JP2526575Y2 - 衛生洗浄装置のノズル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、局部洗浄機能を備えた
衛生洗浄装置に係り、特に洗浄水を噴出するノズルをセ
ルフクリーニングするための構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置は、
温水化した洗浄水をノズル装置によって局部に向けて噴
射する構造が一般的であり、その例を図８に示す。

【０００３】図において、便器本体５０に衛生洗浄装置
のケーシング１が固定され、このケーシング１に便座６
０及び便蓋６１を開閉自在に取り付けている。ケーシン
グ１の内部には、洗浄水を加熱するタンクや乾燥のため
の温風ファン及び制御部が内蔵され、各機能の操作はケ
ーシング１の上面に設けた操作部１ａによって行われ
る。そして、洗浄用のノズル装置５１は、図９の概略図
に示すようにシリンダ５２とこのシリンダ５２から出没
するノズル本体５３とから構成されている。

【０００４】ノズル装置５１のシリンダ５２には、ケー
シング１に内蔵したバルブユニット１ｂ，加熱タンク１
ｃ，三方切替電磁弁１ｄを経由して供給管１ｆ及び洗浄
管１ｇが接続され、またノズル本体５３は電動モータ５
４の出力軸に機械的に連接されて進退動作する。そし
て、洗浄水の供給やノズル本体５３の動作は制御部１ｅ
によって全て制御される。

【０００５】ノズル本体５３は駆動モータ５４によって
洗浄位置まで進出し、洗浄水を先端のノズルヘッド５３
ａから噴出して局部を洗浄する。そして、このような洗
浄過程の際にノズルヘッド５３ａに汚物等が付着した場
合にこれを自動的に取り除くため、ノズルヘッド５３ａ
に洗浄水を浴びせかけてクリーニングする機構が設けら
れる。

【０００６】このクリーニング機構には各種のものが採
用されているが、図９に示すように三方切替電磁弁１ｄ
から洗浄管１ｇを分岐させ、その先端にクリーニングヘ
ッド１ｈを設けたものがある。クリーニングヘッド１ｈ
には、ノズル本体５３が洗浄位置から戻ってシリンダ５
２に収納された後バルブユニット１ｂを制御部１ｅによ
り制御して或る一定時間洗浄水が供給され、ノズルヘッ
ド５３ａの周面を洗い流す。

【０００７】このようなクリーニングヘッド１ｈによる
洗浄の他に、ノズル本体５３の中に設けた流路を利用し
ノズルヘッド５３ａから洗浄水を噴き出してクリーニン
グするものもある。これは、局部洗浄の後にノズル本体
５３を収納したときにノズルヘッド５３ａを包み込むチ
ャンバをケーシング１側に設けておき、ノズルヘッド５
３ａから放出した洗浄水をこのチャンバに一時的に溜め
るようにしてノズルヘッド５３ａの周面を洗い流すとい
う構造である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】このようにクリーニン
グヘッド１ｃから洗浄水を浴びせかけたり、チャンバの
中にクリーニング用の水を放出したりしてノズルヘッド
５３ａをクリーニングするとき、クリーニング用の水が
シリンダ５２の中やケーシング１の内部にまで入り込ま
ないようにする必要がある。このため、従来では、ノズ
ル本体５３ａの周面をしごいて付着した水を除くための
パッキンをシリンダ５２の先端の入口部分等に組み込む
構造が採用されていた。

【０００９】ところが、ノズル本体５３に対しては、シ
リンダ５２から受ける摩擦抵抗に加えてパッキンのシー
ル圧による抵抗も作用する。このため、駆動モータ５４
の出力トルクにも余裕を持たせる必要があるほか、パッ
キンの組込みが適正でないとノズル本体５３の速やかな
動作に影響を及ぼす。

【００１０】また、パッキンをシリンダ５２に先端部に
組み込むには、パッキンを嵌めるための溝をシリンダ５
２の内周に刻むか、または別の部材でパッキンを受ける
構造としなければならない。このため、パッキンだけで
なくシリンダ５２側にも加工を施したり、更に別の部材
が必要となるので、構造を簡略化するにしても限界があ
る。

【００１１】このように、パッキンを利用してシリンダ
５２に付着した水をしごくような構造では、ノズル本体
５３の動きに影響を与える恐れがあるほか、部品点数及
び組立て工数が増えてしまう。

【００１２】本考案において解決すべき課題は、クリー
ニング用の洗浄水がノズル本体の基端側に入り込むこと
を防ぐ構造を簡単にすることにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本考案は、収納位置と洗
浄位置との間を往復動作可能に配置したノズル本体と、
該ノズル本体の収納位置においてその先端のノズルヘッ
ドを覆うクリーニングチャンバとを備え、洗浄水を前記
クリーニングチャンバの内部に向け噴出してノズルヘッ
ドをクリーニングするノズル装置であって、前記クリー
ニングチャンバの内壁に、前記ノズルヘッドの少なくと
も噴出孔周りを巡って突設した邪魔板を前記ノズルヘッ
ドの噴出孔よりもノズル本体の基端側に設けたことを特
徴とする。

【００１４】

【作用】ノズル本体を収納したときにはその先端のノズ
ルヘッドはクリーニングチャンバの中に包み込まれる。
このとき、ノズル本体に洗浄水を送り込むとノズルヘッ
ドの噴出孔からこれが噴射され、クリーニングチャンバ
の内壁に当たった後にはね返ってノズルヘッドの周面を
洗い流す。このようなクリーニングにおいて、噴出孔よ
りも後側に設けた邪魔板はクリーニング用の水がノズル
本体側に流れ込むことを阻む。また、邪魔板の後側には
封水部を設けているので、邪魔板がノズルヘッドの周面
にパッキンのように密着しないものであっても、この封
水部が水の進行を妨げ、そのままノズルヘッドの周面側
に流し落として排出する。したがって、パッキン等によ
ってノズルヘッド又はノズル本体の周面をシールしなく
ても、クリーニングのときに水がクリーニングチャンバ
からノズル本体の基端側に流れ込むことが防止される。

【００１５】

【実施例】図１は本考案のノズル装置を示す右側面図、
図２はその平面図、図３はノズル装置の先端部分を示す
左側面図、図４は先端部の正面図である。

【００１６】衛生洗浄装置は図８に示したようにケーシ
ング１の中に収納されて便器本体５０に固定され、ケー
シング１の内部には図５に示す洗浄水の供給系が設けら
れる。これは、図９で示したものと同様に、開閉弁及び
調圧機能を持つバルブユニット１ｂ，加熱タンク１ｃ及
び制御部１ｅを備え、加熱タンク１ｃと後述するノズル
装置との間には流量調整切替ユニット１ｉを組み込んで
いる。この流量調整切替ユニット１ｉは、加熱タンク１
ｃからの流入部と二つの流出部を備えたもので、これら
の流出部への流路を別々に開閉する開閉弁機構とそれぞ
れの流量を調整可能な流量調整弁とを組み込んだ構成を
持ち、一般的な水周り機器の流路系に利用されているも
のである。そして、ノズル装置の駆動や洗浄位置の設定
及び加熱タンク１ｃの温水温度の設定等及びバルブユニ
ット１ｂや流量調整切替ユニット１ｉの操作は、図８の
場合と同様にケーシング１に備えた操作部１ａによって
行う。

【００１７】図１〜図４に示すように、ケーシング１の
内部にはノズル装置のベース２が固定され、このベース
２にノズル本体３がその軸線方向に移動可能に組み込ま
れている。ベース２は、パイプ状のノズル本体３の下面
を受ける凹曲面状のスライド面２ａを形成したもので、
先端にはノズル本体３のノズルヘッド４を洗うためのク
リーニングチャンバ２ｂを設けている。また、ベース２
の基端側には駆動モータ５が固定されその出力軸には駆
動プーリ５ａを設けている。そして、この駆動プーリ５
ａにはタイミングベルト６を巻き付け、ベース２に設け
た２個のプーリ５ｂ，５ｃ及びテンションプーリ５ｄに
このタイミングベルト６を掛け回している。

【００１８】ノズル本体３は、図６に示すように内部に
二つの流路を形成し、一方を肛門洗浄用として使う第１
流路３ａとし、他方をビデ用の第２流路３ｂとしてい
る。そして、流量調整切替ユニット１ｉからの２本の供
給管７ａ，７ｂを接続するジョイント３ｃ，３ｄをこれ
らの第１，第２流路３ａ，３ｂの基端部から側方に突き
出している（図２）。そして、ノズル本体３の基端の周
面にはタイミングベルト６を掴むクランプ３ｅを設け、
タイミングベルト６の走行に伴ってノズル本体３を移動
させる。なお、このノズル本体３の動きに追従させるた
め、供給管７ａ，７ｂは可撓性のものを用いる。

【００１９】ノズルヘッド４は、ノズル本体３を図１の
ようにケーシング１の中に収納したときに、クリーニン
グチャンバ２ｂの中に納まる軸線長さを持つ。そして、
内部は２室に別れ、一方はノズル本体３の第１流路３ａ
に連通して上面に肛門洗浄用の第１噴出孔４ａを開け、
他方は第２流路３ｂに連通して上面にビデ用として使う
第２噴出孔４ｂを設けている。

【００２０】第１噴出孔４ａを使うときは、駆動モータ
５の出力軸の回転量が制御部１ｅによって設定され、流
量調整切替ユニット１ｉからの洗浄水も供給管７ａ側の
みに切り換えられる。また、第２噴出孔４ｂによる場合
も同様にノズル本体３のストロークが大きく設定され、
洗浄水の供給も供給管７ｂ側に切り換わる。

【００２１】図７はクリーニングチャンバ２ｂの詳細を
示すものであり、同図の（ａ）は平面図、同図の（ｂ）
は切欠側面図、同図の（ｃ）は同図（ｂ）のＡ−Ａ線矢
視による断面図である。

【００２２】クリーニングチャンバ２ｂはベース２ａの
延長上に一体に形成され、図７の（ｃ）に示すように下
端を開放した逆Ｕ字状の縦断面を持つ。そして、先端部
分にはノズルヘッド４を通すために切欠を設け、ノズル
本体３を収納したときには図６に示すようにノズルヘッ
ド４の全体がクリーニングチャンバ２ｂの中に包み込ま
れる。また、クリーニングチャンバ２ｂの内部には、ク
リーニング用の洗浄水がベース２のスライド面２ａ側に
流れ込むことを防ぐ邪魔板２ｃを設ける。この邪魔板２
ｃは図７の（ｃ）に示すように、クリーニングチャンバ
２ｂのほぼ上半分を占めるように縦方向に設けたもの
で、ノズル本体３が移動する部分には半円状の切欠２ｄ
を形成している。そして、邪魔板２ｃは、図６に示すよ
うにノズル本体３を収納した時点において、第１噴出孔
４ａよりも基端側に偏った位置に設け、邪魔板２ｃの背
部側とクリーニングチャンバ２ｂの内壁との間及びノズ
ルヘッド４の周面との間に封水部２ｅができるようにす
る。

【００２３】以上の構成において、操作部１ａの肛門洗
浄スイッチをオンさせると、駆動モータ５によって駆動
プーリ５ａが回転してタイミングベルト６を走行させ、
所定のストロークまでノズル本体３を進出させる。この
後、供給管７ａから洗浄水を送り込むと、第１流路３ａ
からノズルヘッド４に流れ込み、肛門洗浄用の第１噴出
孔４ａから洗浄水が噴射される。洗浄が終わると、停止
スイッチを押してバルブユニット１ｃからの洗浄水の供
給が停止し、更に駆動モータ５の出力軸を逆転させてノ
ズル本体３を図１の収納状態に戻す。そして、この後供
給管７ａから再び洗浄水を送り込むと、これがクリーニ
ングチャンバ２ｂ内に納まっているノズルヘッド４の第
１噴出孔４ａから噴射される。噴射された洗浄水はクリ
ーニングチャンバ２ｂの内壁に当たって撥ね返り、ノズ
ルヘッド４の周面に沿って流れて付着した汚物等を洗い
流す。

【００２４】また、第２噴出孔４ｂを利用する場合も同
様であり、ノズル本体３のストロークを長くして洗浄位
置に設定し、洗浄後はノズルヘッド４をクリーニングチ
ャンバ２ｂの中で洗い流す。なお、クリーニングチャン
バ２ｂでのノズルヘッド４のクリーニングは、２本の供
給管７ａ，７ｂから同時に給水して第１，第２噴出孔４
ａ，４ｂから洗浄水を噴出させるようにしてもよい。

【００２５】以上のように、ノズルヘッド４のクリーニ
ングはこれをクリーニングチャンバ２ｂの中に収納した
ときに行われる。このとき、第１噴出孔４ａ又は第２噴
出孔４ｂから洗浄水がクリーニングチャンバ２ｂの内壁
に向けて噴射されるので、クリーニングチャンバ２ｂの
中で溢れた水がノズル本体３側へ流れ出ようとする。こ
れに対し、クリーニングチャンバ２ｂの内壁に設けた邪
魔板２ｃは水がノズル本体３側へ移動することを阻む。
また、第１噴出孔４ａは邪魔板２ｃの部分に向けて水を
噴射するが、邪魔板２ｃよりも後方側に到った水は封水
部２ｅの中で淀むようになり、そのまま下に流れながら
ノズルヘッド４の周面を洗い流す。なお、邪魔板２ｃを
複数個設けても同様な効果が得られることは無論であ
る。

【００２６】このように、邪魔板２ｃをクリーニングチ
ャンバ２ｂの中に設けたことから、ノズルヘッド４をク
リーニングするときの水がノズル本体３側へ流れ出るこ
とがない。このため、ノズル本体３をベース２の上に剥
き出しのまま載せてスライドさせる構造であっても、ク
リーニング用の水がケーシング１の内部に入り込むこと
がなく、駆動モータ５や他の機器に障害を与えることが
防止される。また、従来のようにパッキンを備える必要
がないので、ノズル本体３に与える摺動抵抗も小さくな
り、その動きも速やかになる。更に、パッキンを組み込
むためにクリーニングチャンバ２ｂの内周に溝を刻んだ
り、パッキンを受ける部材を新たに組み込む必要もな
く、簡単な構造でクリーニングの際の水漏れを防止する
ことができる。

【００２７】

【考案の効果】本考案では、クリーニングチャンバの内
壁に設けた邪魔板が噴出孔からの水がノズル本体の基端
側に向かうのを阻むので、水がケーシングの中等に入り
込むことが防止される。また、邪魔板がノズルヘッドの
周面に密着していなくても、その後方の空間の封水部に
水が淀むようになって下に流し落とされるので、水の流
れ込みが更に効果的に防止される。したがって、従来の
ようにパッキンを組み込む必要がなくなり、ノズル本体
の動きが速やかになるほか、クリーニングチャンバの構
造も簡単になり、部品点数や組立て工数の低減が可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のノズル装置の要部を示す右側面図であ
る。

【図２】ノズル装置の平面図である。

【図３】ノズル装置の先端部を示す左側面図である。

【図４】ノズル装置の先端部を示す正面図である。

【図５】ノズル装置への洗浄水の供給系の概略図であ
る。

【図６】ノズル装置のクリーニングチャンバ部分を示す
縦断面図である。

【図７】クリーニングチャンバの詳細を示す図であっ
て、同図の（ａ）は平面図、同図の（ｂ）は切欠側面
図、同図の（ｃ）は同図（ｂ）のＡ−Ａ線矢視による断
面図である。

【図８】衛生洗浄装置を便器に据え付けた従来例の斜視
図である。

【図９】従来例におけるノズル装置への給水系を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ ケーシング １ａ 操作部 １ｂ バルブユニット １ｃ 加熱タンク ２ ベース ２ａ スライド面 ２ｂ クリーニングチャンバ ２ｃ 邪魔板 ２ｄ 切欠 ２ｅ 封水部 ３ ノズル本体 ４ ノズルヘッド ４ａ 第１噴出孔 ４ｂ 第２噴出孔 ５ 駆動モータ ７ａ 供給管 ７ｂ 供給管

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 収納位置と洗浄位置との間を往復動作可
   能に配置したノズル本体と、該ノズル本体の収納位置に
   おいてその先端のノズルヘッドを覆うクリーニングチャ
   ンバとを備え、洗浄水を前記クリーニングチャンバの内
   部に向け噴出してノズルヘッドをクリーニングするノズ
   ル装置であって、前記クリーニングチャンバの内壁に、
   前記ノズルヘッドの少なくとも噴出孔周りを巡って突設
   した邪魔板を前記ノズルヘッドの噴出孔よりもノズル本
   体の基端側に設けたことを特徴とする衛生洗浄装置のノ
   ズル装置。