JP2533010Y2 - 解体装置 - Google Patents

解体装置

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JP2533010Y2
JP2533010Y2 JP1994004330U JP433094U JP2533010Y2 JP 2533010 Y2 JP2533010 Y2 JP 2533010Y2 JP 1994004330 U JP1994004330 U JP 1994004330U JP 433094 U JP433094 U JP 433094U JP 2533010 Y2 JP2533010 Y2 JP 2533010Y2
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康氏 高倉
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高倉 可明
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、解体装置に関するもの
であり、特にスクラップ自動車のエンジンや古タイヤ等
を解体処理するための操縦式の解体装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のスクラップ自動車解体作業におい
ては、車輪とエンジンその他部品を取り外したのちに車
体ボディおよびシャシーをプレスにかけて圧縮ブロック
にし、エンジンは手作業で伝送部品を取外し、また古タ
イヤは手作業や専用のタイヤホイール分離機によってタ
イヤとホイールとに分け、タイヤの良品は再生タイヤ原
料として資源回収を行っている。
【0003】近年、資源不足によりスクラップから種々
の原材料の回収が行なわれており、その中でも比較的高
価なアルミニウムの回収は特に盛んである。
【0004】近年の自動車においては、車体の軽量化を
図るべくエンジンに多くのアルミニウム合金が使用され
ており、自動車を廃車処分する際には、スクラップ自動
車から取出したエンジンを加熱炉に投入してアルミニウ
ム溶解温度以上に加熱することによりアルミニウムの回
収を行なっている。
【0005】この際、従来では、手作業または機械作業
によってエンジン外面の付属部品、たとえばダイナモや
コンプレッサ、各種の電装部品、マフラー、エアクリー
ナー、キャブレター等を取外したのちにエンジン本体を
そっくり溶解炉中に投入し、溶解温度以上に加熱して、
炉からアルミニウムを回収している。
【0006】一方、古タイヤについては資源回収が要望
されており、再生タイヤ資源としてホイールからタイヤ
を取り外すには、手作業や専用の機械で一つずつ処理し
ている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】前述のように、従来の
スクラップ自動車の解体はその多くを手作業または専用
の機械によっており、エンジンはエンジン専用の作業工
具や機械が必要であり、タイヤにはタイヤ専用の工具や
機械が必要であった。
【0008】また、最近の自動車用エンジンは、その軽
量化と成形性の改善のためにエンジンハウジングの殆ど
をアルミニウムダイカスト製とし、内部のピストンやク
ランクシャフトは強度の優れた鉄合金製としている。し
たがって、このようなエンジンのスクラップからアルミ
ニウムを回収する場合、前記溶解炉ではアルミニウムよ
り融点の高い金属部品は単に加熱されるだけでそのまま
炉から取り出されるから、その分だけ溶解炉で余分な熱
エネルギーを消費していることになり、炉の燃料費がか
さむという欠点があった。
【0009】さらに古タイヤについては、再生タイヤ資
源回収のために手作業や専用の機械で一つずつ処理して
いるため、一台の自動車からスペアタイヤを含めて通常
5本ずつ生じる古タイヤの膨大な量に到底追い付けず、
やむをえず古タイヤをタイヤごと径方向に圧潰してタイ
ヤが切断されてもかまわずにホイールを変形させて取り
除き、再生タイヤ資源の回収を一部諦めてでも大量処分
を確保する必要があった。
【0010】本考案は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、スクラップエンジンや古タイヤなどの種々の対
象物を同一装置主体の機械動力によって安全性及び効率
よく解体できる装置を実現すると共に、異種金属部品を
効率よく分別解体し、例えばエンジンのアルミニウム製
部品のみを溶鉱炉へ投入して熱効率を向上できるように
し、また古タイヤについてもタイヤに損傷を与えずにホ
イールを分離することができるようにした解体装置を提
供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に記載の
考案に係る解体装置では、前述の課題を解決するため
に、自走作業車両の車体部に種々の作業工具を備えた解
体装置において、前記車体部に設けられ、油圧操作によ
って先端が水平方向に開閉可能な一対の開閉アームと、
前記一対の開閉アームの各先端に互いに向い合って設け
られ、エンジンやタイヤ等の解体対象物を間に挟持する
ための一対の凹部と、 前記一対の凹部の各周縁に設けら
れたハンド取付け座と、前記一対の開閉アーム間で互い
に向い合うように前記一対の取付座に交換可能に取付け
られ、前記解体対象物を間に挟みつけるための一対の作
業ハンドと、前記車体部に旋回及び伏仰可能に設けられ
たブーム先端に設けられ、前記解体対象物を前記作業
ハンド間に送り、前記作業ハンドに挟みつけられた解体
対象物の部品を引き千切るための複数の開閉爪を有する
開閉作業具とを備えたものである。
【0012】
【0013】請求項に記載の考案に係る解体装置で
は、前記一対の作業ハンドの夫々に、前記開閉アームの
各先端で互いに向い合う凹形状を持たせている。
【0014】請求項に記載の考案に係る解体装置で
は、前記一対の作業ハンドの夫々に、前記開閉アームの
各先端で互いに向い合う凸形状をもたせている。
【0015】請求項に記載の考案に係る解体装置で
は、前記一対の作業ハンドを、前記開閉アームの各先端
で互いに向い合う雌雄の凹凸形状を有するものとしてあ
る。
【0016】請求項に記載の考案に係る解体装置で
は、前記一対の作業ハンドの各々に、前記開閉アームの
各先端で互いに向い合う端縁を有する板部材を備え、各
板部材の前記端縁には互いに向い合う切欠凹部が夫々備
えさせており、前記アームが近接した時に互いの切欠凹
部によって形成される間隙が、一対の前記板部材で形成
される支持面上にタイヤをおいた状態で該タイヤに嵌ま
っているホイールの外径より大きな幅を持っている。
【0017】請求項に記載の考案に係る解体装置で
は、前記互いに向い合う切欠凹部の上縁が、前記開閉ア
ームを閉じる方向に駆動したときに前記支持面上におか
れたタイヤのホイールのディスク側リム内にほぼ水平に
食い込むことのできるエッジ形状にしてある。
【0018】
【作用】請求項1に記載の考案に係る解体装置において
は、開閉アーム先端の取付座に作業ハンドを固定してお
いて、ブーム先端の開閉作業工具によって解体対象物、
例えばスクラップエンジンを掴んで開閉アーム先端の一
対の作業ハンドの間に置き、ブームと開閉作業工具とを
作業車両の運転席から操作することによって所望の向き
と位置の調整を行い、前記開閉アームを閉じる方向に駆
動して先端の作業ハンドでエンジンを両側から挟み、こ
の状態でエンジンに付属しているダイナモ等の部品をブ
ーム先端の開閉作業工具によって掴んで引き千切る。こ
の間、開閉アームによる挟持を緩めれば、ブームと開閉
作業工具との操作によってエンジンを挟持点間を結ぶ軸
心周りに回動させて姿勢を換えさせることもでき、この
ようにしてエンジン周囲の付属部品をブームと開閉作業
工具との連係操作によって容易かつ能率的に取り外すこ
とができる。
【0019】またエンジンのシリンダヘッドなどのアル
ミニウム製品をブーム先端の開閉作業工具で強く挟めば
これを鋳鉄部分から割って取ることもできる。
【0020】さらにまた開閉アームの各先端には、向い
合った凹部を設け、その周縁に前記ハンド取付座を形成
したので、前記凹部自体が前記エンジン等の挟持用の支
持面を与え、従って作業ハンドを付けない状態でも前記
挟持動作を行うことができる。
【0021】開閉アーム先端の取付座の各々に、請求項
又は或はに従って互いに向い合う凹または凸形状
をもつ作業ハンドを装着すると、作業ハンド管に挟んだ
解体対象物に対して開閉アームを油圧操作で強く挟み付
けることにより該箇所に集中的な強圧下を加えることが
でき、これによって対象物の応力集中箇所に破断を生じ
させて、そこから割って分断することができる。例えば
自動車エンジンなどでは、エンジン本体ハウジングとミ
ッションケース、或はエンジン本体ハウジングとシリン
ダヘッドカバーなどの境目に強圧下を加えるとこれらが
容易に境目で割れ、したがって異種金属の接合部で分断
すれば、これら異種金属を別々に回収可能である。分断
された部品片はブーム先端の開閉作業工具で掴んで処理
すればよく、また割れ残りの細かい部分を割る作業は開
閉作業工具自体で行えばよい。
【0022】特に請求項に記載の解体装置では、前記
作業ハンドとして互いに向い合う雌雄の凹凸形状をもつ
ものを開閉アーム先端の取付座に固定して、両作業ハン
ドの間で対象物を強く挟み付け、座屈によって対象物を
破壊する。
【0023】請求項に記載の解体装置は特にタイ
ヤホイール分離作業に好適なものであり、これも作業ハ
ンドの交換で実現する。すなわち、一対の作業ハンドと
して、前記開閉アームの各先端で互いに向い合う端縁を
有する板部材を備え、各板部材の前記端縁には互いに向
い合う切欠凹部が夫々設けられたものを開閉アーム先端
の取付座に固定すると、開閉アームを近接させた時に互
いの切欠凹部によって適当に閉じたときにアーム先端間
でほぼ中央に間隙をもった支持面が形成される。この間
隙は、一対の前記板部材で形成される支持面上にタイヤ
をおいた状態で該タイヤに嵌まっているホイールの外径
より大きな幅を持っている。従って、ブーム先端の開閉
作業工具によって古タイヤを掴み、そのディスクホイー
ルのディスク側が下になるように前記し地面の上に平に
置き、前記間隙にディスクホイールのディスク側のリム
部が入りこむように古タイヤを整列させる。次いでブー
ムと開閉作業工具とを油圧操作して、開閉作業工具をホ
イール外形より少し大きく開いたままホイールの外側の
心対象位置でタイヤを若干押込みぎみに押え、そのまま
開閉作業工具を閉じることによりディスクホイールの上
を向いているドラム開放端側のリム部を外側から中心へ
向けて押込んで変形させ、この変形をホイールの周方向
の複数箇所に生じさせることによって実質的に前記リム
部側のドラムの輪郭が前記タイヤのリム内孔の内側に納
まるようにドラムを変形させる。その後は、ホイールの
ドラム開放端側が既に縮径状に変形されているので、ブ
ームと開閉作業工具によってタイヤに対してホイールを
支持台中央の間隙から下へ押出し、分離したタイヤとホ
イールを別々に搬出する。
【0024】ここで請求項に記載の考案では、板部材
の互いに向い合う切欠凹部の上縁がタイヤのホイールの
ディスク側リム内に食い込むことのできるエッジ形状に
形成されているので、支持台上に穴と整列して置かれた
古タイヤのホイールを開閉作業工具で上から押え、ホイ
ールの下側に位置するディスク側リム部を切欠凹部の上
よりも下げた状態にしたまま開閉アームを更に閉じる
と、前記両水平テーブル半部材の前記エッジ形状の前記
上縁が、前記切欠凹部間の間隙の中に押し下げられた前
記ホイール下側のディスク側リム部に食い込んでこれを
掴み、従って前述と同様なホイールドラム側の内側への
変形の後に、開閉作業工具によってタイヤを引上げるこ
とでもホイールとの分離を行うことができる。
【0025】
【実施例】以下、この考案の実施例を添付図面を参照し
ながら詳細に説明する。図1は本考案の好適な実施例の
構成を示す斜視図であり、図Aは本体外観図、B図は開
閉作業工具の一つの作動状態を示す部分斜視図である。
図において、10,12,14,16,18,はショベ
ルカー等に使用される周知の旋回作業車と同様な構成部
品であり、10,12はブームを構成する第1アーム及
び第2アームであり、油圧により伏仰動作できるように
なっている。14は作業車両の上部車体構造であり、キ
ャタピラ16により自走可能な下部車体構造の上に旋回
可能に取り付けられており、その中央付近には前記第1
アーム10が枢支されている。また、上部構造14の一
部には中に人間が入って操縦するための操縦室18が設
けられている。
【0026】20は作業車両の前部に2本のアーム22
によって上下動可能に設けられたブラケット付き排土板
であり、その前面の一対のブラケット21には各々枢支
軸26によって一対の開閉アーム24が取り付けられて
おり、操縦室18からの油圧操作によって開閉アーム2
4の先端を左右に開閉できるようにしてある。この場
合、各開閉アームの先端が開閉動作に応じてなるべく平
行に近い動きをするように、枢支軸26が貫通する各ア
ーム24の基部の軸穴は所定角度の楕円穴形状にするの
がよい。
【0027】各開閉アーム24の先端は互いに向い合う
凹部25とその周縁のハンド取付座27として形成され
ており、このハンド取付座27には後述の図2〜図4に
示すような各種の作業ハンドが着脱可能に固定される。
図2は挟持用作業ハンドを示す斜視図であり、図A〜図
Eは具体的な作業ハンドの例を示す。
【0028】即ち、図1の例では開閉アーム24の先端
が互いに向い合う凹部25に形成されているから、この
凹部25によって解体対象物を直接挟持することもでき
るが、その場合は周縁の取付座27を損傷する恐れがあ
るので、好ましくは図2のA図〜E図に示したような挟
持作業用の作業ハンドを取付座27にボルトで装着して
解体作業を行う。
【0029】図2のA図に示す作業ハンド28aは摺り
鉢状の凹部を有する円形のもの、B図に示す作業ハンド
28bは谷状の凹部をもつ角型のもの、C図に示す作業
ハンド28cは逆ピラミッド状の凹部を有する角型のも
の、D図に示す作業ハンド28dはギザを入れた谷状の
凹部をもつ角型のもの、E図に示す作業ハンド28eは
谷状の凹部の中央部を滑らかな凹面にして両脇をギザ付
きの凹面に形成した角型のものである。
【0030】この実施例では、取付座27と角作業ハン
ド28a〜eとの取付を正方形の取付面で等角度間隔の
ボルト穴により行っており、したがって取付座27には
作業ハンド28a〜eを90度、或いは180度向きを
変えて取付可能となっている。またこれら作業ハンド2
8a〜eは前面に凹部を含む支持面を有するものであ
り、両側の開閉アーム先端に装着されてそれらの間に解
体対象物を挟持したときに、挟持圧力を少し緩めれば解
体対象物を挟持したまま外力で解体対象物を挟持点間を
通る軸周りに回動させ得るものであるが、作業ハンド自
体、遠隔操作でこの回動をなすべく回転駆動可能な構成
を備えていてもよい。
【0031】取付座27に交換可能に固定される作業ハ
ンドの別の例は図3および図4に示されている。図3は
圧潰用作業ハンドの種々の例を示す斜視図である。図4
は作業ハンドを取り付けた開閉アームの説明図であり、
A図は後述のタイヤホイール分離用の作業ハンドを示す
斜視図であり、B図はテーパーエッジを示す部分拡大断
面図である。
【0032】即ち、図3は、開閉アーム先端において解
体対象物を両側から強圧して応力集中または座屈により
割るための作業ハンドの種々の例を示している。図3に
おいて、作業ハンド28fはほぼ三角柱状の雄型ラム形
状をもつもの、作業ハンド28gは前記雄型ラム形状に
対応する雌型ラム形状をもつもの、作業ハンド28hは
前記雄型ラム形状の稜線部分中央部を凹部にしたもの、
作業ハンド28iは逆に前記稜線部分中央部を凸状にし
たもの、作業ハンド28jは複数の三角突起を一例に形
成したもの、作業ハンド28kは複数の三角突起を二列
に形成したものを各々示す。これら作業ハンドの取付座
27への取付部は同じ共通構造となっており、一対の開
閉アーム24の先端に両側同じ形のものを取付けても、
あるいは28fと28g、28hと28i、28jと2
8kの各組合せを取付ける容易にしてもよい。
【0033】また、図4に示すように、この作業ハンド
28mは、取付部281に補強部材282によって、固
定された水平テーブル半部材(板部材)283を有して
おり、両側の開閉アーム先端に向い合って装着されたと
きに互いに向い合う切欠凹部284は、図4のB図に拡
大断面で示すように上面側が鋭角となるテーパーエッジ
形状となっている。
【0034】さて、前記開閉アーム24の開閉作動は操
縦室18内から遠隔で行われ、解体対象物、例えば自動
車エンジン(図示せず)を左右両側から挟持・強圧でき
るようになっている。なお作業車両の移動時には、開閉
アーム24の先端部をアーム22または以下に述べるブ
ーム先端の開閉作業工具30によって所定の高さだけ上
方に持ちあげた状態とすることができる。
【0035】ブーム(10,12)の先端に取り付けら
れた開閉作業工具30は、ブーム軸心周りに回動して向
きを変えられるようになっている。開閉作業工具30は
前記開閉アーム24の先端間にエンジン等の解体対象物
を持ち込み、開閉アーム24が対象物を挟持したその不
要部品を引きちぎり、対象物の向きや位置を変え、古タ
イヤのタイヤ部分またはホイール部分を押え、タイヤホ
イール等を掴んで縮径状に変形させ、或は小物物品を挟
み付けて割るためのものであって、図示の例では操縦室
18からの油圧による操作によって開閉作動する互いに
対抗した四つの開閉爪部32,34を備えているが、こ
れは二つまたは三つ、或はその他の数の開閉爪部構成と
してもよい。
【0036】図1において前後方向の一対の開閉爪部3
2と左右方向の一対の開閉爪部34とはそれぞれ同時ま
たは独立して作動可能な油圧シリンダ装置33,35に
よって開閉駆動され、これらは一体的な支持アッセンブ
リ38によってブーム先端に回動向きを可変制御可能に
支持されている。
【0037】次に、上記実施例の動作について説明す
る。まず初めにエンジンの解体の場合、両開閉アーム2
4の先端の取付座27に図2のA図〜E図に示したもの
のうちのどれかの作業ハンド28を装着してアーム24
の先端をエンジン寸法より大きく開いておき、上部車両
構造14の旋回とブーム(10,12)の上下動操作に
よって、予め自動車から取り出されたエンジン(図示せ
ず)の直下に開閉作業工具30を位置させた後、図1の
B図に示すように開閉作業工具30の左右の開閉爪部3
4を開いた状態に保持したまま、該工具30の前後の開
閉爪部32によって当該エンジンをつかみ、開閉アーム
24の両先端の作業ハンド28の間にエンジンを運び込
み開閉アーム24を閉じて両作業ハンドによってエンジ
ンを軽く挟持する。
【0038】そして、ブーム10,12と開閉作業工具
30の操作によってエンジンを適当な姿勢にした後、開
閉アーム24の挟持圧力を増加させて両側の作業ハンド
28によってエンジンを強く挟持して固定保持し、作業
工具30によりエンジンに付属しているキャブレター、
ポンプ、コンプレッサー、ダイナモ等の部品を引きちぎ
って取り外す。
【0039】その後、作業ハンドを図3に示したものの
どれかに交換し、エンジンの分断希望箇所を開閉アーム
24の油圧操作で左右両側より挟んで強く圧下すると、
エンジンはこの強圧下部分で割れ、エンジンハウジング
がばらばらになる。
【0040】分断されたエンジンの部品は、アルミニウ
ムと鋳鉄という具合に分けられるが、この作業は、前記
開閉作業工具30を利用して行なうことができる。この
際、分断されたエンジンを排土板20によって押して別
の場所へ移してもよい。
【0041】このようにして、この実施例の装置では、
解体されたエンジン部品のうちアルミニウム製品だけを
選んで溶鉱炉に入れることができ、したがってアルミニ
ウムの融点(660℃)に近い温度で熱効率よく溶解し
て、最終的に型に流し込んだのち、インゴットに成形し
て回収することが可能である。
【0042】次に、上記実施例によってタイヤホイール
の分離を行なう場合について図1及び図4とその作業手
順を示す図5及び図6により説明する。図5はこの考案
によるタイヤホイール分離作業の手順の説明図であり、
図A〜図Dは各工程の断面を示す。図6は開閉作業工具
によるホイール変形の様子を示す説明図であり、図A〜
図Cは各々の本数の開閉爪のホイール変形の様子を示
す。
【0043】まず初めに、両開閉アーム24の先端の取
付座27に図4に示すように各々水平テーブル半部材2
83を有する作業ハンド28mを装着しておき、分離対
象のタイヤホイールの寸法に応じて開閉アーム24の開
き角度を定め、両テーブル半部材283間にホイール外
形より若干大きめの間隙(穴G,図4)を形成させてお
く。次いで上部車両構造14の旋回とブーム10,12
の上下動操作によって、山積みとされた古タイヤの真上
に開閉作業工具30を位置させた後、該作業工具30の
四つの爪部32,34を全て用いて一本の古タイヤをそ
の周囲から掴み、開閉アーム先端に取り付けられた作業
ハンド28mの両テーブル半部材283によって形成さ
れたタイヤ支持面Sの上に運びこむ。
【0044】そして、ブーム10,12と開閉作業工具
30の操作によって図5のA図に示すように古タイヤを
穴Gの真上に整列させて平に置く。尚、図5のA図〜D
図において古タイヤはドロップセンタ型のディスクホイ
ールhとそれに装着されたタイヤtとして示されてい
る。
【0045】次いで開閉作業工具30の各爪部32,3
4を一旦開いて位置を変え、各爪部32,34を閉じた
状態にして支持面S上のタイヤtのホイールhに置き、
図5のB図に示すようにホイールhのドラム開放端側か
らホイールhを上から押し付けてその下面側のディスク
側リム部を穴G内に侵入させた状態に保持する。この状
態のまま開閉アーム24を閉じる方向へ油圧駆動する
と、図2のC図に示すように穴Gの向い合うテーブル前
縁の切欠凹部284がホイールhのディスク側リムとタ
イヤビード部との間隙に挿し込まれ、これによってホイ
ールhをタイヤtの弾性の作用によって穴G上の支持面
Sに係留する。
【0046】この後、各開閉爪部32,34を開いて位
置を変え、ホイールhのドラム開放端側のリム部を外側
から各爪部で掴み、そのまま開閉爪部32,34を油圧
力によって強く閉じていく。これによりホイールhのド
ラム開放端側が図5のD図に示すように周囲四箇所で内
側に押込まれ、図6のA図の右側の図に示すようにホイ
ールhのドラム開放端側のリム部が縮径状に変形され
る。この状態から各爪部32,34を閉じたまま下降さ
せてホイールhを上から押すか、或は再び図5のA図に
示したようにタイヤtを開閉爪部32,34で外側から
抱えて引上げ流下することにより、ホイールhがタイヤ
tから分離し、ホイールhだけが穴Gから下方に落下す
る。このタイヤtは開閉作業工具30で掴まれたまま所
定箇所へ運ばれることになる。また落下したホイールh
は後で開閉作業工具30でつまんで所定の集積箇所へ搬
出してもよい。
【0047】尚、前述の切欠凹部284を利用する作業
はタイヤとホイールが強固に固着していて分離しにくい
場合に特に有効であるが、そうでない場合は開閉アーム
24を閉じることなく、単に開閉爪部32,34によっ
てホイールhのドラム開放側のリム部を内側へ押しつぶ
してもよい。
【0048】またこの切欠凹部284の形状は、図示の
三角状にへこんだ形状に限るものではなく、半月弧状の
へこみ形状や鋸歯状刃のような形状等、種々のものを選
ぶことができる。
【0049】尚、前述の実施例では開閉作業後部30の
各爪部32,34は四本構成のものであるが、三本構成
の場合は前述縮径状の変形は図6のB図に示すようにな
り、また二本構成の場合は図6のC図に示すように一回
変形させてから爪とホイールとを相対的に90度回転さ
せて再度変形させればよい。勿論、この他の本数および
形状の爪を用いるような変形も可能である。
【0050】
【考案の効果】以上説明したとおり、本考案によれば、
ブームの先端に開閉作業工具を有する旋回作業車両の前
部に種々の作業ハンドを交換可能に固定できる油圧操作
開閉アームを備えているから、異種金属部品が混在する
自動車エンジンなどを効率よく分解して特定金属の分別
回収が容易であり、またその作業の安全性及び効率が著
しく向上するという効果がある。
【0051】また、本考案によればエンジンの解体のみ
ならずタイヤホイール分離作業にも対応でき、その場
合、古タイヤを掴んで作業位置に置き、そのタイヤとホ
イールとを分離し、さらに分離したタイヤやホイールを
搬出するという殆どの作業を油圧操作の開閉作業工具に
よって遠隔操作で行うことができ、汚れた古いタイヤに
直接手を触れずに安全にしかも能率よく作業を行うこと
ができるだけでなく、タイヤに大きな力や変形を与えな
いのでタイヤが傷まず、再生タイヤ資源として有効に活
用することも同時に可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の好適な実施例の構成を示す斜視図であ
り、図Aは本体外観図、B図は開閉作業工具の一つの作
動状態を示す部分斜視図である。
【図2】挟持用作業ハンドを示す斜視図であり、図A〜
図Eは具体的な作業ハンドの例を示す。
【図3】圧潰用作業ハンドの種々の例を示す斜視図であ
る。
【図4】作業ハンドを取り付けた開閉アームの説明図で
あり、A図は後述のタイヤホイール分離用の作業ハンド
を示す斜視図であり、B図はテーパーエッジを示す部分
拡大断面図である。
【図5】この考案によるタイヤホイール分離作業の手順
の説明図であり、図A〜図Dは各工程の断面を示す。
【図6】開閉作業工具によるホイール変形の様子を示す
説明図であり、図A〜図Cは各々の本数の開閉爪のホイ
ール変形の様子を示す。
【符号の説明】
10,12 …ブーム(第1及び第2アーム)、 14 …上部車体構造、 18 …操縦室、 20 …ブラケット付き排土板、 24 …開閉アーム、 26 …枢支軸、 27 …ハンド取付座、 28a〜k,m…作業ハンド、 283 …水平テーブル半部材、 30 …開閉作業工具、 32,34 …開閉爪部

Claims (6)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自走作業車両の車体部に種々の作業工具
    を備えた解体装置において、 前記車体部に設けられ、油圧操作によって先端が水平方
    向に開閉可能な一対の開閉アームと、前記一対の開閉アームの各先端に互いに向い合って設け
    られ、エンジンやタイヤ等の解体対象物を間に挟持する
    ための一対の凹部と、 前記一対の凹部の各周縁に設けられた ハンド取付け座
    と、 前記一対の開閉アーム間で互いに向い合うように前記一
    対の取付座に交換可能に取付けられ、前記解体対象物を
    間に挟みつけるための一対の作業ハンドと、 前記車体部に旋回及び伏仰可能に設けられたブーム
    端に設けられ、前記解体対象物を前記作業ハンド間に送
    り、前記作業ハンドに挟みつけられた解体対象物の部品
    を引き千切るための複数の開閉爪を有する開閉作業具と
    を備えたことを特徴とする解体装置。
  2. 【請求項2】 一対の作業ハンドの夫々が、前記開閉ア
    ームの各先端で互いに向い合う凹形状を有することを特
    徴とする請求項1に記載の解体装置。
  3. 【請求項3】 一対の作業ハンドの夫々が、前記開閉ア
    ームの各先端で互いに向い合う突形状を有することを特
    徴とする請求項1に記載の解体装置。
  4. 【請求項4】 一対の作業ハンドが、前記開閉アームの
    各先端で互いに向い合う雌雄の凹凸形状を有することを
    特徴とする請求項1に記載の解体装置。
  5. 【請求項5】 一対の作業ハンドの各々が、前記開閉ア
    ームの各先端で互いに向い合う端縁を有する板部材を備
    え、各板部材の前記端縁には互いに向い合う切欠凹部が
    夫々設けられており前記アームが近接した時に互いの切欠凹部によって形成
    される間隙が、一対の前記板部材で形成される支持面上
    にタイヤをおいた状態で該タイヤに嵌まっているホイー
    ルの外径より大きな幅を持っている ことを特徴とする請
    求項1に記載の解体装置。
  6. 【請求項6】 前記互いに向い合う切欠凹部の上縁が、
    前記開閉アームを閉じる方向に駆動したときに前記支持
    面上におかれたタイヤのホイールのディスク側リム内に
    ほぼ水平に食い込むことのできるエッジ形状を有するこ
    とを特徴とする請求項5に記載の解体装置。
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