JP2564509Y2 - ミシンの刺繍枠取付装置の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はミシンの刺繍枠取付装置に関するものであ
る。

（従来技術） 従来のこの種の装置は通常縫いミシンとして使用でき
る刺繍縫ミシンである為に刺繍面積、即ちＸ−Ｙ駆動範
囲が通常縫ミシン上での運動範囲に小さく制限されてい
るので、一度取り付けた刺繍枠を取り外して更に取り付
け位置を移動させて大きい面積の刺繍縫いをするものが
あるが、移動させて所定の位置に固定する作業が煩雑で
あった。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は通常縫いミシンとしても使用できる刺繍縫い
ミシンにおいて、基本の面積より広い面積の刺繍縫いを
するのに刺繍枠を迅速に且つ正確に所定の位置に移動さ
せるようにするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は通常縫ミシンとしても使用できる刺繍縫ミシ
ンであって、刺繍枠をミシンの上で簡単な操作によりス
ライドさせるのみで取り付け位置が正確に保持されて刺
繍縫面積を広く出来るようにしたものである。

（作用） 本考案は駆動軸の回転により上下運動せしめられる針
棒を支持すると共に、該針棒と協働して縫目形成を行う
糸輪捕捉装置を支持する本体機枠と、該本体機枠に結合
され前記針棒及び糸輪捕捉装置と協働する刺繍枠を駆動
する刺繍枠駆動機構によりＸ方向及び該Ｘ方向に対し直
角なＹ方向に移動せしめられるキャリジ25の端面部に刺
繍枠を取付板と共に締めねじで取付け、前記刺繍枠の外
枠の一部に取付枠を形成し、該取付枠に前記キャリジを
Ｙ方向に駆動せしめる為のＸ方向駆動軸に平行で長いス
ライド溝を設け、該スライド溝を貫通する前記取付板に
一体的に形成された小軸の先端を前記キャリジの平面部
に形成の二つの穴に夫々嵌挿せしめたことを特徴とする
ものである。

（実施例） 本考案の実施例の構造を以下に説明すると、１はアー
ムとベッドとが一体化された本体機枠であり、２は前面
カバーで前記本体機枠の前面開口部を覆っており、３は
ベース機枠で前記本体機枠１の下部に結合されている。

４は針棒で前記本体機枠１に揺動自在に支持された針
棒支持体５に支持され、駆動軸６の回転に連動して上下
運動せしめられ下端に針７が装着されている。

８は押え棒で前記本体機枠１に上下方向に摺動可能に
支持され下端に布押え具９が装着されている。

10は駆動プーリで前記駆動軸６の端部に装着され駆動
用モータとの間にベルト11が掛けられている。12は動力
伝達用タイミングベルトで、前記駆動軸６に固着された
プーリ13に懸装しベッド機枠内に支持された下軸（図示
せず）にタイミングを損なうことなく回転を伝達する。
該下軸は前記針７と協働する糸輪捕捉装置７′を駆動し
て継目形成を行い送り歯14を含む送り装置（図示せず）
を駆動し布送りを行い連続した本縫縫目が形成される。

15は模様縫選択操作部であり、16は普通縫、17は刺繍
縫の各選択操作部であり、18は表示部で選択された模様
パターンが表示せしめられる。

19は駆動制御用モータで普通縫16が選択された場合に
は揺動腕20及び振幅ロッド21を介して、前記針棒支持体
５を運動せしめて模様縫のための針棒振幅制御を行い、
刺繍縫17が選択された場合にはソレノイド22が駆動する
ことにより、前記振幅ロッド21の一端のピンが前記揺動
腕20の溝内を移動し、前記駆動制御用モータ19の回転軸
23の中心位置に一致せしめられることにより、前記針棒
支持体５の揺動は停止し刺繍枠駆動装置のうちＸ方向駆
動機構が駆動せしめられる。

24は刺繍枠で刺繍枠駆動装置のキャリジ25に装着され
ている。

該刺繍枠駆動装置は前記ベース機枠３内に配設されて
おり、26は刺繍枠24を装着するキャリジ25のＸ方向駆動
軸で前記ベース機枠３に回転自在に支持され、27は前記
キャリジ25をＸ方向に案内する為の軸部であり、前記Ｘ
方向駆動軸26及び軸部27には前記キャリジ25をＸ方向に
移動せしめる為のリード溝28と、該リード溝の一端部に
前記キャリジ25をＸ方向には暫時停止せしめておくリー
ドなし溝29が設けられ、両軸に跨がって両端のピン31を
前記リード溝28に係合せしめるキャリジガイド30が配設
されている。

32は前記刺繍枠24のＹ方向駆動用モータであり、該モ
ータは前記ベース機枠３に回転自在に支持されたＹ方向
駆動軸33に歯車34,35を介して連結し、Ｙ方向駆動軸33
の両端に設けられたプーリ36,37にはベース機枠３に回
転自在に支持されたプーリ38,39との間に夫々Ｙ方向キ
ャリジベルト40,41が懸装されている。該Ｙ方向キャリ
ジベルトの間には両端をベース機枠に支持されたガイド
棒42,43に摺動自在にされたＹガイド板44が跨がり両端
部がベルト押え45及び46にて前記ベルト40,41に固着さ
れており、両ベルトの運動により前記キャリジ25をＹ方
向に運動せしめ、Ｘ方向駆動軸の回転によるキャリジガ
イド30のＸ方向の移動はＹガイド板44上を摺動する。

前記Ｘ方向駆動制御軸26に固着された傘歯車47は前記
駆動制御用モータ19の回転軸23に固着された傘歯車48と
噛合されている。

前記キャリジ25の先端に形成された平面部25′には中
央のネジ穴49と該ネジ穴を挟んで両側に２つの長穴50,5
0とが形成されており、平面部25′の外周にはキャリジ
棒51の開口部に嵌め込まれている。

前記刺繍枠24は内枠52及び外枠53とでなり、該外枠は
一部で切断され該切断部は締めねじ54により結合され、
該締めねじの回転により外枠の内周の大きさが調節可能
になっており、該外枠の一部には取付枠55が形成され、
該取付枠には刺繍枠24がキャリジ25に取付けられた際、
前記Ｘ方向駆動軸26の長手方向と平行なスライド溝56が
形成され、該スライド溝には小判状の取付板57上の適宜
離れた位置で下向きに一体的に設けられた２本の小軸5
8,58が嵌装せしめられている。

該２本の小軸の間には締めねじ59の為の嵌装穴60が設
けられ取付枠より突出された前記小軸58,58には小判状
の板ばね61がＥリング62,62により止着されている。

前記刺繍枠24は前記締めねじ59をキャリジ25の前記ネ
ジ穴49に締付けることによりキャリジ25に固定される。

以上説明の如く普通縫の駆動機構は前記アーム及びベ
ッドが一体化された本体機枠１内に配設され、刺繍縫の
XY駆動機構はベース機枠３内に配設され、更に刺繍枠24
はキャリジ25に対し取外し可能に設けられている。

本考案は以上の如き構造であって作用は以下の通りで
ある。

普通縫16又は刺繍縫17の操作部の操作によりいずれか
の縫が可能となる。刺繍縫17が選択されると、前記ソレ
ノイド22の作用により針棒４は振幅運動が不可能とな
り、上下運動のみとなり刺繍枠駆動機構の運動により刺
繍枠24は第１図（又は第４図）のＸ方向及びＹ方向に移
動せしめられて刺繍枠24に張設された布に刺繍が施され
る。

前記締めねじ59を弛めることにより刺繍枠24はスライ
ド溝56内を摺動自在となるので該スライド溝を前記キャ
リジ平面部25′に取り付けられた取付板57の２本の小軸
58に対して最も右端に摺動して第７図に示す如き位置で
固定すれば刺繍は第７図に示すKOBAYAの範囲が縫える。
次に締めねじ59を弛めて刺繍枠24を左方向に摺動してス
ライド溝56の右端にて固定すれば続いて刺繍縫例えばSH
1の範囲が縫える。従って刺繍枠24は刺繍枠駆動装置に
よりＬ＋δの範囲を簡単な操作により結果的に縫えたこ
とになる。L₁は通常縫の際に刺繍枠が休止位置に置かれ
るので、刺繍駆動装置は休止位置から移動されるが刺繍
模様を明確にする為、刺繍縫の間にブランクを置いた距
離である。

（効果） 本考案は刺繍枠にＸ方向駆動装置26に平行なスライド
溝56を設けて、該溝内に刺繍枠に装着した取付板の２本
の小軸58、58が嵌装しているので締めねじ59を弛めて刺
繍枠をスライドさせるだけで刺繍範囲が定位置に取り付
けられた場合のＸ方向の動き得る範囲Ｌの刺繍に加えて
δの刺繍が加算されてＬ＋δの大きい刺繍が可能であ
り、特に２本の小軸によりＸ方向に平行に案内されるの
で追加される刺繍が正確に接続され、又その操作は極め
て簡単であるので実用上効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものとして第１図は本考案
装置を配設したミシンの外観斜視図、第２図は本考案の
ミシンの内部機構を示した斜視図、第３図は本考案を配
設し一部破断したミシン斜視図、第４図は本考案の一部
を示すベース機枠の斜視図、第５図は本考案の要部分解
斜視図、第６図は本考案の要部断面図、第７図は本考案
の刺繍枠の平面図であり、１は本体機枠、３はベース機
枠、４は針棒、６は駆動軸、７′は糸輪捕捉装置、24は
刺繍枠、25はキャリジ、25′は平面部、26はＸ方向駆動
軸、55は取付枠、56はスライド溝、57は取付板、58は小
軸、59は締めねじである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−177894（ＪＰ，Ａ) 実開 昭49−113865（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−117795（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動軸の回転により上下運動する針と協働
   して縫目を形成する糸輪捕捉手段とを備え、前記針の上
   下運動に調時して布を張設した刺繍枠をＸ方向と該Ｘ方
   向に直交するＹ方向に駆動する刺繍枠取付装置の構造で
   あって、前記刺繍枠（24）と一体的に形成されて刺繍枠
   駆動手段のキャリッジ（25）に連結するためのスライド
   溝（56）が形成された取付枠（55）と、該取付枠の上面
   に位置する取付板（57）と該取付板の下面に植設されて
   下垂する一対の間隔をおいた小軸（58）とで構成する単
   体の案内部材と、前記取付板に設けられた貫通穴を貫通
   する単一の締めねじ（59）とからなり、前記案内部材の
   前記取付板に設けられた貫通穴（60）は前記一対の小軸
   間に形成され、前記一対の小軸は前記取付枠のスライド
   溝を縦方向に下方へ貫通して延長されており、前記キャ
   リッジ（25）は前記取付枠（55）の下面に位置して前記
   案内部材の一対の小軸（58）を縦方向に受容するための
   一対の穴（50）と前記締めねじ（59）を縦方向に受容す
   るためのねじ穴（49）が形成されており、前記取付枠の
   スライド溝の溝長さは刺繍範囲を拡大するために前記取
   付板の小軸の間隔より充分長く形成されていることを特
   徴とするミシンの刺繍枠取付装置の構造。