロロ
-1,4,5,8- ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ
ナフタレン、2-シクロヘキシル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,
3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、2-n-ブチル-
1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナ
フタレン、2-イソブチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4
a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどのオクタヒドロ
ナフタレン類などを例示することができる。
【0049】[環状オレフィン系重合体]本発明におけ
る医薬品容器に使用される環状オレフィン系重合体とし
ては、(1)前記式[I]または式[II]で表される環
状オレフィンの開環重合体もしくは開環共重合体または
その水素添加物と、(2)前記式[I]または式[II]
で表される環状オレフィンとエチレンとの付加重合によ
り得られる共重合体を挙げることができる。
【0050】(1)環状オレフィン開環重合体およびそ
の水素添加物 環状オレフィン開環重合体は、前記式[I]または式
[II]、好ましくは[III]で表される環状オレフィン
をそれ自体公知の方法で開環重合させたものであり、単
独重合または共重合させたものである。たとえば、1,4,
5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a- オクタヒドロナフタ
レン類同士を共重合させたもの、または前記のノルボル
ネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)とを共重合さ
せたものでもよい。
【0051】上記のような環状オレフィンの開環重合体
あるいは開環共重合体において、例えば式[III]で表
される環状オレフィンの少なくとも一部は、次式[IV]
で表される構造を有しているものと考えられる。
【0052】
【化27】
【0053】また、上記開環重合体はそれ自体公知の方
法で容易に残留している二重結合を水素添加することが
でき、水素添加物はより熱安定性、耐候性に優れた射出
成形用素材である。
【0054】このような水添物において、例えば式[II
I]で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、例
えば次式[V]で表される構造を有しているものと考え
られる。
【0055】
【化28】
【0056】上記式[IV]及び[V]において、R1
18は、式[III]における意味と同じ意味である。な
お、環状オレフィンを開環重合させる場合、上記式
[I]または式[II]、あるいは好ましくは式[III]
で表される環状オレフィンから形成される開環(共)重
合体の物性を損なわない範囲でこれ以外の環状オレフィ
ンを開環共重合させることができる。そのような環状オ
レフィンの例としては、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-
メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シク
ロヘキセン、2,3,3a,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-
インデンおよび3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H
-インデンなどを挙げることができる。
【0057】(2)環状オレフィンとエチレンとの付加
重合により得られる共重合体(環状オレフィン付加重合
体と称することもある。) 環状オレフィン付加重合体において、エチレン成分/環
状オレフィン成分(モル比)は通常10/90〜90/
10であり、好ましくは50/50〜75/25であ
る。エチレン系共重合体の製造は、エチレンと環状オレ
フィンとを炭化水素媒体中、炭化水素可溶性バナジウム
化合物およびハロゲン含有有機アルミニウム化合物とか
ら形成される触媒の存在下で重合させて行なう。このよ
うな重合方法は既に公知であり、特開昭60−1687
08号公報などに提案されている。
【0058】また、環状オレフィン付加重合体におい
て、上記の式[I]または式[II]、あるいは好ましく
は[III]で表わされる環状オレフィン化合物と共重合
して脂環構造を有する共重合体を構成する単量体は、オ
レフィン化合物であり、本発明においては、オレフィン
化合物としては、通常はエチレンを用いる。ただし、本
発明で用いられる脂環構造を有する共重合体において
は、オレフィン化合物としてエチレンの他に、本発明の
組成物の特性を損なわない範囲内で他のオレフィン化合
物を共重合させることもできる。本発明において、エチ
レンおよび上記の式[I]または式[II]、あるいは好
ましくは式[III]で表わされる環状オレフィン化合物
と共重合させることができる他のオレフィン化合物の例
としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、
1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよ
び1-エイコセンなどの炭素原子数が3〜20のα-オレ
フィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、3-メチルシ
クロヘキセン、シクロオクテンおよび3a,5,6,7a-テトラ
ヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィ
ン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5
-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシク
ロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5
-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類;ノルボ
ルネン-2、5-メチルノルボルネン-2、5-エチルノルボル
ネン-2、5-イソプロピルノルボルネン-2、5-n-ブチルノ
ルボルネン-2、5-i-ブチルノルボルネン-2、5,6-ジメチ
ルノルボルネン-2、5-クロロノルボルネン-2、2-フルオ
ロノルボルネン-2および5,6-ジクロロノルボルネン-2な
どのノルボルネン類などを挙げることができる。これら
の中では、炭素原子数3〜15、特に3〜10のα-オ
レフィンが好ましい。
【0059】これらの他のオレフィンは、単独で、ある
いは組合わせて使用することができる。式[I]または
式[II]、あるいは[III]で表される環状オレフィン
以外の環状オレフィンとして二重結合を分子内に二個以
上有するものを用いた場合、耐候性を向上させる目的で
水素添加して用いることができる。
【0060】環状オレフィン付加重合体の沃素価は通常
5以下、その多くは1以下である。このような環状オレ
フィンランダム共重合体において、例えば環状オレフィ
ン[III]から誘導される繰り返し単位の内、少なくと
も一部は、通常は、例えば次式[VI]で表される構造を
有しているものと考えられる。
【0061】
【化29】
【0062】なお、上記式[VI]において、R1〜R18
は、式[III]におけるこれらと同じ意味である。環状
オレフィンが、例えば上記[IV]〜[VI]のような構造
をとることは、得られた重合体を、13C−NMRによっ
て分析することによって裏付けられる。このような環状
オレフィン付加重合体は化学的に安定な構造であり、耐
熱老化性に優れた重合体となる。
【0063】以上述べた(1)環状オレフィン開環重合
体およびそれの水素添加物および(2)環状オレフィン
付加重合体は、135℃、デカリン中で測定した極限粘
度[η]が0.01〜20dl/gであり、特に0.05
〜10dl/g、さらには0.08〜8dl/gが好まし
い。
【0064】そして、これらの環状オレフィン系重合体
は、一般に非晶性または低結晶性であり、好ましくは非
晶性である。したがって透明性が良好である。一般には
X線による結晶化度が5%以下、その多くは0%、示差
走査型熱量計(DSC)で融点が観察されないものが多
い。
【0065】このような環状オレフィン系重合体の別の
性質としてガラス転移温度Tgおよび軟化温度(TM
A)が高いことが挙げられる。ガラス転移温度Tgが通
常50〜230℃、多くが100〜200℃の範囲内に
測定される。したがって、直接成形材料に使用する場合
は、軟化温度が通常70〜180℃、多くが90〜18
0℃の範囲内に測定されるものである。
【0066】また熱分解温度は、通常は350〜420
℃、多くが370〜400℃の範囲内にある。機械的性
質として、この樹脂自体の曲げ弾性率は、通常1×10
4 〜5×10 4Kg /cm2の範囲内にあり、曲げ強度も通
常300〜1500Kg/cm2の範囲内にある。
【0067】また、この樹脂自体の密度は、通常0.8
6〜1.10g/cm3、その多くが0.88〜1.08
g/cm3の範囲にある。また屈折率(ASTM D54
2)は通常1.47〜1.58、多くが1.48〜1.
56の範囲内であり、実質的に非結晶性であるので、霞
度(ヘイズ:ASTM D1003)は、通常20%以
下、多くが10%以下である。
【0068】電気的性質として、この樹脂自体のAST
M D150によって測定した誘電率(1KHz)は通常
1.5〜3.0、多くは1.9〜2.6、誘電正接は通
常9×10-4〜8×10-5、多くは3×10-4〜9×1
-5の範囲内にある。
【0069】このような環状オレフィン系重合体をブロ
ー成形して得られる本発明に係る医薬品容器は耐薬品性
に優れ、ブロー成形品を硫酸、アンモニア水、アセト
ン、酢酸エチルに24時間浸漬した場合でも、変色、透
明性の低下、クラック、変形、溶解等がみられなかっ
た。
【0070】さらに、本発明に係る医薬品容器は、前述
した環状オレフィン系重合体に種々の重合体をブレンド
した所謂ポリマーアロイを素材とすることができる。こ
れらの重合体としては以下の1〜17のものを例示する
ことができる。
【0071】1.1個または2個の不飽和結合を有する
炭化水素から誘導される重合体 具体的にはポリオレフィン、たとえば架橋構造を有して
もよいポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブテ
ン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリブテン-1、ポリス
チレン、 2.ハロゲン含有ビニル重合体 具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
フッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなど、 3.α,β-不飽和酸とその誘導体から誘導される重合
体、具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、また
は前記の重合体を構成するモノマーとの共重合体たとえ
ば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合
体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニ
トリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体など、 4.不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘
導体またはアセタールから誘導された重合体 具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレ
イン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタ
レート、ポリアリルメラミン、または前記重合体を構成
するモノマーとの共重合体たとえばエチレン、酢酸ビニ
ルとの共重合体など、 5.エポキシドから誘導された重合体、具体的にはポリ
エチレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルから誘
導された重合体など、 6.ポリアセタール、具体的にはポリオキシメチレン、
ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオキシ
ドを含むようなポリオキシメチレンなど、 7. ポリフェニレンオキシド、 8. ポリカーボネート、 9. ポリスルフォン、 10. ポリウレタンおよび尿素樹脂、 11. ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミ
ノカルボン酸または相応するラクタムから誘導されたポ
リアミドおよびコポリアミド 具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、
ナイロン12など、 12. ジカルボン酸およびジアルコールおよび/または
オキシカルボン酸または相応するラクトンから誘導され
たポリエステル 具体的にはポリエステルテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリ1,4-ジメチロール・シクロヘキサ
ンテレフタレートなど、 13. アルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンか
ら誘導された架橋構造を有した重合体 具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素
・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド
樹脂など、 14. アルキッド樹脂 具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂など、 15. 飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコール
とのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル
化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂並び
にハロゲン含有改質樹脂、 16. 天然重合体、具体的にはセルロース、ゴム、蛋白
質、あるいはそれらの誘導体たとえば酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなど、 17. 軟質重合体、以下に述べる(i) 〜(v)で示される
ゴム状成分 なお、環状オレフィン系重合体とこれらゴム状成分と
は、所謂「ポリマーアロイ」を形成しており、このポリ
マーアロイは、そのまま使用することもできるが、さら
に、このポリマーアロイに有機過酸化物の存在化に架橋
反応を行って架橋構造を形成してもよく、このような架
橋性ポリマーアロイを用いることにより、医薬品容器の
剛性および耐衝撃性が向上する。
【0072】(環状オレフィン構造を有する軟質重合体
(i))環状オレフィン構造を有する軟質重合体は、エチ
レン成分と前記環状オレフィン系重合体の調整の際に使
用した同種の環状オレフィン (式[I]で表される化合
物) とα-オレフィンとを共重合させることにより調製
される三元もしくはこれ以上の共重合体である。α-オ
レフィンとしては、たとえば、プロピレン、1-ブテン、
4-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。こ
れらの中では、炭素原子数3〜20のオレフィンが好ま
しい。また、ノルボルネン、エチリデンノルボルネンお
よびジシクロペンタジエン等の環状オレフィンならびに
環状ジエンも有効に使用することができる。
【0073】環状オレフィン構造を有する軟質重合体
(i) において、エチレン成分から誘導される繰り返し単
位は、通常は40〜98モル%、好ましくは50〜90
モル%含有されている。α-オレフィン成分から誘導さ
れる繰り返し単位は、通常は2〜50モル%含有されて
おり、さらに、環状オレフィン成分から誘導される繰り
返し単位は、2〜20モル%、好ましくは2〜15モル
%含有されている。
【0074】軟質重合体(i) は、前記環状オレフィン系
重合体と異なり、ガラス転移温度 (Tg)が通常は0℃以
下、好ましくは−10℃以下で、かつ135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度[η]が通常は0.01〜10
dl/g、好ましくは0.8〜7dl/gの範囲内にある共重合
体である。また、この軟質重合体(i) はX線回折法によ
り測定した結晶化度が通常は0〜10%、好ましくは0
〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内にある共重合
体である。
【0075】軟質重合体(i) は、例えば特開昭60−1
68708号公報、特開昭61−120816号公報、
特開昭61−115912号公報、特開昭61−115
916号公報、特開昭61−271308号公報、特開
昭61−272216号公報および特開昭62−252
406号公報などに、本出願人が提案した方法に基づい
て、適宜条件を選択して製造することができる。
【0076】(α-オレフィン系共重合体(ii))本発明
で軟質重合体として使用されるα-オレフィン系共重合
体(ii)は、少なくとも2種のα-オレフィンから形成さ
れる、非晶性ないし低結晶性の共重合体である。具体的
な例としては、エチレン・α-オレフィン共重合体およ
びプロピレン・α-オレフィン共重合体を挙げることが
できる。
【0077】エチレン・α-オレフィン共重合体を構成
するα-オレフィンとしては、通常は、炭素数3〜20
のα-オレフィンが用いられ、このようなα-オレフィン
の具体的な例としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチ
ル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等お
よびこれらの混合物が挙げられる。この内、特に炭素数
3〜10のα-オレフィンが好ましい。
【0078】エチレン・α-オレフィン共重合体のモル
比(エチレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種
類によっても異なるが、一般に40/60〜95/5で
あることが好ましい。また、上記モル比はα-オレフィ
ンがプロピレンである場合には40/60〜90/10
であることが好ましく、α-オレフィンが炭素数4以上
である場合には、50/50〜95/5であることが好
ましい。
【0079】プロピレン・α-オレフィン共重合体を構
成するα-オレフィンとしては、通常炭素数4〜20の
ものが用いられる。具体的な例としては、1-ブテン、4-
メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセ
ンおよびこれらの混合物が挙げられる。この内、特に炭
素数4〜10のα-オレフィンが好ましい。
【0080】上記のようなプロピレン・α-オレフィン
共重合体においては、プロピレンとα-オレフィンとの
モル比(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィ
ンの種類によっても異なるが、一般に50/50〜95
/5であることが好ましい。
【0081】(α-オレフィン・ジエン系共重合体(ii
i))本発明において軟質重合体として用いられるα-オ
レフィン・ジエン系共重合体(iii) としては、エチレン
・α-オレフィン・ジエン共重合体ゴムおよびプロピレ
ン・α-オレフィン・ジエン共重合体ゴムを挙げること
ができる。
【0082】これ等の共重合体ゴムを構成するα-オレ
フィンは、通常、炭素数3〜20(プロピレン・α-オ
レフィンの場合は4〜20)のα-オレフィン、たとえ
ばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよびこれ
らの混合物などが挙げられる。これらの中では、炭素原
子数3〜10のα-オレフィンが好ましい。
【0083】また、これらの共重合体ゴムを構成するジ
エン成分は、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-
メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン
および7-メチル-1,6-オクタジエンのような鎖状非共役
ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、
メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、
5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボル
ネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネンおよび6-ク
ロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンのような
環状非共役ジエン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボ
ルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボル
ネンおよび2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等が挙
げられる。
【0084】上記エチレン・α-オレフィン・ジエン共
重合体ゴムでは、エチレンとα-オレフィンとのモル比
(エチレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種類
によっても相違するが、一般に40/60〜90/10
である。
【0085】また、これら共重合体ゴムにおけるジエン
成分から誘導される繰り返し単位の含有量は、通常は1
〜20モル%、好ましくは2〜15モル%の範囲内にあ
る。 (芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体
(iv))本発明において軟質重合体として使用される芳香
族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体は、芳
香族ビニル系炭化水素、共役ジエン系のランダム共重合
体、ブロック共重合体またはこれらの水素化物である。
具体的にはスチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体
ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体ゴム、ス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、
水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重
合体、水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブロッ
ク共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンランダム共重合
体ゴム等が用いられる。
【0086】これらの共重合体ゴムにおいて、芳香族ビ
ニル炭化水素と共役ジエンとのモル比(芳香族ビニル炭
化水素/共役ジエン)は10/90〜70/30である
ことが好ましい。また、水素添加した共重合体ゴムと
は、上記の共重合体ゴム中に残存する二重結合の一部ま
たは全部を水素化した共重合体ゴムである。
【0087】(イソブチレンまたはイソブチレン・共役
ジエンからなる軟質重合体または共重合体(v))本発明
において軟質重合体として使用されるイソブチレン系軟
質重合体または共重合体(v)としては、具体的に、ポリ
イソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエ
ンゴムあるいはイソブチレン・イソプレン共重合体ゴム
等が用いられる。
【0088】なお、軟質重合体である(ii)〜(v)の共重
合体の特性は、環状オレフィン系軟質重合体(i)の特性
と同様であり、135℃のデカリン中で測定した極限粘
度[η]が通常は0.01〜10dl/g、好ましくは0.
08〜7dl/gの範囲内にあり、ガラス転移温度(Tg)
が通常は0℃以下、好ましくは−10℃以下、特に好ま
しくは−20℃以下である。また、X線回折法により測
定した結晶化度は通常は0〜10%、好ましくは0〜7
%、特に好ましくは0〜5%の範囲内にある。
【0089】このようなゴム状成分を含むポリマーアロ
イおよび有機過酸化物で処理した架橋性ポリマーアロイ
では、各種(i)〜(v)の軟質共重合体は、合計量で、環状
オレフィン付加重合体100重量部に対して、5〜15
0重量部、好ましくは5〜100重量部、特に好ましく
は10〜80重量部で存在するものである。このような
配合比を満たすことにより、衝撃強度、剛性、熱変形温
度および硬度にバランスの取れたポリマーアロイが得ら
れる。
【0090】そして、またこれらポリマーアロイの溶融
流れ指数(MFR;ASTM D1238 条件)は0.1〜100で
あることが好ましい。なお、ポリマーアロイを有機過酸
化物で架橋重合する場合に使用される有機過酸化物とし
ては、 メチルエチルケトンパーオキシドおよびシクロ
ヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、1,
1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン2,2-ビス
(t-ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケター
ル類、t-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパー
オキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパ
ーオキシドおよび1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパ
ーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジ-t-ブチルパ
ーオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサンおよび2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキシド、ラ
ウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジ
アシルパーオキシド類、t-ブチルパーオキシベンゾエー
ト、ならびに、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパー
オキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等を挙げる
ことができる。
【0091】上記有機過酸化物成分は、環状オレフィン
付加重合体と軟質重合体成分との合計量100重量部に
対して、通常は0.01〜1重量部、好ましくは0.0
5〜0・5重量部の量で使用される。
【0092】そして、さらに架橋効率を高める目的で有
機過酸化物で処理する際に、この反応系に、ラジカル重
合性の官能基を分子内に2個以上有する化合物をさらに
含有させると、耐衝撃性に優れたポリマーアロイが得ら
れるので好ましい。
【0093】ラジカル重合性の官能基を分子内に2個以
上有する化合物としては、ジビニルベンゼン、アクリル
酸ビニルおよびメタアクリル酸ビニル等を挙げることが
できる。これらの化合物は、環状オレフィン付加重合体
と軟質重合体との合計量100重量部に対して、通常は
1重量部以下、好ましくは0.1〜0.5重量部の量で
使用される。
【0094】(その他の添加物)本発明に係る医薬品容
器を製造する際に素材として用いられる環状オレフィン
開環重合体およびこれの水素添加物、環状オレフィン付
加重合体およびこれらに種々の重合体をブレンドしたポ
リマーアロイには、本発明の目的を損なわない範囲で耐
熱安定性、耐候安定性、帯電防止剤、スリップ剤、アン
チブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然
油、合成油、ワックス、有機あるいは無機の充填剤など
を配合することができる。たとえば、任意成分として配
合される安定剤としては、テトラキス[メチレン-3-(3,
5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロピオン酸アルキルエステルおよび2,2'-オキ
ザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止
剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび
1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金
属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステ
アレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペ
ンタエリスリトールジステアレートおよびペンタエリス
リトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エ
ステル等を挙げることができる。これらは単独で配合し
てもよいが、組み合わせて配合してもよい。たとえばテ
トラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛
とグリセリンモノステアレートとの組み合わせ等を例示
できる。
【0095】また、有機または無機の充填剤としては、
シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネ
シウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマ
イト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウ
ム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アス
ベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、
ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、
グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロ
ン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロ
ピレン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維等
を挙げることができる。
【0096】本発明に係る環状オレフィン系重合体と他
の成分との混合方法としては、それ自体公知の方法が適
用でき、たとえば各成分を同時に混合することができ
る。 (ブロー成形方法)本発明に係る医薬品容器は、エクス
トルー ジョンブロー、インジェクションブロー、およ
び2段ブロー方法を利用して成形される。
【0097】第1図に、本発明に係る医薬品容器の内、
インジェクションブロー法に使用されるプリフォームの
断面図を示す。第1図に示すプリフォーム10はコア型と
キャビティ型で構成される型内部に溶融樹脂を射出する
ことにより成形され、溶融樹脂は環状オレフィン系重合
体からなっている。プリフォーム10は有底12を有し、プ
リフォームの壁肉厚A(例えば4.5mmt程度)は容易に
コントロールが可能で偏肉がない。また、容器口部14は
シーリングやキャピングに要求される精度を充分有して
いる。
【0098】射出等によってプリフォームを形成する場
合の条件は、環状オレフィン系共重合体のTMAあるい
はMFRによって相違するが、一般に樹脂温度150〜
300℃、金型温度50〜150℃、射出圧力;一次圧
600〜1500kg/cm2、二次圧400〜1200kg/c
m2の範囲である。プリフォームの温度は、使用樹脂のT
MAの±50℃の範囲になるようにするのが好ましい。
【0099】このようなプリフォーム10はブロー成形部
へ移行した後、割型で挟んでエアを吹き込みブロー成形
を行う。また、プリフォーム10の延伸倍率は容積比で2
〜20倍の範囲が好ましい。
【0100】以上のような本発明に係る医薬品容器は、
耐薬品性だけでなく、機械的強度が優れたものとなる。
【0101】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0102】なお、本発明における各種物性値の測定方
法および評価方法を次に示した。 (1) 溶融流れ指数(MFR) ASTM−D1238に準じて、所定の温度(T℃)、
荷重2.16kgで測定した。 (2)軟化温度(TMA) デュポン社製Thermo Mechanical Analyzerを用いて厚さ
1mmのシートの熱変形挙動により測定した。シート上に
石英製針を乗せ、荷重49gをかけ、5℃/分の速度で
昇温し、針が0.635mm侵入した温度をTMAとし
た。 (3) ガラス転移温度(Tg) SEIKO電子工業(株)製 DSC−20を用いて昇
温速度10℃/分で測定した。 (4) 引張り試験 実施例で得られたブロー成形品(医薬品容器)より、A
STM TYPEIV ダンベルを打ち抜き、ASTM−
D638の方法で測定した。 (5) アニール収縮率 実施例で得られたブロー成形品(医薬品容器)より、約
3cm角の試験片を切り出し、95℃で10分間アニール
して、このアニーリングの前後における寸法変化率から
求めた。 (6) ヘイズ 実施例で得られたブロー成形品(医薬品容器)より、試
験片を切り出し、ASTM D1003に準じて測定し
た。 (7) グロス 実施例で得られたブロー成形品(医薬品容器)より、試
験片を切り出し、この試験片について、角度を60°に
設定して、ASTM−D523に準じて測定した。 (8) 耐薬品性 実施例で得られたブロー成形品(医薬品容器)を下記の
所定の試験液に浸漬し、23℃で7日間放置した後、外
観変化がなく、(4) に示した方法により測定した引張り
破断強度が該試験前の値の90%以上を示した場合を合
格とした。
【0103】試験液 耐酸性;20%硫酸水溶液 耐アルカリ性;20%水酸化ナトリウム水溶液 (9) 耐沸水性 ブロー成形品(医薬品容器)を沸騰水に24時間浸漬し
た後、耐薬品性試験と同様に判定を行った。
【0104】
【実施例1】エチレンと1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,
5,8,8a-オクタヒドロナフタレン(構造式;
【0105】
【化30】
【0106】以下DMONと略す)とのランダム共重合
体(13C−NMRで測定したエチレン含有71mol%、
MFR 260 o C 20g/分、135℃のデカリン中で測定
した極限粘度[η]0.6dl/g、軟化温度(TMA)1
15℃)を用いてインジェクションブロー成形した。成
形条件およびブロー成形品(医薬品容器)の物性を表1
に示した。
【0107】
【実施例2】エチレンとDMONとから形成されたラン
ダム共重合体(13C−NMRで測定したエチレン含量6
2mol %、MFR 260 o C 35g /分、135℃のデカ
リン中で測定した極限粘度[η]0.47dl/g 、軟化
温度(TMA)148℃)を用いてインジェクションブ
ロー成形した。成形条件およびブロー形成品(医薬品容
器)の物性を表1に示した。
【0108】
【実施例3】エチレンとDMONとから形成されたラン
ダム共重合体(13C−NMRで測定したエチレン含量6
7mol %でMFR 260 o C 17g/分、135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度[η]0.6dl/g、軟化温度
(TMA)135℃、ガラス転移温度(Tg )123
℃)のペレット3.4kgと、エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体(エチレン含量80mol%で、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]2.2dl/g、ガラ
ス転移温度(Tg )−50℃)のペレット0.6kgとを
二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM45)を用いてシ
リンダ温度220℃で溶融ブレンドし、ペレタイザーに
てペレット化した。得られたペレットを用いてインジェ
クションブロー成形した。成形条件およびブロー成形品
(医薬品容器)の物性を表1に示した。
【0109】
【実施例4】エチレンとDMONとから形成されたラン
ダム共重合体(13C−NMRで測定したエチレン含量6
2mol %でMFR260 o C35g/分、135℃のデカリ
ン中で測定した極限粘度[η]0.47dl/g、軟化温度
(TMA)148℃、ガラス転移温度(Tg )137
℃)のペレット3.4kgと、エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体(エチレン含量80mol %で、MFR 260
o C 0.7g分、135℃のデカリン中で測定した極限
粘度[η]2.2dl/g、ガラス転移温度(Tg )−54
℃のペレット0.6kgとを二軸押出機(池貝鉄工(株)
製PCM45)によりシリンダ温度220℃で溶融ブレ
ンドし、ペレタイザーにてペレット化した。
【0110】得られたペレット1kgに対して日本油脂
(株)製パーヘキシン25TMを1g 、ジビニルベンゼン
を3gの割合で添加し、十分混合した。この混合物を二
軸押出機によりシリンダ温度230℃で溶融ブレンド
し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレッ
トを用いてインジェクションブロー成形した。成形条件
およびブロー成形品(医薬品容器)の物性を表1に示し
た。
【0111】
【表1】
【0112】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医薬品
容器を、特定の環状オレフィン系共重合体で構成したこ
とにより、医薬品容器は耐酸性、耐アルカリ性および耐
沸水性等の耐薬品性が向上したものとなる。
【0113】また、環状オレフィン系共重合体を一定の
条件の下に選択的に素材として使用しているので、機械
的強度、特に、衝撃強度が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る医薬品容器の成形に使用される
プリフォームの断面図である。
【符号の説明】
10…プリフォーム、 12…有底部、 14…容器口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/04 LBZ A61J 1/00 311 // B29C 49/00 B65D 1/00 A B29K 23:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式[I]または下記式[II]で表さ
    れる環状オレフィン成分を開環重合してなる重合体、共
    重合体およびその水素添加物、ならびに下記式[I]ま
    たは下記式[II]で表される環状オレフィン成分とエチ
    レン成分とを付加重合してなる共重合体よりなる群から
    選ばれる環状オレフィン系樹脂からブロー成形されてな
    ることを特徴とする医薬品容器; 【化1】 [上記式[I]において、nは、0もしくは正の整数で
    あり、R1〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲ
    ン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子も
    しくは基を表し、 R9〜R12は、互いに結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R9とR10とで、またはR11とR12とでアルキリ
    デン基を形成していてもよい]。 【化2】 [式中、pは0または1以上の整数であり、mおよびn
    は、0、1または2であり、R1〜R15はそれぞれ独立
    に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族
    炭化水素基またはアルコキシ基であり、R5(または
    6)とR9(またはR7)とは、炭素数1〜3のアルキ
    レン基を介して結合していてもよく、また何の基も介さ
    ずに直接結合していてもよい。]
  2. 【請求項2】 医薬品容器が、上記環状オレフィン系樹
    脂に、 炭化水素から誘導される重合体、塩素含有重合体、不飽
    和酸から誘導される重合体、不飽和アルコールあるいは
    アミンから誘導される重合体、エポキシドから誘導され
    る重合体、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、
    ポリカーボネート、ポリスルフォン、尿素樹脂、ポリア
    ミド樹脂、ポリエステル樹脂、ホルムアミド系樹脂およ
    び天然重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種類
    の重合体をブレンドした樹脂組成物から形成されている
    ことを特徴とする請求項第1項記載の医薬品容器。
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