JP2786944B2 - 衛生洗浄装置のノズル装置の駆動方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、局部洗浄機能を備えた
衛生洗浄装置に係り、特に洗浄水を噴出するノズルのセ
ルフクリーニングの方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置は、
温水化した洗浄水をノズル装置によって局部に向けて噴
射する構造が一般的であり、その例を図１０に示す。

【０００３】図において、便器本体５０に衛生洗浄装置
のケーシング１が固定され、このケーシング１に便座６
０及び便蓋６１を開閉自在に取り付けている。ケーシン
グ１の内部には、洗浄水を加熱するタンクや乾燥のため
の温風ファン及び制御部が内蔵され、各機能の操作はケ
ーシング１の上面に設けた操作部１ａによって行われ
る。そして、洗浄用のノズル装置５１は、図１１の概略
図に示すようにシリンダ５２とこのシリンダ５２から出
没するノズル本体５３とから構成されている。

【０００４】ノズル装置５１のシリンダ５２には、ケー
シング１に内蔵したバルブユニット１ｂ，加熱タンク１
ｃ，三方切替電磁弁１ｄを経由して供給管１ｆ及び洗浄
管１ｇが接続され、またノズル本体５３は電動モータ５
４の出力軸に機械的に連接されて進退動作する。そし
て、洗浄水の供給やノズル本体５３の動作は制御部１ｅ
によって全て制御される。

【０００５】ノズル本体５３は電動モータ５４によって
洗浄位置まで進出し、洗浄水を先端のノズルヘッド５３
ａから噴出して局部を洗浄する。そして、このような洗
浄過程の際にノズルヘッド５３ａに汚物等が付着した場
合にこれを自動的に取り除くため、ノズルヘッド５３ａ
に洗浄水を浴びせかけてクリーニングする機構が設けら
れる。

【０００６】このクリーニング機構には各種のものが採
用されているが、図１１に示すように三方切替電磁弁１
ｄから洗浄管１ｇを分岐させ、その先端にクリーニング
ヘッド１ｈを設けたものがある。クリーニングヘッド１
ｈには、ノズル本体５３が洗浄位置から戻ってシリンダ
５２に収納された後バルブユニット１ｂを制御部１ｅに
より制御して或る一定時間洗浄水が供給され、ノズルヘ
ッド５３ａの周面を洗い流す。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】便器に備え付けて使用
する衛生洗浄装置では、肛門洗浄用とビデ用とに使える
ように少なくとも２つの洗浄位置を持たせることが必要
である。すなわち、１本のノズル本体５３の場合では、
そのストロークによって洗浄位置を設定し、肛門洗浄の
位置に対してビデ用の洗浄位置は少し長くなっている。

【０００８】図１２はノズル本体５３の動作を示す概略
図であり、同図の（ａ）の収納位置からノズル本体５３
が同図（ｂ）の肛門洗浄位置に進出し、ノズルヘッド５
３ａから洗浄水が噴出されている。そして、前述のよう
に洗浄過程を終了してノズル本体５３がシリンダ５２に
収納されると、クリーニングヘッド１ｈから洗浄水がノ
ズルヘッド５３ａに浴びせられてクリーニングする。こ
のようなクリーニングは、同図（ｂ）の一点鎖線で示す
ようにノズルヘッド５３ａがビデ用の位置まで進出し、
洗浄後にシリンダ５２に戻ったときも同様に行われる。

【０００９】ところが、ノズル本体５３を図１２の
（ｄ）のように肛門洗浄位置に設定して使用した後にビ
デとして使いたいとき、操作部１ａのスイッチを押す
と、同図（ｅ）のようにノズル本体５３は肛門洗浄位置
からそのまま前進してビデ位置に設定される。このた
め、最初からビデ用として使う場合では、前回の洗浄終
了後にクリーニングされたノズルヘッド５３ａが進出す
るが、肛門洗浄からビデ用に切り換えたときにはノズル
ヘッド５３ａはクリーニングされないまま使うことにな
る。また、このことは、ビデ用として使った後に肛門洗
浄に切り換える場合も同様であり、ノズルヘッド５３ａ
は図１２の（ｅ）の状態から同図の（ｄ）に戻るだけで
クリーニングされない。

【００１０】このように、ノズル本体５３を進出させて
おいて洗浄位置を切り換えると、ノズルヘッド５３ａを
クリーニングしないまま使うことになる。したがって、
汚物や汚水等が付着したまま洗浄水がノズルヘッド５３
ａから噴出され、使う人に不快感を与えるほか衛生面で
も好ましくない。

【００１１】本発明が解決すべき課題は、ノズル本体の
洗浄位置を切り換えて使うときでも常にノズルヘッドを
清潔にし衛生的な洗浄が行えるようにすることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、１本のノズル
本体に少なくとも２系統の洗浄水の流路を設けると共に
先端にこれらの流路に接続した噴出孔を設け、前記ノズ
ル本体を収納位置から異なる２以上の洗浄位置に設定可
能とし、更に収納後に前記噴出孔部分のノズル本体をク
リーニングする機構を備えた衛生洗浄装置において、一
つの系統による洗浄位置に前記ノズル本体を進出さた
後、別の系統の洗浄位置に切り換えるとき、前記ノズル
本体を一旦収納側に後退させてクリーニングした後、切
り換え後の洗浄位置に進出させることを特徴とする。

【００１３】

【作用】ノズル本体を収納位置から洗浄位置まで進出さ
せると、ノズル先端の噴出孔から洗浄水が噴射されて局
部洗浄を行う。そして、この洗浄位置から別の第２の洗
浄位置に切り換えるときには、ノズル本体はこの第２の
洗浄位置には向かわずに一旦収納位置に後退する。そし
て、収納位置でノズル先端部分にクリーニング用の洗浄
水を供給してその周面を洗い流し、この後ノズル本体を
第２の洗浄位置まで進出させて局部洗浄を行う。

【００１４】たとえば、肛門洗浄をしているとき又は終
了したときにビデに切り換えるときには、ノズル本体は
収納位置でクリーニングされてビデ位置に進出する。こ
のため、肛門洗浄時に付着する恐れのある汚物や汚水等
は洗い流された後にビデとして使える。また、ビデから
肛門洗浄に切り換える場合でも、ノズル本体の噴出孔部
分はクリーニングされて肛門洗浄位置に向かう。

【００１５】このように、必要とする洗浄形態に切り換
えるときには、前に使用していたときの汚物等を除いて
新たな洗浄位置にノズル本体が設定され、衛生的に使え
るようになる。

【００１６】

【実施例】図１は本発明の局部洗浄方法を実施するため
に用いた衛生洗浄装置の要部左側面図、図２は洗浄用の
ノズルの駆動系を示すための右側面図、図３は平面図、
図４は正面図である。

【００１７】衛生洗浄装置は図１０に示したようにケー
シング１の中に収納されて便器本体５０に固定され、ケ
ーシング１の内部には図５に示す洗浄水の供給系が設け
られる。これは、図１１で示したものと同様に、開閉弁
及び流量調整弁機能を持つバルブユニット１ｂ，加熱タ
ンク１ｃ及び制御部１ｅを備え、加熱タンク１ｃと後述
するノズル装置との間には流量調整切替ユニット２０を
組み込んでいる。この流量調整切替ユニット２０は、加
熱タンク１ｃからの流入部と二つの流出部を備えたもの
で、これらの流出部への流路を別々に開閉する開閉弁機
構とそれぞれの流量を調整可能な流量調整弁とを組み込
んだ構成を持ち、一般的な水周り機器の流路系に利用さ
れているものである。そして、ノズル装置の駆動や洗浄
位置の設定及び加熱タンク１ｃの温水温度の設定等及び
バルブユニット１ｂや流量調整切替ユニット２０の操作
はケーシング１に備えた操作部１ａによって行う。

【００１８】図１〜図４に示すように、ケーシング１の
内部にはノズル装置のベース２が固定され、このベース
２にノズル本体３がその軸線方向に移動可能に組み込ま
れている。ベース２は、パイプ状のノズル本体３の下面
を受ける凹曲面状のスライド面２ａを形成したもので、
先端にはノズル本体３のノズルヘッド４を洗うためのク
リーニングチャンバ２ｂを設けている。また、ベース２
の基端側には駆動モータ５が固定されその出力軸には駆
動プーリ５ａを設けている。そして、この駆動プーリ５
ａにはタイミングベルト６を巻き付け、ベース２に設け
た２個のプーリ５ｂ，５ｃ及びテンションプーリ５ｄに
このタイミングベルト６を掛け回している。

【００１９】ノズル本体３は、図６に示すように内部に
二つの流路を形成し、一方を肛門洗浄用として使う第１
流路３ａとし、他方をビデ用の第２流路３ｂとしてい
る。そして、流量調整切替ユニット２０からの２本の供
給管７ａ，７ｂを接続するジョイント３ｃ，３ｄをこれ
らの第１，第２流路３ａ，３ｂの基端部から側方に突き
出している。そして、ノズル本体３の基端の周面にはタ
イミングベルト６を掴むクランプ３ｅを設け、タイミン
グベルト６の走行に伴ってノズル本体３を移動させる。
なお、このノズル本体３の動きに追従させるため、供給
管７ａ，７ｂは可撓性のものを用いる。

【００２０】ノズルヘッド４は、ノズル本体３を図１の
ように収納したときに、クリーニングチャンバ２ｂの中
に納まる軸線長さを持つ。そして、内部は２室に別れ、
一方はノズル本体３の第１流路３ａに連通して上面に肛
門洗浄用の第１噴出孔４ａを開け、他方は第２流路３ｂ
に連通して上面にビデ用として使う第２噴出孔４ｂを設
けている。

【００２１】第１噴出孔４ａを使うときは、駆動モータ
５の出力軸の回転量が制御部１ｅによって設定され、流
量調整切替ユニット２０からの洗浄水も供給管７ａ側の
みに切り換えられる。また、第２噴出孔４ｂによる場合
も同様にノズル本体３のストロークが大きく設定され、
洗浄水の供給も供給管７ｂ側に切り換わる。

【００２２】以上の構成において、操作部１ａの肛門洗
浄スイッチをオンさせると、駆動モータ５によって駆動
プーリ５ａが回転してタイミングベルト６を走行させ、
所定のストロークまでノズル本体３を進出させる。この
後、供給管７ａから洗浄水を送り込むと、第１流路３ａ
からノズルヘッド４に流れ込み、肛門洗浄用の第１噴出
孔４ａから洗浄水が噴射される。洗浄が終わると、停止
スイッチを押してバルブユニット１ｃからの洗浄水の供
給が停止し、更に駆動モータ５の出力軸を逆転させてノ
ズル本体３を図１の収納状態に戻す。そして、この後供
給管７ａから再び洗浄水を送り込むと、これがクリーニ
ングチャンバ２ｂ内に納まっているノズルヘッド４の第
１噴出孔４ａから噴射される。噴射された洗浄水はクリ
ーニングチャンバ２ｂの内壁に当たって撥ね返り、ノズ
ルヘッド４の周面に沿って流れて付着した汚物等を洗い
流す。

【００２３】また、第２噴出孔４ｂを利用する場合も同
様であり、ノズル本体３のストロークを長くして洗浄位
置に設定し、洗浄後はノズルヘッド４をクリーニングチ
ャンバ２ｂの中で洗い流す。なお、クリーニングチャン
バ２ｂでのノズルヘッド４のクリーニングは、２本の供
給管７ａ，７ｂから同時に給水して第１，第２噴出孔４
ａ，４ｂから洗浄水を噴出させるようにしてもよい。

【００２４】図７は局部洗浄過程からノズルヘッド４の
クリーニングまでを示す概略図であり、肛門洗浄及びビ
デとして使った後にノズル本体３を収納位置に戻せば、
ノズルヘッド４はクリーニングされて次の使用まで待機
させておくことができる。すなわち、図７の（ａ）では
ノズル本体３は収納位置にあり、同図の（ｂ）では洗浄
位置にあり、そして同図の（ｃ）では収納位置に戻って
ノズルヘッド４がクリーニングされている。

【００２５】図８は本発明のクリーニング方法を示す図
であって、肛門洗浄からビデに切り換えた場合のノズル
本体３の動きを示す。

【００２６】同図８の（ａ）は肛門洗浄位置にノズル本
体３があってノズルヘッド４から洗浄水を噴出している
状態であり、操作部１ａのビデスイッチを押すとバルブ
ユニット１ｂの中の開閉弁部が閉じて供給管７ａからの
洗浄水の供給が停止する（同図の（ｂ））。次いで、駆
動モータ５の出力軸は逆回転してノズル本体３をビデ洗
浄位置には向かわせずに一旦ベース２側に収納する。そ
して、流量調整切替ユニット２０からの流路を供給管７
ｂ側に切り換えるとともにバルブユニット１ｂの開閉弁
部を開いて洗浄水を噴出させ、クリーニングチャンバ２
ｂの中でノズルヘッド４を洗い流す。クリーニングを或
る一定時間行ったら洗浄水の供給を一時停止し（同図の
（ｄ））、駆動モータ５を作動してノズル本体３をビデ
用の洗浄位置まで繰り出す。そして、供給管７ｂから再
び洗浄水を送り込むと、第２流路３ｂを経由して第２噴
出孔４ｂから洗浄水が噴射される。

【００２７】また、ビデとして使っているときに肛門洗
浄に切り換える場合も同様で、一旦ノズル本体３をベー
ス２側に収納してノズルヘッド４をクリーニングし、そ
の後肛門洗浄位置にノズル本体３を進出させる。このと
きのノズル本体３の動きは、図１２の（ｅ）〜（ａ）の
順に相当する。そして、肛門洗浄からビデへ又はその逆
の場合のいずれでも、切り換えた後の洗浄位置での洗浄
が終了して停止スイッチを押せば、ノズル本体３はベー
ス２側に収納されてノズルヘッド４がクリーニングさ
れ、次の使用に備えることになる。

【００２８】以上のようなノズル本体３の動き及びバル
ブユニット１ｂと流量調整切替ユニット２０からの洗浄
水の供給，停止，供給管７ａ，７ｂの切り換え等は、操
作部１ａのスイッチによって行われる。図９はこれらの
動作を行わせるためのフローチャートを示すものであ
る。

【００２９】

【発明の効果】本発明では、ノズル本体を一つの洗浄位
置から別の洗浄位置に移動させて洗浄形態を切り換える
とき、一旦ノズル本体をその収納位置に戻してノズルヘ
ッドをクリーニングし、切り換えた側の洗浄位置に移動
させている。このため、使用中に洗浄位置を切り換えた
とき、ノズル本体がそのまま切り換え側に移動せず、ノ
ズルヘッドを清潔にして洗浄位置に送り出せる。したが
って、切り換える前の洗浄のときに汚物等が付着して
も、これを洗い流して使うことができ、不快感を使用す
る人に与えることがなく、常に衛生的に使える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法に実施した衛生洗浄装置のノズル
装置の要部を示す左側面図である。

【図２】ノズル装置の駆動系を示すためのノズル装置の
右側面図である。

【図３】ノズル装置の平面図である。

【図４】ノズル装置の正面図である。

【図５】洗浄水の供給系の概略図である。

【図６】クリーニングチャンバ部分を示すノズル装置の
縦断面図である。

【図７】肛門洗浄時のノズル本体の動きを示す概略図で
ある。

【図８】肛門洗浄からビデに切り換えたときのノズル本
体の動きを順に示す図である。

【図９】ノズル本体の動作を制御する系のフローチャー
トである。

【図１０】衛生洗浄装置を便器に据え付けた例の斜視図
である。

【図１１】従来例におけるノズル装置への給水系を示す
概略図である。

【図１２】従来の衛生洗浄装置におけるノズル本体の動
きを示す概略図である。

【符号の説明】

１ ケーシング １ａ 操作部 １ｂ バルブユニット １ｃ 加熱タンク ２ｂ クリーニングチャンバ ３ ノズル本体 ４ ノズルヘッド ４ａ 第１噴出孔 ４ｂ 第２噴出孔 ５ 駆動モータ ７ａ 供給管 ７ｂ 供給管 ２０ 流量調整切替ユニット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁木 滋 横浜市戸塚区前田町100番地小糸工業株 式会社内 (72)発明者 小林 俊夫 横浜市戸塚区前田町100番地小糸工業株 式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03D 9/00 - 9/16

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １本のノズル本体に少なくとも２系統の
   洗浄水の流路を設けると共に先端にこれらの流路に接続
   した噴出孔を設け、前記ノズル本体を収納位置から異な
   る２以上の洗浄位置に設定可能とし、更に収納後に前記
   噴出孔部分のノズル本体をクリーニングする機構を備え
   た衛生洗浄装置において、一つの系統による洗浄位置に
   前記ノズル本体を進出させた後、別の系統の洗浄位置に
   切り換えるとき、前記ノズル本体を一旦収納側に後退さ
   せてクリーニングした後、切り換え後の洗浄位置に進出
   させることを特徴とする衛生洗浄装置のノズル装置の駆
   動方法。