JPH08134190A - 光学的異方性ピッチ及びピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

光学的異方性ピッチ及びピッチ系炭素繊維の製造方法

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JPH08134190A
JPH08134190A JP29373394A JP29373394A JPH08134190A JP H08134190 A JPH08134190 A JP H08134190A JP 29373394 A JP29373394 A JP 29373394A JP 29373394 A JP29373394 A JP 29373394A JP H08134190 A JPH08134190 A JP H08134190A
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pitch
optically anisotropic
spinning
carbon fiber
fibers
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JP29373394A
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Inventor
Kazuyuki Murakami
一幸 村上
Hiroshi Toshima
宏 戸島
Yoshimasa Chiba
喜政 千葉
Masaharu Yamamoto
雅晴 山本
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピッチ紡糸工程の紡糸温度によるピッチ粘度
に対する炭素繊維の引張弾性率の依存性が少なく、引張
弾性率が高い高性能ピッチ系炭素繊維を、容易に高い品
質安定性で得ることを可能にすることである。 【構成】 芳香族性が0.80〜0.88、ペリ化指数
が0.10〜0.45の特殊な分子構造の光学的異方性
ピッチを使用した。 【効果】 上記のピッチを使用することにより、最終的
に得られる炭素繊維の引張弾性率がピッチの紡糸粘度に
対する依存性を少なくできる等、目的を達成することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維の製造に適し
た光学的異方性ピッチ及びそれを用いた炭素繊維の製造
方法に関する。詳しくは、本発明は、炭素繊維の引張弾
性率に対するピッチの紡糸工程における粘度依存性を、
ピッチが特殊な分子構造を有することにより少なくし
て、品質安定性の高い(炭素繊維の引張弾性率のバラツ
キが小さい)炭素繊維を得ることを可能とした光学的異
方性ピッチ、及びそのピッチを用いた炭素繊維の製造方
法に関する。尚、本明細書において、「炭素繊維」とは
特に明記しない場合には炭素繊維のみならず、黒鉛繊維
を含めて使用する。
【0002】
【従来の技術】石油系ピッチ、石炭系ピッチ等の炭素質
ピッチから製造されるピッチ系炭素繊維は、現在最も多
量に製造されているPAN系の炭素繊維に比較して炭化
収率が高く、弾性率等の物理的特性も優れており、更に
低コストにて製造し得るという利点を有している。
【0003】従来、ピッチ系炭素繊維は次のように製造
されている。即ち、石油系、石炭系ピッチを熱的或いは
触媒的重縮合反応により炭素質液晶を生成し、その後蒸
留、抽出若しくは比重差を利用して光学的異方性相を濃
縮することにより、光学的異方性相含有量が95%以上
の光学的異方性ピッチを製造する。この光学的異方性ピ
ッチを原料に用い、溶融紡糸法によりピッチ繊維を紡糸
し、次いでピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気下、温度15
0〜350℃で不融化し、更に得られた不融化繊維を温
度500〜3200℃で高温焼成して炭化することによ
り、炭素繊維又は黒鉛化度が更に進んだ炭素繊維(黒鉛
繊維)を得ている。
【0004】このようなピッチを原料とした炭素繊維
は、一般に、引張強度及び引張弾性率が高く、電気抵抗
が低い特性を有する。これらの特性は、ピッチが平面的
な縮合多環芳香族化合物で、黒鉛化性が良いことに起因
している。特にピッチに多く存在するメチル基、ナフテ
ン基は、黒鉛化反応を大きく促進する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、引張強度が
300kgf/cm2 以上、引張弾性率が60tonf/mm2
以上、好ましくは70tonf/mm2以上の高性能ピッチ系炭
素繊維を安定的に製造するには、ピッチの紡糸工程が最
も重要になる。
【0006】即ち、一般に使用されている光学的異方性
ピッチの紡糸工程における溶融粘度が、最終製品である
炭素繊維の弾性率に大きく影響する。更に溶融粘度は紡
糸温度に大きく影響される。このため紡糸時のピッチの
温度を高度に制御しなければならないという問題があっ
た。
【0007】このようなことから、使用するピッチの分
子構造を特定することにより、紡糸工程における粘度依
存性を少なくし、高い品質安定性を有する高性能ピッチ
系炭素繊維を容易に得ることを可能とした光学的異方性
ピッチ、及びそれを用いたピッチ系炭素繊維の製造方法
が望まれている。
【0008】本発明の目的は、ピッチが特殊な分子構造
を有し、炭素繊維の引張弾性率に対して紡糸工程におけ
る粘度依存性が少なく、品質安定性の高い炭素繊維を容
易に得ることが可能な光学的異方性ピッチ、及びそれを
用いたピッチ系炭素繊維の製造方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
光学的異方性ピッチ及びピッチ系炭素繊維の製造方法に
て達成される。要約すれば本発明は、芳香族性が0.8
0〜0.88、ペリ化指数が0.10〜0.45である
ことを特徴とする光学的異方性ピッチである。好ましく
は、光学的異方性ピッチの芳香族性は0.80〜0.8
6、ペリ化指数は0.30〜0.45である。
【0010】又本発明は、請求項1の光学的異方性ピッ
チを溶融紡糸し、不融化し、炭化し又は黒鉛化すること
を特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法である。
【0011】以下、本発明について説明する。
【0012】上記したように、本発明の光学的異方性ピ
ッチは、芳香族性faが0.80〜0.88というように
芳香族性が低く、脂肪族の側鎖が多い。又ペリ化指数が
0.10〜0.45というように低く、即ち芳香環縮合
度が低く、カタ型に近い細長い分子が多い。
【0013】このような特定の分子構造を有するピッチ
によれば、最終的に得られるピッチ系炭素繊維の引張弾
性率に対して、紡糸時のピッチの粘度依存性が小さく、
即ち紡糸工程における温度依存性が少ない。
【0014】図1に、本発明の場合のピッチの紡糸粘度
と、2500℃で焼成したときの炭素繊維の引張弾性率
との関係を比較例の場合と共に示す。図1において、本
発明の場合として後述する実施例1(ピッチAを使用)
を○印で、比較例の場合として後述する比較例4(ピッ
チFを使用)を□印で示す。
【0015】図1に示されるように、実施例1の場合に
は傾きが小さく、ピッチの紡糸粘度が炭素繊維の引張弾
性率に与える影響が比較例4よりもずっと小さいことが
分かる。
【0016】この引張弾性率の粘度依存性(傾き:−dE
t/dlog(Vis))は20以下が好ましく、20以下の条件
であれば、紡糸粘度800poise で引張弾性率70tonf
/mm2(焼成温度2500℃)を超える高性能炭素繊維
を、紡糸温度に対して安定して得ることが可能になる。
【0017】炭素繊維の引張弾性率は、焼成温度が高く
なれば大きくなる。従って低い焼成温度で且つ一定の焼
成温度で、安定した高引張弾性率を達成できることが重
要である。
【0018】芳香族性faは、ピッチ分子を構成する縮合
多環芳香族化合物の芳香族炭素の含有率、つまり炭素と
水素の含有率分析と赤外線吸収法とから測定した芳香族
炭素の全炭素原子に対する比率を表している。一般に芳
香族性が小さくなれば引張弾性率の粘度依存性は小さく
なるが、芳香族性が小さくなりすぎるとピッチ分子の平
面性がなくなるため、光学的異方性ピッチとならない。
従って本発明では、上記したように、芳香族性faを0.
80〜0.88、好ましくは0.80〜0.86とし
た。
【0019】ペリ化指数の概念は、E. Hirsh等が重質油
の構造解析のためのパラメータとして用いた「Compactn
ess Factor」と同じである[Analytical Chemistry, 4
2, 1330 (1970) ]。本発明は、炭素繊維の物性(引張
弾性率)とピッチの物性との関係をペリ化指数などを用
いて解明したものである。以下に、図2を用いてペリ化
指数を説明する。
【0020】一般に、多環芳香族化合物の典型的な縮合
型として、ベンゼン環が線形状に連結、縮合したカタ型
(外周炭素が最大で細長い分子形状をしている)と、ベ
ンゼン環が塊状に連結、縮合したペリ型(外周炭素が最
小で丸い分子形状をしている)とが考えられるが、光学
的異方性ピッチ分子を構成する多環芳香族化合物は、こ
のカタ型とペリ型の中間の縮合型を取る。又縮合型は、
多環芳香族化合物を構成する芳香族炭素数に対応して芳
香環縮合度指数で表すことができる。従ってピッチの芳
香環縮合度指数は、このペリ型とカタ型の芳香環縮合度
指数の中間の値を示す。
【0021】そこで、図2において、光学的異方性ピッ
チについて、ピッチの芳香族炭素数と同じ芳香族炭素数
のカタ型の芳香環縮合度指数を0、ペリ型の芳香環縮合
度指数を1として、その相対値を求めてやれば、ピッチ
の縮合型がペリ型に近いか、カタ型に近いかの程度を表
すことができる。この芳香環縮合度指数の相対値がペリ
化指数である。
【0022】即ち、ピッチの芳香族炭素数Caにおける芳
香環縮合度指数をXとし、カタ型の芳香環縮合度指数を
C、ペリ型の芳香環縮合度指数をPとすると、図2に示
すように、 ペリ化指数=(C−X)/(C−P) である。
【0023】本発明によれば、ペリ化指数は、上記した
ように、0.10〜0.45であり、好ましくは0.3
0〜0.45である。
【0024】ペリ化指数が0.45以上では、紡糸時の
剪断力に対する分子配向性が悪くなるために、高引張弾
性率が得られない。一方、ペリ化指数が小さくなれば、
引張弾性率の温度依存性は小さくなるが、0.10以下
になると、事実上、目的のピッチを製造できなくなる。
【0025】上記の芳香環縮合度指数Xは、ピッチの分
子構造を規定するパラメータの1つで、J. K. Brown と
W. R. Landner により提唱された重質油の平均分子構造
解析法[fuel 39, 87 (1960)](Brown-Landner 法)に
より求められる。
【0026】芳香環縮合度指数Xは、芳香族性fa、元素
分析値(C 、H 、O 、N 、S )、数平均分子量、 1H-NM
R で表される水素形態別含有量(以下水素分率という)
から求めることができる。このうち水素分率について
は、光学的異方性ピッチが溶媒不溶成分を含むために直
接測定できないので、高温13C-NMR よりピッチにピレン
を添加して得られる高分解能脂肪族炭素スペクトルから
炭素の結合形態を帰属し、間接的に求める。
【0027】本発明によれば、ペリ化指数が0.10〜
0.45となるためには、光学的異方性ピッチは0.4
2〜0.55の芳香族縮合度指数を有する。芳香族縮合
度指数は、好ましくは0.43〜0.50である。
【0028】上述の本発明に係る光学的異方性ピッチ、
即ち、芳香族性が低く、脂肪族の側鎖が多く、又芳香環
縮合度が低く、カタ型に近い細長い特殊な分子構造を有
する光学的異方性ピッチは、弗化水素・三弗化硼素の存
在下、縮合多環炭化水素又はこれを含有する物質を比較
的温和な条件で重合させて光学的異方性ピッチを製造
し、このピッチから溶剤抽出又は真空蒸留により低分子
量成分を除去して、粘度を調整することにより好適に製
造することができる。以下、斯る光学的異方性ピッチの
製造方法の一例を説明する。
【0029】出発原料 本発明の光学的異方性ピッチの製造方法にて用いる出発
原料としては、ナフタレン、メチルナフタレン、アント
ラセン、フェナントレン、アセナフテン、アセナフチレ
ン、ピレンなどの縮合多環炭化水素若しくはこれらの混
合物が適している。
【0030】これらの出発原料は、次に述べる第1段階
(重合)において使用する重合触媒である弗化水素(H
F)・三弗化硼素(BF3 )が、塩基性化合物があると
これと強く縮合して触媒活性を失う点から、塩基性化合
物である窒素化合物、硫黄化合物及び酸素化合物の含有
濃度が低いものが特に適している。
【0031】第1段階(重合) 上記縮合多環炭化水素又はこれを含有する物質は、重合
触媒である弗化水素・三弗化硼素の存在下に重合させて
光学的異方性ピッチを製造する。このとき、光学的異方
性ピッチは、光学的異方性相を90%以上含有するのが
好ましく、光学的異方性相が90%未満であると、後で
説明する第2段階以降での光学的異方性ピッチの収率が
低下するので好ましくない。
【0032】重合触媒量は、縮合多環炭化水素1モルに
対し弗化水素を0.1〜20モル、三弗化硼素を0.0
5〜1.0モルとするのが好適である。弗化水素を20
モルを超える量を使用しても、又三弗化硼素を1.0モ
ルを超える量を使用しても、反応速度の増加はなく、触
媒の循環量が多くなるだけであり、反応器も大きくなっ
て好ましくない。又弗化水素0.1モル未満、三弗化硼
素0.05モル未満では、光学的異方性相を100%含
有した光学的異方性ピッチを得ることができない。
【0033】尚、本発明の製造方法においては、弗化水
素単独、又は三弗化硼素単独では重合触媒として有効で
なく、両者を組み合わせるとよい。弗化水素と三弗化硼
素とを共に用いることにより強いプロトン酸を形成し、
塩基である縮合多環炭化水素との錯体を形成する。
【0034】重合反応温度は200〜400℃であり、
好ましくは250〜320℃である。温度が400℃を
超えると重合が過度に進行するため、得られる光学的異
方性ピッチの軟化点が高くなり、紡糸が困難となる。
又、200℃より低い温度では、光学的異方性相を10
0%含有した光学的異方性ピッチが得られない。重合に
要する時間は、原料の種類、重合反応温度及び触媒量に
よって変化するが、通常5〜300分であり、好ましく
は30〜240分である。又、重合反応の圧力は、5〜
100気圧、好ましくは20〜50気圧である。
【0035】重合反応は、撹拌機を備えた耐蝕性の反応
器中に原料及び触媒を供給し、撹拌混合下で行う。反応
操作は、回分操作でも連続操作でも良い。
【0036】原料の縮合多環炭化水素(Ar)は、触媒
と混合することにより錯体を形成し、速やかに重合し、
重合物の錯体を形成する。
【0037】
【化1】
【0038】この重合物の錯体は式(1)に示される平
衡関係を保っているので、揮発成分であるHF、BF3
は、重合終了後その温度で留去され、触媒として回収さ
れる。このときに若干の重合油が回収されると同時に重
合ピッチを分離することができる。
【0039】このようにして得られた重合ピッチは、実
質的に、HF、BF3 を含まない光学的異方性相が90
%以上とされる光学的異方性ピッチである。
【0040】第2段階(低分子成分の除去) 上記第1段階にて得られた光学的異方性ピッチ中には、
重合反応の過程で生成した低分子量成分、即ち、分子量
が350以下とされる成分が含まれている。この低分子
量成分は、紡糸時にガス発生や糸切れの原因となるため
除去する必要がある。
【0041】本発明者らは、このような低分子量成分
は、溶解度パラメータ9.1以下の芳香族炭化水素又は
含窒素六員複素環化合物、及びそれらを主成分とする混
合物からなる有機溶剤を使用し、該有機溶剤に可溶な部
分を除去することにより、或いは真空蒸留することによ
り、極めて効率よく除去し得ることを見出した。
【0042】更に説明すれば、溶解度パラメータ9.1
以上の有機溶剤では、溶解力が強すぎてピッチの粘度が
高くなり紡糸が困難となる。
【0043】この溶剤抽出処理により、上記第1段階の
重合反応の過程で生成した350以下の分子量を有した
低分子量成分が除去される。
【0044】このようにして得られた本発明に係る光学
的異方性ピッチは、当業者には周知の方法にて、紡糸し
てピッチ繊維となし、不融化し、次いで焼成処理するこ
とにより炭素繊維(黒鉛繊維を含む)とすることができ
る。
【0045】炭素繊維の製造方法について簡単に説明す
ると、先ず、本発明にて得られた光学的異方性ピッチ
は、加熱溶融して紡糸し、ピッチ繊維が製造される。
【0046】このピッチ繊維は、不融化炉にて酸化性ガ
ス雰囲気下にて、一般に温度150〜350℃で加熱し
て不融化される。酸化性ガスとしては、空気、酸素、空
気と酸素、又は窒素混合ガスなどを使用することがで
き、場合によってはハロゲン、NO2 、オゾンなどの酸
化剤を含んだガスが使用される。又、加熱処理は、温度
150〜350℃の範囲内で、一定温度にて行なうか、
又は連続的或は段階的に昇温することによって行なうこ
とができる。
【0047】この不融化繊維は、窒素ガス或はアルゴン
ガスなどの不活性ガス雰囲気下にて、3200℃以下の
温度まで昇温することにより炭化して炭素繊維が得ら
れ、或は更に黒鉛化して黒鉛繊維が得られる。
【0048】このようにして得られた黒鉛繊維を含む炭
素繊維は、焼成温度が2500℃のとき、引張強度が3
00kgf/mm2 以上、且つ紡糸粘度が200〜800ポイ
ズの広い領域において引張弾性率が70tonf/mm2以上の
高強度、高弾性率を示す点に特徴を有している。
【0049】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0050】実施例1 ナフタレン、弗化水素、三弗化硼素をモル比で1:0.
45:0.14の割合で混合し、43リットルの耐蝕性
反応槽中反応圧25kgf/cm2 で、250℃、6時
間反応させた。反応後窒素ガスを吹き込みながら軽質分
を除去し光学的異方性相含有量100%のピッチA1
76重量%の収率で得た。
【0051】このピッチA1 を粒径250μm以下に粉
砕し、n−ヘプタン/ベンゼン=7/3の混合溶媒(溶
解度パラメータ7.3)に溶解させ、その不溶分を濾過
し、この不溶分から溶媒を除去することにより、光学的
異方性ピッチAを得た。
【0052】このようにして得られたピッチAを内径
0.3mmのノズルを有する紡糸機に充填し、表1に示
す各紡糸温度により紡糸粘度200、400、800、
1200poise 、巻取り速度500m/分の条件で連続
して1時間紡糸を行ったが、途中糸切れもなく、外径1
2.5μmの一定した直径を有するピッチ繊維を連続的
に安定して紡糸することができた。
【0053】得られたピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気下
に昇温速度4℃/分で270℃まで昇温して酸化不融化
し、更に不活性ガス雰囲気下に2500℃で焼成するこ
とにより、繊維径が10μmの炭素繊維を得た。
【0054】この炭素繊維の引張弾性率及びピッチAの
芳香族性等を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示されるように、ピッチAによれ
ば、引張弾性率のピッチの紡糸粘度依存性が小さい炭素
繊維が得られた。
【0057】実施例2 実施例1のピッチA1 の500gを2リットルの真空蒸
留装置に張り込み、0.05mmHgの圧力下で液温3
35℃まで加熱して低分子量を留出させることにより、
釜残液として光学的異方性ピッチBを得た。
【0058】次に、このようにして得られたピッチBを
実施例1と同様の紡糸機にて、表2に示す紡糸温度によ
り同様な紡糸粘度で、巻き取り速度500m/分の条件
で連続して1時間紡糸を行ったが、途中糸切れもなく、
外径12μmの一定した直径を有するピッチ繊維を連続
的に安定して紡糸することができた。
【0059】得られたピッチ繊維を実施例1と同条件で
不融化、焼成を行い繊維径が9.9μmの炭素繊維を得
た。この炭素繊維の引張弾性率を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示されるように、ピッチBによれ
ば、引張弾性率のピッチの紡糸粘度依存性が小さい炭素
繊維が得られた。
【0062】比較例1 ナフタレン、弗化水素、三弗化硼素をモル比で1:0.
45:0.14の割合で混合し、43リットルの耐蝕性
反応槽中反応圧25kgf/cm2 で、270℃、3時
間反応させた。反応後窒素ガスを吹き込みながら軽質分
を除去し光学的異方性相含有量100%のピッチC1
得た。
【0063】このピッチC1 を実施例1と同様に混合溶
媒で処理して、光学的異方性ピッチCを得た。
【0064】このようにして得られたピッチCを実施例
1と同様の紡糸機にて、表3に示す紡糸温度により同様
の紡糸粘度で、巻取り速度500m/分の条件で連続し
て1時間紡糸を行ったが、途中糸切れもなく、外径12
μmの一定した直径を有するピッチ繊維を連続的に安定
して紡糸することができた。
【0065】得られたピッチ繊維を実施例1と同様にし
て不融化し、焼成することにより、繊維径が9.8μm
の炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張弾性率を表3に
示す。
【0066】
【表3】
【0067】表3に示すように、ピッチCはペリ化指数
が大きいために、最終的に得られた炭素繊維は、引張弾
性率のピッチの紡糸粘度依存性が大きかった。
【0068】比較例2 比較例1のピッチC1 を実施例2と同様にして、真空蒸
留により低分子量成分を除去することによりピッチDを
得た。
【0069】得られたピッチDを実施例1と同様な紡糸
機にて、表4に示す紡糸温度により200、400、8
00poise の紡糸粘度で、巻取り速度500m/分の条
件で連続して1時間紡糸を行ったが、途中糸切れもな
く、外径12.5μmの一定した直径を有するピッチ繊
維を連続的に安定して紡糸することができた。
【0070】得られたピッチ繊維を実施例1と同様にし
て不融化し、焼成することにより、繊維径が10.0μ
mの炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張弾性率を表4
に示す。
【0071】
【表4】
【0072】表4に示すように、ピッチDはペリ化指数
が大きいために、最終的に得られた炭素繊維は、引張弾
性率のピッチの紡糸粘度依存性が大きかった。
【0073】比較例3 石油の接触分解工程で副生する重質残渣油を原料として
450℃で5.5時間熱分解重縮合反応を行ない、光学
的異方性相約50%含有するピッチを製造し、このピッ
チを窒素気流下で350℃、10000Gの条件で遠心
分離を行ない、上層に光学的等方性相を主成分とするピ
ッチE2 と、下層に光学的異方性相100%の光学的異
方性ピッチEを得た。
【0074】次に、このピッチEを実施例1と同様な紡
糸機にて、表5に示す紡糸温度により200、400、
800poise の紡糸粘度で、500m/分の引取り速度
で連続1時間以上にわたって糸切れをすることなく、平
均繊維径約13μmのピッチ繊維を得た。
【0075】このピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気下で2
30℃、60分酸化不融化し、更に不活性ガス雰囲気下
に2500℃で焼成することにより、繊維径が10.1
μmの炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張弾性率及び
ピッチEの芳香族性等を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】表5に示すように、ピッチEは芳香族性が
大きく、最終的に得られた炭素繊維は、引張弾性率のピ
ッチの紡糸粘度依存性が大きかった。
【0078】比較例4 コールタールピッチを400℃にてテトラヒドロキノリ
ンと共に水添し、テトラヒドロキノリンを蒸留して除去
した後、生成物を450℃で熱分解重縮合させることに
より、光学的異方性相99%の石炭系の光学的異方性ピ
ッチFを得た。
【0079】このピッチFを実施例1と同様な紡糸機に
て、表6に示す紡糸温度により200、400、800
poise の紡糸粘度で、500m/分の引取り速度で連続
1時間以上にわたって糸切れをすることなく、平均繊維
径約13μmのピッチ繊維を得た。
【0080】このピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気下で3
20℃、20分酸化不融化し、更に不活性ガス雰囲気下
に2500℃で焼成することにより、繊維径が10.0
μmの炭素繊維を得た。この炭素繊維の引張弾性率及び
ピッチFの芳香族性等を表6に示す。
【0081】
【表6】
【0082】表6に示すように、ピッチFは芳香族性が
大きく、ペリ化指数がおおきい。このため最終的に得ら
れた炭素繊維は、引張弾性率のピッチの紡糸粘度依存性
が非常に大きかった。
【0083】以上の実施例1と比較例4の場合のピッチ
の紡糸粘度と炭素繊維の引張弾性率の関係を図1に示
す。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、ピッ
チ系炭素繊維の製造に使用する光学的異方性ピッチとし
て、芳香族性が0.80〜0.88、ペリ化指数が0.
10〜0.45の特殊な分子構造のピッチを特定したの
で、ピッチの紡糸工程における紡糸温度による炭素繊維
の引張弾性率に対する粘度依存性が少なく、容易に引張
弾性率が高い高性能ピッチ系炭素繊維を高い品質安定性
で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の場合のピッチの紡糸粘度と炭素繊維の
引張弾性率との関係を比較例の場合と共に示すグラフで
ある。
【図2】本発明においてピッチのペリ化指数を求めるた
めの芳香族炭素と芳香環縮合度指数との関係を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 雅晴 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1−3−1 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族性が0.80〜0.88、ペリ化
    指数が0.10〜0.45であることを特徴とする光学
    的異方性ピッチ。
  2. 【請求項2】 請求項1の光学的異方性ピッチを溶融紡
    糸し、不融化し、炭化又は黒鉛化することを特徴とする
    ピッチ系炭素繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021515116A (ja) * 2018-04-27 2021-06-17 エルジー・ケム・リミテッド 炭素繊維製造用前駆体繊維の安定化方法、及びこれを用いた炭素繊維の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021515116A (ja) * 2018-04-27 2021-06-17 エルジー・ケム・リミテッド 炭素繊維製造用前駆体繊維の安定化方法、及びこれを用いた炭素繊維の製造方法
US11976386B2 (en) 2018-04-27 2024-05-07 Lg Chem, Ltd. Method of stabilizing precursor fiber for preparing carbon fiber and method of preparing carbon fiber using the same

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