JP2535207B2 - 圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維およびその製造法 - Google Patents
圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維およびその製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維およびそ
の製造方法に関する。
の製造方法に関する。
(従来の技術) ピッチを原料として高強度、高弾性の炭素繊維を製造
する方法が種々検討されている。
する方法が種々検討されている。
しかし、ピッチ系炭素繊維を用いた複合材料(CFRP)
はポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いたCFR
Pに比べ、その圧縮物性、特に圧縮強度が著しく劣ると
いう欠点があり、圧縮強度についてはPAN系炭素繊維と
同等以上のものは得られないとされていた。
はポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いたCFR
Pに比べ、その圧縮物性、特に圧縮強度が著しく劣ると
いう欠点があり、圧縮強度についてはPAN系炭素繊維と
同等以上のものは得られないとされていた。
(本発明が解決しようとする課題) CFRPの圧縮物性を改善させるためには炭素繊維そのも
のの圧縮物性を向上させる必要がある。
のの圧縮物性を向上させる必要がある。
本発明者らは圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維を得
ることを目的として鋭意研究を行ったところ、本出願人
の出願に係る特開昭61−155491号で開示したピッチを用
いて得られる炭素繊維が高強度、高弾性率を有するのみ
ならず、圧縮物性が従来のピッチ系炭素繊維に比べて優
れていることが確認された。
ることを目的として鋭意研究を行ったところ、本出願人
の出願に係る特開昭61−155491号で開示したピッチを用
いて得られる炭素繊維が高強度、高弾性率を有するのみ
ならず、圧縮物性が従来のピッチ系炭素繊維に比べて優
れていることが確認された。
本発明者らはさらに研究を重ねたところ、この炭素繊
維用ピッチをきわめて限定された条件下に製造した場合
には圧縮物性が著しく向上することを見いだしたもので
ある。
維用ピッチをきわめて限定された条件下に製造した場合
には圧縮物性が著しく向上することを見いだしたもので
ある。
本発明によれば驚くべきことに従来のPAN系炭素繊維
と同等の圧縮強度を得ることさえ困難とされていたピッ
チ系炭素繊維において、高弾性領域では同等どころかPA
N系炭素繊維をはるかに凌駕し、PAN系炭素繊維でさえ達
成し得なかった圧縮強度を得ることを可能とするに至っ
たものである。
と同等の圧縮強度を得ることさえ困難とされていたピッ
チ系炭素繊維において、高弾性領域では同等どころかPA
N系炭素繊維をはるかに凌駕し、PAN系炭素繊維でさえ達
成し得なかった圧縮強度を得ることを可能とするに至っ
たものである。
以下、本発明を詳述する。
(課題を解決するための手段) 本発明は炭素質ピッチを固定床に設置した水素化触媒
の存在下に連続的に水素化を行い、ピッチ分子当たり2
モル以上の水素を付加させた後、該水素化ピッチを常圧
もしくは減圧下に熱処理して光学的異方性ピッチとな
し、この光学的異方性のピッチのうち25℃における溶解
度パラメーターが7.4〜9.0の有機溶剤に不溶で、かつ25
℃における溶解度パラメーターが9.2〜11.0の有機溶剤
に可溶な成分を採取して得られる光学的異方性相を5〜
40vol%含有する紡糸用ピッチを紡糸した後、不融化処
理および炭化処理することを特徴とするピッチ系炭素繊
維の製造方法に関する。
の存在下に連続的に水素化を行い、ピッチ分子当たり2
モル以上の水素を付加させた後、該水素化ピッチを常圧
もしくは減圧下に熱処理して光学的異方性ピッチとな
し、この光学的異方性のピッチのうち25℃における溶解
度パラメーターが7.4〜9.0の有機溶剤に不溶で、かつ25
℃における溶解度パラメーターが9.2〜11.0の有機溶剤
に可溶な成分を採取して得られる光学的異方性相を5〜
40vol%含有する紡糸用ピッチを紡糸した後、不融化処
理および炭化処理することを特徴とするピッチ系炭素繊
維の製造方法に関する。
上記の本発明方法により得られる炭素繊維は従来のピ
ッチ系炭素繊維では到達し得なかった圧縮特性を有して
いる。より具体的にいえば、本発明のピッチ系炭素繊維
は新規な構造を有しており、X線回折で測定したLaおよ
びLcの値がいずれも1000Å以下であり、透過電子顕微鏡
で繊維軸方向を観察したときのフィブリルの幅が1000Å
以下の組織が炭素繊維全体の50体積%以上であり、かつ
密度が1.95〜2.12g/cm3の範囲にあってX線回折で測定
した層間隔d002と密度ρが3.82≦d002+0.212ρ≦3.87
の関係を具備している。層間隔d002と密度ρが3.82≦d
002+0.212ρ≦3.87の範囲に満たない炭素繊維は圧縮強
度は優れるが引張弾性率や引張強度が劣り、該範囲を越
える炭素繊維は圧縮強度が不足するこれに対し該範囲を
満たす場合は圧縮強度に優れかつ高弾性率、高強度を示
す。
ッチ系炭素繊維では到達し得なかった圧縮特性を有して
いる。より具体的にいえば、本発明のピッチ系炭素繊維
は新規な構造を有しており、X線回折で測定したLaおよ
びLcの値がいずれも1000Å以下であり、透過電子顕微鏡
で繊維軸方向を観察したときのフィブリルの幅が1000Å
以下の組織が炭素繊維全体の50体積%以上であり、かつ
密度が1.95〜2.12g/cm3の範囲にあってX線回折で測定
した層間隔d002と密度ρが3.82≦d002+0.212ρ≦3.87
の関係を具備している。層間隔d002と密度ρが3.82≦d
002+0.212ρ≦3.87の範囲に満たない炭素繊維は圧縮強
度は優れるが引張弾性率や引張強度が劣り、該範囲を越
える炭素繊維は圧縮強度が不足するこれに対し該範囲を
満たす場合は圧縮強度に優れかつ高弾性率、高強度を示
す。
本発明に用いる炭素質ピッチは特に制限はないが、石
油系ピッチ、石炭系ピッチが好ましい。
油系ピッチ、石炭系ピッチが好ましい。
この炭素質ピッチを水素化触媒の存在下に水素化を行
い、ピッチ分子当たり2モル以上の水素を付加させる。
水素化触媒としては、ゼオライト、シリカ、アルミナ、
シリカゲル等の無機固体を担体として、クロム、モリブ
デンなどの周期律表第VI B族金属あるいはコバルト、ニ
ッケル、パラジウム、白金などの周期律表第VIII族金属
を金属の形でまたは酸化物の形で前記単体に担持させた
ものを使用できる。
い、ピッチ分子当たり2モル以上の水素を付加させる。
水素化触媒としては、ゼオライト、シリカ、アルミナ、
シリカゲル等の無機固体を担体として、クロム、モリブ
デンなどの周期律表第VI B族金属あるいはコバルト、ニ
ッケル、パラジウム、白金などの周期律表第VIII族金属
を金属の形でまたは酸化物の形で前記単体に担持させた
ものを使用できる。
水素化条件は使用する触媒の種類により異なるが、通
常、温度が150〜450℃、圧力が30〜250Kg/cm2・G、空
間速度(LHSV)が0.15〜3.0で行われる。
常、温度が150〜450℃、圧力が30〜250Kg/cm2・G、空
間速度(LHSV)が0.15〜3.0で行われる。
水素化によりピッチ分子の芳香族炭化水素の芳香族核
を部分的に核水素化し、ピッチ分子当たり2モル以上、
好ましくは2〜13モル、特に好ましくは3〜9モルの水
素を付加させる。
を部分的に核水素化し、ピッチ分子当たり2モル以上、
好ましくは2〜13モル、特に好ましくは3〜9モルの水
素を付加させる。
水素化されたピッチは、次に常圧もしくは減圧下に熱
処理を施して光学的異方性相を5〜100vol%含有するピ
ッチとする。
処理を施して光学的異方性相を5〜100vol%含有するピ
ッチとする。
熱処理は通常340〜500℃、好ましくは370〜450℃で1
分〜30時間熱処理することにより光学的異方性相を5〜
100vol%、好ましくは5〜60vol%、より好ましくは5
〜40vol%含有するピッチを得る。熱処理に際して、窒
素等の不活性ガスを通気しながら行うことも好ましく採
用される。不活性ガスの通気量は0.7〜5.0scfh/lbピッ
チが好ましく用いられる。
分〜30時間熱処理することにより光学的異方性相を5〜
100vol%、好ましくは5〜60vol%、より好ましくは5
〜40vol%含有するピッチを得る。熱処理に際して、窒
素等の不活性ガスを通気しながら行うことも好ましく採
用される。不活性ガスの通気量は0.7〜5.0scfh/lbピッ
チが好ましく用いられる。
次に前記の如く得られた光学的異方性相を5〜100vol
%含有する光学的異方性ピッチのうち25℃における溶解
度パラメーターが7.4〜9.0、好ましくは7.6〜8.4の有機
溶剤に不溶で、かつ25℃における溶解度パラメーターが
9.2〜11.0、好ましくは10.0〜10.8の有機溶剤に可溶な
成分を採取することにより光学的異方性相を5〜40vol
%含有する紡糸用ピッチを得る。
%含有する光学的異方性ピッチのうち25℃における溶解
度パラメーターが7.4〜9.0、好ましくは7.6〜8.4の有機
溶剤に不溶で、かつ25℃における溶解度パラメーターが
9.2〜11.0、好ましくは10.0〜10.8の有機溶剤に可溶な
成分を採取することにより光学的異方性相を5〜40vol
%含有する紡糸用ピッチを得る。
溶剤抽出の順序は特に限定されないが、好ましくは前
記光学的異方性ピッチを7.4〜9.0の溶解度パラメーター
を有する有機溶剤で抽出処理して不溶分を採取し、引き
続き、該不溶分を9.2〜11.0の溶解度パラメーターを有
する有機溶剤で抽出処理して可溶分を採取することによ
り行う。
記光学的異方性ピッチを7.4〜9.0の溶解度パラメーター
を有する有機溶剤で抽出処理して不溶分を採取し、引き
続き、該不溶分を9.2〜11.0の溶解度パラメーターを有
する有機溶剤で抽出処理して可溶分を採取することによ
り行う。
有機溶剤による抽出処理は、通常、常圧あるいは加圧
下にて、常温あるいは昇温下(例えば15〜230℃)にて
行われる。またピッチと有機溶剤との混合割合は、圧
力、温度等の条件により任意に変え得るものであるが、
通常ピッチ1部に対し有機溶剤10〜150部が用いられ
る。
下にて、常温あるいは昇温下(例えば15〜230℃)にて
行われる。またピッチと有機溶剤との混合割合は、圧
力、温度等の条件により任意に変え得るものであるが、
通常ピッチ1部に対し有機溶剤10〜150部が用いられ
る。
本発明において、7.4〜9.0の溶解度パラメーターを有
する有機溶剤とは、有機溶剤それ単独で該範囲の溶解度
パラメーターを有するものはもちろんのこと、2種以上
の溶剤を混合して溶解度パラメーターが7.4〜9.0の範囲
内となるよう調整したものも本発明において使用され
る。この場合、2種以上のいずれの有機溶剤の溶解度パ
ラメーターが、それぞれ単独では7.4〜9.0の範囲外であ
っても、混合することによって7.4〜9.0の範囲内に調整
されていればよい。9.2〜11.0の溶解度パラメーターを
有する有機溶剤についても同様である。
する有機溶剤とは、有機溶剤それ単独で該範囲の溶解度
パラメーターを有するものはもちろんのこと、2種以上
の溶剤を混合して溶解度パラメーターが7.4〜9.0の範囲
内となるよう調整したものも本発明において使用され
る。この場合、2種以上のいずれの有機溶剤の溶解度パ
ラメーターが、それぞれ単独では7.4〜9.0の範囲外であ
っても、混合することによって7.4〜9.0の範囲内に調整
されていればよい。9.2〜11.0の溶解度パラメーターを
有する有機溶剤についても同様である。
単独で7.4〜9.0の溶解度パラメーターを有する有機溶
剤の具体例(カッコ内は溶解度パラメーターを示す)と
しては、四塩化炭素(8.6)、1,1−ジクロロエタン(8.
9)、1,2−ジクロロプロパン(9.0)、プロピルクロラ
イド(8.4)、メチルエチルエーテル(7.6)、フラン
(8.4)、1−クロロブタン(8.4)、t−ブチルクロラ
イド(7.5)、ジエチルエーテル(7.4)、イソブチルア
ミン(8.5)、シクロヘキサン(8.2)、キシレン(8.
8)、オクタン(7.6)、クメン(8.8)が挙げられる。
剤の具体例(カッコ内は溶解度パラメーターを示す)と
しては、四塩化炭素(8.6)、1,1−ジクロロエタン(8.
9)、1,2−ジクロロプロパン(9.0)、プロピルクロラ
イド(8.4)、メチルエチルエーテル(7.6)、フラン
(8.4)、1−クロロブタン(8.4)、t−ブチルクロラ
イド(7.5)、ジエチルエーテル(7.4)、イソブチルア
ミン(8.5)、シクロヘキサン(8.2)、キシレン(8.
8)、オクタン(7.6)、クメン(8.8)が挙げられる。
単独で9.2〜11.0の溶解度パラメーターを有する有機
溶剤の具体例としては、二硫化炭素(10.0)、クロロホ
ルム(9.3)、ジクロロメタン(9.7)、1,1,2−トリク
ロロエタン(9.6)、アセトン(10.0)、メチルエチル
ケトン(9.3)、ピリジン(10.6)、ジクロロベンゼン
(10.0)、クロロベンゼン(9.5)、ベンゼン(9.2)、
ナフタレン(10.6)、ニトロベンゼン(10.2)が挙げら
れる。
溶剤の具体例としては、二硫化炭素(10.0)、クロロホ
ルム(9.3)、ジクロロメタン(9.7)、1,1,2−トリク
ロロエタン(9.6)、アセトン(10.0)、メチルエチル
ケトン(9.3)、ピリジン(10.6)、ジクロロベンゼン
(10.0)、クロロベンゼン(9.5)、ベンゼン(9.2)、
ナフタレン(10.6)、ニトロベンゼン(10.2)が挙げら
れる。
2種以上の有機溶剤を混合することによって所定の溶
解度パラメーターを有するものとする場合は任意の組み
合わせが可能である。
解度パラメーターを有するものとする場合は任意の組み
合わせが可能である。
かくして、光学的異方性相を5〜40vol%、好ましく
は5〜35vol%、さらに好ましくは10〜30vol%含有する
本発明の紡糸用ピッチを得る。
は5〜35vol%、さらに好ましくは10〜30vol%含有する
本発明の紡糸用ピッチを得る。
本発明の紡糸用ピッチは溶剤抽出処理により得られる
ため、紡糸の際に問題となる不溶性固形分等を実質的に
含有していないと思われるが予め不溶性固形分等を除去
するための工程を設けることも好ましく採用される。こ
の場合、紡糸が行われる以前であれば、いずれの段階に
おいて設けてもよいが、好ましくは水素化処理を施した
後に行うことにより不溶性固形分、触媒残渣等を効果的
に除去し得る。
ため、紡糸の際に問題となる不溶性固形分等を実質的に
含有していないと思われるが予め不溶性固形分等を除去
するための工程を設けることも好ましく採用される。こ
の場合、紡糸が行われる以前であれば、いずれの段階に
おいて設けてもよいが、好ましくは水素化処理を施した
後に行うことにより不溶性固形分、触媒残渣等を効果的
に除去し得る。
不溶性固形分等を除去する方法としては公知の方法が
採用でき、例えば遠心分離法、濾過法、吸着法等を用い
ることができる。
採用でき、例えば遠心分離法、濾過法、吸着法等を用い
ることができる。
紡糸用ピッチは押出法、遠心法等の公知の方法にて溶
融紡糸を行いピッチ繊維とする。溶融紡糸は公知の条件
下に行い得るが、本発明の目的とする圧縮物性に優れた
炭素繊維を得るためには特に溶融粘度を500〜9000ポア
ズ、好ましくは1500〜7000ポアズとし、巻取張力を25mg
/本以上の条件が好ましく採用される。
融紡糸を行いピッチ繊維とする。溶融紡糸は公知の条件
下に行い得るが、本発明の目的とする圧縮物性に優れた
炭素繊維を得るためには特に溶融粘度を500〜9000ポア
ズ、好ましくは1500〜7000ポアズとし、巻取張力を25mg
/本以上の条件が好ましく採用される。
溶融紡糸されて得られるピッチ繊維は、次に酸化性ガ
ス雰囲気下で不融化処理が施される。酸化性ガスとして
は、通常、酸素、オゾン、空気、窒素酸化物、ハロゲ
ン、亜硫酸ガス等の酸化性ガスを1種あるいは2種以上
用いる。この不融化処理は、被処理体である溶融紡糸さ
れたピッチ繊維が軟化変形しない温度条件下で実施され
る。例えば20〜360℃、好ましくは20〜300℃の温度が採
用される。また処理時間は通常、5分〜10時間である。
ス雰囲気下で不融化処理が施される。酸化性ガスとして
は、通常、酸素、オゾン、空気、窒素酸化物、ハロゲ
ン、亜硫酸ガス等の酸化性ガスを1種あるいは2種以上
用いる。この不融化処理は、被処理体である溶融紡糸さ
れたピッチ繊維が軟化変形しない温度条件下で実施され
る。例えば20〜360℃、好ましくは20〜300℃の温度が採
用される。また処理時間は通常、5分〜10時間である。
不融化処理されたピッチ繊維は、次に不活性ガス雰囲
気下で炭化処理を施して本発明のピッチ系炭素繊維を得
る。炭化は通常600℃〜3500℃で行う。炭化処理に要す
る時間は通常、0.5分〜10時間である。
気下で炭化処理を施して本発明のピッチ系炭素繊維を得
る。炭化は通常600℃〜3500℃で行う。炭化処理に要す
る時間は通常、0.5分〜10時間である。
かくして得られる本発明のピッチ系炭素繊維は、圧縮
物性、特に圧縮強度が著しく優れており、新規な構造を
有している。すなわち、本発明のピッチ系炭素繊維を繊
維軸方向にミクロトームで超薄切片にし、電子顕微鏡で
内部組織を観察するとフィブリルの幅が1000Å以下であ
る微細な組織を50体積%以上含有している。フィブリル
とは細くて長い伸びた組織の構造要素であり、炭素繊維
の繊維軸に平行な方向の超薄切片(厚さ:800〜1200Å)
を電子顕微鏡で観察することにより、その大きさを測定
できる。
物性、特に圧縮強度が著しく優れており、新規な構造を
有している。すなわち、本発明のピッチ系炭素繊維を繊
維軸方向にミクロトームで超薄切片にし、電子顕微鏡で
内部組織を観察するとフィブリルの幅が1000Å以下であ
る微細な組織を50体積%以上含有している。フィブリル
とは細くて長い伸びた組織の構造要素であり、炭素繊維
の繊維軸に平行な方向の超薄切片(厚さ:800〜1200Å)
を電子顕微鏡で観察することにより、その大きさを測定
できる。
また本発明のピッチ系炭素繊維をX線回折で測定する
とLaおよびLcの値がいずれも1000Å以下にある。そして
密度が1.95〜2.12g/cm3の範囲にあって、X線回折で測
定した層間隔d002と密度ρが3.82≦d002+0.212ρ≦3.8
7の関係を具備している。
とLaおよびLcの値がいずれも1000Å以下にある。そして
密度が1.95〜2.12g/cm3の範囲にあって、X線回折で測
定した層間隔d002と密度ρが3.82≦d002+0.212ρ≦3.8
7の関係を具備している。
従来のピッチ系炭素繊維はこの関係を満足することは
ない。
ない。
(発明の効果) 後記、実施例から明らかなように本発明のピッチ系炭
素繊維は引張強度および引張弾性率に優れているのみな
らず、圧縮強度が著しく高いという特徴を有する。そし
て繊維軸方向に平行な断面構造を観察すると幅1000Å以
下のフィブリルからなる微細な構造を有し、これらフィ
ブリルは繊維軸方向に整然と配列すると共にフィブリル
間に多数のからみ合いが存在するという非常に強固な組
織構造を有する。
素繊維は引張強度および引張弾性率に優れているのみな
らず、圧縮強度が著しく高いという特徴を有する。そし
て繊維軸方向に平行な断面構造を観察すると幅1000Å以
下のフィブリルからなる微細な構造を有し、これらフィ
ブリルは繊維軸方向に整然と配列すると共にフィブリル
間に多数のからみ合いが存在するという非常に強固な組
織構造を有する。
(実施例) 以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらに制限されるものではない。
発明はこれらに制限されるものではない。
実施例 1 アラビア系原油の減圧軽油をシリカ・アルミナ系触媒
で495℃にて接触分解して得られた重質油(性状を第1
表に示す)を圧力15kg/cm2・G、温度430℃にて3時間
熱処理した後、250℃/1mmHgで蒸留して軟化点85℃、ベ
ンゼン不溶分25%の原料ピッチを得た。
で495℃にて接触分解して得られた重質油(性状を第1
表に示す)を圧力15kg/cm2・G、温度430℃にて3時間
熱処理した後、250℃/1mmHgで蒸留して軟化点85℃、ベ
ンゼン不溶分25%の原料ピッチを得た。
この原料ピッチをニッケル−モリブデン担持触媒の固
定床に温度340℃、水素圧力150kg/cm2・G、LHSV0.25で
連続的に処理した後、触媒残渣、不溶性固形を0.5μm
のフィルターで加圧濾過してピッチ1分子当たり9モル
の水素が付加した軟化点35℃、ベンゼン不溶分0.8wt%
の水添ピッチを得た。
定床に温度340℃、水素圧力150kg/cm2・G、LHSV0.25で
連続的に処理した後、触媒残渣、不溶性固形を0.5μm
のフィルターで加圧濾過してピッチ1分子当たり9モル
の水素が付加した軟化点35℃、ベンゼン不溶分0.8wt%
の水添ピッチを得た。
この水添ピッチ30gに対し、窒素を1200ml/分で通気し
ながら撹拌し、400℃で3時間熱処理を行って軟化点197
℃、メソフェース含有量40vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
ながら撹拌し、400℃で3時間熱処理を行って軟化点197
℃、メソフェース含有量40vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
この光学的異方性ピッチを微粉砕した後、該ピッチ3g
に対しヘキサン(50vol%)−ベンゼン(50vol%)混合
溶剤(溶解度パラメーター:7.9)100mlの割合にて、60
℃で抽出処理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶
分に採取した。
に対しヘキサン(50vol%)−ベンゼン(50vol%)混合
溶剤(溶解度パラメーター:7.9)100mlの割合にて、60
℃で抽出処理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶
分に採取した。
次に該ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分3gに対しベ
ンゼン(85vol%)−キノリン(15vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:9.5)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
ンゼン(85vol%)−キノリン(15vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:9.5)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
該ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分から溶剤を除去
して軟化点193℃、メソフェース含有量20vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
して軟化点193℃、メソフェース含有量20vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
かく調製された炭素繊維用ピッチをノズル径0.2mm
φ、L/D=1の紡糸器を用い、溶融粘度6500ポアズ、巻
取張力35mg/本で紡糸し、糸径12μmのピッチ繊維を得
た。
φ、L/D=1の紡糸器を用い、溶融粘度6500ポアズ、巻
取張力35mg/本で紡糸し、糸径12μmのピッチ繊維を得
た。
次いで、ピッチ繊維をNO2を2vol%含有する酸素中で
2℃/分で300℃まで昇温し2分間保持した後、窒素中
で10℃/分で650℃まで昇温し30分間保持し、次いで窒
素中で100℃/分で2500℃まで昇温して加熱処理を行い
炭素繊維を得た。
2℃/分で300℃まで昇温し2分間保持した後、窒素中
で10℃/分で650℃まで昇温し30分間保持し、次いで窒
素中で100℃/分で2500℃まで昇温して加熱処理を行い
炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維の結晶子サイズLcは190Å,Laは195
Å,層間隔は3.384Å,密度は2.08であり、引張強度は4
10kg/mm2,ヤング率は62ton/mm2,圧縮強度は95kg/mm2で
あった。
Å,層間隔は3.384Å,密度は2.08であり、引張強度は4
10kg/mm2,ヤング率は62ton/mm2,圧縮強度は95kg/mm2で
あった。
この炭素繊維の内部構造を第1図に示す。第1図は繊
維軸に平行な方向の超薄切片の透過型電子顕微鏡写真で
ある。第1図から明らかなように幅200〜500Å、長さ10
00Å以上のフィブリルが繊維軸に平行な方向に配列して
いると共に、これらフィブリル間に多数のからみ合いが
存在する組織を70体積%以上含有している。
維軸に平行な方向の超薄切片の透過型電子顕微鏡写真で
ある。第1図から明らかなように幅200〜500Å、長さ10
00Å以上のフィブリルが繊維軸に平行な方向に配列して
いると共に、これらフィブリル間に多数のからみ合いが
存在する組織を70体積%以上含有している。
実施例 2 市販の石油ピッチ(A−240)を実施例1の方法で水
素化処理を行い、ピッチ1分子当たり5モルの水素が付
加した軟化点74℃、ベンゼン不溶分0.3wt%の水添ピッ
チを得た。
素化処理を行い、ピッチ1分子当たり5モルの水素が付
加した軟化点74℃、ベンゼン不溶分0.3wt%の水添ピッ
チを得た。
この水添ピッチ30gに対し、窒素を1200ml/分で通気し
ながら撹拌し、400℃で7時間熱処理を行って軟化点245
℃、メソフェース含有量50vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
ながら撹拌し、400℃で7時間熱処理を行って軟化点245
℃、メソフェース含有量50vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
この光学的異方性ピッチを微粉砕した後、実施例1と
同様の方法でヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分を採取
し、次いで該不溶分3gに対しクロルベンゼン(溶解度パ
ラメーター:9.5)100mlの割合で、80℃で抽出処理を行
い、クロルベンゼン可溶分を採取し、溶剤を除去して軟
化点205℃、メソフェース含有量10vol%の炭素繊維用ピ
ッチを得た。
同様の方法でヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分を採取
し、次いで該不溶分3gに対しクロルベンゼン(溶解度パ
ラメーター:9.5)100mlの割合で、80℃で抽出処理を行
い、クロルベンゼン可溶分を採取し、溶剤を除去して軟
化点205℃、メソフェース含有量10vol%の炭素繊維用ピ
ッチを得た。
かく調製された炭素繊維用ピッチを実施例1で用いた
紡糸器を用い、溶融粘度5600ポアズ、巻取張力28mg/本
で紡糸し、糸径10.8μmのピッチ繊維となし、実施例1
と同様の方法で炭素繊維を得た。
紡糸器を用い、溶融粘度5600ポアズ、巻取張力28mg/本
で紡糸し、糸径10.8μmのピッチ繊維となし、実施例1
と同様の方法で炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維のLcは120Å,Laは150Å,層間隔は
3.405Å,密度は2.04であり、引張強度は355kg/mm2,ヤ
ング率は45ton/mm2,圧縮強度は83kg/mm2であった。
3.405Å,密度は2.04であり、引張強度は355kg/mm2,ヤ
ング率は45ton/mm2,圧縮強度は83kg/mm2であった。
この炭素繊維の内部構造を第2図に示す。第2図から
明らかなように幅100〜400Å、長さ1000Å以上のフィブ
リルが繊維軸に平行な方向に配列していると共に、これ
らフィブリル間に多数のからみ合いが存在する組織を80
体積%以上含有している。
明らかなように幅100〜400Å、長さ1000Å以上のフィブ
リルが繊維軸に平行な方向に配列していると共に、これ
らフィブリル間に多数のからみ合いが存在する組織を80
体積%以上含有している。
実施例 3 実施例1の水添ピッチ30gに対し、窒素を1200ml/分で
通気しながら撹拌し、400℃で2.5時間熱処理を行って軟
化点193℃、メソフェース含有量20vol%の光学的異方性
ピッチを得た。
通気しながら撹拌し、400℃で2.5時間熱処理を行って軟
化点193℃、メソフェース含有量20vol%の光学的異方性
ピッチを得た。
この光学的異方性ピッチを微粉砕した後、該ピッチ3g
に対しヘキサン(60vol%)−ベンゼン(40vol%)混合
溶剤(溶解度パラメーター:8.0)100mlの割合にて、60
℃で抽出処理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶
分を採取した。
に対しヘキサン(60vol%)−ベンゼン(40vol%)混合
溶剤(溶解度パラメーター:8.0)100mlの割合にて、60
℃で抽出処理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶
分を採取した。
次に該ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分3gに対しベ
ンゼン(95vol%)−キノリン(5vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:9.1)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
ンゼン(95vol%)−キノリン(5vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:9.1)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
該ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分から溶剤を除去
して軟化点188℃、メソフェース含有量10vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
して軟化点188℃、メソフェース含有量10vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
かく調製された炭素繊維用ピッチを実施例1で用いた
紡糸器を用い、溶融粘度6300ポアズ、巻取張力40mg/本
で溶融紡糸した後、実施例1と同様の方法で不融化およ
び炭化処理して炭素繊維を得た。
紡糸器を用い、溶融粘度6300ポアズ、巻取張力40mg/本
で溶融紡糸した後、実施例1と同様の方法で不融化およ
び炭化処理して炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維のLcは210Å,Laは200Å,層間隔は
3.385Å,密度は2.08であり、引張強度は370kg/mm2,ヤ
ング率は58ton/mm2,圧縮強度は105kg/mm2であった。
3.385Å,密度は2.08であり、引張強度は370kg/mm2,ヤ
ング率は58ton/mm2,圧縮強度は105kg/mm2であった。
この炭素繊維の内部構造を第3図に示す。第3図から
明らかなように幅100〜400Å、長さ1000Å以上のフィブ
リルが繊維軸に平行な方向に配列していると共に、これ
らフィブリル間に非常に多数のからみ合いが存在する組
織を80体積%以上含有している。
明らかなように幅100〜400Å、長さ1000Å以上のフィブ
リルが繊維軸に平行な方向に配列していると共に、これ
らフィブリル間に非常に多数のからみ合いが存在する組
織を80体積%以上含有している。
比較例 1 実施例1で用いたメソフェース含有量40vol%の光学
的異方性ピッチを用いて、実施例1と同様の方法で溶融
紡糸が行ったところ、糸切れが頻発し連続的に紡糸する
ことができなかった。
的異方性ピッチを用いて、実施例1と同様の方法で溶融
紡糸が行ったところ、糸切れが頻発し連続的に紡糸する
ことができなかった。
比較例 2 実施例1で用いた原料ピッチを水素化処理して、ピッ
チ1分子当たり0.5モルの水素が付加した軟化点73℃、
ベンゼン不溶分14wt%の水添ピッチを得た。
チ1分子当たり0.5モルの水素が付加した軟化点73℃、
ベンゼン不溶分14wt%の水添ピッチを得た。
この水添ピッチ30gに対し、窒素を1200ml/分で通気し
ながら撹拌し、400℃で2時間熱処理を行って軟化点223
℃、メソフェース含有量45vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
ながら撹拌し、400℃で2時間熱処理を行って軟化点223
℃、メソフェース含有量45vol%の光学的異方性ピッチ
を得た。
この光学的異方性ピッチを微粉砕した後、実施例1と
同様の方法で抽出処理を行い、軟化点208℃、メソフェ
ース含有量30vol%の炭素繊維用ピッチを得た。
同様の方法で抽出処理を行い、軟化点208℃、メソフェ
ース含有量30vol%の炭素繊維用ピッチを得た。
かく調製された炭素繊維用ピッチを実施例1で用いた
紡糸器を用い、溶融粘度1800ポアズ、巻取張力25mg/本
で溶融紡糸した後、実施例1と同様の方法で不融化およ
び炭化処理して炭素繊維を得た。
紡糸器を用い、溶融粘度1800ポアズ、巻取張力25mg/本
で溶融紡糸した後、実施例1と同様の方法で不融化およ
び炭化処理して炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維の引張強度は270kg/mm2,ヤング率は
48ton/mm2,圧縮強度は63kg/mm2であった。
48ton/mm2,圧縮強度は63kg/mm2であった。
この炭素繊維の内部構造は繊維軸に平行な方向に幅30
0〜800Å、長さ1000Å以上のフィブリルが配向してお
り、これらフィブリル間にからみ合いが存在する組織を
45体積%以上含有している。
0〜800Å、長さ1000Å以上のフィブリルが配向してお
り、これらフィブリル間にからみ合いが存在する組織を
45体積%以上含有している。
比較例 3 実施例2で用いたメソフェース含有量50vol%の光学
的異方性ピッチを微粉砕した後、該ピッチ3gに対しヘキ
サン(50vol%)−ベンゼン(50vol%)混合溶剤(溶解
度パラメーター:7.9)100mlの割合にて、60℃で抽出処
理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分を採取し
た。
的異方性ピッチを微粉砕した後、該ピッチ3gに対しヘキ
サン(50vol%)−ベンゼン(50vol%)混合溶剤(溶解
度パラメーター:7.9)100mlの割合にて、60℃で抽出処
理を行い、ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分を採取し
た。
次に該ヘキサン−ベンゼン混合溶剤不溶分3gに対しキ
シレン(45vol%)−キノリン(55vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:10.5)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
シレン(45vol%)−キノリン(55vol%)混合溶剤(溶
解度パラメーター:10.5)100mlの割合にて、80℃で抽出
処理を行い、ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分を採取
した。
該ベンゼン−キノリン混合溶剤可溶分から溶剤を除去
して軟化点226℃、メソフェース含有量50vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
して軟化点226℃、メソフェース含有量50vol%の炭素繊
維用ピッチを得た。
かく調製された炭素繊維用ピッチを実施例1で用いた
紡糸器を用い、溶融粘度2400ポアズ、巻取張力25mg/本
で溶融紡糸を行い、次いで実施例1と同様の方法で不融
化および炭化処理して炭素繊維を得た。
紡糸器を用い、溶融粘度2400ポアズ、巻取張力25mg/本
で溶融紡糸を行い、次いで実施例1と同様の方法で不融
化および炭化処理して炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維の引張強度は290kg/mm2,ヤング率は
52ton/mm2,圧縮強度は54kg/mm2であった。
52ton/mm2,圧縮強度は54kg/mm2であった。
比較例 4 実施例2で使用した市販の石油ピッチ30gに対し窒素
ガスを1200ml/分で通気しながら撹拌し、温度400℃で13
時間熱処理を行って軟化点305℃、メソフェース含有量1
00vol%の光学的異方性ピッチを得た。
ガスを1200ml/分で通気しながら撹拌し、温度400℃で13
時間熱処理を行って軟化点305℃、メソフェース含有量1
00vol%の光学的異方性ピッチを得た。
この光学的異方性ピッチを実施例1で用いた紡糸器を
用い、溶融粘度2300ポアズ、巻取張力30mg/本で溶融紡
糸した後、実施例1と同様の方法で不融化および炭化処
理して炭素繊維を得た。
用い、溶融粘度2300ポアズ、巻取張力30mg/本で溶融紡
糸した後、実施例1と同様の方法で不融化および炭化処
理して炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維の引張強度は255kg/mm2,ヤング率は
43ton/mm2,圧縮強度は57kg/mm2であった。
43ton/mm2,圧縮強度は57kg/mm2であった。
この炭素繊維の内部構造を第4図に示す。第4図から
明らかなように繊維軸に平行な方向に幅1000Å以上のフ
ィブリルが60体積%以上存在している。
明らかなように繊維軸に平行な方向に幅1000Å以上のフ
ィブリルが60体積%以上存在している。
比較例 5 市販のPAN系炭素繊維(トレカ M−40)のLcは55Å,
Laは48Å,層間隔は3.441Å,密度は1.88,引張強度は26
5kg/mm2,ヤング率は40ton/mm2,圧縮強度は67kg/mm2であ
った。
Laは48Å,層間隔は3.441Å,密度は1.88,引張強度は26
5kg/mm2,ヤング率は40ton/mm2,圧縮強度は67kg/mm2であ
った。
この炭素繊維の内部構造は第5図に示すように繊維軸
方向に平行に配列した幅100Å以下、長さ500Å以下のフ
ィブリルを有していた。
方向に平行に配列した幅100Å以下、長さ500Å以下のフ
ィブリルを有していた。
第1図〜第5図は炭素繊維の結晶構造を示す透過型電子
顕微鏡写真である。いずれも垂直方向が繊維軸方向であ
り、寸法は同一である。
顕微鏡写真である。いずれも垂直方向が繊維軸方向であ
り、寸法は同一である。
Claims (2)
- 【請求項1】X線回折で測定したLaおよびLcの値がいず
れも1000Å以下であり、透過電子顕微鏡で繊維軸方向を
観察したときのフィブリルの幅が1000Å以下の組織が炭
素繊維全体の50体積%以上であり、かつ密度が1.95〜2.
12g/cm2の範囲にあってX線回折で測定した層間隔d002
と密度がρ3.82≦d002+0.212ρ≦3.87の関係を具備す
ることを特徴とするピッチ系炭素繊維。 - 【請求項2】炭素質ピッチを固定床に設置した水素化触
媒の存在下に連続的に水素化を行い、ピッチ分子当たり
2モル以上の水素を付加させた後、該水素化ピッチを常
圧もしくは減圧下に熱処理して光学的異方性ピッチとな
し、この光学的異方性のピッチのうち25℃における溶解
度パラメーターが7.4〜9.0の有機溶剤に不溶で、かつ25
℃における溶解度パラメーターが9.2〜11.0の有機溶剤
に可溶な成分を採取して得られる光学的異方性相を5〜
40vol%含有する紡糸用ピッチを紡糸した後、不融化処
理および炭化処理することを特徴とするピッチ系炭素繊
維の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63160683A JP2535207B2 (ja) | 1988-06-30 | 1988-06-30 | 圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維およびその製造法 |
EP89306590A EP0349307B1 (en) | 1988-06-30 | 1989-06-29 | Process for producing pitch-based carbon fibres superior in compressive physical properties |
DE68919283T DE68919283T2 (de) | 1988-06-30 | 1989-06-29 | Verfahren zur Herstellung von kohlenstoffhaltigen Fasern mit verbesserten physikalischen Druckeigenschaften. |
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JP63160683A JP2535207B2 (ja) | 1988-06-30 | 1988-06-30 | 圧縮物性に優れたピッチ系炭素繊維およびその製造法 |
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JPH0214023A JPH0214023A (ja) | 1990-01-18 |
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- 1988-06-30 JP JP63160683A patent/JP2535207B2/ja not_active Expired - Fee Related
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