JP2501783Y2 - プレス装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、例えば冷間鍛造等を行なう際に使用するプ
レス装置に関する。

（従来の技術） 鍛造等に使用される縦形プレスにおいて、下型のサイ
ズには様々なものがあるため、従来は、下型をプレス装
置の所定位置に取付ける場合、下型サイズに応じた穴径
をもつ下型締付板を用意し、この下型締付板を下型に装
着するとともに、長尺なボルトを用いて下型締付板を下
型取付ベースに固定することにより、下型が所定位置に
保持されるようになっていた。このような下型締付板を
用いた場合、下型を交換するには、下型締付板を取外し
た状態で、ハンドリフタ等を用いた金型交換装置によっ
て、プレス装置に対する下型の脱着を行なうようにして
いる。従って、下型締付板の脱着作業は下型とは別に手
作業で行われていた。

（考案が解決しようとする課題） 下型締付板はかなりの重量があるため、手作業での取
扱いには多大の労力を必要とし、作業能率も悪いなど作
業員に与える負担が大きかった。

従って本考案の目的は、各種サイズの下型を、この下
型に一体化される下型固定治具を用いて、共通の下型取
付ベースの所定位置に保持するようにし、下型交換時に
下型と一緒に上記治具も交換することができるようなプ
レス装置を提供することにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を果たすために開発された本考案のプレス装
置は、下型と、この下型の外径に応じた穴径の内周部を
有するとともに環状の外周壁の所定位置に穿設された複
数のねじ孔を有しかつ上記内周部を上記下型に嵌合させ
ることによって下型と一体化させられる環状の下型固定
治具と、上記下型固定治具を下型取付ベースの所定位置
に着脱可能に固定することにより上記下型固定治具を介
して下型を所定位置に保持するクランプ手段と、一端側
に上記下型固定治具の上記ねじ孔に螺合される雄ねじ部
を有して上記下型固定治具と下型を互いに固定せしめか
つ他端側が上記下型固定治具の上記外周壁から離れる水
平方向に延設される吊持用の左右一対の吊り金具とを具
備したことを特徴とするものである。

（作用） 本考案のプレス装置において下型を交換する場合、上
記クランプ手段による下型固定治具の拘束を解除した状
態で、ハンドリフタ等を用いた金型交換装置のフォーク
を上記吊り金具に引っ掛け、フォークを上昇させる。こ
の下型と下型固定治具は吊り金具の一端側の雄ねじ部を
介して互いに固定されているから、上記フォークによっ
て吊り金具を上昇させると、下型が下型固定治具と一緒
に所望高さまで上昇する。この状態で金型交換装置を後
退させると、下型と下型固定治具をプレス装置から取り
出すことができる。こうして下型固定治具と一体に下型
の交換を行なう。下型固定治具の穴径は下型のサイズに
合わせてあるが、下型固定治具の外径はクランプ手段が
設けられている位置に合わせてあるから、下型取付ベー
スは共通である。下型のサイズに応じた下型固定治具を
下型に装着することによって、複数種類の下型をプレス
装置内の所定位置に保持することができる。

（実施例） 以下に本考案の一実施例について、第１図ないし第11
図を参照して説明する。

第１図に、冷間鍛造用のプレス装置１の一部が示され
ている。このプレス装置１は、下型組立体２と、上型組
立体３とを備えている。上型組立体３は、図示しないプ
レス駆動機構によって昇降駆動されるようになってい
る。

下型組立体２は、下型取付治具５と、下型取付ベース
の一例としての下圧力板６と、ダイ等の下型７を備えて
構成されている。下圧力板６は、締付プレート８によっ
て、下型取付治具５に固定されている。下型７は、下圧
力板６に設けられた凹部９に嵌合させられる。この下型
７は、後述する下型固定治具12を介して、クランプ手段
の一例としてのボルト等を用いたクランプ機構10によっ
て、下圧力板６に固定される。下型７は、クランプ機構
10を外すことにより下圧力板６の凹部９から取出すこと
ができる。

図示例のクランプ機構10は、締付ボルト10aを用いて
いるが、ボルト10aの代りに、油圧シリンダと、くさび
部材等によって、下型固定治具12を固定する構造であっ
てもよい。下型固定治具12の左右両側部に、吊上げ用引
っ掛け部の一例として、水平方向に延びる一対のアーム
状の吊り金具11が設けられている。

下型固定治具12の一例は第２図に示されるような形状
をなしており、下型７の外周部に嵌合されるようになっ
ている。下型固定治具12は、その平面視において円環状
をなしている。すなわちこの治具12は、下型７の外径に
応じた穴径の内周部12aを有しており、この内周部12aに
下型７の外周部を嵌合させることによって、下型固定治
具12が下型７と一体化させられる。

第２図中の符号13はボルト挿入用のねじ孔であり、こ
のねじ孔13にボルト13aを挿入して締付けることによ
り、下型７の抜け止めをなすようになっている。ボルト
13aは、吊り金具11の端部に設けられたものであっても
よいし、あるいは吊り金具11とは別体のボルトであって
もよい。下型固定治具12の外周部には、クランプ機構10
を係止させるための段状の係止部14が設けられている。
この係止部14は、ボルト10aを緩めた状態でクランプ機
構10をボルト10aの軸回りに回転させるか、あるいはボ
ルト10aを取外すことにより、クランプ機構10との係合
が解除されるようになっている。

上型組立体３は、上型取付治具15と、上圧力板16と、
第１の締付板17と、パンチ等の上型18と、調整リング19
と、第２の締付板20等を備えて構成されている。

第１の締付板17は、固定手段の一例としてのボルト等
の固定用部材21によって、上型取付治具15の下面側に固
定されるようになっている。しかもこの第１の締付板17
は、固定用部材21を緩めた時（非締付状態にした時）
に、第４図等に示されるように、上型取付治具15との間
にある程度の隙間22が生じるようになっている。すなわ
ち第１の締付板17は、上下方向にある程度のストローク
範囲で昇降可能である。なお、固定用部材21は、ボルト
を用いる代りに、油圧シリンダ等によって締付板17をク
ランプする機構が採用されてもよい。

第３図に示されるように、第１の締付板17は、その平
面視において、おおむね馬蹄状をなしている。すなわち
この締付板17は、一端側（プレス装置１の前面側）に開
口部25を有する切欠き26を備えている。切欠き26の周縁
に、段差状の支持縁部27が設けられている。この切欠き
26に嵌合させられる第２の締付板20は、上記開口部25側
から支持縁部27の上に乗せるようにして水平方向に滑り
込ませることによって挿入され、切欠き26に嵌合した状
態で支持縁部27によって支持される。従って、切欠き26
の形状は第２の締付板20の形状に対応している。

第２の締付板20に、円形の孔28が設けられており、こ
の孔28に上型18が上方から挿入される。上型18のサイズ
は数種類あるから、上型18の外径に応じた大きさの孔28
があけられた締付板20の複数種類用意しておき、上型18
のサイズに応じたものを選んで使用する。第２の締付板
20の外形・寸法は同一とする。こうすることにより、各
種サイズの上型18に対して共通の第１の締付板17を使用
できる。

下型７と上型18は、第７図および第８図に示される金
型交換装置40によって交換することができる。この金型
交換装置40は、既存の油圧式ハンドリフタを改造したも
のであり、車輪41,42を有するベースフレーム43と、こ
のベースフレーム43の垂直方向に延びる支柱フレーム44
と、この支柱フレーム44に昇降自在に保持された昇降体
45と、この昇降体45を上昇させる油圧シリンダ46と、操
作レバー47と、バランスウエイト48等を備えて構成され
ている。

昇降体45は、前後方向に延びる左右一対のフォーク51
を有している。フォーク51の先端部近傍に、前方を向く
左右一対の吊りフック52が設けられている。吊りフック
52は、フォーク51の下面側に突出している。吊りフック
52は、前述した下型７の吊り金具11に引掛けることがで
きる。

フォーク51の上面側に、第９図に示されるような型替
治具55が装着される。この型替治具55は、アングル材等
を利用した左右一対の上型載置台56と、これら上型載置
台56をつなぐ連結材57を備えている。上型載置台56の基
部に孔58が設けられている。この孔58は、フォーク51の
上面の所定位置に突設された位置決め用の突起59に嵌合
するようになっている。連結材57の長手方向中央にも位
置決め用の突起60が設けられている。この突起60は、第
２の締付板20に設けられた孔61に嵌合するようになって
いる。上型載置台56,56間の距離Ｌは、切欠き26の幅Ｗ
よりも小さく、かつ上型18の外径よりも大きい。

上述した下型７と上型18は、以下に述べる手順によ
り、プレス装置１に対する脱着作業が行われる。

第１図に示されるように、下型組立体２に組付けられ
ている下型７と、上型組立体３に組付けられている上型
18を取出すには、クランプ機構10による下型固定治具の
拘束を解くとともに、第４図に示されるように上型の固
定用部材21を緩めることにより、第１の締付板17を若干
降下させ、上型取付治具15と第１の締付板17との間に隙
間22をあける。

そして金型交換装置40をプレス装置１に向かって前進
させることにより、第10図に示されるようにフォーク51
を下型７と上型18との間に進入させ、吊りフック52が吊
り金具11に係合できる位置で停止させる。

そののち、第５図に示されるようにフォーク51を上昇
させることにより、吊りフック52を吊り金具11に引っ掛
けるとともに下型７を上昇させ、下型７を下圧力板６の
凹部９から取出す。

フォーク51を更に上昇させ、第６図に示されるよう
に、第２の締付板20の下面に上型載置台56の上面を突き
当て、第２の締付板20を持ち上げる。こうすることによ
り、第２の締付板20と一緒に調整リング19と上型18が上
昇し、第２の締付板20と調整リング19と上型18を一体に
取出すことができる状態となる。

この状態で、第11図に示される矢印Ｒ方向に金型交換
装置40を後退させると、フォーク51に吊下げられている
下型７と、フォーク51の上方に乗っている上型18を取出
すことができる。取出された下型７と上型18は、この交
換装置40を使って所望の保管位置まで搬送される。その
後、新たな下型７と上型18が保持された交換装置40を、
上記とは逆方向に動かすことにより、型取出し時とは逆
の手順で、新たな下型７と上型18がプレス装置１内の所
定位置に組付けられ、下型７と上型18の交換作業が終了
する。

本実施例によれば、金型交換装置40のフォーク51を下
型７と上型18との間に進入させてフォーク51を上昇させ
るだけの一動作で、下型７と上型18をフォーク51に保持
させることができる。そしてそのまま金型交換装置40を
後退させるだけで、下型７と上型18を一度に取出すこと
ができるから、交換装置40を移動させる手段が１回です
み、下型７と上型18の交換作業を迅速に行なうことがで
きる。

なお第12図ないし第14図は、外径の大きな下型７の場
合に使用される下型固定治具90を示している。この下型
固定治具90は、円周方向に２等分された２個の円弧状分
割片90a,90bを、連結板91とボルト92を用いて互いに固
定することにより、円環状の下型固定治具90を構成して
いる。この下型固定治具90は、その内周部90cを、下型
７の外周部に形成された環状溝95に抱き合わせるように
嵌合させたのち、円弧状分割片90a,90bを連結板91とボ
ルト92によって連結することにより、下型７に組付けら
れる。この治具90の外周部にも、クランプ機構10を係止
するための段状の係止部96が設けられている。この場
合、吊り金具11は、下型７に取付けられている。

なお、下型７と下型固定治具12（または90）との間
に、適宜の中間リングが設けられてもよい。また、下型
取付ベースは、下圧力板６以外の種々の態様のものが採
用されてもよい。

［考案の効果］ 本考案のプレス装置によれは、金型交換装置のフォー
クを吊り金具に引っ掛けることによって下型と下型固定
治具を同時に吊り上げることができるとともに、金型交
換装置を後退させることで下型と下型固定治具をプレス
装置から取り出すことができ、下型の交換作業を能率良
く行なうことができるため金型交換に要する労力の軽減
化が図れる。また上記吊り金具は、下型と下型固定治具
とを互いに固定する部材を兼ねるため構造が簡略化し、
部品数も削減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第11図は本考案の一実施例を示し、第１図
は冷間鍛造プレス装置の縦断面図、第２図は下型固定治
具の断面図、第３図は上型と締付板を示す斜視図、第４
図ないし第６図はそれぞれ第１図に示されたプレス装置
の金型交換時の状態を工程順に示す縦断面図、第７図は
金型交換装置の側面図、第８図は金型交換装置の平面
図、第９図は型替治具の斜視図、第10図と第11図はそれ
ぞれ金型交換時の状態を示すプレス装置と金型交換装置
の一部の側面図、第12図は下型固定治具の変形例を示す
プレス装置の一部の断面図、第13図は第12図中に示され
た下型固定治具の一部を断面で示す正面図、第14図は第
13図中のＡ−Ａ線に沿う断面図である。 １……プレス装置、７……下型、10……クランプ手段、
12……下型固定治具、12a……内周部、40……金型交換
装置、90……下型固定治具。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下型（７）と、 この下型（７）の外径に応じた穴径の内周部（12a）を
   有するとともに環状の外周壁の所定位置に穿設された複
   数のねじ孔（13）を有しかつ上記内周部（12a）を上記
   下型（７）に嵌合させることによって下型（７）と一体
   化させられる環状の下型固定治具（12）と、 上記下型固定治具（12）を下型取付ベース（６）の所定
   位置に着脱可能に固定することにより上記下型固定治具
   （12）を介して下型（７）を所定位置に保持するクラン
   プ手段（10）と、 一端側に上記下型固定治具（12）の上記ねじ孔（13）に
   螺合される雄ねじ部（13a）を有して上記下型固定治具
   （12）と下型（７）を互いに固定せしめかつ他端側が上
   記下型固定治具（12）の上記外周壁から離れる水平方向
   に延設される吊持用の左右一対の吊り金具（11）と、 を具備したことを特徴とするプレス装置。