JP2531302Y2 - 衛生洗浄装置における局部洗浄ノズル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ノズルの端部に肛門洗
浄用吐水孔とビデ洗浄用吐水孔を穿設し、該孔から適温
の湯を選択的に吐出させ局部を洗浄する構造の衛生管理
技術に係り、衛生洗浄装置における局部洗浄ノズルに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】局部を温水によって洗浄するようにした
衛生洗浄装置として、洗浄位置に出退する一本のノズル
に肛門洗浄用吐水孔とビデ洗浄用吐水孔を穿設し、水路
及び吐水位置を切り換えることにより肛門洗浄とビデ洗
浄を選択する構造の一本ノズル式の衛生洗浄装置が使用
されている。

【０００３】そして、従来よりこの種の衛生洗浄装置の
局部洗浄ノズルは、その使用に際し吐水の前後にノズル
自体の洗浄を行い、清潔性を保持するノズル洗浄機能を
具備するようになっている。即ち、該ノズル洗浄機能
は、図７（ａ）に示すように、局部洗浄ノズル５０のノ
ズルヘッド５１をノズルケース５２に収納した状態で該
ノズルケース５２に連通した給水管（図示せず）から給
水し、ノズルヘッド５１とノズルケース５２間から吐出
する洗浄水によって洗浄するもの、また（ｂ）に示すよ
うに、局部洗浄ノズル５０のノズルヘッド５１をノズル
ケース５２に収納した状態で該ノズルヘッド５１に穿設
したノズル洗浄用吐水孔５３から洗浄水を吐出させ、そ
の吐水をノズルケース５２の内壁で跳ね返らせてノズル
ヘッド５１を洗浄するもの、或は（ｃ）に示すように、
局部洗浄ノズル５０専用に洗浄吐水管５４を併設し、該
洗浄吐水管５４からの吐水によってノズルケース５２か
ら出退する局部洗浄ノズル５０のノズルヘッド５１を洗
い流す構造になっており、ノズルヘッド５１に付着した
汚物を洗い落す作用を為している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】この種の衛生洗浄装置
のノズルは、一般にノズルの進出及び後退をモータ等の
駆動によって使用者の背部方向から行っており、人体の
被洗浄位置に対応して、ビデ洗浄用吐水孔が肛門洗浄用
吐水孔より先端側に穿設してある。このため、排便後肛
門洗浄を行う場合に洗い落された汚水や汚物がノズルヘ
ッドに付着したり、或は肛門洗浄中に排便をした場合に
落下した汚物がノズルヘッドに付着するおそれがあり、
特にビデ洗浄用吐水孔は汚物が付着し易い位置にある。
そして、ビデ洗浄用吐水孔に汚物が付着した状態でビデ
洗浄を行おうとした場合、従来のノズル洗浄機能によっ
て付着物が完全に除去されない場合（ビデ洗浄用吐水孔
に侵入した汚物は残存する可能性が高い。）、或は肛門
洗浄からビデ洗浄を連続して行った場合は、女性性器を
汚物によって汚損する結果となって衛生的に好ましくな
いものであった。

【０００５】本考案は、上記問題に鑑みて創案されたも
のであり、局部洗浄ノズルの突出使用時においてノズル
ヘッドへの汚物の付着を阻止する構造になり、衛生的に
優れた衛生洗浄装置における局部洗浄ノズルを提供する
ことを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係る衛生洗浄装置における局部洗浄ノズル
は、ノズルケースに対してノズルパイプを出退自在に内
挿し、ノズル出退駆動機構により所定ストロークで出退
変位すると共に、該ノズルパイプの先端にビデ洗浄用吐
水孔とその内側に隣接して肛門洗浄用吐水孔とを穿設し
たノズルヘッドを連結固着し、両吐水孔とそれぞれ連通
する洗浄水供給水路を形成してなる局部洗浄ノズルであ
って、前記ビデ洗浄用吐水孔が、大きい口径を有する口
端に気泡発生用メッシュ部材を被着したものであり、前
記肛門洗浄用吐水孔が、複数個の小径の孔を近接するよ
うに穿設したものであり、前記ノズルヘッドが、前記ビ
デ洗浄用吐水孔と肛門洗浄用吐水孔とを隔壁によって区
画形成すると共に、該隔壁の先端部に前記肛門洗浄用吐
水孔の孔径より小さく穿設したオリフィスを介して連通
させ、該肛門洗浄吐水中にビデ洗浄用吐水孔から僅かに
吐水を行うものであることを要旨とするものである。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、ノズルヘッドにおいてビデ
洗浄用吐水孔に連通するビデ洗浄水路と肛門洗浄用吐水
孔と連通する肛門洗浄水路をオリフィスを介して連通さ
せているため、肛門洗浄吐水中にはビデ洗浄吐水孔から
も僅かに吐水するようになり、ビデ洗浄用吐水孔に汚物
や汚水が侵入することがない。このとき該ビデ洗浄用吐
水孔から吐出する洗浄水の水勢は、このビデ洗浄用吐水
孔の孔径が肛門洗浄用吐水孔の孔径より十分に大きく、
しかもオリフィスによって減圧されているため、使用者
の位置まで噴出することはなく、ノズルヘッドの表面を
流れ落ちる流水が形成され、該ノズルヘッドに落下した
汚水又は汚物は、表面を流れ落ちる流水によって形成さ
れる水膜に沿って滑り落ち、該部に付着することもな
い。従って、従来のノズルの前洗浄と後洗浄と合わせて
構成することによりクリーニング効果を向上させ、衛生
洗浄装置の衛生性を改善することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案に係る衛生洗浄装置における局
部洗浄ノズルの一実施例を図面に従って説明する。

【０００９】図面において、１は衛生洗浄装置のケース
内部に枢設したパイプ状のノズルケースであり、該ノズ
ルケース１にノズルパイプ２を内挿すると共に、図示し
ないノズル出退駆動機構によって所定のストロークＳで
摺動変位する構成になっている。このノズルパイプ２の
先端には、上面の先端側にビデ洗浄用吐水孔４とその内
側に隣接して肛門洗浄用吐水孔５を穿設したノズルヘッ
ド３を連結固着してあり、またこのノズルヘッド３は、
隔壁６によって区画したビデ洗浄用吐水孔４に連通する
ビデ洗浄水路７と、肛門洗浄用吐水孔５に連通する肛門
洗浄水路８をそれぞれ上記ノズルパイプ２に区画形成し
たビデ洗浄水路９と肛門洗浄水路１０に連通し、該両洗
浄通路９，１０の後端は、電磁切替バルブ１１を介して
温水供給部（図示せず）と接続してある。上記ビデ洗浄
用吐水孔４は、比較的大きい口径（約４ｍｍ）を有し口
端に気泡発生用メッシュ部材１２を被着すると共に、ビ
デ洗浄水路７の基端部側壁に口径が十分に小さい（約１
ｍｍ）ノズル洗浄水吐出兼用吸気小孔１３を複数個（実
施例では３個）穿設してある。一方上記肛門洗浄用吐水
孔５は、比較的小径（０．９２ｍｍ）の孔を３個近接す
ると共に、前側に１４度傾斜させて穿設してある。そし
て上記ビデ洗浄水路７と肛門洗浄水路８は、隔壁６の先
端部に穿設した小径（０．５ｍｍ）のオリフィス１４を
介して連通している。

【００１０】上記構成の局部洗浄ノズルは、肛門洗浄又
はビデ洗浄の必要に応じて洗浄選択釦を押圧すると、図
４に示すように、先ず電磁切替バルブ１１を両側に開い
て、ビデ洗浄水路７，９を経てビデ洗浄用吐水孔４とノ
ズル洗浄水吐出兼用吸気小孔１３からと、肛門洗浄水路
８，１０を経て肛門洗浄用吐水孔５から洗浄温水をノズ
ルケース１の内壁との間隙に吐出し、ノズルヘッド３の
前洗浄を行う。

【００１１】次に、ノズル出退駆動機構の作動によって
ノズルパイプ２がノズルケース１から突出し、所定のス
トロークＳで停止する。このとき電磁切替バルブ１１
は、温水供給部の通水を、「肛門洗浄」が選択されてい
ると肛門洗浄水路８に連通し、また「ビデ洗浄」が洗浄
されているとビデ洗浄水路７に連通するように作動す
る。

【００１２】従って、「ビデ洗浄」の場合（図５参照）
は、ビデ洗浄水路７，９を経た洗浄水はノズルヘッド３
のビデ洗浄用吐水孔４から気泡発生用メッシュ部材１２
を介して使用者の女性性器位置に吐出し、このとき流動
温水が外気より低圧になるため、ノズル洗浄水吐出兼用
吸気小孔１３から外気を吸引するようになり、空気と混
合した洗浄温水は気泡発生用メッシュ部材１２が通過す
るとき微細に気泡を伴う泡の噴射が得られ、ソフトな感
覚で使用することができる。

【００１３】また、「肛門洗浄」の場合（図６参照）
は、肛門洗浄水路８，１０を経た洗浄水はノズルヘッド
３の３個の比較的小径の肛門洗浄吐水孔５から噴出し、
高圧の吐出洗浄水により使用者の肛門を洗い流すと共
に、隔壁６に構成したオリフィス１４を介して該洗浄水
がビデ洗浄水路７側に流入し、ビデ洗浄用吐水孔４を介
して流出する。このとき該ビデ洗浄用吐水孔４から吐出
する洗浄水の水勢は、その孔径が肛門洗浄用吐水孔５の
孔径より十分に大きく、しかもオリフィス１４によって
減圧されているため、使用者の位置まで噴出することは
なく、ノズルヘッド３の表面を流れ落ちる流水を形成す
る。従って、該ノズルヘッド３に落下した汚水又は汚物
は、表面を流れ落ちる流水によって形成される水膜に沿
って滑り落ち、ビデ洗浄用吐水孔４に侵入することがな
いだけでなく、該部に付着することがない。

【００１４】上記肛門又はビデの洗浄終了に際して
「止」操作を行うと、洗浄水の通水を停止してノズル出
退駆動機構の作動によってノズルパイプ２をノズルケー
ス１の待機位置に後退収納させる。この収納直後、電磁
切替バルブ１１を両側に開いて、ビデ洗浄水路７，９を
経てビデ洗浄用吐水孔４とノズル洗浄水吐出兼用吸気小
孔１３からと、肛門洗浄水路８，１０を経て肛門洗浄用
吐水孔５から洗浄温水をノズルケース１の内壁との間隙
に吐出し、ノズルヘッド３の後洗浄を行う。

【００１５】こうして、衛生洗浄装置における局部洗浄
ノズルの前洗浄、洗浄使用時の汚物付着防止洗浄及び後
洗浄を行う。

【００１６】

【考案の効果】本考案に係る衛生洗浄装置における局部
洗浄ノズルは、以上のように構成したから、ノズルのビ
デ洗浄用吐水孔に連通するビデ洗浄水路と肛門洗浄用吐
水孔と連通する肛門洗浄水路をオリフィスを介して連通
させ、肛門洗浄吐水中にビデ洗浄吐水孔からも僅かに吐
水するように構成したことにより、ビデ洗浄用吐水孔に
汚物や汚水が侵入することがなく、またノズルヘッド部
に付着することもなくなり、衛生性を向上させる特徴を
有するものであり、本考案実施後の実用的効果は極めて
大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る衛生洗浄装置における局部洗浄ノ
ズルの一実施例を示す衛生洗浄装置の要部側断面図であ
る。

【図２】局部洗浄ノズルの平面図である。

【図３】図１におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。

【図４】ノズルの前洗浄又は後洗浄を示す説明図であ
る。

【図５】ビデ洗浄を示す説明図である。

【図６】肛門洗浄を示す説明図である。

【図７】（ａ）（ｂ）（ｃ）それぞれ従来のノズル洗浄
機構を示す要部断面図である。

【符号の説明】

１ ノズルケース ２ ノズルパイプ ３ ノズルヘッド ４ ビデ洗浄用吐水孔 ５ 肛門洗浄用吐水孔 ６ 隔壁 ７，９ ビデ洗浄水路 ８，１０ 肛門洗浄水路 １１ 電磁切替バルブ １２ 気泡発生用メッシュ部材 １３ ノズル洗浄水吐出兼用吸気小孔 １４ オリフィス

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ノズルケースに対してノズルパイプを出
   退自在に内挿し、ノズル出退駆動機構により所定ストロ
   ークで出退変位すると共に、該ノズルパイプの先端にビ
   デ洗浄用吐水孔とその内側に隣接して肛門洗浄用吐水孔
   とを穿設したノズルヘッドを連結固着し、両吐水孔とそ
   れぞれ連通する洗浄水供給水路を形成してなる局部洗浄
   ノズルであって、 前記ビデ洗浄用吐水孔が、大きい口径を有する口端に気
   泡発生用メッシュ部材を被着したものであり、 前記肛門洗浄用吐水孔が、複数個の小径の孔を近接する
   ように穿設したものであり、 前記ノズルヘッドが、前記ビデ洗浄用吐水孔と肛門洗浄
   用吐水孔とを隔壁によって区画形成すると共に、該隔壁
   の先端部に前記肛門洗浄用吐水孔の孔径より小さく穿設
   したオリフィスを介して連通させ、 該肛門洗浄吐水中に
   ビデ洗浄用吐水孔から僅かに吐水を行うものであること
   を特徴とする衛生洗浄装置における局部洗浄ノズル。