JP2532552B2 - 電気調理器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、オーブントースターや電気オーブン等の電
気調理器に関し、特に遠赤外線放射を利用したヒータを
備えた電気調理器に関するものである。

従来の技術 従来より、オーブントースタや電気オーブン等の電気
調理器は、パン以外に、もち，クッキー，ピザ，グラタ
ンなどを焼くのに使用され、最新では、従来のパン専用
のトースターにとってかわってよく市場に出まわってい
る。

このようなオーブントースターや電気オーブンは、一
般的には、外筐体内に調理室を形成する内筐体と、調理
室の上下に配設された上ヒータおよび下ヒータと、前記
調理室の前面開口部を覆う扉と、この扉の開閉動作に連
動する調理物載置用の網とを備えた構造を有している。

また、上ヒータおよび下ヒータとしては、従来より石
英もしくは結晶化ガラス（商品名：ミラクロン）よりな
る管状部材の中央部にコイル状の電熱線を配設したもの
が主に使用されている。

一方、最近では、遠赤外線放射を利用したヒータを備
えている電気調理器が、いろいろと市場に出ており、オ
ーブントースタや電気オーブン等の電気調理器におい
て、上ヒータまたは下ヒータに遠赤外線放射層を形成し
て用いることがいろいろと提案されている。

本発明者等も、遠赤外線放射材を含有する遠赤外線放
射層を形成した石英管ヒータもしくは結晶化ガラス管ヒ
ータを上ヒータもしくは下ヒータに用いた電気調理器を
提案している。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、すでに提案している遠赤外線放射層を
形成したヒータを備えている電気調理器は、焼いものよ
うな比較的調理時間の長い調理メニューにおいては、遠
赤外線放射の効果により、焙焼時間や味において、効果
は得られるものの、トーストのように非常に調理時間の
短い調理メニューでは、顕著な効果があまり期待できな
かった。

本発明は上記従来の課題を解決するためになされたも
ので、遠赤外線放射効果をより高めた電気調理器を提供
することを目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明は、外筐体内に調理
室を形成する内筐体を、熱反射特性に優れたアルミニウ
ム・亜鉛合金メッキ鋼板で構成し、かつ前記調理室内に
配設されたヒータとして、結晶化ガラス管の表面に遠赤
外線放射層を形成してなる遠赤外線ヒータを用いたもの
である。

また本発明における前記遠赤外線ヒータは、遠赤外線
放射材として、シリコンおよびアルミナを、結合材とし
てアルコキシランを、溶剤としてメタノールおよびイソ
プロピルアルコールを、着色材として酸化チタンを、補
強材としてチタン酸カリウム繊維をそれぞれ用いた遠赤
外線塗料を結晶化ガラス管の表面に塗布して焼き付ける
ことにより、遠赤外線放射層を形成したものである。

作 用 従来から、調理室を形成する内筐体としては、主に、
アルミメッキ鋼板が使用されていた。これは、アルミメ
ッキ鋼板が熱反射特性に優れているとともに、コスト的
にも安価であり、また耐食性においても優れているため
である。

しかし、このアルミメッキ鋼板に比較して、本発明で
使用するアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板は、さらに
熱反射特性に優れたものであり、遠赤外線放射層を形成
した遠赤外線ヒータから放射される遠赤外線をより効率
よく調理物に作用させることができる。このため、従来
のアルミメッキ鋼板を使用した電気調理器に比較して、
顕著な効果が得られる。

一方、遠赤外線放射塗料は、結合材としてアルコキシ
ランを用いたもので、加水分解を利用することにより、
100〜200℃という比較的低温の熱処理により簡単に遠赤
外線放射層を形成することができる。このため、非常に
コスト的にも安価にして得られる。

また、遠赤外線放射材として、遠赤外線領域において
放射特性が優れているジルコンおよびアルミナを使用し
ているため、オーブントースター等の電気調理器におい
て、主に調理される食パン，もち，さつまいも等のでん
ぷん質によくマッチングする。

さらに、着色材として、酸化チタンを使用し、かつ全
体的に黄色系にしているため、従来の結晶化ガラス管を
使用したヒータと違った新しいイメージを与えることが
でき、また、スイッチを入れてからヒータ温度が安定化
するまでに、違和感を与えることもなく、見た目に美し
く、また暖かいピンク色を呈し、商品性が向上する。

一方、この遠赤外線塗料には、チタン酸カリウム繊維
が補強材として含有されているとともに、結合材として
使用しているアルコキシランが、基材の結晶化ガラス管
とよく似た熱膨脹係数を示す酸化ケイ素に変化して行く
ため、この遠赤外線塗料により形成される遠赤外線放射
層は、優れた耐熱性や耐熱衝撃性を示すものである。

実施例 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明
する。

第１図〜第３図において、１はオーブントースターの
外筐体、２は同オーブントースターの内筐体で、この内
筐体２はアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板からなり、
かつ前面を開口した調理室３を形成している。４は前記
調理室３の前面開口部を覆う扉で、この扉４は下端を枢
着して開閉自在としており、ファインダーガラスが組み
込まれている。５は前記調理室３内に設けた調理物載置
用の網でこの網５は手前側へ出入り自在になるように、
スライド自在に支持してあり、かつこの網５はアーム６
を介して扉４と連結し、そしてこの扉４の開閉に連動し
て出入りするようにしてある。７は調理室３の底部で、
この低板７も開閉自在としている。

８および９は調理室３に配設された上ヒータおよび下
ヒータで、この上ヒータ８および下ヒータ９は、結晶下
ガラス管8a,9aの表面に、ジルコンおよびアルミナを遠
赤外線放射材とする遠赤外線放射層8b,9bが形成され、
中央部には電熱線10,11が配設されている。

なお、この遠赤外線放射層8b,9bは前述したジルコン
およびアルミナを遠赤外線放射材として、アルコキシラ
ンを結合材として、メタノールおよびイソプロピルアル
コールを溶剤として、酸化チタンを着色材として、チタ
ン酸カリウム繊維を補強材としてそれぞれ用いることに
より調合された遠赤外線放射塗料を、あらかじめブラス
ト処理された結晶化ガラス管8a,9aの表面にスプレーで
塗布した後、150℃で焼き付けることにより、形成され
たもので、焼き付け後における組成は、第１表に示す通
りとなっている。

このような構成を有するオーブントースターの遠赤外
線放射の効果を評価するため、トーストの調理を行っ
た。

なお、比較のため、従来例として、アルミメッキ鋼板
で内筐体２を構成し、また、上下ヒータ8,9として、遠
赤外線放射層8b,9bを形成していないものを使用した場
合、さらに、比較例として、アルミメッキ鋼板で内筐体
２を構成し、また上下ヒータ8,9として、遠赤外線放射
層8b,9bを形成したものを使用した場合についても、評
価した。

その評価は、６枚切りの食パンを所定の焼き色に焼く
のに必要な時間を測定することにより行なった。

上記結果を第２表に示す。

第２表に示すように、従来例のオーブントースターで
は３分、また比較例のオーブントースターでは２分45秒
必要であったものが、本発明のオーブントースターでは
２分30秒と、著しい効果が得られた。

また、本発明のオーブントースターによれば、トース
トされた食パンは、表面の焦げ食は濃く、また焦げの厚
みは薄く、さらに内部に水分を多く含んだままで焼き上
がっているため、大変美味しい。

一方、トーストの調理以外に、焼いもについても、同
様に比較したが、本発明のオーブントースターを使用し
た場合、従来例または比較例のオーブントースターに比
較して顕著な遠赤外線の効果が得られ、さつまいもの内
部まで火が通り、大変甘くなった。

また遠赤外線放射層の塗膜を評価するため、ヒータの
表面温度を約800℃に設定し、３分通電−１分休止を１
サイクルとする断続通電試験を行なったところ、２万回
以上経過しても、遠赤外線放射層の剥離現象は見られ
ず、優れた密着強度を示した。

このように、内筐体として、従来のアルミメッキ鋼板
に代えて、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板を使用
し、さらに従来の結晶化ガラス管の表面に、ジルコンお
よびアルミナを含有する遠赤外線放射層を形成したもの
をヒータとして、使用することにより、遠赤外線放射効
果をより高めた電気調理器を得ることができた。

なお、本発明の実施例においては、ヒータとして、結
晶化ガラス管を用いたものを使用したが、特にこれに限
定されるものではなく、石英管でもよい。

また、内筐体側面に、自己浄化機能を有する処理板を
設置した場合においても、本発明と同様の遠赤外線放射
効果が得られるため、これら自己浄化機能を有する処理
板を併用してもよい。

さらに、遠赤外線放射層8b,9bの組成として、第１表
に示すものについて記述したが、特にこの組成に限定さ
れるものではなく、耐熱性および耐熱衝撃性等のヒータ
としての特性が損なわれない範囲のものであれば、可能
である。

発明の効果 上記実施例の説明から明らかなように本発明によれ
ば、外筐体内に調理室を形成する内筐体を、熱反射特性
に優れたアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板で構成し、
かつ前記調理室内に配設されたヒータとして、結晶化ガ
ラス管の表面に遠赤外線放射層を形成してなる遠赤外線
ヒータを用いたもので、さらに前記遠赤外線ヒータは、
遠赤外線放射材としてジルコンおよびアルミナを、結晶
材としてアルコキシランを、溶剤としてメタノールおよ
びイソプロピルアルコールを、着色材として酸化チタン
を、補強材としてチタン酸カリウム繊維をそれぞれ用い
た遠赤外線塗料を結晶化ガラス管の表面に塗布して焼き
付けることにより、遠赤外線放射層を形成しているた
め、遠赤外線放射効果をより高めた電気調理器を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すオーブントースターの
外観斜視図、第２図は同オーブントースターの側断面
図、第３図は同オーブントースターで使用されるヒータ
の破断正面図である。 １……外筐体、２……内筐体、３……調理室、8,9……
ヒータ、8a,9a……結晶化ガラス管、8b,9b……遠赤外線
放射層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷岡 勝也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 平松 秀章 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−205982（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−201382（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−80788（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−240903（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外筐体内に調理室を形成する内筐体を、熱
   反射特性に優れたアルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板で
   構成し、かつ前記調理室内に配設されたヒータとして、
   結晶化ガラス管の表面に遠赤外線放射層を形成してなる
   遠赤外線ヒータを用いた電気調理器。
2. 【請求項２】遠赤外線ヒータは、遠赤外線放射材として
   ジルコンおよびアルミナを、結合材としてアルコキシラ
   ンを、溶剤としてメタノールおよびイソプロピルアルコ
   ールを、着色材として酸化チタンを、補強材としてチタ
   ン酸カリウム繊維をそれぞれ用いた遠赤外線塗料を結晶
   化ガラス管の表面に塗布して焼き付けることにより、遠
   赤外線放射層を形成してなる特許請求の範囲第１項記載
   の電気調理器。