JP3798202B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれから得られる成形体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれから得られる成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性を有し吸水率の低いポリオレフィン系樹脂組成物に関する。特に高温高湿度雰囲気下における透明性低下が少ないポリオレフィン系樹脂組成物、およびそれから得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に透明な樹脂は、光が透過しやすいことで容器や包装材等にした場合内容物の確認が容易であり、持ち運びに便利で加工し易いという性質を利用し、工業材用途、一般消費財用途ばかりではなく、医薬、食品、実験機器、光学用途等にも使用されてきた。具体的には、食品や医薬品の透明容器として好適に使用されるとともに、眼鏡レンズやピックアップレンズ、fθレンズなどの光学機器用のレンズ、またMO、DVD、CD等の光学記録メディアにも使用されている。
【0003】
この様な用途においては、高温高湿度の雰囲気にさらされることがある。例えば食品や医薬品等の容器に用いる場合には、滅菌のため熱水、スチームなどによる洗浄処理が行われ、特に医薬品等の容器では通常スチーム滅菌が施される。透明性に加えて耐熱性、剛性、防湿性に優れているため、スチーム滅菌される医療・医薬用容器に用いられている環状オレフィン系重合体やポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂では、スチーム滅菌条件によっては透明性が低下してしまうことがあった。
【0004】
また、光学機器用のレンズや光学記録メディア等の光学製品や、食品、医薬品包装用途の製品に用いる場合には、製品の搬送過程等で高温、高湿度の厳しい環境下に置かれることがある。その際、混入した微量の水分が、雰囲気温度の低下にともなって凝集することに起因すると考えられる、微少なクラックやボイドが発生する。その結果、外観上、白濁して見え、製品の透明性が損なわれることがあった。この様な高温高湿度雰囲気下における透明性の低下は、吸水率の低い透明な樹脂に発生し易い現象であり、スチレン系重合体、環状オレフィン系重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂においてみられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、高温高湿度雰囲気下における透明性低下が少ないポリオレフィン系樹脂組成物、並びにそれから得られ、光学製品や医療・医薬用成形体に好適なポリオレフィン系樹脂成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、(a)下記[ A-1 ]、[ A-2 ]、[ A-3 ]および[ A-4 ]からなる群より選ばれる環状オレフィン系重合体、および(b)ポリシクロヘキサン系樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂と、下記式(I-a)から(I-e)で表されるソルビトール系誘導体とからなる。
【0007】
【化8】
Figure 0003798202
【化9】
Figure 0003798202
【化10】
Figure 0003798202
(上記式(I-a)から(I-c)において、各R、R'は互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数である。)。
【0008】
【化11】
Figure 0003798202
【化12】
Figure 0003798202
(上記式(I-d)および(I-e)において、R1〜R8は炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。)。
【0009】
[A-1]炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと下記式(II)または(III)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体。
【0010】
【化13】
Figure 0003798202
(上記式(II)中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)。
【0011】
【化14】
Figure 0003798202
(上記式(III)中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)。
【0012】
[A-2]上記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
[A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
[A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物。
【0013】
また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、前記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン系重合体からなるポリオレフィン系樹脂と、前記式(I-a)から(I-e)で表されるソルビトール系誘導体とからなる。
【0014】
本発明により、前記樹脂組成物から形成されてなるポリオレフィン系樹脂成形体が提供され、その成形体としては光学製品や医療・医薬用成形体が好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、透明性を有し吸水率の低いポリオレフィン系樹脂と、特定のソルビトール系誘導体とからなる。
まず、ポリオレフィン系樹脂について説明する。
【0016】
ポリオレフィン系樹脂
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、(a)下記[ A-1 ]、[ A-2 ]、[ A-3 ]および[ A-4 ]からなる群より選ばれる環状オレフィン系重合体、および(b)ポリシクロヘキサン系樹脂から選ばれる少なくとも1種である。特に、前記環状オレフィン系重合体が好ましい。
以下、各樹脂について具体的に説明する。
【0017】
本発明では、 環状オレフィン系重合体(a)として、
[A-1] 炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと下記式(II)または(III)で表される環状オレフィンとのランダム共重合体、
[A-2] 下記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
[A-3] 上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
[A-4] 上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0018】
本発明で用いられる 環状オレフィン系重合体(a)は、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)が、70℃以上であることが好ましく、さらには70〜250℃が好ましく、特に120〜180℃が好ましい。
【0019】
また、本発明で用いられる 環状オレフィン系重合体(a)は、非晶性または低結晶性であり、X線回折法によって測定される結晶化度が、通常20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは0%である。
【0020】
また、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、通常0.01〜20dl/gであり、好ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gである。ASTM D1238に準じ温度260℃、荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MFR)は、通常0.1〜200g/10分であり、好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましく5〜50g/10分である。
【0021】
さらに、 環状オレフィン系重合体(a)の軟化点は、サーマルメカニカルアナライザーで測定した軟化点 (TMA)として、通常30℃以上であり、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80〜260℃である。
【0022】
ここで、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(a)を構成する、式(II)または(III)で表される環状オレフィンについて説明する。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(a)は、下記式(II)または(III)で表わされる環状オレフィンからなる。
【0023】
【化15】
Figure 0003798202
【0024】
上記式(II)中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1である。なお、qが1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立に、下記に示す原子または炭化水素基であり、qが0の場合には、Ra、Rbの結合はなくなり、両側の炭素原子が結合して5員環を形成する。
【0025】
1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
【0026】
ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0027】
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの炭化水素基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0028】
さらに上記式(II)において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかも、このようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。
【0029】
【化16】
Figure 0003798202
【0030】
上記式(III)中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2である。またR1〜R19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0031】
ハロゲン原子は、前記式(II)におけるハロゲン原子と同じ意味である。
炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基が例示される。
【0032】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを例示することができる。これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
【0033】
ここで、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R9およびR13で表される基が、またはR10およびR11で表される基が、互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
【0034】
さらに、n=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環として、たとえば下記のようなR15とR12がさらに芳香族環を形成している基が挙げられる。
【0035】
【化17】
Figure 0003798202
ここでqは、式(III)におけるqと同じ意味である。
【0036】
上記のような式(II)または(III)で示される環状オレフィンを、より具体的に次に例示する。一例として、
【化18】
Figure 0003798202
で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(別名ノルボルネン)(上記式中において、1〜7の数字は炭素の位置番号を示す。)および該化合物に炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
【0037】
この置換炭化水素基として、5-メチル、5,6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニル)、5-(β-ナフチル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントラセニル)、5,6-ジフェニルを例示することができる。
【0038】
さらに他の誘導体として、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0039】
この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、および
【化19】
Figure 0003798202
で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以後単にテトラシクロドデセンという。上記式中1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)、さらにこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
【0040】
その置換基の炭化水素基としては、8-メチル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフェニル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(アントラセニル)、5,6-ジフェニルを例示することができる。
【0041】
さらには、(シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物などのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンおよびその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などが挙げられる。
【0042】
本発明で使用することのできる前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの具体例は、上記した通りであるが、より具体的なこれらの化合物の構造については、特開平7-145213号公報明細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されており、本発明においても、上記明細書に例示されるものを環状オレフィンとして使用することができる。
【0043】
上記のような式(II)または(III)で表される環状オレフィンの製造方法としては、例えば、シクロペンタジエンと、対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応を挙げることが出来る。
これらの環状オレフィンは、単独でも、あるいは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0044】
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体(a)は、上記のような式(II)または(III)で表される環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60-168708号、同61-120816号、同61-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-272216号、同62-252406号および同62-252407号などの公報において提案された方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造することができる。
【0045】
A-1 ]α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
炭素原子数が2〜20のα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]は、α−オレフィンから誘導される構成単位を、通常は20〜95モル%、好ましくは30〜90モル%の量で、環状オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜80モル%、好ましくは10〜70モル%の量で含有している。なおα−オレフィンおよび環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによって測定される。
【0046】
ここで、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]を構成する炭素原子数が2〜20のα−オレフィンについて説明する。α−オレフィンとしては、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状α−オレフィン;3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、などの炭素原子数が4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。これらのなかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
このような直鎖状または分岐状のα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。
【0047】
このα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]では、上記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した際に、その溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。たとえば、極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0048】
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]において、前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(IV)または(V)で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0049】
【化20】
Figure 0003798202
上記式(IV)において、n、m、q、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0050】
【化21】
Figure 0003798202
上記式(V)において、n、m、p、qおよびR1〜R19は、式(III)におけるものと同じ意味である。
【0051】
また本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲内で他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0052】
このような他のモノマーとしては、前記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0053】
これらの他のモノマーは、単独でも、あるいは組み合わせても用いることができる。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有されていてもよい。
【0054】
本発明で用いられるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]は、前記した炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと式(II)または(III)で表される環状オレフィンとを用いて、前記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合反応を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いてα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]を製造することが好ましい。
【0055】
また、この共重合反応では固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒を用いることもできる。固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。
【0056】
ここで周期律表IV族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等があげられる。
【0057】
有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の製造に使用されるものを用いることができる。
このような固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒については、例えば特開昭61-221206号、特開昭64-106号および特開平2-173112号公報等に記載されているものを使用することができる。
【0058】
A-2 ]環状オレフィンの開環重合体または共重合体
環状オレフィンの開環重合体または共重合体[A-2]は、前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの開環重合体、または前記式(II)および/または(III)で表される環状オレフィンの開環重合単位を含む共重合体である。共重合体の場合、2種以上の異なる環状オレフィンを組み合わせて用いる。
【0059】
環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体において、前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(VI)または(VII)で表される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【化22】
Figure 0003798202
上記式(VI)において、n、m、qおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0060】
【化23】
Figure 0003798202
上記式(VII)において、n、m、p、qおよびR1〜R19は、式(III)におけるものと同じ意味である。
【0061】
このような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造することができる。例えば、前記式(II)で表される環状オレフィンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させることにより製造することができる。開環重合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム、白金などから選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウム、モリブテンなどから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0062】
A-3 ]開環重合体または共重合体の水素化物
開環重合体または共重合体の水素化物[A-3]は、上記のようにして得られる開環重合体または共重合体[A-2]を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素化して得られる。
【0063】
この開環重合体または共重合体[A-3]の水素化物においては、前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記式(VIII)または(IX)で表される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【化24】
Figure 0003798202
上記式(VIII)において、n、m、qおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0064】
【化25】
Figure 0003798202
上記式(IX)においてn、m、p、q、R1〜R19は、式(III)におけるものとと同じ意味である。
【0065】
A-4 ]グラフト変性物
環状オレフィン系重合体のグラフト変性物[A-4]は、前記のα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]、環状オレフィンの開環重合体または共重合体[A-2]、または、開環重合体または共重合体の水素化物[A-3]のグラフト変性物である。
【0066】
ここで用いられる変性剤としては、通常、不飽和カルボン酸類があげられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、さらにこれら不飽和カルボン酸の誘導体たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミド、不飽和カルボン酸のエステル化合物などが例示される。
【0067】
不飽和カルボン酸の誘導体として、より具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレイル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
【0068】
これらのなかでは、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、たとえばマレイン酸、ナジック酸TMおよびこれらの酸の無水物が好ましく用いられる。
これらの変性剤は、2種以上組合わせて用いることもできる。
【0069】
このような環状オレフィン系重合体のグラフト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィン系重合体に変性剤を配合してグラフト重合させ製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系重合体とを所望の変性率になるように混合することにより製造することもできる。
【0070】
環状オレフィン系重合体と変性剤とから環状オレフィン系重合体のグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマー変性方法を広く適用することができる。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系重合体に変性剤を添加してグラフト重合させる方法、あるいは溶媒を用いた環状オレフィン系重合体の溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0071】
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行うことができる。
【0072】
本発明では、環状オレフィン系重合体(a)として、上記のような[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。これらのうちでは、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体[A-1]が好ましく、さらには、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体またはエチレン・ノルボルネン共重合体が好ましい。
【0073】
次にポリシクロヘキサン系樹脂(b)について説明する。
本発明で用いられるポリシクロヘキサン系樹脂(b)としては、1,3-シクロヘキサジエンをアルキルリチウムとアミンを開始剤として重合したポリ1,3-シクロヘキサジエンの、ポリマー鎖中の二重結合を水素添加して得られるポリシクロヘキサンや、1,3-シクロヘキサジエンと、α−オレフィンやスチレンとの共重合体を水素添加したもの、それにさらに、衝撃強度を向上させるためにソフトセグメントとしてブタジエンをブロック共重合させたものを水素添加したもの、スチレンやα−アルキルスチレンなどの芳香族ビニル化合物と炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとの共重合体を水素添加したもの、スチレンやα−アルキルスチレンを重合したスチレン系重合体のベンゼン環を水素添加することにより得られるポリシクロヘキシルエチレンなどが挙げられる。
【0074】
本発明で好ましく用いられるポリシクロヘキシルエチレンは、ポリスチレン分子量換算値で数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が6以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下のものである。重量平均分子量としては、10万〜100万の範囲のものが好ましく、より好ましくは2万〜70万、さらに好ましくは5万〜50万、特に7万〜30万が強度と成形性のバランスに優れ好ましい。
【0075】
また、ガラス転移温度は、通常50〜300℃、好ましくは60〜280℃、より好ましくは70〜250℃の範囲にあり、結晶化度は0〜20%、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%である。密度は、0.80〜1.50g/cm3、好ましくは0.85〜1.0g/cm3、より好ましくは0.90〜0.95g/cm3である。
【0076】
ポリシクロヘキシルエチレンは、ポリスチレン等を用いてその芳香環を公知の方法で水素添加することにより得ることができる。水素添加の方法は従来公知の方法が適用でき、例えば特開平7−247321号公報、アメリカ特許5612422号などに記載の方法を例示できる。芳香環の水素添加率は30%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0077】
また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、前記した[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン系重合体からなるポリオレフィン系樹脂と、特定のソルビトール系誘導体とからなる。環状オレフィン系重合体としては、前記の環状オレフィン系重合体(a)と同様なものを挙げることができる。
【0078】
本発明においては、上述したポリオレフィン系樹脂に、必要に応じて、さらに他の樹脂を配合した樹脂組成物を用いることもできる。他の樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲内で添加される。
【0079】
ここでポリオレフィン系樹脂に添加しうる他の樹脂成分を以下に列挙する。
(1)1個または2個の不飽和結合を有する炭化水素から誘導される重合体
具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリブテン-1およびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有していてもよい。
(2)ハロゲン含有ビニル重合体
具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙げられる。
【0080】
(3)α,β-不飽和酸とその誘導体から誘導される重合体
具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、またはそれらの重合体を構成するモノマーを含む共重合体、たとえばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
(4)不飽和アルコールおよびアミン、または不飽和アルコールのアシル誘導体またはアセタールから誘導される重合体
具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、またはそれらの重合体を構成するモノマーを含む共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0081】
(5)エポキシドから誘導される重合体
具体的にはポリエチレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルから誘導された重合体などが挙げられる。
(6)ポリアセタール
具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオキシメチレンなどが挙げられる。
【0082】
(7)ポリフェニレンオキシド
(8)ポリカーボネート
(9)ポリスルフォン
(10)ポリウレタンおよび尿素樹脂
【0083】
(11)ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸、または相応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド
具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
(12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/またはオキシカルボン酸、または相応するラクトンから誘導されるポリエステル
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4-ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどが挙げられる。
【0084】
(13)アルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンから誘導される架橋構造を有する重合体
具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
(14)アルキッド樹脂
具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられる。
【0085】
(15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。
(16)天然重合体
具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれらの誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
【0086】
(17)軟質重合体
例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α−オレフィン系共重合体、α−オレフィン・ジエン系共重合体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体、イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンからなる軟質重合体または共重合体等が挙げられる。
【0087】
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂には、さらに上述の成分に加えて、発明の目的を損なわない範囲内で、従来公知の耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などが配合されていてもよい。
【0088】
たとえば、この任意成分として配合される耐候安定剤のうち紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル系化合物、ヒンダードアミン系化合物があり、具体的には、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールや2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルフォスフォリックアシッドエチルエステルのニッケル塩、ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケイトなどが挙げられる。
【0089】
また、任意成分として配合される耐熱安定剤としては、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができ、また、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニル-4,4'-イソプロピリデンジフェノール-ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよい。これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン-3-(3.5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレートとの組み合わせの例などを挙げることができる。
これらの安定剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0090】
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂と他の樹脂成分や添加剤等との混合方法としては、それ自体公知の方法が適用できる。たとえば各成分を同時に混合する方法などである。
【0091】
ソルビトール系誘導体
本発明で用いられるソルビトール系誘導体は、下記式(I-a)から(I-e)で表される化合物である。
【化26】
Figure 0003798202
(上記式(I-a)中、各R、R'は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数である。)
【0092】
上記式(I-a)で表される化合物として具体的には、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの2種以上の混合物が好適に使用できる。
【0093】
上記のソルビトール系誘導体の中では、下記式(X)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。
【化27】
Figure 0003798202
(上記式(X)中、R、R'は互いに同一でも異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示す。)
【0094】
【化28】
Figure 0003798202
(上記式(I-b)中、各Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、mは0〜3の整数である。)
【0095】
上記式(I-b)で表される化合物として具体的には、2,4-ベンジリデンソルビトール、2,4-p-n-プロピルベンジリデンソルビトール、2,4-p-i-プロピルベンジリデンソルビトール、2,4-p-n-ブチルベンジリデンソルビトール、2,4-p-s-ブチルベンジリデンソルビトール、2,4-p-t-ブチルベンジリデンソルビトール、2,4-(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、2,4-p-メトキシベンジリデンソルビトール、2,4-p-エトキシベンジリデンソルビトール、2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
【0096】
【化29】
Figure 0003798202
(上記式(I-c)中、各Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、nは0〜3の整数である。)
【0097】
上記式(I-c)で表される化合物として具体的には、1,3-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-n-プロピルベンジリデンソルビトール、1,3-p-i-プロピルベンジリデンソルビトール、1,3-p-n-ブチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-s-ブチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-t-ブチルベンジリデンソルビトール、1,3-(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-メトキシベンジリデンソルビトール、1,3-p-エトキシベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデンソルビトールおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
【0098】
【化30】
Figure 0003798202
(上記式(I-d)中、R1〜R4は炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。)
【0099】
上記式(I-d)で表される化合物として具体的には、1,5-ソルビタンモノステアレート、1,5-ソルビタンジステアレート、1,5-ソルビタントリステアレート、1,5-ソルビタンモノラウレート、1,5-ソルビタンジラウレート、1,5-ソルビタントリラウレート、1,5-ソルビタンモノパルミテート、1,5-ソルビタンジパルミテート、1,5-ソルビタントリパルミテートおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
【0100】
【化31】
Figure 0003798202
(上記式(I-e)中、R5〜R8は炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。)
【0101】
上記式(I-e)で表される化合物として具体的には、1,4-ソルビタンモノステアレート、1,4-ソルビタンジステアレート、1,4-ソルビタントリステアレート、1,4-ソルビタンモノラウレート、1,4-ソルビタンジラウレート、1,4-ソルビタントリラウレート、1,4-ソルビタンモノパルミテート、1,4-ソルビタンジパルミテート、1,4-ソルビタントリパルミテートおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
【0102】
上記のソルビトール系誘導体のなかでは、前記式(I-a)から(I-c)で表されるベンジリデンソルビトール誘導体が好ましく、さらには、前記式(I-a)で表されるジベンジリデンソルビトール誘導体が好ましい。
また上記の式(I-a)から(I-e)で表されるソルビトール系誘導体は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0103】
本発明においては、上述したソルビトール系誘導体の分散性向上のために、それを脂肪酸と混合して使用してもよい。用いられる脂肪酸としては、炭素原子数10〜30を有する脂肪酸が挙げられる。
【0104】
樹脂組成物
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、上記したポリオレフィン系樹脂とソルビトール系誘導体とからなり、ソルビトール系誘導体の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、さらには0.05〜5重量部が好ましく、特に0.05〜3重量部が好ましい。配合量がこの範囲内であれば、ポリオレフィン系樹脂の透明性や吸水率に変化を及ぼすことなく高温高湿度雰囲気下における透明性低下を少なくできる。
【0105】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法としては、公知の任意の方法を採用できる。具体的には、たとえば押出機を使用してポリオレフィン系樹脂を溶融する際、または既に溶融した樹脂が押出機を通る際に、添加すべきソルビトール系誘導体を押出機内に注入し、混練してペレットを得る方法、あるいは、上記の押出機よりシートやフィルム、ブロー成形品等を直接得る方法があげられる。
【0106】
押出機を用いない方法としては、ポリオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させた中に、添加すべきソルビトール系誘導体を加え、攪拌し、溶媒を揮発させて組成物を得る方法がある。また、樹脂の生産に支障の無い範囲で、押出機を通過する以前の段階において添加しても差し支えない。さらに、ポリオレフィン系樹脂のパウダー、ペレットをソルビトール系誘導体中において、温度、圧力を加えて含浸させる方法を使用することもできる。また、これらの方法を併用することも可能である。
【0107】
この様にして得られるポリオレフィン系樹脂組成物は、吸水率の低い透明樹脂を用いながら、本発明に係るソルビトール系誘導体を含有するので、それを用いて、透明性に優れ、スチーム滅菌等や、高温高湿度下での透明性の低下が起こり難く、外観上の白化を起こさない成形体を得ることができる。
【0108】
成形体
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体の製造方法としては、公知の任意の方法を採用でき、たとえば、上記の様にして得られたポリオレフィン系樹脂とソルビトール系誘導体と、必要に応じて、その他の添加物等とからなる樹脂組成物を、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形などの成形方法により、種々の成形体に成形する方法が挙げられる。
以下に数例を挙げて成形体を説明する。
【0109】
本発明に係る成形体がたとえば押出成形体である場合、その形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシート、フィルムなどが挙げられる。透明樹脂組成物を押出成形する際には、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、たとえば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融した透明樹脂組成物をTダイなどから押出すことによりシートまたはフィルムなどに成形することができる。
また、フィルム状成形体としてインフレーションフィルムを製造することも
できる。
【0110】
射出成形体は、公知の射出成形装置を用い通常の成形条件を採用して、ポリオレフィン系樹脂組成物を種々の形状に射出成形して製造することができる。
【0111】
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形体は、透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れているので、食品や医薬品の透明容器などの用途に用いることができる。特に高温高湿度雰囲気下に保存されて置かれても透明性低下が少なく、とりわけ熱水処理またはスチーム処理による透明性の低下が少ないため、光学製品や医療・医薬用成形体に好ましく適用される。光学製品としては、眼鏡レンズや、ピックアップレンズ、fθレンズなどのプリンターや複写機に使用されるレンズ、事務機器の投影用レンズ、医療検査用プラスチックレンズ、反射板、プリズム、CD、DVD、MD、MO等の光学記録メディア光学製品、光ファイバー等のレーザー光を伝達する部品などの用途に用いられる。
【0112】
医療・医薬用成形体としては、医療器具、医薬容器、医薬用具、医薬包装体などが挙げられ、特にスチーム滅菌が行われる容器、たとえば試験管、バイアルビン、アンプル、錠剤ビン、プレフィルドシリンジ、ディスポーザブルシリンジ等のシリンジ、シャーレ、哺乳ビン、食品容器、ボトル、サンプルチューブ、輸液用バッグ、点眼薬容器、点滴薬容器などの液体または粉体、固体の薬品容器、血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器、メス、鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療器材・製品などの滅菌容器、注射器などの医療器具、ビーカー、シャーレ、フラスコなどの実験器具、医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料などの用途に用いられる。
【0113】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0114】
本実施例における物性測定方法を次に示す。
(1)光線透過率、ヘイズ(Haze)
ASTM D1003に基づいて測定した。試料には、シリンダー温度270℃、金型温度115℃に設定された射出成形機(東芝機械(株)製IS−50)により、射出成形された130mm×120mm×3mm(厚さ)の角板を用いた。
(2)吸水率
上記(1)と同様に成形した角板を80℃、1torrで24hr減圧乾燥後、23℃の脱イオン水中に100時間浸漬した。その後水中から引き上げ角板表面に付着した水を拭き取った後、その2gを切り取りカールフィッシャー法により含有する水分を測定し吸水率を求めた。
【0115】
(3)溶融流れ指数(MFR)
ASTM D1238に準じ、温度260℃、荷重2.16kgで測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて昇温速度10℃/分で測定した。
(5)結晶化度
X線回折法によって測定した。
【0116】
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂として、全光線透過率90%、ヘイズ3%、吸水率0.01%以下のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:38モル%、MFR:40g/10分、Tg:135℃、結晶化度0%)を用いた。上記の樹脂100重量部と1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール2重量部とを、2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)によりシリンダー温度270℃として溶融混練した。溶融混練して得られた樹脂組成物を用いて、射出成形機(東芝機械(株)製IS−50)を使用し、シリンダー温度270℃、金型温度115℃の条件にて130mm×120mm×3mm(厚さ)の角板を射出成形した。成形品の外観に異常のないことを目視観察した後、温度80℃、相対湿度90%の雰囲気下に48時間放置した。放置前後においてヘイズ(Haze)と波長600nmにおける分光光線透過率を測定し、その差を調べた。結果を表1に示す。
【0117】
(実施例2〜4)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール2重量部に代えて、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトールを、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し表1に記載の重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールに代えて、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトールを用いた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0118】
(比較例1)
ポリオレフィン系樹脂に実施例1に用いたと同じエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を用い、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールを配合せずに実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0119】
(実施例6)
ポリオレフィン系樹脂として、全光線透過率90%、ヘイズ3%、吸水率0.01%以下のエチレン・テトラシクロドデセン共重合体(テトラシクロドデセン単位含量:38モル%、MFR:40g/10分、Tg:135℃、結晶化度0%)を用い、その100重量部と1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール2重量部とを、2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)によりシリンダー温度270℃として溶融混練した。溶融混練して得られた樹脂組成物を用いて、射出成形機(東芝機械(株)製IS−50)を使用し、シリンダー温度270℃、金型温度115℃の条件にて130mm×120mm×3mm(厚さ)の角板を射出成形した。成形品の外観を目視観察した後、温度121℃で20分間スチーム滅菌処理をした。処理前後においてヘイズ(Haze)と波長600nmにおける分光光線透過率を測定し、その差を調べた。結果を表1に示す。
【0120】
(実施例7)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールに代えて、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトールを用いた以外は実施例6と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールに代えて、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトールを用いた以外は実施例6と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0121】
(比較例2)
ポリオレフィン系樹脂に実施例6に用いたと同じエチレン・テトラシクロドデセン共重合体を用い、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールを配合せずに実施例6と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0122】
(実施例9)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールに代えて、1,5-ソルビタンモノステアレートと1,4-ソルビタンモノステアレートの混合物を用いた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例10)
1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトールに代えて、1,5-ソルビタンモノラウレートと1,4-ソルビタンモノラウレートの混合物を用いた以外は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0123】
(実施例11)
ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G590、MFR[温度200℃、荷重5kgにおける測定値]:3g/10分)100gをシクロヘキサン溶媒中、触媒としてNi(acac)2とトリイソブチルアルミニウムの存在下、温度100℃、圧力40kg/cm2において2時間水素添加して得られたポリシクロヘキシルエチレン(全光線透過率91%、ヘイズ3%、吸水率0.01%以下、結晶化度0%)をポリオレフィン系樹脂として用い、該樹脂100重量部に、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール2重量部をラボプラストミルで混練後、280℃で30mm×30mm×3mm(厚さ)のプレスシートを成形した。この角板を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
【0124】
(比較例3)
実施例11と同じポリオレフィン系樹脂を用い、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトールを配合せずに実施例11と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
【0125】
【表1】
Figure 0003798202
【0126】
【発明の効果】
本発明により提供されるポリオレフィン系樹脂組成物は、低結晶性または非晶性で、吸水率の低い透明樹脂であっても、本発明に係るソルビトール系誘導体を含有しているので、それを用いて透明性に優れるとともに、熱水処理、スチーム滅菌等や高温高湿度雰囲気下における透明性の低下が起こり難い成形体を得ることができる。
【0127】
また、本発明に係るソルビトール系誘導体を含有する環状オレフィン系重合体からなるポリオレフィン系樹脂組成物は、透明性に加えて耐熱性、剛性、防湿性に優れ、熱水処理、スチーム滅菌等や高温高湿度雰囲気下における透明性の低下が起こり難い成形体を得るために好適に使用できる。
この様なポリオレフィン系樹脂組成物を用いて得られる成形体は、透明性、耐熱性、剛性、防湿性に優れるとともに、高温高湿度雰囲気下における透明性低下が少ないので、光学製品や医療・医薬用成形体として有用性が高い。

Claims (7)

  1. (a)下記[ A-1 ]、[ A-2 ]、[ A-3 ]および[ A-4 ]からなる群より選ばれる環状オレフィン系重合体、および(b)ポリシクロヘキサン系樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン系樹脂組成物と、下記式(I-a)から(I-e)で表されるソルビトール系誘導体とからなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
    A-1 ]炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと下記式( II )または( III )で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体、
    Figure 0003798202
    (上記式( II )中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R 1 〜R 18 ならびにR a およびR b は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R 15 〜R 18 は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR 15 とR 16 とで、またはR 17 とR 18 とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、
    Figure 0003798202
    (上記式( III )中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R 1 〜R 19 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R 9 およびR 10 が結合している炭素原子と、R 13 またはR 11 が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R 15 とR 12 またはR 15 とR 19 とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、
    A-2 ]上記式( II )または( III )で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
    A-3 ]上記 [A-2] 開環重合体または共重合体の水素化物、および
    A-4 ]上記 [A-1] [A-2] または [A-3] のグラフト変性物;
    Figure 0003798202
    Figure 0003798202
    Figure 0003798202
    (上記式(I-a)から(I-c)において、各R、R'は互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかであり、m、nはそれぞれ独立に0〜3の整数である。)、
    Figure 0003798202
    Figure 0003798202
    (上記式(I-d)および(I-e)において、R1〜R8は炭素原子数10〜30の脂肪族アシル基または水素原子である。)
  2. 下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン系重合体からなるポリオレフィン系樹脂と、前記式(I-a)から(I-e)で表されるソルビトール系誘導体とからなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物;
    [A-1]炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体、
    [A-2]前記式(II)または(III)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
    [A-3]上記[A-2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
    [A-4]上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物。
  3. 前記ソルビトール系誘導体が、前記式(I-a)で表されるジベンジリデンソルビトール誘導体である請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 前記ソルビトール系誘導体が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部含まれることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物から形成されてなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形体。
  6. 前記成形体が光学製品であることを特徴とする請求項に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
  7. 前記成形体が医療・医薬用成形体であることを特徴とする請求項に記載のポリオレフィン系樹脂成形体。
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