JP2555888Y2 - 複合集束糸条 - Google Patents
複合集束糸条Info
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- JP2555888Y2 JP2555888Y2 JP11262891U JP11262891U JP2555888Y2 JP 2555888 Y2 JP2555888 Y2 JP 2555888Y2 JP 11262891 U JP11262891 U JP 11262891U JP 11262891 U JP11262891 U JP 11262891U JP 2555888 Y2 JP2555888 Y2 JP 2555888Y2
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- twisting
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は,糸条の長手方向に未解
撚方向の撚と過解撚方向の撚を交互に有する交互撚糸条
に関するものである。さらに詳しくは,集束細化された
緊密融着部と嵩高で交互撚を有する嵩高集束部が混在
し,布帛に新規な意匠効果を与えることができる,変化
に富んだ複合集束糸条に関するものである。
撚方向の撚と過解撚方向の撚を交互に有する交互撚糸条
に関するものである。さらに詳しくは,集束細化された
緊密融着部と嵩高で交互撚を有する嵩高集束部が混在
し,布帛に新規な意匠効果を与えることができる,変化
に富んだ複合集束糸条に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,仮撚加工によって未解撚部と過解
撚部とを交互に形成させた交互撚糸条は数多く知られて
いるが,その製法の1つは定常仮撚操作によるものであ
り,他の1つは非定常仮撚操作によるものである。
撚部とを交互に形成させた交互撚糸条は数多く知られて
いるが,その製法の1つは定常仮撚操作によるものであ
り,他の1つは非定常仮撚操作によるものである。
【0003】このうち定常仮撚操作によるものとして
は,例えば,特公昭47-49457号公報,特開昭53-98448号
公報,特開昭53-15188号公報等に見られるように,供給
糸を融着するような高温下で仮撚加工する方法,また,
高オーバーフイード率下で流体仮撚加工する方法等,特
定条件下での定常仮撚操作によって未解撚部と過解撚部
を交互に有した交互撚糸を製造する方法が提案されてい
る。
は,例えば,特公昭47-49457号公報,特開昭53-98448号
公報,特開昭53-15188号公報等に見られるように,供給
糸を融着するような高温下で仮撚加工する方法,また,
高オーバーフイード率下で流体仮撚加工する方法等,特
定条件下での定常仮撚操作によって未解撚部と過解撚部
を交互に有した交互撚糸を製造する方法が提案されてい
る。
【0004】しかしながら,これらの方法によって得ら
れる交互撚糸条は,いずれも未解撚部及び過解撚部の長
さが極端に短いので,製編織した場合,表面が単調で意
匠効果に乏しい布帛となる。
れる交互撚糸条は,いずれも未解撚部及び過解撚部の長
さが極端に短いので,製編織した場合,表面が単調で意
匠効果に乏しい布帛となる。
【0005】また,非定常仮撚操作によるものとして
は,例えば,特公昭49−8414号公報,特開昭49−108353
号公報,特開昭51-49949号公報,特開昭53-61745号公
報, 特開昭60−199935公報等に提案されている。非定常
仮撚操作による加工方法は,撚の伝播の過渡現象を利用
したもので,これらの方法によって得られる交互撚糸条
は,前述の定常仮撚操作による交互撚糸条とは異なり,
未解撚部及び過解撚部の長さがともに長くなるため,布
帛上で未解撚部の長い柄と過解撚部の長い柄が目立ちす
ぎ,自然な意匠効果というよりは,むしろひけ状や縞状
の欠点を有するものとなる。
は,例えば,特公昭49−8414号公報,特開昭49−108353
号公報,特開昭51-49949号公報,特開昭53-61745号公
報, 特開昭60−199935公報等に提案されている。非定常
仮撚操作による加工方法は,撚の伝播の過渡現象を利用
したもので,これらの方法によって得られる交互撚糸条
は,前述の定常仮撚操作による交互撚糸条とは異なり,
未解撚部及び過解撚部の長さがともに長くなるため,布
帛上で未解撚部の長い柄と過解撚部の長い柄が目立ちす
ぎ,自然な意匠効果というよりは,むしろひけ状や縞状
の欠点を有するものとなる。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】本考案は,上記した従
来の交互撚糸条の欠点を解消し,すかし状柄の従来にな
い特異な意匠効果が付与され,しかも嵩高で,かつ通気
性に優れた布帛とすることができる複合集束糸条を提供
することを技術的な課題とするものである。
来の交互撚糸条の欠点を解消し,すかし状柄の従来にな
い特異な意匠効果が付与され,しかも嵩高で,かつ通気
性に優れた布帛とすることができる複合集束糸条を提供
することを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本考案者らは,上記課題
を解決するため,交互撚糸形成の現象の把握と原理の究
明を行い,その結果,特定の加工操作を付加複合させる
ことによって,従来得られなかった集束糸条が得られる
ことを見出し,本考案に到達したものである。
を解決するため,交互撚糸形成の現象の把握と原理の究
明を行い,その結果,特定の加工操作を付加複合させる
ことによって,従来得られなかった集束糸条が得られる
ことを見出し,本考案に到達したものである。
【0008】すなわち, 本考案は,熱可塑性合成繊維マ
ルチフイラメントからなる仮撚加工糸であって,糸条の
長手方向に仮撚加撚方向の撚を有する長さ 300mm以上の
緊密融着部Aと, 仮撚加撚方向の撚と仮撚解撚方向の撚
が混在した嵩高集束部Bとを交互に有し,嵩高集束部B
には10mm以下の長さの加撚方向の撚からなる未解撚部と
解撚方向の撚からなる過解撚部とが交互に存在し,かつ
嵩高集束部Bの外径が緊密融着部Aの外径の1.2倍以上
であることを特徴とする複合集束糸条を要旨とするもの
である。
ルチフイラメントからなる仮撚加工糸であって,糸条の
長手方向に仮撚加撚方向の撚を有する長さ 300mm以上の
緊密融着部Aと, 仮撚加撚方向の撚と仮撚解撚方向の撚
が混在した嵩高集束部Bとを交互に有し,嵩高集束部B
には10mm以下の長さの加撚方向の撚からなる未解撚部と
解撚方向の撚からなる過解撚部とが交互に存在し,かつ
嵩高集束部Bの外径が緊密融着部Aの外径の1.2倍以上
であることを特徴とする複合集束糸条を要旨とするもの
である。
【0009】なお,嵩高集束部Bと緊密融着部Aとの外
径比は,実体顕微鏡を用い, 糸条の長手方向に緊密融着
部Aの外径d,嵩高集束部Bの未解撚部の外径D1,過解
撚部の外径D2を1m以上の間隔で各10個所測定して各
部の平均値(d',D1', D2')を算出し,(D1'+D2')を
2d' で除した値である。また,緊密融着部Aと嵩高集
束部Bの未解撚部b1 及び過解撚部b2 の長さは,検尺
付きの測定台に糸条を貼り着け,各部A,b1,b2 の長
さを約1m以上の間隔で10個所測定し,その平均値で表
すものである。
径比は,実体顕微鏡を用い, 糸条の長手方向に緊密融着
部Aの外径d,嵩高集束部Bの未解撚部の外径D1,過解
撚部の外径D2を1m以上の間隔で各10個所測定して各
部の平均値(d',D1', D2')を算出し,(D1'+D2')を
2d' で除した値である。また,緊密融着部Aと嵩高集
束部Bの未解撚部b1 及び過解撚部b2 の長さは,検尺
付きの測定台に糸条を貼り着け,各部A,b1,b2 の長
さを約1m以上の間隔で10個所測定し,その平均値で表
すものである。
【0010】以下,本考案について詳細に説明する。
【0011】本考案の複合集束糸条は,糸条の長手方向
に沿って緊密融着部Aと嵩高集束部Bとがランダムな間
隔で交互に存在した糸条であり,緊密融着部Aは,仮撚
加撚方向の高度な撚数と強固な融着形態を有し,強撚調
の極めて細く集束された形態を呈している。緊密融着部
Aの長さは 300mm以上が必要であり,300〜1500mmの範囲
が好ましく,300mm未満では意匠効果に乏しいものとな
る。
に沿って緊密融着部Aと嵩高集束部Bとがランダムな間
隔で交互に存在した糸条であり,緊密融着部Aは,仮撚
加撚方向の高度な撚数と強固な融着形態を有し,強撚調
の極めて細く集束された形態を呈している。緊密融着部
Aの長さは 300mm以上が必要であり,300〜1500mmの範囲
が好ましく,300mm未満では意匠効果に乏しいものとな
る。
【0012】一方,嵩高集束部Bは,10mm以下の短い長
さの仮撚方向の撚からなる未解撚部と解撚方向の撚から
なる過解撚部とが混在した形態を呈し,緊密融着部Aに
比べ撚数が低く,かつフイラメント相互の融着が極めて
弱いか,もしくは融着されていない形態を呈している。
嵩高集束部Bを形成している未解撚部と過解撚部の各々
の長さは好ましくは2〜10mmの範囲であるが,未解撚部
と過解撚部の撚糸構造がゆるやかで見掛けが太く,嵩高
性を有しているため,撚の変換点が不明瞭な部分が存在
してもよい。
さの仮撚方向の撚からなる未解撚部と解撚方向の撚から
なる過解撚部とが混在した形態を呈し,緊密融着部Aに
比べ撚数が低く,かつフイラメント相互の融着が極めて
弱いか,もしくは融着されていない形態を呈している。
嵩高集束部Bを形成している未解撚部と過解撚部の各々
の長さは好ましくは2〜10mmの範囲であるが,未解撚部
と過解撚部の撚糸構造がゆるやかで見掛けが太く,嵩高
性を有しているため,撚の変換点が不明瞭な部分が存在
してもよい。
【0013】また,嵩高集束部Bを構成する未解撚部と
過解撚部の撚形態や長さは同一ではなく,ランダムな形
態を呈しており,太さにおいても,過解撚部に比べ未解
撚部がやや細い形態を呈している。このような交互撚か
らなる嵩高集束部Bの構造が微細な凹凸変化のある表面
感と嵩高感を与え,緊密融着部Aの柄効果をさらに引き
立てることができ,この糸条を使用した布帛に従来にな
い特異な意匠効果を付与することができる。
過解撚部の撚形態や長さは同一ではなく,ランダムな形
態を呈しており,太さにおいても,過解撚部に比べ未解
撚部がやや細い形態を呈している。このような交互撚か
らなる嵩高集束部Bの構造が微細な凹凸変化のある表面
感と嵩高感を与え,緊密融着部Aの柄効果をさらに引き
立てることができ,この糸条を使用した布帛に従来にな
い特異な意匠効果を付与することができる。
【0014】さらに,本考案の複合集束糸条は,嵩高集
束部Bの外径が緊密融着部Aの外径の1.2倍以上である
ことが必要である。この外径比が1.2以上であると,緊
密融着部Aと嵩高集束部Bの外径差によって, 製編織し
て得られる布帛に顕著なすかし状の柄効果と適度な通気
性を付与することができる。外径比が1.2未満の場合,
布帛に顕著なすかし柄効果や適度な通気性を付与するこ
とができない。
束部Bの外径が緊密融着部Aの外径の1.2倍以上である
ことが必要である。この外径比が1.2以上であると,緊
密融着部Aと嵩高集束部Bの外径差によって, 製編織し
て得られる布帛に顕著なすかし状の柄効果と適度な通気
性を付与することができる。外径比が1.2未満の場合,
布帛に顕著なすかし柄効果や適度な通気性を付与するこ
とができない。
【0015】本考案の複合集束糸条は,集束細化された
緊密融着部Aと嵩高集束部Bとの外径差によって,布帛
にすかし状の特異な意匠効果を付与し,しかもゆるやか
な交互撚形態からなる嵩高集束部Bにより全体的に嵩高
感が得られ,かつランダムで長い緊密融着部Aが混在し
ていることにより,適度の通気性や融着形状による清涼
感を付与することができる。また,すかし状の特異な意
匠効果を強調するためには,集束細化された嵩高集束部
Bの占有比率を緊密融着部Aより大きくし,緊密融着部
Aを10〜40%の割合で散在させることが好ましい。
緊密融着部Aと嵩高集束部Bとの外径差によって,布帛
にすかし状の特異な意匠効果を付与し,しかもゆるやか
な交互撚形態からなる嵩高集束部Bにより全体的に嵩高
感が得られ,かつランダムで長い緊密融着部Aが混在し
ていることにより,適度の通気性や融着形状による清涼
感を付与することができる。また,すかし状の特異な意
匠効果を強調するためには,集束細化された嵩高集束部
Bの占有比率を緊密融着部Aより大きくし,緊密融着部
Aを10〜40%の割合で散在させることが好ましい。
【0016】また,従来の定常仮撚や非定常仮撚操作に
よって得られる交互撚糸条は,単調な未解撚部と過解撚
部を有する形態であるため,両撚部は互いの相反する撚
の移動により相殺されやすく,不安定な形態を呈してい
る。しかしながら,本考案の複合集束糸条は,緊密融着
部Aと嵩高集束部Bとの形態差が大きいため,その形態
が安定している。その理由としては,緊密融着部Aは強
固に融着されているため解撚され難く,また,高い撚数
にもかかわらず,低張力で,しかも高温で熱セツトされ
ているため,発生するトルクが低い等の点から,嵩高集
束部Bに向かって撚の移動がなく,撚の相殺が発生し難
い。また,逆にトルクの高い嵩高集束部Bからの撚の移
動に対しても,上記したように緊密集束部Aの撚形態が
変化することが少ない等から,糸条全体として安定した
形態が得られるものと考えられる。
よって得られる交互撚糸条は,単調な未解撚部と過解撚
部を有する形態であるため,両撚部は互いの相反する撚
の移動により相殺されやすく,不安定な形態を呈してい
る。しかしながら,本考案の複合集束糸条は,緊密融着
部Aと嵩高集束部Bとの形態差が大きいため,その形態
が安定している。その理由としては,緊密融着部Aは強
固に融着されているため解撚され難く,また,高い撚数
にもかかわらず,低張力で,しかも高温で熱セツトされ
ているため,発生するトルクが低い等の点から,嵩高集
束部Bに向かって撚の移動がなく,撚の相殺が発生し難
い。また,逆にトルクの高い嵩高集束部Bからの撚の移
動に対しても,上記したように緊密集束部Aの撚形態が
変化することが少ない等から,糸条全体として安定した
形態が得られるものと考えられる。
【0017】次に,本考案の複合集束糸条を図面により
説明する。図1は,本考案の複合集束糸条の一実施態様
を示す側面模式図であり,Aは仮撚加撚方向の撚を有す
る緊密融着部,Bは嵩高集束部である。嵩高集束部Bは,
仮撚加撚方向の撚を有する未解撚部b1と仮撚解撚方向
の撚を有する過解撚部b2とが交互に存在した形態を呈
している。
説明する。図1は,本考案の複合集束糸条の一実施態様
を示す側面模式図であり,Aは仮撚加撚方向の撚を有す
る緊密融着部,Bは嵩高集束部である。嵩高集束部Bは,
仮撚加撚方向の撚を有する未解撚部b1と仮撚解撚方向
の撚を有する過解撚部b2とが交互に存在した形態を呈
している。
【0018】また,図2は,緊密融着部Aの断面形態を
示す模式図であり,強固に融着した形態を有している。
図3は,嵩高集束部Bの断面形態を示す模式図であり,
ゆるやかな融着形態を呈している。
示す模式図であり,強固に融着した形態を有している。
図3は,嵩高集束部Bの断面形態を示す模式図であり,
ゆるやかな融着形態を呈している。
【0019】次に,本考案の複合集束糸条の製造法につ
いて説明する。
いて説明する。
【0020】従来,交互撚糸条の製造法として,非定常
仮撚操作によって糸条に撚回−停止を繰り返す,いわゆ
る仮撚の過渡現象を利用した方法が知られている。この
加工法を,流体を使用した間歇施撚による方法について
説明する。まず,流体の供給時には加撚撚が糸条の走行
と逆方向に伝播するとともに,仮撚加撚と逆方向の解撚
撚が糸条の走行と同方向に伝播し,最初に過解撚部が形
成される。次に,流体の供給を停止すると,加撚ゾーン
に残存していた撚が解撚作用を受けることなく残存し,
未解撚部が形成される。しかしながら,この方法で得ら
れる交互撚糸条は,長い未解撚部と過解撚部を有するの
で,この糸条を製編織して得られる布帛上で未解撚部の
長い柄と過解撚部の長い柄が目立ちすぎ,自然な意匠効
果というよりは,むしろひけ状や縞状の欠点を有するも
のとなり,本考案の目的とする緊密融着部と嵩高集束部
のような形態差を大きく異ならせた交互撚糸条を得るこ
とはできない。
仮撚操作によって糸条に撚回−停止を繰り返す,いわゆ
る仮撚の過渡現象を利用した方法が知られている。この
加工法を,流体を使用した間歇施撚による方法について
説明する。まず,流体の供給時には加撚撚が糸条の走行
と逆方向に伝播するとともに,仮撚加撚と逆方向の解撚
撚が糸条の走行と同方向に伝播し,最初に過解撚部が形
成される。次に,流体の供給を停止すると,加撚ゾーン
に残存していた撚が解撚作用を受けることなく残存し,
未解撚部が形成される。しかしながら,この方法で得ら
れる交互撚糸条は,長い未解撚部と過解撚部を有するの
で,この糸条を製編織して得られる布帛上で未解撚部の
長い柄と過解撚部の長い柄が目立ちすぎ,自然な意匠効
果というよりは,むしろひけ状や縞状の欠点を有するも
のとなり,本考案の目的とする緊密融着部と嵩高集束部
のような形態差を大きく異ならせた交互撚糸条を得るこ
とはできない。
【0021】本考案者らは,従来の間歇仮撚加工におけ
る仮撚過渡現象を克明に観察し,種々実験を重ねた結
果,従来の技術に特定の加工操作を付加することによ
り,前記問題を解決して,本考案の複合集束糸条の製造
を可能にした。
る仮撚過渡現象を克明に観察し,種々実験を重ねた結
果,従来の技術に特定の加工操作を付加することによ
り,前記問題を解決して,本考案の複合集束糸条の製造
を可能にした。
【0022】本考案の複合集束糸条の製法例を説明す
る。圧縮流体施撚ノズル(以下,ノズルと称す。)を用
いた仮撚加工工程において,供給ローラとして,ノズル
への流体の供給,停止と連動して積極的に変速可能な機
能を有する可変速ローラを用いるとともに,糸条を構成
する単フイラメント間で融接着する温度で加工操作を施
す。そして,ノズルへの流体の供給と同時に可変速ロー
ラの速度を増大させると,糸条はより高いオーバーフイ
ード率で走行し,加撚張力T1 ,解撚張力T2 とも極端
に低下し,加工張力比(T2/T1)の低い加工状態とな
り,加撚ゾーンにおいて単フイラメント同士が接着した
糸条がノズル内でたるみ,撚回点が固定され難くなり,
均一な解撚作用が施されなくなる。このため,未解撚や
過解撚が短いピツチで形成され,嵩高集束部Bが形成さ
れる。
る。圧縮流体施撚ノズル(以下,ノズルと称す。)を用
いた仮撚加工工程において,供給ローラとして,ノズル
への流体の供給,停止と連動して積極的に変速可能な機
能を有する可変速ローラを用いるとともに,糸条を構成
する単フイラメント間で融接着する温度で加工操作を施
す。そして,ノズルへの流体の供給と同時に可変速ロー
ラの速度を増大させると,糸条はより高いオーバーフイ
ード率で走行し,加撚張力T1 ,解撚張力T2 とも極端
に低下し,加工張力比(T2/T1)の低い加工状態とな
り,加撚ゾーンにおいて単フイラメント同士が接着した
糸条がノズル内でたるみ,撚回点が固定され難くなり,
均一な解撚作用が施されなくなる。このため,未解撚や
過解撚が短いピツチで形成され,嵩高集束部Bが形成さ
れる。
【0023】次に,ノズルへの流体の供給を停止する
が,このとき,流体の停止と連動して可変速ローラの速
度を低張力で糸条が走行可能な範囲まで減速させる。こ
の加撚ゾーンにおける可変速ローラの張力補償作用と糸
条の融着作用が相乗されることによって,細化された,
より緊密な融着形態の緊密融着部Aが形成される。ま
た,可変速ローラを減速させることによって,高オーバ
ーフイード下で走行している糸条の張力が急激に低下す
ることによって生ずる糸条の供給ローラへの捲き付きや
糸切れが防止され,加工が可能となる。
が,このとき,流体の停止と連動して可変速ローラの速
度を低張力で糸条が走行可能な範囲まで減速させる。こ
の加撚ゾーンにおける可変速ローラの張力補償作用と糸
条の融着作用が相乗されることによって,細化された,
より緊密な融着形態の緊密融着部Aが形成される。ま
た,可変速ローラを減速させることによって,高オーバ
ーフイード下で走行している糸条の張力が急激に低下す
ることによって生ずる糸条の供給ローラへの捲き付きや
糸切れが防止され,加工が可能となる。
【0024】このように,流体の停止と同調させながら
糸条の供給量を変化させることにより,流体の停止時に
おいても糸条が低張力下で走行し,加撚ゾーンに残存さ
れた加撚撚が加熱ヒータ内で十分熱固定されることにな
る。そして,熱固定温度を糸条の融点近傍とすることに
よって,低張力で加撚されていた糸条の高い撚が融着固
定され,仮撚加撚方向の撚を有する緊密融着部Aが形成
される。この緊密融着部Aは,流体の停止時間に走行す
る糸長に相当する長さを有するので,流体の停止時間を
適宜選定することによって,緊密融着部Aの長さを 300
mm以上とすればよい。
糸条の供給量を変化させることにより,流体の停止時に
おいても糸条が低張力下で走行し,加撚ゾーンに残存さ
れた加撚撚が加熱ヒータ内で十分熱固定されることにな
る。そして,熱固定温度を糸条の融点近傍とすることに
よって,低張力で加撚されていた糸条の高い撚が融着固
定され,仮撚加撚方向の撚を有する緊密融着部Aが形成
される。この緊密融着部Aは,流体の停止時間に走行す
る糸長に相当する長さを有するので,流体の停止時間を
適宜選定することによって,緊密融着部Aの長さを 300
mm以上とすればよい。
【0025】一方,嵩高集束部Bは,流体の供給時に形成
されるが,加撚ゾーンで融着され,残存している加撚撚
が解きほぐされながら未解撚部と逆にオーバー解撚した
過解撚部とが形成され,ゆるやかな撚構造を有する嵩高
な形態を呈するものとなる。
されるが,加撚ゾーンで融着され,残存している加撚撚
が解きほぐされながら未解撚部と逆にオーバー解撚した
過解撚部とが形成され,ゆるやかな撚構造を有する嵩高
な形態を呈するものとなる。
【0026】また,加撚ゾーンに供給される糸条のオー
バーフイード率は15〜50%が好ましく,したがって,こ
のオーバーフイード率の範囲内で可変速ローラを適宜コ
ントロールすればよい。
バーフイード率は15〜50%が好ましく,したがって,こ
のオーバーフイード率の範囲内で可変速ローラを適宜コ
ントロールすればよい。
【0027】上記の製法例では,ノズルへの流体の供
給,停止と連動して糸条の供給量を増減させる手段とし
て可変速ローラを用いたが,可変速ローラとしては糸条
の供給量を徐々に変化させることが可能なアナログ式可
変速制御方法を用い,同時に張力制御装置,例えば,ス
プリング式のテンションガイド等を使用し,急激にたる
んだ糸条を吸収させることが好ましい。
給,停止と連動して糸条の供給量を増減させる手段とし
て可変速ローラを用いたが,可変速ローラとしては糸条
の供給量を徐々に変化させることが可能なアナログ式可
変速制御方法を用い,同時に張力制御装置,例えば,ス
プリング式のテンションガイド等を使用し,急激にたる
んだ糸条を吸収させることが好ましい。
【0028】本考案の複合集束糸条に用いる熱可塑性合
成繊維としては,ポリエステル,ポリアミド等のポリマ
ー及びこれらのコーポリマー,ブレンドポリマー等から
得られる繊維が挙げられる。
成繊維としては,ポリエステル,ポリアミド等のポリマ
ー及びこれらのコーポリマー,ブレンドポリマー等から
得られる繊維が挙げられる。
【0029】
【実施例】次に,本考案を実施例により具体的に説明す
る。
る。
【0030】実施例1,2 150d/96fのポリエチレンテレフタレート三角断面ブ
ライト糸を圧縮空気によるノズルを用いた間歇流体施撚
仮撚加工工程に供給し,表1に示す条件で間歇仮撚加工
を施し,本考案の複合集束糸条を得た。
ライト糸を圧縮空気によるノズルを用いた間歇流体施撚
仮撚加工工程に供給し,表1に示す条件で間歇仮撚加工
を施し,本考案の複合集束糸条を得た。
【0031】
【表1】
【0032】実施例1,2で得られた複合集束糸条を用
い,経糸密度68本/2.54cm,緯糸密度75本/2.54cmで平
織に製織し, この織物に通常のポリエステル染色加工を
行い,仕上げ処理を施したところ,自然なすかし柄の意
匠効果を有し,かつ通気性と清涼感にあふれた製品が得
られた。
い,経糸密度68本/2.54cm,緯糸密度75本/2.54cmで平
織に製織し, この織物に通常のポリエステル染色加工を
行い,仕上げ処理を施したところ,自然なすかし柄の意
匠効果を有し,かつ通気性と清涼感にあふれた製品が得
られた。
【0033】
【考案の効果】本考案の複合集束糸条は,集束細化さ
れ,未解撚撚を有する長さ 300mm以上の緊密融着部A
と,嵩高で,しかも微細な表面感を有する嵩高集束部B
とで形成されているため,製編織すれば,独特なすかし
状柄の意匠効果を有し, かつ通気性があり, 清涼感にあ
ふれた盛夏用の新規な風合の布帛を得ることができる。
れ,未解撚撚を有する長さ 300mm以上の緊密融着部A
と,嵩高で,しかも微細な表面感を有する嵩高集束部B
とで形成されているため,製編織すれば,独特なすかし
状柄の意匠効果を有し, かつ通気性があり, 清涼感にあ
ふれた盛夏用の新規な風合の布帛を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の複合集束糸条の一実施態様を示す側面
模式図である。
模式図である。
【図2】本考案の複合集束糸条の緊密融着部Aの断面形
態を示す模式図である。
態を示す模式図である。
【図3】本考案の複合集束糸条の嵩高集束部Bの断面形
態を示す模式図ある。
態を示す模式図ある。
A 緊密融着部 B 嵩高集束部 b1 未解撚部 b2 過解撚部 d 緊密融着部Aの平均外径 D 嵩高集束部Bの平均外径
Claims (1)
- 【請求項1】 熱可塑性合成繊維マルチフイラメントか
らなる仮撚加工糸であって,糸条の長手方向に仮撚加撚
方向の撚を有する長さ 300mm以上の緊密融着部Aと, 仮
撚加撚方向の撚と仮撚解撚方向の撚が混在した嵩高集束
部Bとを交互に有し,嵩高集束部Bには10mm以下の長さ
の加撚方向の撚からなる未解撚部と解撚方向の撚からな
る過解撚部とが交互に存在し,かつ嵩高集束部Bの外径
が緊密融着部Aの外径の1.2倍以上であることを特徴と
する複合集束糸条。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11262891U JP2555888Y2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 複合集束糸条 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11262891U JP2555888Y2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 複合集束糸条 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0554575U JPH0554575U (ja) | 1993-07-20 |
JP2555888Y2 true JP2555888Y2 (ja) | 1997-11-26 |
Family
ID=14591492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11262891U Expired - Fee Related JP2555888Y2 (ja) | 1991-12-25 | 1991-12-25 | 複合集束糸条 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2555888Y2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6164943B2 (ja) * | 2013-06-12 | 2017-07-19 | 東レ株式会社 | 衣料用織物 |
JP7205161B2 (ja) * | 2018-10-30 | 2023-01-17 | 東レ株式会社 | ポリエステル異形断面部分融着仮撚加工糸 |
-
1991
- 1991-12-25 JP JP11262891U patent/JP2555888Y2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0554575U (ja) | 1993-07-20 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |