JP2522825B2 - 肝炎b型ウィルスワクチン用組換型dna分子 - Google Patents

肝炎b型ウィルスワクチン用組換型dna分子

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    • C12N2730/10011Hepadnaviridae
    • C12N2730/10111Orthohepadnavirus, e.g. hepatitis B virus
    • C12N2730/10122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は組換型DNA技法を用いることによる酵母にお
けるB型肝炎表面抗原をコードする遺伝子のクローニン
グおよび該酵母が産生する抗原からの肝炎B型ウイルス
ワクチンの製造に関する。
発明の背景 肝炎B型ウイルス(HBV)による感染症は重く、広範
囲にわたる健康上の問題である。感染症は急性または慢
性の様相で発現する。米国における急性肝炎の症例数は
少なくとも1年につき10万件であり、到死率が1〜2%
と見積られている。米国においては、健常成人中の慢性
保菌者の蔓延率は年令、社会的階級により、0.1〜1%
の間で変化している。南アメリカでは、慢性保菌者の蔓
延率は約1〜3%、ソ連および南ヨーロッパでは、約3
〜6%、アジアおよびアフリカでは10%以上である。
発達した国々では、血液を取扱う医療部署の患者およ
び要員、軍要員、慢性保菌者の配偶者、高HBV風土地域
への旅行者、慢性保菌者の新生児、ホモセックスの人、
売春婦および麻薬常用者のようなウイルス接触の高い危
険性のある人々のためのワクチンの要求が存在する。第
三世界の国々においては大衆免疫付与のための安価なワ
クチンの要求が存在する。大衆免疫付与計画は急性肝炎
の発生や慢性保菌者が留ることに究極的に影響するばか
りでなく、慢性活性肝炎および肝細胞癌の罹病率および
死亡率も減少させることができる。
肝炎B型のビリオンであると考えられ、感染患者から
単離できるデーン(Dane)粒子は約42nmの径を有する。
各々、肝炎B型表面抗原(HBsAg)からなる外皮、キャ
プシド(HBcAg)、内生ポリメラーゼおよびDNAゲノムか
ら構成されている。該ゲノムは環状で、約200の塩基か
らなる1本鎖域を有する2本鎖である。該1本鎖域はin
vitroで該内生ポリメラーゼの作用によって詰込み(fil
l in)を行なうことができる。より長い鎖は約3200の塩
基を含有する。
組織培養中でHBVを増殖させるのが困難であることが
示されており、また、唯一公知の宿主がヒトであるた
め、従来、HBVワクチンを製造することは困難であっ
た。感染したヒトから少量のHBV抗原標品が単離されて
いる。エフ・デイ・シイ・レポーツ(F−D−C Report
s.pp.3〜4,July19,1982)には最近開発されたB型肝炎
ワクチンの臨床研究の報文が掲載されている。
バレンツエラら〔Valenzuela et al.,Nature,Vol.29
8,347〜350(1982)〕は表現ベクターを用いた酵母にお
けるHBsAgの合成を報告しており、それでは該HBsAgコー
ド付け配列が835bpのTaql−Hpalフラグメントで、プロ
モーターが該酵母アルコール・デヒドロゲナーゼI.プロ
モーターである。この文献より以前にいくつかの簡単な
研究報文がある。これらは、酵母アルコール・デヒドロ
ゲナーゼ・プロモーター域に結紮されているHBsAgに類
似した蛋白をコードする配列を含むDNAフラグメントの
酵母における表現を報告しているバレンツエラらの報文
〔Valenzuela et al.,Arch.Biol.Med.Exp.(Chile),Vo
l.14(1),21〜22(1981)〕、ピイ・バレンツエラお
よびダブリュウ・ジェイ・ルッター(P.Valenzuela and
W.J.Rutter)を含む米国の研究チームが酵母における
「蛋白−被膜周囲肝炎B型ウイルス」の産生を発表した
と報じているスクリップ中の報告〔Scrip No.616,p.14
(Aug.12,1981)〕およびダブリュウ・ジェイ・ルッタ
ー(W.J.Rutter)が酵母細胞におけるグリコシル化HBsA
gの表現を報告したと報じているツカーマンの報文〔Zuc
kerman,Nature,Vol.295、98〜99(1982)〕である。
HBsAgのようはHBVの抗原性成分は該抗原をコードする
遺伝子を含む組換型DNA分子を挿入した細菌中で製造さ
れてきた。バーレルら〔Burrell et al.,Nature,Vol.27
9,No.5708,43〜47(1979)〕はプラスミドpBR322中でク
ローンしたHBV DNA配列のイー・コリ(E.coli)HB101株
における表現を報告している。
ヨーロッパ特許出願第13828号において、マレーら(M
urray et al.)は、イー・コリHB101株において、HBsAg
を含めて、HBV抗原をコードできる組換型ベクターの製
造を開示している。このベクターはデーン粒子DNAおよ
びプラスミドpBR322から製造される。マレーらは、有用
な宿主には他の細菌宿主、酵母および他の真菌、動物ま
たは植物細胞およびその他の宿主が包含されうると述べ
ているが、示されている唯一の宿主はイー・コリであ
る。
チャーネイら〔Charney et al.,Nature,Vol.286,893
〜895(1980)〕はβ−ガラクトシダーゼ遺伝子と該HBs
Ag構造遺伝子の融合物を有するバクテリオファージの構
造を報告している。該バクテリオファージはHBsAgおよ
びβ−ガラクトシダーゼ両方の抗原性決定子からなる融
合蛋白の合成を命令する。
英国特許出願第2034323号において、チオライスら(T
iollais et al)はHBV DNAを含有するコリファージの製
造を開示している。融合ファージ−HBV DNAがイー・コ
リC600株中に形質転換されている。
最初にPCT出願WO81/00577号として公開された英国特
許出願第2070621号には、HBsAg遺伝子の一部、プロモー
ターおよびラクトース・オペロンのZ遺伝子からなり、
イー・コリ中でクローンできるプラスミドが開示されて
いる。
ヨーロッパ特許出願第20251号においてルッターら(R
utter et al)はプラスミドpBR322およびHBV DNAのBamH
Iフラグメントからなり、イー・コリの形質転換に使用
できる組換型ベクターを包含する組換型ベクターを開示
している。HBV DNAのBamHIフラグメントおよびトリプト
ファン・オペロンの一部からなる他のベクターがイー・
コリHB101株における表現を得るために使用された。
エドマンら〔Edman et al.,Nature,Vol.291,No.5815,
503〜506(1981)〕はトリプトファン・オペロン調節域
の調節の下、イー・コリにおいてHBsAgおよびβ−ラク
タマーゼ−HBsAg融合蛋白の合成を命令するプラスミド
の構造を記載している。
HBV DNAの細菌中への挿入を開示した他の文献にはチ
ャーネーらの文献〔Charnay et al.,Prog.Med.Virol.,V
ol.27,88〜92(1981)〕、マツケイらの文献〔Mackay e
t al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.,Vol.78,No.7,4510〜45
14(1981)〕、フリッチエら〔Fritsch et al.,C.R.Aca
d.Sci.,Vol.287,No.16,1453(1978)〕、英国特許明細
書第2034323号(Derwent No.46874C)およびパセクらの
文献〔Pasek et al.,Nature,Vol.282,No.6,575(197
9)〕が包含される。
HBV DNAは哺乳動物細胞中でもクローンされている。
これらには、ヒト、マウスおよびヒト肝癌細胞系が包含
される。例えばデュボイスら〔Dubois et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.,Vol.77,No.8,4549〜4553(1980)〕は
マウス細胞のHBVゲノム含有プラスミドによる形質転換
およびHBsAgの表現を報告している。ヒルシュマンら〔H
irschman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.,Vol.77,No.
9,5507〜5511(1980)〕はHBV DNAで形質転換させたHeL
a細胞によるHBV様粒子の産生を報告している。
ヒト血液からのHBsAgを用いるHBVワクチンの製造法が
フナコシら〔Funakashi et al.,Prog.Med.Virol.,Vol.2
7,163〜167(1981)〕およびマウパスら〔Maupas et a
l.,Prog.Med.Virol.,Vol.27,185〜201(1981)〕により
報告されている。フナコシらによって製造されたワクチ
ンは40μgの精製したホルマリン処理HBsAg、リン酸
塩、塩化ナトリウム、20mgのマンニトールおよびアジュ
バントとして0.1%の水酸化アルミニウムを含有する。
後者の報文において、マウパスらはワクチンの1投与量
が2〜10μg/mlの蛋白〔ローリー(Lowry)法〕および
0.1%の水酸化アルミニウムを含有する精製したホルマ
リン処理HBsAg1mlであると報告している。マウパスらに
よって報告された研究で用いた方法では1ケ月間隔で3
回注射し、1年後に1回ブースターを要求しており、マ
ウパスらは3ケ月間隔で2回濃HBsAgの注射を提案して
いる。
HBVワクチン製造についての他の文献にはヘパチテイ
スBワクチンINSERMシンポジウム(Hepatitis B Vaccin
e INSERM Symposium No.18,edit.by Maupas and Guesr
y,1981,Elsevier/North−Holland Biomedical Press)
の、各々、3、37および57頁のマウパスら、アダモビツ
ツら(Adamowiczet al)およびフナコシらのものが包含
される。
酵母は他のある種のDNA配列の宿主生物として使用さ
れている。例えば、英国特許出願第2068969号におい
て、フレーザーら(Fraser et al)は酵母におけるニワ
トリ・オバルブミンの製造を開示している。スクリップ
640号〔Scrip No.640,P11(Nov.4,1981)〕はあるタイ
プのインターフエロンが酵母中で製造される旨の報告を
包含している。ヨーロッパ特許第11562号(Derwent No.
38762C)では、2μプラスミド中にura3+酵母遺伝子を
含有するハイブリッド酵母プラスミドが報告されてい
る。
発明の概要 本発明は、HBsAgをコードできるヌクレオチド配列お
よび酵母、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomy
ces cerevisiae)において該HBsAg配列の転写を行なう
ことのできる酵母arg3遺伝子から誘導された調節域から
なる組換型DNA分子の製法に関する。該分子は該HBsAg配
列および該調節域が挿入されたベクターを含有し、該ベ
クターは酵母ベクターの製造または該HBsAgおよび調節
域の保存に使用できる。本発明のプラスミドで形質転換
された微生物のような該組換型DNA分子を含有する微生
物も本発明に包含される。本発明はまた、HBsAg配列の
ようなコード付け配列挿入のためのarg3調節域およびそ
れに隣接する制限部位を有し、該コード付け配列の表現
によって合成された蛋白が異質アミノ酸残基を欠くよう
になるプラスミドも包含する。
また、本発明には、本発明によって製造されたHBsAg
のワクチン有効量および適当な担体からなるヒトにおけ
るHBV感染に対する保護惹起用のワクチンも包含され
る。
さらに、本発明は、該組換型DNA分子および該分子を
含有する微生物の製法ならびにHBsAgおよびHBsAg含有ワ
クチンの製法も包含する。
図面の概要 添付図面中、第1図はpRIT10601の制限エンドヌクレ
アーゼ開裂地図である。
第2図はpRIT10606の制限エンドヌクレアーゼ開裂地
図である。
第3図はpMC200の制限エンドヌクレアーゼ開裂地図で
ある。
第4図はpMC200における3300bp HindIII酵母DNA挿入
物の一部分のヌクレオチド配列で、この部分にはHincI
I、BglIIおよびEcoRI部位が含まれている。
第5図はpRIT10671およびpRIT10673の製造を示すフロ
ーシートである。
第6図はpRIT10749の製造を示すフローシートであ
る。
第7図はpRIT10761およびpRIT10764の製造を示すフロ
ーシートである。
発明の詳細 本発明の組換型DNA分子は、HBsAg用の構造遺伝子を含
むヌクレオチド配列を、酵母において該HBsAg配列の転
写を命令でき、それにより、その表現が行なうことので
きる酵母arg3調節域と融合させることにより製造され
る。本明細書において、「組換型DNA分子」なる語は該H
BsAgコード付け配列および該調節域を含有するDNAフラ
グメントならびにプラスミドまたはファージ・ベクター
のような該フラグメントを含む他のDNA分子を意味す
る。
「調節域」なる語はプロモーター域および転写に必要
な他の配列を含む配列を意味する。該酵母arg3調節域
は、それがHBsAgコード付け配列表現用の強力なプロモ
ーターとなることができるので、特に有利である。
「HBsAg」なる語は構造的にHBsAg標品と同じである
か、HBsAg標品と実質的に同じ抗原性決定子を有する蛋
白、すなわち、HBsAg標品を特異的に認識し、それと反
応する抗体の生成を惹起することができるか、抗HBsAg
抗体によって特異的に認識される蛋白を意味する。
該HBsAgコード付け配列は、感染したヒト血清中のデ
ーン粒子より抽出したDNAから、DNAポリメラーゼ、好ま
しくは、内生ポリメラーゼで1本鎖域に詰込み、つい
で、制限エンドヌクレアーゼで消化することにより単離
できる。エンドヌクレアーゼの選択は、部分的に、実際
に用いるデーン粒子に依存する。例えば、後記の実施例
で示すように、adw抗原型のある種のデーン粒子のHBV D
NAのHBsAgコード付け配列は単一のBamHIフラグメント上
で単離でき、ayw抗原型のある種のデータ粒子のHBV DNA
のHBsAgコード付け配列はHhaIフラグメント上で単離で
きる。同じ抗原型のデータ粒子のHBV DNAが制限部位の
異なったパターンを示すこともある。
本発明で用いるDNAフラグメントを製造するためのDNA
の制限、本発明で用いる組換型DNA分子製造のためのか
かるフラグメントの結紮および微生物への挿入は前記
の、また、後記する文献に開示されている技法のよう
な、公知の技法によって行なわれる。条件はDNAおよび
酵素の変性をさけるように選択する。例えば、pHは約7.
0〜11.0に保持するように緩衝され、温度は約60℃以下
に保つ。好ましくは、制限は約30〜40℃で行ない、結紮
は約0〜10℃で行なう。本発明の実施に用いる制限酵素
およびリガーゼは商業的に入手でき、それに付されてい
る指示に従って使用すべきである。T4 DNAリガーゼが好
ましいリガーゼである。
調節域へのHBsAg配列の融合は後記の実施例に示すよ
うな中間ベクターの使用によって行なうことができる。
別法として、HBsAg配列は、調節域を含むベクター中に
直接挿入することができる。ベクターは本発明のDNAフ
ラグメントを担持し、保持できるDNAで、例えば、ファ
ージやプラスミドを包含する。ファージ中でDNAフラグ
メントをクローンする技法は、例えば、チャーネーら
〔Charnay et al.,Nature,Vol.286,893〜895(1980)〕
および英国特許出願第2034323号(Tiollais)によって
開示されている。好ましくは、HBsAg配列は調節域に対
して、HBsAg配列の表現によって合成されたHBsAgが異質
アミノ酸残基を持たないように位置させる。
特に有用であることが判明している調節域は、オルニ
チン・カルバモイルトランスフェラーゼ(OCT)をコー
ドする酵母arg3遺伝子から由来するものである。このar
g3調節域の使用は、その作用が特異的および一般的調節
機構の両方に支配されるので有利である。クラビールら
〔Crabeel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,Vol.78,
5026(1981)〕によって報告されているように、これは
プラスミドpYe ura3arg3上で、イー・コリ中でクローン
されている。好ましい宿主は、アルギニン生合成経路が
抑制解除されたサッカロミセス・セレビシアエ株、例え
ば、1c1697d株である。かかる菌株の使用は、実施例で
用いた他の菌株、DC5株と比較して、arg3プロモーター
からの表現増加をもたらせる。
融合DNAフラグメントを酵母中にクローンするための
好ましいベクターはプロモーターYEp13で、これはイー
・コリおよびサッカロミセス・セレビシアエの両方にお
いて複製、維持することができ、それ故、シャトル・ベ
クターとして知られている。数種の他の酵母ベクターが
知られており、利用できる。HBsAgおよび調節域は、順
次あるいは、後記の実施例に示すように同時に酵母中に
挿入できる。プラスミド・ベクターによる形質転換は、
通常、本発明のDNA分子をプラスミドとして取込むこと
となる。しかし組換現象のような他の反応では該DNA分
子の染色体DNA中への取込みとすることもできる。
本発明による酵母によって製造されたHBsAgと、適当
な担体からなるヒトにおけるHBV感染に対する保護を惹
起するワクチンは公知の技法によって製造することがで
きる。水酸化アルミニウムのようなアジュバントを使用
することが望ましい。また、得られたHBsAgを他の免疫
原と組合せて複合ワクチンを製造することもできる。該
HBVまたは複合ワクチンは、例えば、皮下、静脈内また
は筋肉内経路で投与できる。本発明のDNAフラグメント
およびそれによって製造されたHBsAgはまた、DNAハイブ
リッド形成技法および種々のイムノアッセイによる生物
試料中のHBV検出用の探針としても用いることができ
る。
つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明す
る。実施例中、%は、特に断らない限り重量%を意味す
る。
実施例1 HBV DNAをpBR322と組合わせることによる中間プラス
ミドpRIT10601の調製 ayw抗原型のHBsAg陽性血清に、0.28%の最終濃度にな
るようにCaCl2を加えて脱繊維化し、SW27ローター中、1
0mMトロメタミン−HCl、1MNaClおよび1mM EDTAを含む緩
衝液(pH7.5)中で調製した10〜20%ショ糖グレジエン
ト上、27000r.p.mで2時間で遠心分離する。デーン粒子
を含む透明なペレットを同じ緩衝液中に再懸濁させ、65
%ショ糖クッションに重層させた緩衝20%ショ糖上で遠
心分離する。該クッション界面での乳白光バンドを回収
し、同様な20〜65%グレジエント上、200000×Gで4時
間遠心分離し、デーン粒子をペレット化する。
A.該デーン粒子を、50mMトロメタミン−HCl、10mM Mg
Cl2、500mM NaCl、0.5mMジチオトライトール、各50mMの
dATP、dCTPおよびdGTPならびに8μM32P−dT TP(350Ci
/mmole)を含有する反応混合液(pH8.0)に再懸濁さ
せ、該再懸濁粒子を37℃で5時間インキュベートするこ
とにより内生DNAポリメラーゼを用いてデーン粒子内のH
BVゲノムの1本鎖域を修復する。該再懸濁液を10mMトロ
メタミン−HCl、10mM EDTA、100mM NaClおよび0.02%ド
デシル硫酸ナトリウムを含有する緩衝液(pH7.5)で希
釈してpH7.5とし、37℃にて1時間プロナーゼ0.5mg/ml
と共にインキュベートし、ついで、フェノール抽出およ
びエタノール沈澱を行なう。
BamHI制限エンドヌクレアーゼによる該DNAの消化は、
アガロースゲル電気泳動および該ゲルのオートラジオグ
ラフィーによって判定されるように、約1450bpおよび16
00bpのサイズを有する放射活性フラグメントを産生す
る。
B.デーン粒子DNA約30ngを、標識していないdTTPの存
在下、内生DNAポリメラーゼを用いて修復し、前記と同
様にして抽出、回収する。該DNAを、あらかじめBamHI制
限エンドヌクレアーゼで消化し、アルカリ性ホスファタ
ーゼで処理した100ngのプラスミドpBR322と混合する。
プラスミドpBR322は組換型DNA法に通常用いられるもの
で、入手の制限なしにアメリカン・タイプ・カルチャー
・コレクション(American Type Culture Collection)
に寄託番号37017として寄託されている。該混合液をフ
ェノールで抽出し、エタノールで沈澱させ、遠心分離
し、乾燥させて、50mMトロメタミン−HCl、1mMATP、10m
MMgCl2、10mMジチオトライトール、50μg/mlゼラチンお
よび2単位/mlT4DNAリガーゼを含有する混合液12μl
(pH7.5)に再懸濁させる。該懸濁液を10℃で4時間イ
ンキュベートし、ついで氷上で18時間保持する。
結紮したDNA混合物は、コーヘンら〔Cohen et al.,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.U.S.,Vol.69,2110,(1972)〕の方法
に従って調製したイー・コリK12株C600のコンピテント
細胞を形質転換するのに用いられる。形質転換体をアン
ピシリン200μg/mlを含有する固体培地上で選択する。
単離したコロニーについて、pBR322のBamHI部位への異
種DNAフラグメント挿入を示すテトラサイクリン耐性の
欠失をスクリーニングする。このような形質転換体クロ
ーンの1つがプラスミドpRIT10601を含有することが判
明し、これはBamHIエンドヌクレアーゼによる消化によ
って4.60bpのpBR322フラグメントならびに1600bpおよび
1450bpのHBV DNAフラグメントを与えることが判明し
た。イー・コリK12株C600(pRIT10601)培養物は欧州特
許条約(EPC)およびブダペスト条約に従い、アメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクション(アメリカ合衆
国メリイランド州、ロックビル)に1982年6月2日付で
寄託番号ATCC39132として寄託されている。プラスミドp
RIT10601の制限エンドヌクレアーゼ開裂地図を第1図に
示す。
C.種々の制限酵素によるデーン粒子DNAおよびpRIT106
01の消化によって生じるフラグメントのサイズをつぎの
とおり比較した。デーン粒子DNA、すなわち、HBV DNAを
前記の内生ポリメラーゼ反応により、または精製DNAを
イー・コリ由来のDNAポリメラーゼIで処理することに
よって32Pで標識する。標識されたHBV DNAをpRIT10601
と混合し、該混合物を制限エンドヌクレアーゼで処理
し、アガロースゲル上で電気泳動にかける。該ゲルを臭
化エチジウムで染色し、紫外線光下で写真撮影してDNA
フラグメントの位置づけをし、ついで、乾燥してオート
ラジオグラフィーにかけ、放射活性HBV DNAフラグメン
トの位置づけをする。つぎの標識されたHBVフラグメン
トがpRIT10601フラグメントのサイズに正確に一致する
ことが判明した:1450および1600bp BamHIフラグメント;
1330bp HpaIフラグメント;および1130bp BamHI−XhoI
フラグメント。標識されたデーン粒子DNAはまた、サザ
ーン〔Southern.J.Mol.Biol,.Vol.98,503(1975)〕の
技法により、アガロースゲルからニトロセルロース・フ
イルター上に移した後、pRIT10601のBamHI消化によって
遊離される1450および1600bpの両方にフラグメントと特
異的にハイブリッド形成する。
これらの結果は、pRIT10601上のクローンされたDNA挿
入物がHBVゲノムに相当し、pRIT10601上での2つのBamH
Iフラグメントの相対的な方向が該ビリオンにおけると
同じであることを示している。pRIT10601は後記の実施
例10においてpRIT10671を調製するのに使われる。
実施例2 HBV DNAをpACYC184と組合わせることによる中間プラ
スミド、pRIT10616の調製 デーン粒子を前記と同様にadw抗原型のHBsAg陽性血清
から単離する。32Pで標識されたHBV DNAの制限エンドヌ
クレアーゼ分析は該DNAが1つのEcoRI部位を含んでいる
ことを示した。
標識されていないヌクレオチドと用いる内生ポリメラ
ーゼ反応によって詰込んだHBV DNAをEcoRIで消化する。
この制限DNAをあらかじめEcoRIで消化し、アルカリ性ホ
スファターゼで処理したプラスミドpACYC184と混合す
る。プラスミドpACYC184は、入手の制限なしにアメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託番号3703
3として寄託されている。該混合物をT4DNAリガーゼで結
紮する。
この結紮DNA混合物をイー・コリK12株C600のコンピテ
ント細胞を形質転換するのに用いる。形質転換体をテト
ラサイクリン(15μg/ml)寒天培地上で選択し、pACYC1
84のEcoRIの部位における挿入を示すクロラムフェニコ
ール耐性の欠失についてスクリーニングする。形質転換
コロニーは、該HBV DNAからなる3200bp挿入物をEcoRI部
位に有するpACYC184からなるプラスミドpRIT10616を含
有することが判明した。pRIT10616の制限地図を第2図
に示す。イー・コリK12株C600(pRIT10616)はヨーロッ
パ特許条約およびブタペスト条約に従いアメリカン・タ
イプ・カルチャー・コレクションに1982年6月2日付で
寄託番号ATCC39131として寄託されている。
実施例3 pRIT10616をpBR313と組合わせることによる、HBsAgを
コードするヌクレオチド配列を含有する中間プラスミ
ド、pRIT10640の調製 pRIT10616をカーンら〔Kahn et al.,Methods in Enzy
mology,Vol.68,268,(1979)〕の記載に実質的に従いCs
Cl−臭化エチジウム密度グレジエント遠心分離法により
精製する。
該DNAをBamHIエンドヌクレアーゼで消化し、プラスミ
ドpBR313のBamHI消化、アルカリ性ホスファターゼ処理D
NAと混合し、結紮し、実施例1の記載と実質的に同様に
してイー・コリK12株C600のコンピテント細胞を形質転
換するのに用いる。プラスミドpBR313は、入手の制限な
しにアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに
寄託番号37018として寄託されている。
形質転換体をアンピシリン含有寒天培地上で選択し、
pBR313のBamHI部位における挿入を示すテトラサイクリ
ン耐性の欠失についてスクリーニングする。形質転換コ
ロニーは、BamHI部位に1350bp挿入物を有するpBR313か
らなるプラスミド、pRIT10640を含むことが判明した。
該挿入物は、HBsAgをコードできるヌクレオチド配列で
ある。該挿入物は推定的HBsAg前駆体蛋白部分および全
体表面抗原をコードし、また、565bpの3′非コード付
け配列を含有する。
実施例4 酵母arg3遺伝子をpBR322と組合わせることによる、ar
g3調節域を含有する中間プラスミド、pMC200の調製 arg3遺伝子を特定する3300bp酵母DNAフラグメント
を、pYeura3arg3をHindIIIで消化することにより得る。
プラスミドpYeura3arg3については、クラビールら〔Cra
beel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.,Vol.78,5026,
(1981)〕によって記載されている。該3300bpフラグメ
ントをpBR322のHindIII部位中にクローンし、実質的に
前記と同様にしてイー・コリK12株MM294中に形質転換さ
せる。形質転換体をアンピシリン培地上で選択し、テト
ラサイクリン耐性についてスクリーニングする。形質転
換コロニーは、HindIII部位に挿入物を有するpBR322か
らなるプラスミドpMC200を含有することが判明した。こ
のプラスミドは、以下の実施例に記載するように酵母細
胞においてHBsAgヌクレオチド配列の転写を行なうこと
のできるarg3調節域を含んでいる。イー・コリK12株MM2
94(pMC200)はヨーロッパ特許条約およびブダペスト条
約に従いアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクショ
ンに1982年6月2日付で寄託番号ATCC39130として寄託
されている。
オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OCT)
のためのN−端末コード付け配列部分および5′−非翻
訳先端域の部分を含め、arg3遺伝子の一部のヌクレオチ
ド配列は、ヒュイゲンら〔Huyghen et al.,Arch.Intl.P
hysical.Bioshem.,Vol.89,B172,(1981)〕によって決
定されている。第4図にこの公知の配列の210bpフラグ
メントを示す。該210bpフラグメントpMC200中の3300bpH
indIII酵母DNA挿入物上に独特なHincII、BglIIおよびEc
oRI部位を含有し、該OCT蛋白コード付け配列のための開
始コードンは第4図中の四角で囲んだATGコードンと考
えられる。HBsAg単独またはHBsAg前駆体とクローンした
HBV DNA由来のHBsAgをコードする配列の酵母DNAのHincI
I、BglIIまたはEcoRI部位への導入は遺伝子融合をもた
らし、該遺伝子融合が融合部位を越えて翻訳を継続させ
るための正しい方向にある場合には、該arg3調節域から
転写、翻訳されたハイブリッド蛋白を産生するものと考
えられる。
実施例5 pRIT10640をpMC200と組合わせることによる、HBsAgお
よび調節域を含む中間プラスミド、pRIT10671およびpRI
T10672の調製 pMC200 5μgをBglII6.4単位で37℃にて2.5時間消化
し、0.1Mグリシン、0.01MMgCl2・6H2Oおよび0.01mMZnCl
2を含有する等容量の緩衝液(pH10.5)で希釈し、ウシ
腸アルカリ性ホスファターゼ0.5単位と共に37℃にて30
分間インキュベートし、5′末端リン酸塩残基を除去す
る。該混合液を緩衝液−飽和フェノールで2回、エーテ
ルで3回抽出する。DNAをエタノールで沈澱させ、0.01M
トロメタミン緩衝液(pH7.5)に溶解する。
pRIT10640 25μgをBamHIで消化し、HBV DNAの1350bp
BamHIフラグメントを切除する。該1350bpフラグメント
を調製アガロースゲル電気泳動および電気溶出により精
製する。溶出DNAをエタノール沈澱により回収、濃縮
し、0.01Mトロメタミン緩衝液(pH7.0)20μl中に溶解
する。HBsAgコード付け配列を含むBamHIフラグメント0.
3μgをBglII消化pMC200 0.5μgと混合し、該混合物を
T4DNAリガーゼと共にインキュベーションして結紮す
る。
該結紮DNAをイー・コリK12株MM294のコンピテント細
胞を形質転換するのに用いる。形質転換体を200μg/ml
アンピシリン含有寒天平板上で選択する。アンピシリン
寒天培地上で連続継代して12個の耐性コロニーを単離
し、ビルンボイムら〔Birnboim et al.,Nucl.Acid.Re
s.,Vol.7.1513(1979)〕により記載された方法によっ
てプラスミドを単離する。アガロースゲル電気泳動によ
る分析は、すべてのプラスミドがHpaIによって制限さ
れ、BamHIフラグメントの挿入を示し、また、挿入フラ
グメントの両方の方向が12個の形質転換コロニー中にあ
ることを示している。該プラスミドはCsCl−臭化エチジ
ウム密度グレジエント遠心分離法によって単離される。
1つのプラスミド、pRIT10671は、HBsAgコード付け配列
の転写のための正しい方向でBalII部位に融合されたBam
HIフラグメントを含み、OCTの18個のN−末端アミノ
酸、推定的HBsAg前駆体蛋白の42個のアミノ酸およびHBs
Agの226個のアミノ酸からなる286個のアミノ酸融合蛋白
を生じる。該融合蛋白は以下の実施例8で示されるHBsA
gである。pRIT10671を含有する形質転換体を、イー・コ
リK12株MM294(pRIT10671)と命名する。pRIT10671を第
5図に示す。
中間プラスミドとしてのpRIT10640の使用は必須では
ない。例えば、該BamHIフラグメントはpRIT10616から切
り出すことができる。
もう1つのプラスミド、pRIT10672は、HBsAgコード付
け配列の転写のための正しくない方向にあるBamHIフラ
グメントを含んでいる。このプラスミドを含む形質転換
体をイー・コリK12株MM294(pRIT10672)と命名する。
実施例6 pRIT10671およびpRIT10672をシャトルベクターYEp13
と組合わせることによるプラスミド、pRIT10673およびp
RIT10674シャトルベクターの調製 ベクターYEp13はイー・コリ・サッカロミセス・セレ
ビシアエ・シャトルベクターである。ベクターYEp13は
ブローチら〔Broach et al.,Gene,Vol.8,121,(197
9)〕に記載されており、ジエイ・ヒックス(J.Hicks,C
old.Spring Harbor Laboratories New York,U.S.A)に
よって供給された。小さいHindIIIフラグメントを、Hin
dIIIによる消化でプラスミドから切除し、該プラスミド
を再結紮して、単一のHindIII部位を含む誘導プラスミ
ド、YEp13HindIIIを調製する。精製YEp13HindIIIをHind
IIIで消化し、アルカリ性ホスファターゼで処理して再
結紮を抑制する。該DNAをフェノール抽出およびエタノ
ール沈澱によって回収する。
精製pRIT10671およびpRIT10672をBamHIで消化し、ア
ルカリ性ホスファターゼで処理してpBR322部分の再形成
を抑制する。該処理DNAをさらにHindIIIで消化して調節
域−HBsAg遺伝子融合を含む4650bpHindIIIフラグメント
を遊離させ、ついで、その試料をフェノールで抽出し、
エタノールで沈澱させる。pRIT10671およびpRIT10672か
ら誘導したDNA調製物各0.4μgを、別々に、HindIII消
化YEp13HindIII0.4μgと混合し、該混合物をT4DNAリガ
ーゼと共にインキュベートする。
各結紮混合物の一部分をイー・コリK12株MM294のコン
ピテント細胞を形質転換するのに用いる。形質転換体を
アンピシリン寒天培地上で選択する。形質転換体コロニ
ーを単離し、ビルンボイムら〔Birnboim et al.,Nucl.A
cid.Res.,Vol.7,1513(1979)〕によって記載された方
法により、それらのプラスミドの内容を調べた。形質転
換体コロニーの1つ、イー・コリK12株MM294(pRIT1067
3)は第 図に示すような正しい方向で、YEp13HindIII
上に挿入されたpRIT10671からのHindIIIフラグメントを
含むプラスミド、pRIT10673を含有する。もう1つの形
質転換体コロニー、イー・コリK12株MM294(pRIT1067
4)は、YEp13HindIII上に正しくない方向で挿入されたp
RIT10672からのHindIIIフラグメントを含むプラスミ
ド、pRIT10674を含有している。
実施例7 pRIT10673およびpRIT10674による酵母の形質転換 プラスミドpRIT10673およびpRIT10674を、イー・コリ
K12株MM294(pRIT10673)およびMM294(pRIT10674)の
精澄な溶解質よりCsCl−臭化エチジウム密度グレジエン
ト遠心分離法によって単離する。
A.サッカロミセス・セレビシアエ株DC5ブローチら〔B
roach et al.,Gene,Vol.8,121,(1979)〕によって記載
されている。サッカロミセス・セレビシアエ株DC5(leu
2〜3、leu2〜113、his3、can1〜11)は、ジエイ・ヒッ
クス(J.Hicks,Cold Spring Harbor Laboratories New
York,U.S.A)から得られ、ヨーロッパ特許条約およびブ
ダペスト条約にしたがってアメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクション(アメリカ合衆国メリイランド州、
ロックビル)に1982年6月2日に寄託番号20630として
寄託されている。プロトプラスト化をβ−グルコウロニ
ダーゼ(0.24単位/ml最終濃度)およびアリールスルフ
ァターゼ(1.2単位/ml最終濃度)の混合物を用いて0.8M
ソルビトール、0.03Mβ−メルカプトエタノールおよび
0.1Mリン酸カルシウム緩衝液(pH7.5)中で行なう以外
は、ハイネンら〔Hinnen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,Vol.75,1929(1978)〕によって記載された方法
によってDC5株の細胞を増殖させ、形質転換用に調製す
る。酵母プロトプラストを、別々に、pRIT10673 10μg
およびpRIT10674 10μgと共にインキュベートし、形質
転換体をロイシン欠損再生寒天培地中で選択する。再生
寒天培地中で増殖したコロニーを回収し、0.675%アミ
ノ酸欠損酵母窒素基本培地、2%グルコース2%寒天お
よび80μg/mlヒスチジンを含有する固体培地上に画線塗
抹し、30℃で増殖させる。DC5株の1コロニーはpRIT106
73で形質転換され、これをサッカロミセス・セレビシア
エ株DC5(pRIT10673)を命名する。もう1つのコロニー
はpRIT10674で形質転換され、これをサッカロミセス・
セレビシアエ株DC5(pRIT10674)と命名する。
DC5(pRIT10673)株およびDC5(pRIT10674)株の培養
物を80μg/mlヒスチジン加酵母窒素基本培地中で、620
μmにおいて0.33〜1.0の光学密度が得られるまで増殖
させる。DC5(pRIT10674)株は調節域に対して正しくな
い方向で融合されたHBsAgコード付け配列を含んでいる
ので陰性対照として有用である。細胞を遠心分離により
回収し、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、1mMフッ
化フェニルメチルスルホニル(PMSF)加PBS5ml中に20〜
160倍濃度で再懸濁させる。細胞を、フレンチ・プレッ
シャーセル(French Pressure Cell)に12000psi(83MP
a)で2回通過させて破壊し、溶解質を7700×Gで15分
間、ついで30000×Gで30分間遠心分離する。上澄液を
回収し、マイレックス(Millex)GVメンブラン上で濾過
する。
上澄液における特異抗−HBsAg抗体と反応する蛋白の
存在を、Ausria ラジオイムノアッセイ法によりテスト
する。このようにして調製されたサッカロミセス・セレ
ビシアエ株DC5(pRIT10673)の清澄細胞抽出物はPBSで1
6〜256倍に希釈してテストした場合でも陽性反応を与
え、一方、DC5(pRIT10674)株抽出物は、抗−HBsAg抗
体と反応する蛋白の存在に関するこの分析では陰性であ
った。
B.サッカロミセス・セレビシアエ株1c1697d サッカロミセス・セレビシアエ株1c1697dはヨーロッ
パ特許条約およびブダベスト条約に従ってアメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクションに1982年6月2日に
寄託番号ATCC20631として寄託されている。前記の方法
を用い、アルギニン栄養緩徐株1c1697d(argJ±、leu2
〜1)をpRIT10673およびpRIT10674で形質転換させる。
該栄養緩徐株のロイシン非依存性コロニーの1つをpRIT
10673で形質転換させ、サッカロミセス・セレビシアエ
株1c1697d(pRIT10673)と命名する。もう1つのロイシ
ン非依存性コロニーを、pRIT10674で形質転換させサッ
カロミセス・セレビシアエ株1c1697d(pRIT10674)と命
名する。
1c1697d(pRIT10673)株および1c1697d(pRIT10674)
株の培養物を20μg/mlアルギニン補足酵母窒素基本培地
中で増殖させる。細胞を回収し、細胞抽出物を前記と同
様にして調製する。1c1697d(pRIT10673)株の清澄細胞
抽出物は、1/2048まで希釈してもAusria ラジオイムノ
アッセイにおいて陽性の結果を示すが、1c1697d(pRIT1
0674)株の抽出物では、この分析において一様に陰性で
あった。
これらの結果から、DC5株およびpRIT10673で形質転換
された1c1697d部の酵母細胞は、HBsAg決定子を有する融
合蛋白の形態でHBsAgを特異的に合成すると結論づけら
れる。
実施例8 サッカロミセス・セレビシアエ株1c1697d(pRIT1067
3)からのHBsAgによるウサギの免疫法 サッカロミセス・セレビシアエ株1c1697d(pRIT1067
3)を620μmにおける光学密度が0.60となるまで増殖さ
せ、遠心分離によって採集する。細胞を1mM PMSF加PBS
中に40倍濃度で再懸濁する。清澄細胞抽出物を実施例7
に記載の方法に従って調製する。同様にして、1c1697d
(pRIT10674)株の清澄細胞抽出物を調製する。これら
の抽出物をウサギの免疫付与に用いる。6匹のウサギか
らなる第1群には、フロインド完全アジュバント1mlと
混合した1c1697d(pRIT10673)株抽出物1mlを非経口的
注入で第0、9、15、30および37日目に与える。3匹の
ウサギからなる第2群には、フロインド完全アジュバン
ト1mlと混合した1c1697d(pRIT10674)株抽出物1ml非経
口的注入で同じ日に与える。両群から第0(免疫付与
前)、23、51、および65日目に、また、第1群からは第
44日目にも血清を採取し、Ausab ラジオイムノアッセ
イを用いて抗−HBsAg抗体の存在をテストした。これら
の結果を第1表に示す。これらの結果は、1c1697d(pRI
T10673)株からの抽出物の注入を受けた6匹のウサギの
うち4匹がHBsAgに対する抗体を生じたことを示してい
る。1c1697d(pRIT10674)株からの抽出物の注入を受け
た3匹の対照のウサギはいずれも抗−HBsAg抗体産生の
形跡を示していない。これらの結果から、1c1697d(pRI
T10673)株抽出物はHBsAgを含み、重篤な副作用なしに
ヒトにおけるHBV感染に対する保護を惹起するためのワ
クチンに用いることができると結論される。
実施例9 arg3調節域を含有するpMC200からのプラスミド、pRIT
10749の調製 精製pMC200をHincIIで消化し、10%アクリルアミドゲ
ル上で電気泳動にかける。arg3調節域を含有する1940bp
フラグメントを電気溶出およびエタノール沈澱によって
該ゲルより回収する。該フラグメント約4μgを12.5mM
MgCl2、12.5mM CaCl2、200mM NaCl、1mM EDTAおよび20
0mMトロメタミン−HClを含有する緩衝液(pH8.0)100μ
l中でBal31エキソヌクレアーゼ0.2単位と共に30℃にて
1〜3秒間インキュベートする。該処理DNAをフェノー
ルで抽出し、エタノールで沈澱させる。その1μgをデ
オキシヌクレオチド三リン酸塩の存在下でT4DNAポリメ
ラーゼと共にインキュベートしていずれもの1本鎖端部
を修復し、ついで、EcoRIエンドヌクレアーゼで消化す
る。この方法で、Bal31による切除により種々の長さのD
NAフラグメントが産生される。各フラグメントは一端に
固定したEcoRI延長部を有し、もう一つの端部は元のHin
cII部位およびOCT蛋白開始コードンからいくつかの距離
を置いて位置した鈍化端(blunt end)となっている。a
rg3調節域を含有する約1480bpのフラグメントを7.5%ア
クリルアミドゲル上で電気泳動、ついで、電気溶出およ
びエタノール沈澱に付して単離する。このカットバック
調節域は、以下の実施例10に記載されるように、OCTア
ミノ酸配列を欠く蛋白合成に先立つ転写をプロモートす
ることができるので好ましい。
第2の一連の反応では、pMC200をXbaIで消化し、5′
−1本鎖端部をT4DNAポリメラーゼおよびデオキシヌク
レオチド三リン酸塩と共にインキュベートして詰込む
か、鈍化端とする。このDNAをEcoRIで消化し、3′から
XbaI部位までに位置する酵母DNA配列と、pBR322を含む
約5700bpの大きなEcoRI−T4/XbaIフラグメントを電気泳
動、電気溶出およびエタノール沈澱によって精製する。
このフラグメントを該1480bpプロモーター含有フラグメ
ントと混合し、これに結紮する。
該結紮混合物をイー・コリK12株MM294のコンピテント
細胞を形質転換するのに用いる。形質転換体をアンピシ
リン寒天培地上で選択する。プラスミドDNAをビルンボ
イム〔Birnboim et al.,Nucl.Acid.Res.,Vol.7,1513(1
979)〕の記載した方法によって形質転換体コロニーよ
り単離し、XbaIでの消化によってXbaI部位の存在につい
てスクリーニングする。XbaI部位は、第2の一連の反応
からのフラグメント上の詰込まれたXbaI部位が、XbaI認
識配列であるTCTAGAを新しい位置で復元させるように、
3′T残基で終わる第1の一連の反応からのもう1つの
フラグメントに結紮しているプラスミドにのみ存在して
いる。XbaI部位を有するプラスミドをpRIT10749と命名
した。これらの操作を示すフローシートを第6図に示
す。イー・コリK12株MM294(pRIT10749)は、ヨーロッ
パ特許条約およびブダペスト条約に従ってアメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクション(アメリカ合衆国メ
リイランド州、ロックビル)に、1982年6月2日付で寄
託番号ATCC39133として寄託されている。
pRIT10749の試料をBstEIIおよびXbaIの組合せで消化
する。切除されたarg3調節域のサイズは、BstEIIおよび
XbaIで同様に消化されたpMC200との比較により、また、
フックら〔Fuchs et al.,Gene,Vol.4,1(1978)〕によ
って記載されているファージφx174DNAフラグメントの
公知の分子量を参照することにより約210bpと算定され
た。
pRIT10749のBstEII−XbaIフラグメントのDNA配列を決
定するため、プラスミドDNAをBstEIIで消化し、交換キ
ネーションによってγ−32P−ATPで標識し、ついで、Ba
mHIエンドヌクレアーゼで消化して2000bpフラグメント
を遊離させ、電気溶出およびエタノール沈澱によって精
製する。標識フラグメントのDNA配列化はマキサムら〔M
axam et al.,Methods in Enzymology,Vol.65,499,(198
0)〕によって記載された化学的修飾法に従って行なわ
れる。この配列の1部分は、CCCATCAACTTGTACACTCGTCTA
GAと決定された。アンダーラインを施したヌクレオチド
は、5700bp EcoRI−T4/XbaIフラグメントから誘導され
る。第4図に示すDNA配列の相当区域と比較すると、修
復されたXbaI部位が、pMC200酵母DNA挿入物における元
のHincII部位のヌクレオチド9個上流の5′非翻訳先端
域中に位置することがわかる。
実施例10 pRIT10749をpRIT10601と組合わせることによる、HBsA
gおよび調節域を含有するプラスミド、pRIT10759および
pRIT10761の調製 pRIT10601をHhaIエンドヌクレアーゼで消化し、7.5%
アクリルアミドゲル上で電気泳動に付す。1100bpフラグ
メントを電気溶出およびエタノール沈澱によって回収す
る。このフラグメントの一部のDNA配列は、ピーターソ
ンら〔Peterson et al.,Viral Hepatitis,G.N.Vyas,S.
N.Cohen and R.Schmid.Eds.,Franklin Institute Pres
s,Philadelphia,U.S.A.(1978,P569)によって記載され
ているような、ayw抗原型HBsAgの公知のN−末端アミノ
酸配列に対応する配列を含有する。該フラグメントは、
5′〜HBsAg開始コードンに位置する6個のヌクレオチ
ド、完全なHBsAgコード付け配列および約390個の3′非
翻訳ヌクレオチドを含有する。
プラスミドpRIT10749のDNAをXbaIで消化し、該DNA約4
00ngを精製HhaIフラグメント約280ngと混合する。該混
合物を20mMトロメタミン−HCl、10mM MgCl2,1mMジチオ
トレイトールならびにdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP各33
mMを含有する緩衝液(pH7.5)20μl中で37℃にて30分
間T4DNAポリメラーゼ0.5単位と共にインキュベートす
る。該反応混合液に1mMATP2.5μ,10mM EDTA2.5μlお
よびT4DNAリガーゼ2μl(2単位)を加え、該混合液
を15℃にて16時間インキュベートする。
該結紮混合物をイー・コリK12株MM294のコンピテント
細胞を形質転換するのに用い、アンピシリン耐性形質転
換体を選択する。プラスミド調製物をいくつかのこれら
の形質転換体より作り、制限エンドヌクレアーゼ消化お
よびゲル電気泳動により分析した。その結果は鈍化端HB
VフラグメントがXbaI消化pRIT10749中に両方の可能な方
向で挿入されていることを示している。このようなプラ
スミドの1つ、pRIT10761はarg3プロモーターからHBsAg
配列を転写するための正しい方向の1100bp挿入物を含
み、BstEIIおよびXbaIによる連続的消化により271bpフ
ラグメントを生ずる。このpRIT10761を第7図に示す。
第2のプラスミド、pRIT10759は正しくない方向で挿入
物を包含し、BstEIIおよびXbaIエンドヌクレアーゼの組
合わせで消化すると、1175bpと算定されるフラグメント
を生ずる。pRIT10761について、arg3調節域−HBsAg挿入
接合部におけるヌクレオチドの配列を、γ−32P−ATPに
よるXbaI末端の交換キネーション標識付けの後、マキサ
ムら〔Maxam et al,.Methods in Enzymology,Vol.65,49
9(1980)〕の化学的修飾法を用いて271bp BstEII−Xba
Iフラグメントを配列化することにより決定する。arg3
調節域−HBsAg接合部に対して決定された配列はTACACTC
GTCTACTGAACATGである。XbaI制限部位がT4DNAポリメラ
ーゼによって完全には修復されず、グアニン残基1つを
欠失していることがわかる。該arg3非翻訳先端部にはHB
V起源の6個のヌクレオチド、CTGAACが直接続き、さら
にHBsAg開始コードン、ATGおよびHBsAg構造遺伝子のコ
ード付け配列が続いている。HBsAg開始コードンはarg3
プロモーターの下流にある最初の開始コードンである。
そのため、該DNAから転写されたmRNAの翻訳はそのコー
ドンで開始され、合成されたHBsAgは異質アミノ残基を
欠失することになる。合成されたHBsAgは融合蛋白では
なく、HBsAg標品と構造的に本質的に同じものである。
実施例11 pRIT10761をYEp13HindIIIと組合わせることによるプ
ラスミドpRIT10764およびpRIT10765の調製 pRIT10761およびPRIT10759を別々にPstIおよびBamHI
で消化してpBR322レプリコン部分を破壊し、ついでHind
IIIで消化して挿入されたHBV DNAおよび調節域を担持す
るDNAフラグメントを遊離させる。該DNAをフェノールで
抽出し、エタノールで沈澱させ、0.01Mトロメタミン−H
Clおよび0.001M EDTAを含有する緩衝液(pH7.5)に溶解
する。各DNA調製物の0.6μgを前記と同様な方法で調製
されるYEp13HindIIIのHindIII消化、アルカリ性ホスフ
ァターゼ処理DNA0.3μgと混合し、該混合物を結紮す
る。
該結紮混合物をイー・コリK12株MM294のコンピテント
細胞の形質転換に用い、アンピシリン耐性形質展換体を
選択する。1つの形質転換体は、pRIT10761由来のHindI
IIフラグメントをYEp13HindIII上に挿入してなるプラス
ミドpRIT10764を含有することが示された。また、別の
形質転換体はpRIT10759由来HindIIIフラグメントをYEp1
3HindIII上に挿入してなるプラスミドpRIT10759を含有
することが示された。pRIT10761およびpRIT10764の調製
フローシートを第7図に示す。
実施例12 pRIT10764およびpRIT10765による酵母の形質転換 pRIT10764およびpRIT10765を実施例11で調製された形
質転換体の培養物よりCsCl−臭化エチジウム密度グレジ
エント遠心分離法によって単離し、各10μgを実施例7
を記載の方法により酵母株1c1697dの細胞を形質転換す
るのに用い、再生寒天培地上でロイシン−非依存性形質
転換体を選択する。これらの形質転換から生ずるロイシ
ン−非依存性コロニーを菌株1c1697d(pRIT10764)と命
名する。もう1つの形質転換体をサッカロミセス・セレ
ビシアエ株1c1697d(pRIT10765)と命名する。これらの
菌株の培養物を2%グルコースおよび20μg/mlアルギニ
ン補足酵母窒素基本培地中で620μmにおける光学密度
が0.80〜0.88となるまで増殖させる。細胞を集め、細胞
不含抽出液を調製し、実施例7に記載されるようにAusr
ia ラジオイムノアッセイによりHBsAgについて分析す
る。1c1697d(pRIT10764)の抽出物は、PBSによる希釈
度が1/1024まででもこの分析において陽性の結果を示す
が、1c1697d(pRIT10765)株は非希釈抽出物でもこの分
析において一様に陰性であった。遺伝学およびラジオイ
ムノアッセイの結果より、サッカロミセス・セレビシア
エ株1c1697d(pRIT10674)の細胞は、ヒトにおけるHBV
感染に対する保護を重篤な副作用なしで惹起するための
ワクチンに使用できるHBsAgを合成すると結論される。
【図面の簡単な説明】
第1図はpRIT10601の制限エンドヌクレアーゼ開裂地
図、第2図はpRIT10606の制限ヌクレアーゼ開裂地図、
第3図はpMC200の制限エンドヌクレアーゼ開裂地図、第
4図はpMC200における3300bp HindIII酵母DNA挿入物の
一部分のヌクレオチド配列、第5図はpRIT10671およびp
RIT10673の製造を示すフローシート、第6図はpRIT1074
9の製造を示すフローシート、第7図はpRIT10761および
pRIT10764の製造を示すフローシートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 21/02 (C12P 21/02 C12R 1:865) C12R 1:865) (72)発明者 ハーフォード・ニジェル ベルギー国ベー‐1900オベリージュ、ジ ェフ・ランボーラン9番 (56)参考文献 特開 昭58−77823(JP,A) 特開 昭55−104887(JP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,Vol.78,No.8(A ugust 1981)p.5026〜5030

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】HBsAgをコードするヌクレオチド配列およ
    び酵母において転写を行うことのできる調節域からな
    り、該配列がHBsAgの免疫原性を保持し、HBsAgの226個
    のアミノ酸からなるポリペプチドと、そのN−末端にお
    けるポリペプチド延長部とからなるポリペプチドをコー
    ドし、該延長部は、一部がHBsAgのプレ‐S領域より由
    来し、一部がHBsAgのプレ‐S領域より由来しないポリ
    ペプチドであって、該プレ‐S領域より由来の部分がHB
    sAgの226個のアミノ酸に天然に先行する該N−末端アミ
    ノ酸を含めて42個までのアミノ酸により形成されている
    ことを特徴とする組換型DNA分子。
  2. 【請求項2】プレ‐S領域より由来の延長部がHBsAgポ
    リペプチドの226番目のアミノ酸に天然に先行する42個
    のアミノ酸より形成されている請求項1記載のDNA分
    子。
  3. 【請求項3】プレ‐S領域より由来しない延長部がオル
    ニチン・カルバモイルトランスフェラーゼの18個のN−
    末端アミノ酸をコードする請求項2記載のDNA分子。
  4. 【請求項4】HBsAgをコードするヌクレオチド配列およ
    び酵母において転写を行うことのできる調節域からな
    り、該配列がHBsAgの免疫原性を保持し、HBsAgの226個
    のアミノ酸からなるポリペプチドと、そのN−末端にお
    けるポリペプチド延長部とからなるポリペプチドをコー
    ドし、該延長部は、一部がHBsAgのプレ‐S領域より由
    来し、一部がHBsAgのプレ‐S領域より由来しないポリ
    ペプチドであって、該プレ‐S領域より由来の部分がHB
    sAgの226個のアミノ酸に天然に先行する該N−末端アミ
    ノ酸を含めて42個までのアミノ酸により形成されている
    組換型DNA分子を含むプラスミドで形質転換された酵
    母。
  5. 【請求項5】サッカロミセス・セレビシアエである請求
    項4記載の酵母。
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