JP2024057465A - VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂 - Google Patents

VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体が得られるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】酸成分を由来とする構成単位及びアルコール成分を由来とする構成単位からなるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂であって、前記酸成分が少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記アルコール成分が少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25である、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
不飽和ポリエステル樹脂組成物は、その硬化物が耐水性、耐薬品性に優れ、更に外観にも優れることから、人造大理石などの装飾材料、シーリング材、塗料や接着剤用の樹脂として用いられている。また、補強材と複合化して高い強度を有する材料(FRP)としても用いられている。
VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形法は、次のような利点があるため、FRPの成形方法として、広く用いられている。VaRTM成形法は、オートクレーブ等の設備が不要であり、大型構造物の一体成形が容易であり、有機溶剤の揮発が少なく作業環境を良好にできる。また、VaRTM成形法は、繊維含有率が高くボイド含有率の低い高品質なFRPを成形できる。そのため、VaRTM成形法に適した不飽和ポリエステル樹脂組成物が望まれており、開発も進められている。
たとえば、特許文献1には、低収縮性、表面平滑性、耐水性の向上を目的として、ジシクロペンタジエンを原料とする不飽和ポリエステルとスチレンとスチレンアクリルランダム共重合体を含む、常温硬化性不飽和樹脂組成物が開示されている。
特開2007-084701号公報
上述のようにVaRTM成形法は大型構造物の一体成形が容易であるという利点を活かし、船や自動車用部品などの機械強度が要求される用途へ展開されている。近年では形状の複雑化、大きさの多様化に伴い、従来の不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物よりも高い機械強度が必要とされている。そのため、VaRTM成形法に使用できる常温硬化性を有し、優れた機械強度を発現する不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物が求められている。
そこで、本発明の課題は、常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体が得られるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂を提供することである。
本発明者らは、特定の酸成分及びアルコール成分を由来とする構成単位を含み、アルコール成分の比率が特定の範囲である不飽和ポリエステル樹脂と、当該樹脂を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、下記に関する。
[1]酸成分を由来とする構成単位及びアルコール成分を由来とする構成単位からなるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂であって、前記酸成分が少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記アルコール成分が少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25である、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[2]酸成分中の無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸の合計含有量が、90~100モル%である、上記[1]に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[3]アルコール成分中のプロピレングリコール及びジエチレングリコールの合計含有量が、90~100モル%である、上記[1]又は[2]に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[4]無水フタル酸に対する前記不飽和二塩基酸のモル比[不飽和二塩基酸/無水フタル酸]が、40/60~50/50である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[5]酸成分を由来とする構成単位に対するアルコール成分を由来とする構成単位のモル比[アルコール成分/酸成分]が、1.0~1.2である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[6]実質的にジシクロペンタジエンを由来とする構成単位を含まない、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を含有する、不飽和ポリエステル樹脂組成物。
[8]重合性単量体が、スチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つである、上記[7]に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
[9]前記重合性単量体に対する前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂の質量比[不飽和ポリエステル樹脂/重合性単量体]が、50/50~70/30である、上記[7]又は[8]に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
[10]VaRTM成形用である、上記[7]~[9]のいずれか1つに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
[11]シリコーンエラストマーからなる金型に上記[7]~[10]のいずれか1つに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入する工程を有する、VaRTM成形方法。
[12]上記[7]~[10]のいずれか1つに記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物をVaRTM成形して得られた成形体。
本発明によれば、常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体が得られるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂を提供することができる。そのため、本発明のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂は、VaRTM成形に好適に用いることができる。
[VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂]
本発明のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂は、酸成分を由来とする構成単位及びアルコール成分を由来とする構成単位からなるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂であって、前記酸成分が少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記アルコール成分が少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25である、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂である。
以下、「VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂」を単に「不飽和ポリエステル樹脂」ともいう。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、前記構成を有することで、常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体が得られる。したがって、本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、VaRTM成形に好適に用いることができる。
<酸成分を由来とする構成単位>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、酸成分を由来とする構成単位と、アルコール成分を由来とする構成単位からなる。
酸成分を由来とする構成単位は、酸成分とアルコール成分が縮合して形成されたエステル結合の酸成分に由来する部分をいう。
前記構成単位を与える酸成分は、少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
前記酸成分を由来とする構成単位中の無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸を由来とする構成単位の比率(モル)は、カルボキシ基数換算で、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは80~100モル%であり、より更に好ましくは90~100モル%であり、前記酸成分を由来とする構成単位は、無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸を由来とする構成単位のみからなっていてもよい。
すなわち、前記酸成分中の無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸の合計含有量は、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは80~100モル%であり、より更に好ましくは90~100モル%であり、前記酸成分は、無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸のみからなっていてもよい。
前記不飽和二塩基酸は、無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、好ましくは無水マレイン酸、及びマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくは無水マレイン酸である。
前記酸成分を由来とする構成単位中の無水フタル酸を由来とする構成単位の比率(モル)は、カルボキシ基数換算で、好ましくは20~90モル%であり、より好ましくは30~80モル%であり、更に好ましくは40~70モル%であり、より更に好ましくは50~60モル%である。
前記酸成分を由来とする構成単位中の前記不飽和二塩基酸を由来とする構成単位の比率(モル)は、カルボキシ基数換算で、好ましくは10~80モル%であり、より好ましくは20~70モル%であり、更に好ましくは30~60モル%であり、より更に好ましくは40~50モル%である。
無水フタル酸に対する前記不飽和二塩基酸のモル比[不飽和二塩基酸/無水フタル酸]が、好ましくは10/90~80/20であり、より好ましくは20/80~70/30であり、更に好ましくは30/70~60/40であり、より更に好ましくは40/60~50/50である。
前記酸成分には、無水フタル酸と前記不飽和二塩基酸以外の他の酸成分を含んでいてもよい。他の酸成分としては、無水フタル酸以外の飽和二塩基酸、無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸以外の不飽和二塩基酸が挙げられる。
前記飽和二塩基酸は、芳香族二塩基酸、脂環式二塩基酸、脂肪族二塩基酸が挙げられる。
芳香族二塩基酸としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
脂環式二塩基酸としては、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、炭素数16~18のアルキル基で置換されたコハク酸、ダイマー酸等が挙げられる。
無水フタル酸以外の飽和二塩基酸は、一種用いても、二種以上を用いてもよい。
前記不飽和二塩基酸としては、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物等が挙げられる。
無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸以外の不飽和二塩基酸は、一種用いても、二種以上を用いてもよい。
<アルコール成分を由来とする構成単位>
アルコール成分を由来とする構成単位は、酸成分とアルコール成分が縮合して形成されたエステル結合のアルコール成分に由来する部分をいう。
前記構成単位を与えるアルコール成分は、少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25である。
前記アルコール成分を由来とする構成単位中のプロピレングリコール及びジエチレングリコールを由来とする構成単位の比率(モル)は、水酸基数換算で、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは80~100モル%であり、より更に好ましくは90~100モル%であり、前記アルコール成分を由来とする構成単位は、プロピレングリコール及びジエチレングリコールを由来とする構成単位のみからなっていてもよい。
すなわち、前記アルコール成分中のプロピレングリコール及びジエチレングリコールの合計含有量は、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは80~100モル%であり、より更に好ましくは90~100モル%であり、前記アルコール成分は、プロピレングリコール及びジエチレングリコールのみからなっていてもよい。
ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、35/65~75/25であり、好ましくは50/50~75/25であり、より好ましくは55/45~75/25であり、更に好ましくは55/45~70/30であり、より更に好ましくは55/45~65/35である。
ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比を前記の範囲にすることで、得られる成形体の機械強度が良好となる。このような効果が得られる理由は定かではないが、ポリエステル樹脂中のエステル結合とエーテル結合の数と、結合間の分子量のバランスによって、剛性と柔軟性を兼ね備えた成形体となるためと考えられる。
ジエチレングリコールを由来とする構成単位に対するプロピレングリコールを由来とする構成単位のモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、35/65~75/25であり、好ましくは50/50~75/25であり、より好ましくは55/45~75/25であり、更に好ましくは55/45~70/30であり、より更に好ましくは55/45~65/35である。
前記アルコール成分を由来とする構成単位中のプロピレングリコールを由来とする構成単位の比率(モル)は、水酸基数換算で、好ましくは35~75モル%であり、より好ましくは50~75モル%であり、更に好ましくは55~75モル%であり、より更に好ましくは55~70モル%であり、より更に好ましくは55~65モル%である。
前記アルコール成分を由来とする構成単位中の前記ジエチレングリコールを由来とする構成単位の比率(モル)は、水酸基数換算で、好ましくは25~65モル%であり、より好ましくは25~50モル%であり、更に好ましくは25~45モル%であり、より更に好ましくは30~45モル%であり、より更に好ましくは35~45モル%である。
前記アルコール成分には、ジエチレングリコールとプロピレングリコール以外の他のアルコール成分を含んでいてもよい。他のアルコール成分としては、ジエチレングリコールとプロピレングリコール以外の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、エーテル化ジフェノール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が挙げられる。
エーテル化ジフェノールとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ジエチレングリコールとプロピレングリコール以外のアルコール成分は、一種用いても、二種以上を用いてもよい。
前記不飽和ポリエステル樹脂には、上記に説明した構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。他の構成単位を与える成分としては、一塩基酸、3価以上のポリカルボン酸、モノアルコール、3価以上の多価アルコール、及びヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
なお、前記酸成分として、その低級アルキルエステル及び無水物を用いてもよい。
また、カルボキシ基又は水酸基を有さない化合物を由来とする構成単位を更に含んでもよいが、実質的にジシクロペンタジエンを由来とする構成単位を含まないことが好ましい。ジシクロペンタジエンを由来とする構成単位は、不飽和ポリエステル樹脂中、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%である。本発明の不飽和ポリエステル樹脂が、実質的にジシクロペンタジエンを由来とする構成単位を含まないことで、VaRTM成形に用いられるシリコーンエラストマー等を劣化することがない。
酸成分を由来とする構成単位に対するアルコール成分を由来とする構成単位のモル比[アルコール成分/酸成分]は、好ましくは0.9~1.3であり、より好ましくは0.95~1.25であり、更に好ましくは1.0~1.2であり、より更に好ましくは1.05~1.15である。なお、上記モル比はアルコール成分に含まれる水酸基と酸成分に含まれるカルボキシ基のモル比によって算出される。したがって、ヒドロキシカルボン酸は酸成分にもアルコール成分にも含まれ、その水酸基とカルボキシ基の数によって上記構成単位のモル比に寄与する。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは2~40mgKOH/gであり、より好ましくは10~40mgKOH/gであり、更に好ましくは10~35mgKOH/gであり、より更に好ましくは10~20mgKOH/gであり、より更に好ましくは12~20mgKOH/gである。
<不飽和ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂は、前記のとおり、酸成分を由来とする構成単位及びアルコール成分を由来とする構成単位からなり、前記酸成分が少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記アルコール成分が少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25であるものであれば、その製造方法に特に制限はないが、以下に示す方法によって製造することが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂は、前記で説明した酸成分とアルコール成分を反応させることによって得ることができる。次に示すようにエステル化反応を行うことが好ましい。
エステル化反応にはエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウムおよびマンガンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物が挙げられる。エステル化触媒の添加量は、無水フタル酸を含む飽和二塩基酸成分に対して、好ましくは0.01~1.5モル%である。
なお、不飽和二塩基酸に含まれる不飽和結合の反応を抑制するために、必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール等の多価フェノール系重合禁止剤、パラベンゾキノン、トルキノン等のキノン系重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、酸成分とアルコール成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.002~1.0質量部であり、より好ましくは0.005~0.3質量部である。
反応温度は、好ましくは160~280℃であり、より好ましくは200~260℃である。
反応の終点は、反応混合物の酸価や縮合水(低級アルキルエステルを原料とする場合にはアルコール)の発生量、得られるポリエステルや反応混合物の粘度等で判断することができる。
[不飽和ポリエステル樹脂組成物]
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を含有する。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、上述のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂を含有するため、常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体を得ることができる。したがって、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、VaRTM成形に好適に用いることができ、本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、好ましくはVaRTM成形用である。
前記不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは30~80質量%であり、より好ましくは40~70質量%であり、更に好ましくは50~70質量%であり、より更に好ましくは50~60質量%である。
<重合性単量体>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物には、重合性単量体を含有する。本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される重合性単量体は、重合性を有する不飽和結合を有する単量体であればよく、常温反応性と入手性、得られる成形体の機械強度の観点から、好ましくはスチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくはスチレン系単量体である。
スチレン系単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」と「アクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」と「アクリレート」を意味する。
その他の重合性単量体として、酢酸ビニル等が挙げられる。重合性単量体は、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
前記重合性単量体の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは20~70質量%であり、より好ましくは30~60質量%であり、更に好ましくは30~50質量%であり、より更に好ましくは40~50質量%である。
前記重合性単量体に対する前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂の質量比[不飽和ポリエステル樹脂/重合性単量体]は、好ましくは30/70~80/20であり、より好ましくは40/60~70/30であり、更に好ましくは50/50~70/30であり、より更に好ましくは50/50~60/40である。
<その他の成分>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、その他の成分として、硬化遅延剤、硬化剤、硬化促進剤、硬化助促進剤、光ラジカル開始剤等を含有していてもよい。これらは、用途に応じて、不飽和ポリエステル樹脂の合成中に添加してもよいし、不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を混合する際に同時に混合してもよいし、使用直前に配合してもよい。特に硬化を遅延する硬化遅延剤は、不飽和ポリエステル樹脂の合成中、又は不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を混合する際に混合することが好ましく、硬化剤、硬化促進剤、硬化助促進剤、光ラジカル開始剤は、使用直前に配合することが好ましい。
硬化遅延剤は、製造時のゲル化防止、成形時の可使時間確保、貯蔵安定性の向上のために配合される。好適に使用できる硬化遅延剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール等の多価フェノール系硬化遅延剤、パラベンゾキノン、トルキノン等のキノン系硬化遅延剤が挙げられる。硬化遅延剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.001~0.5質量%であり、より好ましくは0.005~0.15質量%である。
硬化剤、硬化促進剤、硬化助促進剤、光ラジカル開始剤は、成形時に、均質な硬化物を速やかに得るために用いられる。これらの種類及び量は用途によって使い分ければよい。
硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド系、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド系、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイドなどジアルキルパーオキサイド系等が挙げられる。硬化剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.05~5質量%である。
硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類;バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類;アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールアミン、m-トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N-置換アニリン、N,N-置換-p-トルイジン、4-(N,N-置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類等が挙げられる。硬化促進剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.05~5質量%である。
硬化助促進剤としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅などの金属石けん類;アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジメドンなどのβ-ジケトン類;ジメチルアニリンなどの芳香族3級アミン類:トリフェニルホスフィン、2-エチルヘキシルホスファイトなどのリン化合物類等が挙げられる。硬化助促進剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.001~1.0質量%である。
光ラジカル開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。光ラジカル開始剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.1~5質量%である。
<不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、前記のとおり、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を含有するものであれば、その製造方法に特に制限はないが、以下に示す方法によって製造することが好ましい。
前記不飽和ポリエステル樹脂に、重合性単量体を混合する。前記不飽和ポリエステル樹脂は、室温においては固形であるため、希釈剤である重合性単量体に溶解させ、均一な高粘度の液体とする。
更に前記で説明したその他の成分を添加し、混合してもよい。
このようにして得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物は、常温硬化性を有し、優れた機械強度を有する成形体を得ることができる。
[VaRTM成形方法及び成形体]
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、VaRTM成形に適するため、VaRTM成形方法に用いるのであれば、あらゆる成形条件でも成形することができるが、以下の成形方法によって成形することが好ましい。
本発明のVaRTM成形方法は、シリコーンエラストマーからなる金型に前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入する工程を有する、VaRTM成形方法である。
シリコーンエラストマーからなる金型は、繰り返し使用でき、使用後に廃棄する必要がないため、同じ形状の成形体を、廃棄物を排出することなく、多数製造することができる。
一方、シリコーンエラストマーからなる金型は、繰り返し使用することで、不飽和ポリエステル樹脂組成物が接する面が荒れ、その程度によって、使用回数に制限が生じる。前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いることで、その使用回数も向上させることができる。特に前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂に、実質的にジシクロペンタジエンを由来とする構成単位を含まない場合、VaRTM成形に用いられるシリコーンエラストマーを劣化することがなく、シリコーンエラストマーからなる金型を長期間、繰り返し使用することができる。
また、前記不飽和ポリエステル樹脂組成物をVaRTM成形して得られた成形体は、前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を原料とするため、機械強度に優れるものとなる。
本発明のVaRTM成形方法は通常、次のような操作によって行う。まず、金属、ガラス等の下型に、必要に応じて離型剤等を塗布する。次にガラス繊維や炭素繊維等を下型に載せ、シリコーンエラストマーからなる金型をかぶせ、下型とシリコーンエラストマーからなる金型の周囲を密着させる。次に型内部を減圧しながら、シリコーンエラストマーからなる金型に前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入する。
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物には、型内部に注入する前に、硬化剤を配合することが好ましく、更に硬化促進剤、硬化助促進剤、光ラジカル開始剤を配合することがより好ましい。
注入後、常温(室温。0~40℃程度)で放置し、脱型して成形体を得る。前記シリコーンエラストマーからなる金型は再び使用することができる。
前記常温で放置する時間は、前記硬化剤の量や種類等によって適宜調整すればよいが、通常1~50時間であり、好ましくは5~30時間である。
このようにして得られた成形体は機械強度に優れる。よって、機械強度が要求される用途をはじめとして、様々な用途に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における測定及び評価は以下の方法で行った。
<機械強度(引張強さ及び引張伸び率)>
実施例及び比較例で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対し、硬化促進剤として12%オクチル酸コバルトを0.15質量部、ジメチルアニリン0.07質量部、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製、パーメックN)1質量部を加え、JIS K 6919 5.2.3に従い、注型板(成形体)を作製した。
次に、JIS K 7161-2に従って、前記注型板(成形体)を切り出し、引張強さおよび引張伸び率を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。引張強さが大きいものほど、機械強度が良好であり、引張伸び率が大きいものほど、機械強度が良好である。
(引張強さ)
〇:60MPa以上
△:40MPa以上60MPa未満
×:40MPa未満
(引張伸び率)
〇:3%以上
△:2%以上3%未満
×:2%未満
<型劣化性>
次のようにして、VaRTM成形を実施した。
実施例及び比較例で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物100質量部に対して、硬化促進剤として12%オクチル酸コバルト0.15質量部、ジメチルアニリン0.07質量部、硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製、パーメックN)1質量部を混合した混合物を用意した。
ガラス板に離型剤(ケムリースPMR、Chem-Trend社製)を塗布し、室温(25℃)で1時間放置した。前記ガラス板上にガラスロービングクロス(WR-570 C-100、日東紡績株式会社製)を成形後の板厚が3mmとなるように置き、その上に、あらかじめ作製した、外周にガスケットを設けたシリコンバックを設置し、これを型とした。ダイヤフラムポンプを用いて減圧して真空状態とし、前記混合物を型へ注入した。室温(25℃)で24時間硬化後、脱型し、板状の成形体を得た。
同一のシリコンバックを用いて前記VaRTM成形を20回繰り返した。その後、シリコンバックの前記混合物(成形体)と接していた面の状態を目視によって下記の基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。白化が見られないものは、型が劣化しておらず、VaRTM成形用の不飽和ポリエステル樹脂組成物として好適である。
〇:白化が見られない。
×:白化が見られる。
<不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造>
実施例1
(不飽和ポリエステル樹脂の製造)
撹拌機、温度計、不活性ガス吹込み管、還流冷却器を備え付けた四ツ口フラスコに、二塩基酸成分として無水フタル酸305質量部、無水マレイン酸159質量部、アルコール成分としてプロピレングリコール183質量部、ジエチレングリコール170質量部を仕込み、215℃で加熱脱水縮合させ、酸価12mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(a)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、60/40であった。
(不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造)
得られた不飽和ポリエステル樹脂(a)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(a)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例2
実施例1において、無水フタル酸を302質量部、無水マレイン酸を157質量部、プロピレングリコールを166質量部、ジエチレングリコールを189質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価12mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、55/45であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(b)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(b)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例3
実施例1において、無水フタル酸を300質量部、無水マレイン酸を156質量部、プロピレングリコールを150質量部、ジエチレングリコールを209質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価10mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(c)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、50/50であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(c)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(c)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例4
実施例1において、無水フタル酸を297質量部、無水マレイン酸を154質量部、プロピレングリコールを134質量部、ジエチレングリコールを228質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価8mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(d)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、45/55であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(d)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(d)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例5
実施例1において、無水フタル酸を287質量部、無水マレイン酸を149質量部、プロピレングリコールを101質量部、ジエチレングリコールを260質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価6mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(e)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、35/65であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(e)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(e)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例6
実施例1において、無水フタル酸を307質量部、無水マレイン酸を160質量部、プロピレングリコールを200質量部、ジエチレングリコールを150質量部とし、210℃で加熱脱水縮合させた以外は実施例1と同様にして、酸価15mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(f)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、65/35であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(f)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(f)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例7
実施例1において、無水フタル酸を312質量部、無水マレイン酸を162質量部、プロピレングリコールを234質量部、ジエチレングリコールを109質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価19mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(g)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、75/25であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(g)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(g)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例8
実施例1において、無水フタル酸を317質量部、無水マレイン酸を165質量部、プロピレングリコールを175質量部、ジエチレングリコールを162質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価25mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(h)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、60/40であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(h)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(h)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例9
実施例1において、無水フタル酸を291質量部、無水マレイン酸を151質量部、プロピレングリコールを192質量部、ジエチレングリコールを179質量部とした以外は実施例1と同様にして、酸価2mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(i)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、60/40であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(i)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(i)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例1
(不飽和ポリエステル樹脂の製造)
撹拌機、温度計、不活性ガス吹込み管、還流冷却器を備え付けた四ツ口フラスコに、二塩基酸成分として無水フタル酸153質量部、無水マレイン酸236質量部、アルコール成分としてエチレングリコール222質量部、ジエチレングリコール8質量部、その他の成分として、ジシクロペンタジエン182質量部を仕込み、130℃で付加反応を行った後、210℃で加熱脱水縮合させ、酸価39.2mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(j)を得た。
(不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造)
得られた不飽和ポリエステル樹脂(j)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で64/37/0.01(ポリエステル樹脂(j)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例2
実施例1において、無水フタル酸を278質量部、無水マレイン酸を145質量部、プロピレングリコールを70質量部、ジエチレングリコールを291質量部とし、210℃で加熱脱水縮合させた以外は実施例1と同様にして、酸価3mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(k)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、25/75であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(k)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(k)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例3
実施例1において、無水フタル酸を318質量部、無水マレイン酸を165質量部、プロピレングリコールを270質量部、ジエチレングリコールを66質量部とし、210℃で加熱脱水縮合させた以外は実施例1と同様にして、酸価24mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(l)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、85/15であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(l)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(l)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例4
実施例1において、無水フタル酸を326質量部、無水マレイン酸を169質量部、プロピレングリコールを326質量部とし、ジエチレングリコールを用いず、210℃で加熱脱水縮合させた以外は実施例1と同様にして、酸価32mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(m)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、100/0であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(m)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(m)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例5
実施例1において、無水フタル酸を257質量部、無水マレイン酸を134質量部、ジエチレングリコールを359質量部とし、プロピレングリコールを用いず、210℃で加熱脱水縮合させた以外は実施例1と同様にして、酸価10mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂(n)を得た。ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]は、0/100であった。
得られた不飽和ポリエステル樹脂(n)、スチレン、及び硬化遅延剤としてメチルハイドロキノンを、質量比で57/43/0.01(ポリエステル樹脂(n)/スチレン/メチルハイドロキノン)となるように混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
表1の結果より、実施例の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、常温硬化性を有し、得られた成形体は、引張強さ及び引張伸び率のいずれも良好であり、優れた機械強度を有することがわかる。このように本発明のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物は、VaRTM成形用として優れている。更に本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、VaRTM成形の際にシリコーンエラストマー等を劣化することがないことがわかる。このことからも、本発明のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂組成物は、VaRTM成形用として優れている。

Claims (12)

  1. 酸成分を由来とする構成単位及びアルコール成分を由来とする構成単位からなるVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂であって、前記酸成分が少なくとも無水フタル酸及び不飽和二塩基酸を含み、前記アルコール成分が少なくともプロピレングリコール及びジエチレングリコールを含み、前記不飽和二塩基酸が無水マレイン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、ジエチレングリコールに対するプロピレングリコールのモル比[プロピレングリコール/ジエチレングリコール]が、35/65~75/25である、VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  2. 酸成分中の無水フタル酸及び前記不飽和二塩基酸の合計含有量が、90~100モル%である、請求項1に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  3. アルコール成分中のプロピレングリコール及びジエチレングリコールの合計含有量が、90~100モル%である、請求項1に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  4. 無水フタル酸に対する前記不飽和二塩基酸のモル比[不飽和二塩基酸/無水フタル酸]が、40/60~50/50である、請求項1に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  5. 酸成分を由来とする構成単位に対するアルコール成分を由来とする構成単位のモル比[アルコール成分/酸成分]が、1.0~1.2である、請求項1に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  6. 実質的にジシクロペンタジエンを由来とする構成単位を含まない、請求項1に記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載のVaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂と重合性単量体を含有する、不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  8. 重合性単量体が、スチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項7に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  9. 前記重合性単量体に対する前記VaRTM成形用不飽和ポリエステル樹脂の質量比[不飽和ポリエステル樹脂/重合性単量体]が、50/50~70/30である、請求項7に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  10. VaRTM成形用である、請求項7に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  11. シリコーンエラストマーからなる金型に請求項7に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物を注入する工程を有する、VaRTM成形方法。
  12. 請求項7に記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物をVaRTM成形して得られた成形体。
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