JPH0233751Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、針振り機構の針振り位置および布
送り機構の布送り量をステツピングモータ等の駆
動手段により設定するジグザグミシンにおいて、
刺繍縫い時に刺繍枠を上記駆動手段がXY方向に
移動するように兼用させた刺繍縫いの布送り装置
に関する。

〔従来技術〕

一般に、普通のジグザグ縫いと刺繍縫いの両方
ができるようにしたミシンでは、刺繍縫いを行う
ときに、ジグザグ縫いのために針振り機構や送り
機構に関連させたステツピングモータ等の駆動機
構とは別個に、刺繍枠をＸ，Ｙ方向へ移動するた
めのＸ方向駆動手段とＹ方向駆動手段とを設けて
いる。

〔解決しようとする問題点〕

しかしながら、これら従来のミシンでは、刺繍
枠を駆動する駆動手段を別個に要するためのコス
トが高価になると共に、装置が大型化して重くな
り、使用者に負担となる欠点を生じた。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、布を前後方向に移動可能とする布
送り機構と、針棒を左右方向に揺動可能とする針
振り機構と、電気的に作用し布送り機構に所定の
布送り量を付与するように布送り機構に連結した
送り駆動手段と、電気的に作用し針振り機構を所
定の針振り位置に設定するように針振り機構に連
結した針振り駆動手段とを有するジグザグミシン
において、布を保持しベツド上を水平方向に移動
可能とした刺繍枠３と、ミシン機枠に形成した上
記水平方向に沿う開口部５と、先端に刺繍枠を着
脱可能に支持し上記水平方向へ移動可能に基端を
開口部に貫通した装着腕６と、装着腕基端を支持
した移動体を有し該移動体をＸ方向に移動可能に
支持するＸ方向案内手段３３，３４と、Ｘ方向案
内手段をＹ方向に移動可能に支持するＹ方向案内
手段３５，３６と、Ｘ方向案内手段の移動体をＸ
方向へ移動するよう連結したＸ方向移動手段２
６，２７，２９，３０と、Ｘ方向案内手段をＹ方
向案内手段に沿い移動するよう連結したＹ方向移
動手段３７，３８，３９，４２と、針振り機構と
針振り駆動手段との間に配置し電気的な作用によ
り双方の間を連結または遮断し遮断時に針振り駆
動手段とXY方向の一方の移動手段とを連結する
第一のクラツチ手段２１，２２，２３，２４と、
布送り機構と送り駆動手段との間に配置し電気的
な作用により双方の間を連結または遮断し遮断時
に布送り駆動手段とXY方向の前記とは異なる一
方の移動手段とを連結する第二のクラツチ手段４
７，４８，４９，５０、とを設けることを特徴と
する。

〔作用〕

この考案によれば、ジグザグ縫い時には、針振
り及び布送り用の各駆動手段とをそれぞれ連結手
段を介して針振り機構および布送り機構に連結
し、刺繍縫い時に、連結手段を切り替えて、針振
り用および布送り用の各駆動手段とをそれぞれ連
結手段を介してＸ，Ｙ方向移動手段に連結し、針
振り用および布送り用の各駆動手段により刺繍縫
いを可能とする。

〔実施例〕

第１図において、ミシン本体１のベツド２上に
おかれた刺繍枠３は、その枠により布を保持可能
とし、その腕部３ａはミシンフレームの立ち上が
り部４の開口部５から外方に突出可能とする装着
腕６に着脱可能に連結する。ミシン本体１の頭部
には、下端に針７を支持した針棒８が上下動可能
かつ左右方向に揺動（横振り）可能に支持してあ
り、この横振り位置は針振り駆動手段としてのモ
ータ９により設定移動される。また送り歯を設定
送り量で送り運動させる布送り機構（図示しな
い）は送り駆動手段としてのモータ１０により駆
動される。装着腕６は通常は開口部５内方に引つ
込んでおり、この開口部５は蓋１１により閉ざさ
れている。

第３，４図において、針棒８は揺動台１２に支
持され、この揺動台１２は、揺動腕１３を介し
て、モータ支持板１４に固定したモータ９の回転
軸１９基端に貫通支持したブツシユ１５に回転可
能に嵌合された針振り腕１６に連結してある。揺
動腕１３はばね１７によつて揺動台１２側に引つ
張られている。これら針棒８、揺動台１２、揺動
腕１３等により針振り機構が構成される。

またモータ９の回転軸１９に先端にブツシユ１
８を貫通して支持し、両ブツシユ１５，１８はモ
ータ支持板１４に固定する。第５図乃至第７図に
示したように、両ブツシユ１５，１８の間の回転
軸１９上にスプライン２０が形成され、このスプ
ライン２０にクラツチ２１が嵌合されて回転軸１
９と共に回転しかつスラスト方向に摺動可能とす
る。このクラツチ２１は中央の凹み２１ａに作動
リンク２２の一端が挿入され、この作動リンク２
２の中央部は回転軸２３で支持され、さらにこの
作動リンク２２の他端は、Ｘ方向作動ソレノイド
２４の作動軸に連結され、またこの作動軸はばね
２５により常に一方向に引かれている。これらク
ラツチ２１、作動リンク２２、回転軸２３、ソレ
ノイド２４等により第一のクラツチ手段を構成す
る。

またブツシユ１８に回転可能にプーリー２６が
装着され、タイミングベルト２７が、このプーリ
ー２６およびＸ方向駆動用ボール軸２８に固定さ
れたＸ方向作動プーリー２９とに掛渡されてい
る。該ボール軸２８は表面に溝３０が形成され、
Ｘ方向移動体３１に装着された球３２が溝３０に
係合し、ボール軸２８の回転により移動体３１を
ボール軸２８に沿つて移動する。これらプーリー
２６、タイミングベルト２７、Ｘ方向作動プーリ
ー２９、溝３０等によりＸ方向駆動手段を構成す
る。第２図に示したように、ボール軸２８は取付
け板３２に支持され、Ｘ方向移動体３１に装着腕
６中間部が長手方向へ移動可能に支持される。装
着腕６の端部には、XY方向移動体３３が固定さ
れている。XY方向移動体３３を中間部に摺動可
能に支持したＹ方向移動体３４は、一端に設けた
摺動部３４ａを取付け板３２に支持された摺動軸
３５に移動可能に嵌合し、他端のボール部３４ｂ
をＹ方向駆動ボール軸３６の溝３７に挿入し、該
ボール軸３６の回転によりＹ方向移動体３４は該
ボール軸３６の軸方向に移動する。これらXY方
向移動体３３、Ｙ方向移動体３４によりＸ方向案
内手段、摺動軸３５、Ｙ方向駆動用ボール軸３６
等によりＹ方向案内手段をそれぞれ構成する。

Ｙ方向駆動用ボール軸３６の端部にＹ方向作動
プーリー３８が装着されている。そしてタイミン
グベルト３９が、このＹ方向作動プーリー３８と
ブツシユ４１に回転可能に支持したプーリー４２
との間に掛渡されている。そしてこれら溝３７、
Ｙ方向作動プーリー３８、タイミングベルト３
９、プーリー４２等によりＹ方向の移動手段を構
成する。

ブツシユ４１はモータ１０の回転軸４５の先端
に回転可能に支持し、また回転軸４５の基端には
ブツシユ４３が回転可能に支持され、両ブツシユ
４１，４３はモータ取付け板４０に固定してあ
る。そのブツシユ４３には送り腕４４が回転可能
に支持してある。両ブツシユ４１，４３間の回転
軸４５上にスプライン４６が形成され、このスプ
ライン４６にクラツチ４７が嵌合されて回転軸４
５と共に回転しかつスラスト方向に摺動可能とす
る。このクラツチ４７は中央の凹み４７ａに作動
リンク４８の一端が挿入され、この作動リンク４
８の中央部は回転軸４９で支持され、さらにこの
作動リンク４８の他端はＹ方向作動ソレノイド５
０の作動軸に連結され、この作動軸はばね５１に
より常に一方向に引かれている。これらクラツチ
４７、作動リンク４８、回転軸４９、ソレノイド
５０等により第二のクラツチ手段を構成する。

送り腕４４はリンク５２の一端に連結し、リン
ク５２の他端は送り調節腕５３を介して送り調節
器５４に連結してある。なお、５５はＹ方向原点
検出用の検出器、５６はＸ方向原点検出用の検出
器、５７はジグザグ縫い時の針振り原点検出器、
５８は同ジグザグ縫い時の送り原点検出器であ
る。

次のその作用について説明する。

通常のジグザグ縫い時には、装着腕６から刺繍
枠３の腕３ａが外され、Ｙ方向移動体３４はＹ方
向作動プーリー３８側へ移動され、装着腕６はミ
シンフレームの立ち上がり部４内に引き込まれて
開口部５は蓋１１により塞がれている。またＸ方
向のソレノイド２４のばね２５により作動リンク
２２を介してクラツチ２１はプーリー１９側に移
動し、クラツチ２１の突起２１ｂは針振り腕１６
の凹み１６ａに挿入されて連結状態にある。また
クラツチ４７の突起は送り腕４４に連結されてい
る。

次に刺繍縫いの時は、装着腕６に刺繍枠３の腕
３ａが連結され、Ｘ方向ソレノイド２４の作用に
よりクラツチ２１の突起２１ｃはプーリー２６の
凹み２６ａに挿入されて連結し、またＹ方向のソ
レノイド５０の作用によりクラツチ４７はプーリ
ー４２側に連結している。針振り用のモータ９を
駆動すると、プーリ２６が回転し、タイミングベ
ルト２７、Ｘ方向作動プーリー２９を介してＸ方
向駆動用ボール２８が回転し、Ｘ方向移動体３１
をＸ方向に移動する。また送り用モータ１０を駆
動すると、プーリー４２が回転してＹ方向駆動ボ
ール軸３６が回転し、Ｙ方向移動体３４がＹ方向
に移動する。両移動体３１，３４の移動により、
XY方向移動体３３がＸ，Ｙ方向に移動するの
で、装着腕６に連結された刺繍枠３はXY合成位
置へ移動する。針棒８がミシンモータ（図示しな
い）に連動して上下することにより刺繍縫いが形
成される。

なお、本実施例では、Ｘ，Ｙ方向移動体３１，
３４を移動させるためにボール軸を使用したもの
で説明したが、タイミングベルトやギヤ等を利用
してもよい。

〔効果〕

以上のようにこの考案によれば、ジグザグ縫い
時における針振り駆動および布送り設定と、刺繍
縫い時における刺繍枠のＸ方向およびＹ方向移動
とを、同じ駆動源により行うことができるから、
部品点数を少なくしてコストを安価にすると共
に、ミシンを小型かつ計量にして使用者の負担を
軽減する効果が得られる。

またミシン機枠外方のミシンベツド上に配置さ
れた刺繍枠を移動する機構をミシン機枠内に配置
して機枠外方を簡潔な構成にできるので、ミシン
ベツド上を広く使えるから、縫製時の布扱いが容
易となり、またデザインが複雑とならず美麗にで
きるから、ほとんどが家庭用ミシンとして扱われ
るジグザグミシンの商品価値を高める等の効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例のミシンの斜視
図、第２図は第１図ミシンの平面部分端面図、第
３図は第１図ミシンの正面部分端面図、第４図は
第１図ミシンの右側面部分端面図、第５図はクラ
ツチ機構の正面図、第６図は第５図の縦断面図、
第７図は第５図Ａ−Ａ断面図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 布を前後方向に移動可能とする布送り機構と、
   針棒を左右方向に揺動可能とする針振り機構と、
   電気的に作用し布送り機構に所定の布送り量を付
   与するように布送り機構に連結した送り駆動手段
   と、電気的に作用し針振り機構を所定の針振り位
   置に設定するように針振り機構に連結した針振り
   駆動手段とを有するジグザグミシンにおいて、 布を保持しベツド上を水平方向に移動可能とし
   た刺繍枠３と、 ミシン機枠に形成した上記水平方向に沿う開口
   部５と、 先端に刺繍枠を着脱可能に支持し上記水平方向
   へ移動可能に基端を開口部に貫通した装着腕６
   と、 装着腕基端を支持した移動体を有し該移動体を
   Ｘ方向に移動可能に支持するＸ方向案内手段３
   ４，３４と、 Ｘ方向案内手段をＹ方向に移動可能に支持する
   Ｙ方向案内手段３５，３６と、 Ｘ方向案内手段の移動体をＸ方向へ移動するよ
   う連結したＸ方向移動手段２６，２７，２９，３
   ０と、 Ｘ方向案内手段をＹ方向案内手段に沿い移動す
   るよう連結したＹ方向移動手段３７，３８，３
   ９，４２と、 針振り機構と針振り駆動手段との間に配置し電
   気的な作用により双方の間を連結または遮断し遮
   断時に針振り駆動手段とXY方向の一方の移動手
   段とを連結する第一のクラツチ手段２１，２２，
   ２３，２４と、 布送り機構と送り駆動手段との間に配置し電気
   的な作用により双方の間を連結または遮断し遮断
   時に布送り駆動手段とXY方向の前記とは異なる
   一方の移動手段とを連結する第二のクラツチ手段
   ４７，４８，４９，５０、 とをして、両案内手段および両移動手段並びに両
   クラツチ手段をミシン機枠内方に配置し、針振り
   駆動手段および送り駆動手段により刺繍枠をXY
   方向に移動可能としたことを特徴としたジグザグ
   ミシンにおける刺繍縫いの布送り装置。