JP7074517B2 - ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物、成形体および当該成形体のガンマ線または電子線照射物 - Google Patents
ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物、成形体および当該成形体のガンマ線または電子線照射物 Download PDFInfo
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Description
本発明者らの検討によれば、従来の環状オレフィン系樹脂の成形体においては、電子線あるいはガンマ線照射によって変色が発生しうる場合があることが明らかになった。
また、本発明者らの別の検討によれば、電子線あるいはガンマ線照射によってラジカルが発生する場合がある。これにより、内容物の充填後に内容物が変質するリスクがあることが懸念される。
1.
ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]と、リン系化合物[C]とを含み、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、上記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。
2.
上記1.に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記環状オレフィン系樹脂[A]が、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選択される少なくともいずれかを含む、環状オレフィン系樹脂組成物。
[A-1]:炭素原子数が2~20のα-オレフィンと、下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、
qは0または1であり、
R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。
pおよびqは、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0、1または2であり、
R1~R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
[A-2]:上記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体
[A-3]:上記[A-2]の開環重合体または共重合体の水素化物
[A-4]:上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
3.
上記1.または2.に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、上記リン系化合物[C]の量が0.05質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。
4.
上記1.~3.のいずれか1つに記載の環状オレフィン系樹脂組成物から形成された成形体。
5.
上記4.に記載の成形体であって、
医療用容器である、成形体。
6.
上記4.または5.に記載の成形体であって、
シリンジまたは薬液保存容器である、成形体。
7.
上記4.~6.のいずれか1つに記載の成形体の、ガンマ線または電子線照射物。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量部」とは「1質量部以上5質量部以下」の意である。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、ガンマ線または電子線照射用であり、
環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを含み、
組成物中の環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、
組成物中の環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である。
同様に、本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物中のある成分が、リン系化合物[C]とフェノール系化合物[D]の両方に該当する場合、その成分はリン系化合物[C]とみなされ、フェノール系化合物[D]とはみなされない。
なお、以下説明は、推定を含む。また、本発明は以下説明により限定的に解釈されるものではない。
それに加え、樹脂組成物の安定剤(光安定剤、酸化防止剤など)として知られている、ヒンダードアミン系化合物および/またはリン系化合物を適量用いることで、ラジカルが発生したとしてもそれを十分トラップしうるようにした。
以上により、電子線あるいはガンマ線照射による変色を少なくし、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生を少なくできたものと推定される。
環状オレフィン系樹脂[A](以下、単に、樹脂[A]、または、[A]とも記載する)は、環状オレフィンを原料モノマーとして得られた樹脂であれば、特に限定無く用いることができる。
環状オレフィン系樹脂[A]は、好ましくは、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群から選択される少なくともいずれかである。
nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、
qは0または1であり、
R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。
pおよびqは0または1以上の整数であり、
mおよびnは0、1または2であり、
R1~R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
環状オレフィン系樹脂[A]の、ASTM D1238に準じ、260℃、荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MFR)が、例えば0.2~200g/10分で、好ましくは1~100g/10分、さらに好ましく5~50g/10分である。
ここでのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
また、ここでの炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
さらに、一般式(I)において、R15~R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかも、このようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。
ここでのハロゲン原子の具体例については、一般式(I)におけるハロゲン原子と同様である。
また、ここでの炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素等を挙げることができる。より具体的には、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。さらに具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
以下において、1~7の数字は炭素の位置番号を示す。
以下において、1~12の数字は炭素の位置番号を示す。
環状オレフィン系樹脂[A]は、一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンを用いて、例えば、特開昭60-168708号、同61-120816号、同61-115912号、同61-115916号、同61-271308号、同61-272216号、同62-252406号および同62-252407号等の公報に記載された方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
α-オレフィンについては、直鎖状でも分岐状でもよい。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の炭素原子数が2~20の直鎖状α-オレフィン;3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、等の炭素原子数が4~20の分岐状α-オレフィン等が挙げられる。
これらの中では、炭素原子数が2~4の直鎖状α-オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖状または分岐状のα-オレフィンは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、一般式(IV)において、n、m、q、R1~R18ならびにRaおよびRbは、一般式(I)におけるn、m、q、R1~R18ならびにRaおよびRbと同義である。また、一般式(V)において、n、m、p、qおよびR1~R19は、一般式(II)におけるn、m、p、qおよびR1~R19と同義である。
ここでの「他のモノマー」としては、上記のような炭素原子数が2~20のα-オレフィンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができる。具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン等のシクロオレフィン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボルネン等の非共役ジエン類を挙げることができる。
[A-1]が、他のモノマーから誘導される構成単位を含む場合、その含有量は、[A-1]の全構造単位に対して、例えば0.1~20モル%、好ましくは0.1~10モル%である。
なお、一般式(VI)において、n、m、q、R1~R18ならびにRaおよびRbは、一般式(I)におけるn、m、q、R1~R18ならびにRaおよびRbと同義である。また、一般式(VII)において、n、m、p、qおよびR1~R19は、一般式(II)におけるn、m、p、qおよびR1~R19と同義である。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウムまたは白金等から選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と還元剤とからなる触媒などを挙げることができる。また、チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブテン等から選ばれる金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を挙げることもできる。
なお、一般式(VIII)において、n、m、qおよびR1~R18ならびにRaおよびRbは、一般式(I)におけるn、m、qおよびR1~R18ならびにRaおよびRbと同義である。また、一般式(IX)におけるn、m、p、qおよびR1~R19は、一般式(II)におけるn、m、p、qおよびR1~R19と同義である。
これらの中でも、[A-1]が好ましく用いられる。さらには、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとの共重合体、エチレンとビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンとの共重合体およびエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンとの共重合体から選択される少なくとも一種が好ましく、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとの共重合体がより好ましい。
ヒンダードアミン系化合物[B](以下、単に、化合物[B]、あるいは、[B]とも表記する)としては、ヒンダードアミン構造(具体的には、以下の式(b1)で表される部分構造)を、1つまたは2つ以上有する化合物を適宜用いることができる。
式(b1)中、*は、他の化学構造との結合手を表す。
この化合物は、典型的にはポリマーまたはオリゴマーである。この化合物のような、ポリマーまたはオリゴマーである化合物[B]を用いることで、環状オレフィン系樹脂[A]との相溶性を高められ、組成物をより均一にすることができると考えられる。また、照射により特性吸収を有するような構造に変化しにくいと考えられる。これにより、電子線あるいはガンマ線照射による変色をより少なくし、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生をより少なくできると考えられる。
X1およびX2の2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、これらの基が連結された基、などを挙げることができる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、炭素数1~6のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がより好ましい。
一般式(b2)で表される構造単位を有する化合物については、市販品を用いてもよいし、対応するジオールおよびジカルボン酸などを縮重合させることで得てもよい。
組成物中の化合物[B]の含有量は、環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、例えば0.01~2.0質量部、好ましくは0.05~1.5質量部、より好ましくは0.10~1.0質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
なお、リン系化合物[C]とあわせた合計量については、後述する。
使用可能なリン系化合物[C](以下、単に、化合物[C]、または、[C]とのみ表記することもある)については、特に制限は無い。例えば、公知のリン系酸化防止剤を用いることができる。
具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(フェニル-ジ-アルキル(C12~C15)ホスファイト)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(ジフェニルモノアルキル(C12~C15)ホスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。
より具体的には、化合物[C]は、好ましくは、下記一般式(c1)、(c2)または(c3)で表される化合物である。
R1は、複数ある場合はそれぞれ独立に、アルキル基を表し、
R2は、複数ある場合はそれぞれ独立に、芳香族基を表し、
R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、
Xは、単結合または2価の連結基を表す。
R2の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、これらがアルキル基等で置換された基などが挙げられる。
R3の炭素数は、好ましくは1~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは6~18である。
R3として好ましくはアリール基またはアラルキル基であり、より好ましくはアラルキル基である。これらアリール基またはアラルキル基は、さらに置換基(例えば、炭素数1~6のアルキル基やヒドロキシ基など)で置換されていてもよい。
Xが2価の連結基である場合、その具体例としては、アルキレン基(メチレン基など)やエーテル基(-O-)などが挙げられる。Xとして好ましくは単結合である。
組成物中の化合物[C]の含有量は、環状オレフィン系樹脂[A]の量を100質量部としたとき、例えば0.01~1.5質量部、好ましくは0.02~1.0質量部、より好ましくは0.05~0.5質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
一つの好ましい態様として、本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、ヒンダードアミン系化合物[B]を含むが、リン系化合物[C]を含まない。
また、電子線あるいはガンマ線照射によりリン系化合物[C]自体が若干着色する場合があり、リン系化合物[C]を用いると、許容できる程度ではあるが、成形体が若干着色することもある。
これらの事項に基づけば、環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対するリン系化合物[C]の量を0.05質量部未満とする、または、リン系化合物[C]を使用しないことで、電子線あるいはガンマ線照射による変色を特に低減することができると考えられる。
組成物中の環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量は、0.05~1.50質量部、好ましくは0.07~1.40質量部、より好ましくは0.10~1.20質量部である。この範囲とすることで、他の性能(例えば成形性や機械強度など)を維持しつつ、電子線あるいはガンマ線照射による変色、ラジカルの発生などを効果的に低減することができる。
この理由は必ずしも明らかではないが、電子線あるいはガンマ線照射により発生しうる様々な種類のラジカル種を、複数種の化合物により効果的に捕捉できるためと推定される。
本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、フェノール系化合物[D]を、含有しないか、または、含有するとしても、組成物中の環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたときに0.50質量部未満で含有する。
なお、以下、フェノール系化合物[D]を、単に、化合物[D]、または、[D]とも記載する。
この理由としては、たとえ化合物[B]または[C]がフェノール構造を有していたとしても、ヒンダードアミン構造またはリン含有構造を有していればラジカル捕捉能があると推定され、そして、ラジカル発生量の低減や変色抑制に効果があると考えられるためである。
より具体的には、2-第3ブチル-6-(3-第3ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-第3アミル-6-(1-(3,5-ジ-第3アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63-179953号公報や特開平1-168643号公報に記載されるアクリレート系フェノール化合物;2,6-ジ-第3ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-第3ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-第3ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-第3ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(6-第3ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-第3ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-第3ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-第3ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3’,5’-ジ-第3ブチル-4’-ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル-テトラキス(3-(3,5-ジ-第3ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3-(3-第3ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)、トコフェノール等のアルキル置換フェノール系化合物;6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-第3ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-第3ブチルアニリノ)-2,4-ビスオクチルチオ-1,3,5-トリアジン、2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-第3ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;6-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラキス-t-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン等が挙げられる。
また、別の態様として、本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、何らかの効果を期待して、環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対して0.50質量部未満の化合物[D]を含有してもよい。より具体的には、組成物が化合物[D]を含有する場合、その量は、環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対して好ましくは0.45質量部以下、より好ましくは0.30質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下である。なお、組成物が化合物[D]を含有する場合、その量の下限は特に無いが、環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対して、例えば0.0001質量部以上、好ましくは0.001質量部以上である。
本実施形態のオレフィン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記[A]~[D]のほかに、必要に応じて、さらに他の成分を含んでもよい。そのような他の成分としては、以下に列挙される樹脂成分や添加剤を挙げることができる。
本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、上記の各成分を、押出機、バンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて溶融混練する方法;各成分を共通の溶媒に溶解し、その後、溶媒を蒸発させる方法;あるいは、貧溶媒中に上記各成分を溶解させた溶液を加えて析出させる等の方法により得ることができる。
本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物の性状は、特に限定されない。例えばペレット状、粉体状、顆粒状などであってよい。組成物をこれらの性状に加工する方法(造粒方法)については公知の方法を適宜適用することができる。
上述の環状オレフィン系樹脂組成物により、成形体を形成(製造)することができる。この成形体は、前述のように、電子線あるいはガンマ線照射による変色が少なく、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生が少ない。これらの性質により、医療用容器などとして好適に用いることができる。
特に、「ラジカルの発生が少ない」という性質から、容器に薬液や薬剤が充填された状態で電子線あるいはガンマ線を照射したとしても、薬液や薬剤の変質が抑えられると考えられる。
以下、参考形態の例を付記する。
〔1〕
ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]からなる群より選ばれる一種以上の化合物とを含み、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、上記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。
〔2〕
上記〔1〕に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記環状オレフィン系樹脂[A]が、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選択される少なくともいずれかを含む、環状オレフィン系樹脂組成物。
[A-1]:炭素原子数が2~20のα-オレフィンと、下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
一般式(I)中、
nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、
qは0または1であり、
R 1 ~R 18 ならびにR a およびR b は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R 15 ~R 18 は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR 15 とR 16 とで、またはR 17 とR 18 とでアルキリデン基を形成していてもよい。
一般式(II)中、
pおよびqは、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0、1または2であり、
R 1 ~R 19 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基であり、R 9 およびR 10 が結合している炭素原子と、R 13 またはR 11 が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R 15 とR 12 またはR 15 とR 19 とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
[A-2]:上記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体
[A-3]:上記[A-2]の開環重合体または共重合体の水素化物
[A-4]:上記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物
〔3〕
上記〔1〕または〔2〕に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
組成物中の上記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、上記リン系化合物[C]の量が0.05質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。
〔4〕
上記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の環状オレフィン系樹脂組成物から形成された成形体。
〔5〕
上記〔4〕に記載の成形体であって、
医療用容器である、成形体。
〔6〕
上記〔4〕または〔5〕に記載の成形体であって、
シリンジまたは薬液保存容器である、成形体。
〔7〕
上記〔4〕~〔6〕のいずれか1つに記載の成形体の、ガンマ線または電子線照射物。
なお、以下、表1などにおける「NB」は、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(2-ノルボルネン)の略号である。また、「TD」は、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンの略号である。
以下の樹脂A-1およびA-2を合成した。
・A-1:エチレンと環状オレフィン(NB)とのランダム共重合体
・A-2:エチレンと環状オレフィン(TD)とのランダム共重合体
日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
・溶媒:重テトラクロロエタン
・サンプル濃度:50~100g/l-solvent
・パルス繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:6000~16000回
・測定温度:120℃
上記条件で測定した13C-NMRスペクトルのピーク面積により、組成比(共重合成分であるNBまたはTDに由来する構造単位の量)を求めた。
GPC測定により、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、および、分散度Mw/Mnを求めた。
具体的には、カラムとして東ソー株式会社製TSKgel GMH6-HTを2本、および、TSKgel GMH6-HTLを2本(カラムサイズはいずれも内径7.5mm、長さ300mm)を直列接続した、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製HLC-8321 GPC/HT型)を用いて測定した。移動相媒体は、o-ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業)0.025質量%を用い、試料濃度は0.15%(W/V)、流速1.0ml/分、140℃で測定した。標準ポリスチレンは、分子量が590~20,600,000については東ソー社製を用いた。得られたクロマトグラムはWaters製データ処理ソフトEmpower3を用いて、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwおよび分散度Mw/Mnを算出した。
極限粘度([η])は、135℃、デカリン中で測定した。
具体的には、樹脂(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈し、その後、前述のやり方と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、サンプルの濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
以下の条件でDSC測定を行い求めた。
・装置:エスアイアイナノテクノロジー社製、DSC7000
・測定条件:窒素雰囲気下、室温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持した。次いで、10℃/分の降温速度で30℃まで降温した後に5分保持した。その後、10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する過程のDSC曲線を取得した。
後掲の表2に記載の各成分により、実施例1および6、参考例2~5ならびに比較例1~3の環状オレフィン系樹脂組成物を得た。具体的には、各成分の配合物を、プラスチック工学研究所社製の2軸押出機BT-30(スクリュー系30mmΦ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、樹脂押出量80g/min、200rpmの条件で造粒し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
得られたペレットは、どれも無色透明で、色相や明度に差はなかった。
本実施例および比較例では、このペレットを用いて、ガンマ線照射による変色、ラジカル発生量などを評価した。
上記で得られたペレットに、ガンマ線50キログレイを照射した。
ガンマ線照射直後のペレットを、20mmの厚みで白色紙上に積み上げた。このときの色相および明度を目視評価した。色相はマンセル表色系に準じた。評価の基準は以下のとおりとした。
○(良い):明度が7~9.5で、かつ、色相が5.0GY~10GYの間である。
△(普通):明度が5~9.5で、かつ、色相が5Y~10GYの間である。ただし、上記の○(良好)に該当する場合を除く。
×(悪い):明度が0以上5未満である、かつ/または、色相が2.5Y~5Yの間である。
明度については、その値が大きいほうが、白色に近く、変色が抑えられていることが明らかである。
色相については、特に医療容器として用いることを考慮した場合、黄色は患者に不潔な印象を与えるとして敬遠されることから、黄色より緑色のほうが好ましいとした。
ガンマ線照射後、2か月間、室温で放置したペレットを、20mmの厚みで白色紙上に積み上げて、照射直後の変色が残存しているか否かを目視で確認した。照射直後の変色が十分に退色していたものを○(良い)、照射直後の変色が残ったままで、黄色が残存していたものを×(悪い)とした。
ガンマ線照射後の試料のラジカル量は、電子スピン共鳴法(Electron Spin Rssonance(ESR))により測定した。
具体的には、ガンマ線照射直後のペレットを約6mg切り出し、それを試験管(詳細は以下)に入れて、以下条件でESRスペクトルを測定した。
・共振周波数:9.2GHz
・マイクロ波入力:1mW
・中心磁場:326.5mT
・掃引幅:±15mT
・変調周波数:100kHz
・掃引時間:8min.
・時定数:0.1sec
・増幅度:25
・試料管:Xバンド対応の先端部石英の試料管
・外部照準:酸化マグネシウムに担持されたMn2+標準サンプル
・外部標準メモリ:0、700
・測定温度:室温
・測定雰囲気:大気
通常、ラジカル量の相対比較において、基準となるMn2+由来シグナルの面積はMn2+(第3シグナル)を用いる。しかし、有機ラジカル由来ラジカルのスペクトルと、Mn2+(第3シグナル)とが重なるため、今回の測定ではすべてMn2+(第2シグナル)を用いた(外部標準メモリ=700)。
また、有機ラジカル由来シグナルがMn2+(第3シグナル)と重なった場合は、外部標準メモリ=0のESRスペクトルを用いて算出した。
つまり、環状オレフィン系樹脂[A]100質量部に対し、ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]を合計で0.05~1.50質量部含み、かつ、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である樹脂組成物により、電子線あるいはガンマ線照射による変色を少なくでき、また、電子線あるいはガンマ線照射によるラジカルの発生を少なくできることが示された。
・同一樹脂(A-1)が用いられた実施例1および参考例2~5のうち、ヒンダードアミン系化合物[B]とリン系化合物[C]とが併用されている実施例1が、特にラジカル発生量において良好な結果である。
・ヒンダードアミン系化合物[B]を含み、かつ、リン系化合物[C]を含まない参考例3および4が、特に、マンセル表色系における色相評価で優れている傾向にある。
実施例1および6ならびに参考例2~5のペレットを原料として、真空プレス成形法により板状の成形体を得た。得られた成形体は無色透明であり、また十分な強度があった。つまり、本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物により製造された成形体は、医療用容器などとして十分な透明性および強度があることが分かった。
Claims (7)
- ガンマ線または電子線照射用の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
環状オレフィン系樹脂[A]と、ヒンダードアミン系化合物[B]と、リン系化合物[C]とを含み、
組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記ヒンダードアミン系化合物[B]およびリン系化合物[C]の合計含有量が0.05~1.50質量部であり、
組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、フェノール系化合物[D]の含有量が0.50質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。 - 請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
前記環状オレフィン系樹脂[A]が、下記[A-1]、[A-2]、[A-3]および[A-4]からなる群より選択される少なくともいずれかを含む、環状オレフィン系樹脂組成物。
[A-1]:炭素原子数が2~20のα-オレフィンと、下記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα-オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体
nは0または1であり、
mは0または1以上の整数であり、
qは0または1であり、
R1~R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15~R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環は二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。
pおよびqは、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0、1または2であり、
R1~R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9およびR10が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またn=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
[A-2]:前記一般式(I)または(II)で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体
[A-3]:前記[A-2]の開環重合体または共重合体の水素化物
[A-4]:前記[A-1]、[A-2]または[A-3]のグラフト変性物 - 請求項1または2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
組成物中の前記環状オレフィン系樹脂[A]の含有量を100質量部としたとき、前記リン系化合物[C]の量が0.05質量部未満である、環状オレフィン系樹脂組成物。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物から形成された成形体。
- 請求項4に記載の成形体であって、
医療用容器である、成形体。 - 請求項4または5に記載の成形体であって、
シリンジまたは薬液保存容器である、成形体。 - 請求項4~6のいずれか1項に記載の成形体の、ガンマ線または電子線照射物。
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