JP3239490B2 - 高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents
高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に高性能炭素繊維
(本明細書にて「炭素繊維」とは、特に明記しない場合
は炭素繊維のみならず黒鉛化繊維を含めて使用する)を
製造するのに適した光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の
製造方法に関するものであり、特に高圧縮強度の炭素繊
維を製造するのに適した光学的異方性ピッチ及びこの光
学的異方性ピッチを使用した高圧縮強度の炭素繊維の製
造方法に関するものである。
(本明細書にて「炭素繊維」とは、特に明記しない場合
は炭素繊維のみならず黒鉛化繊維を含めて使用する)を
製造するのに適した光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の
製造方法に関するものであり、特に高圧縮強度の炭素繊
維を製造するのに適した光学的異方性ピッチ及びこの光
学的異方性ピッチを使用した高圧縮強度の炭素繊維の製
造方法に関するものである。
【0002】本発明にて得られた、高圧縮強度炭素繊維
は、宇宙・航空産業、自動車産業又は建築産業などの種
々の産業分野にて使用される複合材料の強化繊維として
好適に使用し得るものである。
は、宇宙・航空産業、自動車産業又は建築産業などの種
々の産業分野にて使用される複合材料の強化繊維として
好適に使用し得るものである。
【0003】
【従来の技術】従来より、宇宙・航空機、自動車、建築
分野、その他種々の産業分野にて、軽量且つ高強度、高
弾性の複合材料の強化繊維として、例えば高引張強度、
高引張弾性率を有する、ポリアクリロニトリルを原料と
するPAN系炭素繊維、或はレーヨン系炭素繊維が多く
使用されているが、原料が高価であり、又炭化収率が悪
く、経済性の点で問題を有している。
分野、その他種々の産業分野にて、軽量且つ高強度、高
弾性の複合材料の強化繊維として、例えば高引張強度、
高引張弾性率を有する、ポリアクリロニトリルを原料と
するPAN系炭素繊維、或はレーヨン系炭素繊維が多く
使用されているが、原料が高価であり、又炭化収率が悪
く、経済性の点で問題を有している。
【0004】これに対して、原料が安価であり且つ炭化
収率がより高いという点から石油系ピッチ或は石炭系ピ
ッチを原料としたピッチ系炭素繊維の研究開発が近年盛
んに行なわれている。しかしながら、ピッチ系炭素繊維
は、PAN系炭素繊維及びレーヨン系炭素繊維に較べ、
引張弾性率では優れているが、圧縮強度が劣るため、用
途が限定されると言われている。
収率がより高いという点から石油系ピッチ或は石炭系ピ
ッチを原料としたピッチ系炭素繊維の研究開発が近年盛
んに行なわれている。しかしながら、ピッチ系炭素繊維
は、PAN系炭素繊維及びレーヨン系炭素繊維に較べ、
引張弾性率では優れているが、圧縮強度が劣るため、用
途が限定されると言われている。
【0005】従来、炭素繊維製造のために、例えば石油
系ピッチ或は石炭系ピッチを原料として製造されるピッ
チ及びその製造方法が数多く提案されており、光学的異
方性相含有量の高い光学的異方性ピッチが引張強度、弾
性率の高い高性能炭素繊維の製造に適したピッチである
ことは公知である。しかし、ピッチ系炭素繊維の圧縮強
度の向上を目的とした提案は極めて少ない。特に、光学
的異方性相100%のピッチを用いて、高い引張強度と
高い引張弾性率を維持し且つ圧縮強度を向上を目的とし
たものは皆無に等しい。
系ピッチ或は石炭系ピッチを原料として製造されるピッ
チ及びその製造方法が数多く提案されており、光学的異
方性相含有量の高い光学的異方性ピッチが引張強度、弾
性率の高い高性能炭素繊維の製造に適したピッチである
ことは公知である。しかし、ピッチ系炭素繊維の圧縮強
度の向上を目的とした提案は極めて少ない。特に、光学
的異方性相100%のピッチを用いて、高い引張強度と
高い引張弾性率を維持し且つ圧縮強度を向上を目的とし
たものは皆無に等しい。
【0006】僅かに、特開平2−14023号公報に
は、水素化ピッチを熱処理して光学的異方性ピッチと
し、この光学的異方性ピッチを溶解度パラメーターの異
なる2種の溶剤で処理して低分子量成分と高分子量成分
を除去し、それによって均質な組成を有する光学的異方
性相の含有量5〜40%の紡糸用ピッチを調製し、そし
て、このピッチを用いて製造された圧縮強度に優れた炭
素繊維及びその製造法を開示している。しかし、この公
報には、得られた炭素繊維の圧縮強度の測定法が明示さ
れておらず、その効果は定かではない。
は、水素化ピッチを熱処理して光学的異方性ピッチと
し、この光学的異方性ピッチを溶解度パラメーターの異
なる2種の溶剤で処理して低分子量成分と高分子量成分
を除去し、それによって均質な組成を有する光学的異方
性相の含有量5〜40%の紡糸用ピッチを調製し、そし
て、このピッチを用いて製造された圧縮強度に優れた炭
素繊維及びその製造法を開示している。しかし、この公
報には、得られた炭素繊維の圧縮強度の測定法が明示さ
れておらず、その効果は定かではない。
【0007】特公昭64−4558号公報には、石油系
ピッチを熱処理することにより製造した、特定の性状を
有する光学的異方性ピッチを開示しているが、熱処理で
得られる光学的異方性ピッチは、ピリジン不溶分のよう
な高分子量成分が光学的異方性相形成の骨格となるた
め、このような光学的異方性ピッチに、紡糸可能な粘度
又は軟化点(溶融性)を与えるためには高分子量成分に
対応した量のベンゼン可溶分のような低分子量成分が必
要となる。そのため、必然的に得られる光学的異方性ピ
ッチの構成成分の化学構造の分布は幅広いもの、即ち、
組成の均質性の低いもの、と推定される。従って、この
ように石油系ピッチを熱処理することで得られる光学的
異方性ピッチは、高圧縮強度の炭素繊維の製造に適した
ピッチとはならない。
ピッチを熱処理することにより製造した、特定の性状を
有する光学的異方性ピッチを開示しているが、熱処理で
得られる光学的異方性ピッチは、ピリジン不溶分のよう
な高分子量成分が光学的異方性相形成の骨格となるた
め、このような光学的異方性ピッチに、紡糸可能な粘度
又は軟化点(溶融性)を与えるためには高分子量成分に
対応した量のベンゼン可溶分のような低分子量成分が必
要となる。そのため、必然的に得られる光学的異方性ピ
ッチの構成成分の化学構造の分布は幅広いもの、即ち、
組成の均質性の低いもの、と推定される。従って、この
ように石油系ピッチを熱処理することで得られる光学的
異方性ピッチは、高圧縮強度の炭素繊維の製造に適した
ピッチとはならない。
【0008】一方、特公昭63−5433号公報及び特
公平1−57715号公報には、石油系ピッチ或は石炭
系ピッチを使用して溶剤抽出処理により光学的異方性ピ
ッチを得る方法を開示している。しかしながら、この溶
剤抽出処理では、低分子量成分は除去されるが、光学的
異方性相を形成しそして光学的異方性ピッチを得るため
に、原料前駆体ピッチ中のピリジン不溶分のような高分
子量成分が除去されず、結果的に高濃度に濃縮含有され
るため、組成の均質性が損なわれ高圧縮強度の炭素繊維
の製造に適したピッチとはならない。又、このようなピ
ッチは、高軟化点のピッチとなるために安定な紡糸が困
難になる。
公平1−57715号公報には、石油系ピッチ或は石炭
系ピッチを使用して溶剤抽出処理により光学的異方性ピ
ッチを得る方法を開示している。しかしながら、この溶
剤抽出処理では、低分子量成分は除去されるが、光学的
異方性相を形成しそして光学的異方性ピッチを得るため
に、原料前駆体ピッチ中のピリジン不溶分のような高分
子量成分が除去されず、結果的に高濃度に濃縮含有され
るため、組成の均質性が損なわれ高圧縮強度の炭素繊維
の製造に適したピッチとはならない。又、このようなピ
ッチは、高軟化点のピッチとなるために安定な紡糸が困
難になる。
【0009】又、特開平2−302494号公報は、水
素化ピッチの2段溶剤抽出により低分子量成分と高分子
量成分を除去した後、ピッチを短時間熱処理して、特定
の構成比を有した組成の光学異方性ピッチを得る方法を
開示している。しかしながら、この方法によれば、熱処
理反応で比較的多量のピリジン不溶分が生成し、ピリジ
ン不溶分が光学的異方性相の発現に大きく関与してい
る。本発明者らの研究によれば、ピッチに適度の溶融性
を持たせるために、ピリジン不溶分の量が多くなればそ
れだけ多くの低分子量成分を含有したピッチとなり、組
成の均質性が損なわれ、結果として、炭素繊維の圧縮強
度の向上効果も小さくなることが分かった。
素化ピッチの2段溶剤抽出により低分子量成分と高分子
量成分を除去した後、ピッチを短時間熱処理して、特定
の構成比を有した組成の光学異方性ピッチを得る方法を
開示している。しかしながら、この方法によれば、熱処
理反応で比較的多量のピリジン不溶分が生成し、ピリジ
ン不溶分が光学的異方性相の発現に大きく関与してい
る。本発明者らの研究によれば、ピッチに適度の溶融性
を持たせるために、ピリジン不溶分の量が多くなればそ
れだけ多くの低分子量成分を含有したピッチとなり、組
成の均質性が損なわれ、結果として、炭素繊維の圧縮強
度の向上効果も小さくなることが分かった。
【0010】上記特開平2−302494号公報に記載
の光学異方性ピッチは、ピリジン不溶分が、実施例の数
値から20〜40wt%と推定され、詳しくは後述する
ように、この点で本発明で規定する光学的異方性ピッチ
とは異なるものである。
の光学異方性ピッチは、ピリジン不溶分が、実施例の数
値から20〜40wt%と推定され、詳しくは後述する
ように、この点で本発明で規定する光学的異方性ピッチ
とは異なるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述するように、従来
技術の熱処理法にて製造した光学的異方性ピッチは、組
成の均質性を制御できる範囲が限られるため、本発明に
規定するような高圧縮強度の炭素繊維の製造に適した光
学的異方性ピッチの製造は不可能である。
技術の熱処理法にて製造した光学的異方性ピッチは、組
成の均質性を制御できる範囲が限られるため、本発明に
規定するような高圧縮強度の炭素繊維の製造に適した光
学的異方性ピッチの製造は不可能である。
【0012】又、溶剤抽出法によれば、光学的異方性ピ
ッチの組成、分子量分布を制御して組成の均質性を向上
できる可能性はあるが、本発明者らの研究によれば、こ
れらの性状をより精度よく制御し、特定化するためには
原料の特定化が必要であることが分かった。
ッチの組成、分子量分布を制御して組成の均質性を向上
できる可能性はあるが、本発明者らの研究によれば、こ
れらの性状をより精度よく制御し、特定化するためには
原料の特定化が必要であることが分かった。
【0013】即ち、従来技術の溶剤抽出法によれば、原
料の特定化がなされていないか、或はなされていても本
発明の原料とは本質的に異なるため、従来の溶剤抽出法
にて得られた光学的異方性ピッチは、本発明にて規定す
るような高圧縮強度の炭素繊維を製造するのに適したピ
ッチの性状とは異なるものである。
料の特定化がなされていないか、或はなされていても本
発明の原料とは本質的に異なるため、従来の溶剤抽出法
にて得られた光学的異方性ピッチは、本発明にて規定す
るような高圧縮強度の炭素繊維を製造するのに適したピ
ッチの性状とは異なるものである。
【0014】本発明者らは、炭素繊維の圧縮強度とピッ
チの性状の関係について多くの研究実験を行なった結
果、低分子量成分及び高分子量成分を含有しないできる
だけ均質の組成からなり、適度に低い軟化点を有する実
質的に100%光学的異方性相からなる光学的異方性ピ
ッチを使用して炭素繊維を製造した場合に、引張強度及
び引張弾性率に優れ、且つ、高圧縮強度の炭素繊維が得
られることを見出した。本発明は、斯かる新規な知見に
基づきなされたものである。
チの性状の関係について多くの研究実験を行なった結
果、低分子量成分及び高分子量成分を含有しないできる
だけ均質の組成からなり、適度に低い軟化点を有する実
質的に100%光学的異方性相からなる光学的異方性ピ
ッチを使用して炭素繊維を製造した場合に、引張強度及
び引張弾性率に優れ、且つ、高圧縮強度の炭素繊維が得
られることを見出した。本発明は、斯かる新規な知見に
基づきなされたものである。
【0015】本発明の目的は、引張強度及び引張弾性率
に優れ、特に、圧縮強度の大きい炭素繊維を、安定して
生産性良く連続的に製造するのに適した光学的異方性ピ
ッチ及びこの光学的異方性ピッチを使用した高圧縮強度
炭素繊維の製造方法を提供することである。
に優れ、特に、圧縮強度の大きい炭素繊維を、安定して
生産性良く連続的に製造するのに適した光学的異方性ピ
ッチ及びこの光学的異方性ピッチを使用した高圧縮強度
炭素繊維の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素繊維
の圧縮強度とピッチの性状の関係について多くの研究実
験を行なった。その結果、ナフタレンなどを原料として
触媒重合により製造したピッチから低分子量成分と高分
子量成分を除去すると、実質的にピリジン可溶分からな
る光学的異方性相100%の光学的異方性ピッチが得ら
れることを見出した。
の圧縮強度とピッチの性状の関係について多くの研究実
験を行なった。その結果、ナフタレンなどを原料として
触媒重合により製造したピッチから低分子量成分と高分
子量成分を除去すると、実質的にピリジン可溶分からな
る光学的異方性相100%の光学的異方性ピッチが得ら
れることを見出した。
【0017】又、このようにして得られた光学的異方性
ピッチから炭素繊維を製造した場合、紡糸の安定性と不
融化反応性に優れ、且つ炭素繊維の物性として引張強度
及び引張弾性率に優れ、更に、高圧縮強度を有した炭素
繊維が得られることが分かった。
ピッチから炭素繊維を製造した場合、紡糸の安定性と不
融化反応性に優れ、且つ炭素繊維の物性として引張強度
及び引張弾性率に優れ、更に、高圧縮強度を有した炭素
繊維が得られることが分かった。
【0018】このように本発明の光学的異方性ピッチを
紡糸、不融化、炭化して得られる炭素繊維が高い圧縮強
度を発現する理由は、得られる炭素繊維の結晶構造が適
度の大きさの結晶サイズで、且つ結晶サイズの分布が狭
く均質であるため、引張弾性率に対する圧縮強度が向上
するものと思われる。
紡糸、不融化、炭化して得られる炭素繊維が高い圧縮強
度を発現する理由は、得られる炭素繊維の結晶構造が適
度の大きさの結晶サイズで、且つ結晶サイズの分布が狭
く均質であるため、引張弾性率に対する圧縮強度が向上
するものと思われる。
【0019】換言すると、本発明は、ピリジンに可溶な
成分が90wt%以上で、且つベンゼンに不溶でピリジ
ンに可溶な成分が75wt%以上の組成からなり、軟化
点が320℃以下で光学的異方性相を90%以上含有す
ることを特徴とする高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性
ピッチである。
成分が90wt%以上で、且つベンゼンに不溶でピリジ
ンに可溶な成分が75wt%以上の組成からなり、軟化
点が320℃以下で光学的異方性相を90%以上含有す
ることを特徴とする高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性
ピッチである。
【0020】本発明の特徴とするところは、先ず、ピリ
ジンに可溶な成分が90wt%以上とされ、即ち、ピリ
ジン不溶分が10wt%未満とされ、場合によっては、
ピリジン不溶分が0wt%の光学的異方性相100%の
光学的異方性ピッチが得られることである。
ジンに可溶な成分が90wt%以上とされ、即ち、ピリ
ジン不溶分が10wt%未満とされ、場合によっては、
ピリジン不溶分が0wt%の光学的異方性相100%の
光学的異方性ピッチが得られることである。
【0021】ピリジン不溶分それ自体は、単独では溶融
性を持たないため、光学的異方性ピッチに適度の溶融性
を持たせるためにはベンゼン可溶分のような低分子量成
分が必要となる。従って、ピリジン不溶分の量が多くな
ればそれだけ多くの低分子量成分を含有するピッチとな
り、組成の均質性が損なわれ、その結果として、炭素繊
維の圧縮強度の向上効果も小さくなる。従って、本発明
では、ピリジン不溶分は、10wt%未満、好ましくは
1.0wt%以下とされる。
性を持たないため、光学的異方性ピッチに適度の溶融性
を持たせるためにはベンゼン可溶分のような低分子量成
分が必要となる。従って、ピリジン不溶分の量が多くな
ればそれだけ多くの低分子量成分を含有するピッチとな
り、組成の均質性が損なわれ、その結果として、炭素繊
維の圧縮強度の向上効果も小さくなる。従って、本発明
では、ピリジン不溶分は、10wt%未満、好ましくは
1.0wt%以下とされる。
【0022】又、本発明によれば、ベンゼンに不溶で、
ピリジンに可溶な成分が75wt%以上、即ち、ベンゼ
ン可溶分が25wt%未満とされる。
ピリジンに可溶な成分が75wt%以上、即ち、ベンゼ
ン可溶分が25wt%未満とされる。
【0023】即ち、本発明者らの研究実験の結果、ベン
ゼン可溶分が25wt%以上のピッチを使用した場合に
は、炭素繊維の圧縮強度を向上せしめる効果が小さくな
ることが分かった。更に、ベンゼン可溶分が25wt%
以上では、光学的異方性相を形成する骨格成分に対し低
分子量成分の比率が多くなるため、光学的異方性相の含
有量が低くなり、実質的な光学的異方性ピッチが得難く
なる。
ゼン可溶分が25wt%以上のピッチを使用した場合に
は、炭素繊維の圧縮強度を向上せしめる効果が小さくな
ることが分かった。更に、ベンゼン可溶分が25wt%
以上では、光学的異方性相を形成する骨格成分に対し低
分子量成分の比率が多くなるため、光学的異方性相の含
有量が低くなり、実質的な光学的異方性ピッチが得難く
なる。
【0024】なお、本発明でいう「ベンゼン不溶分」と
は、粉末ピッチを1μmの平均孔径を有する円筒フィル
ターに入れ、ソックスレー抽出器を用いてベンゼンで2
0時間熱抽出して得られるベンゼン可溶分を除去したも
の言い、又、「ピリジン可溶分」とは、粉末ピッチを1
μmの平均孔径を有する円筒フィルターに入れ、ソック
スレー抽出器を用いてピリジンで20時間熱抽出して得
られるピリジン不溶分を除去したものを言う。
は、粉末ピッチを1μmの平均孔径を有する円筒フィル
ターに入れ、ソックスレー抽出器を用いてベンゼンで2
0時間熱抽出して得られるベンゼン可溶分を除去したも
の言い、又、「ピリジン可溶分」とは、粉末ピッチを1
μmの平均孔径を有する円筒フィルターに入れ、ソック
スレー抽出器を用いてピリジンで20時間熱抽出して得
られるピリジン不溶分を除去したものを言う。
【0025】更に、本発明の光学的異方性ピッチは、そ
の軟化点が320℃以下とされる。軟化点が320℃以
上では、紡糸温度が高くなり過ぎ、その結果、紡糸中に
熱分解ガスが発生することなどによって、紡糸の安定性
が阻害される原因となる。
の軟化点が320℃以下とされる。軟化点が320℃以
上では、紡糸温度が高くなり過ぎ、その結果、紡糸中に
熱分解ガスが発生することなどによって、紡糸の安定性
が阻害される原因となる。
【0026】又、余りに軟化点が低いと、炭素繊維製造
に際しての不融化工程での処理条件が制約されること、
及び繊維間の融膠着が発生し易くなるなどの点から、軟
化点は、320℃以下、好ましくは250℃〜310℃
とされる。
に際しての不融化工程での処理条件が制約されること、
及び繊維間の融膠着が発生し易くなるなどの点から、軟
化点は、320℃以下、好ましくは250℃〜310℃
とされる。
【0027】本発明にて、ピッチの軟化点は、ピッチの
固−液転移温度を意味し、ASTMD−3104に準拠
したメトラー軟化点の値である。
固−液転移温度を意味し、ASTMD−3104に準拠
したメトラー軟化点の値である。
【0028】本発明の光学的異方性ピッチは、光学的異
方性相が90%以上とされる。光学的異方性相が90%
以下では、炭素繊維の引張弾性率が低下し、引張弾性率
に対する圧縮強度向上の割合が低下する。
方性相が90%以上とされる。光学的異方性相が90%
以下では、炭素繊維の引張弾性率が低下し、引張弾性率
に対する圧縮強度向上の割合が低下する。
【0029】尚、本発明でいう「光学的異方性相」と
は、ピッチ構成成分の一つであり、常温近くで固化した
ピッチ塊の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直交ニコ
ルを回転して光輝が認められる、即ち、光学的異方性で
ある部分を意味し、これに対し、光輝が認められない、
即ち、光学的等方性相である部分は光学的等方性と呼
ぶ。また、本発明における光学的異方性相は、所謂メソ
フェースと同様と考えられるが、メソフェースにはキノ
リン又はピリジンに不溶なものとキノリン又はピリジン
に可溶な成分を多く含むものとの二種類があり、本発明
でいう光学的異方性相は主として、後者のメソフェース
である。
は、ピッチ構成成分の一つであり、常温近くで固化した
ピッチ塊の断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直交ニコ
ルを回転して光輝が認められる、即ち、光学的異方性で
ある部分を意味し、これに対し、光輝が認められない、
即ち、光学的等方性相である部分は光学的等方性と呼
ぶ。また、本発明における光学的異方性相は、所謂メソ
フェースと同様と考えられるが、メソフェースにはキノ
リン又はピリジンに不溶なものとキノリン又はピリジン
に可溶な成分を多く含むものとの二種類があり、本発明
でいう光学的異方性相は主として、後者のメソフェース
である。
【0030】又、本発明でいう光学的異方性相の含有量
とは、試料を偏光顕微鏡で直交ニコル下で観察写真撮影
して、試料中の光学的異方性相部分の占める面積割合を
測定することにより求めたものである。
とは、試料を偏光顕微鏡で直交ニコル下で観察写真撮影
して、試料中の光学的異方性相部分の占める面積割合を
測定することにより求めたものである。
【0031】更に、本発明の光学的異方性ピッチの芳香
族炭素含有率、即ち、芳香族性(fa)に関して言え
ば、一般に、0.75以上とされ、好ましくは0.75
〜0.90とされる。芳香族性(fa)が0.75以下
では分子の平面構造が小さくなり、このようなピッチで
製造された炭素繊維の圧縮強度の向上は望めなくなる。
族炭素含有率、即ち、芳香族性(fa)に関して言え
ば、一般に、0.75以上とされ、好ましくは0.75
〜0.90とされる。芳香族性(fa)が0.75以下
では分子の平面構造が小さくなり、このようなピッチで
製造された炭素繊維の圧縮強度の向上は望めなくなる。
【0032】この芳香族性(fa)は、炭素と水素の含
有率分析と赤外線吸収法とから測定した芳香族炭素原子
の全炭素原子に対する比率を表わすものであって、芳香
族性(fa)の測定計算方法は加藤の方法〔加藤ら、燃
料協会誌55、244(1976)〕によって行なっ
た。
有率分析と赤外線吸収法とから測定した芳香族炭素原子
の全炭素原子に対する比率を表わすものであって、芳香
族性(fa)の測定計算方法は加藤の方法〔加藤ら、燃
料協会誌55、244(1976)〕によって行なっ
た。
【0033】又、本発明の炭素繊維の圧縮強度は、本特
許出願人の出願に係る特願平3−29628号に記載の
方法に従って測定した。図1を参照して、測定方法を簡
単に説明する。
許出願人の出願に係る特願平3−29628号に記載の
方法に従って測定した。図1を参照して、測定方法を簡
単に説明する。
【0034】つまり、一定張力下にある所定のフィラメ
ント数(3000本程度)からなる試料繊維束にエポキ
シ樹脂溶液を含浸させる。樹脂が含浸された試料繊維
束、即ちストランドを硬化用枠(ワインダ)に巻き取
り、試料ストランドを直線状に保持した状態で乾燥器で
加熱硬化する。硬化したストランドは、長さ300mm
に切断する。又、このストランドは直径1mmの円形断
面とされる。
ント数(3000本程度)からなる試料繊維束にエポキ
シ樹脂溶液を含浸させる。樹脂が含浸された試料繊維
束、即ちストランドを硬化用枠(ワインダ)に巻き取
り、試料ストランドを直線状に保持した状態で乾燥器で
加熱硬化する。硬化したストランドは、長さ300mm
に切断する。又、このストランドは直径1mmの円形断
面とされる。
【0035】次いで、ストランド1の両端にエポキシ系
接着剤を用いて、長さ(l)が30mm、内径(d1 )
が1mm、外径(d2 )が3mmとされるステンレスス
チールパイプにて形成された金属性円筒状タブ2を接着
し、試験片3を作製する。試験片3のストランド露出部
(LS )は5mmとされる。
接着剤を用いて、長さ(l)が30mm、内径(d1 )
が1mm、外径(d2 )が3mmとされるステンレスス
チールパイプにて形成された金属性円筒状タブ2を接着
し、試験片3を作製する。試験片3のストランド露出部
(LS )は5mmとされる。
【0036】このようにして作製した試験片3の両端を
それぞれ、下ホルダー4及び上ホルダー5に取付け、両
ホルダー4、5を円筒状スリーブ6内に挿入する。両ホ
ルダー4、5は外径(DH )が15mm、長さ(LH )
が40mmのステンレススチールにて作製し、ステンレ
ススチール製の円筒状スリーブ6中に装着される。
それぞれ、下ホルダー4及び上ホルダー5に取付け、両
ホルダー4、5を円筒状スリーブ6内に挿入する。両ホ
ルダー4、5は外径(DH )が15mm、長さ(LH )
が40mmのステンレススチールにて作製し、ステンレ
ススチール製の円筒状スリーブ6中に装着される。
【0037】このように組み立てられた試験装置を、材
料試験機の固定台101に設置し、材料試験機のクロス
ヘッド102にて、点荷重負荷用ボール7及び上ホルダ
ー5を介して、試験片3に圧縮荷重を負荷する。クロス
ヘッド102の移動速度は1mm/分とする。
料試験機の固定台101に設置し、材料試験機のクロス
ヘッド102にて、点荷重負荷用ボール7及び上ホルダ
ー5を介して、試験片3に圧縮荷重を負荷する。クロス
ヘッド102の移動速度は1mm/分とする。
【0038】本明細書でいう圧縮強度(σC )は、炭素
繊維を60vol%含む炭素繊維含浸エポキシ樹脂の圧
縮強度(Vf 60%値)で、上記圧縮試験における最大
荷重から次式にて算出される。
繊維を60vol%含む炭素繊維含浸エポキシ樹脂の圧
縮強度(Vf 60%値)で、上記圧縮試験における最大
荷重から次式にて算出される。
【0039】 σC =(P/Af )×0.6 =(Pmax +w)×ρ/T×1000×0.6 (1) ここで、P :総荷重(kg) Pmax :最大荷重(kg) w :上部治具重量(kg) Af :繊維の全断面積(mm2 ) ρ :繊維の密度(g/cm3 ) T :繊維の繊度(mg/m)
【0040】上記圧縮強度測定方法は、従来行なわれて
いるASTM D3410(Celanese法、IITRI 法)な
どによる測定方法と実質的に同じ測定結果を短時間で、
正確に且つ再現性良く得ることができる。
いるASTM D3410(Celanese法、IITRI 法)な
どによる測定方法と実質的に同じ測定結果を短時間で、
正確に且つ再現性良く得ることができる。
【0041】以下、本発明の光学的異方性ピッチの製造
方法について詳細に説明する。
方法について詳細に説明する。
【0042】本発明者らは、上記性状を有した本発明の
光学異方性ピッチを研究する過程において、斯る性状の
光学的異方性ピッチは、(1)原料を特定化すること、
及び(2)低分子量成分及び高分子量成分を除去するこ
とにより、光学的異方性ピッチの性状をより精度よく制
御し、特定化すること、が極めて重要であることを見出
した。
光学異方性ピッチを研究する過程において、斯る性状の
光学的異方性ピッチは、(1)原料を特定化すること、
及び(2)低分子量成分及び高分子量成分を除去するこ
とにより、光学的異方性ピッチの性状をより精度よく制
御し、特定化すること、が極めて重要であることを見出
した。
【0043】・原料ピッチ:本発明にて、原料ピッチと
しては、例えば特開平1−139621号公報、特開平
1−254796号公報、特開平1−309482号公
報に記載されるような、縮合多環炭化水素、例えばナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフテン
等を弗化水素、三弗化硼素触媒の存在下で200〜30
0℃で重合した触媒重合ピッチが使用される。一般に、
斯かる触媒重合ピッチは、軟化点が180℃以上、芳香
族性(fa)が0.75以上、n−ヘプタン不溶分を8
0wt%以上含有するものである。
しては、例えば特開平1−139621号公報、特開平
1−254796号公報、特開平1−309482号公
報に記載されるような、縮合多環炭化水素、例えばナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフテン
等を弗化水素、三弗化硼素触媒の存在下で200〜30
0℃で重合した触媒重合ピッチが使用される。一般に、
斯かる触媒重合ピッチは、軟化点が180℃以上、芳香
族性(fa)が0.75以上、n−ヘプタン不溶分を8
0wt%以上含有するものである。
【0044】本発明に従えば、この触媒重合ピッチは、
その低分子量成分及び高分子量成分が除去され、それに
よって、ピッチの性状がより精度よく制御され、特定化
される。
その低分子量成分及び高分子量成分が除去され、それに
よって、ピッチの性状がより精度よく制御され、特定化
される。
【0045】・低分子量成分の除去: (1)溶剤抽出法:溶剤としては、低分子量成分を抽出
し、ベンゼン可溶分を制御できるものであれば任意のも
のを使用し得る。従って、従来技術の、溶解度のパラメ
ーター等を基準にした方法で溶剤を選択することによ
り、具体的方法は数多く考えられる。通常ベンゼン或は
トルエンによる抽出処理が使用される。
し、ベンゼン可溶分を制御できるものであれば任意のも
のを使用し得る。従って、従来技術の、溶解度のパラメ
ーター等を基準にした方法で溶剤を選択することによ
り、具体的方法は数多く考えられる。通常ベンゼン或は
トルエンによる抽出処理が使用される。
【0046】又、溶剤抽出処理は、室温で行なうことが
できるが、使用する溶剤によっては高温、加圧の超臨界
抽出で目的を達成することができる。 (2)高真空蒸留或は薄膜蒸留法:溶剤抽出法の代わり
に、高真空蒸留或は薄膜蒸留で行なうこともできる。
又、溶剤抽出法とこれら蒸留法を組合せて低分子量成分
を除去することも可能である。
できるが、使用する溶剤によっては高温、加圧の超臨界
抽出で目的を達成することができる。 (2)高真空蒸留或は薄膜蒸留法:溶剤抽出法の代わり
に、高真空蒸留或は薄膜蒸留で行なうこともできる。
又、溶剤抽出法とこれら蒸留法を組合せて低分子量成分
を除去することも可能である。
【0047】・高分子量成分の除去: (1)溶剤抽出法:溶剤としては、高分子量成分を抽出
し、ピリジン不溶分を制御できるものであれば任意のも
のを使用し得る。従って、従来技術の、溶解度のパラメ
ーター等を基準にした方法で溶剤を選択することによ
り、具体的方法は数多く考えられる。通常、ピリジンに
よる抽出処理が使用される。
し、ピリジン不溶分を制御できるものであれば任意のも
のを使用し得る。従って、従来技術の、溶解度のパラメ
ーター等を基準にした方法で溶剤を選択することによ
り、具体的方法は数多く考えられる。通常、ピリジンに
よる抽出処理が使用される。
【0048】上記説明では、原料ピッチとして触媒重合
ピッチを使用し、このピッチを低分子量成分の除去及び
高分子量成分の除去からなる2段の溶剤処理が施される
ものとして説明したが、触媒重合ピッチの製造過程にお
いて、縮合多環炭化水素の触媒重合反応で、ベンゼン可
溶分量を制御したピッチを使用する場合は、高分子量成
分の除去のための1段処理でよく、又、触媒重合反応
で、ピリジン不溶分に変質する可能性のある成分を含ま
ないピッチを使用する場合は、低分子量成分の除去のみ
の1段処理でよい。又、触媒重合ピッチから低分子量成
分と高分子量成分のどちらも除去する場合には、低分子
量及び高分子量のどちらの成分を先に除去しても良い。
ピッチを使用し、このピッチを低分子量成分の除去及び
高分子量成分の除去からなる2段の溶剤処理が施される
ものとして説明したが、触媒重合ピッチの製造過程にお
いて、縮合多環炭化水素の触媒重合反応で、ベンゼン可
溶分量を制御したピッチを使用する場合は、高分子量成
分の除去のための1段処理でよく、又、触媒重合反応
で、ピリジン不溶分に変質する可能性のある成分を含ま
ないピッチを使用する場合は、低分子量成分の除去のみ
の1段処理でよい。又、触媒重合ピッチから低分子量成
分と高分子量成分のどちらも除去する場合には、低分子
量及び高分子量のどちらの成分を先に除去しても良い。
【0049】上述のように、本発明の光学的異方性ピッ
チは、 (1)従来技術では得られなかった実質的にピリジンに
可溶な組成からなる光学的異方性ピッチである。 (2)紡糸性を阻害する要因となる軽質成分及び重質成
分を含有せず均質な組成からなり、適度に軟化点が低い
ため、安定した紡糸ができる。 (3)触媒重合により分子構造中に適度の脂肪族構造を
導入できるため、不融化反応性に優れている。 といった特徴を有する。
チは、 (1)従来技術では得られなかった実質的にピリジンに
可溶な組成からなる光学的異方性ピッチである。 (2)紡糸性を阻害する要因となる軽質成分及び重質成
分を含有せず均質な組成からなり、適度に軟化点が低い
ため、安定した紡糸ができる。 (3)触媒重合により分子構造中に適度の脂肪族構造を
導入できるため、不融化反応性に優れている。 といった特徴を有する。
【0050】以上のようにして得られた本発明の光学的
異方性ピッチを、公知の方法に従って、溶融紡糸し、得
られたピッチ繊維を不融化し、炭化し、場合により更に
黒鉛化することにより、不融化及び炭化特性が優れ、紡
糸安定性が良好で、高性能の、特に圧縮強度の大きい炭
素繊維及び黒鉛化繊維を安定して容易に得ることができ
る。
異方性ピッチを、公知の方法に従って、溶融紡糸し、得
られたピッチ繊維を不融化し、炭化し、場合により更に
黒鉛化することにより、不融化及び炭化特性が優れ、紡
糸安定性が良好で、高性能の、特に圧縮強度の大きい炭
素繊維及び黒鉛化繊維を安定して容易に得ることができ
る。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、勿論、本発明はこれに限定されるものではな
い。
するが、勿論、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0052】実施例1 ナフタレンを原料として使用し、弗化水素、三弗化硼素
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、ベンゼン不溶分24.7wt%、ピ
リジン不溶分3.3wt%で、軟化点206℃、芳香族
性(fa)、0.83で、光学的異方性相を含有しない
等方性ピッチであった。
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、ベンゼン不溶分24.7wt%、ピ
リジン不溶分3.3wt%で、軟化点206℃、芳香族
性(fa)、0.83で、光学的異方性相を含有しない
等方性ピッチであった。
【0053】この等方性ピッチを粉砕し、250μm以
下の粉末に篩分けし、粉末ピッチ1grに対し30ml
の割合のベンゼンを加え、室温で2時間攪拌して抽出を
行なった後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉
末ピッチ1grに対し15mlの割合のベンゼンでフィ
ルター上の不溶分を洗滌し、触媒重合ピッチに対し5
3.0wt%の収率でベンゼン不溶分を得た。
下の粉末に篩分けし、粉末ピッチ1grに対し30ml
の割合のベンゼンを加え、室温で2時間攪拌して抽出を
行なった後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉
末ピッチ1grに対し15mlの割合のベンゼンでフィ
ルター上の不溶分を洗滌し、触媒重合ピッチに対し5
3.0wt%の収率でベンゼン不溶分を得た。
【0054】次に、このベンゼン不溶分の粉末1grに
対し30mlの割合のピリジンを加え、室温で2時間攪
拌して抽出を行った後、この溶液を5μmフィルターで
瀘過し、粉末ピッチ1grに対し15mlの割合のピリ
ジンでフィルター上の不溶分を洗滌し、ピリジン溶液を
得た。
対し30mlの割合のピリジンを加え、室温で2時間攪
拌して抽出を行った後、この溶液を5μmフィルターで
瀘過し、粉末ピッチ1grに対し15mlの割合のピリ
ジンでフィルター上の不溶分を洗滌し、ピリジン溶液を
得た。
【0055】このピリジン溶液のピリジンを不活性雰囲
気下で、蒸留により約90%留出して、ピリジン溶液を
濃縮した後、この溶液に約10倍量のn−ヘキサンを加
え、室温で2時間攪拌した後、この溶液を5μmフィル
ターで瀘過し、粉末ピッチ1grに対し15mlの割合
のn−ヘキサンでフィルター上の不溶分を洗滌し、ベン
ゼン不溶分に対し53wt%の収率でピリジン可溶分を
得た。
気下で、蒸留により約90%留出して、ピリジン溶液を
濃縮した後、この溶液に約10倍量のn−ヘキサンを加
え、室温で2時間攪拌した後、この溶液を5μmフィル
ターで瀘過し、粉末ピッチ1grに対し15mlの割合
のn−ヘキサンでフィルター上の不溶分を洗滌し、ベン
ゼン不溶分に対し53wt%の収率でピリジン可溶分を
得た。
【0056】このピリジン可溶分を不活性雰囲気下、3
50℃で30分間アニーリング(溶融)を行なった。ア
ニーリング後のピッチは、光学的異方性相100%の光
学的異方性ピッチであった。このピッチの性状を表1に
示す。
50℃で30分間アニーリング(溶融)を行なった。ア
ニーリング後のピッチは、光学的異方性相100%の光
学的異方性ピッチであった。このピッチの性状を表1に
示す。
【0057】次に、この光学的異方性ピッチを0.3m
m径のノズルを有する紡糸機に充填し、310℃の紡糸
温度においてプランジャーで押圧し、500m/分の引
取り速度で紡糸を行なった。連続1時間以上にわたって
糸切れすることなく、平均繊維径13μmのピッチ繊維
を得た。この繊維を、酸素濃度60%、窒素濃度40%
の酸化ガス雰囲気中で285℃まで昇温して不融化処理
を行なった後、不活性雰囲気中で2000℃まで昇温
し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の物性を表2に
示す。
m径のノズルを有する紡糸機に充填し、310℃の紡糸
温度においてプランジャーで押圧し、500m/分の引
取り速度で紡糸を行なった。連続1時間以上にわたって
糸切れすることなく、平均繊維径13μmのピッチ繊維
を得た。この繊維を、酸素濃度60%、窒素濃度40%
の酸化ガス雰囲気中で285℃まで昇温して不融化処理
を行なった後、不活性雰囲気中で2000℃まで昇温
し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の物性を表2に
示す。
【0058】実施例2 ナフタレンを原料として使用し、弗化水素、三弗化硼素
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、ベンゼン不溶分32.7wt%、ピ
リジン不溶分7.1wt%で、軟化点225℃、芳香族
性(fa)0.84で、光学的異方性相を30%含有す
るピッチであった。
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、ベンゼン不溶分32.7wt%、ピ
リジン不溶分7.1wt%で、軟化点225℃、芳香族
性(fa)0.84で、光学的異方性相を30%含有す
るピッチであった。
【0059】このピッチを実施例1と同じ条件で、ベン
ゼンとピリジン溶剤による抽出を行なった。ベンゼン不
溶分は触媒重合ピッチに対し52.6wt%の収率で、
ピリジン可溶分はベンゼン不溶分に対し44.1wt%
の収率であった。
ゼンとピリジン溶剤による抽出を行なった。ベンゼン不
溶分は触媒重合ピッチに対し52.6wt%の収率で、
ピリジン可溶分はベンゼン不溶分に対し44.1wt%
の収率であった。
【0060】このピリジン可溶分を実施例1と同じ条件
でアニーリングを行なった。得られたピッチは光学的異
方性相100%の光学的異方性相ピッチであった。この
ピッチの性状を表1に示す。
でアニーリングを行なった。得られたピッチは光学的異
方性相100%の光学的異方性相ピッチであった。この
ピッチの性状を表1に示す。
【0061】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し、305℃の紡糸温度においてプラン
ジャーで押圧し、500m/分の引取り速度で紡糸し
た。連続1時間以上にわたって糸切れすることなく、平
均繊維径13μmのピッチ繊維を得た。
じ紡糸機に充填し、305℃の紡糸温度においてプラン
ジャーで押圧し、500m/分の引取り速度で紡糸し
た。連続1時間以上にわたって糸切れすることなく、平
均繊維径13μmのピッチ繊維を得た。
【0062】このピッチ繊維を実施例1と同じ条件で不
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
【0063】実施例3 触媒重合ピッチとしては実施例1と同じ等方性ピッチを
使用した。この粉末ピッチ1grに対し30mlの割合
のピリジンを加え、室温で2時間攪拌して抽出を行なっ
た後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッ
チ1grに対し15mlの割合のピリジンでフィルター
上の不溶分を洗滌し、触媒重合ピッチに対し26.0w
t%のピリジン不溶分を除去したピリジン溶液を得た。
使用した。この粉末ピッチ1grに対し30mlの割合
のピリジンを加え、室温で2時間攪拌して抽出を行なっ
た後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッ
チ1grに対し15mlの割合のピリジンでフィルター
上の不溶分を洗滌し、触媒重合ピッチに対し26.0w
t%のピリジン不溶分を除去したピリジン溶液を得た。
【0064】このピリジン溶液のピリジンを不活性雰囲
気下、蒸留により留出させ、n−ヘプタンを後から加え
た時、ピリジンとn−ヘプタンの比が63:37になる
量までピリジン溶液を濃縮した。このピリジン濃縮液に
n−ヘプタンを加え、室温で2時間攪拌後、この溶液を
5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッチ1grに対し1
5mlの割合のn−ヘプタン−ピリジン混合溶剤で不溶
分を洗滌し、ピリジン可溶分に対し48.5wt%の収
率でn−ヘプタン−ピリジン混合溶剤不溶分を得た。
気下、蒸留により留出させ、n−ヘプタンを後から加え
た時、ピリジンとn−ヘプタンの比が63:37になる
量までピリジン溶液を濃縮した。このピリジン濃縮液に
n−ヘプタンを加え、室温で2時間攪拌後、この溶液を
5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッチ1grに対し1
5mlの割合のn−ヘプタン−ピリジン混合溶剤で不溶
分を洗滌し、ピリジン可溶分に対し48.5wt%の収
率でn−ヘプタン−ピリジン混合溶剤不溶分を得た。
【0065】このn−ヘプタン−ピリジン混合溶剤不溶
分を実施例1と同じ条件でアニーリングを行なった。得
られたピッチは、光学的異方性相100%の光学的異方
性ピッチであった。このピッチの性状を表1に示した。
分を実施例1と同じ条件でアニーリングを行なった。得
られたピッチは、光学的異方性相100%の光学的異方
性ピッチであった。このピッチの性状を表1に示した。
【0066】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し、323℃の紡糸温度で紡糸を行な
い、糸切れなく長時間にわたり平均繊維径13μmのピ
ッチ繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同じ条件
で不融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られ
た炭素繊維の物性を表2に示す。
じ紡糸機に充填し、323℃の紡糸温度で紡糸を行な
い、糸切れなく長時間にわたり平均繊維径13μmのピ
ッチ繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同じ条件
で不融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られ
た炭素繊維の物性を表2に示す。
【0067】比較例1 ナフタレンを原料として使用し、弗化水素、三弗化硼素
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、光学的異方性相100%の光学的異
方性ピッチであった。このピッチの性状を表1に示す。
触媒の存在下で反応させ、触媒重合ピッチを得た。この
触媒重合ピッチは、光学的異方性相100%の光学的異
方性ピッチであった。このピッチの性状を表1に示す。
【0068】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し、302℃の紡糸温度で紡糸を行な
い、平均繊維径13μmのピッチ繊維を得た。
じ紡糸機に充填し、302℃の紡糸温度で紡糸を行な
い、平均繊維径13μmのピッチ繊維を得た。
【0069】このピッチ繊維を実施例1と同じ条件で不
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
【0070】比較例2 実施例1で得たベンゼン不溶分を不活性雰囲気下、35
0℃で30分間アニーリングを行なった。アニーリング
後のピッチの性状を表1に示す。
0℃で30分間アニーリングを行なった。アニーリング
後のピッチの性状を表1に示す。
【0071】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し355℃の紡糸温度で紡糸を行なっ
た。多少糸切れがあったが平均繊維径13μmのピッチ
繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同じ条件で不
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
じ紡糸機に充填し355℃の紡糸温度で紡糸を行なっ
た。多少糸切れがあったが平均繊維径13μmのピッチ
繊維を得た。このピッチ繊維を実施例1と同じ条件で不
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
【0072】比較例3 実施例2の触媒重合ピッチである光学的異方性相を30
%含有するピッチを実施例1と同じ紡糸機に充填し、紡
糸温度を変えて紡糸を試みたが糸切れが多く、安定した
ピッチ繊維は得られなかった。
%含有するピッチを実施例1と同じ紡糸機に充填し、紡
糸温度を変えて紡糸を試みたが糸切れが多く、安定した
ピッチ繊維は得られなかった。
【0073】比較例4 実施例1と同じ触媒重合ピッチの粉末1grに対し30
mlの割合のn−ヘプタンとベンゼンの混合溶剤(n−
ヘプタン:ベンゼン比=(a)40:60、(b)5
0:50)を加え、室温で2時間攪拌して抽出を行なっ
た後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッ
チ1grに対し15mlの割合のn−ヘプタン−ベンゼ
ン混合溶剤(n−ヘプタン:ベンゼン比=(a)40:
60、(b)50:50)でフィルター上の不溶分を洗
滌し、触媒重合ピッチに対し、それぞれ(a)60wt
%、(b)73wt%の収率でn−ヘプタン−ベンゼン
混合溶剤不溶分を得た。
mlの割合のn−ヘプタンとベンゼンの混合溶剤(n−
ヘプタン:ベンゼン比=(a)40:60、(b)5
0:50)を加え、室温で2時間攪拌して抽出を行なっ
た後、この溶液を5μmフィルターで瀘過し、粉末ピッ
チ1grに対し15mlの割合のn−ヘプタン−ベンゼ
ン混合溶剤(n−ヘプタン:ベンゼン比=(a)40:
60、(b)50:50)でフィルター上の不溶分を洗
滌し、触媒重合ピッチに対し、それぞれ(a)60wt
%、(b)73wt%の収率でn−ヘプタン−ベンゼン
混合溶剤不溶分を得た。
【0074】得られたn−ヘプタン−ベンゼン混合溶剤
不溶分を実施例1と同じ条件でアニーリングを行なっ
た。アニーリング後のピッチは、それぞれ光学的異方性
相(a)90%、(b)40%を含有するピッチであっ
た。このピッチの性状を表1に示す。
不溶分を実施例1と同じ条件でアニーリングを行なっ
た。アニーリング後のピッチは、それぞれ光学的異方性
相(a)90%、(b)40%を含有するピッチであっ
た。このピッチの性状を表1に示す。
【0075】この2種のピッチを実施例1と同じ紡糸機
に充填し、それぞれ310℃と293℃の紡糸温度で紡
糸を行なった。いずれもほとんど糸切れなく、平均繊維
径13μmのピッチ繊維を得た。
に充填し、それぞれ310℃と293℃の紡糸温度で紡
糸を行なった。いずれもほとんど糸切れなく、平均繊維
径13μmのピッチ繊維を得た。
【0076】このピッチ繊維を実施例1と同じ条件で不
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
融化、炭化処理を行ない、炭素繊維を得た。得られた炭
素繊維の物性を表2に示す。
【0077】比較例5 石油系市販ピッチ(Ashland A−240)を使
用した。このピッチは、ベンゼン不溶分0.9wt%、
ピリジン不溶分0.1wt%で、軟化点120℃、芳香
族性(fa)0.86で、光学的異方性相を含有しない
等方性ピッチであった。
用した。このピッチは、ベンゼン不溶分0.9wt%、
ピリジン不溶分0.1wt%で、軟化点120℃、芳香
族性(fa)0.86で、光学的異方性相を含有しない
等方性ピッチであった。
【0078】このピッチを実施例1と同じ条件でベンゼ
ンとピリジン溶剤による抽出を行なった。ベンゼン不溶
分は原料ピッチに対し10.0wt%の収率で、ピリジ
ン可溶分はベンゼン不溶分に対し52.0wt%の収率
であった。
ンとピリジン溶剤による抽出を行なった。ベンゼン不溶
分は原料ピッチに対し10.0wt%の収率で、ピリジ
ン可溶分はベンゼン不溶分に対し52.0wt%の収率
であった。
【0079】このピリジン可溶分を実施例1と同じ条件
でアニーリングを行なった。アニーリング後のピッチ
は、気泡を多く含んだ、光学的異方性相ほぼ100%の
光学的異方性ピッチであった。このピッチの性状を表1
に示す。
でアニーリングを行なった。アニーリング後のピッチ
は、気泡を多く含んだ、光学的異方性相ほぼ100%の
光学的異方性ピッチであった。このピッチの性状を表1
に示す。
【0080】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し、紡糸温度を変え紡糸を試みたが、糸
切れが多発し、ピッチ繊維の採集はできなかった。
じ紡糸機に充填し、紡糸温度を変え紡糸を試みたが、糸
切れが多発し、ピッチ繊維の採集はできなかった。
【0081】比較例6 石油の接触分解工程で副生する重質残渣油を原料として
熱分解重縮合により製造したピッチを使用した。
熱分解重縮合により製造したピッチを使用した。
【0082】このピッチは、ベンゼン不溶分49.7w
t%、ピリジン不溶分9.3wt%で、軟化点258
℃、芳香族性(fa)0.86で、光学的異方性相を3
0%含有するピッチであった。
t%、ピリジン不溶分9.3wt%で、軟化点258
℃、芳香族性(fa)0.86で、光学的異方性相を3
0%含有するピッチであった。
【0083】このピッチを実施例1と同じ条件でベンゼ
ンとピリジン溶剤で抽出を行なった。ベンゼン不溶分は
原料ピッチに対し66.0wt%の収率で、ピリジン可
溶分はベンゼン不溶分に対し39.4wt%であった。
ンとピリジン溶剤で抽出を行なった。ベンゼン不溶分は
原料ピッチに対し66.0wt%の収率で、ピリジン可
溶分はベンゼン不溶分に対し39.4wt%であった。
【0084】このピリジン可溶分を実施例1と同じ条件
でアニーリングを行なった。アニーリング後のピッチ
は、光学的異方性相を30%含有するピッチであった。
このピッチの性状を表1に示す。
でアニーリングを行なった。アニーリング後のピッチ
は、光学的異方性相を30%含有するピッチであった。
このピッチの性状を表1に示す。
【0085】この光学的異方性ピッチを、実施例1と同
じ紡糸機に充填し、紡糸温度を変え紡糸を試みたが、糸
切れが多発し、ピッチ繊維の採集はできなかった。
じ紡糸機に充填し、紡糸温度を変え紡糸を試みたが、糸
切れが多発し、ピッチ繊維の採集はできなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る光学
的異方性ピッチは、 (1)高圧縮強度の炭素繊維の製造に適したピッチで、
ピッチ系炭素繊維の欠点を改善できる。 (2)炭素繊維の引張強度、弾性率を改善できる。 (3)紡糸の安定性が向上し、長時間の連続紡糸が可能
となり、炭素繊維の生産性を向上させる。 という特長を有する。このように、本発明に係る光学的
異方性ピッチを使用して製造された炭素繊維は、引張強
度及び引張弾性率に優れ、同時に、圧縮強度も大とされ
る。
的異方性ピッチは、 (1)高圧縮強度の炭素繊維の製造に適したピッチで、
ピッチ系炭素繊維の欠点を改善できる。 (2)炭素繊維の引張強度、弾性率を改善できる。 (3)紡糸の安定性が向上し、長時間の連続紡糸が可能
となり、炭素繊維の生産性を向上させる。 という特長を有する。このように、本発明に係る光学的
異方性ピッチを使用して製造された炭素繊維は、引張強
度及び引張弾性率に優れ、同時に、圧縮強度も大とされ
る。
【図1】ストランド圧縮試験試験装置の断面図である。
1 :ストランド 2 :金属性円筒状タブ 3 :試験片 4、5 :ホルダー 6 :ガイド手段 7 :点荷重用負荷用ボール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−292393(JP,A) 特開 平1−33186(JP,A) 特開 平1−138223(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/145 - 9/155 C10C 3/00 - 3/18
Claims (7)
- 【請求項1】 原料ピッチとして触媒重合ピッチを使用
した高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチであっ
て、ピリジンに可溶な成分が90wt%以上で、且つベ
ンゼンに不溶でピリジンに可溶な成分が75wt%以上
の組成からなり、軟化点が320℃以下で光学的異方性
相を90%以上含有することを特徴とする高圧縮強度炭
素繊維用光学的異方性ピッチ。 - 【請求項2】 光学的異方性相を100%含有すること
を特徴とする請求項1の高圧縮強度炭素繊維用光学的異
方性ピッチ。 - 【請求項3】 軟化点が250℃〜310℃であること
を特徴とする請求項1又は2の高圧縮強度炭素繊維用光
学的異方性ピッチ。 - 【請求項4】 芳香族性(fa)が0.75以上である
ことを特徴とする請求項1、2又は3の高圧縮強度炭素
繊維用光学的異方性ピッチ。 - 【請求項5】 芳香族性(fa)が0.75〜0.90
であることを特徴とする請求項4の高圧縮強度炭素繊維
用光学的異方性ピッチ。 - 【請求項6】 前記触媒重合ピッチは、ナフタレン、ア
ントラセン、フェナントレン、アセナフテンを含む群よ
り選択される縮合多環炭化水素を、弗化水素、三弗化硼
素触媒から成る触媒の存在下で加熱重合したものである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の
高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの項に記載の光
学的異方性ピッチを溶融紡糸し、不融化処理し、次いで
炭化あるいは黒鉛化することを特徴とする高性能炭素繊
維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33231092A JP3239490B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33231092A JP3239490B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06158434A JPH06158434A (ja) | 1994-06-07 |
JP3239490B2 true JP3239490B2 (ja) | 2001-12-17 |
Family
ID=18253537
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33231092A Expired - Fee Related JP3239490B2 (ja) | 1992-11-18 | 1992-11-18 | 高圧縮強度炭素繊維用光学的異方性ピッチ及び炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3239490B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-18 JP JP33231092A patent/JP3239490B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06158434A (ja) | 1994-06-07 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |