JP2547907B2 - 刺しゅう機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、刺しゅう縫い時のみ刺
しゅう枠駆動部を可動させるようにした簡単なる構造の
刺しゅう機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のジグザグ縫い機構と刺しゅう縫い
機構とを同一機枠内に併設したミシンではジグザグ縫い
機構においては針棒の振幅制御用と布送り制御用とに夫
々の駆動源として、２個のステッピングモータを使用し
たり、又刺しゅう縫い機構においては、刺しゅう枠駆動
のためにＸ方向の制御用と該Ｘ方向に対し直角なるＹ方
向の制御用とにそれぞれ別の駆動源としてステッピング
モータを使用している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にそれぞれ２個のステッピングモータを使用すると、狭
小な機枠内は、ステッピングモータで埋まり、そのため
他の機構の複雑化が余儀なくされ重量も増大して製造上
及び使用者の取扱上において不都合の生じることが避け
られなかった。また、モータ回転角を換えることで、ジ
クザク縫いのときには、確実に刺しゅう枠が停止し、刺
しゅう縫いのときには、良好でしかも簡単なる構成で、
刺しゅう枠駆動部を可動させるようにした構造の刺しゅ
う機能付きミシンが望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで発明者は、前記課
題を解決すべく、鋭意，研究を重ねた結果、その発明
を、刺しゅう縫い及びジグザグ縫いの選択が可能なるミ
シンにおいて、断面円形状の外周面に長手方向に沿い螺
旋状溝のリードと、該リード終端箇所で長手方向に直交
する方向での外周面上に所定角度の範囲内でリードを持
たない弧状溝の非リードとを備え、そのリードと非リー
ドの溝を連続形成してなるリードネジ軸をステッピング
モータにて回転可能に設け、刺しゅう枠を取付けた刺し
ゅう枠駆動部とともに移動する係止ピンを前記リードと
非リードの溝に係合可能とし、前記係止ピンとともにリ
ードネジ軸の長手方向に前記刺しゅう枠駆動部を移動可
能とし、所定角度の範囲を超えての回転である刺しゅう
縫い時には、係止ピンがリードに、所定角度の範囲内の
回転であるジグザグ縫い時には、係止ピンが非リードに
それぞれ係合してなる刺しゅう機能付きミシンの刺しゅ
う枠駆動装置としたり、或いは、刺しゅう縫い及びジグ
ザグ縫いの選択が可能なるミシンにおいて、断面円形状
の外周面に長手方向に沿い螺旋状溝のリードと、該リー
ド終端箇所で長手方向に直交する方向での外周面上に所
定角度の範囲内でリードを持たない弧状溝の非リードと
を備え、そのリードと非リードの溝を連続形成してなる
リードネジ軸を２本平行に所定間隔をおいてステッピン
グモータにて回転可能に設け、剌しゅう枠を取付けた刺
しゅう枠駆動部とともに移動する係止ピンを前記リード
と非リードの溝に係合可能とし、前記両係止ピン間で、
且つ該両係止ピンとともにリードネジ軸の長手方向に前
記刺しゅう枠駆動部を平行移動可能とし、所定角度の範
囲を超えての回転である刺しゅう縫い時には、係止ピン
がリードに、所定角度の範囲内の回転であるジグザグ縫
い時には、係止ピンが非リードにそれぞれ係合してなる
刺しゅう機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置としたこ
とにより、ジグザグ縫い及び刺しゅう縫いのステッピン
グモータで兼用することができ、しかも、モータ回転数
を換えることで、ジグザグ縫いのときには、確実に刺し
ゅう枠が停止し、刺しゅう縫いのときには、良好でしか
も簡単なる構成で、刺しゅう枠駆動部を可動させるよう
にすることができ、前記課題を解決し、その目的を達成
したものである。

【０００５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図７に基づ
いて説明する。

【０００６】符号１はミシン機枠であり、該ミシン機枠
１はアーム機枠２とベッド機枠３とで構成され、前記ア
ーム機枠２内には駆動軸（図示せず）が回転自在に支持
され、該駆動軸により針棒４が上下動可能に支持され、
又前記ベッド機枠３内には糸輪捕捉装置及び布送り装置
（いすれも図示せず）が装着され、該糸輪捕捉装置及び
布送り装置と前記針棒４との協働運動により針棒４の下
端に装着された針５に支持される上糸と前記糸輪捕捉装
置内に装填された下糸とにより本縫い縫い目が適宜の送
りピッチで形成される。

【０００７】符号６は刺しゅう枠であり、該刺しゅう枠
６は刺しゅう枠駆動部７に着脱可能に支持され、該刺し
ゅう枠駆動部７は刺しゅう枠駆動機枠８内に設けられた
刺しゅう枠駆動機構によりＸ方向及び該Ｘ方向に直角な
Ｙ方向に運動するので、前記刺しゅう枠６に布を張設し
て刺しゅう枠駆動機構を運転すれば刺しゅう縫いが行わ
れる。

【０００８】その刺しゅう枠駆動機構の構造の実施例と
しては、まず、刺しゅう枠駆動部３９をＸ方向に移動さ
せる２本のリードネジ軸３６，３６が所定間隔をおいて
平行に配置されており、具体的には、ミシンの最下部箇
所に位置する刺しゅう枠駆動機枠８内に、２本のリード
ネジ軸３６の軸長方向がＸ方向に沿い、且つ平行に配置
されている。

【０００９】２本のリードネジ軸３６は、ベルト・プー
リ機構等を介して同時に同等の回転速度にて回転するも
のであ。ステッピングモータ１３の制御回転が、その何
れか一方側の主動側のリードネジ軸３６が伝達され、他
方側の従動側のリードネジ軸３６が同時に回転するよう
に構成されている（図７参照）。

【００１０】その刺しゅう枠駆動機構におけるリードネ
ジ軸３６はステッピングモータ１３の制御回転が伝達さ
れるように構成されている。前記リードネジ軸３６は１
本でも構成されることもある。

【００１１】前記リードネジ軸３６には、長手方向略全
長に亘ってリード３７が形成され、さらに、その長手方
向の端部には非リード３８が形成されている。リード３
７及び非リード３８には、刺しゅう枠駆動部３９の係止
ピン４０が係合されている。

【００１２】リード３７は、具体的にはリードネジ軸３
６の外周側面に形成された螺旋状の溝であり、そのリー
ド３７に係合されている係止ピン４０は、リード３７に
沿って、リードネジ軸３６の長手方向の前後に移動する
ものである。

【００１３】非リード３８は、前記リード３７に連続し
て形成され、具体的には非リード３８はリード３７の終
端箇所に形成されている。その非リード３８は、前記リ
ード３７のように螺旋状の溝ではなく、リードネジ軸３
６の長手方向に直交する方向での外周側面に形成された
ものであって、リードネジ軸３６の外周側面の略半周
（リードネジ軸３６の軸心より略１８０゜の範囲）にお
いて形成されることが多いが、必ずしもこの範囲に限定
されることはなくリードネジ軸３６の外周側面の半周以
上に亘って形成されることもある。

【００１４】その非リード３８内に係合している係止ピ
ン４０は、その非リード３８が形成されている角度の範
囲内において、リードネジ軸３６が回転しても、係止ピ
ン４０のリードネジ軸３６長手方向における移動は行わ
れない状態となる。

【００１５】例えばジグザグ縫いを選択して、これによ
り前記ステッピングモータ１３が制御データに基づき回
転（僅かな回転角）すると、このとき、前記刺しゅう枠
駆動部３９の係止ピン４０がリードネジ軸３６の非リー
ド３８に係合しているのでリードネジ軸３６が或る範囲
のみ回転しても刺しゅう枠６は駆動されない（図３の振
幅範囲Ｗ参照）。

【００１６】次に刺しゅう縫いを選択して、これにより
前記ステッピングモータ１３が制御データに基づく回転
（複数回転）すると、このとき、リードネジ軸３６が回
転し刺しゅう枠駆動部３９の係止ピン４０がリードネジ
軸３６のリード溝部３７に係止されるようになるので、
前記ステッピングモータ１３の制御回転がリードネジ軸
３６に伝達されるから刺しゅう枠６〔刺しゅう枠駆動部
７，３９も同時に、その刺しゅう枠駆動部７をキャリッ
ジと称する（図３参照）〕は制御運動するように構成さ
れている（図３の刺しゅう範囲Ｗ参照）。

【００１７】

【発明の効果】請求項１の発明においては、刺しゅう縫
い及びジグザグ縫いの選択が可能なるミシンにおいて、
断面円形状の外周面に長手方向に沿い螺旋状溝のリード
３７と、該リード３７終端箇所で長手方向に直交する方
向での外周面上に所定角度の範囲内でリード３７を持た
ない弧状溝の非リード３８とを備え、そのリード３７と
非リード３８の溝を連続形成してなるリードネジ軸３６
をステッピングモータ１３にて回転可能に設け、刺しゅ
う枠６を取付けた刺しゅう枠駆動部７，３９とともに移
動する係止ピン４０を前記リード３７と非リード３８の
溝に係合可能とし、前記係止ピン４０とともにリードネ
ジ軸３６の長手方向に前記刺しゅう枠駆動部７，３９を
移動可能とし、所定角度の範囲を超えての回転である刺
しゅう縫い時には、係止ピン４０がリード３７に、所定
角度の範囲内の回転であるジグザグ縫い時には、係止ピ
ン４０が非リード３８にそれぞれ係合してなる刺しゅう
機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置としたことによ
り、先ず第１にジグザグ縫いと刺しゅう縫いとの選択機
構を複雑化せずに簡単なものにできるし、第２にステッ
ピングモータ１３のモータ回転角を換えることで、ジク
ザク縫いのときには、確実に刺しゅう枠が停止し、刺し
ゅう縫いのときには、良好でしかも簡単なる構成で、刺
しゅう枠駆動部７，３９を可動させるようにできる等の
効果を奏する。

【００１８】これらの効果について詳述すると、ジグザ
グ縫い時には、係止ピン４０が非リード３８に係合して
おり、具体的には、ステッピングモータ１３の回転角度
が所定角度の範囲内、即ち、非リード３８が形成されて
いる範囲内の回転角度で揺動回転すると、そのリードネ
ジ軸３６の長手方向に直交する方向での外周面の溝ゆえ
に、係止ピン４０及び刺しゅう枠駆動部７，３９及びこ
れに取付けた刺しゅう枠６はリードネジ軸３６の長手方
向に沿って移動することがなく一定の位置に停止してい
る。

【００１９】従って、ジグザグ縫い操作を選択している
ときに、前記係止ピン４０を非リード３８に係合状態と
するように設定することにより、ジグザグ縫い操作時に
は刺しゅう枠駆動部７，３９及びこれに取付けた刺しゅ
う枠６が不必要に移動することがなく、即ち、全く移動
することなく、ジグザグ縫い作業を良好なる状態にて行
い得る利点がある。

【００２０】また、リードネジ軸３６が所定角度以上回
転した場合には、前記係止ピン４０をリードネジ軸３６
のリード３７に係合し、これにより係止ピン４０ととも
に刺しゅう枠駆動部７，３９及びこれに付随した刺しゅ
う枠６もリードネジ軸３６の長手方向に沿って移動し、
刺しゅう縫いが極めて良好にできる。

【００２１】以上のように、ステッピングモータ１３に
接続したリードネジ軸３６であっても、そのステッピン
グモータ１３を回転制御したモータ回転角に応じて、少
ない回転角のときには、刺しゅう枠駆動部７，３９及び
これに取付けた刺しゅう枠６の移動量は全くなく、良好
にジグザク縫いができるし、多い回転角のときには、刺
しゅう枠駆動部７，３９及びこれに取付けた刺しゅう枠
６の移動量は適宜得られ、良好なる刺しゅう縫いができ
る。これによって、ジグザグ縫い及び刺しゅう縫いが可
能なミシンの刺しゅう枠駆動機構において、ジグザグ縫
い（刺しゅう枠６停止）及び刺しゅう縫い（刺しゅう枠
６可動）のステッピングモータ１３で兼用することがで
きる。

【００２１】次に、請求項２の発明では、請求項１にお
いて、前記リードネジ軸３６を２本平行に所定間隔をお
いて設け、前記刺しゅう枠駆動部７，３９を、２本のリ
ードネジ軸３６，３６にそれぞれ設けた両係止ピン４
０，４０間で、且つ該両係止ピン４０，４０とともにリ
ードネジ軸３６，３６の長手方向に平行移動可能とした
ので、特に、前記刺しゅう枠駆動部７，３９に取付けた
刺しゅう枠６を確実に平行移動でき、これによって極め
て良好なる刺しゅう縫いができる利点がある。

【００２２】また、請求項２の発明における刺しゅう枠
６の駆動機構はミシン本体下部の刺しゅう枠駆動機枠８
内に装着可能であり、リードネジ軸３６を２本平行に所
定間隔をおいて設けたことで、ミシンの他の機構を収容
するスペースを十分に確保することができ、整然とした
構成にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の斜視図

【図２】本発明の要部のリードネジ軸箇所の正面図

【図３】本発明のステッピングモータの回転角とキャリ
ッジ移動量の関係図

【図４及び図５】本発明の要部のリードネジ軸箇所の作
用状態図

【図６】本発明の要部のリードネジ軸箇所の作用状態の
断面図

【図７】刺しゅう枠駆動機構箇所の平面図

【符号の説明】

６…刺しゅう枠 ７，３９…刺しゅう枠駆動部 １３…ステッピングモータ ３６…リードネジ軸 ３７…リード ３８…非リード ４０…係止ピン

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】刺しゅう縫い及びジグザグ縫いの選択が可
   能なるミシンにおいて、断面円形状の外周面に長手方向
   に沿い螺旋状溝のリードと、該リード終端箇所で長手方
   向に直交する方向での外周面上に所定角度の範囲内でリ
   ードを持たない弧状溝の非リードとを備え、そのリード
   と非リードの溝を連続形成してなるリードネジ軸をステ
   ッピングモータにて回転可能に設け、刺しゅう枠を取付
   けた刺しゅう枠駆動部とともに移動する係止ピンを前記
   リードと非リードの溝に係合可能とし、前記係止ピンと
   ともにリードネジ軸の長手方向に前記刺しゅう枠駆動部
   を移動可能とし、所定角度の範囲を超えての回転である
   刺しゅう縫い時には、係止ピンがリードに、所定角度の
   範囲内の回転であるジグザグ縫い時には、係止ピンが非
   リードにそれぞれ係合してなることを特徴とした刺しゅ
   う機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置。
2. 【請求項２】 刺しゅう縫い及びジグザグ縫いの選択が
   可能なるミシンにおいて、断面円形状の外周面に長手方
   向に沿い螺旋状溝のリードと、該リード終端箇所で長手
   方向に直交する方向での外周面上に所定角度の範囲内で
   リードを持たない弧状溝の非リードとを備え、そのリー
   ドと非リードの溝を連続形成してなるリードネジ軸を２
   本平行に所定間隔をおいてステッピングモータにて回転
   可能に設け、刺しゅう枠を取付けた刺しゅう枠駆動部と
   ともに移動する係止ピンを前記リードと非リードの溝に
   係合可能とし、前記両係止ピン間で、且つ該両係止ピン
   とともにリードネジ軸の長手方向に前記刺しゅう枠駆動
   部を平行移動可能とし、所定角度の範囲を超えての回転
   である刺しゅう縫い時には、係止ピンがリードに、所定
   角度の範囲内の回転であるジグザグ縫い時には、係止ピ
   ンが非リードにそれぞれ係合してなることを特徴とした
   刺しゅう機能付きミシンの刺しゅう枠駆動装置。