JP2550339B2 - スク−タ型車両の収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスクータや自動三輪車などのスクータ型車両
の収納装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年、スクータ型車両は通勤や買物など日常の足とし
て広く使用されるようになってきた。そのため、使用上
の便利さから、通勤鞄や買物した物などを収納できる収
納装置を備えることが要請されており、これに応えるも
のとして特開昭57−160783号公報として開示されたもの
がある。これは、操向ハンドルの前側に収納籠を配設し
たものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、このような構造では、収納スペースの容量を
大きくするのが困難で、例えばヘルメットなど比較的形
状が大きな物を収納できない不具合があった。これは、
収納籠を大きくすると、収納した物が前輪の中心部によ
りも前方へオーバーハングするようになり、操縦安定性
が低下するおそれがあるからである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、操向
ハンドルの前側に比較的形状が大きな物を収納すること
ができるスクータ型車両の収納装置を提供するものであ
る。本発明に係る収納装置は、操向ハンドルとシートと
の間に低床な略板状の足載せ台を有し、車体フレームの
ダウンチューブを、前記足載せ台の下方を通して足載せ
台の前側から上方へ立ち上げ、この立ち上がり部の上部
に、ハンドル軸を回動自在に支持するヘッドパイプを連
結し、前輪を下端で支持する左右一対のクッションユニ
ットの上端どうしがブラケットにより連結されたフロン
トフォークを備えたスクータ型車両において、前記ダウ
ンチューブを一本の管体によって形成して前記立ち上が
り部を鉛直方向に略沿わせて立ち上げ、この立ち上がり
部の上端を屈曲させてこの立ち上がり部より小さな傾斜
角度をもって前上がりに傾斜するように車体の前方へ向
けて延在させ、この前方延在部の後側部分に前記ヘッド
パイプの下端を固着させてハンドル軸の下端を前方延在
部に貫通させて下方に突出させるとともに、この前方延
在部の前端部分にフロントフォーク用支持軸を下方に突
出するように立設してこの支持軸の突出部外面に前記フ
ロントフォークのブラケットを軸受を介して回動自在に
支持し、前記ハンドル軸の下端部に斜め上外側方にアー
ムを固着し、両端がボールジョイントを介して前記アー
ムの上面外側端と前記ブラケットの上面外側端に連結さ
れかつ前記前方延在部と側面視において重なってこれに
沿って延びるロッドを介してハンドル軸とフロントフォ
ークを連動させ、前記ヘッドパイプとフロントフォーク
用支持軸を互いに平行かつそれぞれ前記前方延在部と垂
直になるように後傾させて配設し、ヘッドパイプの前方
かつ前方延在部上方の空間に、収納箱を配設するととも
に、この収納箱の底壁および後壁をそれぞれ前記前方延
在部およびヘッドパイプに沿わせたものである。

〔作用〕

本発明においては、フロントフォークがヘッドパイプ
に対して前方へオフセットされるので、その分だけ前輪
とヘッドパイプとの間隔が大きくなる。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図により詳細に説明する。
第１図は本発明に係るスクータ型車両の収納装置が備え
られたスクータを示す側面図、第２図は第１図のII−II
線断面図で、これらの図において符号１で示すものはス
クータを示し、棒状の操向ハンドル２とシート３との間
に低床な略板状の足載せ台４を備えている。５は車体の
前後方向に延在する車体フレームであり、この前部には
フロントフォーク６を介して前輪７が懸架され、後部に
はユニット式スイングエンジン８を介して後輪９が懸架
されている。

前記車体フレーム５は前記操向ハンドル２を回動自在
に支持するヘッドパイプ5aと、このヘッドパイプ5aに連
結された１本の管体からなるダウンチューブ5bと、この
ダウンチューブ5bの後部から左右に分岐され前記シート
３およびユニット式スイングエンジン８を支持する図示
しない後部フレームとから構成されている。また、前記
フロントフォーク６は前輪７の左右に配された左右一対
のクッションユニット6aの上部を本発明のブラケットに
相当するブリッジ6bで連結して構成されている。

前記ダウンチューブ5bの前部は、足載せ台４の前側か
ら略鉛直方向に沿って上方へ立ち上げられ、この立ち上
がり部の上端を屈曲させてこの立ち上がり部より小さな
傾斜角度をもって前上がりに傾斜するように車体の前方
へ向けて延在している。この前方延在部を図中に符号5c
で示す。そして、この前方延在部5cの後側部分であって
前記屈曲部より僅かに前方となる部位にヘッドパイプ5a
が上方へ突設されている。このヘッドパイプ5aは、操向
ハンドル２に連結されたハンドル軸11を回動自在に支持
している。前記ハンドル軸11はヘッドパイプ5aの下端か
ら下方へ延出し、前記前方延在部5cを貫通してこれより
下方へ突出されている。また、この前方延在部5cの前端
部分には、第３図に示すように本発明に係る支持軸とし
てのステアリング軸12が下方へ突出するように立設され
ている。

このステアリング軸12の突出部外面に軸受13,14を介
して前記フロントフォーク６のブリッジ6bが回動自在に
支持されている。ここで、ステアリング軸12はその軸線
がヘッドパイプ5aの軸線と平行になるように固定されて
いる。すなわち、ヘッドパイプ5aとフロントフォーク６
とは、互いに平行になるとともに、それぞれ前記前方延
在部5cと垂直になって後傾するように配設されている。

前記ハンドル軸11のヘッドパイプ5aから突出した下端
部には、第４図に示すように車幅方向に突出するアーム
15が固定されている。16,16は両端がボールジョイント1
8,18を介して前記アーム15の上面外側端と前記ブリッジ
6bの上面外側端に連結されてアーム15とブリッジ6bとの
間に架け渡されたロッドで、ボールジョイント18,18を
介して操向ハンドル２とフロントフォーク６とが互いに
連動するように連結している。また、このロッド16は、
第１図および第４図に示すように、前記前方延在部5cと
側面視において重なりかつ前方延在部の側方でこれに沿
って延びるように構成されている。

21はヘッドパイプ5aおよびダウンチューブ5bの前側、
ならびに前輪７の上方を覆う樹脂製のフロントフェン
ダ、22はヘッドパイプ5aおよびダウンチューブ5bの後側
を覆う樹脂製のレッグシールドである。これらの部材は
ヘッドパイプ5aおよびダウンチューブ5bを前後両側から
囲むように接合されると共に、図示しないブラケットを
介して車体フレーム５に支持されている。23はヘッドパ
イプ5aと、ダウンチューブ5bのヘッドパイプ5aから前方
へ延出された部分との間に形成された空間、24はこの空
間23に配設された収納箱である。この収納箱24は、底壁
および後壁をそれぞれ前記前方延在部5cおよびヘッドパ
イプ5aに沿わせて配設されており、比較的大きな収納
物、例えば鎖線で示すヘルメット25を収納できる大きさ
に形成されている。実施例においては、収納箱24はフロ
ントフェンダ21と一体に形成され、前方へ向かって開口
されている。26は収納箱24の開口を開閉する樹脂製の蓋
体である。この蓋体26はフロントフェンダ21の表面に沿
って延在しフェンダ表面の一部を形成しており、下部が
図示しない蝶番等によってフロントフェンダ21に枢着さ
れている。また上部には、図示しないが蓋体26をフロン
トフェンダ21側に係止する施錠装置が設けられている。

このように構成されたスクータ型車両の収納装置にお
いては、フロントフォーク６をヘッドパイプ5aに対して
前方へオフセットさせることができるから、その分だけ
前輪７とヘッドパイプ5aとの間隔を大きくすることがで
きる。したがって、収納箱24を前後方向に長くし、前輪
７の後側に大容量の収納スペースを設けることができる
から、蓋体26を開閉することによって比較的形状が大き
な物を収納したり、取り出したりすることができる。

しかも、収納箱24は容量が大きいにもかかわらず、収
納された物を前輪７よりも前方へオーバーハングさせる
ことがないから、収納物を収納した状態で走行しても、
操縦安定性が低下するおそれがない。

なお、上記実施例においては、収納箱24をフロントフ
ェンダ21と一体に形成した例について説明したが本発明
はこれに限定されるものではなく、例えば収納箱24をフ
ロントフェンダ21と別体に形成し、ステー等を介してヘ
ッドパイプ5aやダウンチューブ5bに支持させるなど適宜
変更することができる。

〔発明の効果〕 以上説明したように本発明に係るスクータ型車両の収
納装置は、一本のダウンチューブを足載せ台の前側で鉛
直方向に略沿わせて上方に立ち上げてその上部を車体の
前方へ延ばし、この前方延在部の後側部分にヘッドパイ
プの下端を固着させてハンドル軸の下端を前方延在部に
貫通させて下方に突出させるとともに、前端部分にフロ
ントフォークを回動自在に支持させ、ハンドル軸とフロ
ントフォークのブラケットとを、ハンドル軸下端部のア
ームと、両端がボールジョイントを介してアームとブラ
ケットに連結されるロッドとを介して連結し、ヘッドパ
イプの前方かつ前記前方延在部の上方の空間に収納箱を
配設したため、フロントフォークを強固に支持しながら
ヘッドパイプに対して車体の前方へオフセットさせ、そ
の分だけヘッドパイプと前輪の間隔を大きくすることが
できるから、前輪より前方へオーバーハングすることな
く長い収納箱を設置できる。

また、前記前方延在部に支持軸を下方へ突出するよう
に立設し、この支持軸の突出部外面に軸受を介してフロ
ントフォークのブラケットを回動自在に連結したため、
フロントフォーク支持用軸受を前方延在部の下方に配置
できるから、前方延在部は支持軸を支持するに足りるだ
けの太さとすることができる。すなわち、前記軸受を内
蔵する場合に較べて前方延在部を太くしなくてよく、こ
の上方の収納スペースが前方延在部によって狭められる
ことがない。

さらに、前記ロッドを側面視において前方延在部と重
なるように配置したため、前方延在部の近傍で上下方向
にコンパクトに配置できる。このため、収納スペースが
ロッドにより狭められることがない。なお、このように
ロッドを配置するに当たって、ヘッドパイプとフロント
フォークを、互いに平行になりかつ前方延在部と垂直に
なるように配設したので、ロッドの両端に連結したボー
ルジョイントが無理にこじられることがなく操舵を円滑
に行える。

さらにまた、前記前方延在部を前記立ち上がり部より
小さな傾斜角度をもって前上がりに傾斜させてこれにヘ
ッドパイプを垂直になるように固着させ、前方延在部と
ヘッドパイプに収納箱の底壁と後壁を沿わせたため、大
きな収納箱を使用することができる。その上、この収納
箱の底壁が後下がりに傾斜することになって荷物を常時
後下寄りに収納することができる。荷物がこのように収
納されると、低重心になるばかりか荷物がハンドル軸に
近づくことになる。しかも、荷物自体の安定性も高い。

したがって、ヘッドパイプの前方であってダウンチュ
ーブの上方に容量の大きな収納箱を配設でき、車体の前
部に比較的形状が大きなものを収納することができる。
しかも、収納した物は前輪よりも前方へオーバーハング
することがないから、操縦安定性が低下するおそれがな
い。

加えて、ダウンチューブは、足載せ台の前側で上方へ
立ち上がる立ち上がり部の上端から屈曲して前方へ延在
させたので、前方延在部および立ち上がり部のそれぞれ
の傾斜角度を自由に設定できる。前記立ち上がり部を鉛
直方向に略沿わせて立ち上げることにより足載せ空間を
広くとることができる。また、前方延在部の前記立ち上
がり部より小さな傾斜角度をもって前上がりに傾斜する
ように車体の前方へ向けて延在させることによって、収
納スペースを広く確保しながら前輪の上下ストロークを
長くとることができる。これは、前方延在部におけるフ
ロントフォークが連結される前端部分が相対的に高い位
置に位置づけられ、前方延在部とその下方の前輪との間
隔が長くなるからである。

さらに、主の車体フレームであるダウンチューブを連
続して前方へ延在させて、ヘッドパイプおよびフロント
フォークを支持させたので、これらを強固に支持でき、
さらに、このダウンチューブを１本とすることにより、
ヘッドパイプの連結構造、フロントフォークの支持構造
が簡単でよいという利点もある。しかも収納した物は前
輪よりも前方へオーバーハングすることがないから、操
縦安定性が低下するおそれがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るスクータ型車両の収納装置が備え
られたスクータを示す側面図、第２図は第１図のII−II
線断面図、第３図は第１図のIII−III線断面図、第４図
は第１図のIV−IV線断面図である。 ４……足載せ台、5a……ヘッドパイプ、5b……ダウンチ
ューブ、６……フロントフォーク、７……前輪、23……
空間、24……収納箱。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】操向ハンドルとシートとの間に低床な略板
   状の足載せ台を有し、車体フレームのダウンチューブ
   を、前記足載せ台の下方を通して足載せ台の前側から上
   方へ立ち上げ、この立ち上がり部の上部に、ハンドル軸
   を回動自在に支持するヘッドパイプを連結し、前輪を下
   端で支持する左右一対のクッションユニットの上端どう
   しがブラケットにより連結されたフロントフォークを備
   えたスクータ型車両において、前記ダウンチューブを一
   本の管体によって形成して前記立ち上がり部を鉛直方向
   に略沿わせて立ち上げ、この立ち上がり部の上端を屈曲
   させてこの立ち上がり部より小さな傾斜角度をもって前
   上がりに傾斜するように車体の前方へ向けて延在させ、
   この前方延在部の後側部分に前記ヘッドパイプの下端を
   固着させてハンドル軸の下端を前方延在部に貫通させて
   下方に突出させるとともに、この前方延在部の前端部分
   にフロントフォーク用支持軸を下方に突出するように立
   設してこの支持軸の突出部外面に前記フロントフォーク
   のブラケットを軸受を介して回動自在に支持し、前記ハ
   ンドル軸の下端部に斜め上外側方にアームを固着し、両
   端がボールジョイントを介して前記アームの上面外側端
   と前記ブラケットの上面外側端に連結されかつ前記前方
   延在部と側面視において重なってこれに沿って延びるロ
   ッドを介してハンドル軸とフロントフォークを連動さ
   せ、前記ヘッドパイプとフロントフォーク用支持軸を互
   いに平行かつそれぞれ前記前方延在部と垂直になるよう
   に後傾させて配設し、ヘッドパイプの前方かつ前方延在
   部上方の空間に、収納箱を配設するとともに、この収納
   箱の底壁および後壁をそれぞれ前記前方延在部およびヘ
   ッドパイプに沿わせたことを特徴とするスクータ型車両
   の収納装置。