JPH1025626A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH1025626A
JPH1025626A JP17800296A JP17800296A JPH1025626A JP H1025626 A JPH1025626 A JP H1025626A JP 17800296 A JP17800296 A JP 17800296A JP 17800296 A JP17800296 A JP 17800296A JP H1025626 A JPH1025626 A JP H1025626A
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JP
Japan
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carbon fiber
pitch
filaments
treatment
fiber
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JP17800296A
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Inventor
Iwao Yamamoto
巌 山本
Akihiko Yoshitani
明彦 葭谷
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品等の帯電防止用の材料や外壁材等
の電波吸収用の材料として求められる高電気抵抗で高強
度を有する炭素繊維を提供する。 【解決手段】 溶融した光学異方性ピッチを紡糸し不融
化処理した後、無張力下、450〜600℃の温度で第
一炭化処理を行い、次いでフィラメント数、1000本
当たり50g以上の張力を負荷しながら、700〜10
00℃の温度で第二炭化処理を行うことを特徴とする長
繊維状炭素繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い体積固有電気
抵抗値を有しながら、高い引張強度と高い引張弾性率を
有する炭素繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、その原料によりポリアクリ
ロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等
に分類される。このうちピッチ系炭素繊維は、その原料
の調製方法により高性能炭素繊維と汎用炭素繊維とに大
別される。高性能炭素繊維は、石炭、石油などより得ら
れるピッチを原料とし、これを加熱等の手段を用い、炭
素構造の前駆体である液晶の光学的異方性部分を生じさ
せた後、これを紡糸、酸化性雰囲気下で不融化、炭化、
必要に応じて黒鉛化を行うことにより得られる。ここ
で、光学的異方性を生じさせる理由は、液晶性を有する
光学的異方性部分がよい配向性を有するために得られた
炭素繊維も配向性の優れたものとなり、高強度、高弾性
率を発現しやすくなるからである。
【0003】近年、電子部品等の帯電防止用の材料や外
壁材等の電波吸収用の材料として、電気抵抗値の高い材
料が求められており、これらに用いるために高電気抵
抗、高強度を有する炭素繊維の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】炭素化温度と電気抵抗
との関係は従来から知られており、炭素化温度を上げる
に従って電気抵抗は低下してくる(例えば、近代編集社
刊“炭素繊維”83頁参照)。従来、所望の電気抵抗が
得られる範囲の焼成温度で炭素繊維を製造すると、ピッ
チ系炭素繊維ではその焼成温度が低いために高い引張強
度及び引張弾性率を得ることができず、PAN系炭素繊
維では窒素が抜けきらずに炭素含有率の低い繊維となっ
てしまうため好ましくない。また、そもそもPAN系炭
素繊維の場合は、ピッチ系炭素繊維のように高い電気抵
抗を有するものは得られない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の課題を解決し、高い電気抵抗を有し、かつ高強度を有
する炭素繊維を得るべく鋭意検討した結果、本発明に到
達した。即ち本発明の要旨は、溶融した光学異方性ピッ
チを紡糸し不融化処理した後、無張力下、450〜60
0℃の温度で第一炭化処理を行い、次いでフィラメント
数1000本当たり50g以上の張力を負荷しながら、
700〜1000℃の温度で第二炭化処理を行うことを
特徴とする長繊維状炭素繊維の製造方法、に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法について
詳細に説明する。本発明に用いられる原料ピッチとして
は、例えば、石炭系のコールタール、コールタールピッ
チ、石炭液化物、石油系の重質油、ピッチ、石油樹脂や
その熱重縮合反応生成物、ナフタレンやアントラセンの
触媒反応による重合反応生成物等の炭素質原料が挙げら
れる。また、これらの炭素質原料に、例えば加熱処理し
た後、溶剤で可溶分を抽出したり、水素供与性溶剤、水
素ガスの存在下に水添処理するなどの予備処理を行なっ
て用いてもよい。
【0007】なお、原料ピッチ中には、不溶性物質とし
て、灰分(Ash成分)が含まれているが、これは、原
料ピッチを加熱処理して炭素繊維の前駆体となる光学的
に異方性の液晶ピッチにする際に、不均一性の原因とな
り、乱れた組織の前駆体を与える。また紡糸後、不融
化、焼成して得られた繊維中に物理的な欠陥を生じ、強
度、弾性率に悪影響を及ぼす。
【0008】従って紡糸に供する段階で、灰分量が通常
30ppm以下好ましくは20ppm以下に精製されて
いるピッチを用いると、引張強度の大きい炭素繊維を得
ることができ、炭素繊維束を補強材を兼ねて用いる場合
に有用である。灰分を除去するタイミングは紡糸前であ
れば何時でもよく、例えば原料ピッチの段階、または紡
糸ピッチの段階で除去すればよい。灰分の除去は周知の
方法を用いればよい。例えば、沈降法、遠心分離法、濾
過法、吸着法、酸、アルカリ、溶媒による洗浄法などが
あるが、それぞれを単独で行ってもよく、ピッチの形態
によりそれぞれに適した除去法を組み合わせて、また繰
り返し行ってもよい。また、除去の効率を上げるために
多孔性無機物(濾過助剤等)等を加えるのも有効であ
る。工業的には、沈降法、遠心分離法、濾過法を用いる
ことが、連続的、また大量に処理できることから好まし
い。
【0009】上記のように精製したピッチは、常法にし
たがって光学的に異方性を示す液晶ピッチに転換され
る。紡糸に供するピッチの光学的異方性割合は80%以
上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以
上であることが必要である。光学的異方性割合が80%
を下回ると、炭素繊維の強度が著しく低下し、引張強度
を高めるべく焼成温度を上げると必然的に電気抵抗が低
下してしまい、所望の高電気抵抗の炭素繊維を得ること
はできない。
【0010】なお、ピッチの光学的異方性割合は、常温
下、偏光顕微鏡下でピッチ試料中の光学的異方性を示す
部分を面積割合として求めた値である。具体的には、例
えばピッチ試料を数mm角に粉砕した物を常法にしたが
って、約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片を
埋め込み、表面を研磨した後、表面全体をくまなく偏光
顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全表面積に
占める光学的異方性部分の面積割合を測定することによ
って求める。
【0011】光学的異方性の液晶ピッチを製造する方法
も周知の方法によることができる。例えば、精製された
ピッチを、350〜500℃、好ましくは380〜45
0℃で、2分から50時間、好ましくは5分〜5時間の
間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、
あるいは吹き込み下、または減圧下に加熱処理する方法
がある。他の例を挙げると、ナフタレン等の縮合多環炭
化水素類をHF/BF3等の触媒の存在下で重合させる
方法、または原料ピッチを特定の溶解度パラメーターを
有する溶媒を用いて溶剤分割を行い、所望のピッチを得
る方法がある。
【0012】紡糸ピッチの炭素含有率は93%以上であ
り、特に95%以上であることが好ましい。炭素含有率
が93%に満たないと前述の灰分同様、異元素である窒
素、硫黄、酸素等が強度低下の要因となり、炭素繊維の
引張強度を低下させる。上記のような紡糸ピッチを用い
て、溶融紡糸し、ピッチ繊維を得る。得られたピッチ繊
維は単繊維としての破断強度が低いため、ガイド、ロー
ラー等での毛羽の発生を防止するために、5000〜4
0000本のピッチ繊維を集束剤で集束してピッチ繊維
トウとする。集束剤としては、ピッチ繊維の一部を溶解
したり、不融化処理の際に繊維同士を接着、または融着
させることの少ないものが必要であり、例えばシリコー
ン油の水エマルジョンが好ましい。また、融着の回避を
より効果的に行うために、集束剤中にカーボンブラッ
ク、SiC等の無機微粒子を添加しても構わない。
【0013】ピッチ繊維トウは、酸化性ガス雰囲気中
で、160〜400℃に加熱して不融化する。得られた
不融化繊維トウは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気下で焼成処理して炭素繊維とする。本発明において
は、まず、不融化繊維トウに張力を負荷しない状態で、
450〜600℃、好ましくは520〜580℃の温度
で第一炭化処理を行う。第一炭化処理の温度が450℃
より低いと、繊維の強度が充分でないために第2炭化処
理の張力に耐えることができないため、また600℃よ
り高いと繊維の伸度が低下し、やはり第2炭化処理の張
力に耐えることができないため好ましくない。
【0014】第一炭化処理を行って得られる炭化糸の目
付は1.6〜6.0g/m、好ましくは1.8〜4.5
g/mである。該目付が1.6g/mより少ないと、所
定の形状の複合材を製造する際に多数本の炭素繊維を用
いなければならないため、該目付が6.0g/mより多
いと、張力をかけて第2炭化する際に繊維軸方向への各
々の繊維の糸揃いが低下してしまうために好ましくな
い。
【0015】第一炭化処理の時間は、通常、1秒〜10
分、好ましくは、10秒〜5分である。次いで、第一炭
化処理繊維トウに対して、フィラメント数1000本当
たり50g以上、好ましくは80g以上の張力を負荷し
ながら、700〜1000℃、好ましくは730〜90
0℃、さらに好ましくは、750〜850℃の温度で第
二炭化処理を行う。第二炭化処理の温度が、700℃よ
り低いと、強度や電波の吸収特性が十分でなく、また、
1000℃を超えると、電気抵抗が低い炭素繊維しか得
られない。
【0016】第二炭化処理の時間は、通常、1秒〜10
分、好ましくは、10秒〜5分である。第二炭化処理の
時間が、1秒より短いと、滞留時間の制御、すなわち炭
化度の制御が困難となり電気抵抗値のばらつきが大きく
なるため、また、10分より長いと生産に要する必用電
力が大きくなるため好ましくない。以上のようにして得
られる本発明の炭素繊維は、体積固有電気抵抗値が10
-2〜102 Ω・cm、好ましくは10-1〜10Ω・cm
である。体積固有電気抵抗値が10-2Ω・cmよりも小
さいと、電気抵抗が小さすぎるため帯電防止用や電波吸
収用の材料としては好ましくなく、102 Ω・cmより
も大きいと炭素繊維としては極めて不安定で脆弱なもの
となるため好ましくない。
【0017】また、本発明の炭素繊維は、引張強度が8
0kg/mm2 以上、好ましくは90kg/mm2
上、特に好ましくは100kg/mm2 以上である。さ
らに、本発明の炭素繊維は、引張弾性率が3〜8ton
/mm2 、好ましくは4〜6ton/mm2 である。引
張強度が80kg/mm2より小さい、または引張弾性
率が3ton/mm2 より小さいと帯電防止用や電波吸
収用の材料として充分な強度を有するものを得ることが
できないため好ましくない。また、引張弾性率が8to
n/mm2 より大きいと、特性の良い電波吸収体を形成
できないため好ましくない。
【0018】なお、ここでいう引張強度、引張弾性率
は、JIS R7601により単繊維試料を用いて測定
した値であり、体積固有抵抗は、JIS R7601に
よりヤーン試料により測定した値である。本発明の炭素
繊維は、密度が1.4〜1.7、好ましくは1.4〜
1.6である。密度が1.4より小さいと、炭素繊維と
しては極めて不安定で脆弱なものとなるため好ましくな
く、1.7より大きいと、特性の良い電波吸収体を形成
できないため好ましくない。
【0019】本発明の炭素繊維は、炭素含有率が85〜
95%、好ましくは90〜95%であり、また水素含有
率が0.3〜2.5%、好ましくは0.8〜2.0%で
ある。炭素含有率が85%より小さい、また水素含有率
が2.5%より大きいと、炭素繊維としては極めて不安
定で脆弱なものとなるため好ましくなく、炭素含有率が
95%より大きい、また水素含有率が0.3%より小さ
いと、特性の良い電波吸収体を形成できないため好まし
くない。
【0020】本発明の炭素繊維は、X線回折により求め
た黒鉛の格子定数Lcが25Å以下、好ましくは10〜
20Åであり、面間隔d002が3.45Å以上、好ま
しくは3.45〜3.48Åである。Lcが25Åより
大きい、またd002が3.445Åより小さいと、特
性の良い電波吸収体を形成できないため好ましくない。
次に、本発明の炭素繊維を使用した炭素繊維集合体の製
造方法について説明する。
【0021】上記のようにして得られた長繊維状炭素繊
維トウは、周知の如く、通常は直径数μm〜数十μmの
単繊維が多数本集束した状態で製造されるが、本発明で
用いる炭素繊維束は、このもの又はこれを更に多数本引
きそろえて樹脂又はアスファルト等の結着剤で結合し、
一体化したものである。結着剤としての樹脂としては、
例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、飽和又は不飽
和ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリオキシメチ
レン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂な
どのホモポリマー、またはコポリマー等が挙げられる。
このうち特に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、水溶性
ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0022】炭素繊維に結着剤を添着する方法も周知の
方法によることができる。例えば、5000〜4000
0本の長繊維状炭素繊維トウに結着剤を含浸させた後、
乾燥させるという方法がある。含浸させるときの結着剤
の形態は、適当な溶剤に溶解させるか、界面活性剤を用
いてエマルジョンとして水に分散させておけばよい。用
いる溶剤としては、2−ブタノン、テトラヒドロフラ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、クロロ
ホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。
【0023】結着剤による結合状態は、炭素繊維束が一
体性を保つに足るだけの弱い結合状態から、いわゆる炭
素繊維ロッドと称されるような強固な結合状態まで、用
途によって任意の結合状態とすることができる。通常、
結着剤は、炭素繊維全量に対して、0.2〜10重量
%、好ましくは0.5〜7重量%を添着して集束させる
ことができる。
【0024】本発明の炭素繊維集合体の太さ(断面積)
は、炭素繊維の全断面積として、通常0.2〜80mm
2 、好ましくは0.8〜20mm2 である。その形状は
任意であるが、取扱い性などの点からして、丸棒などの
棒状が好ましい。しかし所望ならば紐状、板状などとす
ることもできる。炭素繊維集合体の長さは、用途によっ
て任意の長さを選択することができる。
【0025】本発明の炭素繊維及び炭素繊維集束体は、
高電気抵抗であり、かつ高強度であるため、電子部品等
の帯電防止用の材料や高層建築の外壁材等の電波吸収用
の材料として好適に使用することができる。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 光学的異方性率100%、メトラー軟化点301℃、炭
素含有率96重量%、灰分量15ppmの紡糸用ピッチ
をシリコン系油剤で集束させながら口金温度335℃で
紡糸し、繊維径13μm、フィラメント数11000本
の長さ7000mのピッチ繊維トウを得た。
【0027】得られたピッチ繊維トウを、空気中で、昇
温温度1℃/分で380℃まで昇温、加熱して不融化処
理を行った。次いで、窒素ガス雰囲気中で、不融化繊維
トウに張力を負荷せずに、530℃、滞留時間2分の条
件で第一炭化処理を行った。第一炭化処理で得られた炭
化糸の目付は2.1g/mであった。さらに、窒素ガス
雰囲気中で、第一炭化処理繊維トウに1320g/トウ
(120g/1000本)の張力を負荷して、800
℃、滞留時間2分の条件で第二炭化処理を行い、炭素繊
維を製造した。
【0028】得られた炭素繊維は、引張強度100kg
/mm2 、引張弾性率5.3ton/mm2 であり、体
積固有電気抵抗値0.7Ω・cmであった。 実施例2 光学的異方性率100%、メトラー軟化点301℃、炭
素含有率96重量%、灰分量15ppmの紡糸用ピッチ
をシリコン系油剤で集束させながら口金温度335℃で
紡糸し、繊維径13μm、フィラメント数22000本
の長さ7000mのピッチ繊維トウを得た。
【0029】得られたピッチ繊維トウを、空気中で、昇
温温度1℃/分で380℃まで昇温、加熱して不融化処
理を行った。次いで、窒素ガス雰囲気中で、不融化繊維
トウに張力を負荷せずに、560℃、滞留時間2分の条
件で第一炭化処理を行った。第一炭化処理で得られた炭
化糸の目付は4.0g/mであった。さらに、窒素ガス
雰囲気中で、第一炭化処理繊維トウに2200g/トウ
(100g/1000本)の張力を負荷して、790
℃、滞留時間20秒の条件で第二炭化処理を行い、炭素
繊維を製造した。
【0030】得られた炭素繊維は、引張強度100kg
/mm2 、引張弾性率4.3ton/mm2 であり、体
積固有電気抵抗値10Ω・cmであった。 比較例1 光学的異方性率98%、メトラー軟化点298℃、炭素
含有率94重量%、灰分量50ppmの紡糸用ピッチを
シリコン系油剤で集束させながら口金温度333℃で紡
糸し、繊維径13μm、フィラメント数11000本の
長さ7000mのピッチ繊維トウを得た。
【0031】得られたピッチ繊維トウを、空気中で、昇
温温度1℃/分で380℃まで昇温、加熱して不融化処
理を行った。次いで、窒素ガス雰囲気中で、不融化繊維
トウに張力を負荷せずに、530℃、滞留時間2分の条
件で第一炭化処理を行った。第一炭化処理で得られた炭
化糸の目付は2.1g/mであった。さらに、窒素ガス
雰囲気中で、第一炭化処理繊維トウに1320g/トウ
(120g/1000本)の張力を負荷して、680
℃、滞留時間3分の条件で第二炭化処理を行い、炭素繊
維を製造した。
【0032】得られた炭素繊維は、引張強度60kg/
mm2 、引張弾性率2.8ton/mm2 と低いもので
あり、体積固有電気抵抗値200Ω・cmであった。 比較例2 第二炭化処理温度を1050℃とした以外は実施例1と
全く同様にして炭素繊維を製造した。
【0033】得られた炭素繊維は、引張強度170kg
/mm2 、引張弾性率12.9ton/mm2 と高かっ
たが、体積固有電気抵抗値0.002Ω・cmと低いも
のであった。 比較例3 光学的異方性率0%、メトラー軟化点270℃、炭素含
有率93重量%、灰分量20ppmの紡糸用ピッチをシ
リコン系油剤で集束させながら口金温度300℃で紡糸
し、繊維径13μm、フィラメント数11000本の長
さ7000mのピッチ繊維トウを得た。
【0034】得られたピッチ繊維トウを、空気中で、昇
温温度1℃/分で380℃まで昇温、加熱して不融化処
理を行った。次いで、窒素ガス雰囲気中で、不融化繊維
トウに張力を負荷せずに、530℃、滞留時間2分の条
件で第一炭化処理を行った。第一炭化処理で得られた炭
化糸の目付は2.1g/mであった。さらに、窒素ガス
雰囲気中で、第一炭化処理繊維トウに1320g/トウ
(120g/1000本)の張力を負荷して、1400
℃、滞留時間3分の条件で第二炭化処理を行い、炭素繊
維を製造した。
【0035】得られた炭素繊維は、引張強度100kg
/mm2 、引張弾性率4.9ton/mm2 であった
が、体積固有電気抵抗値0.005Ω・cmと低いもの
であった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、高電気抵抗であり、か
つ高強度である炭素繊維及び炭素繊維集束体を製造する
ことができ、これらは電子部品等の帯電防止用の材料や
高層建築の外壁材等の電波吸収用の材料として好適に使
用することができるため、工業上非常に有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融した光学異方性ピッチを紡糸し不融化
    処理した後、無張力下、450〜600℃の温度で第一
    炭化処理を行い、次いでフィラメント数、1000本当
    たり50g以上の張力を負荷しながら、700〜100
    0℃の温度で第二炭化処理を行うことを特徴とする長繊
    維状炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素繊維の体積固有電気抵抗値が10-2
    〜102 Ω・cmである請求項1に記載の炭素繊維の製
    造方法。
  3. 【請求項3】第一炭化処理を行って得られる炭化糸の目
    付が1.6〜6.0g/mである請求項1又は2に記載
    の炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】第二炭化処理の時間が1秒〜10分である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方
    法。
JP17800296A 1996-07-08 1996-07-08 炭素繊維の製造方法 Pending JPH1025626A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102766990A (zh) * 2012-07-02 2012-11-07 北京化工大学 一种高导热炭纤维的制备方法
KR20210142422A (ko) * 2020-05-18 2021-11-25 한국에너지기술연구원 섬유강화 복합소재 및 그의 제조방법

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