JPH0510578U - 衛生洗浄装置のノズル装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ノズルヘッドのクリーニングが十分に行える
と同時にクリーニング用の洗浄水が勢いよく外に放出さ
れることを防ぐこと。 【構成】 ノズル本体６を収納したときにノズルヘッド
６ａに開けた洗浄水噴出孔に対向するカバー９を設け、
ノズルヘッド６ａとカバー９との間にノズルヘッド６ａ
をクリーニングするための洗浄水を供給するものにおい
て、洗浄水噴出孔よりも上流部側のノズルヘッド６ａの
周面にクリーニング用の洗浄水の流路を絞る突起６ｅを
設け、この突起６ｅからカバー９の内壁に向けて洗浄水
を当てた後にノズルヘッド６ａをクリーニングする。 【効果】 勢いの強い洗浄水をノズルヘッドの周面に叩
き付けるようにして洗浄するので高い洗浄効果が得ら
れ、カバーの先端からの勢いの強い洗浄水の吹出もな
く、床や衣服等を濡らすことがない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置に係り、特に洗浄水を噴出する ノズルをセルフクリーニングする構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置は、温水化した洗浄水をノズル装置によっ て局部に向けて噴射する構造が一般的であり、その例を図６に示す。

【０００３】 図において、便器本体５０に衛生洗浄装置のケーシング１が固定され、このケ ーシング１に便座２及び便蓋３を開閉自在に取り付けている。ケーシング１の内 部には、洗浄水を加熱するタンクや乾燥のための温風ファン及び制御部が内蔵さ れ、各機能の操作はケーシング１の上面に設けた操作盤１ａによって行われる。 そして、洗浄用のノズル装置４は、図７の概略図に示すようにシリンダ５とこの シリンダ５から出没するノズル本体６とから構成されている。

【０００４】 ノズル装置４のシリンダ５には、ケーシング１に内蔵した加熱タンク１ｂ及び バルブユニット１ｃを経由して供給管１ｄが接続され、またノズル本体６は電動 モータ４ａの出力軸に機械的に連接されて進退動作する。そして、洗浄水の供給 やノズル本体６の動作は制御部１ｅによって全て制御される。

【０００５】 ノズル本体６はその先端にノズルヘッド６ａを備え、このノズルヘッド６ａに 洗浄水の噴出孔を開けたものである。洗浄動作のときはノズル本体６はその洗浄 位置まで進出して噴出孔から洗浄水を噴射し、洗浄が終われば元の収納位置に戻 る。この洗浄過程では、ノズルヘッド６ａが汚水等を被ることもあるので、従来 から１回の洗浄の開始と終了の度にノズルヘッド６ａの周りにセルフクリーニン グ用の洗浄水を送り込んで洗い流すことが行われている。

【０００６】 このようなセルフクリーニングの方法として、本出願人等が実願平２−１０１ ８４５号として出願したものがある。図８にこのセルフクリーニングのための構 造の概略図を示す。

【０００７】 ノズル本体６をその収納位置に戻したときには、図示のようにノズルヘッド６ ａがシリンダ５の先端から少し突き出るようにし、ノズル本体６の外周面をシー ルするパッキン５ａ，５ｂのうちの一方のパッキン５ｂがノズルヘッド６ａの周 面から離れる構造となっている。そして、パッキン５ａ，５ｂで囲まれた空間に セルフクリーニング用の洗浄水を送り込むと、図中の矢印に示すように洗浄水が ノズルヘッド６ａの周りを巡りながら流れ落ち、この間にノズルヘッド６ａがク リーニングされる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

ノズル装置４のセルフクリーニング機能を持つものでは、ノズル装置４を使っ た後にクリーニング用の洗浄水がシリンダ５の先端から放出される。このため、 洗浄水の勢いが強過ぎると便器本体５０のボールに当たった後に跳ね返って外に 飛び出たり、使っている人が便座２から離れていないときでは臀部を濡らしたり してしまう。したがって、セルフクリーニング用の洗浄水がシリンダ５の先端か ら放出されるときの勢いを弱める必要がある。

【０００９】 このような背景から、クリーニング用の洗浄水の流量を小さくしたり、図８の ようにノズルヘッド６ａに対してパッキン５ｂの全体が接触しないようにしてノ ズルヘッド６ａの先端側までの流路面積を大きくし、洗浄水の勢いを少し弱める 必要があった。

【００１０】 ところが、クリーニング用の洗浄水の流量を小さくすると、これに伴ってノズ ルヘッド６ａを洗い流す力も落ちてしまう。また、図８のような従来構造では、 流量は大きくできるがノズルヘッド６ａの周りを流れ落ちる洗浄水の勢いが弱い ため、十分なクリーニングの達成には障害が残る。

【００１１】 本考案において解決すべき課題は、ノズルヘッドのクリーニングが十分に行え ると同時にクリーニング用の洗浄水が勢いよく外に放出されることを防ぐことに ある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案は、内部に洗浄水供給流路を備えたノズル本体と、該ノズル本体の先端 に洗浄水噴出孔を備えたノズルヘッドと、該ノズルヘッドの少なくとも洗浄水噴 出孔に対向して形成されたカバーを備え、該カバーとノズルヘッドとの間にノズ ル洗浄用のクリーニング洗浄水がノズル先端に向けて供給される衛生洗浄装置で あって、前記ノズルヘッドの洗浄水噴出孔よりも上流部側に突起を形成してなる ことを特徴とする。

【００１３】

【作用】

クリーニング用の洗浄水の連通路をノズル本体の上面部に対応する部分にのみ 設けることによって、カバーの内部容積に比較すると流路面積が絞られる。この ため、連通路を通過するクリーニング用の洗浄水は増速され、勢いの強い流れと してカバーに送り込まれ、強力な洗浄が可能となる。一方、ノズルヘッドの基端 側の外周面には、連通路からの洗浄水をカバーの上端部の内壁側に曲げる突起を 設けているので、カバーの内壁に当たった後に跳ね返った洗浄水がノズルヘッド の表面を洗い流す。したがって、洗浄水の勢いが強くても、カバーの先端から洗 浄水が直接噴出され難くなり、勢いよく洗浄水が便器本体のボールに当たること がなくなる。

【００１４】

【実施例】

図１は本考案の要部を示すノズル装置の先端部分の縦断面図であってノズル本 体を収納した状態であり、図２はその切欠平面図、図３はノズル装置のケーシン グへの組み込みを示す要部の縦断面図である。なお、ノズル装置４への洗浄水の 供給系やケーシング１内への組み込みは従来例と同様であり、同一の部材につい ては共通の符号で指示する。

【００１５】 図において、ノズル本体６の内部は、二重管状として第１流路７ａ及び第２流 路７ｂを設ける。中心側の第１流路７ａはノズルヘッド６ａの先端側まで伸びて ビデ用の第１噴出孔６ｂに連通し、また外側の環状断面の第２流路７ｂは肛門洗 浄用の第２噴出孔６ｃに連通している。また、シリンダ５の先端にはノズル本体 ６に洗浄水を供給するための給水アダプタ８が一体に形成されている。

【００１６】 この給水アダプタ８は、ノズル本体６の周りを囲むスリーブ状であってその先 端をノズル本体６の出没のために開放し、側面には加熱タンク１ｂからの供給管 １ｄを接続している。給水アダプタ８の内周にはノズル本体６の周面をシールす る２個のパッキン５ａ，５ｂを軸線方向に間隔をおいて設け、ノズル本体６が洗 浄位置に進出したときには供給管１ｄを接続した流入口８ａを挟む空間をシール する。

【００１７】 第１流路７ａ及び第２流路７ｂへの洗浄水の供給構造は、たとえば実公平２− １１５００号公報に記載されているものと同様である。すなわち、ノズル本体６ のストロークに応じて流入口８ａに連通するように第１，第２流路７ａ，７ｂへ の連絡路をノズル本体６の側壁に開けておき、流入口８ａから給水アダプタ８に 送り込んだ洗浄水を第１流路７ａ又は第２流路７ｂの何れか一方に供給する構造 である。

【００１８】 シリンダ５の先端に設けた給水アダプタ８には、中空円筒状のカバー９を一体 に連結する。図４の（ａ）は図１のＡ−Ａ線矢視断面図であり、図４の（ｂ）に カバー９の先端部の正面図を示す。カバー９は収納位置にあるノズルヘッド６ａ の全体を包み込む軸線長さを持ち、且つノズルヘッド６ａの周面との間に環状断 面の空間ができる程度の内径を持つものである。そして、先端にはノズルヘッド ６ａの出没口９ａを開け、下面にはクリーニング用洗浄水の排水口９ｂを設けて いる。

【００１９】 一方、ノズルヘッド６ａは、その収納位置にあるときパッキン５ｂとの間に隙 間１０ができるように凹ませたスロート６ｄを上端面に設け、第１，第２噴出孔 ６ｂ，６ｃを開けた部分の上面は平坦に形成されている（図４の（ａ））。この 隙間１０は、給水アダプタ８の内部からのクリーニング用の洗浄水をカバー９の 中に導く連通路として機能するものである。そして、隙間１０はノズル本体６の 上端面部分のみにできるようにし、他の部分は図２に示すようにパッキン５ｂに よってシールされたものとする。

【００２０】 また、スロート６ｄと第２噴出孔６ｃとの間の上端面には、正面から見て円弧 状の突起６ｅを立ち上げている。この突起６ｅはスロート６ｄとパッキン５ｂと の間の隙間１０を通過してくるクリーニング用の洗浄水をカバー９の上端側の内 壁に向けて案内するものである。そして、隙間１０からの洗浄水の流速を更に上 げるために、カバー９の内壁にはスロート６ｄに対応する部分に絞りブロック９ ｃを下に向けて突き出している。

【００２１】 以上の構成において、操作盤１ａの洗浄スイッチをオンすれば、ノズル本体６ のストロークによって第１噴出孔６ｂ又は第２噴出孔６ｃから洗浄水が噴出され る。この洗浄過程の後にシリンダ５へノズル本体６が収納されて図１及び図２の 状態になったときも、給水アダプタ８には継続して洗浄水をノズルヘッド６ａの クリーニング用として送り込む。

【００２２】 給水アダプタ８からの洗浄水は、パッキン５ａ，５ｂによって区画された空間 を経由し、スロート６ｄとパッキン５ｂとの間の隙間１０からカバー９の中へ流 れ込む。したがって、洗浄水は隙間１０を通過した後には、突起６ｅと絞りブロ ック９ｃとの間を抜けるように流れ、カバー９の上端側の内壁に向かう。このと き、従来例のように洗浄水がノズル本体６の全周を連通路とする場合に比べると 、隙間１０の流路面積が絞られているので、カバー９に流れ込む洗浄水の流速を 上げることができる。

【００２３】 図５はクリーニング用の洗浄水の流れを示す概略図であり、洗浄水は突起６ｅ と絞りブロック９ｃとの間を流れるときも、流路の縮小によって増速される。そ して、この増速と同時に突起６ｅの傾斜によって、流れは図において斜め上に向 きを変え、カバー９の内壁に衝き当たる。このため、流速の大きな洗浄水はカバ ー９の内壁で勢いよくはね返り、ノズルヘッド６ａの第１，第２噴出孔６ｂ，６ ｃを開けた部分の表面を洗い流す。このとき、ノズルヘッド６ａはその全体がカ バー９によって包み込まれているので、洗浄水はカバー９の中に一時的に溜まる ようになってノズルヘッド６ａの表面に沿って流れ、排水口９ｂから便器本体５ ０のボールに流れ去る。なお、カバー９の先端部に開閉自在な蓋を設けて収納し たノズルヘッド６ａを包むようにすれば、カバー９の先端からの洗浄水の放出を 抑えることができる。

【００２４】 このように、突起６ｅによって洗浄水の流れの向きを変え、カバー９の内壁に 当てた後にノズルヘッド６ａをクリーニングするので、カバー９の先端から洗浄 水がそのまま直接流れ出難くなる。このため、洗浄水の流量を大きくしたり、隙 間１０や突起６ｅによって増速したりしても、カバー９の先端部から洗浄水が勢 いよく吹き出ることがなくなる。したがって、便器本体５０の外まで洗浄水が飛 び散って床を濡らしたり、人の衣服に染みを付けたりすることが防止される。

【００２５】 また、洗浄水の流量が小さくても、ノズルヘッド６ａの上端部のみにできる隙 間１０からカバー９の中に送り出すので、流れは先の場合と同様に増速される。 このため、カバー９の内壁から跳ね返った洗浄水の勢いは、従来例のように一種 の垂れ流しによる場合よりも高く維持される。したがって、カバー９の先端部か らの洗浄水の放出を抑えるためにクリーニング用の洗浄水の流量を絞ったとして も、ノズルヘッド６ａに対する洗浄力は依然として強く、洗浄不良を生じること はない。

【００２６】 更に、突起部６ｅと絞りブロック９ｃとの間を抜けてきた洗浄水は図５に示す ようにカバー９の内壁に対して斜めに衝き当たる。このため、カバー９の内壁か ら跳ね返る洗浄水は、ノズルヘッド６ａの上面部と角度を持つ流線となって第１ ，第２噴出孔６ｂ，６ｃ部分に降り注がれる。したがって、ノズルヘッド６ａの 表面に沿わせた流れとする場合に比べると、洗浄水がノズルヘッド６ａの上面部 に激しく当たる流れとなるので、汚水や汚物の洗浄も強力に行われる。特に、第 １，第２噴出孔６ｂ，６ｃには汚物が付着してしまうこともあるので、斜め上か ら洗浄水を当てることによって詰まっている汚物を剥ぎ取るようにして洗い流す ことができる。

【００２７】 なお、カバー９としては、ノズルヘッド６ａの第１，第２噴出孔６ｂ，６ｃに 対向した板状のものであってもよく、収納位置と洗浄位置との間の任意の位置に 固定もしくは移動可能に取り付けることができる。

【００２８】

【考案の効果】

本考案では、カバーの中に送り込む洗浄水を増速し且つカバーの上部側の内壁 に衝き当てた後に跳ね返る洗浄水によってノズルヘッドをクリーニングできる。 このため、洗浄水の勢いが強くてもカバーの先端からそのまま放出され難くなり 、洗浄水が勢いよく吹き出ることがなくなる。したがって、便器の周りの床や人 の衣服等を濡らすようなことはない。

【００２９】 また、カバーの内壁から跳ね返った洗浄水がノズルヘッドの表面に当たるよう になるので、従来のようにノズルヘッドの周面に沿って洗浄水を流し落とすよう なクリーニングに比べると、洗浄力が強くなる。このため、ノズルヘッドに開け た噴出孔に汚物等が詰まっても、これを剥ぎ取るようにして除くことができ、常 にノズルを衛生的に使うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のノズル装置の要部を示す縦断面図であ
る。

【図２】ノズル装置の一部切欠平面図である。

【図３】ノズル装置のケーシングへの組み込みを示す要
部の縦断面図である。

【図４】ノズルヘッドとカバーとを示す図であって、同
図の（ａ）は図１のＡ−Ａ線矢視位置での縦断面図、同
図の（ｂ）はノズルヘッドとカバーの先端部を示す正面
図である。

【図５】カバー内でのノズルヘッドに対するクリーニン
グ用の洗浄水の流れを示す概略図である。

【図６】便器本体に衛生洗浄装置を備えた例の斜視図で
ある。

【図７】ノズル装置への洗浄水の供給系を示す概略図で
ある。

【図８】ノズルヘッドのクリーニング構造の従来例を示
す概略図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ２ 便座 ３ 便蓋 ４ ノズル装置 ５ シリンダ ５ａ パッキン ５ｂ パッキン ６ ノズル本体 ６ａ ノズルヘッド ６ｂ 第１噴出孔 ６ｃ 第２噴出孔 ６ｄ スロート ６ｅ 突起 ７ａ 第１流路 ７ｂ 第２流路 ８ 給水アダプタ ９ カバー １０ 隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 片宗 哲博 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内 (72)考案者 平塚 保博 愛知県春日井市愛知町１番地 愛知電機株 式会社内 (72)考案者 大橋 政紀 愛知県春日井市愛知町１番地 愛知電機株 式会社内

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 内部に洗浄水供給流路を備えたノズル本
   体と、該ノズル本体の先端に洗浄水噴出孔を備えたノズ
   ルヘッドと、該ノズルヘッドの少なくとも洗浄水噴出孔
   に対向して形成されたカバーを備え、該カバーとノズル
   ヘッドとの間にノズル洗浄用のクリーニング洗浄水がノ
   ズル先端に向けて供給される衛生洗浄装置であって、前
   記ノズルヘッドの洗浄水噴出孔よりも上流部側に突起を
   形成してなることを特徴とする衛生洗浄装置のノズル装
   置。