JP3559360B2 - 環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、環状オレフィン系樹脂から溶融射出により良好な外観を有する成形体を製造する方法に関する。さらに詳しくは本発明は、環状オレフィン系樹脂から良好な外観を有する成形体を溶融射出により製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
環状オレフィン系樹脂は、光学特性に優れた樹脂である。即ち、この環状オレフィン系樹脂は、透明性に優れ、複屈折が低く、アッペ数および屈折率が高いなどの光学特性を有しており、光学的用途への応用が期待されている。
【0003】
ところが、この環状オレフィン系樹脂を溶融射出して製造された射出成形体には一般にシルバーと呼ばれる外観不良(表面白色化現象)が発生することがある。
【0004】
この外観不良の発生を抑制するために、従来は、金型温度を高くする方法が採られていた。しかしながら、金型温度を上げると、溶融した樹脂が固化して成形体の寸法精度が安定するまで長時間冷却する必要があり、成形体の製造効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、インジェクションブロー成形においても、微少な気泡が成形体中に混入して成形体の外観を損ねることがあった。
こうした従来技術における課題を解消すべく本出願人は、射出成形機にベントを設けて減圧下に環状オレフィン系樹脂を溶融混練して射出成形する方法を提案している(特願平6−310992号公報参照)。この方法を採用することにより、成形体への気泡の混入は激減する。しかしながら、この方法では気泡が混入しないようにするためには、従来の成形装置を改良する必要があり、さらに気泡含有率を実質的にゼロにするためには、成形装置内の減圧度を著しく低くしなければならない。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、環状オレフィン系樹脂から、射出装置を用いて、外観に優れた成形体、例えば射出成形体、射出圧縮成形体、射出中空成形体等を製造する方法を提供することを目的としている。
【0007】
さらに本発明は、成形装置に改良を加えなくとも気泡含有率の低い成形体を容易に製造することができる方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明の環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法は、
下記[I−1]、[I−2]、[I−3]および[I−4]よりなる群から選ばれる環状オレフィン系樹脂を、成形装置に供給して成形するに際して、該環状オレフィン系樹脂として、予めを減圧脱気処理したものを使用することを特徴としている。
【0009】
[I−1] エチレンと下記式[I]または[II]で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体:
[I−2]上記式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
[I−3]上記[I−2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
[I−4]上記[I−1]、[I−2]または[I−3]のグラフト変性物。
【0010】
【化3】
Figure 0003559360
【0011】
上記式[I]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R 〜R18ならびにR およびR は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。
【0012】
【化4】
Figure 0003559360
【0013】
上記式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R 〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R (またはR10)が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
【0014】
本発明の環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法では、成形に先立って、前もって脱気処理した樹脂を使用しているので、成形体に所謂シルバーと言われるような外観不良の発生あるいは成形体が発泡することによる気泡の混入を抑制することができ、良好な外観を有する成形体を製造することができる。
【0015】
しかも、本発明の方法によれば、成形装置にベントを装着するなど、装置自体を改良しなくとも通常の成形装置を用いて良好な外観を有する成形体を製造することができる。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下、本発明の環状オレフィン系樹脂から成形体を製造する方法について具体的に説明する。
【0017】
本発明の成形体の製造方法は、例えばペレット状に賦形された環状オレフィン系樹脂を用いて成形体を製造する方法であり、ここで環状オレフィン系樹脂としては、
[I−1]:エチレンと下記式[I]または[II]で表される環状オレフィン とのランダム共重合体、
[I−2]:下記式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環重合 体または共重合体、
[I−3]:上記[I−2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
[I−4]上記[I−1]、[I−2]または[I−3]のグラフト変性物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂が用いられる。
【0018】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、X線回折法によって測定される結晶化度が、通常は20%以下、好ましくは10%以下である。
また環状オレフィン系樹脂は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、通常は0.01〜20dl/g、好ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜8dl/gである。
【0019】
このような環状オレフィン系樹脂の沃素価は、通常5以下であり、さらに多くの場合1以下である。
ここでまず本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を形成する式[I]または[II]で表される環状オレフィン環状オレフィンについて説明する。
【0020】
環状オレフィン系樹脂を調製するために使用される環状オレフィンは次式[I]または[II]で表すことができる。
【0021】
【化5】
Figure 0003559360
【0022】
上記式[I]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1である。なおqが1の場合には、RおよびRは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基であり、qが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
【0023】
〜R18ならびにRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0024】
また炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げることができ、
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
【0025】
これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
さらに上記式[I]において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環を具体的に下記に例示する。
【0026】
【化6】
Figure 0003559360
【0027】
式[II]中、pおよびqは0または正の整数であり、mおよびnは0、1または2である。
またR〜R19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0028】
ハロゲン原子は、上記式[I]におけるハロゲン原子と同じ意味である。
また炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げることができ、
芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基などを挙げることができる。
【0029】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げることができる。
これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
【0030】
ここで、RおよびR10が結合している炭素原子と、R13が結合している炭素原子またはR11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、RおよびR13で表される基が、またはR10およびR11で表される基が互いに共同して、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)またはプロピレン基(−CHCHCH−)のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
【0031】
さらに、n=m=0のとき、R15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環として、たとえば下記のようなn=m=0のときR15とR12がさらに芳香族環を形成している基を挙げることができる。
【0032】
【化7】
Figure 0003559360
【0033】
ここでqは式[II]におけるqと同じ意味である。
上記のような式[I]または[II]で示される環状オレフィンを、より具体的に下記に例示する。
【0034】
環状オレフィン系樹脂を形成する環状オレフィンの例としては、
【0035】
【化8】
Figure 0003559360
【0036】
で示されるビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(=ノルボルネン)(上記一般式中において、1〜7の数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体を挙げることができる。
【0037】
この炭化水素基としては、5−メチル、5,6−ジメチル、1−メチル、5−エチル、5−n−ブチル、5−イソブチル、7−メチル、5−フェニル、5−メチル−5−フェニル、5−ベンジル、5−トリル、5−(エチルフェニル)、5−(イソプロピルフェニル)、5−(ビフェニル)、5−(β−ナフチル)、5−(α−ナフチル)、5−(アントラセニル)、5,6−ジフェニルのような基を例示することができる。
【0038】
さらに他の誘導体としては、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a− テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0039】
この他、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、
【0040】
【化9】
Figure 0003559360
【0041】
で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよびこれに炭化水素基が置換した誘導体ならびに水素原子の少なくとも一部が他の原子で置換された化合物を挙げることができる。
【0042】
ここで炭化水素基または置換原子として、8−メチル、8−エチル、8−プロピル、8−ブチル、8−イソブチル、8−ヘキシル、8−シクロヘキシル、8−ステアリル、5,10−ジメチル、2,10−ジメチル、8,9−ジメチル、8−エチル−9−メチル、11,12−ジメチル、2,7,9−トリメチル、2,7−ジメチル−9−エチル、9−イソブチル−2,7−ジメチル、9,11,12−トリメチル、9−エチル−11,12−ジメチル、9−イソブチル−11,12−ジメチル、5,8,9,10−テトラメチル、8−エチリデン、8−エチリデン−9−メチル、8−エチリデン−9−エチル、8−エチリデン−9−イソプロピル、8−エチリデン−9−ブチル、8−n−プロピリデン、8−n−プロピリデン−9−メチル、8−n−プロピリデン−9−エチル、8−n−プロピリデン−9−イソプロピル、8−n−プロピリデン−9−ブチル、8−イソプロピリデン、8−イソプロピリデン−9−メチル、8−イソプロピリデン−9−エチル、8−イソプロピリデン−9−イソプロピル、8−イソプロピリデン−9−ブチル、8−クロロ、8−ブロモ、8−フルオロ、8,9−ジクロロ、8−フェニル、8−メチル−8−フェニル、8−ベンジル、8−トリル、8−(エチルフェニル)、8−(イソプロピルフェニル)、8,9−ジフェニル、8−(ビフェニル)、8−(β−ナフチル)、8−(α−ナフチル)、8−(アントラセニル)、5,6−ジフェニル等の基または原子を例示することができる。
【0043】
さらには、(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物などのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5− エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセンおよびその誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセンおよびその誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセンおよびその誘導体などを挙げることができる。
【0044】
本発明で使用することができる式[I]または式[II]で示される環状オレフィンの具体例は上記の通りであるが、これら化合物のより具体的な構造については、本出願人の出願に係る特願平5−196475号明細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されており、本発明においてもここに例示されるものを本発明における環状オレフィンとして使用することができる。
【0045】
上記のような式[I]または[II]で表される環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応により製造することができる。
【0046】
これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、上記のような式[I]または[II]で表される環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60−168708号、同61−120816号、同61−115912号、同61−115916号、同61−271308号、同61−272216号、同62−252406号および同62−252407号などの公報において本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0047】
[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を通常は20〜95モル%、好ましくは30〜90モル%の量で、環状オレフィンから誘導される構成単位を通常は5〜80モル%、好ましくは10〜70モル%の量で含有している。なおエチレンおよび環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによって測定される。
【0048】
この[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0049】
本発明で用いられる[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記式[I]または[II]で表される環状オレフィンは、下記式[III]または[IV]で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0050】
【化10】
Figure 0003559360
【0051】
上記式[III]において、n、m、qおよびR〜R18ならびにRおよびRは式[I]と同じ意味である。
【0052】
【化11】
Figure 0003559360
【0053】
上記式[IV]において、n、m、p、qおよびR〜R19は式[II]と同じ意味である。
また本発明で用いられる[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0054】
このような他のモノマーとしては、上記のようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、
プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィン、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、
1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0055】
これらの他のモノマーは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有されていてもよい。
【0056】
本発明で用いられる[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと式[I]または[II]で表される環状オレフィンとを用いて上記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行い、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いて[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を製造することが好ましい。
【0057】
また、この共重合反応では固体状IVB族メタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状IVB族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここでVI族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはアルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等である。
【0058】
さらに有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状IVB族メタロセン系触媒については、例えば特開昭61−221206号、同64−106号および特開平2−173112号公報等に記載されている。
【0059】
[I−2]環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体において、前記式[I]または[II]で表される環状オレフィンは、下記式[V]また[VI]で表される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0060】
【化12】
Figure 0003559360
【0061】
上記式[V]において、n、m、qおよびR〜R18ならびにRおよびRは式[I]と同じ意味である。
【0062】
【化13】
Figure 0003559360
【0063】
上記式[VI]において、n、m、p、qおよびR〜R19は式[II]と同じ意味である。
このような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造することができ、例えば、上記式[I]で表される環状オレフィンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させることにより製造することができる。
【0064】
このような開環重合触媒としては、
ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウムまたは白金のような金属の、ハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、
チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブテンのような金属の、ハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0065】
本発明で用いられる[I−3]開環重合体または共重合体の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体または共重合体[I−2]を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素化して得られる。
【0066】
この[I−3]開環重合体または共重合体の水素化物において、式[I]または[II]で表される環状オレフィンは、下記式[VII]または[VIII]で表される繰り返し単位を有していると考えられる。
【0067】
【化14】
Figure 0003559360
【0068】
上記式[VII]において、n、m、qおよびR〜R18ならびにRおよびRは式[I]と同じ意味である。
【0069】
【化15】
Figure 0003559360
【0070】
上記式[VIII]において、n、m、p、q、R〜R19は式[II]と同じ意味である。
[I−4]環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、上記の[I−1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体、[I−2]環状オレフィンの開環重合体または共重合体、または[I−3]開環重合体または共重合体の水素化物のグラフト変性物である。
【0071】
この変性剤としては、通常は不飽和カルボン酸類が用いられる。ここで使用される不飽和カルボン酸類の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエンドシス−ビシクロ[2.2.1] ヘプト−5− エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、
ならびに、
これらの不飽和カルボン酸の誘導体、たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合物などを挙げることができる。
【0072】
上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的な例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができる。
【0073】
これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0074】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物における変性率は、10モル%以下であることが望ましい。
このような環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させて製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合することにより製造することもできる。
【0075】
環状オレフィン系樹脂と変性剤とから環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系樹脂に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいは環状オレフィン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0076】
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。
またグラフト反応は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行うことができる。
【0077】
本発明では、環状オレフィン系樹脂として、上記のような[I−1]、[I−2]、[I−3]および[I−4]のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。
【0078】
これらのうち、エチレン・環状オレフィンランダム共重合体[I−1]が好ましく用いられる。
また、本発明で使用される環状オレフィン系樹脂は、上記[I−1]、[I−2]、[I−3]および[I−4]の樹脂に加えて、この環状オレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲内において他の樹脂を、例えば、ポリ塩化ビニルゴム等の軟質重合体など、透明性等の特性が損なわれることがない樹脂を配合することができる。
【0079】
本発明の製造方法で用いられる環状オレフィン系樹脂には、さらに従来公知の耐熱安定性、耐候安定性、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が配合されていてもよい。
【0080】
安定剤は、ペレットを形成する前の樹脂に配合して、ペレット中に含有させることもできるし、樹脂をペレット状に賦形した後、ペレットに添加して混合することもできる。
【0081】
本発明において、たとえば、任意成分として配合される安定剤としては、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、
グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレートなどの多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン−3−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレートとの組み合わせなどを例示できる。これらの安定剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
また、有機または無機の充填剤としてはシリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ペントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどを挙げることができる。
【0083】
環状オレフィン系重合体と他の成分とは、公知の方法を利用して混合することができる。例えば各成分を同時に混合することができる。
本発明の成形体の製造方法の特徴は、上記のような環状オレフィン系樹脂を例えばペレット状に賦形し、この賦形されたペレットを成形前に脱気して、例えば、該樹脂中に溶存している窒素、酸素、二酸化炭素、空気などのガスを除去してから成形することにある。
【0084】
環状オレフィン系樹脂は、通常はパウダーあるいは濃厚溶液として得られる。こうして得られた環状オレフィン系樹脂に必要により、上記のような他の樹脂、ならびに、必要に応じて酸化防止剤、安定剤および充填剤等を配合して混合する。こうして得られた環状オレフィン系樹脂を主成分とする混合物を例えばペレタイザー等を用いて、所望の形状に賦形して環状オレフィン系樹脂ペレットを製造する。
【0085】
今回、本発明者の検討により以下のことがわかった。即ち、環状オレフィン系樹脂は、空気あるいはチッソガス等を溶解し易いという特性を有しており、上記のようにして製造された環状オレフィン系樹脂ペレットには、空気あるいはチッソガス等の気体成分が相当量溶存している。従って、このような環状オレフィン系樹脂ペレットをそのまま成形機に供給して溶融混練すると、樹脂の加熱溶融に伴って溶存していた気体成分が放出されるため、成形体の白化等を生じるということがわかった。
【0086】
そこで、本発明では、上記のようにして調製した環状オレフィン系樹脂、例えばペレットを予め減圧脱気処理した後溶融成形する工程に賦している。この減圧脱気処理は、環状オレフィン系樹脂ペレットを、ゲージ圧で、通常は0〜200Torr、好ましくは0〜50Torrの減圧下に、少なくとも24時間、好ましくは溶融混練する直前まで減圧下に維持する。なお、このような減圧脱気処理は、ペレットの形態が損なわれない温度以下、好ましくは40〜160℃の範囲内の温度で行われる。こうした温度範囲内において、減圧脱気処理は、温度を一定に保つことを特に必要とするものではなく、必要に応じて処理温度を変動させることができるが、この処理温度を60〜150℃の範囲内に設定することにより、ペレット中に溶存している気体を効率よく放出させることができる。このようにペレットを減圧下に保持することにより、ペレット中に溶存している空気あるいはチッソガスのほとんど全部が放出され、ペレット中には成形体の外観を低下させるような気体はほとんど残留しない。
上記のように本発明の方法では、環状オレフィン系樹脂、例えばペレットを製造直後から溶融混練直前まで減圧状態に維持することが好ましいが、このように連続して減圧状態を維持し得ない状況下では、一旦環状オレフィン系樹脂ペレットを上述のようにして減圧脱気処理した後、減圧下でこのペレットを保管するか、あるいはこの環状オレフィン系樹脂に溶解されにくい気体中でこのペレットを保管することにより、低減された気体含有率を維持することができる。ここで、環状オレフィン系樹脂に溶解されにくい気体としては、沸点が−200℃以下の気体、具体的な例としては、ヘリウムを挙げることができる。
【0087】
こうして製造された保管された環状オレフィン系樹脂ペレットは、通常の成形機を用いて通常の条件に従って成形することができる。
例えば、射出圧縮成形機、射出中空成形機なの射出成型機を用いて上記環状オレフィン系樹脂ペレットを加熱しながら射出することにより成形体を製造することができる。本発明の成形体の製造方法は、射出成形以外の他の成形方法でも適用できる。
【0088】
本発明の成形体の製造方法では、ペレット状に賦形された環状オレフィン系樹脂をホッパー等の原料供給口に投入する。この原料供給口の下端部には通常はフィードスクリューが備えられており、このフィードスクリューが回転することにより環状オレフィン系樹脂ペレットは、射出装置の後端部に供給される。
【0089】
射出装置は、通常は加熱筒を有しており、この円筒内には主スクリューが配置されている。この主スクリューは、加熱筒内で回転しながら前後に往復運動可能なように形成されていることが多い。この射出装置の先端にはノズルが設けられており、このノズルは、金型に接合して溶融樹脂を金型に供給可能なようにされている。
【0090】
本発明で使用される射出装置は、ベントを設けることは特に必要ではないが、加熱筒と主スクリューとの間の気体をこの装置の外に排出するためのベントを設けることもできる。
【0091】
射出装置の主スクリューは、その機能により、1次側と2次側とに大別でき、1次側、2次側ともに、計量ゾーン、圧縮ゾーン、供給ゾーンを有している。原料である環状オレフィン系樹脂は、1次側の供給ゾーンに供給され圧縮ゾーンで圧縮されて溶融された後、1次側計量ゾーンで計量されて2次側の供給ゾーンにに送られる。
【0092】
上記のような射出装置において、加熱筒には装置に供給された環状オレフィン系樹脂を加熱するための加熱手段が備えられており、通常は、それぞれ独立して加熱温度設定ができるようにされている。
【0093】
本発明の上記のようなベント付きの射出装置を用いた場合には、減圧脱泡が不充分で、環状オレフィン系共重合体ペレット中に仮に気体が残存したとしても、透明性等の特性が低下することを防止できる。しかしながら、本発明では上記のようなベントを有しない成形装置を用いても、ペレットを減圧脱泡処理することによりペレット中に気体が実質的に溶存していないようにすれば、本発明の目的とする効果、即ち白濁などのない優れた外観の成形体を製造することができる。
【0094】
なお、本発明の方法では、加熱筒内の空気を排出して、この加熱筒内を環状オレフィン系樹脂に対する溶解度の低いヘリウムのようなガスでパージすることもできる。
【0095】
上記のようにして行われる本発明の成形体の製造方法において、成形の条件は、適宜設定することができるが、たとえば、加熱温度は、200℃〜樹脂の分解温度以下の温度(通常400℃)であり、ノズル先端における射出圧力は、通常は200〜1500kg/cmである。また、この射出成形における金型温度は通常は20〜150℃程度に加熱される。
【0096】
なお、本発明の方法は、上記に限らず、射出圧縮成形体、射出中空成形体など、金型内に環状オレフィン系樹脂を射出装置内で溶融させて金型に導入する成形方法に適応することができる。
【0097】
こうして本発明の方法で製造された成形体は、光学的用途に特に適している。具体的には、レンズ、プリズム、導光板、反射板、ディスク、光学記録メディアを挙げることができる。
【0098】
さらに、本発明の方法で製造された成形体の具体的な例としては、眼鏡レンズ、フルネルレンズ、集光レンズ、カメラにおけるファインダーレンズ、撮影レンズ、コンタクトレンズ、投影レンズ、VTRズームレンズ、CD用対物レンズ、イメージセンサー用レンズ、複写機用板レンズ、LCDの導光板、拡散板、反射板、自動車等のインジケーター用のプリズム、CD、DVD、DRAW、WORM、光磁気記録ディスク、光カード等を挙げることができる。
【0099】
また、本発明の方法で製造された成形体は、医療分野でも良好に使用することができ、例えば、バイアル瓶、プレフィルドシリンジ、分析セル、バイアル管等を挙げることができる。
【0100】
また、他の分野では、アイロンやコーヒーメーカーの水タンク、ステレオのフロントパネル等各種の透明パネルを挙げることができる。
また、射出や注型成形用の型として用いてもよく、こうした型の用途としては、メガネ、コンタクトレンズ等の型を挙げることができる。
【0101】
【発明の効果】
本発明の環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法では、特定の環状オレフィン系樹脂からなる例えばペレットを、成形装置に供給して射形する前に、このペレットを予め減圧脱気処理してペレット中に含有される空気(窒素、酸素、二酸化炭素等)の気体を除去してから成形しているので、成形体の透明性に優れ、さらに、良好な外観を有する成形体を製造することができる。
【0102】
さらに、ペレット自体に気体が実質的に含有されていないので、気体を放出させるために金型の温度を高く設定しなくとも所謂シルバーの発生を防止できる、さらに金型の加熱温度も低いので、環状オレフィン系樹脂の成形体を効率よく製造することができる。
【0103】
さらに、既存の成形機をそのまま使用することができるので、コスト的にも有利である。
【0104】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0105】
参考例1
エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以下単に「テトラシクロドデセン」と記載することもある)とから形成される環状オレフィン系ランダム共重体[135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]:0.48dl/g、TMA:142℃、MFR:40]からペレターザーを用いて通常の方法に従いペレットを製造した。
【0106】
得られたペレットを、120℃、1Torrの条件下に120時間乾燥させて、ペレット中に溶存している気体を放出させた。
こうして真空脱泡処理したペレットにフェノール系安定剤(Irganox1010)を0.1重量%の割合で添加し、このペレットを成形機に供給して以下の条件で射出成形を繰り返した。
【0107】
成形機;東芝(株)製、IS−55C
金型;120×130mm×2mm(角板)
シリンダー温度;300℃
背圧;5Kg/cm
スウリュー回転数;150Kg/cm
上記の条件で射出成形を充分に繰り返した後、シリンダーノズルを金型から離し、空気中に樹脂を射出(エアーショット)させ、透明な板でこの射出樹脂を受けて固化させた。
【0108】
こうして固化された樹脂の外観を観察して次の5段階で評価した。
A・・・外観上泡はほとんどみられない。
B・・・数個の泡がみられる。
【0109】
C・・・細かな気泡が発生している。
D・・・細かな気泡が多数発生している。
E・・・成形体が発泡して大きく膨張した。
【0110】
結果を表1に示す。
【0111】
【比較例1】
参考例1において、真空脱気処理しなかった環状オレフィン系樹脂ペレットを使用した以外は同様にして成形体を製造した。
【0112】
得られた成形体について、参考例1と同様にして外観を観察して評価した。
結果を表1に示す。
【0113】
【表1】
Figure 0003559360
【0114】
参考例2
参考例1で製造した環状オレフィン系樹脂ペレットを室温、1Torr中に1ヶ月間放置し、このペレットを使用した以外は同様にして射出成形を行った。
【0115】
得られた成形体の外観を、参考例1と同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0116】
【比較例2】
参考例2において、環状オレフィン系樹脂ペレットを、チッソガス(1atm)中室温で1ヶ月間放置し、このペレットを使用した以外は同様にして射出成形を行った。
【0117】
得られた成形体の外観を、参考例1と同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0118】
【比較例3】
参考例2において、環状オレフィン系樹脂ペレットを、空気中(1atm)室温で1ヶ月間放置し、このペレットを使用した以外は同様にして射出成形を行った。
【0119】
得られた成形体の外観を、参考例1と同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0120】
実施例1
参考例2において、環状オレフィン系樹脂ペレットを、ヘリウムガス(1atm)中室温で1ヶ月間放置し、このペレットを使用した以外は同様にして射出成形を行った。
【0121】
得られた成形体の外観を、参考例1と同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0122】
【表2】
Figure 0003559360

Claims (1)

  1. 下記[I-1]、[I-2]、[I-3]および[I-4]よりなる群から選ばれる環状オレフィン系樹脂を、成形装置に供給して成形するに際して、該成形装置に供給する前に環状オレフィン系樹脂を減圧脱気処理し、前記減圧脱気した環状オレフィン系樹脂を、成形装置に供給するまでの間、該環状オレフィン樹脂に対する溶解度の低いガス中で保存することを特徴とする環状オレフィン系樹脂からなる成形体の製造方法;
    [I-1]エチレンと下記式[I]または[II]で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体:
    [I-2]下記式[I]または[II]で表される環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
    [I-3]上記[I-2]開環重合体または共重合体の水素化物、および
    [I-4]上記[I-1]、[I-2]または[I-3]のグラフト変性物。
    Figure 0003559360
    (式[I]中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)、
    Figure 0003559360
    (式[II]中、pおよびqは0または1以上の整数であり、mおよびnは0、1または2であり、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R9(またはR10)が結合している炭素原子と、R13またはR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12またはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)。
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