JP3531194B2 - 炭素繊維集合体 - Google Patents

炭素繊維集合体

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JP3531194B2 JP31525293A JP31525293A JP3531194B2 JP 3531194 B2 JP3531194 B2 JP 3531194B2 JP 31525293 A JP31525293 A JP 31525293A JP 31525293 A JP31525293 A JP 31525293A JP 3531194 B2 JP3531194 B2 JP 3531194B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、5×10-2Ωcmとい
う高い電気抵抗を有しながら、かつ90kg/mm2
上の引張強度を有する炭素繊維、及びその製法に関する
ものであり、特に熱可塑性樹脂化合物強化用炭素繊維に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維には、その原料によりPAN
(ポリアクリロニトリル)系、ピッチ系等に区別され
る。このうちピッチ系炭素繊維は、その原料の調製方法
により、高性能炭素繊維と、汎用炭素繊維に大別されて
いる。高性能炭素繊維は石炭、石油等より得られるピッ
チを原料とし、これを加熱等の手段を用い、炭素構造の
前駆体である、液晶の光学的異方性部分を生じさせ、こ
れを紡糸し、酸化性雰囲気で不融化、ついで炭化、必要
に応じて黒鉛化を行うことにより得られる。ここで、光
学的異方性部分を生じさせる理由は、液晶性を有する光
学的異方性部分が良い配向性を有するために、得られた
炭素繊維も配向性の優れたものとなり、高強度、高弾性
率を発現し易くするためである。これに反して、汎用グ
レードとして用いられているピッチ系炭素繊維は、光学
的に等方性のピッチを紡糸、不融化、焼成を行うために
高特性を得にくいということが知られている。
【0003】従来、その炭素繊維を各種のマトリックス
に混合、分散させて成る繊維強化樹脂組成物は、高強
度、高剛性、低比重、高電気伝導性、高耐摩耗性等の機
械的特性が評価され、工業的に重要な材料として様々な
用途に使用されてきた。一般に炭素繊維を各種樹脂に混
合、分散させて繊維強化樹脂材料を得る場合、炭素短繊
維の取扱性を容易にして混合、分散の工程における作業
性を高めるに、あらかじめ多数の炭素短繊維をサイジン
グ剤等により集束させて成る炭素短繊維集合体が用いら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近、特に電
子部品の帯電防止用の材料として、従来の繊維強化熱可
塑性樹脂組成物の電気抵抗(10-1〜10-2Ωcm程
度)を上回る電気抵抗(105 Ωcm以上)を有する繊
維強化熱可塑性樹脂組成物が求められており、その補強
用繊維として高電気抵抗であり、かつ高強度を有する炭
素繊維の開発が望まれていた。炭素化温度と電気抵抗の
関係は従来から知られており、炭素化温度を上げるにし
たがって電気抵抗は低下してくる(例えば、近代編集社
刊“炭素繊維”p.83)。しかしながら、従来の原料
を用いた場合は、所望の電気抵抗が得られる範囲の焼成
温度で炭素繊維を製造した際、その温度が低いために、
ピッチ系炭素繊維では、高い引張強度が得られず、また
PAN系炭素繊維では、窒素が抜けきらずに炭素含有率
の低い繊維となってしまい、所望の炭素繊維を得ること
ができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討した結果、強度低下の原因と成
りうる欠陥を発生させる要因を徹底的に排除してやるこ
と、及び紡糸ピッチの光学的異方性割合を特定し、焼成
温度が低いにもかかわらず高強度が発現する製造条件を
見つけて、高電気抵抗、かつ高強度の炭素繊維を見いだ
した。すなわち、光学異方性割合80%以上、かつ炭素
含有率93%以上、かつ灰分量30ppm以下の液晶ピ
ッチを紡糸、不融化後、700〜1000℃で焼成する
事により、引張強度が90kg/mm2 以上、かつ引張
弾性率が3ton/mm2 以上、かつ電気抵抗が5×1
-2Ωcm以上であり炭素含有率85%以上の炭素繊維
を得ることができたものである。
【0006】以下、本発明をより詳細に説明する。本発
明において、高い電気抵抗を有し、かつ高い引張強度を
有する繊維を製造するためには、(イ)繊維中で物理的
/化学的に強度低下の原因となる灰分を徹底的に除去
し、(ロ)炭素の結晶として強度低下の原因となる、紡
糸ピッチ段階における光学的に等方性の部分の割合を低
下させることによって強度を向上させ、強度発現のため
に必要最低の温度で焼成し高い電気抵抗を維持すること
が必要である。
【0007】本発明に用いられる原料ピッチとしては、
例えば、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、
石炭液化物、石油系の重質油、ピッチ、石油樹脂やその
熱重縮合反応生成物、ナフタレンやアントラセンの触媒
反応による重合反応生成物等の炭素質原料が挙げられ
る。また、前記炭素質原料を、例えば加熱処理した後、
特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、あるいは、
水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処理するとい
った方法で予備処理を行なっておいてもよい。通常、原
料ピッチ中には不溶性物質として、灰分(Ash成分)
が含まれている。これは、その後、原料ピッチを加熱処
理して炭素繊維の前駆体となる光学的に異方性の液晶ピ
ッチ化をする際に、不均一性の原因となり乱れた組織の
前駆体を与える。また紡糸後、不融化、焼成して得られ
た繊維中に物理的な欠陥を生じ、強度、弾性率に悪影響
を及ぼす。
【0008】本発明において、紡糸に供するピッチの段
階で、灰分量を通常30ppm以下、好ましくは20p
pm以下に精製したピッチを用いることにより、炭素繊
維の引張強度を著しく向上させることができる。30p
pmを超える灰分を有する紡糸ピッチから製造した炭素
繊維は、不融化反応における周りの空気雰囲気との酸化
反応において、灰分が触媒作用を呈し繊維表面に露出し
ている灰分の周りが選択的に酸化されて、いわゆる“ピ
ット”を生成し、強度低下の原因となる欠陥を生じてし
まう。
【0009】灰分を除去するタイミングは紡糸前であれ
ば何時でもよく、例えば原料ピッチの段階、または紡糸
ピッチの段階で除去しても構わない。灰分の除去方法に
ついては、特に限定せず、周知の方法を用いればよい。
例えば、重量沈降法、遠心分離法、濾過法、吸着法、
酸、アルカリ、溶媒による洗浄法などがあるが、それぞ
れを単独で行ってもよく、ピッチの形態によりそれぞれ
に適した除去法を組み合わせて、また繰り返し行っても
よい。また、除去の効率を上げるために多孔性無機物
(濾過助剤等)等を加えても構わない。工業的には、重
量沈降法、遠心分離法、濾過法を用いることが、連続
的、また大量に処理できることから好ましい。
【0010】上記のように精製したピッチは、常法にし
たがって光学的に異方性を呈する液晶ピッチに転換され
る。本発明においては、紡糸に呈するピッチの光学的異
方性割合は80%以上、好ましくは90%以上、さらに
好ましくは95%以上であることが必要である。光学的
異方性割合が80%を下回ると、炭素繊維の強度が低下
し、必要な引張強度を得ようとすれば、焼成温度を上げ
ねばならず、そのために、必然的に電気抵抗が低下して
しまい、所望の高電気抵抗、高強度の炭素繊維を得るこ
とはできない。
【0011】本発明でいうピッチの光学的異方性割合
は、常温下、偏光顕微鏡下でピッチ試料中の光学的異方
性を示す部分を面積割合として求めた値である。具体的
には、例えばピッチ試料を数mm角に粉砕した物を常法
にしたがって、約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に
試料片を埋め込み、表面を研磨した後、表面全体をくま
なく偏光顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全
表面積に占める光学的異方性部分の面積割合を測定する
ことによって求める。
【0012】光学的異方性の液晶ピッチを製造する方法
は特に限定されず、周知の方法を用いればよい。例え
ば、精製されたピッチを、通常350〜500℃、好ま
しくは380〜450℃で2分から50時間、好ましく
は5分〜5時間の間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活
性ガス雰囲気下、あるいは吹き込み下、または減圧下に
加熱処理する方法がある。他の例を上げると、ナフタレ
ン等の縮合多環炭化水素類をHF/BF3等の触媒の存
在下で重合させる方法、または原料ピッチをある特定の
溶解度パラメーターを有する溶媒を用いて溶剤分割を行
い、所望のピッチを得る方法がある。
【0013】また、かかる紡糸ピッチの炭素含有率は9
3%以上であり、好ましくは95%以上であることが好
ましい。炭素含有率が93%に満たないと前述の灰分同
様、異元素である窒素、硫黄、酸素等が強度低下の要因
となり、炭素繊維の引張強度を低下させる。上記の様な
紡糸ピッチを用いて溶融紡糸しピッチ繊維を得る。この
ピッチ繊維は単繊維としての破断強度が低いため、ガイ
ド、ローラー等での毛羽の発生を防止するために、10
00本〜20000本のピッチ繊維を集束剤で集束して
ピッチ繊維トウを得る。ここで集束剤としては、ピッチ
繊維の一部を溶解したり、不融化処理の際に繊維同士を
接着、または融着させることの少ないものが必要であ
り、例えばシリコーン油の水エマルジョンが好ましい。
また、融着の回避をより効果的に行うために、集束剤中
にカーボンブラック、SiC等の無機微粒子を添加して
も構わない。
【0014】次に、上記ピッチ繊維トウは、連続/回分
処理により酸化性ガス雰囲気中で、通常160〜400
℃に加熱され不融化処理を行う。得られた不融化繊維ト
ウは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で焼成処
理を行う。本発明において、所望の炭素繊維を得るため
には、焼成温度を通常700〜1000℃、好ましくは
730〜900℃、さらに好ましくは、750〜850
℃で行われる。焼成温度が、700℃より低いと、電気
抵抗は高いものが得られるものの、引張強度の発現が十
分でなく、また、焼成温度が1000℃を超えると、引
張強度は高いものの、電気抵抗が低い炭素繊維しか得ら
れない。
【0015】本発明における炭素繊維は通常、上記の方
法により得られ、この様にして得られた炭素繊維は、高
強度、高電気抵抗という性質を合わせ持つが、通常、引
張強度が90kg/mm2 以上、好ましくは100kg
/mm2 以上であり、さらに好ましくは110kg/m
2 以上であり、引張弾性率は3ton/mm2 以上、
好ましくは4ton/mm2 以上、さらに好ましくは5
ton/mm2 以上であり、体積固有電気抵抗は5×1
-2Ωcm以上、好ましくは1×10-1Ωcm以上であ
る。引張強度が90kg/mm2 、引張弾性率が3to
n/mm2 に満たないと、樹脂強化用炭素繊維として用
いたときに樹脂の補強効果が小さいために、得られる成
形材料は充分な強度、弾性率を有することができない。
また、体積固有電気抵抗が5×10-2Ωcmよりも小さ
いと、同様に成形材料とした時、その電気抵抗が小さ
く、つまり導電性が向上してしまい、目的とする帯電防
止用の材料として使用することができなくなる。なお、
ここでいう引張強度、引張弾性率は、JIS R760
1により単繊維試料を用いて測定した値であり、体積固
有電気抵抗は、JIS R7601によりヤーン試料に
より測定した値である。
【0016】次に、炭素短繊維集合体の製造方法につい
説明する。この様にして得られた炭素繊維トウは、サイ
ジング剤を炭素繊維全量に対して、通常0.2〜10重
量%、好ましくは0.5〜7重量%を添着して集束させ
る。サイジング剤の添着量が0.2重量%未満では炭素
繊維の集束性が劣り、後段で1〜30mmの短繊維にき
りそろえた時に嵩密度の小さい、取扱性の不良な炭素短
繊維集合体しか得られず、また、10重量%を超える
と、同様に後段で得られる炭素短繊維集合体の集束性が
良すぎて、かえって樹脂中での分散性が低下し炭素短繊
維強化熱可塑性樹脂の物性が低下するため好ましくな
い。
【0017】サイジング剤の添着方法としては、1,0
00〜20,000本の炭素繊維トウにサイジング剤を
含浸させた後、乾燥させるという方法がある。含浸させ
るときのサイジング剤の形態は、適当な溶剤に溶解させ
るか、界面活性剤を用いてエマルジョンとして水に分散
させておけばよい。用いる溶剤としては、2−ブタノ
ン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン等があ
る。サイジング剤としては、この目的で通常用いられる
任意の物が使用でき、その中から炭素繊維トウの集束性
の良いものを選択すればよい。具体的には、エポキシ化
合物、飽和または不飽和ポリエステル、ポリフェニレン
サルファイト、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネ
ート、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、ポリオレフ
ィン、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリアミド樹脂などのホモポリマー、またはコポリ
マー等が挙げられる。このうち特にエポキシ化合物、水
溶性ポリアミド化合物、またはポリウレタン化合物が好
ましい。
【0018】本発明の炭素繊維集合体は、サイジング剤
により集束された炭素繊維トウを周知の切断方法を用い
て切りそろえ、通常1〜30mm、好ましくは3〜10
mmの任意の長さ、またはその範囲内の長さの混合物と
して得られる。繊維長が1mmよりも短いと、カッテン
グ時に繊維トウにかかる剪断力により糸が最低単糸レベ
ルにまでバラケてしまい、集束した短繊維集合体を得る
ことができず、また、30mmを超えると、熱可塑性樹
脂化合物強化用として用いた場合に、樹脂との混合の際
に均一な混合物を得ることが困難になる。また、得られ
た炭素短繊維集合体は、特に熱可塑性樹脂化合物強化用
として用いる場合には、嵩密度が通常300g/l以
上、好ましくは350g/l以上、さらに好ましくは4
00g/l以上であることが望ましい。嵩密度が300
g/lより小さいとその嵩高さのために樹脂とのブレン
ドを行う際のフィード性が低下してしまう。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、実施例
に限定されるものではない。 (実施例1)コールタール1重量部に、沸点範囲が24
0〜290℃の予め水添された芳香族油を1重量部加え
混合した後に、濾過助剤として、市販の珪藻土濾過助剤
“セライト505”(商品名、セライト社製)を0.0
1重量部加え、目開き10μmのキャンドルフィルター
を通して、濾過を行なった。得られた濾液を、温度45
0℃、水素圧力150kg/cm2 に維持されたオート
クレーブに連続的に供給した。平均滞留時間は60分と
した。得られた反応物を目開き0.5μの焼結フィルタ
ーを通してさらに濾過を行った後、濾液を減圧下、蒸留
して水添ピッチを得た。得られた水添ピッチを窒素ガス
バブリング下、430℃で140分加熱処理し、光学的
異方性割合100%、メトラー軟化点302℃で、炭素
含有率96重量%、灰分量20ppmの紡糸ピッチを調
製した。次いで、該紡糸用ピッチをシリコン系油剤で集
束させながら口金温度330℃で紡糸し、フィラメント
数8000本、繊維径13μmの連続長ピッチ繊維トウ
を得た。
【0020】次いで、ピッチ繊維トウを空気中で不融化
処理後、窒素ガス中770℃、滞留時間2分の条件で焼
成し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含
有率89%、繊維径12.4μ、引張強度100kg/
mm2 、引張弾性率5.0ton/mm2 であり、3.
5Ωcmという高い体積固有電気抵抗を示した。 得ら
れた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を6重量%添着
した後、カッテング装置に連続的にフィードして、カッ
ト長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩
密度は510g/lであった。上記炭素短繊維集合体1
5重量部とポリカーボネート樹脂ペレット85重量部と
をドライブレンドした後、スクリュー押し出し機に仕込
み、溶融混合してストランド状に押し出し、水冷後ペレ
ット状に切断した。押し出し機への仕込みはスムース
で、かつ炭素短繊維集合体と樹脂とは均一な分散状態で
あった。この様にして得られた炭素短繊維強化成形材料
を90℃、4時間乾燥させた後、射出成形し試験片を作
成した。この試験片の曲げ強度(ASTM−D790に
よる)は1350kg/cm2 、体積固有電気抵抗は、
1×108 Ωcmであった。
【0021】実施例2 実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、
窒素ガス中820℃、滞留時間2分の条件で焼成し炭素
繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率91
%、繊維径12.3μ、引張強度120kg/mm2
引張弾性率6.5ton/mm2 であり1.7×10-1
Ωcmという高い体積固有抵抗を示した。得られた炭素
繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した後、
カッテング装置に連続的にフィードして、カット長6m
mの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密度は5
00g/lであった。また、実施例1と同様にして調製
した、上記繊維をポリカーボネート樹脂中に15重量%
分散させて成る炭素短繊維強化成形材料の曲げ強度は1
400kg/cm2 、体積固有電気抵抗は、2×107
Ωcmであった。
【0022】実施例3 実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、
窒素ガス中950℃、滞留時間0.07分の条件で焼成
し炭素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有
率91%、繊維径12.2μ、引張強度120kg/m
2 、引張弾性率6.2ton/mm2 であり1.8×
10-1Ωcmという高い体積固有抵抗を示した。得られ
た炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着し
た後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット
長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密
度は520g/lであった。
【0023】比較例1 実施例1と同様にして得られた水添ピッチを窒素ガスバ
ブリング下、430℃で40分加熱処理し、光学的異方
性割合30%、メトラー軟化点280℃で、炭素含有率
91重量%、灰分量20ppmの紡糸ピッチを調製し
た。次いで、該紡糸用ピッチをシリコン系油剤で収束さ
せながら口金温度310℃で紡糸し、フィラメント数8
000本、繊維径13μmの連続長ピッチ繊維を得た。
次いで、ピッチ繊維を空気中で不融化処理後、窒素ガス
中820℃、滞留時間2分の条件で焼成し炭素繊維を調
製した。得られた炭素繊維の引張強度は40kg/mm
2 と低いものであった。引張弾性率は3.0ton/m
2 、体積固有抵抗は3.5Ωcmであった。得られた
炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%添着した
後、カッティング装置に連続的にフィードして、カット
長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密
度は490g/lであった。また、実施例1と同様にし
て調製した、上記繊維をポリカーボネート樹脂中に15
重量%分散させて成る炭素繊維強化成形材料の曲げ強度
は1150kg/cm2 、体積固有電気抵抗は、3×1
8 Ωcmであり、炭素繊維の強度が低いために補強効
果が小さかった。
【0024】比較例2 水添反応後の0.5μ焼結フィルターによる濾過を行わ
なかった以外は、実施例3と全く同様にして炭素繊維を
調製した。この時の紡糸ピッチの物性は光学的異方性割
合100%、メトラー軟化点302℃で、炭素含有率9
6重量%、灰分量80ppmであった。この紡糸ピッチ
から得られた炭素繊維の引張強度は60kg/mm2
低いものであった。引張弾性率は6.0ton/m
2 、体積固有抵抗は1.7×10-1Ωcmであった。
得られた炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を5重量%
添着した後、カッティング装置に連続的にフィードし
て、カット長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られ
た物の嵩密度は490g/lであった。また、実施例1
と同様にして調製した、上記繊維をポリカーボネート樹
脂中に15重量%分散させて成る炭素短繊維強化成形材
料の曲げ強度は1250kg/cm2 、体積固有電気抵
抗は、2×107 Ωcmであり、炭素繊維の強度が低い
ために補強効果が小さかった。
【0025】比較例3 実施例1と全く同様にして調製した不融化繊維トウを、
窒素ガス中1200℃、滞留時間7秒の条件で焼成し炭
素繊維を調製した。得られた炭素繊維は、炭素含有率9
9%、繊維径11.5μ、引張強度200kg/m
2 、引張弾性率19.0ton/mm2 であり、体積
固有電気抵抗は2×10-3Ωcmであった。 得られ
た炭素繊維にエポキシ系サイジング剤を6重量%添着し
た後、カッテング装置に連続的にフィードして、カット
長6mmの炭素短繊維集合体を得た。得られた物の嵩密
度は510g/lであった。また、実施例1と同様にし
て調製した、上記繊維をポリカーボネート樹脂中に15
重量%分散させて成る炭素繊維強化成形材料の曲げ強度
は1450kg/cm2 、体積固有電気抵抗は、1×1
-2Ωcmであり、強度は高いものの電気抵抗が低い物
しか得られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】比較例4 実施例2と全く同様にして調製した炭素繊維に、エポキ
シ系サイジング剤を0.1重量%添着した後、カッティ
ング装置に連続的にフィードして、カット長6mmの炭
素短繊維集合体の製造を試みた。しかし、炭素繊維トウ
の集束性が低いためにカッティング時にトウがばらけて
しまい、得られた物の嵩密度は200g/lと低いもの
であった。この物を実施例1と全く同様にして炭素短繊
維強化成形材料の調製を試みたが、樹脂ペレットとドラ
イブレンドしようとした際に炭素短繊維集合体のフィー
ド口での炭素短繊維の閉塞が発生し、工程を進めること
ができなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明の炭素繊維を用いれば、例えば電
子部品の帯電防止用の材料として要求されている高い電
気抵抗を有しながら、かつ、高強度の炭素繊維強化熱可
塑性樹脂化合物を提供することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−169725(JP,A) 特開 平1−149892(JP,A) 特開 昭63−120113(JP,A) 特開 昭63−120136(JP,A) 特開 昭63−295714(JP,A) 特開 平2−58596(JP,A) 特開 昭61−97423(JP,A) 特開 平3−277688(JP,A) 特開 平4−31492(JP,A) 特開 昭63−150378(JP,A) 特公 昭63−35195(JP,B1) 特公 昭44−2511(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/14 - 9/155

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張強度が90〜120kg/mm 2
    引張弾性率が3〜6.5ton/mm 2 であり、かつ電
    気抵抗が5×10 -2 〜3.5Ωcmである、炭素含有率
    が85%以上の炭素繊維を長さ1〜30mmに切りそろ
    えた炭素短繊維からなり、嵩密度が300g/l以上で
    ある樹脂補強用の炭素短繊維集合体。
  2. 【請求項2】 請求項1の炭素短繊維集合体を熱可塑性
    樹脂に混合、分散させてなる繊維強化熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂で
    ある請求項の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
JP31525293A 1993-12-15 1993-12-15 炭素繊維集合体 Expired - Lifetime JP3531194B2 (ja)

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