JP2572886B2 - 作業車の機体フレーム構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、左右一対のクローラ走行装置を備えた機体
の前部に作業装置を連結するとともに機体の後部にエン
ジンを搭載した作業車の機体フレーム構造に関する。

〔従来の技術〕

上記機体フレーム構造として、従来では、左右クロー
ラ走行装置のトラックフレームを、クローラ走行装置の
上方側に沿って配設した機体フレームに連結固定し、機
体フレーム上にエンジン及び作動油タンク等を搭載支持
するよう構成するのが一般的であった。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来構造は、湿田等の不整地を走行するために、
クローラ走行装置の左右中間部は空領域として、泥土中
に機体が埋ってしまうのを防止するよう考慮したもので
あるが、例えば河川敷や起伏の激しい草地等における草
刈作業を行う草刈機等に上記構造を用いると、機体高さ
が不必要に高くなって走行安定性が低下してしまうとい
う弊害が生じる。そこで、上記欠点を解消するために左
右クローラ走行装置の間隔を大に設定すると機体全体の
形状が大型化することになる。

本発明は、上記不具合点を解消することを目的として
いる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴構成は、冒頭に記載した作業車の機体フ
レーム構造において、前記両クローラ走行装置の各トラ
ックフレームを作動油タンクを介して連結固定するとと
もに、この作動油タンクの上部両横側部に左右一対の前
後向き機体フレームを連結し、各機体フレームの夫々の
後部に亘って下方入り込み凹状のエンジン搭載フレーム
を架設連結して、このエンジン搭載フレームの前部側左
右中央と前記作動油タンクの後部側左右中央とを補強フ
レームを介して連結固定し、前記補強フレームの左右両
側の空領域に前記両クローラ走行装置の夫々の駆動部を
配置し、さらに、前記作動油タンクを、そのタンク下部
側がタンク上部側よりも後方に位置する段付き形状に形
成し、エンジンの前部側に配設されている静油圧式無段
変速装置を、前記作動油タンクのタンク下部側部分の上
方の空間部に入り込む状態に配置してある。

〔作 用〕

左右トラックフレームを作動油タンクを介して連結固
定することで、重量の大きなタンクを可及的に低い位置
に配置できて、しかも、トラックフレームの連結部材に
兼用する構成となり、フレーム部材の簡素化が図れる。
しかも、タンクの後方側の空領域を有効利用して下方入
り込み状にエンジンを搭載配置し、左右機体フレームと
補強フレームとにより充分な剛性を持ってエンジンを支
持することができるものでありながら、タンクとエンジ
ンとの間であって、かつ、補強フレームの左右両側の空
領域に走行用駆動部を配置して、スペースを効率よく利
用して部材を配設することができる。さらに、前記作動
油タンクを、そのタンク下部側がタンク上部側よりも後
方に位置する段付き形状に形成し、エンジンの前部側に
配設されている静油圧式無段変速装置を、前記作動油タ
ンクのタンク下部側部分の上方の空間部に入り込む状態
に配置してあることにより、静油圧式無段変速装置の存
在に拘らずエンジンを作動油タンクに近接させることが
でき、機体の重心位置を下げた状態で機体前後長さを短
くし得る。

〔発明の効果〕

従って、本発明によれば、起伏の激しい草地等の不整
地を走行するためにクローラ走行装置を装備するもので
ありながら、重量の大きな作動油タンクやエンジン等を
低位置に、しかも、コンパクトに配設することができ
て、両クローラ走行装置の間隔を大きくすることなく、
重心が低く、走行安定性に優れたものをコンパクトな外
形形状で得ることができた。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第４図及び第５図に本発明に係る作業車の一例である
無線遠隔操縦式の草刈機を示している。この草刈機は、
機体の前部にフレールモア型式の草刈り作業装置（１）
を３点リンク機構（２）を介して昇降自在並びに左右ロ
ーリング自在に連結するとともに、左右一対のクローラ
走行装置（３），（３）を備えた走行機体の後部にエン
ジン（４）を配設し、このエンジン（４）の左側前方に
燃料タンク（５）、及び右側前方に制御装置（６）を夫
々配備して構成してある。

前記各クローラ走行装置（３），（３）は、夫々、静
油圧式無段変速装置（Ｈ），（Ｈ）によって油圧駆動走
行するよう構成するとともに、草刈り作業装置（１）の
回転駆動並びにリンク機構（２）の昇降駆動、ローリン
グ駆動夫々を全て油圧で駆動するよう構成してある。
又、このように駆動構造を全油圧式で構成する結果、多
量の作動油を必要とするが、この草刈機では、その作動
油を貯留するための大型の作動油タンク（７）を機体支
持部材として兼用する構成としている。

又、前後向き出力軸を有する前記エンジン（４）の左
右両側に、一対のラジエータ（８），（８）を配設し、
各ラジエータ（８），（８）は夫々電動モータ（９），
（９）によって駆動されるファン（10），（10）により
冷却するよう構成してある。各ラジエータ（８），
（８）の防塵網（11）は、原動部側部カバー（12）と一
体的に連結固定してあり、この左右側部カバー（12）は
夫々、上下各２箇所において機体側フレームに取外し自
在に弾性支持するよう構成してある。詳述すると、第６
図、第７図に示すように、防塵網（11）が一体固定され
た側部カバー（12）の下端部の前後両側に支持ブラケッ
ト（13）を介して上下方向の貫通孔を形成したゴム材
（14）を取付けるとともに、機体側フレームに前記貫通
孔に入り込み係合する支持ピン（15），（15）を立設形
成してある。又、側部カバー（12）の上端部の前後両側
に支持ブラケット（16）を介して左右方向の貫通孔を形
成したゴム材（17）を取付けるとともに、機体側フレー
ムに前記貫通孔に入り込み係合する横向き支持ピン（1
8）を突出形成してある。このようにして側部カバー（1
2）を容易に着脱自在に、かつ、ガタつきの生じない状
態で弾性支持してある。

次に、機体フレーム構造について説明する。第１図な
いし第４図に示すように、前記作動油タンク（７）は、
側面視において、上部が前後幅狭の段付き形状で、左右
クローラ走行装置（３），（３）の間に配備してあり、
両クローラ走行装置（３），（３）の各トラックフレー
ム（19），（19）をこの作動油タンク（７）の下部タン
ク部分を介して連結固定し、作動油タンク（７）が横方
向フレーム材を兼ねる構成とし、作動油タンク（７）の
上部タンク部分の両側壁に左右一対の前後向き機体フレ
ーム（20），（20）の前端部を連結固定してある。又、
機体フレーム（20），（20）の後部側において、前後一
対の略Ｕ字形の連結フレーム（21），（22）で連結する
とともに、各連結フレーム（21），（22）にエンジン支
持ブラケット（23）を固設してある。そして前後の連結
フレーム（21），（22）を左右一対の連結杆（24），
（24）で補強連結して下方入り込み凹状のエンジン搭載
フレーム（25）を構成し、このエンジン搭載フレーム
（25）の前部側左右中央と作動油タンク（７）の後部側
左右中央とを補強フレーム（26）を介して連結固定して
ある。

そして、前記作動油タンク（７）の後方位置であっ
て、エンジン（４）の前面に付設の静油圧式無段変速装
置（Ｈ），（Ｈ）を、前記作動油タンク（７）の上部後
方の空間部に入り込み配置し、さらに、前記補強フレー
ム（26）の左右両側の空領域に、左右クローラ走行装置
（３），（３）の夫々の駆動用油圧モータ（Ｍ），
（Ｍ）及び減速機構（27），（27）を配置させてある。

このようにして、大重量の作動油タンク（７）及びエ
ンジン（４）を左右クローラ走行装置（３），（３）の
間における低位置に無駄な空スペースを設けることなく
合理的に配置することができて、形状コンパクトにして
重心の低い走行安定性の優れた機体構造となるのであ
る。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る作業車の機体フレーム構造の実施例
を示し、第１図は平面図、第２図は第１図のII−II線断
面図、第３図は第１図のIII−III線断面図、第４図は草
刈機の全体側面図、第５図は草刈機の全体平面図、第６
図は防塵網配設部の切欠平面図、第７図は防塵網の側面
図である。 （１）……作業装置、（３），（３）……クローラ走行
装置、（４）……エンジン、（７）……作動油タンク、
（19）……トラックフレーム、（20）……機体フレー
ム、（25）……搭載フレーム、（26）……補強フレー
ム、（Ｈ）……静油圧式無段変速装置、（Ｍ）……駆動
部。

フロントページの続き (72)発明者 山口 哲雄 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ堺製造所内 (56)参考文献 実開 昭62−148485（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−139473（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−163663（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対のクローラ走行装置（３），
   （３）を備えた機体の前部に作業装置（１）を連結する
   とともに、機体の後部にエンジン（４）を搭載した作業
   車の機体フレーム構造であって、前記両クローラ走行装
   置（３），（３）の各トラックフレーム（19），（19）
   を作動油タンク（７）を介して連結固定するとともに、
   この作動油タンク（７）の上部両横側部に左右一対の前
   後向き機体フレーム（20），（20）を連結し、各機体フ
   レーム（20），（20）の夫々の後部に亘って下方入り込
   み凹状のエンジン搭載フレーム（25）を架設連結して、
   このエンジン搭載フレーム（25）の前部側左右中央と前
   記作動油タンク（７）の後部側左右中央とを補強フレー
   ム（26）を介して連結固定し、前記補強フレーム（26）
   の左右両側の空領域に前記両クローラ走行装置（３），
   （３）の夫々の駆動部（Ｍ），（Ｍ）を配置し、さら
   に、前記作動油タンク（７）を、そのタンク下部側がタ
   ンク上部側よりも後方に位置する段付き形状に形成し、
   エンジン（４）の前部側に配設されている静油圧式無段
   変速装置（Ｈ），（Ｈ）を、前記作動油タンク（７）の
   タンク下部側部分の上方の空間部に入り込む状態に配置
   してある作業車の機体フレーム構造。