JP2543879Y2 - 記録装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、記録ヘッドまたは被記録体を相対的に移動
させるためのパルスモータを備えた記録装置に関する。

［従来技術］ 一般に、複数の記録素子を記録方向と直交する方向に
列設してなる記録ヘッドを有した記録装置は、記録ヘッ
ドまたは被記録体を記録素子の配列方向と直交した方向
にパルスモータを用いて相対移動させるのと平行して、
記録素子の全部又は一部に選択的に駆動電圧を印加する
ことにより、ドットパターンによる記録を行なえるよう
になっている。

従来、上記のような記録装置においては、パルスモー
タの駆動電圧は一定であり、パルスモータのいずれかの
励磁相に駆動電圧が印字されている時に、記録素子への
駆動電圧の印加も行なわれていた。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記の記録装置においては、パルスモ
ータの機械的負荷が増大した場合や、装置が電池駆動の
場合その電池電圧が降下した時に、記録時における記録
素子の駆動エネルギーが大きくなると、パルスモータに
供給される駆動電圧の電圧降下が著しくなり、パルスモ
ータのトルクが不足して脱調が生じてしまうことがあ
り、正確な記録動作を行なえないという問題点を有して
いた。

本考案は、上述した問題点を解決するためになされた
ものであり、記録動作時にパルスモータに供給される駆
動電圧の低下が生じても、パルスモータの脱調を防止す
ることにより、常に正確な記録動作を行ない得る記録装
置を提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するために本考案の記録装置は、電圧
供給手段からの駆動電圧を所定量昇圧してパルスモータ
に供給する昇圧手段と、ヘッド駆動手段により駆動され
る前記記録素子の数の増減に応じて前記昇圧された駆動
電圧の印加時間を増減する昇圧時間制御手段とを備えて
いる。

［作用］ 上記の構成を有する本考案の記録装置は、昇圧手段と
昇圧時間制御手段とが、パルスモータに昇圧された電圧
を、ヘッド駆動手段により駆動されるヘッドの記録素子
の数の増減に応じて増減させる印加時間だけ供給する。
このことにより、駆動させる記録素子の数の増加に伴っ
て低下するパルスモータのトルクを補うだけのトルク量
が発生するのでヘッドの駆動エネルギーが増大しパルス
モータに供給される駆動電圧が低下した場合にも、パル
スモータの脱調を防止するだけのトルクを供給すること
ができる。

［実施例］ 以下、本考案を具体化した一実施例を図面を参照して
説明する。

本実施例はサーマルプリンタを備えた電子テープライ
ターに本発明を適用した場合のものである。

第１図に示すように、テープライター本体１の上面に
は電源スイッチ２や印字ボタン３等が割り当てられたキ
ーボード４があり、その右側に文字入力用ダイヤル５が
配置されている。そして、その上部には、入力した文字
や記号等を表示するための液晶ディスプレイ（以下LC
D）６が設けられている。ダイヤル５により入力された
文字列は、後述するサーマルヘッドにより、テープライ
ターに内蔵された熱転写リボンを用いて被記録体たるテ
ープ上に印字される。

第２図に、電子テープライターの駆動部の外観図を示
す。モータホルダー10には、パルスモーター11とローラ
ホルダ12とヘッド部13が装着される。パルスモーター11
の動力はギヤを介してテープ送りローラ14に伝達され、
被記録体であるテープと熱転写リボンと（図示せず）を
サーマルヘッド15に対して移動させる構造になってい
る。ローラリリースレバー16によってプラテンローラ17
とサーマルヘッド15とは図示しないテープとリボンを挾
んで圧着／リリースされる。

第３図は、電子テープライターの制御系を示すブロッ
ク図である。キーボード４及びダイヤル５から入力され
る印字データに基づいて、CPU20はキャラクタジェネレ
ータ（CGROM）21,22からドットパターンを見出し、その
パターンをLCD6及びサーマル制御回路18に出力するよう
構成されている。また、CPU20は、印字ボタン３の操作
に従って、モータ駆動回路19へ駆動信号を出力するよう
にされている。したがって、印字ボタン３が操作される
と、モーター駆動回路19によりパルスモーター11が駆動
され、テープとリボンとをサーマルヘッド15に対して搬
送させると共に、サーマル制御回路18によりサーマルヘ
ッド15が駆動され、テープ上に所望のパターンを形成す
るようになっている。さらにCPU20は、モーター駆動回
路19に対し、サーマルヘッド15に印加されるドット数に
関連する情報を出力するようになっている。

第４図に、モータ駆動回路19の回路図を示す。電池電
源30からはパルスモーター11の駆動電圧Vbがタイオード
を介してパルスモーター11へ供給されるようになってい
る。また、電池電源30からの電圧Vbは、昇圧回路31に供
給されており、昇圧回路31は、電圧Vbをそれよりも高い
高圧Vcに昇圧する回路である。昇圧回路31から昇圧電圧
Vcはスィッチング回路33を介してパルスモーター31へ供
給されるようになっている。パルスモーター11へ供給さ
れる昇圧電圧Vcの供給時間、タイミングの制御は、CPU2
0がPORT1より制御信号を出力し、スイッチング回路33を
開閉することにより為される。即ち、PORT1から制御信
号が出力されれば、パルスモーター11には昇圧電圧Vcが
供給され、PORT1から制御信号が出力されなければ駆動
電圧Vbが供給されるものである。尚、スイッチンク回路
33はトランジスタを用いた一般的なスイッチング回路で
ある。また昇圧回路31は、例えば第６図に示すような回
路構成をしており、その動作は当業者であれば理解でき
るであろう。

上記の構成より成る電子テープライターのパルスモー
ターの動作制御を第５図のタイムチャートを参照して説
明する。尚、説明の簡略化のため、サーマルヘッド15の
発熱素子の数を８個とする。

印字ボタン３の操作をCPU20が検出すると、CPU20は予
め入力された印字データに基づいてCGROM21,22からドッ
トパターンを読出し、サーマル制御回路18にそのドット
パターンを各列毎に周期Ｔで出力する。同時にCPU20
は、パルスモーターの２相（第５図ではC,D相）に駆動
電圧Vbを印加する。

印字タイミングの時点では、発熱素子はいずれも通
電されないのであるが、CPU20はその時の通電ドット
数、即ち０を保持する。そして、の時点から所定時間
Tc経過後にＣ−Ｄ相励磁からＤ−Ａ相励磁に切換える。
この時にCPU20は、前記保持した通電ドット数に比例し
た時間幅でPORT1から制御信号を出力し、パルスモータ
ー11の２相に昇圧電圧Vcを印加する。現在、CPU20は、
通電ドット数０を保持しているので、時間幅ｔで昇圧電
圧VcをD,A相に印加する。

次に印字タイミングの時点では、発熱素子が２ドッ
ト通電され、CPU20は通電ドット数２を保持する。その
後上記と同様のタイミングで、Ｄ−Ａ相からＡ−Ｂ相励
磁に切換えるとともに、昇圧電圧Vcを時間幅4tだけ印加
する。

以下同様に、の時点では２ドットなので4t、の時
点では８ドットなので16t、の時点では１ドットな
ので2t時間だけ昇圧電圧Vcをパルスモーター11の励磁相
に印加するのである。

上記のように、CPU20が通電ドット数に比例した時間
幅でパルスモーター11に昇圧電圧Vcを供給することによ
って、パルスモーター11とサーマルヘッド15とが同時に
駆動された時に生じるパルスモーター11のトルクの低下
を、低下したトルク量だけすぐに補うので、パルスモー
ター11のトルク不足による脱調を防止することができ
る。特に本実施例では、通電ドット数に応じてトルクを
補っているので、必要なトルク量だけを補うことが可能
であり、余分な電力消費を避けるとともに、トルクの過
剰によるパルスモーター11のオーバーシュートを防止す
ることも出来る。

尚、本実施例では、昇圧電圧Vcのパルスモーター11へ
の供給タイミングを、サーマルヘッド15への通電タイミ
ングよりも後に設定していたが、通電タイミングに先立
って、若しくは同時のタイミングに設定しても実施可能
である。

また、昇圧電圧Vcの供給時間幅を、通電ドット数に比
例させて決定していたが、通電ドット数が所定値以上の
時のみに昇圧電圧を供給する方法によっても実施可能で
ある。

本実施例においては、本考案をヘッド固定・被記録媒
体移動型の電子テープライターに実施した一例を示した
が、通常のサーマルプリンタやドットプリンタのよう
な、被記録体に対してヘッドが移動する型のヘッド移動
用のパルスモーターの制御にも実施可能である。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案の記録装置においては、
記録動作時にパルスモーターに供給される駆動電圧の低
下が生じてトルクが低下した時でも、低下したトルク量
を補うことができるので、パルスモーターの脱調を防止
することができ、常に正確な記録動作を行うことが可能
である。

【図面の簡単な説明】

第１図から第６図までは本考案を具体化した実施例を示
すもので、第１図は本実施例が適用された電子テープラ
イターの斜視図、第２図は電子テープライター駆動部の
斜視図、第３図は電子テープライターの制御部のブロッ
ク図、第４図はパルスモーターの駆動回路の回路図、第
５図はパルスモーターとサーマルヘッドのタイミングチ
ャート、第６図は昇圧回路の一例を示す回路図である。 図中、11はパルスモーター、14はテープ送りローラー、
15はサーマルヘッド、17はプラテンローラ、18はサーマ
ル制御回路、19はモーター駆動回路、20はCPU、30は電
池電源、31は昇圧回路、33はスイッチング回路である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】被記録体を保持するプラテンと、そのプラ
   テンに対向し複数の記録素子を記録方向と直行する方向
   に列設してなる記録ヘッドと、前記記録素子を与えられ
   た記録データに基づいて駆動するヘッド駆動手段と、前
   記記録ヘッドまたは前記被記録体を相対的に移動させる
   ためのパルスモータを有する移動手段と、前記パルスモ
   ータに所定の駆動電圧を供給する電圧供給手段とを備え
   た記録装置において、 前記電圧供給手段からの駆動電圧を所定量昇圧して前記
   パルスモータに供給する昇圧手段と、 前記ヘッド駆動手段により駆動される前記記録素子の数
   の増減に応じて前記昇圧された駆動電圧の印加時間を増
   減する昇圧時間制御手段と を備えたことを特徴とする記録装置。