JP2532276B2 - ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は感度及び鮮鋭性が向上したハロゲン化銀写真
感光材料、特に超迅速処理において鮮鋭性が優れたハロ
ゲン化銀写真感光材料の処理方法に関する。
〔発明の背景〕
近年、ハロゲン化銀写真感光材料の消費量は、増加の
一途をたどつている。このためハロゲン化銀写真感光材
料の現象処理枚数が増加し、一層の現像処理の迅速化、
つまり同一時間内での処理量を増加させることが要求さ
れている。
上記の傾向は、X線感光材料、例えば医療用X線フィ
ルムの分野でも見受けられる。即ち、定期健康診断の励
行などにより診断回数が急増すると共に、診断を一層正
確なものとするために検査項目が増加し、X線写真撮影
枚数が増加している。
一方、診断結果を、できるだけ早く受診者に知らせる
必要もある。
即ち、従来よりも迅速に現像処理して、診断に供する
要望が強い。特に血管造影撮影、術中撮影等は、本質的
に少しでも短時間で写真を見る必要がある。
上記の医療界の要望を満たすには、診断の自動化(撮
影、搬送など)を促進すると共に、Xせんフィルムを一
層迅速に処理する必要がある。
しかし、超迅速処理を行うと、濃度が充分でない(感
度、コントラスト、最高濃度の低下)とか、鮮鋭性が低
下するという欠点があった。
本明細書でいう超迅速処理とは、自動現像機にフィル
ムの先端を挿入してから現像槽、渡り部分、定着槽、渡
り部分、水洗槽、渡り部分、乾燥部分を通過してフィル
ムの先端が乾燥部分から出て来るまでの全時間(換言す
れば、処理ラインの全長(m)をライン搬送速度(m/se
c.)で割った商(sec.)〕が、20秒〜60秒である処理を
言う。
又最近では、特に医療X線検査の増加に伴い、医学界
はもとより国際的世論として被曝線量の軽減が強く要求
されている。このため少ないX線量で精密な映像が得ら
れる写真感材料、つまり一層高感度の写真材料の開発が
望まれている。そこで、従来450nmに感光波長域があっ
たレギュラータイプから、更にオルソ増感(色素増感)
して、540〜550nmの波長域で感光するオルソタイプのハ
ロゲン化銀乳剤層を有する感光材料が用いられるように
なっている。このように増感されたものは、感光波域が
広くなるとともに感度が高くなっており、従って被曝X
線量を低減でき、人体等に与える影響が小さくできる。
色素増感されたハロゲン化銀乳剤は、該乳剤の製造工
程において、通常、金/硫黄増感等の化学増感を行った
後、色素を添加して色素増感を行って得られるものであ
り、この乳剤を用いて得られる感光材料を超迅速処理で
処理すると鮮鋭性が低下したり、高湿条件下で保存した
時感度が低下するという欠点があった。
又、鮮鋭性の向上手段としては、従来ハロゲン化銀
乳剤への染料の添加、ベースとハロゲン化銀乳剤層の
間に染料を含有する悲感光性層を設ける等が行われてい
るが、鮮鋭性が向上するものの感度低下を招くという欠
点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は高感度で鮮鋭性が優れたハロゲン化銀
写真感光材料を供給することにある。本発明の他の目的
は、ローラー搬送式自動現像機で超迅速処理を行って
も、鮮鋭性が低下しないハロゲン化銀写真感光材料を提
供することにある。本発明の更に他の目的は、保存安定
性の良好なハロゲン化銀写真感光材料を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の処理方法は次のとおりである。
支持体上に、少なくとも一層の、脱塩工程の後化学増
感より前に分光増感色素を添加することにより分光増感
されて得られたハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀乳
剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料を、下記式
〔I〕に相当する条件にてローラー搬送式自動現像機で
処理する、ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
0.75×T=50〜124 〔I〕 0.7<l<3.1 ただし、lはローラー搬送式自動現像機の挿入口の第
1ローラーの芯から、乾燥出口の最終ローラーの芯まで
の長さ〔単位:m〕であり、Tは上記lを通過するのに要
する時間〔単位:秒〕である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤(以下、本発明に係
わる乳剤と称す)のハロゲン化銀組成は任意であるが、
特に沃臭化銀が好ましく用いられる。沃臭化銀を用いる
場合、その沃化銀の含有量は特に限定されないが、ハロ
ゲン化銀粒子全体での平均沃化銀含有率は10モル%以下
であることが好ましく、6モル%以下であることがより
好ましく、0.2〜6モル%であることが更に好ましい。
この場合沃化銀は内部に集中していることが望まし
い。
本発明に係る乳剤に含有される好ましいハロゲン化銀
粒子としては、多層構造を有するハロゲン化銀粒子、及
び平板状粒子を挙げることができる。
平板状粒子は、粒子成長中にある種の薬剤、例えばチ
オエーテル類などを加えることにより得ることができ
る。平板状粒子については、例えば特開昭58−113927
号、同58−113928号及び同59−105636号の252頁〜253
頁、同60−147727号公報に開示がある。
ここで多層構造を有する粒子とは、内部核の外側に任
意のハロゲン組成からなる被覆層を設けたものであり、
いわゆるコア/シェル型粒子を挙げることができる。被
覆層は1層だけであってもよいし、2層以上、例えば3
層、4層と積層されていてもよい。好ましくは5層以下
である。
内部核及び被覆層のハロゲン化銀としては、臭化銀、
沃臭化銀、沃化銀が好ましく用いられるが、小量の塩化
銀との混合物(具体的には、好ましくは塩化銀を10モル
%程度以下、より好ましくは5モル%程度以下含有のも
の)であってもよい。
好ましくは、沃化銀含有率が異なることにより層を形
成した沃臭化銀粒子を用いることである。
又、最表層は実質的にも臭化銀もしくは実質的に沃臭
化銀(沃化銀含有率10%以下)であるが好ましく、数%
未満の塩素原子を含んでいてもよい。
本発明に係る乳剤は、保護コロイドを含む溶液中に水
溶性銀塩溶液と、水溶性ハロゲン化物溶液を添加してハ
ロゲン化銀粒子を形成して調製するが、この場合の形成
手段としては、例えば同時混合法、ダブルジェット法、
コントロールド・ダブルジェット法、トリプルジェット
法、順混合法、逆混合法などを用いることができる。
ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは、特に制限はない
が、平均粒径が0.1〜3μmのものが好ましい。更に好
ましくは0.3〜2μmである。
本発明に係る乳剤は、単分散乳剤でも多分散乳剤であ
っても、本発明の効果を有効に発揮し得る。
本発明に係る乳剤は、ハロゲン化銀粒子形成後、過剰
塩の脱塩の後に分光増感及び化学増感が行われる。
化学増感方法としては、例えば、金増感、第VIII族金
属イオンによる増感、硫黄増感、還元増感、チオエーテ
ル化合物による増感、又はその複合された増感方法が適
用される。更に具体的な化学増感剤としては、チオ硫黄
ナトリウム、アリルチオカルバミド、チオ尿素、チオサ
ルフェート、シスチンなどの硫黄増感剤、ポッタシウム
クロロオーレート、オーラスチオサルフェートやポッタ
シウムクロロパラデートなどの貴金属増感剤、塩化スズ
やフェニルヒドラジンなどの還元増感剤を挙げることが
できる。
分光増感方法としては、分光増感色素が使用され、本
発明に好ましく用いられる分光増感色素としては、例え
ば特開昭61−80237号のものがある。これらの分光増感
色素は、目的とする感色性にあわせて適宜使用される。
これらの分光増感色素は、直接乳剤中へ添加するか、
適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコー
ル、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジン或いは
これらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤
へ添加することができる。その他、米国特許3,469,987
号などに記載のごとき、色素を発揮性の有機溶媒に溶解
し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を
乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載
のごとき、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶
剤中に分散させ、この分散物を乳剤へ添加する方法;米
国特許3,822,135号に記載のごとき、界面活性剤に色素
を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法;特開昭51−
74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を
用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加される方法;特開
昭50−80826号に記載のごとき色素を実質的に水を含ま
ない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが
用いられる。
本発明に係る乳剤においては、過剰塩の脱塩の後、増
感色素の添加が前記の化学増感の前に行われる。
色素の添加時期は、化学増感(例えば金・硫黄増感剤
の添加)が行われる以前において任意に選ばれるが、好
ましくは金・硫黄増感剤の添加60分〜5分前であり、更
に好ましくは30分〜5分前である。
上記の増感色素の添加量は、ハロゲン化銀1モル当り
150〜1000mgであり、好ましくは200〜900mgである。
その他、本発明に係る乳剤や、そのほか必要に応じて
本発明の感光材料を構成するために用いる乳剤には、適
宜添加剤を含有させることができる。
即ち、本発明を具体化した感光材料には、任意の添加
剤が含有されていてよく、これらはリサーチ・ティスク
ロジャー176巻、No.17643(1978年12月)及び同187巻、
No.18716(1976年11月)に記載されており、その該当箇
所を次の表にまとめた。
又、上記本発明の実施に際して乳剤の調製に当り使用
できる写真用添加剤も上記の2つのリサーチ・ディスク
ロージャーに記載されており、次の表に記載箇所を示し
た。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、支持体の少な
くとも一方の側に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀
乳剤層を有する。
即ち本発明においては、支持体の両側に少なくとも1
層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を設けて両面感光材料と
してもよく、又片側に設けて片面感光材料としてもよ
い。
本発明に係る乳剤は、本発明の感光材料のいずれか少
なくとも1層の乳剤層に含有されていればよいが、好ま
しくは乳剤層の多く、より好ましくは乳剤層のすべてが
本発明に係る乳剤を含有していることである。又1つの
乳剤層に、本発明に係る乳剤とそれとは異なる履歴を経
て得られた乳剤とが併せて用いられてもよい。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料はハロゲン化
銀乳剤層の他に表面保護層、中間層、ハレーション防止
層等の悲感光性層を有していてもよい。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン
化銀乳剤を、必要により下引層、中間層等を介し、バラ
イタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、
ガラス紙、セルロースアセテート、セルロースナイトレ
ート、ポリビニルアセタール、ポリプロピレン、例えば
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィル
ム、ポリスチレン等の支持体上に公知の方法により塗布
して構成される。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、白黒写真
感光材料、カラー写真材料のいずれでもよく、又、一般
用、印刷用、X線用、放射線用等の種々の用途に供され
るが、特に高感度沃臭化銀写真感光材料として顕著な効
果を発揮する。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は通常の露光
のほか短時間乃至閃光露光されてもよい。
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、次に前記
式〔I〕の条件で処理可能なローラー搬送式自動現像機
で写真処理される。
本発明の実施に際しては好ましく用いられるローラー
搬送型自動現像機の一例を第1図に示す。
第1図中、1は感光材料挿入口の第1ローラー、2は
乾燥出口の最終ローラー、3aは現像槽、3bは定着槽、3c
は水洗槽、4は被処理対象である感光材料、5はスクイ
ズ部、6は乾燥部、7は乾燥空気の吹出口である。
即ち、本発明は、前記l及びTが前記した条件である
場合に効果的なものであり、ここで、上記lは、例えば
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に
写真構成層を有する感光材料を基準にして求めることが
できる。
又、上記Tは、自動現像機の挿入口の第1ローラーの
芯の部分にフィルムの先端を挿入してから、現像槽、渡
り部分、定着槽、渡り部分、水洗槽、渡り部分、乾燥部
分を通過して、フィルムの先端が乾燥出口の最終ローラ
ーから出てくるまでの全時間〔換言すれば、処理ライン
の全長(m)をライン搬送速度(m/sec.)で割った商
(sec.)〕である。
本発明の処理方法に用いる自動現像機の全搬送ローラ
ーの本数は、自動現像機の処理長であるlをローラー本
数で割った値が0.01〜0.04の範囲になるものであること
が好ましい。又、各処理部位の時間は次のようなもので
あることが好ましい。又、各処理部位の時間は次のよう
な範囲が好ましい。
挿入+現像+渡り 25〜40% 定着+渡り 12〜25% 水洗+渡り 10〜25% スクイズ+乾燥 25〜45% 合 計 100% 使用されるローラーは、搬送部の直径が12mm〜60mm、
長さが30cm〜110cmの間が好ましく、材質は様々なもの
が使用でき、例えば現像、定着、水洗、乾燥の部位では
ベークライト系(ガラス粉、金属粉、プラスチック粉を
含んでもよい)のものや、ゴム系(ネオプレン、イソプ
レン、シリコンゴム等)のものを使用することができ
る。渡り部やスクイズ部には、撥水性で弾力性のあるシ
リコンゴム等や、吸水性の大きい合成皮革である商品名
「クラリーノ」(クラレ(株)製)を用いることが好ま
しい。
本発明において、上記lは、0.7以上3.1以下の範囲で
あり、これにより好ましい結果が得られる。
本発明の実施に際して上記自動現像機に用いる現像液
及び定着液には、更に各種の添加剤を加えることができ
る。
現像液に添加する代表的な添加剤として、カブリ防止
剤、又、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等のアルカリからなる促進剤、臭化カリウムや2−
メチルベンツイミダゾール、メチルベンツチアゾール等
の無機性、もしくは有機性の抑制剤、ポリリン酸塩のよ
うな硬水軟化剤、微量の沃化物やメルカプト化合物から
なる表面過現像防止剤等を挙げることができ、その他必
要により亜硫酸塩等の保恒剤、緩衝剤(例えば、炭酸
塩、硼酸、硼酸塩、アルカノールアミン)、アルカリ
剤、(例えば、水酸化物、炭酸塩)、溶解助剤(例え
ば、ポリエチレングリコール類、これらのエステル)、
pH調製剤(例えば、酢酸のごとき有機酸)、増感剤(例
えば四級アンモニウム塩)、界面活性剤などを含有させ
ることができる。
又現像液中には、硬膜剤を含ませることができる。硬
膜剤としてはジアルデヒド系硬膜剤を好ましく用いるこ
とができる。
現像液には更に、キレート化剤(例えば、エチレンジ
アミン四酢酸、これらのアルカリ金属塩、ポリリン塩
酸、ニトリロ酢酸塩)を含有させることができる。
現像処理温度は、一般に処理時間との関係において決
定されるが、本発明においては、好ましくは例えば30〜
40℃で6秒〜20秒である。
定着処理工程に用いられる定着液は、例えばチオ硫酸
塩、水溶性アルミニウム化合物を含む水溶液であり、ク
エン酸、酒石酸のなどの多塩基酸が含有されていてもよ
く、望ましくはpHが約3.5〜5.0(20℃)のものである。
本発明の方法において、現像の後に停止工程を設ける
こともできるが、一般にローラー搬送型の自動現像機に
は停止工程が省略されている。そのために現像液が定着
液に持ち込まれ、定着液のpHが上昇することがあり、そ
のため、定着液のpHは約3.6〜4.7(20℃)に調整してお
くことが望ましい。
定着剤はチオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム
などのチオ硫酸が一般に用いられ、定着速度の点からチ
オ硫酸アンモニウムが特に好ましい。定着剤の使用量は
適宜変えることができ、一般には約0.1〜5モル/で
ある。
定着液中で主として硬膜剤として作用する水溶性アル
ミニウム塩を用いることができ、これは一般に酸性硬膜
定着液の硬膜剤として知られている化合物であり、例え
ば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明ばんな
どがある。本発明における定着温度及び時間は、好まし
くは例えば20〜35℃で4秒〜15秒である。
現像、定着された写真材料は通常水洗及び乾燥され
る。水洗は定着によって溶解した銀塩をほぼ完全に除く
ために行われ、例えば約20〜50℃で5秒〜12秒が好まし
い。乾燥は約40〜100℃で行われ、乾燥時間は周囲の状
態によって適宜変えられるが、通常は約5秒〜15秒でよ
い。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を例証するが、これによ
り本発明の実施態様が限定されるものではない。
(1) ハロゲン化銀乳剤の調製 平均流径0.2μmの沃化銀を2.0モル%含有する沃臭化
銀の単分散粒子を核とし、沃化銀30モル%を含有する沃
臭化銀をpH=9.3,pAg=7.5で成長させ、その後pH=7.8,
pAg=8.9で臭化カリウムと硝酸銀を等モル添加し、平均
沃化銀含有率が2.1モルの沃臭化銀粒子となるような平
均粒径1.18μm,0.57μm,0.46μmの3種の単分散乳剤粒
子を調製した。乳剤は、通常の凝集法で過剰塩類の脱塩
を行った。即ち、40℃に保ち、ナフタレンスルホン酸ナ
トリウムのホルマリン縮合物と硫酸マグネシウムの水溶
液を加え、凝集させた。上澄液を除去後、更に40℃の純
水を加え、再び硫酸マグネシウム水溶液を加え、凝集さ
せ、上澄液を除去した。
上記により得られた3種類の乳剤に対し、それぞれ次
のように3種の型の化学熟成を施した。
A型 : チオシアン酸アンモニウム塩を銀1モル当り
1.9×10-3モル及び最適量の塩化金酸とハイポを添加
し、化学熟成を行い、終了15分前に沃化カリウムを銀1
モル当り200mg添加し、その後、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを3×10-2モル添
加し、安定化した。
B型 : 沃化カリウムを添加するまではA型と同じで
あるが、添加3分後に、下記分光増感色素AとBを200:
1の重量比で、3種類の乳剤を混合(粒子の大きい順に3
0:35:35の比で混合)した乳剤に添加したとき、合計の
添加量が銀1モル当り750mgとなるように添加し、その
後A型と同様に安定化した。
C型 : B型で用いたものと同じ増感色素を同様に添
加し、添加15分後にA型と同量のチオシアン酸アンモニ
ウム塩,塩化金酸及びハイポを添加し化学熟成を行い、
終了15分前に沃化カリウムをA型と同量添加しA型と同
様に安定化した。
なお、過剰塩脱塩後の各乳剤はpH=6.10,EAg=70mVに
調整したが、C型の化学熟成についてはpH=6.10でEAg
を60mV,80mVとしたもの及びEAg=70mVでpH=5.90及び6.
30としたものについても同様に熟成を行った。
分光増感色素A 分光増感色素B (2) 乳剤塗布液の調製 上記により得られた各乳剤について、同じ型及び条件
で得られたもの同志を乳剤粒子の大きい順に30%,35%,
35%の比で混合し、後記添加剤と石灰処理ゼラチンを加
えて、乳剤塗布液を得た。A型の化学熟成を施したもの
については前記した分光増感色素(A:B=200:1,重量
比)を銀1モル当り750mg添加した。
乳剤塗布液に用いた添加剤は次のとおりである。添加
量はハロゲン化銀1モル当りの量で示す。
(3) 保護層用塗布液の調製 下記に示す組成の保護層液を調製した。但し、各成分
の添加量は塗布液1当りの量で示す。
(4) 塗布試料の作成及び評価 乳剤層は親水性コロイド量として2.1g/m2となるよう
に、保護層はゼラチン付量として1.1g/m2となるよう、
2台のスライドホッパー型コーターで毎分65mのスピー
ドで、クリシジルメタクリレート50wt%、メチルアクリ
レート10wt%、ブチルメタクレート40wt%の3種のモノ
マーからなる共重合体を、その濃度が10wt%になるよう
に希釈して得た共重合体水性分散液を下引き液として塗
設した175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
ベース上に両面同時塗布し、2分20秒で乾燥し、表1に
示す試料を得た。(尚、塗布銀量はすべて5.0g/m2(両
面で)となる様調整した。) 以上のようにして作製された試料の水に対する融点は
すべて95℃以上であった。
得られた試料について感度速度を以下のように行っ
た。即ち、試料を蛍光増感紙KO−250(コニカ(株)販
売)の間に挟み、管電圧 110KVP,50mAで、0.06秒間X線
を照射して、ペネストロメーターB型(アルミ段階、コ
ニカメディカル(株)販売)を介して露光した後、第1
図に示す自動現像機及び以下に示す処理剤(現像液及び
定着液)を用い現像処理を行った。
<現像液組成> 1の水溶液にし、水酸化カリウムでpH10.50の液とす
る。
<定着液組成> チオ硫酸ナトリウム−5水塩 45 g エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 0.5g チオ硫酸アンモニウム 150 g 無水亜硫酸ナトリウム 8 g 酢酸カリウム 16 g 硫酸アルミニウム10〜18水塩 27 g 硫 酸(50wt%) 6 g クエン酸 4 g 硼 酸 7 g 氷酢酸 5 g 1の水溶液にして氷酢酸を添加しpH4.0の液とす
る。
得られた特性曲線から、ベース濃度+カブリ濃度+1.
0における露光量の逆数(感度)を求めた。
又、画像鮮鋭性を目視にて評価した。
更に塗布後の試料を、温度23℃、相対湿度80%RHの条
件下で3日間放置したもの(A)と、温度23℃相対湿度
50%RHの条件下で3日間放置したもの(B)とを前記方
法にて、感度測定を行い(A)(B)の感度の差を△S
として算出した。
以上の結果をまとめて表1に示した。
〔発明の効果〕 本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料は、超迅速
処理において感度が高く、鮮鋭性に優れたハロゲン化銀
写真感光材料である。又、高湿条件下においても感度低
下の少ない保存性の良好なハロゲン化銀写真感光材料で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のローラー搬送式自動現像機の一実施態
様の断面図である。 1……感光材料挿入口の第1ローラー、 2……乾燥出口の最終ローラー、 3a……現像槽、3b……定着槽、 3c……水洗槽、4……感光材料、 5……スクイズ部、6……乾燥部、 7……乾燥空気の吹出口。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくとも一層の脱塩工程の
    後化学増感より前に分光増感色素を添加することにより
    分光増感されて得られたハロゲン化銀乳剤を含むハロゲ
    ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料を、下
    記式〔I〕に相当する条件にてローラー搬送式自動現像
    機で処理する、ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。 l0.75×T=50〜124 〔I〕 0.7<l<3.1 ただし、lはローラー搬送式自動現像機の挿入口の第1
    ローラーの芯から、乾燥出口の最終ローラーの芯までの
    長さ〔単位:m〕であり、Tは上記lを通過するのに要す
    る時間〔単位:秒〕である。
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