JP2678384B2 - 炭素繊維用ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造方法 - Google Patents
炭素繊維用ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な炭素繊維用ピッチ、及びそれを用いた
炭素繊維の製造方法に関するものである。さらに詳しく
いえば、本発明は、特に引張り強度及び結節強さの高い
炭素繊維を与えうる炭素繊維用ピッチ、及びこのものを
用いて前記高性能炭素繊維を製造する方法に関するもの
である。
炭素繊維の製造方法に関するものである。さらに詳しく
いえば、本発明は、特に引張り強度及び結節強さの高い
炭素繊維を与えうる炭素繊維用ピッチ、及びこのものを
用いて前記高性能炭素繊維を製造する方法に関するもの
である。
[従来の技術] 近年、炭素繊維は高強度及び高性能率を有し、かつ軽
量であるなど、優れた特徴を有することから、例えば航
空機部品、自動車部品、スポーツ用具などの種々の分野
における素材や樹脂補強材などとして著しく需要が伸び
ている。
量であるなど、優れた特徴を有することから、例えば航
空機部品、自動車部品、スポーツ用具などの種々の分野
における素材や樹脂補強材などとして著しく需要が伸び
ている。
この炭素繊維はPAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維と
に大別することができ、前者のPAN系炭素繊維は、ポリ
アクリロニトリルを原料とするものであり、通常高強度
及び中程度の弾性率を有しているが、2000℃以上の温度
で燒成された繊維は最大400GPa程度の弾性率を示すもの
である。しかしながら、このPAN系炭素繊維は、難黒鉛
化性であるため結晶化度(黒鉛化度)の向上には限界が
あり、本質的に超高弾性率を達成することは困難である
上、製造コストが高くつくのを免れないという欠点を有
している。
に大別することができ、前者のPAN系炭素繊維は、ポリ
アクリロニトリルを原料とするものであり、通常高強度
及び中程度の弾性率を有しているが、2000℃以上の温度
で燒成された繊維は最大400GPa程度の弾性率を示すもの
である。しかしながら、このPAN系炭素繊維は、難黒鉛
化性であるため結晶化度(黒鉛化度)の向上には限界が
あり、本質的に超高弾性率を達成することは困難である
上、製造コストが高くつくのを免れないという欠点を有
している。
一方、ピッチ系炭素繊維は、原料として炭素質ピッチ
を用いるため、製造コストが低く、経済的に有利である
上、特に液晶メソフェーズピッチから得られ、3000℃付
近の温度で燒成したもの(黒鉛繊維)は700GPa程度の超
高弾性率をもつなどの特徴を有している。しかしなが
ら、このような光学的異方性ピッチ系炭素繊維は、弾性
率が大きいため、強度の割には脆く、小さな曲率まで糸
を曲げることができない、すなわち、結節強さや伸びが
小さくて複雑な形状の成形体加工が困難であるという大
きな欠点を有している。
を用いるため、製造コストが低く、経済的に有利である
上、特に液晶メソフェーズピッチから得られ、3000℃付
近の温度で燒成したもの(黒鉛繊維)は700GPa程度の超
高弾性率をもつなどの特徴を有している。しかしなが
ら、このような光学的異方性ピッチ系炭素繊維は、弾性
率が大きいため、強度の割には脆く、小さな曲率まで糸
を曲げることができない、すなわち、結節強さや伸びが
小さくて複雑な形状の成形体加工が困難であるという大
きな欠点を有している。
従来、ピッチ系炭素繊維においては、高配向性という
特性を利用して、高弾性繊維を主眼において開発された
てきたが、前記したような欠点を有することから、利用
分野が限られ、用途の制限を免れないという問題があ
り、広範囲に用途を開拓していくには、高強度、高伸
度、高結節強さをも有する安価なピッチ系炭素繊維の開
発が強く望まれている。
特性を利用して、高弾性繊維を主眼において開発された
てきたが、前記したような欠点を有することから、利用
分野が限られ、用途の制限を免れないという問題があ
り、広範囲に用途を開拓していくには、高強度、高伸
度、高結節強さをも有する安価なピッチ系炭素繊維の開
発が強く望まれている。
ところで、ピッチ系炭素繊維は、通常炭素質ピッチを
溶融紡糸したのち、このピッチ繊維を不融化処理し、次
いで炭素化処理するといった方法で製造される。このよ
うなピッチ系炭素繊維の製造方法において、これまで種
々の改良が試みられている。例えば原料の炭素質ピッチ
については、溶剤に対する溶解度を指標として規定する
方法が提案されている(特公昭54−1810号公報)。しか
しながら、炭素繊維を製造する場合、高温で溶融紡糸
し、さらに不融化処理及び焼成処理で種々の熱履歴を経
過するため、ピッチの高温下での挙動が極めて重要な強
度因子となるが、このようなピッチの高温下での挙動に
ついての研究は、一部の報告を除いてほとんどなく、し
かも炭素繊維との関連について研究されたものは皆無で
あるのが現状である。
溶融紡糸したのち、このピッチ繊維を不融化処理し、次
いで炭素化処理するといった方法で製造される。このよ
うなピッチ系炭素繊維の製造方法において、これまで種
々の改良が試みられている。例えば原料の炭素質ピッチ
については、溶剤に対する溶解度を指標として規定する
方法が提案されている(特公昭54−1810号公報)。しか
しながら、炭素繊維を製造する場合、高温で溶融紡糸
し、さらに不融化処理及び焼成処理で種々の熱履歴を経
過するため、ピッチの高温下での挙動が極めて重要な強
度因子となるが、このようなピッチの高温下での挙動に
ついての研究は、一部の報告を除いてほとんどなく、し
かも炭素繊維との関連について研究されたものは皆無で
あるのが現状である。
一方、不融化処理については、例えば(1)二酸化窒
素を含有する空気を用いる方法(特公昭48−42696号公
報、特開昭60−259629号公報)、(2)特定の条件で不
融化処理する方法(特開昭63−120112号公報、同63−14
5419号公報、同63−264917号公報)などが提案されてい
る。しかしながら、(1)の方法においては、不融化速
度を上げ生産効率を高めるのが目的であって、炭素繊維
の物性を向上させる効果を示す条件はなんら規定されて
いないし、(2)の方法においては、高弾性率、高強度
のものは得られているが、ピッチの性状と強度との関連
や炭素繊維のしなやかさの指標である結節強さや伸度に
ついてはなんら言及していない。
素を含有する空気を用いる方法(特公昭48−42696号公
報、特開昭60−259629号公報)、(2)特定の条件で不
融化処理する方法(特開昭63−120112号公報、同63−14
5419号公報、同63−264917号公報)などが提案されてい
る。しかしながら、(1)の方法においては、不融化速
度を上げ生産効率を高めるのが目的であって、炭素繊維
の物性を向上させる効果を示す条件はなんら規定されて
いないし、(2)の方法においては、高弾性率、高強度
のものは得られているが、ピッチの性状と強度との関連
や炭素繊維のしなやかさの指標である結節強さや伸度に
ついてはなんら言及していない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、このような事情のもとで、特に引張り強度
及び結節強さの高い炭素繊維を与えうる炭素繊維用ピッ
チを提供するとともに、このものを用いて前記高性能炭
素繊維を提供することを目的としてなされたものであ
る。
及び結節強さの高い炭素繊維を与えうる炭素繊維用ピッ
チを提供するとともに、このものを用いて前記高性能炭
素繊維を提供することを目的としてなされたものであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を
重ねた結果、メソフェーズ含有量が90重量%以上の特定
の性状を有する炭素質ピッチにより、その目的を達成し
うることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
重ねた結果、メソフェーズ含有量が90重量%以上の特定
の性状を有する炭素質ピッチにより、その目的を達成し
うることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
すなわち、本発明は、キノリン不溶分50重量%以下、
数平均分子量1000以上、数平均分子量に対する重量平均
分子量の比1.3〜1.8、メソフェーズ含有量90重量%以上
及び軟化点250〜380℃であって、熱重量分析(TGA)に
よる5%重量減の温度が470℃以上で、かつ800℃の温度
における重量減が25%以下であることを特徴とする炭素
繊維用ピッチ、及びこの炭素繊維用ピッチを280〜400℃
の温度で溶融紡糸したのち、このピッチ繊維を不融化処
理し、次いで炭素化処理することを特徴とする炭素繊維
の製造方法を提供するものである。
数平均分子量1000以上、数平均分子量に対する重量平均
分子量の比1.3〜1.8、メソフェーズ含有量90重量%以上
及び軟化点250〜380℃であって、熱重量分析(TGA)に
よる5%重量減の温度が470℃以上で、かつ800℃の温度
における重量減が25%以下であることを特徴とする炭素
繊維用ピッチ、及びこの炭素繊維用ピッチを280〜400℃
の温度で溶融紡糸したのち、このピッチ繊維を不融化処
理し、次いで炭素化処理することを特徴とする炭素繊維
の製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維用ピッチの原料については特に制限
はなく、ピッチ製造用として従来慣用されているものを
用いることができるが、石油系重質油が好ましく、特に
接触分解残油が好適である。
はなく、ピッチ製造用として従来慣用されているものを
用いることができるが、石油系重質油が好ましく、特に
接触分解残油が好適である。
該ピッチはメソフェーズ含有量が90重量%以上である
ことが必要であり、したがってこのようなメソフェーズ
含量の高いピッチ、すなわちメソフェーズピッチを調製
するために、前記ピッチ原料油に、メソフェーズ含量を
高めるための処理が施される。このメソフェーズは光学
的異方性相のことで、その含有量は偏光顕微鏡直交ニコ
ル下で観察し、写真撮影して、光学的異方性相又は光学
的等方性相の占める割合から求めることができる。
ことが必要であり、したがってこのようなメソフェーズ
含量の高いピッチ、すなわちメソフェーズピッチを調製
するために、前記ピッチ原料油に、メソフェーズ含量を
高めるための処理が施される。このメソフェーズは光学
的異方性相のことで、その含有量は偏光顕微鏡直交ニコ
ル下で観察し、写真撮影して、光学的異方性相又は光学
的等方性相の占める割合から求めることができる。
メソフェーズピッチの製造方法については特に制限は
なく、例えば、前記石油系重質油をいったんメソフェー
ズピッチ前駆体まで重質化したのち、これを450〜500℃
の高温において、0.1〜5mmHgの高真空下30分間以内、好
ましくは20分間以内で、メソフェーズ含量が90重量%以
上、好ましくは100%になるように処理する方法などを
用いることができる。該メソフェーズ含量が90重量%未
満では繊維としたときに等方性相が混入するため、引張
り強度や結節強さが十分なものが得られず、本発明の目
的が十分に達せられない。
なく、例えば、前記石油系重質油をいったんメソフェー
ズピッチ前駆体まで重質化したのち、これを450〜500℃
の高温において、0.1〜5mmHgの高真空下30分間以内、好
ましくは20分間以内で、メソフェーズ含量が90重量%以
上、好ましくは100%になるように処理する方法などを
用いることができる。該メソフェーズ含量が90重量%未
満では繊維としたときに等方性相が混入するため、引張
り強度や結節強さが十分なものが得られず、本発明の目
的が十分に達せられない。
このようにして調製されたメソフェーズピッチは、キ
ノリン不溶分(QI)が50重量%以下、好ましくは10〜40
重量%の範囲、軟化点が250〜380℃、好ましくは260〜3
50℃の範囲、数平均分子量(Mn)が1000以上、好ましく
は1000〜1400の範囲、数平均分子量(Mn)に体する重量
平均分子量(Mw)の比Mw/Mnが1.3〜1.8、好ましくは1.3
5〜1.75の範囲にあって、メソフェーズ含有量が90重量
%以上、熱重量分析(TGA)による5%重量減
(T5%)の温度が470℃以上で、かつ800℃の温度にお
ける重量減が25%以下であることが必要である。なお、
熱重量分析における測定値は、窒素雰囲下、10℃/分の
昇温速度で800℃まで昇温して求めた値である。
ノリン不溶分(QI)が50重量%以下、好ましくは10〜40
重量%の範囲、軟化点が250〜380℃、好ましくは260〜3
50℃の範囲、数平均分子量(Mn)が1000以上、好ましく
は1000〜1400の範囲、数平均分子量(Mn)に体する重量
平均分子量(Mw)の比Mw/Mnが1.3〜1.8、好ましくは1.3
5〜1.75の範囲にあって、メソフェーズ含有量が90重量
%以上、熱重量分析(TGA)による5%重量減
(T5%)の温度が470℃以上で、かつ800℃の温度にお
ける重量減が25%以下であることが必要である。なお、
熱重量分析における測定値は、窒素雰囲下、10℃/分の
昇温速度で800℃まで昇温して求めた値である。
このようなメソフェーズピッチは高温下で揮散成分が
少ないため高温下で安定である。また、軽質分は少ない
がキノリン不溶分も少ないので流動性がよく、紡糸性が
良好である。しかもメソフェーズ含有量が高いため、ピ
ッチの均質性と配向特性がよく、得られる炭素繊維は、
高温度で焼成することにより高い弾性率を発現すること
が可能であり、高い引張り強度と結節強さを有してい
る。
少ないため高温下で安定である。また、軽質分は少ない
がキノリン不溶分も少ないので流動性がよく、紡糸性が
良好である。しかもメソフェーズ含有量が高いため、ピ
ッチの均質性と配向特性がよく、得られる炭素繊維は、
高温度で焼成することにより高い弾性率を発現すること
が可能であり、高い引張り強度と結節強さを有してい
る。
本発明においては、前記のメソフェーズピッチから成
る炭素繊維用ピッチを、好ましくは直径0.1〜0.5mmのノ
ズルを用い、280〜400℃の範囲の温度において溶融紡糸
し、糸径5〜20μm程度のピッチ繊維を作成したのち、
このピッチ繊維に不融化処理が施される。この不融化処
理は空気を用いて行ってもよいし、二酸化窒素0.1〜30
容量%、好ましくは0.5〜15容量%含有する空気を用い
て行ってもよいが、後者の方が引張り強度及び結節強さ
の高い炭素繊維が得られるので好ましい。
る炭素繊維用ピッチを、好ましくは直径0.1〜0.5mmのノ
ズルを用い、280〜400℃の範囲の温度において溶融紡糸
し、糸径5〜20μm程度のピッチ繊維を作成したのち、
このピッチ繊維に不融化処理が施される。この不融化処
理は空気を用いて行ってもよいし、二酸化窒素0.1〜30
容量%、好ましくは0.5〜15容量%含有する空気を用い
て行ってもよいが、後者の方が引張り強度及び結節強さ
の高い炭素繊維が得られるので好ましい。
空気を用いて不融化処理する場合、通常200〜400℃の
範囲の温度において5〜300分間程度処理され、一方、
前記の二酸化窒素含有空気を用いて不融化処理する場
合、通常150〜350℃、好ましくは180〜320℃の範囲の温
度において、10〜600分間程度処理される。
範囲の温度において5〜300分間程度処理され、一方、
前記の二酸化窒素含有空気を用いて不融化処理する場
合、通常150〜350℃、好ましくは180〜320℃の範囲の温
度において、10〜600分間程度処理される。
次に、このようにして不融化処理された繊維に炭素化
処理が施されるが、必要に応じ、窒素やアルゴンなどの
不活性ガス雰囲気下、350〜800℃の範囲の温度において
予備炭素化処理を行ってもよい。
処理が施されるが、必要に応じ、窒素やアルゴンなどの
不活性ガス雰囲気下、350〜800℃の範囲の温度において
予備炭素化処理を行ってもよい。
炭素化処理においては、窒素やアルゴンなどの不活性
ガス雰囲気下、1000〜3000℃の範囲の温度において、前
記の不融化処理繊維又は必要に応じて予備炭素化処理さ
れた繊維を焼成することによって、炭素繊維が得られ
る。
ガス雰囲気下、1000〜3000℃の範囲の温度において、前
記の不融化処理繊維又は必要に応じて予備炭素化処理さ
れた繊維を焼成することによって、炭素繊維が得られ
る。
このような方法によると、従来法による市販のピッチ
系炭素繊維では、引張り強度が200〜350Kg/mm2程度で、
結節強さは1200gf/3K−ストランド程度までであるのに
対し、引張り強度が350Kg/mm2以上で、結節強さが1500g
f/3K−ストランド以上の炭素繊維の製造も可能である。
系炭素繊維では、引張り強度が200〜350Kg/mm2程度で、
結節強さは1200gf/3K−ストランド程度までであるのに
対し、引張り強度が350Kg/mm2以上で、結節強さが1500g
f/3K−ストランド以上の炭素繊維の製造も可能である。
[実施例] 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
なお、炭素繊維の結節強さは次のようにして求めた。
すなわち、糸径5〜15μmの炭素繊維3000本のストラン
ドを作製し、これに単繊維の結節強度を測定する場合
(JIS L−1013)と同様の結節部を設けたのち、引張り
試験機を用い、チャック間隔を25mmとし、結節部分がほ
ぼ中央にくるように保ち、引張り速度50mm/分で切断時
の強さ(gf)を測定し、この値を結節強さ(gf/3K−ス
トランド)とする。
すなわち、糸径5〜15μmの炭素繊維3000本のストラン
ドを作製し、これに単繊維の結節強度を測定する場合
(JIS L−1013)と同様の結節部を設けたのち、引張り
試験機を用い、チャック間隔を25mmとし、結節部分がほ
ぼ中央にくるように保ち、引張り速度50mm/分で切断時
の強さ(gf)を測定し、この値を結節強さ(gf/3K−ス
トランド)とする。
実施例1 流動接触分解残油を重質化して得た軟化点160℃、ト
ルエン不溶分5.5重量%の等方性ピッチを460℃、1Torr
で12分間処理し、キノリン不溶分(QI)28.5重量%、数
平均分子量1140、Mw/Mn=1.45、軟化点310℃の100%メ
ソフェーズピッチを得た。このものをTGA(熱重量分
析)にて、窒素中で10℃/分の速度で800℃まで昇温し
たところ、T5%=483℃であり、800℃まで昇温時の重
量減は22.0%であった。
ルエン不溶分5.5重量%の等方性ピッチを460℃、1Torr
で12分間処理し、キノリン不溶分(QI)28.5重量%、数
平均分子量1140、Mw/Mn=1.45、軟化点310℃の100%メ
ソフェーズピッチを得た。このものをTGA(熱重量分
析)にて、窒素中で10℃/分の速度で800℃まで昇温し
たところ、T5%=483℃であり、800℃まで昇温時の重
量減は22.0%であった。
次にこのピッチを0.3mmφのノズルを用い、343℃にて
溶融紡糸して糸径9μmのピッチ繊維を得たのち、次に
示す各条件で不融化処理後、窒素雰囲気中で炭素化処理
して、炭素繊維を得、その引張り強度、弾性率、結節強
さを求めた。
溶融紡糸して糸径9μmのピッチ繊維を得たのち、次に
示す各条件で不融化処理後、窒素雰囲気中で炭素化処理
して、炭素繊維を得、その引張り強度、弾性率、結節強
さを求めた。
(1)空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維を空気中で200℃から300℃まで20℃/
分の速度で昇温したのち、この温度で30分間保持して不
融化処理し、次いで1500℃及び2500℃にて、それぞれ炭
素化処理して炭素繊維を得た。この炭素繊維の物性を次
に示す。
分の速度で昇温したのち、この温度で30分間保持して不
融化処理し、次いで1500℃及び2500℃にて、それぞれ炭
素化処理して炭素繊維を得た。この炭素繊維の物性を次
に示す。
(2)NO2含有空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維をNO22.5容量%含有空気中で200℃、1
80分間不融化処理したのち、1500℃及び2500℃で炭素化
処理を行い、炭素繊維を得た。
80分間不融化処理したのち、1500℃及び2500℃で炭素化
処理を行い、炭素繊維を得た。
この炭素繊維の物性を次に示す。
比較例1 流動接触分解残油を420℃、50Torrで1時間熱処理
し、メソフェーズ含有量約15重量%のピッチを調製し、
これから重力を利用してメソフェーズを除去した。次い
で残った等方性ピッチを420℃、10Torrで2.5時間熱処理
して、軟化点305℃、QI=31.5重量%、数平均分子量96
0、Mw/Mn=1.90のピッチを得た。またこのピッチはTGA
測定の結果、T5%=421℃、800℃における重量減は2
7.0%であった。
し、メソフェーズ含有量約15重量%のピッチを調製し、
これから重力を利用してメソフェーズを除去した。次い
で残った等方性ピッチを420℃、10Torrで2.5時間熱処理
して、軟化点305℃、QI=31.5重量%、数平均分子量96
0、Mw/Mn=1.90のピッチを得た。またこのピッチはTGA
測定の結果、T5%=421℃、800℃における重量減は2
7.0%であった。
このピッチを実施例1と同様に溶融紡糸して、糸径10
μmのピッチ繊維を得たのち、次に示す各条件で不融化
処理後、窒素雰囲気中で炭素化処理を行い、炭素繊維を
製造し、その物性を求めた。
μmのピッチ繊維を得たのち、次に示す各条件で不融化
処理後、窒素雰囲気中で炭素化処理を行い、炭素繊維を
製造し、その物性を求めた。
(1)空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維を空気中で200℃から300℃まで20℃/
分の速度で昇温後、この温度で30分間保持して不融化処
理したのち、1500℃及び2500℃でそれぞれ炭素化処理し
て、炭素繊維を得た。このものの物性をつぎに示す。
分の速度で昇温後、この温度で30分間保持して不融化処
理したのち、1500℃及び2500℃でそれぞれ炭素化処理し
て、炭素繊維を得た。このものの物性をつぎに示す。
(2)NO2含有空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維をNO210容量%含有空気中にて280℃で
20分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処理して、
炭素繊維を得た。
20分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処理して、
炭素繊維を得た。
このものの物性を次に示す。
また、前記ピッチ繊維をNO22.5容量%含有空気中にて
220℃、180分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処
理を行い、炭素繊維を得た。
220℃、180分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処
理を行い、炭素繊維を得た。
この炭素繊維の物性を次に示す。
実施例2 比較例1において重力により除去した方のメソフェー
ズピッチを、380℃、0.1Torrで20分間脱気処理した。こ
のメソフェーズピッチは、QI=34.5重量%、軟化点315
℃、数平均分子量1090、Mw/Mn=1.67であり、またTGA測
定の結果、T5%=477℃、800℃における重量減は23.8
%であった。
ズピッチを、380℃、0.1Torrで20分間脱気処理した。こ
のメソフェーズピッチは、QI=34.5重量%、軟化点315
℃、数平均分子量1090、Mw/Mn=1.67であり、またTGA測
定の結果、T5%=477℃、800℃における重量減は23.8
%であった。
このピッチを比較例1と同様に紡糸して、糸径10.3μ
mのピッチ繊維を得た。
mのピッチ繊維を得た。
次に、このピッチ繊維を、次に示す各条件で不融化処
理後、窒素雰囲気中で炭素化処理を行い、炭素繊維を製
造し、その物性を求めた。
理後、窒素雰囲気中で炭素化処理を行い、炭素繊維を製
造し、その物性を求めた。
(1)空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維を空気中で200℃から300℃まで20℃/
分の速度で昇温後、この温度で30分間保持して不融化処
理したのち、1500℃及び2500℃でそれぞれ炭素化処理し
て、炭素繊維を得た。このものの物性を次に示す。
分の速度で昇温後、この温度で30分間保持して不融化処
理したのち、1500℃及び2500℃でそれぞれ炭素化処理し
て、炭素繊維を得た。このものの物性を次に示す。
(2)NO2含有空気中での不融化処理 前記ピッチ繊維をNO210容量%含有空気中にて280℃で
20分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処理して、
炭素繊維を得た。
20分間不融化処理したのち、1500℃で炭素化処理して、
炭素繊維を得た。
このものの物性を次に示す。
[発明の効果] 本発明によると、メソフェーズ含有量が90重量%以上
の特定の性状を有する炭素繊維用ピッチを用いることに
より、高温での安定性がよく、かつ流動性が良好で溶融
紡糸が容易であるとともに、その均質性と高い配向性の
ために欠陥が生じ難く、良好な弾性率を有し、かつ高い
引張り強度と結節強さを有する炭素繊維を製造すること
ができる。特に不融化処理をNO2含有空気中で行うこと
によって、引張り強度と結節強さがともに優れた性能を
持った炭素繊維が得られる。この高性能炭素繊維は織物
用などとして用いることができ、また複合材料の素材と
して好適に用いられる。
の特定の性状を有する炭素繊維用ピッチを用いることに
より、高温での安定性がよく、かつ流動性が良好で溶融
紡糸が容易であるとともに、その均質性と高い配向性の
ために欠陥が生じ難く、良好な弾性率を有し、かつ高い
引張り強度と結節強さを有する炭素繊維を製造すること
ができる。特に不融化処理をNO2含有空気中で行うこと
によって、引張り強度と結節強さがともに優れた性能を
持った炭素繊維が得られる。この高性能炭素繊維は織物
用などとして用いることができ、また複合材料の素材と
して好適に用いられる。
Claims (4)
- 【請求項1】キノリン不溶分50重量%以下、数平均分子
量1000以上、数平均分子量に対する重量平均分子量の比
1.3〜1.8、メソフェーズ含有量90重量%以上及び軟化点
250〜380℃であって、熱重量分析による5%重量減の温
度が470℃以上で、かつ800℃の温度における重量減が25
%以下であることを特徴とする炭素繊維用ピッチ。 - 【請求項2】請求項1記載の炭素繊維用ピッチを280〜4
00℃の温度で溶融紡糸したのち、このピッチ繊維を不融
化処理し、次いで炭素化処理することを特徴とする炭素
繊維の製造方法。 - 【請求項3】不融化処理を空気中において200〜400℃の
温度で5〜300分間行う請求項2記載の炭素繊維の製造
方法。 - 【請求項4】不融化処理を、二酸化窒素0.1〜30容量%
を含む空気中において、150〜350℃の温度で10〜600分
間行う請求項2記載の炭素繊維の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1145117A JP2678384B2 (ja) | 1989-06-09 | 1989-06-09 | 炭素繊維用ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造方法 |
EP19900100420 EP0378187A3 (en) | 1989-01-13 | 1990-01-10 | Pitch for carbon fibers, process for production of said pitch, and process for production of carbon fibers using said pitch |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1145117A JP2678384B2 (ja) | 1989-06-09 | 1989-06-09 | 炭素繊維用ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0314625A JPH0314625A (ja) | 1991-01-23 |
JP2678384B2 true JP2678384B2 (ja) | 1997-11-17 |
Family
ID=15377787
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1145117A Expired - Lifetime JP2678384B2 (ja) | 1989-01-13 | 1989-06-09 | 炭素繊維用ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2678384B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0794091B1 (de) * | 1996-03-08 | 2001-05-16 | TRW Occupant Restraint Systems GmbH & Co. KG | Gassack-Rückhaltemodul |
TWI620843B (zh) | 2012-04-18 | 2018-04-11 | 三菱化學股份有限公司 | 碳纖維束、碳纖維束的製造方法及樹脂系複合材料 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60259629A (ja) * | 1984-05-31 | 1985-12-21 | Nippon Oil Co Ltd | ピツチ系黒鉛化繊維の製造方法 |
JPS60181320A (ja) * | 1984-02-20 | 1985-09-17 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 炭素繊維の製造方法 |
JPS6249913A (ja) * | 1985-08-27 | 1987-03-04 | Sumitaka Shida | 液体の霧化分離ろ過装置 |
-
1989
- 1989-06-09 JP JP1145117A patent/JP2678384B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0314625A (ja) | 1991-01-23 |
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