JP2525098Y2 - ミシンの糸切り装置 - Google Patents

ミシンの糸切り装置

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JP2525098Y2
JP2525098Y2 JP1988137558U JP13755888U JP2525098Y2 JP 2525098 Y2 JP2525098 Y2 JP 2525098Y2 JP 1988137558 U JP1988137558 U JP 1988137558U JP 13755888 U JP13755888 U JP 13755888U JP 2525098 Y2 JP2525098 Y2 JP 2525098Y2
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秀一 佐藤
禎美 古口
芳晴 小林
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シンガー日鋼 株式会社
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    • D05BSEWING
    • D05B65/00Devices for severing the needle or lower thread
    • D05B65/02Devices for severing the needle or lower thread controlled by the sewing mechanisms

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  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ミシンのベツドの下方に備えられる糸切
り装置に関するものである。
〔従来の技術及びその課題〕
従来のこの種の糸切り装置は、縫製終了後に、針が縫
製布表面から上昇した上停止位置に向かう間に、縫製布
の下方つまり縫製布が載置された針板と釜との間におい
て、上糸及び下糸からなる縫糸をナイフによつて切断す
る装置であり、この装置を備えるミシンは糸切りミシン
と称されている。このような従来の糸切り装置にあつて
は、第1針目より適正な縫い目を形成するために、縫製
完了後、縫製布の下面にできるだけ近い針板下方におい
て上・下糸を切断し、充分な長さの上・下糸をミシン側
に残すことが理想である。また、針板にできるだけ近い
箇所において上・下糸を切断することにより、縫製布に
残る上・下糸の糸端も短くなり、縫製布から糸端を除く
後加工も不要になる。
しかしながら、一般にミシンにあつては、針板と釜と
の間の隙間は非常に小さく、これに対して糸切り装置は
その機構が複雑且つ大形であり、縫製布に近い理想的な
箇所で上・下糸を切断することが困難であつた。
例えば、特開昭58−41597号に開示されているミシン
の糸切り装置は、上記した問題点を解決するためになさ
れ、糸切り装置の作動時に、釜と針板との隙間を増加さ
せるようにし、かつ電磁ソレノイドによる直線運動を回
動運動に変換するリンク機構を介して、糸切りナイフ等
を駆動するものではあるが、糸切りナイフの作動は、電
磁ソレノイドのみによつて行われ、ミシンの作動とは機
械的に独立して行われる構造であるため、その作動時期
の精度に若干欠け、糸切り後の糸端の長さにバラツキを
生じるなどの問題点を残している。
〔課題を解決するための手段〕 この考案は、このような従来の技術的課題に鑑みてな
されたものであり、その構成は、ミシンベツドと、該ミ
シンベツドに回転自在に支持された下軸と、該ミシンベ
ツド側に担持され、上下運動を行う針と、該ミシンベツ
ドに装着された針板と、該下軸に取付けられ、縫い目形
成時に該針板を通つて延びる該針と協働する釜と、該釜
に隣接して配置され、一連の縫い目形成後に該釜と該針
板との間で交差して縫糸を切断する糸切りナイフ及びさ
ばき板と、該糸切りナイフ及び糸さばき板を駆動する糸
切り駆動装置とを備え、前記糸切り駆動装置は、該ミシ
ンベツド側に回動自在に支持された糸切りナイフ駆動軸
及び糸さばき板駆動軸と、該下軸の回動運動を糸切りナ
イフ駆動軸に伝動する回動運動伝動装置及び糸さばき板
駆動軸に伝動する回動運動伝動装置と、該ミシンベツド
側に回動自在に支持され、該糸切りナイフを有する糸切
りナイフ支持部材と、原動節が該糸切りナイフ駆動軸に
固着され、従動節が該糸切りナイフ支持部材と一体をな
す第1四節回転連鎖機構と、該ミシンベツド側に回動自
在に支持され、該糸さばき板を有する糸さばき板取付部
材と、原動節が該糸さばき板駆動軸に固着され、従動節
が該糸さばき板取付部材と一体をなす第2四節回転連鎖
機構とを備えると共に、一方の回動運動伝動装置が、下
軸に固設され、小径から次第に動径が拡大し、大径に至
るカム面を有する糸切りカムと、該糸切りナイフ駆動軸
に軸線方向の摺動自在に嵌合し、直線駆動装置によつて
軸線方向に駆動された際、係合部が該糸切りカムのカム
面に係合して該糸切りナイフ駆動軸と共に揺動駆動され
る糸切りレバーとを有し、他方の回動運動伝動装置が、
下軸に固設され、小径から次第に動径が拡大し、大径に
至るカム面を有する糸切りカムと、該糸さばき板駆動軸
に軸線方向の摺動自在に嵌合し、直線駆動装置によつて
軸線方向に駆動された際、係合部が該糸切りカムのカム
面に係合して該糸さばき板駆動軸と共に揺動駆動される
糸切りレバーとを有し、前記糸切りナイフ支持部材の中
心と糸さばき板取付部材の中心とが合致させて配置さ
れ、該糸切りナイフ駆動軸及び該糸さばき板駆動軸が、
それぞれ下軸によつて駆動されるミシンの糸切り装置で
ある。
そして、糸さばき板取付部材及び糸切りナイフ支持部
材は、それぞれ下軸に回動自在に支持させることがで
き、また、糸さばき板駆動軸と糸切りナイフ駆動軸との
間に回動運動を伝達する回動運動伝達機構を備えさせる
ことができる。
〔作用〕
しかして、1個の縫製布に対する縫製が終了したな
ら、ペダル等の操作による制御装置からの電気信号によ
つて、針を一旦下停止させると共に、制御装置の作用に
よつて針が上停止位置へ移行する間に、針板の下方にお
いて、上糸及び下糸からなる縫糸が糸さばき板と糸切り
ナイフとの交差によつて切断される。
糸切り非作動時には、糸切りナイフは、第1四節回転
連鎖機構を介して、釜と針板との間から逃げた糸切り不
作用位置に維持され、また糸さばき板も、第2四節回転
連鎖機構を介して、同じく糸切り不作用位置に維持され
ている。
次に、糸切り作動は、回動運動伝動装置の作用によ
り、下軸の回動運動が糸切りナイフ駆動軸及び糸さばき
板駆動軸に伝動されてなされる。その際、直線駆動装置
によつて糸切りレバーを軸線方向に駆動し、糸切りレバ
ーの係合部を糸切りカムのカム面の小径部分に係合さ
せ、下軸の回動に伴つて係合部を次第に大径部分に係合
させることにより、糸切りレバーが糸切りナイフ駆動軸
及び糸さばき板駆動軸と共に次第に揺動駆動される。糸
切りナイフ駆動軸及び糸さばき板駆動軸の回動により、
同期して作動する第1四節回転連鎖機構及び第2四節回
転連鎖機構を介して、糸切りナイフ支持部材及び糸さば
き板取付部材が回動駆動され、糸切りナイフ支持部材と
一体の糸切りナイフと糸さばき板取付部材と一体の糸さ
ばき板とが、釜と針板との間において交差する。これに
より、縫糸は、下軸と同期して、糸切りナイフと糸さば
き板とが協働して切断される。
糸切りレバーの係合部が糸切りカムのカム面の大径部
分を経て、再度小径部分と係合する際、糸切りナイフ駆
動軸及び糸さばき板駆動軸を反対方向に回動駆動すれ
ば、第1四節回転連鎖機構及び第2四節回転連鎖機構を
介して、糸切りナイフと糸さばき板とが糸切り不作用位
置に復帰駆動される。糸切りナイフと糸さばき板とが復
帰したなら、直線駆動装置によつて糸切りレバーを軸線
方向に復帰させる。
そして、糸さばき板取付部材及び糸切りナイフ支持部
材を、それぞれ下軸に回転自在に支持させれば、糸切り
ナイフ及び糸さばき板は、下軸の軸線を中心としてそれ
ぞれ回動する。また、糸さばき板駆動軸と糸切りナイフ
駆動軸との間に回動運動を伝達する回動運動伝達機構を
備えさせれば、下軸の回動運動を糸切りナイフ駆動軸又
は糸さばき板駆動軸のいずれか一方に伝達させることに
より、糸切りナイフ駆動軸及び糸さばき板駆動軸は共に
下軸と同期して回動駆動される。
〔実施例〕
以下、この考案の実施例について図面を参照して説明
する。
第1〜14図は、この考案の1実施例を示す。第1,2図
において符号37はミシンベツドを示し、ミシンベツド37
には、下軸1、糸さばき板駆動軸10及び糸切りナイフ駆
動軸18が回転自在に支持されている。下軸1は、第2図
に示すように止めねじ37Aにてミシンベツド37に固定し
た軸受メタル2によつて回転自在に支持され、糸さばき
板駆動軸10は、下軸1と軸線が平行をなし、かつ同一水
平面内に位置するように、軸受メタル11によつて回転自
在かつ軸線方向の移動不能にミシンベツド37に支持さ
れ、また糸切りナイフ駆動軸18は、下軸1に関し、糸さ
ばき板駆動軸10と対称をなすように、軸受メタル19によ
つて回転自在かつ軸線方向の移動不能にミシンベツド37
に支持されている。
この下軸1は、図外のミシンフレーム内の上軸(図示
せず)と周知の構造によつて連動し、上軸の1回転に対
して第1図に示す矢印a方向へ2回転すると共に、先端
には周知の全回転の釜3が取付けられている。そして、
この下軸1は、ミシンベツド37上の図外のミシンアーム
に担持された針39(第12図に示す)その他によつて構成
される公知の縫い目形成機構40と連動し、ミシンベツド
37に装着された針板T上の縫製布41にロツクステツチの
縫い目を形成する。
この軸受メタル2の軸線方向に突出する先端小径部2A
には、第2図に詳示するように筒状をなす糸さばき板取
付部材5のボス部5Aが、スナツプリング42によつて軸線
方向の移動を規制して回動自在に外嵌支持されている。
糸さばき板取付部材5の一端には、取付縁5Bが突出形成
され、この取付縁5Bに第1図に示すように取付ねじ8に
よつて固着した弧形の糸さばき板7が、全回転の釜3の
外周に近接して延在している。また、糸さばき板取付部
材5のボス部5A外周面には、糸切りナイフ部材6が回動
自在かつ軸線方向への移動が不能に外嵌支持され、この
糸切りナイフ支持部材6の外周には、弧形の糸切りナイ
フ14がビス14Aによつて固着され、この糸切りナイフ14
は、糸切り作動時に糸さばき板7と協働して、釜3と針
板Tとの隙間で縫糸切断を行う。この糸切りナイフ支持
部材6の一端ボス部6Aには、糸切りナイフ調節ねじ15が
このボス部6Aを貫通してねじ込まれており、糸切りナイ
フ調節ねじ15のねじ込み量を調節し、糸切りナイフ調節
ねじ15の先端部と糸切りナイフ14の外側面との接触量を
増減調整して、糸切りナイフ14と糸さばき板7との所望
の位置関係を設定できるようになつている。
そして、第5,6図に示すように、糸切りナイフ支持部
材6の半径方向に向けて、具体的には糸切り非作動時に
おいてほぼ糸さばき板駆動軸10に向けて延びる腕部6Bの
先端部には、糸切りナイフ作動リンク16の一端部がピン
6Cによつて回動自在に連結され、糸切りナイフ作動リン
ク16の他端部は、糸切りナイフ作動腕20の一端部がピン
17によつて回動自在に連結され、糸切りナイフ作動腕20
の他端部は糸切りナイフ駆動軸18の先端部に固着されて
いる。このようにして、第5,6図に示すように、糸切り
ナイフ支持部材6の中心A、糸切りナイフ作動リンク16
の支点E、糸切りナイフ作動腕20の支点F及び糸切りナ
イフ駆動軸18の中心Gは、糸切りナイフ駆動軸18の原動
節とし、糸切りナイフ支持部材6を従動節とする第1四
節回転連鎖機構44を構成する。
また、糸さばき板取付部材5の外周には、第3,4図に
示すようにL字形をなし、第3図に示す糸切り非作動時
において、その基部が下方に向けて延び、先端部が上方
に延びる腕部5Cが突出形成され、その先端部に糸さばき
板取付部材5を回動駆動する糸さばき板作動リンク9の
一端がピン結合(B)していると共に、糸さばき板作動
リンク9の他端部は、糸さばき板作動腕12の一端部とピ
ン結合(C)し、糸さばき板作動腕12の他端部は、糸さ
ばき板駆動軸10の先端部に固着されている。このように
して、第3,4図に示すように糸さばき板取付部材5の中
心A、糸さばき板作動リンク9の支点B、糸さばき板作
動腕12の支点C及び糸さばき板駆動軸10の中心Dは、糸
さばき板駆動軸10を原動節とし、糸さばき板取付部材5
を従動節とする第2四節回転連鎖機構45を構成する。し
かして、この第1四節回転連鎖機構44及び第2四節回転
連鎖機構45を正確に同期させて駆動することにより、縫
製布41に一連の縫い目形成後に、釜3と針板Tとの間の
下糸BT及び上糸NTからなる縫糸が、糸切りナイフ14及び
糸さばき板7の適正な交差によつて切断される。
更に、糸さばき板駆動軸10と糸切りナイフ駆動軸18と
の間には、両軸10,18間に回動運動を伝達する回動運動
伝達機構43が備えられる。回動運動伝達機構43は、この
実施例にあつてはリンク機構によつて構成され、具体的
には、糸切りナイフ駆動軸18に中間部が固着された糸切
りベルクランク22、糸切りベルクランク22の他端部に段
付ピン23Bによつて一端部が回動自在に結合された糸さ
ばき板駆動リンク23及び糸さばき板駆動リンク23の他端
部に段付ピン23Aによつて一端部13Aが回動自在に結合さ
れた糸さばき板駆動腕13にて構成され、糸さばき板駆動
腕13の円筒形をなす中央部は、糸さばき板駆動軸10に固
着されている。
このようにして、第7,8図に詳示するように糸切りナ
イフ駆動軸18の中心G、糸さばき板駆動リンク23の両支
点(23A,23B)及び糸さばき板駆動軸10の中心Dによつ
て、糸切りナイフ駆動軸18を原動節とし、糸さばき板駆
動軸10を従動節とする四節回転連鎖機構からなる回動運
動伝達機構43を構成している。このような回動運動伝達
機構43は、糸さばき板駆動リンク23の一端部とミシンベ
ツド37との間に張設した戻しばね24によつて糸さばき板
駆動リンク23が上方へ復帰付勢され、糸切り非作動時に
は、第1図に示すように糸さばき板駆動軸10が矢印c方
向に回動し、また糸切りナイフ駆動軸18が矢印b方向に
回動した復帰位置を採るようになつている。この回動運
動伝達機構43の復帰位置は、糸さばき板駆動腕13の他端
部13Bが規制リング35の外周面に当接することによつて
規制されるようになつている。規制リング35は、第1図
に示すようにミシンベツド37に固設したブラケツト30に
突設した支軸36に偏心状態にて回動可能に外嵌されてお
り、支軸36に対して、所定の摩擦力をもつて回動させ
て、規制リング35の動径を変化させることにより、糸さ
ばき板駆動腕13の回動量を増減変化させることができ
る。なお、回動運動伝達機構43は、歯車装置によつて構
成することも可能である。
しかして、上記した糸さばき板駆動軸10、糸切りナイ
フ駆動軸18、第1四節回転連鎖機構44、第2四節回転連
鎖機構45、回動運動伝達機構43等によつて、縫糸を切断
する糸切りナイフ14及び糸さばき板7を駆動する糸切り
駆動装置48を構成する。
一方、糸切りベルクランク22の一端部にはピン22Aが
突設され、このピン22Aの先端部は、第1図に示すよう
に糸切りレバー21の一端部に形成した二叉部21Aに係合
し、糸切りレバー21は、その中間部が糸切りナイフ駆動
軸18に軸線方向の摺動自在に嵌合し、その他端部に係合
部である回転自在な糸切りレバーコロ21Bを有する。こ
のような糸切りレバー21は、糸切りナイフ駆動軸18の外
周に巻装され、糸切りベルクランク22との間に圧縮して
介装した圧縮ばね26によつて常時一方向に復帰付勢さ
れ、糸切りレバーコロ21Bが下軸1に固定された糸切り
カム25と常態にて係合が解除されている。
糸切りカム25は、下軸1に固設され、第11図に示すよ
うに小径のa部からb,c部を経て次第に動径が拡大し、
大径のd部に至るカム面を有する。この糸切りカム25及
びピン22Aに係合する糸切りレバー21等によつて、下軸
1の回動運動を糸切りナイフ駆動軸18に伝動する回動運
動伝動装置46を構成している。
27は電磁ソレノイドであり、ミシンベツド37に固設し
た図外のブラケツトに取付けられ、第9図に示す非作動
状態からミシンの図外の制御装置の糸切り電気信号によ
つて、第10図に示す作動状態へとピストンロツド27A
(コア)が突出作動される。ピストンロツド27Aの先端
部に固定した糸切り作動リング28の環状溝28Aには、第
9図に示すように糸切りレバー21に固設した欠環状をな
す突起部21Cが係合している。しかして、ピストンロツ
ド27Aの突出作動により、第10図に示すように糸切りレ
バー21が圧縮ばね26を圧縮させつつ糸切りナイフ駆動軸
18上を摺動し、糸切りレバーコロ21Bが糸切りカム25と
係合可能な状態に移動し、かつ糸切りレバーコロ21Bが
糸切りカム25と係合した際、糸切りレバー21は、突起部
21Cによつて支障を受けることなく糸切りナイフ駆動軸1
8を中心として回動することが可能である。この電磁ソ
レノイド27及び圧縮ばね26によつて、糸切りレバー21を
軸線方向に駆動する直線駆動装置を構成している。
第1,13図に示す29は、復帰ベルクランクであり、ミシ
ンベツド37に固設されたブラケツト30に突設した支軸31
に、その中央部が回動自在かつ軸線方向の移動不能に支
承され、一端部にコロ29Aが回転自在に装着されると共
に、他端部にピン29Bが固着され、一端部がブラケツト3
0に固定され、他端部が復帰ベルクランク29の一端部に
弾性的に係止する戻しばね32によつて、第1図上にて時
計回り方向に回動付勢され、常態にて、ブラケツト30に
立設した制限ピン33に当接した復帰位置を採り、糸切り
作用後の復帰時には、コロ29Aが下軸1に固定された復
帰カム34と係合し、ピン29Bが糸さばき板駆動腕13の一
端部13Aを押し上げるように係合する。
次に作用について説明する。
1個の縫製布に対する縫製が終了したなら、ペダル等
の操作による図外の制御装置からの電気信号によつて、
針39を一旦下停止させると共に、制御装置の作用によつ
て針39が上停止位置へ移行する間に、制御装置から電気
信号が出力され、縫製布41及び針板Tの下方において、
上糸NT及び下糸BTが糸さばき板7と糸切りナイフ14とに
よつて自動的に切断される。
第1,3,5,8及び9図は、糸切り不作用時の状態を示
す。第9図に示すように、電磁ソレノイド27のシリンダ
ーロツド27Aが没入復帰した不作用状態にあるため、糸
切りレバー21は、圧縮ばね26の作用によつてシリンダー
ロツド27Aの糸切り作動リング28と共に復帰し、糸切り
レバー21の糸切りレバーコロ21Bが下軸1上の糸切りカ
ム25と係合しない状態にある。
第1,5,8図に示すように糸切りナイフ14は、第1四節
回転連鎖機構44を介して、糸切り不作用位置に維持され
ている。すなわち、糸さばき板駆動リンク23に掛止した
糸切り復帰ばね24の作用により、糸切りベルクランク2
2、糸切りナイフ駆動軸18が第8図に示す矢印方向に回
動され、第5図に示すように原動節である糸切りナイフ
作動腕20及び糸切り作動リンク16を介して、従動節であ
る腕部6Bを一体とする糸切りナイフ支持部材6が矢印方
向に回動され、糸さばき板駆動腕13の他端部13Bがブラ
ケツト30の支軸36に取付けられた規制リング35に当接し
て回動が規制され、これによつて糸切りナイフ駆動軸18
の回動も規制され、糸切りナイフ支持部材6と一体の糸
切りナイフ14は、釜3と針板Tとの間隙から逃げた糸切
り不作用位置に保持されている。
一方、第1,3,8図に示すように糸さばき板7も、第2
四節回転連鎖機構45を介して、糸切り不作用位置に維持
されている。すなわち、糸さばき板駆動リンク23に掛止
した糸切り復帰ばね24の作用により、糸さばき板駆動腕
13及び糸さばき板駆動軸10、原動節である糸さばき板作
動腕12及び糸さばき板駆動リンク9を介して、従動節で
ある腕部5Cを一体とする糸さばき板取付部材5が矢印方
向に回動され、糸さばき板駆動腕13の他端部13Bがブラ
ケツト30側の規制リング35に当接して回動が規制され、
これによつて糸さばき板駆動軸10の回動も規制され、第
3図に示すように糸さばき板取付部材5と一体の糸さば
き板7は、矢印方向に回動して釜3と針板Tとの間隙か
ら逃げた糸切り不作用位置に保持されている。
このような糸切り不作用状態での復帰ベルクランク29
は、戻しばね32の作用により、第13図に示す状態から時
計回り方向に回動し、ブラケツト30に固設した制限ピン
33に当接した位置で停止し、下軸1上の復帰カム34と非
係合の状態にある。
1個の縫製布41に対する縫製が終了し、ミシンの制御
装置からの指示により、針39が下停止位置にて停止し、
次いで図外の操作ペダルを蹴り返すことにより、ミシン
の主軸が半回転し、第12図に示すように針39が上停止位
置に移行する間に糸切り信号によつて糸切り駆動装置48
が作動する。
次に、この糸切り作動について説明する。第14図に示
す上軸角が212°の時(針39が下停止位置にあり、下軸
1角は0°)、制御装置からの糸切り信号により、第10
図に示す電磁ソレノイド27がONされ、シリンダーロツド
27Aが突出した作動位置に駆動されるので、糸切り作動
リング28のリング溝28Aに係合する突起部21Cを有する糸
切りレバー21が、圧縮ばね26力に抗して糸切りベルクラ
ンク22側に移動しようとする。しかし、その際には、第
14図に示す上軸角が212°〜234°の間(下軸1角は0°
〜44°)にあり、糸切りカム25の大径のd部側面に糸切
りレバーコロ21Bが当接し、糸切りレバーコロ21Bの糸切
りカム25のカム面との係合は阻止されている。
上軸角が234°(下軸1角は44°)に至れば、第11図
に示す糸切りカム25のa部に糸切りレバーコロ21Bが落
ち込み、糸切りレバー21は糸切りベルクランク22のピン
22Aに案内されつつ軸線方向に移動し、糸切りレバーコ
ロ21Bが下軸1上の糸切りカム25のカム面の小径のa部
と係合する。上軸角が280°(下軸1角は136°)に至れ
ば、糸切りレバー21の糸切りレバーコロ21Bは糸切りカ
ム25のb部に係合し、糸切りレバー21は、下軸1の第1
図に示す矢印a方向の回動に伴つて、矢印bと反対方向
に回動を始める。糸切りレバー21の回動に伴つて、その
二叉部21Aに係合するピン22Aを介して、糸切りベルクラ
ンク22は第7図に示す矢印方向に回動される。その際、
糸切りレバー21と一体の突起部21Cは、ピストンロツド2
7Aの先端部に固定した糸切り作動リング28の環状溝28A
に沿つて移動する。
この糸切りベルクランク22の回動により、糸切りナイ
フ支持部材6に装着した糸切りナイフ14は、第6図に示
すように第1四節回転連鎖機構44を介して、すなわち糸
切りナイフ駆動軸18、糸切りナイフ作動腕20及び糸切り
ナイフ作動リンク16を介して、糸切りナイフ支持部材6
の中心Aつまり下軸1の軸線の周りに矢印方向に回動
し、釜3と針板Tとの間隙に侵入する。
一方、糸切りベルクランク22の回動により、糸切り復
帰ばね24力に抗して、糸さばき板駆動リンク23が第1図
上にて下降し、糸さばき板駆動腕13が糸さばき板駆動軸
10と一体に矢印cと反対方向に回動するので、糸さばき
板7は、第4図に示すように第2四節回転連鎖機構45を
介して、すなわち糸さばき板作動腕12、糸さばき板駆動
リンク9及び糸さばき板取付部材5を介して、矢印方向
に回動し、釜3と針板Tとの間の僅かの隙間において糸
切りナイフ14と交差し始める。上軸角が33°(下軸1角
は362°)に至れば、糸切りレバー21の糸切りレバーコ
ロ21Bの係合が第11図に示す糸切りカム25のc部に達
し、第12図に示すように糸さばき板7に引き寄せられた
上糸NT及び下糸BTは、糸さばき板7の突起部7Aに糸切り
ナイフ14が係合して、針板Tの直下において確実に切断
される。
更に、上軸角が48°(下軸1角は392°)にまで回転
することにより、糸切りカム25は、d部に至るまで糸切
りレバー21を回動させ、上軸角が48°を過ぎた時点で糸
切りレバー21の糸切りレバーコロ21Bは、糸切り復帰ば
ね24の作用により、急速に糸切りカム25のa部に落ち込
み始める。
上軸角が57°(下軸1角は410°)にまで回転する
と、第13図に示すように回動運動伝達機構43の復帰作動
が復帰カム34によつて助勢される。すなわち、下軸1上
の糸切り復帰カム34の大径部34Aが糸切り復帰クランク2
9のコロ29Aと係合し、糸切り復帰クランク29のピン29B
が糸さばき板駆動腕13の一端部を押上げ、前記糸切り復
帰ばね24と協働して糸切りナイフ駆動軸18及び糸さばき
板駆動軸10を第1図に示す矢印b及びc方向に確実に回
動し、糸切りナイフ14及び糸さばき板7を第3,5図に示
す元位置に復帰させる。
更に、上軸角が70°(下軸1角は436°)にまで回転
し、針39が上停止位置を採る際、電磁ソレノイド27への
制御装置からの電気信号がOFFとなり、シリンダーロツ
ド27Aが圧縮ばね26力によつて不作用位置に没入復帰
し、糸切りカム25と糸切りレバーコロ21Bとが非係合状
態となり、一連の糸切り作動が完了する。
なお、糸切りレバー21を糸さばき板駆動軸10に設け、
回動運動伝動装置46を糸さばき板駆動軸10側に設けれ
ば、回動運動伝動装置46によつて下軸1の回動運動を糸
さばき板駆動板10に伝動することができる。また回動運
動伝動装置46及び電磁ソレノイド27を糸切りナイフ駆動
軸18側及び糸さばき板駆動軸10側にそれぞれ設け、各糸
切りレバーコロ21Bを作動させる糸切りカム25を下軸1
に設けると共に、糸切りベルクランク22に替えて、ピン
22Aを有する圧縮ばね26受けを糸切りナイフ駆動軸18及
び糸さばき板駆動軸10にそれぞれ設ければ、回動運動伝
達機構43は省略可能である。
〔考案の効果〕
以上の説明によつて理解されるように、この考案によ
れば、糸切りナイフ及び糸さばき板は、それぞれ下軸と
連動する四節回転連鎖機構によつて回動駆動され、針板
と釜との間の僅かな隙間において確実に係合し、縫糸を
切断するので、縫製終了時に縫製布に残る糸端を極めて
正確かつ短くすることが可能になるという実用上の著効
が得られる。また、下軸の回動運動は、糸切りカムを介
して糸切りナイフ駆動軸又は糸さばき板駆動軸に伝動さ
れるため、下軸の回動運動が比較的簡素な構造によつ
て、かつ縫製作動に確実に連動して糸切りナイフ駆動軸
又は糸さばき板駆動軸に伝動される。その結果、作動時
期の精度が良好であり、糸切り後の糸端の長さが均一に
得られる。更には、下軸には糸切りカムのみが取付けら
れ、糸切り作動時にだけ糸切りカムを含む回動運動伝動
装置の全体が駆動されるので、縫製時の駆動力が小さく
て済み、円滑な縫製作動を阻害する恐れが少ない。加え
て、糸切りナイフ支持部材の中心と糸さばき板取付部材
の中心とを合致させて配置するので、糸切りナイフ及び
糸さばき板が中心を同じくする円周上を移動して正確に
交錯し、糸切りが確実に行われると共に、糸切りナイフ
と糸さばき板とを正確に交錯させるための調整作業が容
易となる。
また、請求項2記載の考案によれば、糸さばき板取付
部材及び糸切りナイフ支持部材が、下軸にそれぞれ回転
自在に支持され、糸切りナイフ及び糸さばき板は、それ
ぞれ下軸の軸線を中心として回動するため、糸切りナイ
フ及び糸さばき板を下軸の周辺にコンパクトに収容する
ことができ、ミシンへの糸切り装置の組み込みが容易と
なる。
更に、請求項3記載の考案によれば、糸さばき板駆動
軸と糸切りナイフ駆動軸との間の回動運動は、回動運動
伝達機構によつて伝達されるため、糸さばき板駆動軸と
糸切りナイフ駆動軸とのいずれか一方を下軸によつて回
動駆動すればよく、ミシンの糸切り装置の構造が簡素に
なる。
【図面の簡単な説明】
第1〜14図は、この考案の1実施例を示し、第1図はミ
シンの糸切り装置を分解して示す斜視図、第2図はこの
考案の要部を示す断面図、第3図は第2四節回転連鎖機
構の復帰状態を示す図、第4図は第2四節回転連鎖機構
の糸切り作動状態を示す図、第5図は第1四節回転連鎖
機構の復帰状態を示す図、第6図は第1四節回転連鎖機
構の糸切り作動状態を示す図、第7図は回転運動伝達機
構の糸切り作動状態を示す図、第8図は回動運動伝達機
構の復帰状態を示す図、第9図は電磁ソレノイドの非作
動状態を示す断面図、第10図は電磁ソレノイドの作動状
態を示す断面図、第11図は糸切りカムを示す図、第12図
はこの考案の作用説明図、第13図は復帰ベルクランクの
取付け状態を示す図、第14図は上軸角(下軸角)と糸切
りナイフ駆動軸回動量及び糸切りカムの位置との関係を
示す図である。 1:下軸,3:釜,5:糸さばき板取付部材,6:糸切りナイフ支
持部材,7:糸さばき板,9:糸さばき板作動リンク,10:糸さ
ばき板駆動軸,12:糸さばき板作動腕,13:糸さばき板駆動
腕,14:糸切りナイフ,16:糸切りナイフ作動リンク,18:糸
切りナイフ駆動軸,20:糸切りナイフ作動腕,21:糸切りレ
バー,21B:糸切りレバーコロ(係合部),22:糸切りベル
クランク,23:糸さばき板駆動リンク,24:戻しばね,25:糸
切りカム,26:圧縮ばね(直線駆動装置),27:電磁ソレノ
イド(直線駆動装置)27A:ピストンロツド,28:糸切り作
動リング,29:復帰ベルクランク,31:支軸,32:戻しばね,3
3:制限ピン,34:復帰カム,35:規制リング,36:支軸,37:ミ
シンベツド,39:針,40:縫い目形成機構,41:縫製布,43:回
動運動伝達機構,44:第1四節回転連鎖機構,45:第2四節
回転連鎖機構,46:回動運動伝動装置,48:糸切り駆動装
置,T:針板,NT:上糸(縫糸),BT:下糸(縫糸)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−41597(JP,A) 特開 昭61−100295(JP,A) 実開 昭61−61977(JP,U) 特公 昭48−1024(JP,B1) 特公 昭61−11633(JP,B2) 実公 昭61−8860(JP,Y2)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミシンベツドと、該ミシンベツドに回転自
    在に支持された下軸と、該ミシンベツド側に担持され、
    上下運動を行う針と、該ミシンベツドに装着された針板
    と、該下軸に取付けられ、縫い目形成時に該針板を通つ
    て延びる該針と協働する釜と、該釜に隣接して配置さ
    れ、一連の縫い目形成後に該釜と該針板との間で交差し
    て縫糸を切断する糸切りナイフ及び糸さばき板と、該糸
    切りナイフ及び糸さばき板を駆動する糸切り駆動装置と
    を備え、 前記糸切り駆動装置は、該ミシンベツド側に回動自在に
    支持された糸切りナイフ駆動軸及び糸さばき板駆動軸
    と、該下軸の回動運動を糸切りナイフ駆動軸に伝動する
    回動運動伝動装置及び糸さばき板駆動軸に伝動する回動
    運動伝動装置と、該ミシンベツド側に回動自在に支持さ
    れ、該糸切りナイフを有する糸切りナイフ支持部材と、
    原動節が該糸切りナイフ駆動軸に固着され、従動節が該
    糸切りナイフ支持部材と一体をなす第1四節回転連鎖機
    構と、該ミシンベツド側に回動自在に支持され、該糸さ
    ばき板を有する糸さばき板取付部材と、原動節が該糸さ
    ばき板駆動軸に固着され、従動節が該糸さばき板取付部
    材と一体をなす第2四節回転連鎖機構とを備えると共
    に、 一方の回動運動伝動装置が、下軸に固設され、小径から
    次第に動径が拡大し、大径に至るカム面を有する糸切り
    カムと、該糸切りナイフ駆動軸に軸線方向の摺動自在に
    嵌合し、直線駆動装置によつて軸線方向に駆動された
    際、係合部が該糸切りカムのカム面に係合して該糸切り
    ナイフ駆動軸と共に揺動駆動される糸切りレバーとを有
    し、 他方の回動運動伝動装置が、下軸に固設され、小径から
    次第に動径が拡大し、大径に至るカム面を有する糸切り
    カムと、該糸さばき板駆動軸に軸線方向の摺動自在に嵌
    合し、直線駆動装置によつて軸線方向に駆動された際、
    係合部が該糸切りカムのカム面に係合して該糸さばき板
    駆動軸と共に揺動駆動される糸切りレバーとを有し、 前記糸切りナイフ支持部材の中心と糸さばき板取付部材
    の中心とが合致させて配置され、該糸切りナイフ駆動軸
    及び該糸さばき板駆動軸が、それぞれ下軸によつて駆動
    されることを特徴とするミシンの糸切り装置。
  2. 【請求項2】糸さばき板取付部材及び糸切りナイフ支持
    部材が、下軸にそれぞれ回動自在に支持された請求項1
    記載のミシンの糸切り装置。
  3. 【請求項3】いずれか一方の回動運動伝動装置に代え
    て、糸さばき板駆動軸と糸切りナイフ駆動軸との間に回
    動運動を伝達する回動運動伝達機構を備える請求項1又
    は2記載のミシンの糸切り装置。
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