JP2530566B2 - 浴槽に兼用できる介護用ベッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、身体障害者や寝たきり
老人等が使用するのに適した、浴槽に兼用できる介護用
ベッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、身体障害者や寝たきり老人など
（以下、被介護者という）を入浴させる場合、介護者が
被介護者を抱きかかえて浴槽に入れるか、被介護者を担
架に乗せ、担架ごと又は担架からおろして被介護者を浴
槽に入れるようにしているが、いずれの場合にも介護者
の負担が大きく、しかも被介護者自身はベッドから浴槽
への移動、浴槽からベッドへの移動のたびに滑り落ちる
おそれがないかと不安感を覚えるものである。このよう
な問題を解決するものとして、被介護者をベッドから移
動させずにベッドに寝かせたままの状態で、ベッド自体
を浴槽として使用できるように構成し、介護者の負担を
軽減するようにした介護用ベッドが、例えば特開平４−
２８５５５５号公報に提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特許出願
に係る介護用ベッドは、ベッド本体が４つの側板で囲ま
れた箱形に形成されているので、通常のベッドとして使
用する際に、特に左右両側の側板が邪魔になって使い勝
手が悪いばかりではなく、浴槽として使用する場合に
は、前記ベッド本体の上面全体に防水シートを敷設し、
前記側板で囲まれた大きなスペースに温湯を注入しなけ
ればならないので、多量の温湯を必要とし、使用取扱い
に不利である。特にベッド本体を広くして寝心地を良く
しようとすると、一層不利である。

【０００４】本発明は、上記の問題点を解決するもの
で、ベッド本体を広くして寝心地良く使用でき、かつ、
ベッド上で容易に排便を行なえるものでありながら、浴
槽として使用する場合には、必要最小限度のコンパクト
な浴槽を形成することにより、使用取扱いに便ならしめ
た浴槽に兼用できる介護用ベッドを提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による介護用ベッドは、ベッド基台に配設す
るマットフレームが、主要部分となる中央フレームと、
該中央フレームの両側に沿って配置され、立ち上げ可能
に設けられた左右一対の側方フレームとからなり、前記
中央フレームは、上半身側の第１フレームと、下半身側
の第２フレームとに分割されていて、前記第１フレーム
はリクライニング可能に構成される一方、前記第２フレ
ームはさらに、臀部支持フレームと脚部支持フレームと
に分割され、前記臀部支持フレームにトイレ用開口が設
けられていると共に、前記脚部支持フレームが開放自在
になっており、前記各フレーム及び分割フレームには、
それぞれに整合する形状のマットが敷設され、かつ、前
記両側方フレームを立ち上げた姿勢で固定する固定手段
が設けられており、立ち上げた前記両側方フレームと、
前記ベッド基台の頭側端部に立設した前側板と、前記ベ
ッド基台の脚側端部に立設した後側板とによって形成さ
れる箱形の浴槽本体の内部に防水シートを取り外し自在
に敷設し、浴槽として使用できるようにしたことを特徴
とする。

【０００６】

【作用】上記の構成により、通常のベッドとして使用す
る際は、前記両側方フレームをベッド基台上に水平状態
に支持する。一方、浴槽として使用する場合には、前記
両側方フレームを立ち上げて固定し、該両側方フレーム
と、前記ベッド基台の前側板及び後側板とによって前記
中央フレームの四方を囲むコンパクトな箱形に形成され
た浴槽本体の内部に防水シートを敷設して浴槽とする。
前記防水シートを敷く際、ベッド上に寝ている被介護者
を一側方に寝返りさせておいて、他側方の空いたベッド
上に先ず前記防水シートを敷き、次に該防水シートを敷
いたベッド上に被介護者を寝返りさせた後、反対側のベ
ッド上に前記防水シートを敷くようにする。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００８】図１は本発明による介護用ベッドを浴槽に
使用する状態を示し、図２は通常のベッドとして使用す
る状態を示しており、該介護ベッド１は、ベッド基台２
と、該ベッド基台２に配設するマットフレーム３と、該
マットフレーム３上に敷設するマット４とにより構成さ
れている。

【０００９】ベッド基台２は、図３及び図４に良く示さ
れているように、鋼材で製作した長方形の枠体５の四隅
に支持脚６が設けられ、枠体５の頭側端部に前側板７が
立設されていると共に、脚側端部に後側板８が立設され
ている。前側板７と後側板８は、後述するように、介護
用ベッド１を浴槽として使用する際に箱形の浴槽本体の
一部分を構成する。

【００１０】図３及び図４は、ベツド基台２に配設する
マットフレーム３を示している。マットフレーム３は、
主要部分となる中央フレーム１１と、該中央フレーム１
１の左右両側に沿って配置され、枠体５にヒンジ１３を
介して立ち上げ可能に取り付けられた左右一対の側方フ
レーム１２，１２とからなり、通常のベッドとして使用
する場合には、図示のように、両側方フレ１２，１２を
枠体５に水平姿勢に支持させ、中央フレーム１１とほぼ
同一平面にして、ベッド本体の上面を広く使用できるよ
うになっている（図２参照）。一方、浴槽として使用す
る場合には、両側方フレーム１２，１２を図１に示すよ
うに立ち上げ、中央フレーム１１を底面とする箱形に形
成する。このように立ち上げた姿勢で両側方フレーム１
２，１２を固定するために、枠体５に支持固定装置１４
が設けられている。該支持固定装置１４は側方フレーム
１２と平行に延びる支持杆１５を有し、該支持杆１５の
両端から直角に屈曲して延びる支持アーム１６，１６の
端部１６ａ，１６ａが止め金具１７，１７を介して枠体
５に回動自在に取り付けられ、かつ支持杆１５の中央部
分には操作用の把手１８が設けられている。支持杆１５
は、常時には側方フレーム１２の下方に収納されてい
て、側方フレーム１２を立ち上げる際に、支持杆１５を
端部１６ａ，１６ａを支点にして立ち上げ、側方フレー
ム１２の背面に固着した係止金具１９に支持杆１５を係
合させることによって、図１及び図５に示すように側方
フレーム１２を立ち上げた姿勢で固定するようになって
いる。なお、図示の例では各側方フレーム１２を上半身
側と下半身側に分割しているが、一体に形成してもよ
い。

【００１１】中央フレーム１１は、上半身側の第１フレ
ーム２１と、下半身側の第２フレーム２２とに分割され
ている。第１フレーム２１は、被介護者の上半身を支持
できるように十分な横幅を有する長方形の枠体に形成さ
れていて、脚側の端部に配設した支持軸２３を介して枠
体５に摺動自在に連結支持されると共に、中間部分に配
設した支持板２４にねじジャッキを利用した直線往復運
動機構を内蔵した駆動装置２５の作動杆２６が連結さ
れ、図４に仮想線で示すように、駆動装置２５によって
第１フレーム２１が支持軸２３を支点に上方へ傾働せし
められ、リクライニングできるようになっている。一
方、第２フレーム２２はさらに、臀部支持フレーム２２
ａと脚部支持フレーム２２ｂとに分割されている。臀部
支持フレーム２２ａにはトイレ用開口２７が設けられて
いて、該トイレ用開口２７を開閉する蓋板２８は、両端
に支持杆２９，３０が固着され、一方の支持杆２９の両
端が枠体５に設けた長溝３１に係合すると共に、他方の
支持杆３０が枠体５に設けた係止溝３２に係合してトイ
レ用開口２７を閉じるようになっており、図６に示すよ
うに、蓋板２８を矢印の方向へ若干スライドさせて支持
杆３０を係止溝３２から離脱させると、支持杆２９を支
点にして蓋板２８が下方へ回動しトイレ用開口２７を開
放するので、ベッド基台２の下方にトイレボックス３３
（図４参照）を設置して使用することができる。また、
脚部支持フレーム２２ｂは、中間部分に固着した支持杆
３４の両端が枠体５に設けた長溝３６に係合すると共
に、先端部に固着した支持杆３５の両端が枠体５に設け
た係止溝３７に係合して枠体５に水平状態に支持されて
おり、図７に示すように、矢印の方向へ若干スライドさ
せて支持杆３５を係止溝３７から離脱させると、脚部支
持フレーム２２ｂが支持杆３４を支点に９０度反転可能
となり、臀部支持フレーム２２ａの脚側が開放されるの
で、被介護者は脚を臀部支持フレーム２２ａからおろし
てトイレボックス３３を使用することができるようにな
る。図４中、３８は反転した脚部支持フレーム２２ｂの
ストッパ、３９は脚部支持フレーム２２ｂを水平姿勢に
支持したときの後端部ストッパである。なお、脚部支持
フレーム２２ｂの後端部に隣接して枠体５に固定した足
元支持フレーム４０には後述する浴槽として使用する際
の排水口４１が設けられている。

【００１２】次に、上述したマットフレーム３に敷設す
るマット４について説明する。図８に示すように、マッ
ト４は、中央フレーム１１の第１フレーム２１に整合す
る第１マット４２と、第２フレーム２２の臀部支持フレ
ーム２２ａに整合する第２マット４３と、第２フレーム
２２の脚部支持フレーム２２ｂに整合する第３マット４
４と、両側方フレーム１２，１２に整合する第４マット
４５，４５と、足元支持フレーム４０に整合する第５マ
ット４６とから構成されている。

【００１３】第１マット４２、第２マット４３及び第３
マット４４はいずれも、独立したウォータバッグにより
形成され、図９（ａ）に示すように、下半分にウレタン
フォーム層４８を設けた扁平な袋体４７に水を封入した
構造を有している。第１マット４２はバンド、マジック
テープなど適宜の手段を用いて第１フレームに固定され
るが、第２マット４３及び第３マット４４はそれぞれ臀
部支持フレーム２２ａ及び脚部支持フレーム２２ｂ上に
着脱自在に載置して敷設され、トイレボックス３３を使
用する際に簡単に取り外せるようになっている。

【００１４】第４マット４５，４５及び第５マット４６
は、図９（ｂ）及び図１１に示すように、ウレタンフォ
ーム４９により形成され、バンド、マジックテープなど
適宜の手段を用いて両側方フレーム１２，１２及び足元
支持フレーム４０に固定される。また第５マット４６に
は足元支持フレーム４０に設けた排水口４１に連通する
貫通孔５０が設けられている。

【００１５】図１２は、前述したように両側方フレーム
１２，１２を立ち上げて固定し、該両側方フレーム１
２，１２とベッド基台２の前側板７及び後側板８とによ
って中央フレーム１１の四方を囲む箱形に形成された浴
槽本体内に敷設する防水シート５１を示している。該防
水シート５１は、ビニールシートなど可撓性を有する防
水性シート材で製作され、中央フレーム１１に整合する
長方形の底部５２と、該底部５２の両側縁に沿って連設
され側方フレーム１２，１２に整合する長方形の両側部
５３，５３と、底部５２の頭側端縁に連設され前側板７
に沿って延びる前側部５４と、底部５２の脚側端縁に連
設され後側板８に沿って延びる後側部５５とを有し、両
側部５３，５３には、それぞれ２枚の芯板５６，５６を
封入して中央部分で折り曲げ可能な板状体に形成されて
いる。また、両側部５３，５３、前側部５４及び後側部
５５の外側縁に前記浴槽本体の上端縁部分に沿って折り
返される裾縁部５７が連設されている。さらに、両側部
５３，５３の側縁と前側部５４及び後側部５５の側縁は
可撓性を有する連結部片５８によって連結されている。
底部５２の脚側端部には排水管５９が取り付けられてい
る。

【００１６】上記のように構成された防水シート５１
は、両側部５３，５３と前側部５４及び後側部５５を中
央部分で折り曲げて全体をコンパクトに折りたたむこと
ができるようになっている。使用に際しては、図１２に
示すように開いて前記した浴槽本体内に敷くのである
が、防水シート５１を敷く際には、両側方フレーム１
２，１２が水平状態になっている通常のベッドとして使
用している状態において、先ず該ベッド上に寝ている被
介護者を一側方に寝返りさせておいて、他側方の空いた
ベッド上に防水シート５１を開いて半分だけ敷き、該防
水シート５１上に被介護者を寝返りさせた状態におい
て、残り半分の防水シート５１を前記一側方に延ばして
敷いた後、前述のように、両側方フレーム１２，１２を
立ち上げて支持固定装置１４により固定し、該両側方フ
レーム１２，１２とベッド基台２の前側板７及び後側板
８とによって中央フレーム１１の四方を囲む浴槽本体を
形成すると共に、防水シート５１の各裾縁部５７を両側
方フレーム１２，１２と前側板７及び後側板８の上端縁
に沿って外側に折り返し脱落しないようにセットする。
一方、排水管５９は貫通孔５０及び排水口４１に挿通し
て外部に延出させておく。このようにして防水シート５
１を敷いた前記浴槽本体に温湯を注入し、浴槽として使
用する。なお、図１に示すように、中央フレーム１１の
第１マット４２の頭側に高めの背当てマット６０を配置
しておくと、被介護者の頭部側を起こした姿勢で入浴さ
せることができ好都合である。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
通常のベッドとして使用する際には、両側方フレームを
水平状態に支持させ、中央フレームとほぼ同一平面にし
て、ベッド本体の上面を広くして寝心地良く使用でき、
かつ、ベッド上で容易に排便を行なうことができる。一
方、浴槽として使用する場合には、前記両側方フレーム
を立ち上げて前記中央フレームを底面とする必要最小限
のコンパクトな箱形の浴槽を形成するようにしたから、
入浴に必要な温湯の量を少なくできると共に、使用取扱
いに好都合である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る介護用ベッドを浴槽に使用する状
態を示す斜視図である。

【図２】本発明に係る介護用ベッドを通常のベッドとし
て使用する状態を示す斜視図である。

【図３】ベッド基台に載架するマットフレームの配置構
成を示す平面図である。

【図４】同縦断正面図である。

【図５】同側方フレームを立ち上げて固定した状態を示
す要部拡大側面図である。

【図６】同臀部支持フレームの要部拡大正面図である。

【図７】同脚部支持フレームの要部拡大正面図である。

【図８】マットフレームに敷設するマットの平面図であ
る。

【図９】同マットの断面図で、（ａ）は図８のＡ−Ａ線
に沿う断面図、（ｂ）は図８のＢ−Ｂ線に沿う断面図で
ある。

【図１０】図８のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。

【図１１】図８のＤ−Ｄ線に沿う断面図である。

【図１２】防水シートの平面図である。

【符号の説明】

２ ベッド基台 ３ マットフレーム ４ マット ５ 枠体 ７ 前側板 ８ 後側板 １１ 中央フレーム １２ 側方フレーム １３ ヒンジ １４ 支持固定装置 ２１ 第１フレーム ２２ 第２フレーム ２２ａ 臀部支持フレーム ２２ｂ 脚部支持フレーム ２７ トイレ用開口 ４１ 排水口 ４２〜４６ 第１マット〜第５マット ４９ 排水管 ５１ 防水シート

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド基台に配設するマットフレーム
   が、主要部分となる中央フレームと、該中央フレームの
   両側に沿って配置され、立ち上げ可能に設けられた左右
   一対の側方フレームとからなり、前記中央フレームは、上半身側の第１フレームと、下半
   身側の第２フレームとに分割されていて、前記第１フレ
   ームはリクライニング可能に構成される一方、前記第２
   フレームはさらに、臀部支持フレームと脚部支持フレー
   ムとに分割され、前記臀部支持フレームにトイレ用開口
   が設けられていると共に、前記脚部支持フレームが開放
   自在になっており、前記各フレーム及び分割フレームに
   は、それぞれに整合する形状のマットが敷設され、 かつ、前記両側方フレームを立ち上げた姿勢で固定する
   固定手段が設けられており、立ち上げた前記両側方フレ
   ームと、前記ベッド基台の頭側端部に立設した前側板
   と、前記ベッド基台の脚側端部に立設した後側板とによ
   って形成される箱形の浴槽本体の内部に防水シートを取
   り外し自在に敷設し、浴槽として使用できるようにした
   ことを特徴とする浴槽に兼用できる介護用ベッド。
2. 【請求項２】 前記中央フレームの足元側に排水口が設
   けられている請求項１記載の浴槽に兼用できる介護用ベ
   ッド。