JP2540491B2 - 橋渡しクラッチ付のトルクコンバ−タの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、自動車の液圧・機械複合伝動装置における
橋渡しクラッチ付のトルクコンバータの制御装置に関す
る。

〔背景技術〕

圧力・方向切換複合弁によって、トルクコンバータの
充填、コンバータ橋渡しクラッチの投入および遮断、冷
却回路および機械伝動装置の潤滑剤供給を制御すること
が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3103838号公報で
知られている。

かかる装置は、満足すべき機能が多いにも拘わらず、
単純な構造をしているので信頼性が高い。

特に電気・液圧制御装置が装備されている自動伝動装
置の場合、切換性の一層の改善に伴って、この方式は、
橋渡しクラッチを投入する際にもはや満足できず、圧力
・方向切換複合弁においてコンバータ橋渡しクラッチの
切換を行う作用圧力の配管に、公知のようにコンバータ
橋渡しクラッチの柔らかな閉鎖を生ずるダンパーも配置
されていた。

コンバータ橋渡しにおけるかなりの改善にも拘わら
ず、同じ質の切換はコンバータクラッチの開放の際には
不十分である。

〔発明の開示〕

本発明の目的は、コンバータクラッチを開放する際に
切換衝撃が生じないようにするとともに、コンバータ内
部圧力の調整および圧力媒体を確実に冷却することにあ
る。

本発明は電磁弁を介してコンバータ橋渡しクラッチの
切換状態を制御する電子式変速装置制御装置を備えたコ
ンバータ橋渡しクラッチ付きのトルクコンバータの制御
装置に拘り、電磁弁は前記電子式変速装置制御装置に電
気的に接続されるとともに圧力媒体が供給される作用圧
力配管に取付けられ、作用圧力配管は分岐してそれぞれ
系統圧力配管から系統圧力の供給されるコンバータ圧力
弁およびコンバータクラッチ弁に接続され、コンバータ
圧力弁およびコンバータクラッチ弁はそれぞれコンバー
タ圧力配管を介してコンバータ橋渡しクラッチに接続さ
れるとともに、コンバータクラッチ弁は圧力配管を介し
てトルクコンバータと接続され、コンバータクラッチ弁
にはさらに機械伝動装置の潤滑系統配管が接続され、圧
力配管の途中に圧力媒体を冷却する冷却器が配設され、
電磁弁パルス変調方式によりオン−オフ制御されること
を特徴とする。

〔図面の簡単な説明〕

図面は本発明に基づく制御装置の一実施例の概略構成
図である。

〔発明を実施するための最良の形態〕

以下図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。

図に示すように、本実施例による制御装置において
は、弁シリンダ11と弁スプール12とを持ったコンバータ
圧力弁１が配置されている。その弁スプール12は２つの
制御ピストン13,14と１つのばね15とを有している。圧
力は系統圧力配管８を介して第１の環状室18Aに導か
れ、制御ピストン13,14の端面積およびばね15に応じて
減圧され、第２の環状室18Bおよびコンバータ圧力配管
９を介してコンバータクラッチ弁２に導かれ、またトル
クコンバータ３にそれを充填するためにピストン室32を
介して導かれる。弁シリンダ11は作用圧力配管41に通じ
ている第３の環状室18Cを有している。第４の環状室18D
は排出通路17に接続されている。

弁シリンダ21および４つの弁ピストン23,24,25,26を
持った弁スプール22を有するコンバータクラッチ弁２に
も、ばね27が配置されている。系統圧力配管８は一方で
は直接第１の環状室28Aに、一方では絞り81を介して第
４の環状室28Dに通じている。第２の環状室28Bは配管61
を介して冷却器６およびばね室27Aに接続されている。
第３の環状室28Cは配管７およびボール弁71を介して機
械伝動装置の潤滑系統に接続されている。第５の環状室
28Eはコンバータ圧力配管９に、第６の環状室28Fは作用
圧力配管41に接続されている。

トルクコンバータ３はコンバータ橋渡しクラッチ31を
有し、ピストン室32に通じているコンバータ圧力配管９
を介して充填され、その場合この圧力は同時にコンバー
タ橋渡しクラッチ31を開放状態に保持する。コンバータ
運転中に加熱された媒体は、作動室35から圧力配管34お
よび冷却器６を介して、機械伝動装置の潤滑系統に排出
される。

圧力媒体供給配管42は電磁弁４を通じており、作用圧
力配管41はコンバータ圧力弁１並びにコンバータクラッ
チ弁２に通じている。電子式変速装置制御装置（電子制
御ユニット）５から電磁弁４に通じている制御配線51を
介して、電磁弁４には所定の周期で制御信号がパルス的
に投入される。

コンバータ橋渡しクラッチ31は次のように切り換え制
御される。

コンバータ橋渡しクラッチ31が開放されている状態に
おいて、圧力媒体は図示していない系統圧力弁から系統
配管８を介して、コンバータ圧力弁１の環状室18Aに流
入する。この圧力は、ピストン13,14の面積の差とばね1
5との協働作用によって減少され、コンバータ圧力配管
９を介して環状室18Bからコンバータ橋渡しクラッチ31
のピストン室32に導かれ、ここから充填のためにトルク
コンバータ３の作動室35に導かれる。その場合コンバー
タ橋渡しクラッチ31は開放状態に維持され、ポンプラン
ナー37を介して導入されるトルクは、周知のように返還
されてタービンランナー38に伝達される。作動室35の加
熱された媒体は、圧力配管34を介して冷却器６に排出さ
れ、ここから配管61およびこの位置において相互に接続
されているコンバータクラッチ弁２の環状室28B,28Cを
介して、機械伝動装置の潤滑系統に通じている配管７に
排出される。

コンバータ橋渡しクラッチ31の閉鎖は、例えばエンジ
ンおよび出力軸回転数に応じて、電子制御ユニット５に
よって惹起される。制御配線51を介して電磁弁４に制御
信号が、作用配管41に非常にゆっくりと圧力が形成され
るように、パルス変調方式で投入される。その場合例え
ば電磁弁４は、“全開”と“全閉”との間を一定したパ
ルス幅で往復動し、開放時間と閉鎖時間の比率は制御信
号に応じて変更される。電磁弁４が開の場合には、圧力
媒体は圧力媒体供給管42から作用圧力配管41に流入し、
電磁弁４が閉の場合には、圧力媒体は排出配管43へ排出
され、作用圧力配管41には流入しない。従って電磁弁４
をパルス変調方式によりオン−オフ制御することによ
り、作用圧力配管41内の圧力媒体の圧力は徐々に上昇す
る。

コンバータ橋渡しクラッチ31が開放している状態で作
用圧力配管41内に電磁弁４で制御された圧力媒体を供給
すると、環状室18Cを介して制御ピストン14に作用圧力
配管41内の圧力が作用し、コンバータ圧力弁１の弁スプ
ール12がばね15の圧力に抗して右方向に移動し、これに
よって環状室18Aが閉鎖され、環状室18Bと18Dとが接続
され、コンバータ圧力配管９内の圧力媒体が排出通路17
を介して排出される。その場合、弁スプール12の変位お
よびコンバータ圧力配管９内の圧力媒体の排出は、作用
圧力配管41の圧力形成に応じて行われる。

すなわち、作用圧力配管41内に徐々に圧力が形成さ
れ、弁スプール12が徐々に変位することにより、コンバ
ータ圧力配管９内の圧力媒体の排出も徐々に行われる。
この結果、コンバータ圧力配管９に接続されたコンバー
タ橋渡しクラッチ31のピストン室32から、圧力媒体がゆ
っくりと排出される。

一方、コンバータクラッチ弁２の弁スプール22も、作
用圧力配管41内の圧力形成に応じて、ばね27の圧力に抗
して右方向に移動し、環状室28Aと環状室28Bとが接続さ
れ、系統圧力媒体は系統圧力配管８から配管61、冷却器
６および圧力配管34を介してトルクコンバータ３の作動
室35に送られる。この際にも、系統圧力媒体は、弁スプ
ール22の移動が徐々に行われるとともに、絞り弁81を通
じて環状室28Dに流入した少量の圧力媒体が、連通した
環状室28Cから潤滑系統配管７へ流れるので、ゆっくり
と圧力上昇する。

このようにコンバータ圧力配管９から排出通路への圧
力媒体の排出および圧力配管34からトルクコンバータ３
の作動室35への圧力媒体の供給が圧力の急上昇を伴わな
いでゆっくりと行われるので、コンバータ橋渡しクラッ
チ31が柔らかい閉鎖が可能となり、コンバータクラッチ
が閉じる（係合する）際の衝撃を回避することができ
る。

また逆に、クラッチを閉じた状態から開放（解除）す
る場合には、電子制御ユニット５からの電磁弁４に対す
る制御信号により作用圧力配管41内の圧力を徐々に低下
させると、コンバータ圧力弁１の弁スプール12およびコ
ンバータクラッチ弁２の弁スプール22は、ばね15,27の
圧力により徐々に左方向に移動する。

コンバータ圧力弁１の排出通路17が制御ピストン13に
より閉鎖され、環状室18A,18Bが連通することにより、
系統圧力配管８内の圧力媒体がコンバータ圧力配管９内
を流れてコンバータ橋渡しクラッチ31のピストン室32に
徐々に流入する。

また、コンバータクラッチ弁２は、環状室28A,28Dが
閉鎖されることにより系統圧力配管８からの圧力媒体の
流入が遮断され、環状室28B,28Cが連通することによ
り、圧力配管34内の圧力媒体が、冷却器６、配管61を通
って潤滑系統配管７へ徐々に流出する。

これによりコンバータクラッチ31がゆっくりと開放さ
れ、クラッチが開く際の衝撃が回避される。

このように本発明によれば、電子制御ユニット５で電
磁弁４をパルス変調方式で開閉制御することにより、作
用圧力配管41内の圧力形成、圧力解除をゆっくりと行う
ことができ、コンバータ圧力弁１およびコンバータクラ
ッチ弁２を徐々に作用させることにより、コンバータ橋
渡しクラッチ31の柔らかい閉鎖あるいは開放を生じさせ
ることができる。

またトルクコンバータ３内に流入あるいは流出する圧
力媒体を冷却器６を通して確実に冷却することができ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−39355（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−18851（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−84464（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−150655（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−139051（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭52−21426（ＪＰ，Ｙ２) 英国特許2081413（ＧＢ，Ａ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電磁弁（４）を介してコンバータ橋渡しク
   ラッチ（31）の切換状態を制御する電子式変速装置制御
   装置（５）を備えたコンバータ橋渡しクラッチ付きのト
   ルクコンバータ（３）の制御装置において、 前記電磁弁（４）は前記電子式変速装置制御装置（５）
   に電気的に接続されるとともに圧力媒体が供給される作
   用圧力配管（41）に取付けられ、 前記作用圧力配管（41）は分岐してそれぞれ系統圧力配
   管（８）から系統圧力の供給されるコンバータ圧力弁
   （１）およびコンバータクラッチ弁（２）に接続され、 前記コンバータ圧力弁（１）およびコンバータクラッチ
   弁（２）はそれぞれコンバータ圧力配管（９）を介して
   コンバータ橋渡しクラッチ（31）に接続されるととも
   に、前記コンバータクラッチ弁（２）は圧力配管（34）
   を介してトルクコンバータ（３）と接続され、 前記コンバータクラッチ弁（２）にはさらに機械伝動装
   置の潤滑系統配管（７）が接続され、 前記圧力配管（34）の途中に圧力媒体を冷却する冷却器
   （６）が配設され、 前記電磁弁（４）はパルス変調方式によりオン−オフ制
   御される、 ことを特徴とするコンバータ橋渡しクラッチ付きのトル
   クコンバータの制御装置。
2. 【請求項２】コンバータ圧力弁（１）は、軸方向に間隔
   をおいて設けられた第１〜第４環状室（18A〜18D）と一
   端部に設けられたばね室（15A）とを有する弁シリンダ
   （11）と、この弁シリンダ（11）内に摺動自在に配設さ
   れ軸方向に間隔をおいて２つの制御ピストン（13,14）
   が形成された弁スプール（12）と、前記ばね室（15A）
   内に配設され前記弁スプール（12）に作用するばね（1
   5）とからなり、 前記コンバータクラッチ弁（２）は、軸方向に間隔をお
   いて設けられた第１〜第６環状室（28A〜28F）と一端部
   に設けられたばね室（27A）とを有する弁シリンダ（2
   1）と、この弁シリンダ（21）内に摺動自在に配設され
   軸方向に間隔をおいて４つの制御ピストン（23〜26）が
   形成された弁スプール（22）と、前記ばね室（27A）内
   に配設された前記弁スプール（22）に作用するばね（2
   7）とからなり、 前記作用圧力配管（41）は、コンバータ圧力弁（１）の
   他端部に設けられた第３環状室（18C）およびコンバー
   タクラッチ弁（２）の他端部に設けられた第６環状室
   （28F）に接続され、 前記コンバータ圧力弁（１）の、第１環状室（18A）は
   系統圧力配管（８）に、第４環状室（18D）は外部への
   排出通路にそれぞれ接続され、第２環状室（18B）はコ
   ンバータ圧力配管（９）を介してコンバータクラッチ弁
   （２）の第５環状室（28E）およびコンバータ橋渡しク
   ラッチ（31）のピストン室（32）に接続され、 前記コンバータクラッチ弁（２）の第１、第４環状室
   （28A,28D）は系統圧力配管（８）に接続されるととも
   に、第３環状室（28C）は機械伝動装置の潤滑系統配管
   （７）に接続され、第２環状室（28B）およびばね室（2
   7A）は配管（61）を介して冷却器（６）に接続されてい
   る ことを特徴とする請求項１記載の制御装置。
3. 【請求項３】電磁弁（４）には圧力媒体を排出する排出
   配管（43）が接続されていることを特徴とする請求項１
   記載の制御装置。