JP2525582B2 - 結束方法およびその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は結束時に結束テープから結束物へ締め付け力
等の力ができる限り作用しないようにする結束方法およ
びその装置に関するものである。

（従来の技術） 野菜や文房具等の種々の品物を束ねて、その周囲に粘
着テープを巻回し、結束する装置は、たとえば、第５図
で示すように、手動式結束装置１の基台２にテープ繰出
・巻戻装置３を内蔵した枠体４と結束物載置台５とテー
プ保持装置６を配設し、枠体４には結束アーム７とテー
プリール８を軸支し、結束アーム７とテープリール８の
間をアーム側歯車９、中間歯車10、およびリール側歯車
11によつて回転駆動可能に接続してテープ繰出・巻戻装
置３を形成し、結束アーム７の軸支側と反対側の端部に
は把手12を設けるとともに、テープ圧着・切断装置13を
把手直近の端部に内蔵し、結束アーム７の適当箇所には
テープ案内ローラ14,15を軸支して、テープリール８か
ら結束アーム７を介してテープ保持装置６へテープ16を
一定の張力で張り渡すことができるようにしている。

この結束装置１では、テープリール８に巻回テープ17
を嵌着し、テープ先端を巻回テープ17から引き倒して粘
着面側を外方にしてテープ案内ローラ14,15に掛け渡
し、さらにテープ保持装置６にテープ先端を掛止させて
テープ16を所定のルートに掛け渡した後、結束物Ａをテ
ープ16へ押し付けるようにして結束物載置台５の上に置
き、把手12を持つて結束アーム７を回動し、テープ圧着
切断装置13をテープ保持装置６へ当接し、結束物Ａにテ
ープ16を巻回してテープ16を切断し、結束物Ａをテープ
16により結束する。

（発明が解決しようとする問題点） 上記従来の結束装置では、結束時における結束アーム
７の回動に対応してアーム側歯車９が回動し、中間歯車
10を介してリール側歯車11を回動させてテープリール８
を逆回転させることにより、常にテープ16を緊張させる
ようにテープ16に張力が加えられるため、テープ16の張
力が結束物Ａに対して加えられて結束物Ａを締め付ける
ように作用している。従つて、結束物Ａがきわめて弱い
力で破損するような品物の場合には、テープ16の張力が
加えられたことにより破損し、結束作業時の不良品発生
率が高くなるという問題点があり、自動結束装置の場合
であつても原理的には手動式の場合と同じであり同様の
問題点があつた。

本発明の目的は、結束物に巻き付けるテープを、結束
物からテープ保持装置までの長さが結束物の外面の伸開
線になるような巻き付けを、テープ保持装置側を作動さ
せることによつて行ない、テープ張力を結束物側に作用
させずに結束し、上記問題点を解決した結束方法および
その装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記問題点を解決するための結束方法とし
て、テープ端をテープ保持装置で把持し、テープ圧着．
切断装置との間に引き出されたテープで結束物を結束す
る結束装置において、該結束物外面に対する包絡線の略
伸開線に沿って前記テープ保持装置を動作させることに
より、テープを引き出さないようにして、前記結束物外
面からテープ保持装置まで張り渡されたテープを結束物
外面に巻き付けることを特徴とする。

そして、上記結束方法を実施するための装置として、
テープ保持装置を回転ブラケットに取り付け、該回転ブ
ラケットの回転中心を結束物に対してテープ端接着位置
と反対側の位置に偏心させ、該回転中心を中心として回
転するブラケットの回転に伴ってテープ保持装置を結束
物外面に対する包絡線の略伸開線に沿って移動すること
を特徴とする。

（作用） 本発明は上記構成により、結束物外面に対する包絡線
の略伸開線に沿ってテープ保持装置を動作させることに
より、テープを引き出さないようにして、前記結束物外
面からテープ保持装置まで張り渡されたテープを結束物
外面に巻き付けるので、結束物にテープの張力をかけな
いようにして結束することができる。

そして、テープ保持装置を取り付けた回転ブラケット
の回転中心を、ブラケットの回転に伴ってテープ保持装
置を結束物外面に対する包絡線の略伸開線に沿って移動
するように、結束物に対してテープ端接着位置と反対側
の位置に偏心させたので、ブラケットを回転させた時に
結束物外面からテープ保持装置まで張り渡されたテープ
を、結束物外面に対する包絡線の略伸開線に沿って、結
束物にテープを巻き付けることができ、テープを引き出
さないようにして、結束物を結束することができる。

（実施例） 以下、本発明の図示例を説明する。

第１図で示すように、結束装置20は直径数拾ミクロン
の硬質プラスチック製パイプ材を重ねた結束物21の下方
にテープ保持装置22を横向きにして回動自在に配設し、
結束物21の上方にテープ圧着・切断装置23をテープ保持
装置22が巻回後に位置する結束位置まで摺動自在に配設
して、結束物21の結束時にはテープ24の端部を保持した
テープ保持装置22を、結束物21からテープ保持装置22ま
で張り渡したテープ24aが垂まない位置、すなわち、結
束物21の外面の包絡線（図中では円）21aの伸開線に近
似した円弧25上をその円弧25の中心Ｏを回動中心として
回動しつつ、テープ保持装置22の向きをテープ圧着・切
断装置23とテープ24を圧着できる向きに変え、テープ保
持装置22の回動に従つてテープ圧着・切断装置23をテー
プ保持装置22側へ移動させて、結束物21の外周へテープ
24を巻回し、テープ24が周回したところでテープ同士を
圧着し、切断することによつて結束する。

この結束時において、テープ保持装置22がテープ圧着
・切断装置23とテープ24を圧着するまで、テープ24aを
できる限り結束物21に貼り付く方向へ向けて空気を送気
するために、フレキシブルチユーブ付空気吹出装置22a
をテープ保持装置22のテープ張り渡し側の側面に配設す
ると、一層、テープ24aの貼着が結束物21に密着し、結
束状態が良好な状態で結束できる。

この結束方法を実施する結束装置20は、第２図乃至第
４図で示すように、基礎部材31に複数の柱部材32および
複数の溝形柱部材33を同一高さに立設し、その両柱部材
32,33の上に板材34を掛け渡して装置本体35を形成し、
基礎部材31の上にロータリーアクチユエータ36を固定す
る取付台37を設け、取付台37と離れておりロータリーア
クチユエータ36の軸方向に並べた摺動台38を配設し、摺
動台38の上に結束物21を載せる結束物受け台39を摺動自
在に載置し、結束物受け台39の端面から突出する結束物
21の端部のテープ巻回位置に合わせた下方には回転中心
となるロータリアクチユエータ36の回転軸接続部40aと
テープ保持装置22の取付部40bを離すように形成した回
転ブラケツト40をテープ保持装置22を横置きになるよう
な向きにして回転中心との相対位置が調整可能に配設す
るとともに、上方にはエアシリンダ41により直進駆動さ
れるテープ圧着・切断装置23を結束物21側へ摺動自在に
取り付けるガイドレール42を配設し、さらに板材34のテ
ープ保持装置22を取り付けた回転ブラケツト40の直上位
置にはテープ繰出・巻戻装置43を載置し、固定する。

ロータリアクチユエータ36は取付台37にケース側を固
定し、軸部材43を同軸的に外嵌した回転軸36a側をベア
リング44で支持する。軸部材43の回転軸嵌合側と反対側
に位置する端部には回転ブラケツト40の取付部40aを嵌
合し、回転軸36aの回動とともにテープ保持装置22の取
付部40bを結束物21の周りを周回させることができるよ
うにする。また、このベアリング44で支持された回転軸
側の軸芯は結束物21を巻回したテープ24の端部を接着す
る位置と反対側の位置に偏心させて、回転軸回りに回動
する回転ブラケツト40のテープ保持装置22の取付部40b
がテープ24を巻き付ける方向へ回動する場合に、結束物
21の外面の包絡線21aに対する伸開線の一部を近似する
円弧上を動き、テープ24を巻き付けるに従い、テープ保
持装置22を結束物21側へ近接させるようにする。

結束物受け台39は、結束物21の長さに対してテープ24
を巻き付ける端部にテープ幅と結束物21を結束物受け台
39に載置する時の位置のずれを考慮した長さを差し引い
た長さにして、ロータリーアクチユエータ36の軸方向に
結束物受け台39の長手方向を合わせて摺動台38に取り付
ける。結束物受け台39の側面形状は上方に拡幅して開口
する略Ｕ字形の溝39aを設け、その溝39aの底部を半円形
にして複数の極細パイプ材の外面を束ねた場合における
最小の包絡線21aを形成する。

ガイドレール42に取り付けられるテープ圧着・切断装
置23を動作させるエアシリンダ41は、溝形柱部材33に掛
け渡された板材44の中央部に設けられた支持部材45に取
り付けられ、ガイドレール42に摺動自在に嵌合された摺
動部材46に掛け渡された支持板47の中央部にエアシリン
ダ41のシリンダロツド41aを取り付けて、シリンダロツ
トから伝達される駆動力を均等に摺動部材46に伝えられ
るようにする。結束物端部のテープ巻回位置、すなわち
回転ブラケツト40の配設位置の直上に位置する支持板47
の位置にはテープ圧着・切断装置23を取り付け、ガイド
レール42に沿つて結束物21側へ下降することができるよ
うにする。

回転ブラケツト40の真上位置に配置されるテープ繰出
・巻戻装置43は、テープリール50をテープ巻戻し側へ回
転させるクラツチ付モータ51とばね式ブレーキ52をテー
プリール50に直結し、クラツチ付モータ51によりテープ
リール50をテープ巻戻し側へ回転させて、テープ24に一
定の張力を与えておき、テープ繰り出しにはばね式ブレ
ーキ52が作用して緩みなくテープ24を繰り出せるように
する。

この他に、結束物21が結束作業中に形がくずれないよ
うに押える押え装置55を結束物受け台39の真上に押え部
材56が位置するように設ける。押え部材56はウレタンフ
オームのような軟質弾性体で形成し、シリンダ駆動の回
動アーム７の先端部に取り付ける。

このような構成の結束装置20を用いると、まずテープ
リール50から繰り出したテープ24の先端部をテープ保持
装置22に挾持させてテープ24を所定の位置に張り渡し、
結束すべき所定量の極細パイプ材からなる結束物21を結
束物受け台39の溝39aに入れてから摺動台38上を摺動さ
せて結束位置まで結束物受け台39を移動させ、結束物受
け台39が結束位置に到達したところで押え装置55を作動
させて回動アーム57を結束物21側へ先端を回動させ、押
え部材56により結束物21をソフトに押える。結束物21の
位置が確定した後、ロータリアクチユエータ36とエアシ
リンダ41を作動させ、ロータリアクチユエータ36の回転
軸の動きに従つて回転ブラケツト40を回動させてテープ
24の結束物21からテープ保持装置22まで張り渡されたテ
ープ24aを結束物21のテープ巻き付け部下側に巻き付け
るとともに、エアシリンダ41のシリンダロツド41aの伸
長に従つてテープ圧着切断装置23を下降させてテープ24
を結束物21のテープ巻き付け部上側に巻き付けた位置で
テープ保持装置22とテープ圧着・切断装置の各当接端を
当接させてテープ24の粘着面同士を圧着し、所定の位置
で切断する。この一連の動作によつてテープ24が結束物
21の外面に対してずれを生じさせることなく巻回させて
テープ側から不要な力を作用させずに巻き付けられる。

このように本実施例では、テープ24の巻回に際し、テ
ープ24を下方から持ち上げる方向に巻回する部分につい
ては、回転ブラケツト40に取り付けられたテープ保持装
置22の動作が、常に結束物21の外面包絡線に対する伸開
線に近似した円弧に従つて回転すことによつて、テープ
24と結束物21との間でずれがなく、テープ２と結束物21
との間に生じるずれにより結束物21へテープ24側から張
力が作用することが防止できて、結束物が破損すること
を防ぐ、これにより結束作業における不良品発生率が低
減でき、生産性が向上する。

上記実施例では、結束物21に対してテープ巻回位置が
一箇所であるような記載になつているが、これに限定さ
れることはなく、溝形柱部材33の立設個数が複数個でガ
イドレール42に掛け渡された支持板47に配設するテープ
圧着・切断装置23とそれに対応する回動ブラケツト40に
取り付けられるテープ保持装置、ロータリアクチユエー
タ36を複数個に増設することは容易にできる。

（発明の効果） 以上のように本発明は、結束物外面に対する包絡線の
略伸開線に沿ってテープ保持装置を移動させ、テープを
引き出さないようにして、結束物外面からテープ保持装
置まで張り渡されたテープを、結束物外面に対する包絡
線の略伸開線に沿って結束物外面に巻き付け、結束物に
テープ側から力を加えないようにしてテープを巻き付け
るようにしたことにより、結束物に不要な外力を作用さ
せて結束物を破損させることが防止でき、結束作業にお
ける不良品発生率を低減でき、生産性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による結束方法を示す側面説明図、 第２図は本発明による結束装置を示す側面図、 第３図は本発明によるテープ保持機構を示す部分縦断面
正面図、 第４図は本発明によるテープ圧着・切断装置とその移動
用ガイドレールを示す部分正面図、 第５図は従来の手動式結束装置を示す側面図。 20……結束装置、21……結束物、21a……結束物外面の
包絡線、22……テープ保持装置、23……テープ圧着・切
断装置、24……テープ、24a……結束物外面からテープ
保持装置まで張り渡されたテープ、25……伸開線の近似
円弧、36……ロータリアクチユエータ、39……結束物受
け台、40……回転ブラケツト、41……エアシリンダ、42
……ガイドレール、43……テープ繰出・巻戻装置、51…
…クラツチ付モータ、52……ばね式ブレーキ、Ｏ……回
転中心

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テープ端をテープ保持装置で把持し、テー
   プ圧着．切断装置との間に引き出されたテープで結束物
   を結束する結束装置において、該結束物外面に対する包
   絡線の略伸開線に沿って前記テープ保持装置を動作させ
   ることにより、テープを引き出さないようにして、前記
   結束物外面からテープ保持装置まで張り渡されたテープ
   を結束物外面に巻き付けることを特徴とする結束方法。
2. 【請求項２】テープ保持装置を回転ブラケットに取り付
   け、該回転ブラケットの回転中心を結束物に対してテー
   プ端接着位置と反対側の位置に偏心させ、該回転中心を
   中心として回転するブラケットの回転に伴ってテープ保
   持装置を結束物外面に対する包絡線の略伸開線に沿って
   移動することを特徴とする結束装置。