JP2529436B2 - 非接触型icカ―ドシステム - Google Patents

非接触型icカ―ドシステム

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JP2529436B2
JP2529436B2 JP2094948A JP9494890A JP2529436B2 JP 2529436 B2 JP2529436 B2 JP 2529436B2 JP 2094948 A JP2094948 A JP 2094948A JP 9494890 A JP9494890 A JP 9494890A JP 2529436 B2 JP2529436 B2 JP 2529436B2
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正治 水田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、汚れやほこりの多い環境に強い非接触型
ICカード、特にコイルを使用する電磁誘導方式のものに
関するものである。
[従来の技術] ここでは、ICカードのうち、この発明の効果の大き
い、8ビット(N=8)のデータをパラレル転送するIC
メモリカードについて説明する。
ICメモリカード(以下ICカードとする)は電子情報通
信学会編、オーム社発行の「ICカード」の第24頁に述べ
られているように、端末装置との結合方法により、
(1)多ピン方式と(2)非接触方式に分類される。多
ピン方式は、8ビットもしくは16ビットのパラレルデー
タ転送により、ICカードと端末装置との間のデータの受
け渡しができ、現在、約200nsec(ナノ秒)の高速の読
み出し/書き込みが可能である。非接触方式は、接触部
がないことから、接触による種々のトラブルを回避する
ことができ、さらに完全密閉構造のためにFA(ファクト
リ・オートメーション)などの使用環境の悪い場所での
使用が可能である。非接触方式は、以下に示すような多
ピン方式のICカードの結合方式上の問題を解決する手段
としてメリットが大きい。
(1)コネクタ端子から入る静電気に起因する内部デー
タの変化あるいは内部ICの破壊 (2)端子の接触不良に起因するデータの誤りおよび送
受信が不可能でなること (3)端子の変形(広がる)などによるカードと端末装
置との結合不能 (4)ピン数が多いことにより挿抜力が大となったりイ
ジェクタ機構が必要になること 非接触で電力の供給やデータの送受信を行う手段とし
ては、光、電磁誘導およびマイクロウェーブ等が考えら
れるが、現在実用化されている非接触のICカードでは、
カードとしての携帯性および消費電力、そして性能を考
慮して、電磁誘導方式が採用され、一般にシートコイル
方式と呼ばれている。
第13図は、従来のシートコイル方式のICカードの内部
部品の実装状態を示す概略図である。図中、プリント基
板(1)には、大型のシートコイル(2)、3つの小型
のシートコイル(3)、制御IC(4)、メモリIC(5)
およびバッテリ(6)が実装される。大型のシートコイ
ル(2)は、端末装置からICカードへの電力およびクロ
ック信号を受けるコイルである(以下電力用コイルとす
る)。小型シートコイル(3)は、例えばデータ受信用
コイル(3a)、データ送信用コイル(3b)および命令信
号受信用コイル(3c)の3つのコイルからなる。これら
のシートコイル(2)(3)は従来のプリント基板パタ
ーン(特に図示せず)を形成するのと同様の方法により
形成されている。メモリIC(5)はデータを記憶するた
めのICであり、また制御IC(4)はシートコイル(3c)
で受けた命令信号に基づいて、メモリIC(5)のデータ
の読み出しあるいは書き込みの制御を行うためのICであ
る。バッテリ(6)はメモリIC(5)内のデータを保持
するための内蔵バッテリである。また、第14図は第13図
のICカードの電気的接続を示すブロック図である。電力
用コイル(2)から得られた信号の一部はクロック信号
線(7)を介してクロック信号として制御IC(4)に供
給され、また整流回路(8)で整流されたものは、制御
IC(4)およびメモリIC(5)に直流電力(9)として
供給される。2つのダイオード(10)は、整流回路
(8)およびバッテリ(6)からの直流電流の電源側へ
の逆流を防止する。受信データ線(11)は受信用コイル
(3a)からの受信データを制御IC(4)へ導く。送信デ
ータ線(12)は制御IC(4)からの送信データを送信用
コイル(3b)へ導く。命令信号線(13)は命令信号受信
用コイル(3c)から得られた命令信号を制御IC(4)へ
導く。カードとこのカードと結合する端末装置(図示せ
ず)との間の信号の受け渡しは全てシリアル信号で行わ
れる。制御IC(4)とメモリIC(5)との間のデータの
受け渡しは、制御IC(4)がシリアルデータとパラレル
データとの変換機能を有したものであれば、シリアルデ
ータが8ビットのパラレルデータに変換され、8ビット
のデータバス(14)によって行われる。また、端末装置
側にも当然ながら、シートコイル(2)(3)と同様の
シートコイル(共に図示せず)が設けられており、カー
ドが端末装置に結合された時に、カード側の各シートコ
イルと近接して対向するような位置に設けられている。
端末装置側のシートコイルの電磁誘導によってICカード
側の各シートコイルに生じる誘導電流は微分波形のもの
である。第14図の各信号線(7)(11)(12)(13)に
は小容量のコンデンサ(図示せず)が付加されており、
微分波形の誘導電流を積分し、制御IC(4)が取り扱え
る信号に変換される。なお、この種のICカードは通常、
第14図に示す他に幾つかの制御信号線、アドレス線等を
含むが、詳細な説明は省略する。
第13図および第14図に示す従来のシートコイル(2)
(3)は上述したように、プリント基板パターンと同様
な方法で形成される。すなわち、メッキ等により基板上
に銅箔を形成し、銅箔の層を残す部分、すなわち一筆パ
ターンのスパイラル状のコイル巻線となる部分にレジス
トをかけてエッチングを行い、その後、レジストを除去
する。これらのシートコイルの寸法は、例えば電力用コ
イル(2)が大型で直径が約20mm(巻線は20ターン程
度)、受信用コイル(3a)および送信用コイル(3b)、
並びに命令信号受信用コイル(3c)は共に小型で直径が
約10mm(巻線は5ターン程度)である。
また、この電磁誘導方式の非接触型ICカードは上述の
ようにシリアルデータ転送を行う。そのデータ転送速度
は500Kbit/sec(2μsec/bit)で、他の非接触方式に比
べて高速であるが、8ビットのデータをパラレルに転送
するバイト転送に変換すると、約60K byte/sec(16μse
c/byte)となり、パラレル転送が基本の多ピン方式のIC
カードの5M byte/sec(200nsec/byte)と比べるとかな
り遅く、数百KFバイトの大容量ICカードのデータの送受
信には不適当である。
また、第15図は第13図に示したシートコイルの1つを
拡大した平面図、第16図の(a)はICカードが端末装置
とずれることなく結合された場合の、ICカード側と端末
装置側の対向するシートコイルが電磁誘導結合した時の
磁力線を示した透視側面図、(b)は双方のシートコイ
ルが少しずれた位置で電磁誘導結合した時の磁力線を示
した透視側面図である。第15図に示すようにコイル巻線
(18)の両端には電気的接続を行うためのパッドもしく
はランド(20)が設けられる。そして第16図の(a)に
示すように、ICカードが端末装置にずれることなく置か
れると、端末装置側のシートコイル(22)によって生成
された磁力線(26)の殆どが、近接して対向するICカー
ド側のシートコイル(24)を鎖交し、「レンツの法則」
に基づいて誘導電流がシートコイル(24)に発生し、信
号が非接触で伝搬される。しかし第16図の(b)のよう
に、ICカードが端末装置にずれて置かれると、端末装置
のシートコイル(22)で生成された磁力線(26)の例え
ば3/4しかICカード側のシートコイル(24)と鎖交しな
いことになり、シートコイル(24)に発生する誘導起電
力は3/4に減り、従って誘導電流も3/4に減り、非接触に
よるデータ伝搬力の結合度、信頼性が低下する。
[発明が解決しようとする課題] 従来の電磁誘導型の非接触型ICカードは以上のように
構成されていたが、非接触で信号を伝達するためのシー
トコイルがプリント基板上の広い面積を占有するため、
多くのメモリICをプリント基板上に実装する大容量ICカ
ードの開発の障害になっていた。また、より高速のデー
タ転送を行うために、現状のシリアルデータ転送を例え
ば8ビットデータを同時にパラレルに転送するパラレル
データ転送にするには、さらに多くのコイルを並べて設
ける必要があるため、パラレルデータ転送を行うことは
困難であった。さらに、端末装置とICカード間の位置ず
れにより、電磁誘導の結合度が容易に低下してしまい、
対向する側のシートコイルに誘起される電流の大きさが
変化し、安定した一定の電流が得られないために、端末
装置とICカードとの間のデータ転送のデータの信頼性が
低下するという問題点もあった。従来の非接触型ICカー
ドには以上のような課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされ
たもので、データ転送用のコイルをより小形かつ薄形に
して、コイルのプリント基板上の占有面積を小さくする
と共に、端末装置とICカードとの間でパラレルデータ転
送を行い、より高速でかつ信頼性の高いデータ転送を行
う、電磁誘導方式の非接触型ICカードを得ることを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 上記の目的に鑑み、この発明は、電磁誘導方式による
非接触型ICカードであって、ICカードのデータの読み出
しおよび書き込みを行う端末装置と対向して近接する上
記ICカード上の位置に、コイルをN個並べて設け、端末
装置との間でデータのNビットのパラレルデータ転送を
行う非接触型ICカードにある。
さらにこの発明の別の実施例では、N個のコイルをそ
れぞれポットコアを設けたポットコア・コイルとして形
成した。
さらにこの発明の別の実施例では、N個のポットコア
・コイルの隣接するコイルの間にそれぞれ、磁力線を遮
るためのシールド壁を設けた。
さらにこの発明の別の実施例では、ポットコア・コイ
ルおよびシールド壁を絶縁材で外装モールドして1つの
コイルモジュールとして形成した。
さらにこの発明の別の実施例では、コイル、ポットコ
ア・コイル、シールド壁およびコイルモジュールを半導
体製造技術に基づく薄膜技術により形成した。
[作用] この発明に係る非接触型ICカードでは、コイルをN個
並べて設け、端末装置との間でNビットのパラレルデー
タ転送を行い、データ転送の高速化を図った。さらにこ
の発明の別の実施例では、N個のコイルを、コイル巻線
をポットコア内に形成するポットコア・コイルとし、IC
カードと端末装置に位置ずれがあっても磁力線の漏れが
ないようにし、信号の安定化を図った。さらにこの発明
の別の実施例では、N個のポットコア・コイルの隣接す
るコイルの間にそれぞれ、磁力線を遮るためのシールド
壁を設け、端末装置側あるいはICカード側のそれぞれの
側で隣接するコイル同士の干渉の防止し、これにより高
密度でコイルを配置できるようにした。さらにこの発明
の別の実施例では、ポットコア・コイルおよびシールド
壁を絶縁材で外装モールドして1つのコイルモジュール
として形成し、取り扱いを簡単にした。さらにこの発明
の別の実施例では、コイル、ポットコア・コイル、シー
ルド壁およびコイルモジュールを半導体製造技術に基づ
く薄膜技術により形成し、コイルの小形化を図った。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図はこの発明の一実施例による非接触型ICカードの内
部部品の実装状態を示す概略図であり、例えばN=8ビ
ットのパラレルデータ転送を行うものを示す。第13図に
示す従来のものと同一符号で示された部分は同一または
相当部分を示す。薄膜コイルモジュール(15)は、8ビ
ットのパラレルデータ転送を行うための8個のデータ送
受信用薄膜コイル(15a)〜(15h)、および命令信号を
受信するための命令信号受信用薄膜コイル(15i)の合
計9個のコイルを3×3に配列し、これを絶縁材で外装
モールドしたモジュールである。これらの9個の薄膜コ
イル(15a)〜(15i)は、薄膜コイルモジュール(15)
として一体にまとめて形成されても、あるいはそれぞれ
個別に形成されたものでもよい。また各コイル(15a)
〜(15i)の配列も第1図のに示すものに限られず、実
装スペースに合わせて適当な配列にすればよい。制御IC
(41)は8ビットのパラレルデータの送受信を制御でき
る制御ICである。また第2図は第1図のICカードの電気
的接続を示すブロック図である。薄膜コイル(15a)〜
(15h)および送受信用データ線(16a)〜(16h)は、
8ビットのパラレルデータの受信と送信の双方向の転送
が可能なように共用される。制御IC(41)は命令信号線
(13)から受信した命令がデータの書き込み命令かある
いは読み出し命令かを判断し、これに従って8ビットパ
ラレルデータの双方行制御を行う。制御IC(41)の入力
段には、例えば、汎用ゲートIC“74HC245"もしくはこれ
と同等の機能を有するものを使用すればよい。
第3図および第4図は第1図に示した薄膜コイルモジ
ュール(15)内の1つのコイル素子を拡大して示したも
のである。第3図は1層のスパイラル状コイル巻線を有
する薄膜コイル、第4図は積層されたスパイラル状コイ
ル巻線を有する薄膜コイルを示すもので、それぞれ
(a)は側面断面図、(b)は上方から見たコイル巻線
だけを示した平面図である。第3図および第4図の薄膜
コイルは例えば、現在、固定ハードディスクで用いられ
ている薄膜磁気ヘッド用の薄膜コイルの製造技術(以下
薄膜技術とする)によって形成される。なお、コイル巻
線(18)の両端には、回路との接続を行うパッド(20)
も形成される。現在の薄膜技術を使用すれば、48ターン
のスパイラル状コイルを縦横0.2〜0.3mm、厚さ0.01mmの
サイズで作ることが可能である。ここでは10ターンのス
パイラル状コイルを縦横数mmのサイズに作ればよいの
で、この薄膜技術によりコイルを形成すれば、複数個の
コイルを並べても従来のものより占有面積が小さいもの
を形成することが可能である。
次の式は、インダクタンス設計で用いられるインダク
タンスとコイル巻線の巻数、内径および外径の長さの関
係を示す。
L=20.32a2n2/(6a+10c)[nH] 但し a=(dO+di)/4 c=(dO−di)/2 dO=外径(μm) di=内径(μm) n=巻数 すなわち、スパイラル状コイルのインダクタンスは、巻
数と外径が大きく、内径を外径とをできるだけ等しくす
ると大きくなる。従って、限られたプリント基板の面積
内に、ある程度のインダクタンスを持つスパイラル状コ
イルを数多く準備するためには、内径を外径を近付け
て、その狭い間にできるだけファインピッチのスパイラ
ルパターンを数多く形成することである。従来のよう
に、プリント基板上の銅箔をエッチングしてコイル巻線
を形成する方法では、エッチングパターンおよびパター
ン間隔は約100μmが限界であるが、薄膜技術では数μ
mでも可能であり、かつ非常に薄く積層することもで
き、その結果、薄膜コイルの直径は小さくできて、その
分、プリント基板上の薄膜コイルを実装する面積を小さ
くできる。
第5図に薄膜技術による薄膜コイルの製造方法の工程
を示し、これについて簡単に説明しておく。まず、
(a)に示す絶縁ベース(17)の上面全面に(b)に示
すように銅下地スパッタを施し、絶縁ベース(17)の全
面に薄さ0.1μm程度の銅下地層(18a)を形成する。次
に、(c)に示すようにフォトレジストパターニングに
よって、コイル巻線(18)を形成しない部分をレジスト
(18b)で覆う。すなわちレジスト(18b)のパターンは
コイルパターンと逆のパターンとなる。次に(d)に示
すように銅コイルパターンメッキを施し、コイル巻線
(18)の部分の表面にメッキ部(18c)を形成する。こ
のメッキ部(18c)の薄さは2〜4μm程度である。次
に、(e)に示すようにレジスト(18b)の除去および
スパッタエッチングにより銅下地層(18a)の不要な部
分を取り去り、これにより絶縁ベース(17)上にコイル
巻線(18)が形成される。そして(f)に示すようにこ
れにコイル巻線(18)を絶縁層(19)で覆う。これはフ
ォトレジスト絶縁層形成、焼成の工程により行われる。
また第6図に示すように、この発明のICカード(10
0)が挿入(結合)される端末装置(50)のコネクタ(5
0a)内にも、同様の構造の薄膜コイルモジュール(但し
各コイルの配置がICカード側の対応するコイルと対向す
るようになっているもの)が設けられることはいうまで
もない。このコネクタ(50a)内に設けられるコイルモ
ジュールは、ICカード(100)がコネクタ(50a)内に挿
入された時に、ICカード(100)のコイル部分(150a)
と近接して対向するコイル部分(150b)に設けられる。
この薄膜コイルを使う電磁誘導方式による非接触型IC
カードのデータ転送速度は、8ビットのデータをパラレ
ルに送受信するので、500K byte/sec(2μsec/byte)
になり、従来のビットシリアル型に比べて8倍高速化さ
れる。接触型の多ピン方式に比べると1桁遅いが、ICカ
ードおよび端末装置が完全密閉構造にできるため、悪影
響下のFA分野でも使用可能であるとうメリットがある。
また、コイルの占有面積が小さくなったこと、およびデ
ータの転送速度が早くなったことによって、第1図およ
び第2図に示すようにメモリIC(5)の数を増加させ、
メモリ容量を増大させるのも容易となる。
また、カードと端末装置が、ずれて結合された場合に
おいても、より安定した電磁誘導結合が得られるよう
に、薄膜コイルモジュールの各薄膜コイルをポットコア
を設けたコイルにしてもよい。第7図はこのようなポッ
トコア・コイルの外装モールドされるされる前の1つを
拡大して示した斜視図である。また第8図の(a)はIC
カードが端末装置にずれることなく結合した場合の、IC
カード側と端末装置側の双方の対向するポットコア・コ
イルが電磁誘導結合した時の磁力線を示した側面透視
図、(b)はICカードと端末装置に位置ずれが生じて、
双方のポットコア・コイルが少しずれた位置で電磁誘導
結合した時の磁力線を示した側面透視図である。第7図
に示すように、絶縁ベース(35)上に形成されるポット
コア・コイル(30)のポットコア(33)は、コイル巻線
(31)の中心部、外周部および底部を囲む、断面がE型
形状になるものである。ポットコア(33)の外周部の一
部には、コイル巻線(31)の両端をポットコア(44)の
外部に引き出すためのギャップ部分(33d)が形成され
る。また、コイル巻線(31)の表面は絶縁層(34)で覆
われ、さらにコイル巻線(31)の両端にはパッド(32)
が取り付けられている。このポットコア・コイル(30)
も上述した薄膜技術により形成される。従って各ポット
コア・コイル、さらにはこのポットコア・コイルを複数
個まとめて収納したコイルモジュール全体の大きさも従
来のものに比べてかなり小さく形成することができる。
なおポットコア・コイルの製造工程に関しては後述す
る。
このようなポットコア・コイルを使用したICカードの
場合、第8図の(a)に示すように、ICカードが端末装
置にずれることなく結合され、双方のポットコア・コイ
ル(30a)(30b)の中心が一致した場合は当然ながら、
第8図の(b)のように、ICカードが端末装置にずれて
結合された場合においても、例えば端末装置側のポット
コア・コイル(30a)で生成された磁力線(38)の殆ど
は、より磁気抵抗の小さい磁路である。近接して対抗す
るICカード側のポットコア・コイル(30b)のポットコ
アに集結する。従って、磁束漏れが少なく、ポットコア
・コイル(30b)のコイル巻線(31)に、同図(a)と
同様の一定した電磁誘導電流が発生する。このように、
コイル巻線の中心部、外周部およびこれらを接続する底
部を、フェライト等の比透磁率の高い材料でできたコア
により囲む構造のポットコア・コイルを使用すれば、端
末装置とICカードの位置ずれでデータ転送に不具合が生
じることがなくなる。また、ポットコアにフェライト等
の比透磁率が高い材料を使用するため、従来のプリント
基板上に形成されるシートコイルと比較して、より少な
い巻数、短い直径および小さいコイル電流で同等の電磁
誘導電流を発生させることが可能である。
さらに、上記のようにICカード側および端末装置側で
それぞれ複数個のコイルを隣接して並べた場合、端末装
置とICカード間の対向するコイル間ではなく、例えば同
じICカード内の隣接するコイル間で磁力線が相互に漏れ
る、いわゆる干渉が発生してデータを正しく送受信でき
なくなる可能性がある。そこで、隣接するポットコア・
コイルの間にシールド壁を設けてもよい。第9図はシー
ルド壁を設けたポットコア・コイルのモジュールの一部
の、外装モールドされる前の状態を示す斜視図、第10図
はシールド壁を設けたそれぞれICカード側と端末装置側
のポットコア・コイルが電磁結合した際の磁力線を示す
側面透視図である。このように、端末装置側のポットコ
ア・コイル(30a)によって発生された磁力線(38)は
殆ど対向するICカード側のポットコア・コイル(30b)
と鎖交する。ICカード側のポットコア・コイル(30b)
の外周部から発生される磁力線(38)の漏れ磁力線は、
シールド壁(39)に当ってその内部においてエネルギ損
失され、隣のポットコア・コイルまたは対向する端末装
置の別の組のポットコア・コイルに到達する可能性は非
常に少ない。従って、隣接するコイル同士の干渉を防止
でき、かつコイルを狭い間隔で高密度に実装でき、ひい
てはコイル部分の占有面積を小さくできる。このシール
ド壁(39)は、アルミ等の導電性の材料で形成され、コ
アより高くまたコアの外周部の数分の1の幅を有するも
のであればよい。そして、ポットコア、コイル巻線、絶
縁層と同様に薄膜技術により形成すればよい。
次に、第11図および第12図を使ってポットコア・コイ
ルの製造工程について説明する。第11図はポットコア・
コイルを真上から見た平面図、第12図は側面断面図であ
る。まず、両図の工程(a)においては、ガラスあるい
はセラミック等からなる絶縁ベース(サブストレート)
(35)上に磁性体材料(好ましくはフェライトあるいは
パーマロイ等の強磁性体材料)を円形にパターンメッキ
して、ポットコア底部(33a)を形成する。但し、コイ
ル巻線(31)を外部に引き出すためのギャップ部分(33
d)を設けている。次に(b)工程では、ドーナツ状に
フォトレジスト絶縁層(34a)を形成し、焼成処理を行
う。次に(c)工程では、パターンメッキによりスパイ
ラル状の導電性パターン、例えば銅コイルを生成してコ
イル巻線(31)およびその一端にパッド(32)を形成す
る。このコイル巻線(31)の製造方法は第5図に従って
説明したものと同様である。次に(d)工程では、コイ
ル巻線(31)の内側端を除いて、(b)工程と同様に図
示のようにドーナツ状にフォトレジスト絶縁層(34b)
を形成し焼成処理を行う。次に(e)工程では、(c)
工程と同様にパターンメッキによりコイル巻線(31)の
内側端からの引き出し線(31a)およびパッド(32)を
形成する。そして(f)工程では、(a)工程と同様に
強磁性体材料を中心部と外周部にパターンメッキとし
て、ポットコア中心部(33b)およびポットコア外周部
(33c)を形成する。さらにシールド壁(39)を設ける
場合には、(g)工程で、アルミ等の導電性材料を蒸着
もしくはスパッタリングすることによりシールド壁(3
9)を形成する。このようにして形成された1個あるい
は複数個のポットコア・コイル(30)およびシールド壁
(39)は全体を絶縁材料で外装モールドされ、例えば第
1図に示す薄膜コイルモジュール(15)の形で使用され
る。また、上記実施例ではポットコア・コイル中のコイ
ル巻線は1段のスパイラル状のパターンであったが、複
数段に積層したスパイラル状のパターン(第4図参照)
にしてもよい。この場合の製造工程は、例えば工程
(b)から工程(d)を複数回繰り返し、その際コイル
巻線が一筆パターンになるようにコイル巻線の両端を接
続していくようにすればよい。
以上のような薄膜技術によりポットコア・コイルを形
成すれば、1つ1つのポットコア・コイルが薄形、小形
に形成することが可能となり、ひいてはこのポットコア
・コイルを複数個収納した薄膜コイルモジュールも薄
形、小形に形成することができる。
また、このポットコア・コイルは薄形、小形に形成で
きるため、0.76mm厚みのISO仕様のICマイコンカードに
おいて実施することも可能であり、ICマイコンカードを
非接触形に容易にできる。
また、上記実施例では8ビットデータをパラレル転送
する場合について述べたが、これに限定されることな
く、実装面積を考慮してN個(Nは正の整数)のデータ
送受信用コイルを設ければ、Nビットデータのパラレル
転送が可能となることは言うまでもない。
また、メモリIC(5)としてはデータ保持用のバッテ
リ(6)を必要とする揮発性のRAMを図示したが、バッ
テリ(6)を必要としない不揮発性ROMであってもよ
く、同様な効果を奏する。
[発明の効果] 以上のようにこの発明によれば、電磁誘導方式の非接
触型ICカードにおいて、小形で薄い薄膜コイルを形成
し、この薄膜コイルをN個並べて設け、Nビット(実施
例では8ビット)のパラレルデータ転送を行うようにし
たので、従来のシリアルのデータ転送方式に比べてより
高速なデータ転送が可能になった。また、各薄膜コイル
をポットコアを設けた構造にしたことにより、端末装置
とICカードの間に位置ずれが生じても高い信頼性でデー
タ転送ができようになった。さらに、端末装置側あるい
はICカード側の隣接する薄膜コイルの間にシールド壁を
設けるようにしたので、隣接するコイル同士の干渉を防
止でき、かつコイルを狭い間隔で高密度に実装でき、ひ
いてはコイル部分の占有面積を小さくできるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による非接触型ICカードの内部部品の
実装状態を示す概略図、第2図は第1図のICカードの電
気的接続を示すブロック図、第3図は1層のスパイラル
状コイル巻線を有する薄膜コイルの側面断面図および平
面図、第4図は積層されたスパイラル状コイル巻線を有
する薄膜コイルの側面断面図および平面図、第5図は第
3図に示す薄膜コイルの製造工程を説明するための図、
第6図はこの発明によるICカードと端末装置との関係を
示す透視図、第7図はこの発明による1つのポットコア
・コイルを拡大した斜視図、第8図はICカード側と端末
装置側の双方の対向する1つのポットコア・コイルが電
磁誘導結合した時に発生する磁力線を示した側面透視
図、第9図はこの発明によるポットコア・コイル間にシ
ールド壁を設けた状態を示す斜視図、第10図は第9図に
示すシールド壁を設けた場合のICカード側と端末装置側
の双方の対向するポットコア・コイルが電磁誘導結合し
た時に発生する磁力線を示した側面透視図、第11図およ
び第12図はこの発明によるポットコア・コイルの製造工
程を説明するためのそれぞれ平面図および断面図、第13
図は従来のシートコイルを使用した非接触型ICカードの
内部部品の実装状態を示す概略図、第14図は第13図のIC
カードの電気的接続を示すブロック図、第15図は第13図
に示したシートコイルの1つを拡大して示した平面図、
第16図は従来のICカード側と端末装置側の対向するシー
トコイルが電磁誘導結合した時に発生する磁力線を示し
た側面透視図である。 図において、(1)はプリント基板、(2)は電力用コ
イル、(5)はメモリIC、(6)はバッテリ、(7)は
クロック信号線、(8)は整流回路、(9)は直流電
力、(10)はダイオード、(13)は命令信号線、(14)
はデータバス、(15)は薄膜コイルモジュール、(15
a)〜(15h)はデータ送受信用薄膜コイル、(15i)は
命令信号受信用薄膜コイル、(16a)〜(16h)は送受信
データ線、(17)と(35)は絶縁ベース、(18)と(3
1)はコイル巻線、(19)と(34)は絶縁層、(20)と
(32)はパッド、(30)はポットコア・コイル、(33)
はポットコア、(38)は磁力線、(39)はシールド壁、
(50)は端末装置、(50a)はコネクタ、(100)はICカ
ードである。 尚、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁誘導方式による非接触型ICカードであ
    って、上記ICカードのデータの読み出しおよび書き込み
    を行う端末装置と対向して近接する上記ICカード上の位
    置に、コイルをN個並べて設け、上記端末装置との間で
    上記データのNビットのパラレルデータ転送を行う非接
    触型ICカード。
  2. 【請求項2】上記N個のコイルがそれぞれポットコアを
    設けたポットコア・コイルである特許請求の範囲第1項
    に記載の非接触型ICカード。
  3. 【請求項3】上記N個のポットコア・コイルの隣接する
    コイルの間にそれぞれ、磁力線を遮るためのシールド壁
    を設けた特許請求の範囲第2項に記載の非接触型ICカー
    ド。
  4. 【請求項4】上記ポットコア・コイルおよびシールド壁
    を絶縁材で外装モールドして1つのコイルモジュールと
    して形成した特許請求の範囲第3項に記載の非接触型IC
    カード。
  5. 【請求項5】上記コイル、ポットコア・コイル、シール
    ド壁およびコイルモジュールのいずれかが薄膜技術によ
    り形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第1
    ないし4項のいずれかに記載の非接触型ICカード。
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